平成18年度
大 型 精 密 機 器 シ ス テ ム 基 盤 技 術 の 開発振興に関する調査研究事業報告書
― 21 世紀型航空機国際共同開発振興に係る事業の ライフサイクル高度化調査事業
―
平成19年3月
社団法人 日 本 機 械 工 業 連 合 会 財団法人 航空機国際共同開発促進基金
日機連18高度化―4
この事業は、競輪の補助金を受けて実施したものです。
http://keirin.jp
序
我 が 国 機 械 工 業 に お け る 技 術 開 発 は 、戦 後 、既 存 技 術 の 改 良 改 善 に 注 力 す る こ と か ら 始 ま り 、や が て 独 自 の 技 術・製 品 開 発 へ と 進 化 し 、近 年 で は 、科 学 分 野 に も 多 大 な 実 績 を あ げ る ま で に な っ て き て お り ま す 。
し か し な が ら 世 界 的 な メ ガ コ ン ペ テ ィ シ ョ ン の 進 展 に 伴 い 、中 国 を 始 め と す る ア ジ ア 近 隣 諸 国 の 工 業 化 の 進 展 と 技 術 レ ベ ル の 向 上 、さ ら に は ロ シ ア 、イ ン ド な ど B R I C s 諸 国 の 追 い 上 げ が め ざ ま し い 中 で 、我 が 国 機 械 工 業 は 生 産 拠 点 の 海 外 移 転 に よ る 空 洞 化 問 題 が 進 み 、技 術・も の づ く り 立 国 を 標 榜 す る 我 が 国 の 産 業 技 術 力 の 弱 体 化 な ど 将 来 に 対 す る 懸 念 が 台 頭 し て き て お り ま す 。 こ れ ら の 国 内 外 の 動 向 に 起 因 す る 諸 課 題 に 加 え 、環 境 問 題 、少 子 高 齢 化 社 会 対 策 等 、 今 後 解 決 を 迫 ら れ る 課 題 も 山 積 し て お り 、 こ の 課 題 の 解 決 に 向 け て 、 従 来 に も 増 し て ま す ま す 技 術 開 発 に 対 す る 期 待 は 高 ま っ て お り 、機 械 業 界 を あ げ て 取 り 組 む 必 要 に 迫 ら れ て お り ま す 。
こ れ か ら の グ ロ ー バ ル な 技 術 開 発 競 争 の 中 で 、我 が 国 が 勝 ち 残 っ て ゆ く た め に は こ の 力 を さ ら に 発 展 さ せ て 、新 し い コ ン セ プ ト の 提 唱 や ブ レ ー ク ス ル ー に つ な が る 独 創 的 な 成 果 を 挙 げ 、世 界 を リ ー ド す る 技 術 大 国 を 目 指 し て ゆ く 必 要 が あ り ま す 。幸 い 機 械 工 業 の 各 企 業 に お け る 研 究 開 発 、技 術 開 発 に か け る 意 気 込 み に か げ り は な く 、方 向 を 見 極 め 、ね ら い を 定 め た 開 発 に よ り 、今 後 大 き な 成 果 に つ な が る も の と 確 信 い た し て お り ま す 。
こ う し た 背 景 に 鑑 み 、当 会 で は 機 械 工 業 に 係 わ る 技 術 開 発 動 向 等 の 補 助 事 業 の テ ー マ の 一 つ と し て 財 団 法 人 航 空 機 国 際 共 同 開 発 促 進 基 金 に「 大 型 精 密 機 器 シ ス テ ム 基 盤 技 術 の 開 発 振 興 に 関 す る 調 査 研 究 事 業 」 を 調 査 委 託 い た し ま し た 。本 報 告 書 は 、こ の 研 究 成 果 で あ り 、関 係 各 位 の ご 参 考 に 寄 与 す れ ば 幸 甚 で す 。
平 成 1 9 年 3 月
社 団 法 人 日 本 機 械 工 業 連 合 会 会 長 金 井 務
ま え が き
財 団 法 人 航 空 機 国 際 共 同 開 発 促 進 基 金 は 、平 成 1 8 年 度 調 査 研 究 事 業 の 一 つ と し て 、日 本 自 転 車 振 興 会 の 機 械 工 業 振 興 資 金 の 補 助 を 受 け 、社 団 法 人 日 本 機 械 工 業 連 合 会 か ら の 受 託 事 業「 大 型 精 密 機 器 シ ス テ ム 基 盤 技 術 の 開 発 振 興 に 関 す る 調 査 研 究 事 業 」を 実 施 し た 。本 報 告 書 は 、そ の 調 査 研 究 の 一 事 業 で あ る「 2 1 世 紀 型 航 空 機 国 際 共 同 開 発 振 興 に 係 る 事 業 の ラ イ フ サ イ ク ル 高 度 化 調 査 事 業 」 に つ い て 取 り ま と め た 調 査 報 告 書 で あ る 。
世 界 の 航 空 機 市 場 は 、グ ロ ー バ ル 化 が 一 段 と 加 速 さ れ 、ま た 事 業 投 資 規 模 も 益 々 拡 大 し て い る 。こ の 世 界 市 場 に 対 す る 我 が 国 の 基 本 姿 勢 は 、国 際 協 調 、国 際 貢 献 で あ り 、航 空 機 産 業 の 発 達 は 、世 界 舞 台 で 主 導 的 役 割 、貢 献 を 果 た す こ と に よ り 達 成 さ れ る 。こ の 認 識 の 上 で の 重 要 課 題 は 、国 際 共 同 開 発 の 場 で の 役 割 を 高 め る 先 進 技 術 開 発 の 更 な る 促 進 を 図 る こ と は も と よ り 、開 発 戦 略 を 強 力 に 推 進 し 、多 様 な 形 態 の 国 際 共 同 開 発 プ ロ ジ ェ ク ト の 拡 大 に 結 び つ け る 体 制 等 の 構 築 で あ る 。こ の た め 本 調 査 事 業 で は 、こ れ ま で の 国 際 交 流 促 進 、シ ー ズ 発 掘 等 そ し て 国 際 共 同 開 発 基 盤 調 査 事 業 に お い て 実 施 し て き た 航 空 機 産 業 の 発 展 に 係 る 産・学・研・官・エ ア ラ イ ン の 連 携 、情 報 交 換 、人 的 交 流 を 既 存 の 基 盤 を 効 果 的 に 活 用 の た め の 方 策 提 言 、我 が 国 の 航 空 機 関 連 ビ ジ ネ ス の 発 展 に 関 わ る 官 と 法 制 度 の あ り 方 、我 が 国 の 航 空 機 産 業 の 自 主 性 、独 立 性 を 維 持 し な が ら 一 層 の ビ ジ ネ ス 拡 大 の た め の 検 討 、海 外 の 航 空 機 政 策・大 方 針 の 実 態 調 査 に 照 ら し て 、我 が 国 の 政 策・方 針 の あ る べ き 姿 の 検 証 、ア ジ ア 地 域 の 重 要 性 再 分 析 、 ア ジ ア 調 査 並 び に Info-Plaza Meeting の 継 続 と 充 実 化 、 及 び 両 者 の 成 果 の 分 析 と 今 後 の あ り 方 、我 が 国 の 航 空 機 工 業 と 機 械 工 業 全 体 の 発 展 と そ の 関 わ り 方 に 視 点 を 置 き 、調 査・検 討 を 実 施 し た 。こ れ ま で の 国 際 共 同 開 発 基 盤 調 査 事 業 等 で の 調 査 で 得 ら れ た 成 果 を も 取 り 込 み つ つ 、実 施 に 際 し て は 、当 基 金 内 に 「21 世 紀 型 航 空 機 国 際 共 同 開 発 振 興 に 係 る 事 業 の ラ イ フ サ イ ク ル 高 度 化 調 査 委 員 会 」を 設 け 21 世 紀 の 巨 大 化 、複 雑 化 、グ ロ ー バ ル 化 す る 世 界 の 航 空 機 産 業 へ の 我 が 国 の 貢 献 並 び に 広 範 囲 の 先 端 技 術 を 駆 使 し た 高 度 の 技 術 集 積 か ら な る 航 空 機 等 の 開 発・製 造 技 術 と 機 械 工 業 技 術 と の 間 の 相 互 有 効 活 用 、相 互 転 用 、 相 互 移 転 促 進 等 を 視 野 に 入 れ た シ ス テ ム の 構 築 の た め に 「21 世 紀 型 航 空 機 国 際 共 同 開 発 振 興 に 係 る 事 業 の ラ イ フ サ イ ク ル 高 度 化 調 査 事 業 」を 実 施 し た 。
