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茂 原 地 域 の 地 質

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地域地質研究報告

5 万分の 1 地質図幅 東京(8)第 77 号

NI–541912

茂 原 地 域 の 地 質

七山 太・中里裕臣・大井信三・中島 礼

平 成 28 年

国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター

(2)
(3)

茂原地域の地質

七山 太*・中里裕臣**・大井信三***・中島 礼*

地質調査総合センターは,明治 15 年(1882 年)にその前身の地質調査所が創設されて以来,国土の地球科学的実態を 解明するための調査研究を行い,様々な縮尺の地質図を作成・出版してきた.そのなかで 5 万分の1地質図幅は,自らの 地質調査に基づく最も詳細な地質図の1つであり,基本的な地質情報が網羅されている.

茂原地域の地質は,陸域地質図幅プロジェクトとして平成 22 ~ 26 年度に現地踏査,室内研究及び文献調査に基づいて 作成されたものである.現地調査と地質図作成にあたっては,以下の通り分担し,全体のとりまとめは七山と中島が担当 した.地形については大井及び七山,上総層群については七山・中里及び中島,下総層群については大井・七山・中島及 び中里,新期関東ローム層及び新期段丘堆積物については大井及び七山,沖積層については中島・大井及び七山が担当した . 野外調査に際しては,各市町村発行の 1/2,500,1/5,000 ないし 1/10,000 地形図,及び国土地理院発行の 1/25,000 地 形図を適宜拡大して用いた.茂原地域の地質のとりまとめにあたっては,限られた露出状況であっても特徴的な地層及び テフラ鍵層を記載するとともに,これらを全域的に追跡することによって,各地層相互の関係を明らかにするよう努めた.

また,地層の傾斜が 0 ~ 5°と極めて緩いことから,これら各地層及びテフラ鍵層の走向線図を描いて,全体の地質構造 を明らかにした.茂原地域から多産する貝化石や微化石等の記載にあたっては,これまでの豊富な研究成果をレビューし て総括した.ただし,現在の上総層群の露出状況は極めて不良であり,1/25,000 のスケールでオリジナルな調査を実施 することすら困難な状況となっている.そこで,地質図作成に関しては,1/15,000 日本油田・ガス田図 10「茂原」,隣 接する 1/50,000 地質図幅姉崎地域及びこれらの作成当時の資料を利用しつつ,東金~木更津間の圏央道(首都圏中央連 絡自動車道)工事等で得られた新たな現地情報を加味し,より完成度の高い図幅の作成を目指した.

なお,本研究の遂行及びとりまとめに際しては,次の方々からご協力をいただいた.東日本高速道路株式会社(NEXCO 東日本)関東支店木更津道路事務所には,圏央道東金~木更津工事期間中,工事露頭の立ち入り調査を許可していただい た.国土地理院応用地理部防災地理課には,土地条件図「茂原」に関するGISデータの使用を許可していただいた.千 葉県立中央博物館の岡崎浩子博士には,調査開始にあたって,地域に関わる有益情報をご提供いただいた.

千葉県立中央博物館の高橋直樹博士,静岡聖光学院の佐藤弘幸氏,信州大学教育学系の竹下欣宏博士,茨城大学理学部 の岡田 誠博士には,テフラ試料採取にあたって,情報を教えていただいた.

鹿児島大学文学部の森脇 広教授には,九十九里浜平野の地形発達史と茂原周辺の段丘地形について,ご教授いただい た.千葉県環境研究センターの風岡 修博士には,東浪見地域の沖積ボーリングの資試料を,茂原市役所の古川孝衛氏に は,茂原低地のボーリング資試料を,ご提供いただいた.茂原市立美術館・郷土資料館学芸員の津田芳男氏には,茂原低 地の化石の産出情報をご教授いただいた.群馬県立自然史博物館学芸員の木村敏之博士にはクジラ化石の同定を,千葉県 立中央博物館学芸員の伊左治鎭司博士ならびに加藤久佳博士には貝化石試料のご提供を,東京大学大気海洋研究所の清家 弘治博士には生痕化石同定をお願いした.

長南町郷土資料館学芸員の風間俊人氏には,長生地域の考古学資料をご提供いただき,縄文時代の九十九里浜低地の発 達史についてご教授いただいた.元筑波大学の池田 宏博士ならびに公益財団法人自然保護助成基金の目代邦康博士には,

茂原地域の地形調査に献身的にご協力いただいた.千葉県,茂原市,千葉市,市原市,大網白里市,いすみ市,長生郡長 南町,長柄町,睦沢町,一宮町,長生村からは,地形図やボーリング資料等各種資料を提供していただいた.

産業技術総合研究所の小玉喜三郎名誉顧問,島根大学名誉教授(元工業技術院地質調査所職員)の三梨 昂博士からは,

茂原地域の地質に関わる資料をご提供いただくとともに,本報告執筆にあたり種々のご意見をいただいた.

以上の皆様に,著者一同,厚くお礼を申しあげる次第である.

なお,本報告に付属する地質図に用いた記号群及び凡例表示にはJIS A 0204:2012 を適用し,そのうち地層界線や断層 線などの地質学的属性境界の標示は,「存在確実度特定・位置正確度不特定」とした.

(平成 26 年度稿)

所 属

* 地質情報研究部門

** 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所(平成 23 ~ 26 年度 地質情報研究部門客員研究員)

*** 地質情報研究部門客員研究員(元国土交通省国土地理院)

Keywords : geological map, Mobara, Boso, Kazusa Hills, Shimosa Uplands, Kujukurihama Beach, Ichinomiyagawa, Shimosa Group, Kazusa Group, Kanto Loam, terrace, Alluvium, marker bed, tephra, turbidite, fault, sequence stratigraphy, Pleistocene, Holocene

(4)

