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石炭直接液化反応器に摘ける三相流動特性 学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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学 位 論 文 題 名

博 士 ( 工学 ) 井 戸 川    清

石炭直接液化反応器に摘ける三相流動特性

学位論文内容の要旨

  わ が 国 で は1973年 の オ イ ル シ ョッ ク を 契機 と し て 各種 の 石 油代 替 エ ネル ギ ー 開発 を 国 家 ブロ ジ ェ クト と し て取 り 上 げて い る .中 で も 石炭 は, 石油に比 べて可 採埋蔵量 が 多 く ,産 地 も 分散 し て いる こ と から 最 も 重要 な 石 油代 替工 ネルギー 資源と されてい る . さ らに 石 炭 利用 に 当 たっ て は ,液 体 で ある 石 油 資源 中心 の現在の エネル ギー利用 シ ス テ ムと の 整 合性 を 保 つべ く , 石油 代 替 油を 製 造 する 液化 技術に期 待が寄 せられて い る . 石炭 の 液 化ブ ロ セ スで は , 予熱 を 含 めた 液 化 反応 工程 が主要工 程であ る.液化 反 応 器 には 石 炭 粒子 と 液 化油 の 一 部を 混 合 した ス ラ リー を高 圧の水素 ガスと ともに予 熱 後 , 底部 か ら 吹き 込 む .水 素 ガ スは 高 温 ,高 圧 の 反応 器内 を気泡と して通 過してス ラ リ ー を混 合 す る. し た がっ て , 反応 器 内 のガ ス ホ ール ドア ップはス ラリー の滞留時 間 や 混 合を 左 右 する の で ,反 応 器 や操 作 条 件の 設 計 やス ケー ルアップ には不 可欠な知 見 で あ る. し か しな が ら ,反 応 系 が高 温 , 高圧 の 気 液固 三相 系である ため, 流動特性 の 測 定 に著 し い 制約 を 受 けの で , これ ま て これ に つ いて はほ とんど明 らかに されてい な い の が現 状 で ある . そ こで 本 研 究は , 液 化反 応 器 のコ ール ドモデル におい て種々の 条 件 で 気泡 の 挙 動と ガ ス ホー ル ド アッ プ を 測定 し , 流動 特性 に対する 圧カの 影響を系 統 的 に 明か と す ると 同 時 に, 回 分 式反 応 器 実験 と べ ンチ スケ ール液化 ブロセ スの流通 式 反 応 器実 験 を 行っ て , 液化 反 応 成績 に 対 する 流 動 特性 の影 響を解明 し,液 化反応器 の 工 学 的 設 計 指 針 を 得 る こ と を 目 的 と し て 行 わ れ た も の で あ る .

  本 論 文 は 以下 の7章か ら 構 成さ れ る .

  第1章 で は, 本 研 究の 背 景 と, 液 化 反応 器 の流動 特性に 関する既 往の研 究を概説 し,

工 学 的 課 題 を 摘 出 し て , 本 研 究 の 目 的 と 本 論 文 の 構 成 に つ い て 述 べ て い る .   第2章 は , 液 化 反 応 器 コ ー ル ド モ デ ル と し て 高 圧 気 泡 塔 を 用 い , 常 圧 か ら15MPa ま での 圧 力 範 囲で ガ ス 吹込 み ノ ズル 直 上 の気 体 の 分散形 態,局 所気泡径 および 気泡ホ ー ルド ア ッ プ など を 測 定し , こ れら に 及 ぼす 諸 操 作因子 の影響 について 実験的 に検討 し た結 果 に つ いて 述 べ たも の で ある . す なわ ち , ノズル 直上に おけるガ スの分 散形態 が , 同 一 ガ ス 流 速 で も 圧 カ が増 加 す るとBubbling,Jetting,Dispersed jettingと

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変化し,これらの形態の遷移がウェーパー数とノズル径基準のレイノルズ数によって 決まることを示している.さらに,気泡塔上部における気泡群の運動はノズル直上の ガス分散形態と密接な関係があり,平均気泡径が上記の形態の順に減少すること,加 えて平均気泡径と気泡ホールドアップは常圧においてはノズル径や気液物性の影響を 強く受けるが,圧カの増加とともにこれらの景彡響は小さくなることを初めて明らかに している.