こ の 調 査 に あ た っ て は 、事 業 の 実 現 と 推 進 に ご 尽 力 を 賜 っ た 日 本 自 転 車 振 興 会 な ら び に 社 団 法 人 日 本 機 械 工 業 連 合 会 の 関 係 各 位 に 厚 く 御 礼 申 し 上 げ ま す 。
平 成 1 9 年 3 月
財 団 法 人 航 空 機 国 際 共 同 開 発 促 進 基 金 会 長 佐 々 木 元
平成18年度 21 世紀型航空機国際共同開発振興に係る事業の ライフサイクル高度化調査事業委員会委員名簿
区 分 氏 名 所 属・役 職 W・G
委員長 戸田 勧 早稲田大学理工学部 特任教授
前 JAXA 理事 総合技術研究本部長
村上 哲 宇宙航空研究開発機構 航空プログラムグループ
超音速機チーム 計画管理チーフマネージャ ◎
渡辺 紀德 東京大学大学院
工学系研究科 航空宇宙工学専攻 教授 ○
李家 賢一 東京大学大学院
工学系研究科 航空宇宙工学専攻 教授 ○
板原 寛治 (社)日本航空宇宙工業会
国際部長 ○
池上誠一郎 三菱重工業(株)
航空宇宙事業本部 民間航空機部 部長代理
北川 徹 川崎重工業(株)
航空宇宙カンパニー営業本部 宇宙・民間航空機部 課長 ○
永峯 義隆 富士重工業(株)
航空宇宙カンパニー 航空機第2部 海外営業課長
水谷 哲也 石川島播磨重工業(株) 航空宇宙事業本部
民間エンジン事業部 技術部 大型エンジンプロジェクトグループ部長 ○
鳥居 誠 横河電機(株)
航空宇宙・特機事業部 航空宇宙事業センター長
吉田 啓 住友精密工業(株) 新規事業開発室 次長
全日本空輸(株) (H18.12.31まで)
整備本部 部品計画部部長 主席部員 杉浦 重泰
航空技術&ビジネスコンサルタント (H19.3.31まで)
○
原田 純一 双日エアロスペース(株)
東京第3営業部部長 委 員
奥田 章順 (株)三菱総合研究所 産業・市場戦略研究本部
産業戦略研究グループ 主席研究員 ○
事務局
高岡 武司 山口 俊吉 佐藤 秀雄
(財)航空機国際共同開発促進基金 常務理事 国際部長 国際部部長代理
◎:ワーキンググループ主査 O:ワーキンググループ委員
1.はじめに
1.1 調査事業の趣旨
航空機産業は、その製品が過酷な条件下での運用、且つ高度な安全性が求められる技術 の集積からなりたっており、付加価値が高く、他産業への技術波及効果が大きい典型的な 知識集約産業であり、我が国が技術立国を目指す上で、欠くことが出来ない産業と位置づ けられる。
我が国産業の“ものづくり”の空洞化が叫ばれている現在、いち早く先端技術をもって 現状を改善することが、我が国の航空機工業並びに機械工業全体の発展に繋がる。航空機 産業はコスト的に高額であり、開発・製造リスクは大きく、1 社単独での研究・開発は容 易ではなく、国際的な共同開発・製造分担が世界の趨勢となっている。
一方、21世紀初頭における世界の航空機産業の状況を見ると 大型民間用航空機は欧 米2大メーカの寡占下にあり、小型民間用航空機はブラジル、カナダが占めている。また 中国も小型民間用航空機の開発を開始しており、更にアジア諸国においては経済危機から の回復が続いている。
加えて21世紀初頭における世界状況を見てみると大量の情報が一瞬のうちに世界中に伝 播される高度 IT 社会、IT 技術と高度先端技術が単独叉は複合的に応用される高度技術社 会、環境負荷低減の社会、地域経済体制構築の機運が高まる社会、世界各国での公平、公 正で、自由な競争が、世界的基準・規格・標準・倫理感のもとで行われるべき社会、安全 管理・危機管理が確立されるべき社会および事業活動がその事業のライフサイクルにおい て統合的に実施され、地球環境と密接に関わるものとして推進される状況の社会である。
日本が国際舞台においてこの様な21世紀初頭の状況に対応させ且つ主体的な役割を果た していくためには、独創的な技術革新を図り、それらを各産業間で横断的に結合・応用さ せ、確たる知的財産政策のもとに、それを有効的に次世代の国際共同開発に発展させるシ ステムの構築が必要である。そのことにより我が国の航空機産業並びに関連機械工業の発 展、及び国際的貢献の進展を図ることができる。
財団法人航空機国際共同開発促進基金としては、上記のような趣旨に鑑み、昨年度 に引き続き平成18年度事業として、社団法人日本機械工業連合会から日本自転車振興 会の機械工業振興資金の補助を受けて、委託事業「21世紀型航空機国際共同開発振興 に関る事業のライフサイクル高度化調査事業」を実施するために、当基金内に「21世 紀型航空機国際共同開発振興に関る事業のライフサイクル高度化調査委員会」を設置し て我が国航空機工業と機械工業との双方向連携と有効活用のためのシステム構築、21世 紀における航空機産業の事業ライフサイクル高度化・高次化、国際化、及び21世紀のア ジア地域での航空機産業の発展、共生、共栄への日本の貢献のための調査・検討を行うこ ととし、本年度は、航空機産業のあるべき姿を実現するための施策{プライムとしての大 型機国際共同開発(アジア地域中心)および中小型機の全機開発機種の事業化}について 調査・検討を実施した。
(図1.1「21世紀型航空機国際共同開発振興に係る事業のライフサイクル高度化調査 事業」概念図
(図1.2「21世紀型航空機国際共同開発振興に係る事業のライフサイクル高度化調査 事業」活動及びスケジュール概要
1.2 調査目的
世界の航空機産業はグローバル化が一段と加速され、事業投資規模も益々拡大している。
ここにおける対応の基本姿勢は、国際的協調、共生・共栄であり、我が国の航空機産業の 発展は、国際貢献によって達成されるとの観点に立つ必要がある。特に、我が国がアジア 地域においてどのように貢献するかが、我が国の航空機産業が飛躍的な発展に繋がる重要 な視点である。
かかる状況下で、21世紀初頭の世界情勢に適正に対応しつつ我が国が国際舞台で主体 的な貢献役割を果たしていくためには、技術総合力の向上を図ると共に、一方では、技術、