目  次

第 1 章 地 形……… 1

1. 1 丘陵 ……… 4

1. 2 台地及び段丘 ……… 4

1. 3 低地 ……… 4

1. 3. 1 一宮川低地 ……… 4

1. 3. 2 埴生川低地 ……… 4

1. 3. 3 茂原低地(九十九里浜低地) ……… 5

1. 4 海岸 ……… 5

第2章 地質概説……… 6

2. 1 上総層群 ……… 6

2. 1. 1 大田代層 ……… 6

2. 1. 2 梅ヶ瀬層 ……… 6

2. 1. 3 国本層 ……… 8

2. 1. 4 柿ノ木台層 ……… 8

2. 1. 5 長南層 ……… 8

2. 1. 6 笠森層 ……… 8

2. 1. 7 金剛地層 ……… 8

2. 2 下総層群 ……… 9

2. 2. 1 地蔵堂層 ……… 9

2. 2. 2 木下層 ……… 9

2. 2. 3 姉崎層 ……… 9

2. 2. 4 常総粘土 ……… 9

2. 3 新期関東ローム層及び新期段丘堆積物 ……… 9

2. 3. 1 市原Ⅱ段丘堆積物 ……… 9

2. 3. 2 南総Ⅰ段丘堆積物 ……… 9

2. 3. 3 吉附段丘堆積物 ………10

2. 4 沖積層 ………10

2. 4. 1 沖積谷埋堆積物 ……… 10

2. 4. 2 沖積表層堆積物 ……… 10

第 3 章 上総層群……… 11

3. 1 上総層群の定義 ………11

3. 2 大田代層 ………11

3. 3 梅ヶ瀬層 ………13

3. 4 国本層 ………18

3. 5 柿ノ木台層 ………22

3. 6 長南層 ………24

3. 7 笠森層 ………25

(5)

3. 7. 1 国府里砂部層 ………30

3. 8 金剛地層 ………32

第 4 章 下総層群……… 34

4. 1 地蔵堂層 ………34

4. 2 木下層 ………35

4. 3 姉崎層 ………36

4. 4 常総粘土 ………37

第 5 章 新期関東ローム層及び新期段丘堆積物……… 39

5. 1 新期関東ローム層 ………39

5. 2 市原Ⅱ段丘堆積物 ………39

5. 3 南総Ⅰ段丘堆積物 ………42

5. 4 吉附段丘堆積物 ………42

第 6 章 沖積層……… 44

6. 1 研究史及び概要 ………44

6. 2 沖積谷埋堆積物 ………45

6. 3 茂原低地の沖積表層堆積物 ………50

6. 4 一宮川・埴生川低地及び丘陵部の小河川流域の沖積表層堆積物 ………52

6. 5 現世の海浜及び砂丘堆積物,盛り土及び人工堆積物 ………52

第 7 章 地殻変動と地質構造……… 54

7. 1 地殻変動 ………54

7. 2 テフラ走向線図からみた地質構造 ………55

7. 3 上総層群に卓越する正断層群 ………59

第 8 章 資源地質……… 61

8. 1 天然ガス・ヨード ………61

8. 2 温泉 ………65

8. 3 地下水 ………65

8. 4 山砂 ………65

8. 5 砂鉄 ………65

第 9 章 応用地質……… 66

9. 1 地下水汲み上げによる地盤沈下災害 ………66

9. 2 地震・津波災害 ………67

9. 3 洪水災害 ………69

9. 4 九十九里浜の海岸侵食 ………71

第 10 章 上総層群上~中部層準のテフラカタログ ……… 73

10. 1 野外調査と試料採取 ………73

10. 2 分析方法 ………73

文 献 ……… 89

付 図 ……… 96-97 Abstract ……… 98

(6)

図・表・図版目次

第 1. 1 図 茂原地域周辺の地形陰影図 ……… 1

第 1. 2 図 茂原地域の地形陰影図 ……… 2

第 1. 3 図 茂原地域の地形分類図 ……… 3

第 1. 4 図 茂原低地の風景 ……… 3

第 2. 1 図 茂原地域の模式層序 ……… 7

第 2. 2 図 圏央道工事によって露出した上総層群笠森層の露頭 ……… 8

第 3. 1 図 房総半島における上総層群分布図と等深線図 ………12

第 3. 2 図 房総半島東部の上総層群の年代層序 ………13

第 3. 3 図 茂原地域における上総層群のルート柱状図 ………14

第 3. 4 図 大田代層及び梅ヶ瀬層の層序総括図 ………15

第 3. 5 図 大田代層の泥勝ち砂泥互層 ………16

第 3. 6 図 梅ヶ瀬層の砂泥互層 ………16

第 3. 7 図 国本層の層序総括図 ………19

第 3. 8 図 国本層上部Ku0.9 層準の厚層砂層と泥勝ち互層の複互層 ………19

第 3. 9 図 国本層上部の厚層砂層中のチャネル構造及び充填堆積物 ………19

第 3. 10 図 国本層の主要テフラの露頭写真 ………20

第 3. 11 図 国本層の泥岩層中における巻貝化石Volutopsius hiraseiの産状 ………21

第 3. 12 図 柿ノ木台層及び長南層の層序総括図 ………22

第 3. 13 図 柿ノ木台層の砂質泥岩層及びKa1 テフラの層相 ………23

第 3. 14 図 柿ノ木台層の砂質泥岩層中の二枚貝化石Limopsis uwadokoiの産状 ………23

第 3. 15 図 圏央道工事現場に出現した長南層の砂勝ち砂泥互層 ………24

第 3. 16 図 長南層上部のスランプ堆積物 ………24

第 3. 17 図 長南層中に認められるハイパーピクナル流で生じた砂層 ………25

第 3. 18 図 笠森層及び金剛地層の層序総括図 ………26

第 3. 19 図 笠森層上部の大露頭 ………27

第 3. 20 図 笠森層からみられる生痕化石の産状 ………28

第 3. 21 図 笠森層中に認められる広域テフラの産状 ………29

第 3. 22 図 笠森層Ks12 層準で見つかった化学合成群集の露頭 ………31

第 3. 23 図 国府里砂部層の大露頭 ………31

第 3. 24 図 金剛地層の堆積柱状図 ………32

第 3. 25 図 金剛地層下部で認められるハンモック状斜交層理 ………32

第 3. 26 図 金剛地層の砂質泥層における生痕化石Rosselia socialisの密集産状 ………33

第 4. 1 図 下総層群の主要なテフラ鍵層の層位及び海洋酸素同位体ステージ(MIS)との対比 ………34

第 4. 2 図 地蔵堂層下部に挟在されるJ1 テフラ ………35

第 4. 3 図 下総層群木下層の堆積柱状図 ………36

第 4. 4 図 木下層の露頭写真 ………38

第 4. 5 図 茂原市大沢の工事現場で観察された常総粘土 ………38

(7)