  第3章は,液化反応器特有の気液同時吹き込み型気泡塔の吹き込み部近傍における 気泡ならびに温度分布を測定し,これらに及ぼすガスと液の流速,ノズル径の影響を 明らかにし,これに基づいて吹き込み部近傍の伝熱に関するシミュレーションを行つ た結果について述べたものである.すなわち,同時吹き込み操作の気泡生成に対する 影響は圧カの影響と類似しており,ノズル直上の噴流の広がりと気泡径はノズル径を 変えることにより制御できることを,また断熱反応器底部にはデッドスベースがの形 成 し て , ホ ッ ト ス ボ ッ ト を 発 生 す る 可 能 性 が ある こ と を明 ら かに し て いる .   第4章では,気液同時吹込み型気泡塔において固体粒子の軸およぴ半径方向濃度分 布を測定し,前章で指摘した反応器底部におけるデッドスベースの発生を,固体粒子 運動に基づいて考察している.すなわち,塔底部には噴流の形成により粒子濃度の軸 およぴ半径方向分布が生じること,塔中心部における粒子の軸方向濃度分布が既存の 沈降拡散モデルにより記述できることを示している.また,気液同一時吹込み操作では 気泡径が減少するために粒子ベクレ数も小さくなることおよび粒子濃度が小さな場合 に は ,未 反 応石 炭 粒 子と 灰 粒子 の 運 動に は 差が 無 い こと も 明らか にしている .   第5章で は,O.lton/day液化プ ロセス反 応器にお けるガスホールドアヅプを測定 し,結果を文献値やコールドモデルにおける結果と比較している.その結果,液化反 応条件におけるガスホールドアヅプは,反応器径とは無関係にガス空塔線速度だけの 関数として表されることを明らかにし,スラリーの混合を良好に保っために必要な分 散器設計上の留意点について述べている.

  第6章 は ,O.lton/day液化 プ ロ セス 反 応 器で 得 られた 反応成績 を,第2〜5章で 明らかにした示した知見と回分式反応器により得た反応速度に関する知見にもとづい て解析した結果を述べたものである.まず,溶媒として脱晶アントラセン油,触媒と して赤泥/硫黄を用いたときの太平洋炭の液化反応実験を,プロセス予熱器と,これ と同等の加熱が可能なマイクロオートクレープを用いて行い,石炭が難反応成分と易 反応成分から成るとした液化反応モデルに基づいて解析し,前者に関する速度定数が 溶媒中に含まれる水素供与性溶剤に濃度に依存することを明らかにしている.また,

求めた反応速度定数とガスホールドアップから計算したスラリーの平均滞留時間に基 づいて上記液化ブロセス反応器における石炭の液化反応率を推算して実測値と比較し,

液 化 反 応 器 が 完 全 混 合 槽 に 近 似 で き る こ と を 明 ら か に し て い る .   第7章は,本論文を総括し,石炭液化プロセスの開発研究に対する本研究の寄与と 今後の展開について述べたものである.