人材、情報等の資源が有効に活用されるために、それらの資源の有機的交流・調和が図る ための航空機産業のシステム基盤の構築が不可欠である。それにより航空機産業関連事業 の発展が促進される。本調査事業ではこれまでの国際交流促進事業において実施してきた アジア地域の人材・情報交流調査およびシーズ発掘事業で実施してきた航空機産業と機械 工業等の他産業間の技術移転、技術交流の態様の調査で得られた成果並びに国際共同開発 基盤調査事業の成果をも取込みつつ、21世紀の巨大化、複雑化、グローバル化する世界 の航空機産業への我が国の貢献並びに広範囲の先端技術を駆使した高度の技術集積からな る航空機等の開発・製造技術と機械工業技術との間の相互有効活用、相互転用、相互移転 促進等を視野に入れたシステムの構築のために「21世紀型航空機国際共同開発振興に係 る事業のライフサイクル高度化調査事業」を実施する。
1.3 調査経緯
航空機国際共同開発振興のためにこれまで以下に示す調査事業を実施した。
(1)航空機等国際共同開発シーズ発掘等事業 [1989(H1)年~1999(H11)年]
航空機等国際共同開発シーズ発掘等事業は、国際共同開発の新規プロジェクトのシー ズ発掘のあり方を調査研究することを目的としてスタートした。
元来、高度先端技術集約を特徴とする航空機産業の発達を図る上で、航空機産業以認識 のもと、技術移転を主要課題とした航空機関連のシーズ発掘の調査研究を平成元年度か ら実施してきた。すなわち、航空機産業と他産業間の技術移転、交流の態様と航空機産 業の技術体系を調査すると共に、主として航空機部品・素材分野における先端産業技術 の取り込み(技術移転および交流)の現状を調査し、あわせて、わが国の航空機産業に おけるシーズ開発の進め方を調査してきた。その結果、①航空機開発に必要な個別技術 の抽出、②他産業から取り込める技術の抽出、③航空機産業への技術移転ならびに技術 のシステム化の態様が把握され、平成11年度に調査研究の目的をほぼ達成し終了した。
(2)航空機技術者等国際交流促進調査事業 [1991(H3)年~1999(H11)年]
航空機の国際共同開発の促進には、テクノグローバリズムの一層の進展に配慮して、
航空機産業分野における技術者・研究者等の相互理解の円滑化と技術力の向上を目指し た人材・情報の交流が図られなければならない。
この主旨のもと、平成3年度から幅広い人材・情報交流の基盤整備について調査・検討 を行うと共に、アジア・オセアニア地区の航空機産業における国際協力体制などに関す る研究者・技術者を主体とした国際フォーラムを開催し、具体的人材・情報交流の組織 化と体制作りを目指し、さらに人材・技術情報などの総合的データ蓄積に基づく航空機 産業用の海外向け情報発信を可能とする人材・情報センター(航空機産業国際交流セン ター)構想に対する各国のニーズの調査・検討を実施し、平成 11 年度に調査研究の目 的をほぼ達成し終了した。
(3)航空機等次世代国際共同開発基盤調査事業 [2000(H12)年~2003(H15)年]
国際交流促進調査事業において実施してきたアジア地域の人材・情報交流の基盤整備調 査およびシーズ発掘等事業で実施してきた航空機産業と他産業間の技術移転、技術交流 の態様の調査で得られた活動成果を取り込みつつ、これまでの両事業をさらに発展統合 して、グローバル化する世界の航空機産業への貢献、とりわけ、アジア地域への貢献に 視点を置き、「航空機等次世代国際共同開発基盤調査事業」を新設し、国際共同開発の 振興に寄与する調査研究を開始した。調査研究は航空機産業発展に係る産・学・官の連 携、情報交換、人的交流のあり方、航空機関連ビジネスの発展に係る官と法制度のあり 方、更に一層のビジネス拡大のための検討、及びアジア地域の重要性の分析、Info-Plaza Meeting を含むアジア調査を行い、平成15年度に調査研究の目的をほぼ達成し終了し た。
(4)21世紀型航空機国際共同開発に係る事業のライフサイクル高度化調査事業 [2004(H16)年~2007(H18)年]
平成16年度からは、これまで航空機等次世代国際共同開発基盤調査事業において実施 してきた我が国の国際共同開発の推進に関する基本調査、我が国の国際共同開発推進の あり方とその取り組みに関する検討・考察で得られた成果をも反映しつつ、航空機国際 共同開発振興に係わる検討の切り口をより広範、且つ高い視点から捉え、開発のみなら ず航空機産業の事業ライフサイクル全般を俯瞰し、事業ライフサイクル高度化のための 重要な事項につきその課題・問題点を明らかにするとともに、あるべき姿を実現するた めに「21世紀型航空機国際共同開発振興に係る事業のライフサイクル高度化調査事業」
を実施するために調査委員会を設置し、国際共同開発の振興に付与する調査研究を開始 した。
1.4 調査委員会の構成と運営
委員会のメンバーは冒頭の「委員会構成表」のとおりで、大学3名、公的研究機関1名、
航空機関連業界10名の合計14名より構成されている。委員長には学会の第1人者的 存在であり、産業界においても幅広く活躍されている早稲田大学理工学部戸田勧特任教 授にご就任頂き、委員会の運営全般にわたり多大のご教示を賜った。委員会の運営は全 員参加型の委員会活動を旨とし、実際の調査活動をワーキング・グループ(WG.主査 村上哲委員)で行い、委員会にて全体の合意を形成する方針で臨んだ。ワーキンググル ープの編成は別掲表示のとおりである。
(1)委員会運営の基本なお、調査検討委員会の運営と方法は次の通りである
①活動内容の具体的イメージアップ
システム基盤というテーマを扱うため、極力中味の明確化に努め、グループ員の認識 の共通化を図り、常に5W1Hを考慮しながら実施する。
②プロセス追求の重点指向
最終ターゲットに到達するプロセスの追求を重視しつつ、年度毎に設定した命題の解 決の方策を見出す方法とする。
③幅広い共鳴を得る努力
利害衝突あるいは従来のスキーム、体制の変更要求等から、委員会内で活動に対する 共鳴確保が困難な状況の発生が想定される。従って、幅広い共鳴を得られる工夫と努 力が重要である。
④委員会とワーキンググループ の位置づけ a.委員会
活動の基本方針の検討・議論と決定、ワーキンググループ検討事項の承認 b.ワーキンググループ
具体的活動の推進 c.委員会運営の手法
・徹底した議論の展開とその輪の拡大
委員会及びワーキンググループでの活発な議論の展開 メディアの有効活用による議論の充実と議論の輪の拡大
・委員会およびその周辺での早期試行
活動そのものの先導的意義および解決策の進化のため、実現可能な領域で試行する。
・共鳴確保の工夫と努力の推進 できる限りの議論の展開
価値概念およびアイデンティティーを高める工夫の推進 プレゼンテーション資料ファイルの充実
1.5 調査概要
21世紀型航空機国際共同開発振興に係る事業のライフサイクル高度化調査事業内容 として、次の4項目の調査を推進して行くこととした。
調査の進め方としては、事業全般に係わる異業種交流状況聴取を踏まえた現状の把握、問 題点・課題の抽出、解決方策の検討及び具体的方策の作成について進めることとする。
(1)航空機産業の事業ライフサイクルにおける IT 活用のあり方
①IT ハードとしての活用(各機器のブレーン、システムコントロールなど)
②ビジネスへの活用
③人的交流、情報交流、並びに他産業との連携交流としての活用 ④欧米航空機産業先進国における情報交流における IT 活用 ⑤不特定多数(一般市民など)との情報交流としての活用
[注記]:世界の社会、経済、科学技術、情報等の巨大化・複雑化・グローバル化にとも ない今後事業を実施するに際して旧来の単一的な縦割り組織・行政形態的思考で は立ちゆかない。すなわち全体を俯瞰しつつ統合的且つ効率的に事業を行う必要 がある。