第 5. 1 図 茂原地域の段丘編年図 ………40

第 5. 2 図 図幅内の段丘堆積物の模式柱状図 ………41

第 5. 3 図 立川ローム層下部の姶良Tnテフラの産状 ………42

第 5. 4 図 南総Ⅰ段丘堆積物の産状 ………42

第 5. 5 図 吉附段丘堆積物の産状 ………43

第 5. 6 図 吉附段丘堆積物のシルト層を覆う褐色火山灰層 ………43

第 6. 1 図 長生村薮塚におけるボーリング柱状図(H-19 孔) ………45

第 6. 2 図 沖積層の基底面等高線図 ………46

第 6. 3 図 本図幅内に分布する完新世の地形面と検討したボーリングコアの位置図と測線 ………47

第 6. 4 図 茂原低地の東西断面におけるボーリング柱状図 ………48

第 6. 5 図 茂原低地の南北断面におけるボーリング柱状図 ………48

第 6. 6 図 上市場面を構成する泥質砂層 ………49

第 6. 7 図 沖積層の砂層にみられる貝化石密集層 ………49

第 6. 8 図 森脇(1979)による九十九里浜平野における浜堤列の発達史 ………51

第 6. 9 図 茂原市本納と睦沢町川島のボーリング柱状図 ………51

第 6. 10 図 「古長生湾」沿岸の縄文土器出土遺跡位置図 ………53

第 6. 11 図 上市場面を構成する沖積層の露頭柱状図 ………53

第 7. 1 図 房総半島のテクトニックマップと 1923 年大正関東地震(M7.9)と 1703 年元禄関東地震(M8.2)による 隆起量と津波高 ………54

第 7. 2 図 茂原地域の上総層群のテフラ鍵層走向線図及び断層分布図 ……… 56–57 第 7. 3 図 茂原地域の上総層群笠森層のテフラ走向線図 ………58

第 7. 4 図 上総層群に認められる正断層の産状 ………59

第 7. 5 図 逆解析法による応力場解析結果 ………60

第 8. 1 図 千葉県全体の天然ガスかん水揚水量,還元量,天然ガス生産量の経年変化 ………61

第 8. 2 図 茂原ガス田の位置,ガス水比及び断層分布図 ………62

第 8. 3 図 水溶性天然ガスの生産井 ………62

第 8. 4 図 電気検層による坑井層序の広域対比 ………62

第 8. 5 図 九十九里浜地域における検層対比図 ………63

第 8. 6 図 西門橋の河床に露出する梅ヶ瀬層からのガスの噴出 ………64

第 8. 7 図 自家用天然ガス採取井戸 ………64

第 8. 8 図 いすみ市須賀谷の水田における上ガス噴出 ………64

第 8. 9 図 茂原地域にある大規模採砂場 ………65

第 9. 1 図 茂原地域内の 1968 年以降の経年累積沈降量 ………66

第 9. 2 図 相模トラフ沿いにある2つの歴史地震の震源位置と関東周辺のテクトニックセッティング ………67

第 9. 3 図 白子~東浪見海岸における 1703 年元禄地震津波による浸水図 ………68

第 9. 4 図 白子自然公園にある“チリー津波の碑” ………69

第 9. 5 図 一宮川河口付近の堆砂現象図 ………70

第 9. 6 図 一宮川河口付近でみられるワンドと旧河川跡 ………70

第 9. 7 図 1903 年と 1931 年の間に起こった一宮川の河口偏倚 ………71

第 9. 8 図 長生村一松海岸における海岸侵食の状況 ………71

(8)

第 9. 9 図 1947 年と 2010 年の一宮海岸の汀線位置の変化 ………72

第 10. 1 図 テフラ分析試料採集位置図 ………77

第 10. 2 図 テフラ分析試料採集位置図 ……… 78–79 第 10. 3 図 記載したテフラの柱状図と分析層準 ……… 80–85 第 3. 1 表 茂原地域の上総層群から産出した貝化石 ………17

第 4. 1 表 木下層から産出した貝化石リスト ………37

第 4. 2 表 茂原地域に分布する木下層と常総粘土の主なテフラの特徴 ………37

第 5. 1 表 新期段丘堆積物及び新期関東ローム層の主なテフラの特徴 ………41 

第 5. 2 表 睦沢町長楽寺の姶良Tnテフラに含まれる火山ガラスの化学組成 ………41

第 6. 1 表 沖積層に含まれる試料の放射性炭素年代測定結果 ………49

第 6. 2 表 沖積層の主なテフラの特徴 ………49

第 6. 3 表 茂原地域の沖積層から産出した貝化石 ………50

第 10. 1 表 上総層群のテフラの組成に関する記載総括表 ……… 74–75 第 10. 2 表 茂原地域以外からの試料採集地点の位置 ………76

第 10. 3 表 地蔵堂層及び笠森層テフラの火山ガラス及び角閃石の主成分化学組成 ………86

第 10. 4 表 長南層テフラの火山ガラスの主成分化学組成 ………86

第 10. 5 表 柿ノ木台層テフラの火山ガラスの主成分化学組成 ………87

第 10. 6 表 国本層テフラの火山ガラスの主成分化学組成 ………87

第 10. 7 表 梅ヶ瀬層テフラの火山ガラスの主成分化学組成 ………88

第 10. 8 表 大田代層テフラの火山ガラスの主成分化学組成 ………88

付図 化石の産地露頭位置図……… 96-97 Figure 1 Stratigraphic summary of the Mobara district ……… 101

(9)

茂原地域は,千葉県房総半島中東部に位置し,北緯 35°20′– 35°30′,東経 140°15′– 140°30′;日本測地系(北 緯 35°20′11″8 – 35°30′11″8,東経 140°14′48″2– 140°

29′48″2;世界測地系)の範囲に相当する.茂原地域の 東部は九十九里浜海岸を介し太平洋に直接面している

(第 1. 1 図).茂原地域の全域が千葉県に属し,茂原市,

千葉市,市原市,大網白里市,いすみ市,長ちょうせい郡 長ちょうなん町,

な が ら柄町,白子町,睦沢町,一宮町,長生村の各自治体が 所轄している.

この地域の地形は大きく丘陵,台地・段丘及び低地,

海岸に区分される.丘陵は本図幅の西域を占め,上か ず さ総丘 陵の北東部にあたる.台地は,図幅の北西端部に下しもうさ

第 1 章 地  形

(大井信三・七山 太)

第 1. 1 図 茂原地域周辺の地形陰影図

国土地理院発行数値地図 50 mメッシュ(標高)日本-IIを使用.

