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木造建築物等による環境保全方策に関する研究‐二酸化炭素固定認証制度の検証と展望‐ [ PDF

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(1)

29-1

木造建築物等による環境保全方策に関する研究

‐二酸化炭素固定認証制度の検証と展望‐

石川 亮平

1. 研究の背景と目的

1-1. 研究の背景

 木材による気候変動の緩和への貢献は、様々な方法

で可能である

註 1)

。また、木材利用による炭素貯蔵の考

え方は、これまでも多く議論され、様々な研究が進め

られてきた

文 2) ~文 4)

。国土の約7割を森林が占める我が

国は、

森林吸収源対策の中でも、

特に「森林経営」によっ

て森林吸収量

註 2)

を確保する必要があり、

そうした中で、

2011 年の第 17 回締約国会議(COP17)での、京都議定

書第二約束期間

註 3)

における森林等の取扱いに関する

新たな枠組みの決定は大きな転換点となった(図 1)

今後は、国際的に HWP

註 4)

の炭素貯蔵効果が認められ、

定量的な評価を行うことが可能となる

文 1)、文 5) ~ 7)

(表 1)

 我が国では、農林水産省が 2009 年 12 月に策定した

「森林・林業再生プラン」にて、木材自給率 50%が掲

げられており、これに呼応するように都道府県や市町

村でも公共建築の木造化や住宅補助の拡充が進み、地

域産材認証制度は、産地だけでなく、品質の証明まで

含めた制度に変わりつつある

文 8)

。これらの動きは、我

が国において、国産木材利用の拡大や、使用される木

材の品質基準の明確化が、政策的課題として本格化し

ていることを示している。

 また、建設業は二酸化炭素排出量の多い分野である

が、特に木造建築物は、他の構造形式に比べ建設時の

二酸化炭素排出量が少ないことや、循環型資源として

の木材への期待

註 5)

からもその重要性が指摘される

註 6)

1-2. 研究の目的

 こうした流れの中で、建築物等への木材利用を促進

するための方策として今後重要となる制度の一つに、

二酸化炭素固定認証制度

註 7)

(以下同制度)がある。現

在 15

註 8)

の地方自治体が同制度を施行している(表 2)

本研究の目的は、現行制度の情報を整理し、多角的に

同制度の現状について検証を行い、それらを基に同制

度の将来性を考察することである。

2. 研究方法

 表 3 に研究方法と論構成及び各調査の概要と目的を

示す。本研究では、HWP ルールについての整理を含め、

近年活発である森林分野における我が国の取り組みを

表2 二酸化炭素固定認証制度一覧(自治体運営) 図1 COP17 で決定された搬出後の木材の取扱い (平成 24 年度森林・林業白書 -p.79 資料Ⅲ -12 より引用) 表1 新たな HWP ルール(参考文献 5 の内容を簡略化、表形式にしたもの) 表3 研究方法と論構成及び各調査の概要と目的の関係一覧

(2)

29-2

研究の背景として 1 章で整理した。3 章で同制度の概

要並びに、現行同制度についての情報を整理し、4 章

でみなとモデル二酸化炭素固定認証制度(以下、みな

とモデル)についての情報を整理する。更に、1 章~

4 章の内容を総括し、5 章で同制度の検証による課題

抽出及び将来性の考察を行い、結論として、6 章で同

制度の望ましい位置付けを考案し、提示する。

3. 現行制度の全体像と分析

3-1. 概要

 現行同制度の基本的な構成と、二酸化炭素固定量の

算定式

註 9)

を図 2 に示す。各制度間で多少の差異は存

在するが、後述するように、それ自体を各制度の特徴

や性格として捉えることが可能である。

3-2. 現行制度の特徴と類別

 14 広域自治体の各同制度については、表 4 に示す項

目が制度の特徴を示すポイントとなる。木材製品のみ

を認証対象としている大阪府の制度

文 11)

や、リフォー

ムや改修工事、公共の土木工事を認証対象に含めてい

る長野県の制度

文 12)