(2)航空機産業を中心とする機械工業の各事業サイクル上の活動における技術の相互波 及と、そのより効率的な連携と交流のあり方。(新製品ビジネス及びアフターマーケッ
トビジネス発展に向けて)
(3)航空機産業の事業ライフサイクル高度化のためのシステム基盤
航空機工業-機械工業間の相互技術波及(上記2項)以外の事項について、航空機 産業の発展の為の事業ライフサイクル上の連携・交流のシステム基盤あり方
[調査・検討の視点]
① 収益率向上化、性能技術向上化、安全性向上(安全管理・危機管理の視点)、技術 の近代化、省エネルギー、環境適合性向上、市場拡大化、マーケティングシステム のあり方、 事業ライフサイクルの統合的管理のあり方。
② 知的財産政策・戦略、 国際交流・連携のあり方、不特定多数との情報交流とその活 用
③ 経営者等の資質・独創性・発想の転換・長期戦略・哲学
④ 我が国の政策・法制度並びに国際的基準、規格、相互取り決め等
⑤ メーカ、エアライン、大学、研究所、及び関連各省庁、更に連携交流のあり方
⑥ 我が国独自に進める全機航空機・エンジン開発とその事業化に向けての事業サイ クルシステム基盤のあり方。
(4)日本の航空機産業の発展とアジアとの共生・共栄、ひいては欧米先進国との共生・
共栄のための国際的連携・交流のあり方。
(特に中国を中心としたアジア各国との連携を視野に入れ、21世紀初頭状況に適合 した方針・方向性の確立)
① アジア各国の定期的実態調査・交流の実施とそのあり方(含む Info-Plaza Meeting)。
② 欧米先進国の定期的実態調査の実施とそのあり方。
1.6 平成17年度調査結果と課題
平成17年度は、日本の航空機産業における事業ライフサイクルの現状等を把握する 観点から、日本の航空機産業規模について売上げ及び輸出入額の視点から整理を行う とともに、事業ライフサイクルを構成する要素別(航空機、エンジン、装備品)につ いて、これまでの実績とこれに基づく日本の実力の分析。国内外(エアバス社、ロー ルスロイス社、エンブラエル社、およびジャムコ社等)における航空機企業の成功事 例および航空機産業以外の自動車及びデジタル家電におけるビジネス戦略について の事例調査とその分析および日本の航空機産業の現状等の調査結果を踏まえて、航空 機産業の維持・発展のために目指すべき姿とその展開としてのビジネス目標と求めら れる人材について検討を行った。
この調査・分析の結果、機体及びエンジン関係については、製造能力は世界トップレ ベルの競争力を有するものの、商品企画力、営業力、顧客サポートといった面ではプ ライム OEM として能力が特に不足しており、また認証の面においても設計に関する 認証能力が不十分となっている。すなわち、商品企画力などの能力が低いことが明ら かである。海外企業の成功要因に共通していることは、政府からの財政援助が行われ、
現在の多くの機種の開発がその援助がある時に行われていること。それによって売れ ない状況におかれていた時期においても開発・生産が継続されていたことによって事
業ライフサイクルの断絶のない事業として継続して機体およびエンジンの開発を進め 得たことが今日の成功に繋がっている。我が国が YS11 で航空機市場への参入したも のの、これに続く国産民間機の開発を果たせず、完結した事業ライフサイクルの事業 を継続できなかったこととは対照的である。
日本がプライムOEMとして世界市場において競争力をもつためには、エアライン、
製造企業、公的研究機関等との交流の促進や強力なマネージメント機能をもつ組織体 の設立など、航空機業界の連携等のあり方についても今後の戦略検討において考えて いかなければならない。
人材についてはすでに述べたように、商品企画力などの能力が低いことが指摘されて いる。
1.7 平成18年度調査概要 1.7.1 調査内容
平成17年度で抽出された課題等を考慮しつつ、平成18年度の活動方針は以下の項 目を中心として調査・検討を実施することとした。
(1)日本の航空機産業が目指すべき姿
我が国の航空機産業の現状を把握し、これから日本が目指すべき姿について調査・
検討。
(2)航空機産業の発展に向けた人材育成
我が国の航空機産業の発展に向けた人材育成に係わる、現状の課題と求められる人材、
企業における人材育成の現状、技術教育における産学連携および人材育成のための提 案について調査・検討。
(3)航空機産業の発展に向けた能力拡充
我が国の航空機産業が世界で高いイニシアチブを確保するために、航空機産業の現状 の課題と重要視点、能力拡充・能力獲得のための提案として、企画能力、販売能力、
技術能力および他産業の活用連携について調査・検討。
(4)アジア各国との定期的な連携・交流とそのあり方
アジア各国との定期的な連携・交流の重要性および Info-Plaza Meeting の実施。
1.7.2 調査活動
平成18年度の調査委員会活動として、調査の進め方は、年/4回の委員会開催、年/
5回のワーキンググループ会議を開催し、海外(オーストラリア、中国)調査をとおして 進めた。
具体的には、次のとおりである。
[調査委員会]
○第1回委員会 平成18年6月6日
1.本調査事業の趣旨および活動計画概要の紹介と意見交換 2. 委員会の活動計画概要について
○第2回委員会
平成18年9月12日
1.調査の進め方について(第1回ワーキンググループ会議の結果報告と討議)
2.Info-Plaza Meeting(中国)および海外調査計画について
○第3回委員会
平成18年12月5日
1.調査の進め方について(第2回ワーキンググループ会議の結果報告と討議)
2.Info-Plaza Meeting(中国)および海外調査結果の概要報告について
○第4回委員会
平成19年2月28日
1.平成18年度調査報告書の承認
[ワーキンググループ会議]
○第1回ワーキンググループ会議 平成18年7月11日
1.本事業の調査の進め方について
○第2回ワーキンググループ会議 平成18年10月10日
1.本事業で取り扱うテーマの討議
○第3回ワーキンググループ会議 平成18年11月22日
1.本事業で取り扱うテーマの討議
○第4回ワーキンググループ会議 平成19年1月11日
1.本事業で取り扱うテーマの討議
2.平成18年度調査報告書の作成について
○第5回ワーキンググループ会議 平成19年1月31日
1.平成18年度調査報告書原稿の検討
[海外調査]
1. 調査目的
21世紀型航空機国際共同開発振興に係る事業のライフサイクル高度化調査事業に係る アジア地域調査として平成18年度は欧州航空業界調査を行った。また、同時期に中国の 珠海で行われた第5回 Info-Plaza Meeting に出席し、開催中の中国 エアショウ2006 を視察調査した。
2.訪問先
1) 中国 エアショウ 2006(中国-珠海)
2)第5回 Info-Plaza Meeting(中国-珠海)
3)Cooperative Research Centre for Advanced Composite Structures
(オーストラリアーメルボルン)
4)Marand(オーストラリアーメルボルン)
5)RMIT/Sir Lawrence Wackett Centre(オーストラリアーメルボルン)
6)Hawker de Havilland(オーストラリアーメルボルン)
7)Defence Science and Technology Organization(オーストラリアーメルボルン)