上総丘陵

下総台地

茂原低地

九十九里浜平野

太平洋 東京湾

埴生川低地 一宮川低地 東金地域

姉崎地域 木更津地域

勝浦地域 千葉地域

35˚30’11”8

35˚20’11”8

140˚29’48”2

140˚ 14’48”2

権現森

長柄丘陵

長南丘陵

睦沢丘陵 夷隅川 低地

那古地域 鴨川地域 清澄山 鋸山鋸山

権現森 長柄丘陵

長南丘陵

睦沢丘陵 夷隅川 低地 茂原地域 茂原地域

富津地域 富津地域

那古地域 鴨川地域

大多喜地域

大多喜地域 上総大原地域上総大原地域

清澄山 浜行川

木戸地域

(10)

地の南東端が位置している.両者の間は太平洋に注ぐ一 宮川水系と東京湾に注ぐ村田川水系の分水界となってい る.この分水界は牛久とうがね崖線と呼ばれる急崖をなし,

市原市牛久近辺から東金市までほぼ北東南西の走向を 持って連続している(第 1. 2 図).

茂原地域内に分布する台地・段丘は上位から木おろし面,

姉崎面,市原面,吉よし面,南総面に区分される(徳橋・

遠藤,1984;桑原ほか,1999;第 1. 3 図).木下面は下 総台地において下総上位面(杉原,1970)とも呼ばれる 最も上位の海成面であり,金こんごうから姉崎地域の権現森 付近にかけて分布する.茂原地域の木下面の最高高度は 約 130 m,姉崎面はこれより 5 mほど標高が低く,図幅 北西端に小規模に分布する.市原面は河成面で村田川水 系に市原II面が小規模に分布する.吉附面は図幅南東

端の夷すみ川下流域に局所的に分布する(桑原ほか,

1999).南総面は一宮川や埴川の中流に小規模に分布 する.

低地は,一宮川,埴生川によって作られた一宮川低地,

埴生川低地と九十九里浜平野の南部である茂原低地に区 分される(第 1. 3 図).台地や丘陵を刻む谷沿いの低地 の多くは段丘化しており完新世段丘が発達する.九十九 里浜平野は,約 5,000 ~ 6,000 年前の後氷期海進からの 海面の段階的な低下によって形成されてきた海岸平野で あり,東西幅 7 ~ 10 km程度の広がりを持つ.特に東 -一宮間の上総丘陵と九十九里浜平野の間には比高 30 ~ 50 mの明瞭な海蝕崖が連続して存在し,九十九里 崖線の南端部とされている(第 1. 4 図).また,図幅の 中南部の綱田~市いち付近には,夷隅川水系が小規模に

第 1. 2 図 茂原地域の地形陰影図

国土地理院発行数値地図 50 mメッシュ(標高)日本-IIを使用.

茂原低地

南白亀川

一宮川

真亀川

夷隅川 太東崎 九十九里浜平野

九十九里崖線

140˚14’

48”2

九十九里浜海岸 下総台地

一宮川低地

埴生川低地 長柄丘陵

長南丘陵

睦沢丘陵

夷隅川低地 牛久

東金崖線 ー 村田川

埴生川

瑞沢川 下総台地

一宮川低地

埴生川低地 長柄丘陵

長南丘陵

睦沢丘陵

夷隅川低地 牛久

東金崖線 ー 村田川

埴生川

瑞沢川

太平洋

35˚20’

11”8

140˚29’

48”2

35˚30’

11”8

宮海岸

茂原地域

(11)

第 1. 3 図 茂原地域の地形分類図

丘陵・谷底平野・後背湿地を白抜きで示す.

木下面 姉崎面 市原面 上市場面 川島面 旧河道

芝原面 第Ⅰ浜提列群 第Ⅱ浜提列群 第Ⅲ浜提列群 自然堤防

現世の海浜 および砂丘

南総Ⅰ面・吉附面 一宮川

南白亀川 凡例

N

0 1 2 3km

金剛地

東浪見 市野々 綱田

茂原 本納

一松

一宮

A B

茂原低地 茂原低地

本納 蓮福寺 綱田

東浪見

第 1. 4 図 茂原低地の風景

本納城跡から南東方向を(A),東浪見の九十九里崖線の上から北東方向を見た(B)茂原低地.

(12)

分布する(第 1. 2 図).海岸は九十九里浜海岸の南部を 占めている.

以下に,この地域の地形について,丘陵,台地・段丘,

低地,海岸の順で解説する.

1. 1 丘 陵

丘陵は,房総半島西岸に位置する富津市金谷の 鋸のこぎりやま 付近から東岸の勝浦市浜はまなめがわ付近までの房総半島を横断 する線より北側で上総丘陵と呼ばれる(第 1. 1 図).そ の分水界は,鋸山(標高 329.5 m)と清きよすみ山(標高 365.0

m)を結ぶ線で著しく南側に偏り(第 1. 1 図),それよ

り北側は緩斜面,南側は急斜面となっている.

丘陵の構成層は下部~中部更新統の上総層群であり,

砂泥互層,砂質泥及び泥質砂層等の半固結堆積物からな る.上総層群は北東~南西方向の走向,北西傾斜の地質 構造を持つ.丘陵の高度は全般的に西側ほど高く,東方 に向かって低くなっている.丘陵の枝尾根の斜面は,北 西へ傾く緩やかな斜面と南東へ傾く急な斜面の組み合わ せが多く,ケスタ様の地形を呈している.また,前述の 地質構造の影響を受け丘陵を開析する谷は,北東~南西 方向のものが多くみられる.谷の幅は広く,谷型の斜面 が尾根部まで食い込んでいるため尾根が痩せている.

丘陵を刻む谷沿いには,谷底面からの比高が 2 ~ 3 m でシルト混じり砂からなる緩斜面から段丘状の地形があ り,茂原より北部の主に笠かさもり層からなる丘陵に発達して いる.これは砂質で崩れやすい笠森層の地質に起因する と考えられる.

