博 士 ( 工 学 ) 竹 沢 学 位 論 文 題 名
フラクタル理論に基づく画像の 高 能 率 符 号 化 に 関 す る 研 究
学位論文内容の要旨
恵
本 論文 は, フラ クタ ル理論に基づく高能率画像符号化の実現に 関する研究成果 をまとめたものである.
近 年, イン ター ネッ トの普及に伴い,様々なディジタル機器問 で,音声や画像 デー タを 伝送 する 技術 が研 究さ れて いる .特 に画 像 デー タに 関し ては ,携 帯電 話等 での 利用 が増 大し てい るこ とか ら, 画像 の品 質 を保 ちっ っデ ータ を高 圧縮 す る こ と が 可 能 な 新 た な 符 号 化 手 法 の 開 発 が 期 待 さ れ て い る . このような背景の下,次世代の符号化手法として, 反復関数系(Iterated Func‑
tion System:以 下IFSと 略記 )に 基づ くフ ラク タル 画像 符号 化が 注目 され て い る. フラ クタ ル画 像符 号化 は, 画像 の自 己相 似性 を 利用 し, 符号 化の 対象 とな る 画 像 を ,IFSに よ っ て 生成 され るフ ラク タル 画像 で近 似す るこ とで 圧縮 を 実 現 す る . こ の 手 法 は ,IFSを 定義 する 少数 のパ ラメ ータ のみ を符 号と して 保 持 すれ ば良 いた め, 画像 を高 圧縮 する こと が可 能で あ り, 高圧 縮時 にお ける 復号 画像の品質は,現在広く用いられているJPEG (Joint Photographic Experts Group) 圧縮 で得 られ る復 号画 像よ りも 高い こと が確 認さ れ てい る. この よう に, 画像 を高 圧縮 した 場合 に高 い性 能を 示す フラ クタ ル画 像 符号 化は ,高 圧縮 画像 の高 品質 性が 求め られ る次 世代 の符 号化 手法 の基 幹技 術 とな り得 る可 能性 を有 して いると言える.
し かし なが ら, 従来 のフラクタル画像符号化によって得られる 復号画像の品質 は, 実用 的な レベ ルに 達し てい ない ため ,フ ラク タ ル画 像符 号化 を次 世代 の符 号化 手法 とし て確 立さ せる には ,復 号画 質を 高め , 高能 率な フラ クタ ル画 像符 号化を実現する必要がある.
そ こで ,本 論文 では ,フラクタル画像符号化に茄ける復号画質 の向上を図る手 法 の 提 案 を 行 っ て い る .本 論文 では ,ま ずIFSパラ メー タの 量子 化誤 差が 復 号 画像 の品 質に 与え る影 響に 着目 し, その 影響 を最 小 に抑 える こと で復 号画 質の 向 上 を 遂 げ て い る . さ らに ,IFSパラ メー タを 決定 する 際に 用い る評 価関 数 に つい て考 察を 行い ,高 品質 な復 号画 像を 生成 する た めに ,従 来法 とは 異な る評 ―1113ー
価関数を示している,この新たな評価関数を用いることで,これまでのフラク タル画像符号化では得ることが不可能あるいは困難であった高品質な復号画像 の生成が可能となる.これらの手法を用いることで,高能率なフラクタル画像 符 号 化 に は 不 可 欠 な , 復 号 画像 の 高品 質 化 を実 現 する こ と がで き る . 本論文では,まず第2章で,フラクタル画像符号化の基礎となる数学的な定理 および定義について説明を行う.第3章では,既に提案されているフラクタル 画像符号化について,特に現在のフラクタル画像符号化の主流となっている手 法を取り上げ,その処理手順の説明を行う.第4章では,提案手法が最適な1FS パラメータを探索する際に用いる遺伝的アゾレゴリズム(Genetic Algorithm:以下 GAと略記)の概要,およびその処理手順について説明を行う.第5章では,第 3章で説明した従来のフラクタル画像符号化におけるIFSパラメータの量子化方 法について問題点を指摘し,これを解決する新たな量子化法を提案する.さら に,この手法の高速化を図るための検討を行う.第6章では,第3章で説明し た従来のフラクタル画像符号化がIFSパラメータを決定する際に用いる評価関 数の問題点を指摘し,この問題を解決する評価関数について考察を行う.そし て,考察に基づき,最適なIFSパラメータを得るための新たな評価関数を設定 し,この評価関数を効率的に最適化する手法を提案する.ここで用いる評価関 数を最適化することは,計算量の面から困難とされていたが,本手法では,GA を用いることでこの最適化を可能としている.最後に第7章において,本研究 の成果について要約し,論文全体のまとめとする.
