厚生労働科学研究費補助金 (がん臨床研究事業) 分担研究報告書
大学病院における診療の質評価指標群の計測に関する検討 研究分担者 目片 英治 滋賀医科大学 腫瘍センター 講師
研究協力者 太田 悦子 滋賀医科大学 医療サービス課 診療情報管理士 研究要旨:
DPC データ(様式1)と院内がん登録情報データを用いて、TNM の因子の一致度を検討 し、不一致である理由について検討することを目的とした。2011年院内がん登録提出デー タ378件の内104ケース(27.5%)において情報の相違が認められた。データ相違の最も大き な理由は、治療前の診断においてTNM因子においてX記載、UICCと癌取扱い規約の違 い、版による違いなどであった。今後、情報の一元化が必要であり国レベルの早急なシス テム作りが必要である。
A.研究目的
DPCデータ(様式1)と院内がん登録情 報データを用いて、TNM因子の一致度を検 討し、不一致である理由について検討する ことを目的とした。
B.研究方法
抽出条件
2011 年院内がん登録提出データ 378 件に つき、DPCデータ(様式1)と院内がん登 録情報データにおいて、TNM因子の一致度 について比較し、不一致であったもの 104 件について検証した。
対象とした臓器は胃、大腸、肝、肺、乳 腺の5臓器であり、自施設診断・自施設治 療、他施設診断・自施設治療症例で、術前 化学療法症例は除外した。
様式1では、入院回数が1回〜14回まで あり、タイミングの違いで治療前の TNM が異なるものが多く、1 回入院の症例だけ で検証した。
相違の理由を下記の5つに分類した。
1,UICC7版と癌取扱い規約で不一致 2,cTNM Xと記載
3,データ処理に関する要因 4,医師の診断変更
5,記載の相違
(倫理面への配慮)
研究班使用のデータは連結不可能匿名化
データであり、検証結果における個人の特 定はされる事はない。情報の一致度を調査 する場合、対応表にて個人を特定せざるを 得ない。調査後の結果報告には、結果のみ 基のデータに貼り付け個人情報の漏洩がな いよう十分な注意を払った。
C.研究結果
2011 年院内がん登録提出データ 378 件 の内 104 ケース(27.5%)において情報の相 違が認められた。104 ケースの内訳は表 1 の通りであった。
表1
コード 臓器部位 件数
C16 胃 34
C181920 大腸 25
C220 肝 10
C34 肺 30
C50 乳 5
104 図1は104件中の相違理由を比率で算出 したものを示す。データ不一致の最も大き な理由は、治療前の診断においてX記載が 多かったことで、特に内視鏡治療前でみら れた。次に TNM 分類を行うに当たって用 いた規約、版の違いによるものであった。
少数ではあったが、医師の診断変更も認め られた。
図1
図2
ータを示す。胃はc
いが目立った。大腸、肺ではカルテ記載と 様式
肝は、当院においては、癌取扱い規約での 記載であり、院内がん登録と異なる結果で あった。肺では
用されており7版での記載が多く、院内が ん登録と異なっていた。(図
図2
複数回入院している症例では、
が入院毎に異なるケースが認められる為、
回入院ケースのみで検討した。ケースの内 訳は表
データ処 理に関す る要因
12%
胃 大腸 肝 肺 乳
部位別
2は臓器別に不一致の理由を検討したデ ータを示す。胃はc
いが目立った。大腸、肺ではカルテ記載と 様式1の記載に相違があった。
肝は、当院においては、癌取扱い規約での 記載であり、院内がん登録と異なる結果で あった。肺では2011
用されており7版での記載が多く、院内が ん登録と異なっていた。(図
複数回入院している症例では、
が入院毎に異なるケースが認められる為、
回入院ケースのみで検討した。ケースの内 訳は表2の通りである。
cTNM Xと記載
47%
データ処 理に関す る要因
12%
医師の診 断変更
3%
0 胃 大腸 肝 肺 乳
部位別 相違理由別
UICC7版と癌取扱い規約で不一致 cTNM
データ処理に関する要因 医師の診断変更
記載の相違
は臓器別に不一致の理由を検討したデ ータを示す。胃はcN の個数の考え方に違 いが目立った。大腸、肺ではカルテ記載と
