基礎数理
極値としての固有値
まず,対称行列Aの固有値はすべて実数であることに注意する.
定理 1 対称行列Aの最大固有値をλ1とするとき,
λ1 = max
x6=0
x>Ax
x>x . (1)
なお,R(x) = x>Ax
x>x をレイリー商(Rayleigh quotient)という.
証明:n次対称行列Aの固有値をλ1 ≥λ2≥ · · · ≥λn とし,λ1, . . . , λnに対応する固有ベ クトルz1, . . . ,znを正規直交系になるようにとる.x=c1z1+· · ·+cnznのとき
R(x) =
∑n
i=1λici2
∑n
i=1ci2 =
∑n i=1
λiwi
である.ここで,wi =ci2/(c12+· · ·+cn2)≥0,∑n
i=1wi = 1であるから,R(x)の最大 値はw1 = 1,wi = 0 (i= 2, . . . , n)で達成され,maxR(x) =λ1. 証明終
問題1 対称行列Aの最小固有値µ1が µ1= min
x6=0
x>Ax
x>x (2)
と表されることを証明せよ.[ヒント:−µ1は−Aの最大固有値である]
問題2 A,B を対称行列とし,B は正定値とする.(A, B)に関する固有値(Ax=λBx を満たすλ) の最大値をλ1(A, B),最小値をµ1(A, B)とするとき,次を示せ:
λ1(A, B) = max
x6=0
x>Ax
x>Bx, µ1(A, B) = min
x6=0
x>Ax
x>Bx. (3)
以下 Advanced Topic
定理 2 (Courant–Fischerの最大・最小定理) n次対称行列Aの固有値をλ1 ≥ λ2 ≥
· · · ≥λn とする(すなわち,大きい方からr番目の固有値をλrとする)とき,
λr = max
S:dimS=r min
x∈S\{0}
x>Ax
x>x = min
S:dimS=n−r+1 max
x∈S\{0}
x>Ax
x>x (4)
が成り立つ.ただし,Sはそれぞれ指定された次元の任意の部分空間を動く.
参考文献 杉原正顯,室田一雄: 線形計算の数理,岩波書店, 2009 (p.298, 問題7.10) 以上(2010-12-06)
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