8)GKN Aerospace Engineering Services(オーストラリアーメルボルン)
3. 期間
2006年11月1日~11月10日
4. 調査団
* 戸田 勧 :調査委員会委員長 早稲田大学特任教授
* 李家 賢一:調査委員会委員
東京大学大学院工学系研究科教授
* 村上 哲 :調査委員会委員 ワーキンググループ主査 宇宙航空研究開発機構 航空プログラムグループ 超音速機チーム 計画管理チーフマネージャ
* 山口 俊吉:調査委員会事務局員
航空機国際共同開発促進基金 国際部長
1.7.3 調査の発表
当委員会の活動成果を周知する目的のために日本航空宇宙学会主催の「第37期通
常総会及び講演会(年会)」において報告を行ったので、その概要をまとめる。
第37期通常総会及び講演会(年会)は、日本航空宇宙学会の主催で、平成 18 年 4 月 4 日(火)から 5 日(水)までの 2 日間、東京都調布市の独立行政法人宇宙航空研究開発 機構航空宇宙技術研究センターにおいて開催された。当委員会の活動報告は、同講演会 内で企画された「特別企画民間航空機開発への技術チャレンジ」の中でなされた。こ の特別企画は日本航空宇宙学会理事会の企画で以下に示すプログラムで講演会初日に 開催された。なお、当委員会からの報告は第 3 件目の報告である(詳細は Appendix-1 に添付した前刷り発表原稿を参考のこと)。
特別企画「民間航空機開発への技術チャレンジ」平成 18 年 4 月 4 日(火)16:00-18:00 16:00- 産学研連携と技術チャレンジ
大林 茂 教授(東北大学)
16:15- JAXA 航空プログラムグループが果たすべき役割
石川 隆司 航空プログラムダイレクター(JAXA 航空プログラムグループ)
16:30- 国際共同開発振興とライフサイクル高度化
村上 哲 主査((財)航空機国際共同開発促進基金(IADF)国際共同開発振興
に係るライフサイクル高度化調査委員会)
16:45- 国産小型旅客機研究開発:適用新技術と安全性証明について
梶浦 健治 氏(三菱重工業、名古屋航空宇宙システム製作所、技師長)
17:00- 日仏超音速機共同研究について
柳田 晃 氏(日本航空宇宙工業会、技術部、部長)
17:15- 産学研連携による「落とさない知的誘導制御システム」の研究開発 ○鈴木 真二 教授(東大・工)、柳田 晃部長(日本航空宇宙工業会)
17:30- 航空機用先進システム基盤技術開発(高効率化システム開発)の概要
篠田 直正 氏(日本航空機開発協会、第一企画室 先進システムグループ)
17:45- まとめ
司会ならびにまとめ総括: 李家 賢一(東大・工)
本特別企画の開催趣旨としては、前年度の第 36 期講演会(年会)での企画「民間航空機 開発の活性化に向けて」に引き続き、民間航空機開発に関する講演を行うことであった。
今回は、前回の main テーマであった「国産の旅客機開発」に加えて「超音速機」の展望を 一つのテーマとし、それに加えて航空機ライフサイクルの面、産学研連携ならびに知的制 御、電動化に関する技術展望という面から議論された。IADF 委員会の平成 17 年度検討結 果について村上 WG 主査から発表された。
村上主査からは、「航空機のライフサイクルを完結させ、日本主導で航空機開発を行うこ とが出来る産業にするためには何が現在欠けているかについて委員会内で検討を行ってき た。MJ プロジェクトを通じて、これらの欠けている点が補われていく端緒になるのではな いかと思われる。一方で、異業種ではあるが iPod、BMW に代表されるように優位な技術を 確保して製品開発を行っていくことが、ビジネス戦略として重要である。このような優位 な技術を確保すべく力を入れていくことが、日本の航空機開発が飛躍していくために欠か せないと考えられる。」とのコメントがあった。
なお、村上 WG 主査による本報告は日本航空宇宙学会誌 Vol.54, No.634, pp.311-314 (2006 年 11 月号)に連載された特集「民間航空機開発への技術チャレンジ」において「国 際共同開発振興とライフサイクル高度化」と題して、再度掲載された。
活 動 項 目 活 動 の 位 置 付 け 平成16年度活動 平成17年度活動 平成18年度活動 (平成19年度活動予定)
我が国の航空機産業を発展させるべく、国際
1.航空機産業の事業ライフサイクルにおける国際 共同研究・開発を促進する諸基盤の中で、人、
共同開発振興に係るシステム基盤構築に関 技術、情報等の資源を有機的に結合し、より高度で
する基本調査(現状分析・課題整理・考察) 有効な資源の活用を図り国際共同開発をより効果的に
推進するためのベースとなる基盤をシステム基盤
①我が国航空機工業と機械工業との双方向連携と有効活用の と定義付け、このシステム基盤の構築にむけ調査
ためのシステム基盤 事業を実施するものである。
②21世紀における航空機産業の事業ライフサイクル高度化・高次化 H16年度からは航空機国際共同開発振興に
及び国際化 係る検討の切り口をより広範、且つ高い視点から
捉え、開発のみならず航空機産業の事業ライフサイクル ③21世紀のアジア地域での航空機産業の発展、共生、共栄 全般を俯瞰することとし、事業ライフサイクル高度化の への日本の貢献 ための重要な事項につきその課題・問題点を明らかに
するとともにあるべき姿を実現するための具体策を 提言すべく必要な調査・検討を行う。
委 (1)委員会:委員16名、開催:4回/年
(2)同WG:委員 9名、開催:4回/年
員
2.主要調査・検討実施項目 調査・検討 活動の視点
11 会
[1] 航空機産業と機械工業等間の相互波及 活
(1)航空機産業を中心とする機械工業等の各事業サイクル上の ①新規製造ビジネス・アフターマーケット 動 活動における技術の相互波及と、そのより効率的な連携と交流の ビジネス発展に向けて
あり方 ②取り組みの現状、業界の要望
③技術及びマーケティングスキルの相乗効果 (2)航空機関連技術高度化の為のIT有効活用のあり方 ①ITハードとしての活用
②人的・情報・産業間交流としての活用 ③欧米航空機先進国のIT活用 ④一般市民との情報交流活用
[2] 航空機産業の事業ライフサイクル高度化の為のシステム基盤
①航空機関連企業の現状 (1)航空機産業発展のための事業サイクル上の連携・交流の ・市場調査、製品計画、運用と整備 システム基盤のあり方 (全機開発機種の事業化に向けて) ・人材育成ー国際人
②航空界の現状
・航空輸送システムの将来構想 ・航空産業の計画と見通し ③航空機のための産学官の連携状況 ・先端技術開発
(2)航空機産業のあるべき姿を実現するための施策
・プライムとしての大型機国際共同開発(アジア地域中心)
・中小型機の全機開発機種の事業化
[3] 日本の航空機産業の発展とアジア(含む欧米)との共生・共栄と、 ①アジア各国の定期的実態調査・交流と
問題点・課題の抽出
解決方策の検討
具体的方策
相互技術波及連携・交流のため のシステム基盤
航空機関連技術高度化の為のIT有効 活用(ネットワーク化等)
国際共同開発事業
第3回Info-Plaza Meeting、
相互技術連携に係る 異業種 交流状況聴取を
踏まえた 現状の把握
問題点・課題の抽出
解決方策の検討
具体的方策
航空機関連企業の 現状の把握
整備事業
日本の航空界の 現状と航空機のための