の記載に相違があった。
肝は、当院においては、癌取扱い規約での 記載であり、院内がん登録と異なる結果で
2011年から
用されており7版での記載が多く、院内が ん登録と異なっていた。(図
複数回入院している症例では、
が入院毎に異なるケースが認められる為、
回入院ケースのみで検討した。ケースの内 の通りである。
医師の診 記載の相 違
20
相違理由別
版と癌取扱い規約で不一致 Xと記載
データ処理に関する要因 医師の診断変更
記載の相違
は臓器別に不一致の理由を検討したデ の個数の考え方に違 いが目立った。大腸、肺ではカルテ記載と
の記載に相違があった。
肝は、当院においては、癌取扱い規約での 記載であり、院内がん登録と異なる結果で 年からUICC7版を採 用されており7版での記載が多く、院内が ん登録と異なっていた。(図2)
複数回入院している症例では、TNMの診断 が入院毎に異なるケースが認められる為、
回入院ケースのみで検討した。ケースの内 UICC7 版と癌取 扱い規約 で不一致 記載の相
違6%
件
版と癌取扱い規約で不一致 データ処理に関する要因
は臓器別に不一致の理由を検討したデ の個数の考え方に違 いが目立った。大腸、肺ではカルテ記載と 肝は、当院においては、癌取扱い規約での 記載であり、院内がん登録と異なる結果で 版を採 用されており7版での記載が多く、院内が
の診断 が入院毎に異なるケースが認められる為、1 回入院ケースのみで検討した。ケースの内
表2
図3
肺がんで、一致率が極めて低い理由は、
様式
がん登録では
んにおいては、リンパ節の評価において不 一致となるケースが多かった。(図
D.考察
昨年の年末にがん登録法制化により、が ん登録が義務化された。大学病院をはじめ、
がん診療連携拠点病院では院内がん登録が 実施されて国への報告が義務づけられ、国 はそれらの情報を国民が理解できるよう発 信し、がん患者の治療方法の選択に資する 形で公表するよう努めなければならないと された。今回、そのがん登録情報と保険請 求目的の管理評価指標群に付随的に記載さ れている
した。当院より提出された 内がん登録症例
UICC7 版と癌取 扱い規約 で不一致
32%
40
20.0%
40.0%
60.0%
80.0%
100.0%
2
コード C16 C181920
C220 C34 C50
3
肺がんで、一致率が極めて低い理由は、
様式 1が UICC7 がん登録ではUICC6
んにおいては、リンパ節の評価において不 一致となるケースが多かった。(図
.考察
昨年の年末にがん登録法制化により、が ん登録が義務化された。大学病院をはじめ、
がん診療連携拠点病院では院内がん登録が 実施されて国への報告が義務づけられ、国 はそれらの情報を国民が理解できるよう発 信し、がん患者の治療方法の選択に資する 形で公表するよう努めなければならないと された。今回、そのがん登録情報と保険請 求目的の管理評価指標群に付随的に記載さ れている TNM
した。当院より提出された 内がん登録症例
0.0%
20.0%
40.0%
60.0%
80.0%
100.0%
胃
院内がん登録と様式
Tmatch Mmatch
臓器部位 胃 大腸
肝 肺 乳
肺がんで、一致率が極めて低い理由は、
UICC7版を用いているが、院内
UICC6版を用いていた。胃が
んにおいては、リンパ節の評価において不 一致となるケースが多かった。(図
昨年の年末にがん登録法制化により、が ん登録が義務化された。大学病院をはじめ、
がん診療連携拠点病院では院内がん登録が 実施されて国への報告が義務づけられ、国 はそれらの情報を国民が理解できるよう発 信し、がん患者の治療方法の選択に資する 形で公表するよう努めなければならないと された。今回、そのがん登録情報と保険請 求目的の管理評価指標群に付随的に記載さ TNM 分類の一致度について比較 した。当院より提出された
内がん登録症例 378 ケースの中から 胃 大腸 肝
院内がん登録と様式 入院歴1回
Tmatch Mmatch
臓器部位 件数 21 21 7 14
4 67
肺がんで、一致率が極めて低い理由は、
版を用いているが、院内 版を用いていた。胃が んにおいては、リンパ節の評価において不 一致となるケースが多かった。(図3)
