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Institute of Health Science, Kyushu University

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Academic year: 2022

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(1)

九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

ジャクネンシャニオケルトウタイシャケイ、レニ ン・アンジオテンシンケイノケツアツレベルニヨル チガイ : 2.カトウフカシケンノハンノウヨリ

上園, 慶子

Institute of Health Science, Kyushu University

佐々木, 悠

Chikushi Hospital, Fukuoka University

川崎, 晃一

Institute of Health Science, Kyushu University

熊谷, 秋三

Institute of Health Science, Kyushu University

https://doi.org/10.15017/710

出版情報:健康科学. 22, pp.137-142, 2000-02-10. Institute of Health Science,Kyushu University バージョン:

権利関係:

(2)

J. Health Sci., 22: 137‑142, 2000 

若年者における糖代謝系、レニン・アンジオテンシン系の 血圧レベルによる違い

‑ 2 .果糖負荷試験の反応より一

上 園 慶 子 熊 谷 秋

佐々木

ィ改*J[如八

川 崎 晃 一

D i f f e r e n c e s  i n   G l u c o s e  M e t a b o l i s m  a n d  R e n i n ‑ a n g i o t e n s i n ‑ a l d o s t e r o n e  S y s t e m   b e t w e e n  N o r m o t e n s i v e  a n d  B o r d e r l i n e ‑ h y p e r t e n s i v e  Male S t u d e n t s  

‑ 2 .  from t h e  R e s p o n s e s  t o  7 5 g  F r u c t o s e  I n g e s t i o n  ‑

Keiko UEZONO, Haruka SASAKI*,  Terukazu KAWASAKI  and Shuzo KUMAGAI 

Abstract 

137 

This  study  is  aimed  to  investigate  the  effects  of  blood  pressure  in  glucose  metabolism  and renin‑ angiotensin‑aldosterone system in  the young Japanese.  Thirteen clinically  healthy male students  (21.6

2.3  yo,  normotensive;NT, n=5,  borderline  hypertensive;BHT, n=8)  voluntarily  participated  in  the  study. 

They collected  urine  and were taken blood,  before and 1,  2,  3 hours after  taking 225ml solution of  75  gram fructose.  Plasma renin  activity  and aldosterone  concentration  were higher  in  BHT than NT. 

Serum glucose and glucagon concentrations were higher after fructose ingestion in BHT, suggesting their  endogenous  glucose  production  from  fructose.  Serum  lipase  concentration  was  lower  in  BHT.  These  results  showed that even slight elevation of blood pressure influenced glucose and lipid  metabolism.  Key words: blood  pressure,  borderline  hypertensive,  fructose,  glucose  metabolism,  renin‑angiotensin‑

aldosterone(R‑A‑A)  system. 

(Journal of Health Science,  Kyushu University, 22: 137‑142, 2000) 

はじめに

前巻で、若年男子の血圧高値者においては血圧正常 者に比べて、レニン・アルドステロン系が有意に充進 していること、ブドウ糖負荷では糖代謝変数の負荷前

値は血圧高値者と庄常者で同等であるが、負荷後の血 中ブドウ糖やインスリンの反応は血圧高値者では過大 で有意差が認められ、またピルビン酸や乳酸の反応は ずれており、脂質代謝にも差異が認められるなど、軽 微の血圧上昇でも既に多方面の代謝系に影響があるこ

Institute of Health Science, Kyushu University 11, Kasuga 816‑8580, Japan 

* Fukuoka University, Chikushi Hospital, Chikushino 818‑8502, Japan 

(3)

138  健 康 科 学 第22巻

とを報告した冗

一方、自動販売機やコンビニエンスストアの普及で 手軽に手に入るようになった飲料の多くには糖分とし てブドウ糖または果糖が加えられ、多いものでは40g の糖分を含んでいる。若年者は日常的にこれらの飲料 を利用している。そこで今回は果糖を用いて経口糖負 荷試験を行い、糖代謝・脂質代謝•その他の生理変数 の反応を血圧との関係から検討した。

対象と方法

1.対 象

前回と同様である。簡洋に述べると、血圧高値者は 本学の定期健康診断4)受診者の中、 4次測定まで測定 を繰り返しても血圧が高値を示した学生、また正常血'

圧者は一般学生である。参加希望者には事前に研究の 目的などを十分説明し、自由意志に基づく応募者のみ を対象に書式による同意を得た上、血液検査などを行 い全員健康であることを確認して施行した。

2.方 法

試験日当日は朝食絶食で午前8:30煩来室し身長・体 重を測定した後、携帯型自動血圧測定装置ABPM‑6 30(日本コーリン社製)を装着した。血圧・脈拍は負荷 試験中、左上腕で15分毎に測定し全測定の平均値を個 人の代表値とした。