をはじめとして、項目ごとに見て

いくことで、各制度の特徴を捉えることができる。

 また、自治体の他に NPO 等組織が主体となる同制度

も存在する。二酸化炭素固定量の算定方法は、地方自

治体主体と同様だが、認証には申請者からの費用徴収

が必要となっている。独自の制度や目的意識、審査機

関の教育等を行っている例もあり、運営組織の位置付

けや対象エリアの属性等に縛られない自由度の高い取

り組みが展開されている。

3-3. アンケート調査の結果と分析

 同制度に対する認識や、運営実態の把握等を目的に、

広域自治体を対象として 2 種類のアンケート調査を

行った。回収状況はアンケート①が 28/33 自治体

(85%)

②が 14/14 自治体

(100%)

であった。それぞれについて、

質問内容と特徴的な回答内容を表 5、6 にまとめた。

 表 5 に示した通り、同制度の認知度は高く、その中

でもみなとモデルの認知度が抜きんでて高かった。こ

れは、みなとモデルの持つ、他自治体内の地域産材

の消費拡大に繋がる仕組みへの関心の高さが要因であ

る。また、ほとんどの自治体が同制度の制定を検討し

ていないが、これは、住宅支援事業や県産木材利用促

進事業等の、他の木材利用促進を目的とした取組みが

存在するためである。

 表 6 に示した通り、制度設計の際に最も着目された

のは手続きの簡略さであり、運営予算やインセンティ

ブ確保の困難さゆえの申請メリットの少なさを、申請

の簡易さで調整している同制度の現状が窺える。

図2 上:二酸化炭素固定認証制度の基本構成、下:二酸化炭素固 定量の算定式と杉材使用時の計算例(註 9) 表4 各二酸化炭素固定認証制度の特徴を示す重要項目 表5 二酸化炭素固定認証制度未制定 33 自治体のアンケート調査結果一覧 表6 二酸化炭素固定認証制度制定 14 自治体のアンケート調査結果一覧 表7 みなとモデルと他制度の違い

(3)

29-3

4. みなとモデル二酸化炭素固定認証制度

4-1. 概要

 現行制度の中でも、

「みなとモデル」は特殊な制度

である。インターネット等の資料調査

文 13)

と、港区の

制度担当者を対象に行ったヒアリングの結果をもと

に、みなとモデルの特徴を表7に示す。みなとモデル

と他制度との大きな違いは、県産材の利用促進という

位置付けで同制度を扱っていないことにある。また、

大規模建築物に対して制度利用を半義務化

註 10)

した、

民間物件に焦点を当てた制度であることも大きな特徴

である。木材生産地ではない港区が、木材消費の受け

皿として同制度を制定していることは、他の 14 自治

体の制度とは大きく発想が異なっている。このように、

制度内容の多くが個別的で、具体的なものとなってい

る主な理由として、制度の運営主体や対象エリアの規

模が、都道府県ではなく、区であるという、ある程度

限定された規模であることが考えられる。

4-2. 認証事例の視察と分析

 みなとモデルの認証事例を対象に視察を行った。結

果を図 3 に示す。制度の対象が大規模建築物であるた

め、構造材としての木材利用の事例はほとんど無く、

今回視察した事例も同様であり、仕上げ材や下地材、

家具や外構材としての利用がほとんどである。但し、

みなとモデルが施行されたことをきっかけに、床や壁

の仕上げ材に代表される、加工品としての木材製品の

開発が数多く取り組まれていることが分かった。これ

は、都市部で木材を使うためのツールや選択肢が充実

しつつあるということであり、認証事例の視察におい

てはその影響の一端を確認することができた。

5. 二酸化炭素固定認証制度の検証と展望

5-1. 二酸化炭素固定認証制度の課題

 これまでの内容を総括して、同制度の課題を以下に

まとめる。①現状、国内では炭素固定量そのものにク

レジット的価値が無いため、申請負担に見合うメリッ

トの確保が困難な場合が多く、積極的な制度利用に繋

がりにくい状況である。②算定する炭素の捉え方の差

註 11)