茂原地域北西部の長柄丘陵は 40 ~ 80 mの高度を示 し,隣接する台地より 30 ~ 50 m低くなっているが,台 地が形成された当時の丘陵は台地よりも高かったはずで ある.このような現象を「地形の逆転」(大塚・望月,

1932)と言い,透水性が大きい台地の砂層は丘陵のシル ト層よりも侵食されにくいことが原因と考えられてい る.茂原地域西部の長南丘陵は 60 ~ 160 mの高度で分 布し,本丘陵の西部域では,北西~南東方向の谷が発達 する.茂原地域南部の睦沢丘陵は 60 ~ 120 mの高度で 分布する.

1. 2 台地及び段丘

台地は茂原地域北西端部に分布し,千葉県北部に広く 分布する下総台地の南東端に位置する.この下総台地の 面積の大部分を占めているのが木下面であり,下総層群 木下層を段丘構成層としてその上位にHK-KlP,HK- KmP12 を挟む下末吉ローム層を載せることから,その 形成年代は最終間氷期最盛期の約 12.5 万年前(酸素同 位体ステージ(MIS)5.5)と考えられている(第 2. 1 図).

ここでは下総層群の上に,新期関東ローム層が載ってい

る.また,木下層の砂層とローム層の間に常総粘土と呼 ばれる白い粘土層が存在している場合もある.この台地 面は,茂原地域では 60 ~ 130 mの高度で分布し,台地 の南端部で約 130 mと最も高い.台地の勾配は,おおむ ね南南東から北西に傾き 11/1,000 となっており,下総 台地の中で最も急傾斜を示す地域である.

図幅内の台地は,東京湾に注ぐ村田川とその支流に よって開析されており,平坦面は小規模にしか発達しな い.谷のほとんどは南東側の牛久東金崖線の段丘崖付 近までをその流域として,谷底平野が谷の奥まで入り込 み,谷頭が急崖となっているものが多い.また,丘陵と 台地が接近する地域では,丘陵からの谷の侵食によって 台地側の谷の谷頭付近の争奪が頻繁に行われている.

姉崎面は,木下面の形成後,河食によって上位面が削 られ,その上に砂礫が堆積して形成されたもので,木下 面より高度が 5 ~ 10 m程度低くなっている.木下面と 姉崎面との境は緩斜面であって,その境はあまり明瞭で はない.市原面は下位層の上に砂礫層を載せ,更にその 上位に,武蔵野,立川の各期のローム層を載せている.

市原面,南総面は,村田川上流部と一宮川・埴生川の 中流部に小規模に分布している.吉附面は夷隅川河口付 近に局地的に分布する.

1. 3 低 地

1. 3. 1 一宮川低地

一宮川低地の谷底平野の勾配は 5/1,000 で,主に軟弱 なシルト,粘土層が堆積している.茂原から一宮間の下 流域は,砂堆を削っていて,自然堤防が発達する.茂原 市街地より上流部では丘陵に入り,低地面は標高 9 ~ 13 m,比高 5 ~ 6 mで段丘化していて,完新世段丘の かみ

いち

面(森脇,1977)を形成している(第 1. 3 図).

1. 3. 2 埴生川低地

埴生川低地は,埴生川及び瑞みずさわ川によって形成された 低地で,谷の出口付近には数列の砂堆起源と考えられる 沖積面が分布している.これは茂原低地の第I~第II 堤列群(森脇,1979)及び完新世段丘の上市場面,川島 面(森脇,1977)と対比できる(第 1. 3 図).中流部か ら上流部にかけても谷底平野は標高 10 ~ 20 mで比高 7

~ 8 mほど掘りこまれて完新世段丘の上市場面となって おり,段丘面は広い.低地の勾配は 2/1,000 ほどであり,

ほとんどが細粒の砂層で,軟らかい地層となっている.

埴生川と一宮川の合流地点の流域には,川島面よりも低 位の芝原面がある(第 1. 3 図).この段丘面は第II浜堤 列群から第III浜堤列群の移行期に形成された(森脇,

1977).

(13)

1. 3. 3 茂原低地(九十九里浜低地)

茂原低地は,九十九里浜平野の南端部に位置し,砂丘,

浜堤,浜堤間低地,後背湿地などで構成されており,

茂原地域では幅 5 kmにわたる浜堤(森脇(1979)では 砂堤)が認められる.低地面上には南北に延びる浜堤 が並走し浜堤列平野を構成する.この浜堤は森脇(1979)

によって第I~第III浜堤群に分けられており,茂原地 域にも第I~第III浜堤群が分布している.第I浜堤群 からは縄文前~中期の土器片が発見されており(第6. 10 図),約 6,000 ~ 4,000 年前に形成されていたと考えら れている.

II浜堤群からは縄文後期の土器が発見されていて

(第 6. 10 図),4,000 ~ 2,000 年前に形成されたと考え られている.標高は 5 ~ 6 mであり,3 m以下の第III 浜堤群とは明瞭に区分される.最も海岸寄りの第III 堤群は南北に連続して 3 ~ 4 kmの幅を持った 1,500 年 前以降に生じた新しい浜堤であり,現海浜には近世以降 に形成された新期砂丘が 5 m程度の比高を持って広域に 分布する.一宮~東浪見間の浜堤は全て第III浜堤群に 帰属する.

浜堤間低地の構成物質は,泥と砂からなる.浜堤と浜 堤間低地の比高はおおむね 1 ~ 2 m前後また浜堤と砂丘 との比高は 2 mほどとなっている.浜堤と堤間低地は,

現在人工的に平坦化されているためその境が不明瞭な部 分が多い.

1. 4 海 岸

九十九里浜海岸は千葉県房総半島東岸にある,刑ぎょう と太たいとうさきの間の太平洋に面している全長約 66 kmの細粒 砂からなる 1/50 ~ 1/100 の緩勾配の日本を代表する砂 浜海岸である.太東崎の海蝕崖及び夷隅川から供給され た土砂が,沿岸漂砂となって堆積した海浜で,そのため 図幅の北部の現在の海岸線は,明治のころと比べると 100 ~ 200 mほど海側に前進していることが知られてい る(堀川・砂村,1971;宇多ほか,2000).