昨年の年末にがん登録法制化により、が ん登録が義務化された。大学病院をはじめ、
がん診療連携拠点病院では院内がん登録が 実施されて国への報告が義務づけられ、国 はそれらの情報を国民が理解できるよう発 信し、がん患者の治療方法の選択に資する 形で公表するよう努めなければならないと された。今回、そのがん登録情報と保険請 求目的の管理評価指標群に付随的に記載さ 分類の一致度について比較 した。当院より提出された2011年度分の院
ケースの中から 肝 肺 乳腺 院内がん登録と様式1の一致率
入院歴1回
Nmatch
肺がんで、一致率が極めて低い理由は、
版を用いているが、院内 版を用いていた。胃が んにおいては、リンパ節の評価において不
)
昨年の年末にがん登録法制化により、が ん登録が義務化された。大学病院をはじめ、
がん診療連携拠点病院では院内がん登録が 実施されて国への報告が義務づけられ、国 はそれらの情報を国民が理解できるよう発 信し、がん患者の治療方法の選択に資する 形で公表するよう努めなければならないと された。今回、そのがん登録情報と保険請 求目的の管理評価指標群に付随的に記載さ 分類の一致度について比較 年度分の院 ケースの中から TNM
乳腺
因子のいずれかが一致していなかった 104 ケースについて詳細に検討した。不一致率
は 27.5%に達しており、国の施策に利用す
るには、現時点で問題があると考えられた。
情報が不一致であった個別の理由は、結 果に示された通りであるが、様式1とがん 登録情報を一致させるという認識が現場に ないかぎり当然の結果といえる。さらに、
当院では様式1を扱っている部署と院内が ん登録を行っている部署が異なっていると いう現状もある。他の病院においても同様 の状況であると推察する。将来的には、が ん登録情報は国レベルで一元的に管理され るべきであり、必要に応じて照合するシス テムの構築が望まれる。
E.結論
様式1と院内がん登録情報でTNMの不 一致が認められた。情報の一元化が必要で あり国レベルで、早急なシステム作りが必 要である。
F.健康危険情報
特記すべきことなし。
G.研究発表 論文発表
1. Mekata E, Sonoda H, Shimizu T, Tatsuta T, Yamaguchi T, Endo Y, Tani T. Clinical predictive value of in vitro anticancer drug sensitivity test for the therapeutic effect of adjuvant chemotherapy in patients with stage II-III colorectal cancer.
Mol Clin Oncol. 2013
Jul;1(4):763-767. Epub 2013 Apr 11.
2. Shimizu T, Sonoda H, Murata S, Takebayashi K, Ohta H, Miyake T, Mekata E, Shiomi H, Naka S, Tani T: Hyperthermic intraperitoneal chemotherapy using a combination of mitomycin C,5-fluorouracil, and oxaliplatin in patients at high risk of colorectal peritoneal metastasis: A Phase I clinical study. Eur J Surg
Oncol. 2013
Dec18.pii:S0748-7983(13)00943-8.doi :10.1016/j.ejso.2013.12.005.
3. Maehira H, Shimizu T, Sonoda
H, Mekata E, Yamaguchi T, Miyake T, Ishida M, Tani T: A rare case of primary choriocarcinoma in the sigmoid colon. World J Gastroenterol.