から、HWP ルールとの完全な整合が困難である

と予想される。③ほぼ全ての制度が認証材として採用

している、地域認証材の認証システム上、該当自治体

内の適当な製材工場の有無によって、木材の認証の可

否が左右されてしまうことが懸念される

文 14)

5-2. 二酸化炭素固定認証制度の将来性

 これらの課題を踏まえて考察される、同制度の将来

性を以下に挙げる。①今後、炭素固定量にクレジット

的価値が付加されれば、これをインセンティブとして

同制度と木材利用の拡大が結び付く可能性は高くなる

と考えられる。②各自治体の木材利用に関する性格に

対応した制度構築が望まれる。制度対象となる自治体

規模にもよるが、当該自治体が木材生産力の大きい自

治体なのか、木材消費力の大きい自治体なのか等、制

度によって促される木材流通の形態は考慮されるべき

である

註 12)

。③都市部での木材利用の拡大と同制度の

結び付きが期待される。みなとモデルにおける都市部

での木材利用が山側に利益として還元される仕組みは

画期的であり、なおかつ木材製品等の新たな市場形成

の可能性を秘めている。

図3 認証事例の視察結果一覧 図5 都市部に見出される 3 つの特性 図4 都市部と山間部の連携

(4)

29-4

6. 結論

6-1. 都市部と山間部の連携の重要性

 2000 年の建築基準法改正等を背景に、木材会館

註 13)

や Timberize

註 14)

をはじめ、建築物単体や NPO、教育

機関等で様々に都市部における木材利用の促進が展

開されている。それらは木材利用の新たな技術や選択

肢、異分野間の情報共有の重要性等を示していると言

える。よって、同制度の飛躍的な発展を促進させるの

は、

「都市部と山間部の連携」である(図 4)

。多くの人々

が活動し、建材の大量消費が見込める都市部には、①

広報性、②消費力、③批評性、これら 3 つの特性

註 15)

を見出すことが可能であり、都市部において木材を積

極的に利用することや、環境貢献度を「見える化」す

る効果や影響は大きいと言える(図 5)

。連携に加えて、

山間部と都市部相互で木材利用を介した製品、情報、

人材のやりとりが持続することも非常に重要である。

6-2. 望ましい二酸化炭素固定認証制度の位置付け

 同制度は制定され始めて間もない若い制度であるた

め、未だ固定化しておらず、様々な可能性を反映しや

すい時期であると捉えることもできる。地産地消や県

産木材の利用促進のみに同制度が位置付けられるので

はなく、我が国全体としての木材利用の拡大並びに、

林産業の活性化に同制度が結びつくことが期待され

る。そして、各自治体で運営される現行同制度の全て

が未だ過渡期にある中で、とりわけ、都市部での木材

利用と同制度の結び付きの在り方が、今後注目される。

 以上より、新たな木材利用を可能にする「技術」

技術の発展に伴う木材利用の「選択肢」

、また、それ

らの木材及び木材製品が使用された建築物等に対する

利用者の「定性的評価」

、そして二酸化炭素固定量と

いう木材利用の「定量的評価」を集合知

註 16)

的「情報

註 17)

」として受信・発信し、取りまとめる存在として

同制度が位置付けられることが、木材利用の拡大を目

指す上でより可能性を持つと考える(図 6)