一方,九十九里浜南部では,沿岸侵食や天然ガス汲み 上げによる地盤沈下,更には陸側からの保安林や居住地 の拡大に伴う自然砂丘地の消失などが重なって起きてい .特に,1970 年頃から海岸侵食が顕著となり,1988 年より図幅地域内の一宮海岸一帯にも 10 基のヘッドラ ンドが建設された(宇多ほか,2011).ところが,現在 に至っても東浪見-一宮- 一ひとつまつ海岸での海岸侵食は顕 著であり,砂鉄質の黒い海浜砂が広がると同時に比高 3

~ 4 mにも達する大規模な浜崖が生じ(第 9. 8 図),

1947 年度以降,約 50 ~ 80 mの海浜の消失が生じてい る(宇多ほか,2011;第 9. 9 図).しかし今もなお侵食 区域は拡大しつつあり,それとともに海岸の人工化が急 激に進み,昭和初期までそこに存在した広大で美しい海 浜の景観は失われかけており,社会問題化している.

(14)

第 2 章 地 質 概 説

(七山 太)

房総半島での地質学的な調査・研究は,20 万分の 1 地 質 図 幅「 千 葉 」( 巨 智 部,1887),「 横 浜 」( 鈴 木,

1887),「上総」(巨智部,1888)までさかのぼることが できる.1901 年からの油田調査の開始や 1923 年の関東 大震災の影響から,1930 年代に入って,三土(1937)

の 7 万 5 千分の 1 地質図幅「茂原」,三土(1933a,b)

や植田(1933)による新生代層の層序の確立が進められ た.

茂原地域には,下部~中部更新統の上総層群中~上部,

中~上部更新統の下総層群,上部更新統の新期段丘堆積 物と新期関東ローム層,完新統の沖積層及び段丘堆積物 が分布する(第 2. 1 図).このうち,上総層群と下総層 群は北東~南西の一般走向を有し北西方向に緩く傾斜す る.このため,南東端の東から北西端の金こんごうに向 かって順次新しい地層が地表に現れる.徳橋・遠藤(1984)

は,上総層群と下総層群の境界問題の整理を行い,金剛 地層最上部と地蔵堂層下部間が上総層群と下総層群の境 界になるとした.

2007 ~ 2013 年,東金JCT~木更津東IC間の圏央道 及び関連工事等によって,上総層群 長ちょうなん層から金剛地 層にかけて大規模な人工露頭が一時的に露出した(第 2. 2 図).これによって,幾つかの新たな知見が得られ たことは特筆される.以下に,これら茂原地域に分布す る地層の特徴について概説する.

2. 1 上 総 層 群

「姉崎」図幅(徳橋・遠藤,1984)を参考に上総層群 の概要を以下に記述する.上総層群は,房総半島中部,

上総丘陵に広く分布する海成層であり,その基底は房総 半島をほぼ東西に横切る黒滝不整合で限られる.本層群 は房総半島中~東部で最も厚く,層厚 3,000 mを超える

(三梨ほか,1979).本層群は,房総半島西部域では主に 浅海成の砂層,礫層及び泥質層から構成され,大規模な 侵食構造が観察される(三梨ほか,1979).一方,中~東 部域では,主に深海成砂泥互層から構成され,大規模な 削り込み現象は,黒滝層基底が露出するボラ鼻(勝浦市 ばら)以外ではほとんど観察されない(三梨ほか,

1979).砂泥互層は連続性が良く,泥勝ち互層と砂勝ち 互層の複互層からなり,主な砂勝ち互層と泥勝ち互層の 岩相境界が,累層境界と認定されている.深海成砂泥互 層を構成する砂層は主に深海底で堆積したタービダイト

起源であり,個々の砂層は連続性がよいことが報告され て い る( 平 山・ 鈴 木,1968;Hirayama and Nakajima,

1977).また,茂原地域に伏在する深海成砂泥互層は,

本邦最大の水溶性天然ガス鉱床である茂原ガス田(金原 ほか,1949;石和田ほか,1971)を胚胎する地層として 知られている.上総層群は,模式ルートである養老川流 域において,下位より黒滝層,黄層,大おおだい層,

うめ

層,国こくもと層,柿かきだい層,長南層,笠かさもり層,金剛 地層に区分されている.このうち,大田代層から金剛地 層の模式地は,姉崎及び大多喜地域内にある.Aoki(1968)

によると,最下部の黒滝層を除くこれらの諸累層は,半 深海域下部の堆積環境から上方ヘ向かって,半深海域上 部,陸棚下部,陸棚上部へと,順次浅い環境へ変化する 中で形成された一連の堆積盆埋積型の堆積物であるとさ れる.一方中嶋(1973,1978)は,上総層群には,浅海 成堆積物で始まり浅海成堆積物で終わる一つの堆積サイ クルが認められ,深海成砂泥互層はこの堆積サイクルの 中部を占め,相対的に最も深い相を代表するとしている.

またKatsura(1984),Ito(1992)及びIto and Katsura(1993)

は,上総層群の種々の岩相の時空分布やシークエンスは,

第四紀の氷河性海面変動と密接な関係にあると指摘して いる(第 3. 2 図).

茂原地域には大田代層最上部(O5 層準)より上位の 上総層群が整合関係で露出する.地層は北東南西方向 の一般走向を持ち,北西方向に 0 ~ 5°と緩く傾斜し,北 西に向かって地層が順に新しくなっている.本層群にみ られる未固結の砂と固結した泥(泥岩)の互層について,

本研究報告及び地質図では表現上「砂泥互層(英語表記 ではalternation of sand and mudstone)」と表記する.

2. 1. 1 大田代層

大田代層は,砂勝ちと泥勝ちの砂泥互層が交互に積み 重なる.層厚は 95 m以上である.一部にスランプ堆積 物層を挟む.茂原地域においては,O5 よりも上位のテ フラが,南東部の一宮町東浪見~いすみ市市いちに露出 する.

