人工杢目模様による木材の高付加価値化(第
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(2) 続いて噴霧器を用いて切削した側の表面に水を噴霧し. 2-3-1 検証の目的. (c),マイクロ波を照射して加熱軟化した(d)。最後に. 人工杢目板材を家具等の材料として利用するために. 平板ホットプレスを用いて圧縮し,切削による凹凸を. は,部分的な切削によって凹凸となった表面を圧縮に. 平滑化した(e)。この時,凹凸側の軟化作用をより効. よって平滑化する必要がある。圧縮の際の圧縮率が低. 果的に得 るため に, 凹 凸側 と接する 方の定 盤だけ を. すぎると凹凸は平滑化されず,逆に高すぎると表層部. 120℃に加熱した。また圧縮の際はディスタンスバー. 以外の範囲でも圧縮作用が起きる。従って必要十分な. を同時に挟み,圧縮後の厚さを調整した。これらの工. 圧縮率を検証しておく必要がある。. 程の中で,(c)~(e)が選択的圧縮処理に該当する。. 2-3-2 検証方法. 2-2 含水率の違いによる軟化作用の検証. 検証方法は,表面を深さ 2mmで部分切削し凹凸形状. 実験に先立ち,まず含水率とマイクロ波が木材に与. を持たせたスギの板材に対し,前節で得られた検証結. える軟化作用 4)について検証した。. 果を基に水噴霧とマイクロ波で表層部を選択的に軟化. 2-2-1 検証の目的. させ,凹凸が平滑化されるまで圧縮を続け,その時の. 選択的な圧縮を実現するには,圧縮させたい範囲だ けに選択的に軟化作用を生じさせることが,不可欠で ある。従って木材に対し軟化作用を生じさせる要因を. 厚さから必要な圧縮率を求めた。 2-3-3 検証結果 平滑化の判別は,目視と 触感により行った。15%以. 検証しておく必要がある。. 下の圧縮率の場合は,触感により凹凸感が認められて. 2-2-2 検証方法. いたが,16%を超える圧縮率の場合は,板材として使. 検証方法は,含水率の異なる3つのスギの板材. 用が十分可能な程度の平滑面が得られた。従って圧縮. (105℃で乾燥,気乾,飽水)を用意し,同じ条件で. 率が16%以上となる圧縮であれば,凹凸を平滑化でき. マイクロ波を照射(1.5kW×90秒)した後,平板プレ. ることが分かった。同時にこれ以上の圧縮率は,表層. ス機で2.5MPaで圧縮し,圧縮後の厚さの違いを比較し. 部以外の範囲に対しても圧縮作用を生じさせる恐れが. た。. あるため,不要である。. 2-2-3 検証結果. 2-4 表層部への選択的圧縮実験. 検証の結果を表1に示す。この結果を比較すると ,. 以上より得られた検証結果を基に,表層部に対する. 同じ条件でマイクロ波を照射し圧縮しても,含水率が. 選択的な圧縮の実験を行った。. 高い方が高圧縮率であることを示しており,このこと. 2-4-1 試料. から含水率が高い方が軟化され易いことが示された。. 実験の試料には,繊維方向200mm×接線方向100mm×. 以上から,表層部だけが高含水率となる状況を実現す. 厚さ25mmのスギの板目材に対し,半径14mmのボールエ. れば,マイクロ波を照射した際に表層部だけに対する. ンドミルで深さ2mmの溝を木表側に彫った物を用いた。. 選択的な軟化が可能であることが分かった。. 2-4-2 実験方法 実験方法として,以下の工程で圧縮を行った。. 表1. 含水率の違いによる軟化作用の検証結果. 表面含水率. 105℃乾燥. 気乾状態. 飽水状態. 3.7%. 15.9%. 42.3%. 厚さ(圧縮前). ①切削した側の表面に水を噴霧 ②マイクロ波を照射して表層部を選択的に加熱軟化 ③圧縮率が16%となる厚さまで圧縮 また,加熱軟化,及び圧縮に関するその他の条件は,. 25.0mm. 厚さ(圧縮後). 24.7mm. 22.7mm. 18.9mm. 圧縮率. 1.2%. 9.2%. 24.4%. 表2に示す通りである。. 表2 2-3 平滑化に必要な圧縮率の検証 次に,凹凸を平滑化するために必要となる圧縮率に ついての検証を行った。. 圧縮実験条件. マイクロ波. 1.5kW,150秒. 圧縮率. 16%. 定盤温度. 120℃. 圧縮時間. 5時間.
(3) 3 結果と考察. 4 まとめ. 圧縮実験後の試料は,家具等の材料として使用が十. 表層部への選択的圧縮実験の結果,スギの板目材の. 分可能な程度の,良好な平滑面を得ていた。そこで次. 表面を選択的に軟化・圧縮させることで,人工杢目模. にその断面を観察し,表層部だけに対して選択的に圧. 様を付与するために部分切削によって凹凸となった表. 縮が行われているかを,以下の2種類の方法により検. 面を,平滑化させることに成功した。また写真による. 証した。. 圧縮前後での木口面の比較と,デジタルマイクロスコ. 3-1 木口断面の比較. ープによる圧縮後の組織の観察結果から,圧縮を表層. 図2に圧縮の前後で木口面を比較した写真を示す。. 部だけに対し選択的に行えていることを確認した。ま. この写真を観察すると,圧縮後に一年輪の厚さが薄く. た実験による圧縮率は16%であり,従来手法より低い. なった年輪,つまり圧縮された年輪が,木表側(被切. 圧縮率で凹凸を平滑化させることができた。. 削側)に集中していた。そこで各年輪に木表側から順 に番号を振り,それらの圧縮率を圧縮前後の年輪の厚. 木表側(被切削側). さからそれぞれ算出し比較した。その結果をグラフに して図3に示す。このグラフから,木表側の表層部に ある4年輪のみが圧縮されていることが分かった。. 圧縮前. 圧縮後. 図2. 圧縮前後での木口面の比較. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10. 50 40. 圧縮率 %. 圧縮層. 30 20. 10. 木裏側. 図4. 0. 1. 図3. 2. 3. 4 5 6 年輪番号. 7. 8. 9. 圧縮後の木口断面の組織観察写真. 10. 各年輪における圧縮率の比較. 5 参考文献 1)足立匡広 他:木のデザイン図鑑,エクスナレッジ ムック(2001). 3-2 組織観察 続いてデジタルマイクロスコープを用いて,木口面 の組織の観察を行った。その時の写真を図4に示す。 その結果,木表側から4年輪内においてのみに,圧縮 層が確認された。. 2)日本木材学会:木質の物理,文永堂出版(2007) 3)特開平11-226945 4)伏谷賢美 他:木材の物理,文永堂出版(1985).
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