産学官の連携状況 の把握
問題点・課題の抽出
解決方策の検討
具体的方策
解決方策の検討
具体的方策
施策立案及びま とめ
第4回Info-Plaza Meeting (韓国)
及びタイ調査
航空界の現状
産学官の連携
施策立案及びまとめ
第5回Info-Plaza Meeting (中
国)及びオーストラリア調査 第6回Info-Plaza Meeting (日 本)及びインドネシア調査予定
2.日本の航空機産業が目指すべき姿
2.1 日本の航空機産業の現状
航空機産業が高度で付加価値の高い技術が必要とされる加工・組立産業の最上位にあり、
広範な関連産業と他産業への技術波及効果を有すること、また航空機が重要な防衛装備で あることを考えれば、日本においても航空機産業を基幹産業のひとつにすることが期待さ れている。しかし、日本の航空機産業の売上げ規模は国際共同開発による輸出がここ10 年程度で伸びてきているものの防衛関係が減少したため、この5年程度では売上げ規模は ほぼ横這い状態で、約80億ドル(航空関係のみ)、GDP(Gross Domestic Product)比で 0.2%程度に止まっている。また、輸出入では2000~5000億円の輸入超過産業 である(図2.1-1参照)。
-1,000 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000 10,000
S40 S42 S44 S46 S48 S50 S52 S54 S56 S58 S60 S62 H1 H3 H5 H7 H9 H11 H13 H15
輸出 輸入 入超額
図2.1-1 日本の航空機産業関連の輸出入額(出典:日本航空宇宙工業会)
戦後、国産民間機として YS11 を開発し民間航空機市場への参入を目指したものの、こ れに続く国産民間機の開発を果たせず、日本の航空機産業は国際共同開発おける製造分担 の拡大により産業規模を拡大してきた。このため、国際共同開発における製造分担拡大が 日本における航空機産業の発展の基本的な考え方となっている。しかし、近年の中国等東 アジア諸国の航空機製造技術力の向上を背景に、欧米の機体メーカによる中国等への外注 や技術指導もなされているなかで、将来にわたって日本が国際共同開発における製造分担 によって産業規模を維持・発展させるには限界があるのではないか。少なくとも、日本の 基幹産業のひとつとなるだけの発展は困難であろう。さらに言えば、中国が国産リージョ ナルジェット開発して民間航空機市場へも参入を図ろうとしており、韓国も日本では法的 にできない軍用機や無人機の輸出拡大により、10年後に日本と同等レベルの産業規模にな ることを目指しているなかで、このままでは日本の航空機産業のアジア域における相対的 な競争力も低下する可能性も否めない。航空エンジン分野においては日本は他のアジア諸 国と比べて技術力で大きな優位を有し、当面アジア域での相対的な競争力を持ち得ること が可能とは言え、欧米エンジンメーカの絶対的優位のなかで製造分担の拡大による産業規
模の拡大には限界があるという点については航空機分野と同じ状況である。
0 1 2 3 4
商品企画力
(含む概念設計)
設計技術力
開発(試験)能力
型式証明取得
製造能力 営業力(航空機販売)
顧客サポート
(プロダクトサポート)
試験研究(R & D)
投資力(意欲)
a.日本の航空機機体メーカの国際競争力
0 1 2 3 4 商品企画力
(含.概念設計)
設計技術力
開発プログラム遂行能力
型式認証機能
製造能力 営業力
顧客サポート R & D(研究開発)
投資力(意欲)
b.日本の航空機エンジンメーカの国際競争力
図2.1-2 日本の航空機メーカの国際競争力
(出典:平成17年度「大型精密機器システム基盤技術の開発振興に関する調査研究事業報 告書-21世紀型航空機国際共同開発振興に関る事業のライフサイクル高度化調査事 業-」)
平成17年度の「21世紀型航空機国際共同開発振興に関る事業のライフサイクル高度 化調査」において実施した日本の航空機産業の国際競争力の分析評価では、機体関係及び エンジン関係については多少の違いはあるものの、製造能力はプライム OEM(Original Equipment Manufacturing)として世界トップレベルの競争力を有する一方、商品企画や営 業・顧客サポートといった面での能力が特に不足しており、また認証の面においても設計 に関する認証能力が不十分となっている(図2.1-2参照)。すなわち、日本の航空機産 業は「ものづくり」産業の強さの必要条件である生産・量産に係わる領域での高い技術力・
国際競争力を有している一方、日本の民間航空機産業が1980年代以降進めてきた、欧 米ほかの航空機メーカやエンジンメーカが主導する国際共同開発への参画では必要とされ なかった能力についてはプライムOEMとして能力がないというのが現状である。言い換 えれば、日本の航空機産業は高い付加価値で超過利潤を享受できる、また戦略的にビジネ スモデルを構築できる、「何を作れば良いかを自ら決定する」産業となっていないというこ とである。
2.2 日本が目指すべき姿
前項で述べたように、日本の航空機産業は欧米の航空機メーカが主導する国際共同開発 において、製造部分における高い技術力を背景にその分担拡大により産業規模を拡大して きた。しかし、東アジア諸国が航空機製造事業の拡大を目指すなかで、将来にわたって日 本が国際共同開発のおける製造分担で産業規模を維持・拡大させるには限界があろう。こ うした危惧から、日本がある意味で成功してきた80年代以降の米国メーカ主導の国際共同 開発における製造分担による産業の維持・拡大という基本的考え方から質的な転換、すな わち「日本が主導する国際共同開発(日本ブランドの獲得)」によって発展を目指すという 方向に転換していかなければならないのではないか。
しかし、ここ20年以上にわたって国際共同開発における製造分担が中心であった日本に おいては、民間航空機のライフサイクルにおいて欠けているマーケティング、アフターサ ービス、巨額な開発資金と長期の投資回収期間といった航空機産業固有の事業リスクへの 対応、技術的には完成機としてまとめる(民間機としての)システム統合技術能力や型式 証明等の認証を得るためのノウハウ、さらには認証体制や日本としての開発体制整備など 解決しなければならない課題は非常に多い。特に実績が重要な民間航空機市場において、
これらの課題全てを一朝一夕に解決できるものではなく、10年、20年或いは30年といっ た長期的な戦略が必要であろう。
このような認識の下、航空機産業を発展させて「日本が主導する国際共同開発(日本ブ ランドの獲得)」という目指すべき姿を実現していくために、特に日本において克服すべき 課題が多いと想定された(1)人材育成と(2)能力拡充(商品企画・技術・認証・販売、
他産業との活用・連携)の2つの視点から、現状の課題とそれらを克服していくための中・
長期的な方策についての検討を本調査研究では実施した。
3.航空機産業の発展に向けた人材育成
3.1 現状の課題と求められる人材
3.1.1 航空機開発の各過程において必要とされる人材
本委員会では、我が国が将来目指すべき姿として日本主導の航空機国際共同開発を挙げ、