2. 1. 2 梅ヶ瀬層

梅ヶ瀬層は,砂勝ちの砂泥互層を主体とする.層厚は 310 mである.数mmの厚さの細粒~中粒砂層と砂勝ち から等量の砂泥互層との複互層をなす.砂泥互層は厚さ 数 10 cm~ 1 m程度の細粒砂~中粒砂層と厚さ数cm

(15)

Hk-TP

Ka1

O1

主要テフラ鍵層

(70m)

(150m)

梅ヶ瀬層  (310m)

(95m以上)大田代層

地層名 岩相記載

年代 完新世

地蔵堂層

(1-8m)

木下層(5-15m)

国府里砂部層

(50-90m)

  金剛地層

(40-60m)

Ks5

Ks7.5AB Ks10 Ks16 Ks18 Ks21

Ka2AB Ka2.4AB 国本層

 (220m)

長南層

柿ノ木台層

Ch1 Ch2 Ch3

Ku1

Ku6C ATAS4

Hk-OP Hk-KIP 沖積層

(60m 以下 )

更 新 世 上 総 層 群下 総 層 群

後 期中 期前 期

下末吉ローム層 南総Ⅰ段丘堆積物

及び吉附段丘堆 積物(2-8m)

市原Ⅱ段丘堆積物 (2-4m)

AG

常総粘土(1-2m)

新期段丘堆積物 及び新期関東ローム層

姉崎層(1-2m)

U1

O5 U4

U10AB

Ks22 Ks8.4 Ks11Ks12

柱状図

Ku2 Ku5AKu3

U6D U8 J1

全層準が塊状の粗粒シルトないし砂質シルトからなる.貝化 石を多産する.Ka0.3~2.5 を挟在する.

河川成の礫,砂及び泥からなり.立川ローム層上部によって覆わ れる.段丘堆積物は AT を挟み,AS4, AG に覆われる.南東部の吉 附付近のみ汽水~海成層を伴う.

河川成の礫,砂及び泥からなり.武蔵野ローム層以上のローム 層及び HK-TP に覆われる.

テフラが著しく粘土化した細粒物からなり,クラックが発達してい る.下位の姉崎層と木下層を薄く覆うように断片的に分布する.

陸成の堆積物からなり,シルト岩の礫が混じった砂層と泥炭を伴う 泥質層からなる.上面は姉崎面を構成する.

淡水~汽水成泥質砂層,砂質泥層からなる.一部に,金剛地層を削 り込むチャネル充填粗粒堆積物が存在する.泉谷化石帯を含む.

J1 を挟在する.

貝化石を伴う浅海成の砂層からなる.白斑状生痕が多くの層準で観 察される.Hk-KlP 群のテフラより上位の下末吉ローム層を上位にの せる.上面は木下面を構成する.

全層準において,淘汰の良い浅海成の砂層からなる.上部は斜交層 理や平行ラミナの発達した浅海成の中~粗粒砂からなる.薄くて連 続性の良い砂泥互層を中位に挟む.下部は塊状の細粒砂層及び層 状の細~中粒砂層からなる.最下位に砂泥互層を伴う.

主部は生物擾乱の顕著な塊状・不均質な砂質シルト岩ないしシルト 質砂岩からなる.一部に弱い層状構造が観察されることもある.貝 化石を多産する最下部は比較的固結した泥岩からなる.Ks5~23.5 が 挟在される.

国府里砂部層は,生物擾乱の顕著な層状の中粒砂層及び塊状の細粒 砂層からなり,西方に向かって細粒化する.Ks7.5~8.4 が挟在され る.

全層準において,側方への層厚及び層相変化が著しい.上部は砂 勝ちの砂泥互層からなり,スランプ層を伴う.中部は泥勝ちの砂泥 互層からなり,薄いスランプ層を伴う.砂層の層厚変化が著しい.

下部は均質塊状な細~中粒シルト岩を主体とし,レンズ状の厚い砂 層を挟む.Ch0.9~3 を挟在する.

砂勝ちと泥勝ちの砂泥互層が交互に積み重なる.一部にスランプ 堆積物層を挟む.地表では 01~5層準のみが露出する.

砂勝ちの砂泥互層を主体とする.数mの厚さの細粒~中粒砂層と砂 勝ちから等量の砂泥互層との複互層をなす.砂泥互層は厚さ数10cm

~1m程度の細粒砂~中粒砂層と厚さ数cm~1m程度の泥層とからな る.東方ほど厚い砂層は薄層化していき,等量からやや泥勝ちの砂泥 互層となる.U1~11を挟在する.

塊状砂質泥層及び砂勝ち砂泥互層が繰り返す.上部は砂勝ちの砂泥 互層からなる.中部は塊状砂質泥岩からなり,ブリュンヌ/松山磁極期境 界はKu2下位のKu2.3 (BYK)層準にある.下部は厚い砂層を挟む砂勝ち 互層からなる.最下部は塊状砂質泥岩からなり,Ku3~Ku6を挟在する.

立川ローム層

武蔵野ローム層

O3 On-Pm1

礫,砂及び泥からなり,海生貝化石を含む.沖積層は層厚 60m 以下.

茂原低地の浜堤列は大きく 3 帯に区分される.各浜堤間には後背 湿地堆積物が広がる.

笠森層  (320m)

第 2. 1 図 茂原地域の模式層序

(16)

1 m程度の泥岩層とからなる.東方ほど厚い砂層は薄層 化していき,砂泥互層は等量からやや泥勝ちとなる.図 幅内の睦沢町及び一宮町中~北部に露出する.U1 ~ U11 のテフラが挟在する.

2. 1. 3 国本層

国本層は,岩相上,最下部の塊状砂質泥岩層,下部の 厚い砂層を挟む砂勝ち互層層,中部の塊状砂質泥岩層,

上部の砂勝ち互層に区分できる(三梨ほか,1959).層 厚は 220 mである.中下部更新統の境界(町田ほか,

1980)とされるブリュンヌ/松山磁極期境界(約 77 万 年前;Suganuma et al.,2015)は,国本層中部のKu2 テ フラ鍵層付近にある(Okada and Niitsuma,1989).図幅

内ではKu0.3 ~Ku6 のテフラが観察される.

2. 1. 4 柿ノ木台層

柿ノ木台層は,主に塊状の砂質泥岩から構成される.

これに厚さ数mmの粗粒泥~極細粒砂の薄層が挟まれ,

これが生物擾乱によって混在しぼやけているように見え る.層厚は 70 mである.上位層準ほどより砂質になり,

厚さ数cm~数 10 cmのタービダイト砂層をしばしば挟 む.柿ノ木台層と上位の長南層との境界は,徳橋・遠藤

(1984)に従った.Ka0.3 ~Ka2.5 のテフラが認められる.

2. 1. 5 長南層

長南層は,下部は塊状な細~中粒泥岩を主体とし,中 部は泥勝ちの砂泥互層,上部は砂勝ち砂泥互層を主とし スランプ層を頻繁に挟む.層厚は 150 mである.Ch0.9

Ch3 のテフラがみられる.