謝辞  本研究におけるヒアリング調査の遂行にあたっては、東京都港区環境リサイクル支 援部環境課地球温暖化対策担当、及びみなとモデル二酸化炭素固定認証制度事務局、 高知県林業振興・環境部環境共生課の協力を得たのでここに記して感謝の意を表す。 図6 二酸化炭素固定認証制度の望ましい位置付けと各情報の相互関係及び提供者例 更に、本研究におけるアンケート調査の遂行にあたっては、33 道府県庁の森林担当課 等の方々、並びに 14 都道府県の同制度担当者の方の協力を得たので、重ねて、ここに 記して感謝の意を表す。 参考文献 文1) 平成 24 年度森林・林業白書「第Ⅲ章地球温暖化対策と森林」, 林野庁 ,2013 年 文2) 日本林業のための木材利用 , 有馬孝礼 , 日本建築学会大会学術講演梗概集 . A-1 材料施工 ,2008 年 9 月 文3) 地球温暖化防止における伐採木材の炭素収支効果 , 外崎真理雄 他3名 , 日本 エネルギー学会誌 84(12) pp.973-979,2005 年 12 月 文4) 木造戸建住宅におけるライフサイクル炭素の動態 , 正木哲、冨田昌平、竹下輝和 , 日本建築学会技術報告集 第 18 巻 第 39 号 pp.683-686,2012 年 6 月 文5) 気候変動枠組条約-京都議定書第2約束期間に導入された木材製品(HWP)のルー ルについて- , 服部浩治 , 笹井香奈子 , 木材保存 Vol.38-2,2012 年 文6) 林野庁:伐採木材製品(HWP)の炭素量を評価し計上するルールについて , 情報 誌「林野 -RINYA-」平成 25 年 4 月号 ,2013 年 文7) 外崎真理雄:伐採木材製品 (HWP) 評価手法 , 森林総合研究所 木材特性研究領 域 ,2008 年 文8) 『地域材認証制度㊤ - 地域材利用を後押し -』木材建材ウイクリー No.1896, 日 刊木材新聞社 ,2012 年 11 月 文9) 地球温暖化と森林・木材 , 日本林業調査会 , 日本林業調査会編 ,1998 年 10 月 文10) IPCC(2001)IPCC Third Assessment Report:

Climate Change 2001: Mitigation: 322-324. 文11) 大阪府:木づかい CO2 認証制度実施要領 (http://www.mokuzai.or.jp/riyou/riyou-youryo.htm) 文12) 長野県:長野県産材 CO2 固定認証制度実施要領 (http://www.pref.nagano.lg.jp/rinmu/ringyou/co2kotei/CO2youryou.pdf) 文13) 東京都港区:みなとモデル二酸化炭素固定認証制度実施要綱 (http://www.city.minato.tokyo.jp/chikyuondanka/kankyo-machi/kankyo/shisaku/ documents/youkou.pdf) 文14) 平成 24 年度地域材供給倍増事業 木材の環境貢献度等表示に係る検討 報告 書 , 一般社団法人日本有機資源協会 ,2013 年 3 月 文15)『集合知とは何か : ネット時代の「知」のゆくえ』西垣通著 , 中央公論新社 ,2013 註釈 註1 参考文献1) より、「新規植林」、「再植林」及び「森林減少」、「森林経営」が当 てはまる。先進各国は、京都議定書第1約束期間の目標達成に向けて、森林による二 酸化炭素の吸収量を確保するため、森林吸収源対策や新規植林、森林関連分野のクレ ジット化(再生可能エネルギー利用施設の導入や森林整備等による二酸化炭素の排出 削減量又は吸収量について、第三者機関が貨幣価値のあるものとして認証を与えるこ と)、木材利用の推進等に取り組んでいる。 註2 対象森林における年当たりの材積増加量に、容積密度等の係数を乗じて全体の重 量に換算し、更に炭素含有率を乗じて算出する。第二約束期間における我が国の「森 林経営」による吸収量の参入上限値は、基準年(1990 年)総排出量の 3.5%とされた。 註3 2013 年から 2020 年までの 8 年間