75g経口果糖負荷試験には果糖 (D(‑)フ)レクトース,

和光純薬工業株製) 75gを225mlの微湿湯に溶解した 後冷蔵した溶液を用い、全量を5分以内に飲用させた。

経口糖負荷前と負荷後 1,2,3時問目に採尿と採血を

表 1 対象者のプロフィール

血圧正常者 (n=5) 血圧高値者 (n=8) 年齢(歳) 19.4 士 1.1  22.3 士 1.3 身長 (cm) 171.5 士 6.8 172.0 士 5.1 体重 (kg) 61.1 士 2.5 65.7 士 6.4 BMI  20.8 士 1.5 22.2 士 1.1  収縮期血圧 (mmHg) 115.4土 6.4 135.1 士 10.0 拡張期血圧 (mmHg)  66.4土 5.2 81.8土 5.8 心拍数(拍/分) 73.8 士 6.9 72.4 士 8.0 平均値土標準偏差

(ng/ml/hr)  10 

゜゜

レニン活性 アルドステロン

(pg/ml)  250 

•O ・ 血圧正常者

一 血 圧 高 値 者 200 

150 

100 

s o  

負荷後の時間(時間)

図1 血漿レニン活性・血漿アルドステロン濃度の推移

(4)

若年者における糖代謝系、 レニン・アンジオテンシン系の血圧レベルによる違い 139 

(ng/ml)  0.10 

0.08 

0.06 

0.04 

0.02 

ノルアドレナリン

・ .

・・・・・・‑‑"'"" 

‑O‑

アドレナリン (ng/ml) 0.10 

血圧正常者 0.08 

ー傘一血圧高値者

•—•--+

0.06 

0.04 

0.02 

゜ ゜

2  3 

負荷後の時間(時間)

2  3 

図2 血漿カテコールアミン濃度の推移

(mg/di)  12 

10 

  .  .. . .

* *エ出

* ←  

. .

.  

•• ︑人

. .   

. .  

:  

. .  

. .

•••

 

. .  

・ ・

: ... 

•O- 血圧正常者 一 血 圧 高 値 者

*: p<0.05 

**: p<0.01 

図3

負荷後の時間(時間)

血中果糖浪度の推移

結 果

施行した。採血は座位の状態で右上腕肘静脈から行い、

血液は外注し果糖、ブドウ糖、インスリン、グルカゴ ン、レニン活性、アルドステロン、カテコールアミン、

ピルビン酸、乳酸を測定し、尿は糖や蛋白の定性反応 を調べた。

1)対象者のプロフィール

対象者は男性13名:正常血圧者5名、血圧高値者8 名であった。対象者のプロフィールを表1に示す。年

齢・収縮期・拡張期血圧はいずれも血圧高値者が正常 血圧者より有意に高かった。体重 •BMI(Body Mass  Index)も血圧高値者が大きかったが有意差はなかった。

2)血液変数の結果

血漿レニン活性・血漿アルドステロン濃度の反応を 図1に示す。血漿レニン活性は果糖負荷後1時間目に は上昇したが、その後は血圧正常者では低下し、血圧 高値者ではさらに上昇した。しかしどの時間において も両群間に有意差は無かった。血漿アルドステロン濃 度は1時間後に低下し2時間後には上昇した。その後 血圧正常者は上昇し、血圧高値者は低下した。各時問

とも両群問に有意差は無かった。(図 1)

血漿ノルアドレナリン濃度は血圧高値者が血圧正常 者より低かった。また両群とも 3時間まで上昇した。

血漿アドレナリン濃度は両群間で差がなかった。(図2) 果糖の血中濃度は負荷前は両群とも検出限界以下で あった。両群とも1時間目に最高となりその後低下し た。負荷後は血圧高値者が正常血圧者に比べ有意に低 値を示した。(図3)

ブドウ糖の血中濃度は血圧高値者が正常血圧者に比 ベ高値を示した。血圧高値者では1時間後にわずかに 上昇しその後低下した。血圧正常者では変動を認めな かった。血中インスリン濃度は両群とも 1時問目に最 大となりその後低下した。各時間とも両群間で有意差 を認めなかった。(図 4)

グルカゴン濃度は血圧高値者が正常血圧者より高値 を示した。両群とも 1時問目が最低であった。リパー

(5)

140  健 康 科 学 第22

(mg/di) 

120 

ブドウ糖 インスリン

110  • ‑0 血圧正常者

ナ 血 圧 高 値 者

00 

│  •/よ

*: p<0.05 

90 

80 

70 

60 

負荷後の時間(時間)

図 4 血糖・血清インスリン濃度の推移

(pg/ml) 

200 r  グルカゴン リパーゼ

(μU/ml)  25 

20 

15 

10 

(IU/L)  50 

150 

100 

50 

40 

‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ f   ! 、 ̀ . : 、

‑‑l30 

l20 

‑‑G‑ 血圧正常者 -*— 血圧高値者

10 

゜ ゜

2  3 

2  3 

負荷後の時間(時間)

図5 血消グルカゴン・血清リパーゼ濃度の推移

ゼの血中濃度は、血圧高値者では正常血圧者に比べ全 経過で低値を示したが、反応は同様であった。(図5)

ピルビン酸、乳酸は両群とも糖負荷1時間後に最大 値になった後低下した。ピルビン酸は両群ともほとん ど一致したが、乳酸は血圧高値者が正常血圧者より裔 く、負荷前は有意差を認めた。(図 6)