2. 1. 6 笠森層

笠森層は,模式地を含む茂原地域北東部では,全体に 生物擾乱が発達する不均質かつ不淘汰な塊状の砂質泥岩 ないし泥質砂から構成されている.層厚は 320 mである.

一部に層状構造が観察されることもある.笠森層上部に は国砂部層(層厚 50 ~ 90 m)が帯状に分布してお り,西から東に向けて層厚が厚くなる傾向が認められる.

Ks5 ~Ks23.5 のテフラが挟在する.

2. 1. 7 金剛地層

金剛地層は主として砂層からなり,下部は細粒で淘汰 の良い砂層,上部は中~細礫を伴う粗粒砂からなる.最 下部と中部のそれぞれによく連続する薄い砂泥互層が挟 まれている.層厚は 40 ~ 60 mである.金剛地層最上部

A

B

C

D

第 2. 2 図 圏央道工事によって露出した上総層群笠森層の露頭

A,B:茂原市大沢(現茂原北IC付近).C:茂原市新町.D:茂原市殿谷.

(17)

の砂層には,白斑状生痕のMacaronichnus segregatis 観察される.模式地の市原市金剛地を中心に,茂原地域 では北西部に小規模に分布する.

2. 2 下 総 層 群

「姉崎」図幅(徳橋・遠藤,1984)を参考に下総層群 の概要を以下に記述する.下総層群は,房総半島北部の 下総台地に広く分布し,主に浅海成砂層とそれに挟まれ た淡水~汽水成の泥質層及び砂礫層とから構成される.

浅海成砂層は,しばしば貝化石を多産することから,下 総層群の分布域には,古くから多数の貝化石産地が知ら れている.下総層群の層名のほとんどが,貝化石産地の 地名に由来している.浅海成砂層中に繰返し挟まれる泥 質層は,泥炭層や植物根の痕跡化石を含むシルト層や粘 土層を主体とし,チャンネル状の基底を持った陸水成の 砂礫層及び生痕化石や内湾性の貝化石を含む砂質泥層~

泥質砂層を場所によって伴う,主に淡水~汽水成堆積物 である.泥質層のそれぞれの層準は,広範囲にわたって 追跡され,下総層群の層区分の際の境界として利用され ている.これらの層は,最上部の姉崎層と常総粘土を除 き氷河性海水準変動によって規定された海進相から海退 相までの 1 層 1 堆積サイクルを示すため,各層は不整合 関係である.

徳橋・遠藤(1984)によれば,下総層群は下位から地 ぞう

どう

層,藪やぶ層,上かみいずみ層,清きよかわ層,横よこ層,木おろし層,姉あね さき

層及び常総粘土に区分される.木下層及び常総粘土を 除くこれらの模式地は,姉崎地域に分布する(徳橋・遠 藤,1984).

茂原地域には,下総層群の累層のうち,最下部の地蔵 堂層が北西端の金剛地付近のみに,最上部の木下層(一 部,姉崎層を伴う)が,北西部に広く分布する.このう ち,木下層と姉崎層の上限をなす堆積面はそれぞれ地形 面(木下面,姉崎面)として認められる.現在,木下層 と地蔵堂層が直接接する露頭は存在しないが,不整合関 係と報告されている(佐藤,2000).

2. 2. 1 地蔵堂層

本地域には地蔵堂層下部の泥質層が分布する.泥質層 上部は,泉いずみやつ化石帯(坂倉,1935a,b)を含む 1 ~ 2m の泥質砂層ないし砂質泥層からなる.層厚は 1 ~ 8 m ある.全体に生痕が発達し,淘汰は極不良である.泥質 層下部は,厚さ 0 ~ 5 mの粘土層,シルト層及び砂質シ ルト層からなり,薄い砂層を挟んだ縞状互層を含む場合 もある.上部との境界付近には,しばしば砂管が密集し 貝化石が散在することもある.姉崎地域においては,下 位の金剛地層を削り込むチャネル基底及びそれを充填す る粗粒堆積物が存在する.

2. 2. 2 木下層

木下層は酸素同位体ステージ(MIS)5.5 に形成され た浅海成層であり,金剛地層以上の地層を直接不整合に 覆って分布する.層厚は 5 ~ 15 mである.茂原地域では,

白斑状生痕のMacaronichnus segregatisを含む浅海成砂 層から構成され,その上位に常総粘土を載せる.木下層 の堆積面は,この地域の最高位の海成段丘面である木下 面を構成している.

2. 2. 3 姉崎層

姉崎層は酸素同位体ステージ(MIS)5.3 に形成され た河川成堆積物であり,下位の木下層を,侵食基底を持っ て覆う.層厚は 1 ~ 2 mである.シルト岩の円礫が混じっ た砂層と泥層を挟む砂層の繰り返しから構成される河川 成堆積物であり,多くの軽石層を伴う.その上限の堆積 面は姉崎面を構成している.

2. 2. 4 常総粘土

地質図には塗色していないが,木下層及び姉崎層が形 成した地形面を覆うように小規模に分布する.層厚は 1

~ 2 mである.白色を呈し,根痕が認められる凝灰質粘 土層であり,Hk-KlP群の軽石層を挟む.下末吉ローム 層とは同時異相の関係にある.

2. 3 新期関東ローム層及び新期段丘堆積物 茂原地域では,武蔵野ローム層と立川ローム層を合わ せたものを新期関東ローム層と呼び,このローム層に よって整合に覆われる段丘堆積物を新期段丘堆積物と定 義する.新期段丘堆積物は,武蔵野ローム層と立川ロー ム層を載せる市原II面の堆積層及び立川ローム層のみ を載せる南総I段丘堆積物に区分される.南東部には,

南総I段丘堆積物の同時異相である汽水海水成の吉よし 段丘堆積物が分布する.

2. 3. 1 市原II段丘堆積物

三浦軽石(Hk-MP)直下の埋没土より上位の武蔵野ロー ム層以上のローム層に覆われる河岸段丘堆積物であり,

中礫混じりの砂礫層から構成されている.層厚は 2 ~ 4

mである.

2. 3. 2 南総I段丘堆積物

直径 10 ~ 20 cmのシルト礫や亜円~亜角礫からなる 河岸段丘堆積物で,AT(姶良 Tn 火山灰:町田・新井,

1976:30ka;中川ほか,2013)を挟在する立川ローム 層(層厚 2 m)によって覆われている.層厚は 1 ~ 5 m である.

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