2013 Oct 21;19(39):6683-8. doi:
10.3748/wjg.v19.i39.6683.
4. Mekata E, Murata S, Sonoda H, Shimizu T, Umeda T, Shiomi H, Naka S, Yamamoto H, Abe H, Edamatsu T, Fujieda A, Fujioka M, Wada T, Tani T: Protein-bound polysaccharide-K augments the anticancer effect of fluoropyrimidine derivatives possibly by lowering dihydropyrimidine dehydrogenase expression in gastrointestinal cancers. Oncol Rep. 2013 Oct 4. doi:
10.3892/or.2013.2788.
5. Takebayashi K, Mekata E, Sonoda H, Shimizu T, Shiomi H, Naka S, Endo Y, Tani T: Differences in
Chemosensitivity between Primary and Metastatic Tumors in Colorectal Cancer. PLoS One. 2013 Aug 28;8(8) doi:10.1371/journal.pone.0073215.
6. Mekata E, Endo Y, Sonoda H, Shimizu T, Kawai Y, Umeda T, Shiomi H, Naka S, Kubota Y, Murata S, Yamamoto H, Abe H, Tani T:
Cetuximab as salvage monotherapy in chemotherapy-refractory
metastatic colorectal cancer: A single-center report Published online on: Friday, July 19, 2013.
7. Higashi T, Nakamura F, Shimada Y, Shinkai T, Muranaka T, Kamiike W, Mekata E, Kondo K, Wada Y, Sakai H, Ohtani M, Yamaguchi T, Sugiura N, Higashide S, Haga Y,
Kinoshita A, Yamamoto T, Ezaki T, Hanada S, Makita F, Sobue T,
Okamura T: Quality of gastric cancer care in designated cancer care
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8. Nagasawa Y, Shimizu T, Sonoda H, Chou H, Mekata E, Tani T: Is catheter rupture rare after totally implantable access port implantation via the right internal jugular vein?
Report of a case. Surg Today. 2013 Jun 4.
9. Takebayashi K, Mekata E, Sonoda H, Shimizu T, Endo Y, Tani T: Clinical potential of the anticancer drug sensitivity test for patients with synchronous stage IV colorectal cancer. Cancer Chemother
Pharmacol. 2013 Jul;72(1):217-22.
doi: 10.1007/s00280-013-2189-7.
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10. Sonoda H, Mekata E, Shimizu T, Endo Y, Tani T: Safety and efficacy of panitumumab therapy after
metastatic colorectal cancer progression with cetuximab:
Experience at a single Japanese institution. Oncol Lett. 2013
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11. Prognostic impact of CD10 expression in clinical outcome of invasive breast carcinoma. Vo TN, Mekata E, Umeda T, Abe H, Kawai Y, Mori T, Kubota Y, Shiomi H, Naka S, Shimizu T, Murata S,
Yamamoto H, Ishida M, Tani T.
Breast Cancer. 2013 Apr 11.
12. Khanh do T, Mekata E, Mukaisho K, Sugihara H, Shimizu T, Shiomi H, Murata S, Naka S, Yamamoto H, Endo Y, Tani T: Transmembrane mucin MUC1 overexpression and its association with CD10 myeloid cells, transforming growth factor-β1
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10.1111/cas.12170. Epub 2013 May 21.
13. Okumura K, Tani S, Shiogai Y, Kodama M, Mekata E, Tani T: [A case of advanced rectal cancer with bladder carcinoma salvaged from myocardial infarction during
operation, showing tumor regression by XELOX treatment, good quality of life]. Gan To Kagaku Ryoho. 2013 Jan;40(1):111-3. Japanese.
H.知的財産権の出願・登録状況(予定を 含む。)
1.特許取得
抗がん作用の評価方法 - 特開2008−
11797
【課題】生体外における抗がん作用の評価 方法において、生体内における抗がん作用 を適切に評価できるようにする。
2.実用新案登録 なし。
3.その他
特記すべきことなし。