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

石炭直接液化反応器に摘ける三相流動特性

  わ が国 で は1973年のオイ ルショッ クを契機 として各種 の石油代 替エネル ギー開 発 を国家プ ロジェクト として取 り上げている.中でも石炭は,石油に比べて可採埋 蔵 量が多く ,産地も分 散してい ることから最も重要な石油代替エネルギー資源とさ れ ている. さらに石炭 利用に当 たっては,液体である石油資源中心の現在のエネル ギ ー利用シ ステムとの 整合性を 保つべく,石油代替油を製造する液化技術に期待が 寄 せられて いる.石炭 の液化プ ロセスでは,予熱を含めた液化反応工程が主要工程 で ある.液 化反応器に は石炭粒 子と液化油の一部を混合したスラリーを高圧の水素 ガ スととも に予熱後, 底部から 吹き込む.水素ガスは高温,高圧の反応器内を気泡 と して通過 してスラリ ーを混合 する.したがって,反応器内のガスホールドアップ は スラリー の滞留時間 や混合を 左右するので,反応器や操作条件の設計やスケール ア ップには 不可欠な知 見である .しかしながら,反応系が高温,高圧の気液固三相 系 であるた めに測定に 著しい制 約を受け,これまでこれについてはほとんど明らか に されてい ないのが現 状である .そこで本研究は,液化反応器のコールドモデルに お いて種々 の条件で気 泡の挙動 とガスホールドアップを測定し,流動特性に対する 圧 カの影響 を系統的に 明かとす ると同時に,回分式反応器実験とべンチスケール液 化 プロセス の流通式反 応器実験 を行って,液化反応成績に対する流動特性の影響を 解明し,液化反応器の工学的設計指針を得ることを目的として行われたものである.

  本論文は以下の7章から構成される.

  第1章では, 本研究の背 景と,液 化反応器 の流動特 性に関す る既往の研究を概説 し , 工学 的 課 題を摘 出して, 本研究の 目的と本論 文の構成 について 述べてい る・

  第2章は , 液 化反応器 コールド モデルと して高圧気 泡塔を用 い,常圧 から15MPa ま での圧力 範囲でガス 吹込みノ ズル直上の気体の分散形態,局所気泡径および気泡 ホ ールドア ヅプなどを 測定し, これらに及ぽす諸操作因子の影響について実験的に 検 討した結 果について 述べたも のである.すなわち,ノズル直上におけるガスの分 散 形態が, 同一ガス流 速でも圧 カが増加 するとBubbling,Jetting,Dispersed je ttingと 変化し, これらの形 態の遷移 がウェー バー数と ノズル径 基準のレイノルズ 数 によって 決まること を示して いる.さらに,気泡塔上部における気泡群の運動は ノ ズル直上 のガス分散 形態と密 接な関係があり,平均気泡径が上記の形態の順に減

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俊 徳

恒 英

忠 博

葉 藤

浮 部

千 伊

竹 服

授 授

授 授

教 教

教 教

査 査

査 査

主 刑

副 副

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少すること,加えて平均気泡径と気泡ホールドアップは常圧においてはノズル径や 気液物性の影響を強く受けるが,圧カの増加とともにこれらの影響は小さくなるこ とを初めて 明らかに している .

  第3章は ,液化反応 器特有の 気液同時 吹き込み型気泡塔の吹き込み部近傍におけ る気泡 ならびに温 度分布を測定し,これらに及ぼすガスと液の流速,ノズル径の影 響を明 らかにし, これに基づいて吹き込み部近傍の伝熱に関するシミュレーション を行っ た結果につ いて述ぺたものである.すなわち,同時吹き込み操作の気泡生成 に対す る影響は圧 カの影響と類似しており,ノズル直上の噴流の広がりと気泡径は ノズル 径を変える ことにより制御できることを,また断熱反応器底部にはデッドス ベース がの形成し て,ホヅトスポヅトを発生する可能性があることを明らかにして い る .

  第4章 分布を測 粒子運動 度の軸お が既存の み操作で が小さな ている.

  第5章では ,O. lton/day液化 プロセス 反応器におけるガスホールドアップを測 定し,結 果を文献値やコールドモデルにおける結果と比較している.その結果,液 化反応条 件におけるガスホールドアップは,反応器径とは無関係にガス空塔線速度 だけの関 数として表されることを明らかにし,スラリーの混合を良好に保っために 必要な分 散器設計 上の留意 点につい て述べて いる.

  第7章は,本 論文を総 括し,石 炭液化ブ ロセスの開発研究に対する本研究の寄与 と 今後の展 開につい て述べた ものであ る.

  こ れを要す るに,著者は,石炭直接水添液化反応器における高温高圧の気固液三 相 流動特性 と操作条件との関係について新知見を得たものであり,石炭反応工学,

化 学工学の 進歩に寄 与すると ころ大で ある.

  よ って著者 は,北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認め る .

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