それの実現のために必要な諸項目について議論が続けられてきている。この中で航空機国 際共同開発を行うにあたり、我が国に必要とされる人材(求められる人材)はどのような ものであるかについて明らかにすることが本委員会の今年度の検討課題の一つとなってい る。平成 12 年度から 15 年度にかけて本基金において実施された「航空機等次世代国際共 同開発基盤調査事業」においても、「人材教育における産学連携の必要性」について議論が なされたが、当時の調査では教育機関(大学等)における人材育成について議論が主とし て行われており、実際の航空機開発がなされる現場、すなわちメーカー内での人材育成に ついて検討がなされることはほとんどなかった。そこで本調査では、大学等での人材育成 のみならず、航空機メーカーにおいて必要とされる人材ならびにメーカー内での人材育成 について検討を行うこととし、平成 17 年度においては予備的な調査を行った。
航空機国際共同開発を行うためには、我が国における航空機産業が、現在の一種の欧米 企業の下請け産業から脱皮して航空機のインテグレーターとして自立することが必要とな る。ところが、日本独自の民間航空機開発が長年にわたって中断してしまっている現状に 鑑みて、航空機産業内には航空機完成プログラムの経験者がいなくなってしまったのでは ないかという危機感が持たれている。航空機開発においてなさるべき過程には、(1)商品 企画(概念検討)、(2)設計(基本設計・詳細設計)、(3)開発および試験、(4)認証(認 証体制を含む)、(5)製造と量産、(6)営業(販売)、(7)プロダクトサポート、(8)
研究開発がある。この 8 項目のうち、(2)設計(基本設計・詳細設計)、(3)開発および 試験、(5)製造と量産、以上の 3 項目については、過去の航空機国際共同開発(全機では なく担当部分の設計、開発、製造にとどまるが)を通じて、かなりの経験の蓄積と人材の 育成が行われてきたと考えられる。また、(8)研究開発についても旧国研の設備を活用し て多くの技術的蓄積があり、人材についても不足していない。すなわち以上 4 項目につい ては、経験の蓄積と人材が十分にあるといえる。また(7)プロダクトサポートについて も全機のサポートではなく、部品提供側としてのサポート的側面からの経験の蓄積と人材 の育成はあると考えられる。しかし他の 3 項目すなわち(1)商品企画(概念検討)、(4)
認証(認証体制を含む)、(6)営業(販売)については、経験と人材が特に不足している のではないかと考えられた。
(1)商品企画(概念検討)については、機体、エンジンともに民間分野おいて全機を開 発することが近年少なく、すなわち日本における経験がほとんど無いため、人材について も非常に不足していると考えられる。その結果として企業内での設計・製造、営業、商品 企画の三者の比率で考えると商品企画に従事する人材の割合は海外に比べて圧倒的に少な いと考えられる。(2)認証(認証体制を含む)については、新規機体の国内開発が無く、
FAA(Federal Aviation Administration)等からの認証をうける必要がなかった現状では、
認証に必要な知識、経験またそのための体制が全く十分ではないと考えられる。(3)営業
(販売)については、開発された機体を販売するために、最適な手段は自社の販売網を用 いることである。しかしながら、自社開発機体の存在しない現状ではそのような販売網は 存在しない。
ここまでは、8 項目に関する人材について述べてきたが、これらの人材を束ねて、航空 機開発を完遂するためには、Project Leader が必要である。この Project Leader を如何 に社内で育てるかという面も考えねばならない。
昨年度の報告書では以上の点についての初期的な検討を行った。ここでは、これらの点 をベースにして、日本の航空機産業がインテグレータへシフトするために必要な人材育成 に注目して議論を行う。
本年度、明らかにすべき課題としては、
・実際に企業内ではどのようなルートで人材育成を行っているかを明らかにすること
・航空機開発においてなされるべき過程(全機開発プロジェクトを完遂する過程)には各 種の過程があるが、それぞれの過程に必要とされる人材(マンパワー)の育成方法につい て検討すること
である。この調査結果は、今後我が国で航空機インテグレーターとして自立した企業とし ての人材育成に必要な行動計画とタイムチャートについて考察していく基礎資料になると 考えられる。
ここでは、上記の2点に注目して、調査を行う事とした。具体的には、企業の能力教育 システムの現状と人材育成の筋道について調査することである。この調査に当たって、本 委員会の委員が所属する航空機関連企業に協力を仰ぎ、アンケート調査を行うこととした。
アンケート対象となった企業は6社である。 この調査結果については、3.2節でまと める。
3.1.2 全機開発プロジェクトに必要な組織および人員体制
一方で全機プロジェクトを完遂するために必要な開発組織体制や人員体制についても詳 しく知る必要がある。ただし我が国に於いて近年民間航空機の全機プロジェクトが行われ た例は少なく情報が殆ど無いため、ここでは三菱重工業の双発ターボプロップ機 MU-2、
ビジネスジェット機MU-300ならびに富士重工業の双発プロペラ機FA-300に関して例を示 しておくにとどめる。
まずMU-2とMU-300に関してであるが、MU-2は1957年に開発が開始され、型式証明
は1965年に得られている。MU-300は1972年に開発開始され、1982年に型式証明が得ら れている。開発組織の詳細や人員は不明であるが、その当時の職制表としては、
・1971年の職制表(MU-2対応として):
小型機部-業務課-業務係/管理係
-設計課-計画係/構造係/装備係/電装係/生産技術係 -組立課-工務計画係/第一組立係/第ニ組立係/ぎ装係 -サービス課-サービス係/部品係/マニュアル係
・1981年の職制表(MU-300対応として):
小型機部------管理係 -業務課
-設計課
-組立課-MU-2組立係/MU-300組立係/飛行整備係 -サービス課
となっている(出典:「三菱重工 名古屋航空機製作所二十五年史」昭和58年12月26日 発行)。MU-2、MU-300ともにほぼ同じような体制であったことがわかる。
次にFA-300 であるが、1969年から開発が検討されてきた FA-300は、1974年の米国ロ
ックウェル社との国際共同開発が決定した直後に開発本部が設立された。この時点では機 体設計はぼ終了しており、試験もかなり行われていた。開発本部設立直後から試作機の製 造が開始され、1975年11月の初飛行、1977年9月のFAA型式証明取得と続いた。しかし 1979年11月のロックウェル社との契約解除に伴い、開発本部は解体された。FA-300開発 本部は人員70名程度の規模で設立され、設計室(50名程度)、企画室(10名程度)、工作 室(5 名程度)、米国駐在(ロックウェル社、数名)といった組織体制であった。この他、
資材・設計・工作等の他部署から横断的に業務実施と支援がなされた。
3.2 企業における人材育成の現状 -企業の能力教育システムの現状と人材育成の筋 道についての調査結果-
以下に企業の能力教育システムの現状と人材育成の筋道についてのアンケート内容を示 すと共に、その結果について議論していく。なお、アンケートの具体的内容と回答の詳細
はAPPENDIX-Ⅱに一括してまとめてある。