註4 Harvested Wood Products。森林外に運びだされた全ての木質資源のことである。 註5 参考文献9)、10)より、森林・林業・林産業と地球温暖化防止に関する検討 会の報告要旨より、木材は「①木材・木製品を保持・使用することによる、炭素の貯 蔵効果、②エネルギー集約型の資材を代替することによる、炭素排出の削減効果(省 エネ効果)、③化石エネルギーを代替することによる、化石燃料中に炭素を隔離し続け る(化石燃料の炭素を放出しない)効果(エネルギー代替効果)の3つの効果を発揮 することから、その積極的かつ多段階的な利用が重要である」 註6 参考文献 1) より、近年では木質化技術が進展し、例えば CLT(クロス・ラミネイティ ド・ティンバー)がある。これは、ひき板を繊維方向が直交するように積層接着した もので、強度が高く、中・高層の建築物の建設等が可能である。 註7 建築物に使用した木材や、室内で利用する木材製品に含まれる二酸化炭素固定量 を認証(木材中の炭素量を二酸化炭素に換算)する制度である。以下、本研究では、 建築物、木材製品等に用いられる木材に対して所定の手続きを踏み、二酸化炭素の固 定量を認証する制度や事業全般を「二酸化炭素固定認証制度」として取り扱う。 註8 厳密には、15 自治体に加え、しまね森林活動サポートセンターが運営している「島 根 CO2 吸収・固定量認証制度」があるが、認証事例の数や算定方法等の情報の不足等 の諸事情により、本研究においては同制度の先行自治体としては取り扱っていない。 註9 樹種に対する容積密度、炭素含有率は「京都議定書第 3 条 3 及び 4 の下での LULUCF 活動の補足情報」(日本国 2009 年 4 月)第 3 章「表 3-2 森林薄樹種のバイオマ ス拡大係数、容積密度数」の数値を根拠としている。 註10 区長は建築主が要綱の目的達成のための措置を講じず、それに対する勧告に正 当な理由なく応じないときは、勧告の内容及び建築主の氏名を公表することができる。 註11 京都議定書の HWP ルールにおいて評価されているのは炭素の量ではなく、その 変化量である。一方で、現行同制度で評価されるのは炭素の絶対量であり、二酸化炭 素の捉え方、及び算定方法に差異がある。 註12 各自治体の木材利用に関する特徴を把握するための一手段として、同制度を運 営する 14 広域自治体について、統計上の数値情報に基づいて分析した。使用した統計 は農林水産省の木材統計及び、国土交通省の建築着工統計調査報告である。作成した 指標は①建築需要と製材生産の関係、②国産材需給率、③製材国産材比重、④国産材 製材需要率、⑤自県材供給率の 5 種である。詳細は省略するが、建築需要の高い地域 かつ国産材製材能力の高くない地域における、地域認証材に優位性を持たせる補助の 在り方への疑問等、同制度と地域認証材との一対一の関係性の不自然さが見出された。 註13 東京木材問屋共同組合が建設した組合の事務所兼賃貸オフィスビルである。建 物全体で、合計 1000 ㎥の国産木材を使用し、919t の二酸化炭素を固定している。 註14 特性が明らかになっている木質材料(エンジニアード・ウッド)を用いた木質 構造建築という考え方で、新たな耐火部材の開発や実物件への応用例の分析と紹介、 都市木造の仮想プロジェクトの提案等の活動を行い、ティンバライズ建築展として全 国を巡回するなど、木材の新たな可能性の情報発信や技術開発を積極的に行っている。 註15 ①木材利用の価値や効果がより多くの人々に伝達されやすい。②求められる建 築物の規模や用途等から、より多くの木材消費を見込める。③多くの人々が利用する ため、空間や材質と用途や目的との整合性等の評価が集まりやすい。 註16 参考文献 15)より、人々のいわゆる「衆知」、見ず知らずの他人同士が知恵を 出し合って構築する知のことであり、多くの人から収集した個々の判断や知識を蓄積 し、議論等を通じて間違った情報を削ぎ落とし、最終的に個々の知識だけでは創造で きなかったより高い次元の知識や最適な解を導き出すことと言える。 註17 「技術」とは、新たな木材利用の手段のことを指し、木材利用に関係するエン ジニアや木材生産を担う森林関係者によって発展、構築される性能や品質のことであ る。「選択肢」とは、ある目的や目標の達成に向けて講じられる木材利用の手段と、具 体的な利用方法の対応関係がある程度体系化されたもののことを指し、設計者やデザ イナーによって提案される建築物等のコンセプトや部分的な条件を達成するためのア イデア等の蓄積のことである。「定性的評価」とは、香りや温かみに代表される、人間 が五感で感じることのできる空間の性質を指し、建築物等の利用者が直接受ける空間 の印象や行為への影響のことである。「定量的評価」とは同制度における認証機関が数 値として評価する二酸化炭素の固定量を指し、環境保全への貢献度のことである。

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