考 案

血漿レニン活性・血漿アルドステロン濃度は前回の 検査ではいずれも血圧高値者が高値を示し、 R‑A‑A

系が賦活化された状態であったが、今回はその傾向を 認めるものの有意ではなかった。しかし血漿レニン活 性は血圧高値者では 2時間後に最高値を示しており反 応が増大しているとも考えられる。

血漿ノルアドレナリン濃度・血漿アドレナリン濃度 は前回同様、両群間で有意差は無かった。食事中の食 塩摂取量も制限せず、試験中安静を保つなど血漿中の 濃度が低いこと、測定感度が十分でないことも一因で あろう。

果糖濃度は両群とも負荷前は検出限界以下であった が、負荷後1時間で最大になりその後低下した。血圧

(6)

若年者における糖代謝系、レ::ン・アンジオテンシン系の血圧レベルによる違い 141 

(mg/di)  2.0 

1.5 

1.0 

0.5 

ピルビン酸

‑‑G‑ 血圧正常者 ナ 血 圧 高 値 者

*: p<0.05 

乳 酸

Y

: •••

••• •,

: ,

 

•• •,

,

 

to

l4

 

(mg/di)  25 

20 

15 

10 

2  3 

2  3 

回6

負荷後の時間(時間)

血清ヒ゜ルビン酸・乳酸濃度の推移

高値者は血圧正常者に比して有意に低値を示した。一 方ブドウ糖の血中濃度は血圧高値者が花常血圧者に比 ベ 高 値 を 示 し た 。 果 糖 は 体 内 で 肝 臓 に 存 在 す る f ructokinase (ketohexokinase)により代謝されてエ ネルギー補給源となるが、インスリンの影響を受けな いため糖尿病状態の時にも使用されている。しかし血 中インスリン濃度は両群とも果糖負荷後増加したこと より、インスリンは果糖負荷により影響を受けると考 えられた。

Surmelyらは健常者に果糖のみを経静脈的に負荷し た場合、内因性のブドウ糖新生は起こらないが、果糖 をグルカゴンと合わせて負荷すると内因性ブドウ糖新 生を増加させ、果糖からの糖新生は43 49%になる と報告している。5)今回の果糖負荷でも血圧正常者では 果糖負荷後の果糖浪度が有意に高いにも拘わらずブド ウ糖濃度は影響をうけなかったが、血圧高値者では糖 負荷後ブドウ糖濃度が増加した。また血漿グルカゴン 濃度は血圧高値者で高く、血圧高値者では果糖から内 因性ブドウ糖新生を起こすことが示唆され、糖新生の 代謝経路が血圧正常者と異なると考えられた。

また前回同様、血庄高値者では血圧正常者に比べて 血漿リパーゼは低かった。また血漿ピルビン酸濃度は 血圧正常者と差が無く、血清乳酸が高かったことは Demartiniら廿こよる高血圧者を対象にした報告と一 致した。以上の結果より血圧高値者の糖代謝・脂質代 謝は血圧正常者と異なることが示された。しかしなが ら、両群問には血圧値のみならず年齢・体重 •BMI にも差があり、今後はさらにこれらの影響も検討して

いく予定である。

終わりに

「大学生の健康白書19952)3)」は血圧高値を示す学 生が増加していると報告している。市販されている飲 料にはブドウ糖と並び、果糖を含むものも多いが、若 年の血圧高値者において果糖負荷は健常者では認めら れないと報告されている内因性ブドウ糖新生を惹起す ることが示唆された。軽微の血圧上昇が引き起こすこ れらの変化が先天的な要因によるのか、大学生時代に 大きく変わる生活習慣など後天的な要因によるのか、

さらに慢性的な果糖負荷が血庄値などに対しどのよう に作用するかは今後さらなる検討を要する。

1)  Demartini  FE,  Cannon  P J,  Stason  Laragh JH: Lactic acid  metabolism in  hyper‑ tensive patients. Science, 148:1482‑1484, 1965.  2)学生の健康白書1995一基本編ー,国立大学等保健

管理施設協議会学生の健康白書作成に関する特 別委員会編, 1997,Pp.1‑227. 

3)学生の健康白書1995一応用研究編ー,国立大学等 保健管理施設協議会学生の健康白書作成に関す

る特別委員会編, 1998,Pp.1‑115. 

4)川崎晃一,藤野武彦,金谷庄蔵,上園慶子,森田 ケイ,宇都宮弘子,萩原和子,大槻説乎,武谷 WB, 

(7)

142  健 康 科 学

溶:大学生の血圧に関する研究、第1報:大学生 の血圧値.第23回全国大学保健管理研究集会報 告書, 1985, p.195‑199. 

5) Surmely JF, Schneiter P, Henry S, Paquot N,  Jequier  E, Tappy  L: Effects  of  glucagon  in  the control of endogenous glucose production 

22

in  man. Nutrition, 15(4) :267‑273, 1999. 

6)上園慶子,佐々木悠,川崎晃一,熊谷秋三:若年 者における糖代謝系、レニン・アンジオテンシン 系の血圧レベルによる違い一糖負荷試験の反応よ

りー.健康科学, 21: 9‑13,  1999. 

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