アンケートは、4 部構成で、計 15 問の質問を尋ねた。第 1 部から第 3 部までが、本節の テーマである企業における人材育成に関する質問である。第 4 部は、 大学教育と産学連 携に関連した質問であり、次節(3.3節)に結果を示す。
3.2.1 技術者養成について(現状認識)
ここでは、まず(第 1 部)として現状認識のために一般的な技術者の養成に関して 3 点 について尋ねた。
(1)第 1 問:若手技術者を育成する教育プログラムは、各種実施されていると思われ、
その具体例を幾つか示してもらった。以下はその回答の概要である。
採用時の前提として技術者は、流体、材料、熱力学等、基本的な知識を取得しているこ とを前提としている。新入社員受入教育として、0スタートとの前提から内容は英会話等 の一般教養的なものから、設計手順、基準等の基礎教育を実施している。会社によっては 1 年間、先輩の教育担当をアサインし、ワンツーマンで実務に必要な基礎教育を授けてい る。技術者として一人前になるまでの約 10 年間は先輩の指導員のもとでの教育が継続され
ている。また、階層別教育プログラムとして機械工学/材料/制御/生産技術/IT 関連の各専 門知識毎の技術教育や財務/経理/プロジェクトマネージメント等に係わる教育が行われて いる。年次が進むにつれて実設計,不具合等の実務に基づく教育の比重が高くなる。管理職 候補者向けの選抜教育や技術の伝承を図り、実務を行うために必要な知識・能力を身につ けるため現場での OJT(On the Job Training)も部門毎に行われている。会社によっては、
技術者全員の技術スキルマップを作成し、ランクの低い分野に対する教育が行われたり業 務の配分が行われている。
要するに、技術者を育成するプログラムとしては、各社が過去の経験に基づき、各種の 手段を確立している。その中には効率的な教育ができるような工夫も見られる。講義形式 の教育で不十分であり、一種の徒弟制度のもとでの教育の方が効果が高いと認識されてい るようである。この点は次の質問とも関係している。
(2)第2問:過去に航空機(製品)開発に携わった技術者から技術の伝承を受けるため には、OJT(On the Job Training)が有効と考えられる。そこで、この OJT の具体的取組 みがあったら、その内容を示してもらった。
レビューワーのコメントを受けながら、色々なレベルの先達の知識/技術を隙間なく受け 継げるような Lessons Learned の伝承を行ったり、部内(または課内)教育にて、開発時の 経験、ノウハウを若手技術者に教育されるようになっている。中堅の育成の上でも新規 Project は大きな実践教育の場である。そこで、過去の開発経験者を優先的に集め、その 下に未経験者を配し、OJTにて技術の継承に努めている。特に航空機メーカーでは、実機 を飛ばすことによって生じる数多くの課題を克服する事により、技術者として成長してい く。このため、実機経験は、OJT の中でしか培われない実業の世界で、最も重要な教育課 程であると認識されている。この他に、設計基準等の標準資料による OJT/伝承がある。評 価手法、文書まとめ方、資格取得支援、品質試験の手伝い等にも OJT 活用している。
しかしながら、単なる OJT では効果が上がらないとの指摘もあった。前問の技術スキル マップを活用し、各人の弱み、強みを認識した上で OJT を行っている会社もある。このよ うに各社とも OJT を活用しているが、運用に当たっては上記のような注意すべき点もある。
航空機技術者育成のために実機を飛ばすことによって得られる経験と知識の重要性が強く 指摘されている。
(3)第3問:製品開発チームでの、人員構成(新入社員、若手、中堅、管理職、製品開 発の経験の有無、OJT を担当する OB 等)の概略を示してもらった。
新入社員、若手社員、中堅社員(製品開発の経験を有し、各専門担当部位を取り纏める 役目を果たす。人数的にも最多)、管理職(製品開発の経験を有し、当該プロジェクトを取 り纏める役目を果たす)といった構成が、一般的である。この他に企業 OB はレビューワー として OJT の役割を果たすこともある。近年では、若手の派遣社員を実務作業に活用する ようになってきている。なお、新入社員は、入社当初からプロジェクトに入ることは稀で、
製品維持プロジェクト等を経験してからはじめて製品開発チーム入りする例もある。
以上、(第 1 部)として、一般的な技術者育成プログラム全体をついて尋ねた。技術者育 成の教育課程や指導方法については各社で充実していると思われる。一方で、航空機開発 の独特な点として、実機開発体験の重要さ、すなわち実機開発を続けることによってはじ めて経験が蓄積され技術者が育成されるという点について指摘されている。なお、技術の 伝承に関しては、3.4.4節と5.3節において追記する。
3.2.2 航空機開発の各過程に関して
次に(第2部)として、3.1.1節で述べた航空機開発においてなされるべき8つの 過程(1:商品企画(概念検討)、2:設計(基本設計・詳細設計)、3:開発および試験、
4:認証、5:製造と量産、6:営業(販売)、7:プロダクトサポート、8:研究開発)
に関して、各過程毎の人材育成方法について 5 問の質問で尋ねた。
(1)第4問:日本が比較的得意とする以下の分野、すなわち2:設計、3:開発・試験、
5:製造・量産、8:研究開発分野については充実した育成体制がとられていると考えら れる。そこで、これらの点に関して技術者、研究者に対する育成体制の具体例について示 してもらった。
技術者には、ジェネラリストとスペシャリストの 2 系列がある。ジェネラリストには、
民間工事設計/防衛庁工事設計/プロジェクト/整備/プロダクトサポート等の分野の幾つか を経験させ、海外駐在もあり得る。スペシャリストには専門の領域に集中させるが、製品 事業本部と研究所と一定期間、交換異動するケースはある。スペシャリストは各々の組織 で育成している。また新人、中堅の技術レベル向上を目的とした教育を計画的に実施して いる。若手技術者を国内/海外との共同プロジェクトへ積極的に派遣したり、海外駐在に ついては将来性のあるスタッフを選抜し、指導的な地位を占めることの出来る人材を養う ことも行われている。技術者の技量の向上には、製品開発を多く経験することが一番であ り、これを考えて、各専門分野の知識/技能を向上させるための体制を整備している。
以上のように、日本が比較的得意としているこれらの分野については、その業務内容に 応じた育成ルートが整備されている。ただし製品開発が進んでいる時は、経験を蓄積しや すいため技術者の育成が容易であるが、製品開発を伴わない状態では育成に困難を生じる こともあり得る。
(2)第5問:7プロダクトサポートについては、全機のサポートではなく、部品提供側 としてのサポート的側面からの経験の蓄積と人材の育成は我が国において多いにあると考 えられた。この点に関して、具体例を示してもらった。
整備を通した DER Repair の開発等も含めた顧客サポートの経験は豊富である。ただし、
このサポートは顧客側に製品がある状態(In Operation)でのプロダクトサポート(Product Support, PS)を含めた Total の PS にはなっていない。補用品の生産・出荷の管理業務では、
24h/7day のサポート体制をとり、補用品対応専任対応担当をおき、マニュアル化を行っ