以上を要約すると,本論文は,高能率な画像符号化を実現するために,フラク タル画像符号化に関する解析および検討を行い,復号画像の高品質化を図る手 法の提案を行っている.また,本手法を実際の自然画像に適用した実験を行う ことにより,その有効性およぴ有用性を示している.
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学位 論文審査 の要旨
主査 副査 副査 副、査
教授 教授 教授 助教授
北島 青木 荒木 長谷山
学 位 論 文 題 名
秀夫 由直 健治 美紀
フラク タル理論に基づく画像の 高能 率符号 化に関する研究
本論文は,著者が行ったフラクタル幾何学に基づく高能率画像符号化の実現に関す る研究成果をまとめたものである.画像符号化法としては予測符号化および変換符号 化が伝統的手法として確立され,実用されている.特に変換符号化はディジタルカメ ラの普及に大いに寄与したといえる.一方,変換符号化における各要素技術はほぼ成 熟したと見なすことができ,現状以上の符号化効率を実現するには,新たな画像表現 に基づく画像符号化法の検討が求められる.
著者は反 復関数系(Iterated Function System:以下IFSと略記)と呼ばれる画像 表現に基づくフラクタル画像符号化法に注目した.フラクタル画像符号化は,画像の 自己相似性 を利用し,符号化の対象となる画像を,IFSによって生成されるフラクタ ル画像で近 似表現する.この手法によれぱ,IFSを定義する少数のパラメータのみを 符号として保持すれば良いため,画像データを高圧縮することが可能であり,高圧縮 時における 復号画像の品質は,現在広く用いられている変換符号化方式であるJPEG (Joint Photographic Experts Group)圧縮で得られる復号画像よりも高いことが確認 されている.このように,画像を高圧縮した場合に高い性能を示すフラクタル画像符 号化は,高圧縮画像の高品質性が求められる次世代の符号化手法の基幹技術となり得 る可能性を有していると言える.
フラクタル画像符号化には,画像表現に要するパラメータに含まれる量子化誤差が 復号画像の品質に与える影響を定量的に予測することが困難であるという問題がある.
著者は本論 文においてこの問題を解決すべく,IFSパラメータの量子化誤差が復号画 像の品質に与える影響を考察し,それを最小に抑えることで復号画質を向上させた.
さらに,IFSパラメータを決定する際に用いる評価関数について考察を行い,高品質 な復号画像を生成するために,新たな評価関数を提案した.これにより,これまでの ―1115―
フラクタル画像符号化では得ることが事実上不可能であった高品質復号画像が得られ ることを示した.
以下,章を追って論点を調べる.まず論文第2章で,フラクタル画像符号化の基礎 となる数学的な定理および定義について説明を行った,第3章では,既に提案されて いるフラクタル画像符号化について,特に現在のフラクタル画像符号化の主流となっ ている手法を取り上げ,その処理手順に説明を与えた,第4章では,提案手法が最適 なIFSパラメータを探索する際に用いる遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm,以 下GAと略記)の概 要,およびその処理手順について説明を行った.第5章では,第 3章で説明した従来のフラクタル画像符号化におけるIFSパラメータの量子化方法に ついて問題点を指摘し,これを解決する新たな量子化法を提案し,この手法の高速化 を図るための検討 を行った.第6章では,第3章で著者が説明した従来のフラクタル 画像符号化がIFSパラメータを決定する際に用いる評価関数の問題点を指摘し,この 問題を解決する新たな評価関数を設定し,それを指針としたIFSパラメータの最適化 手法を提案した.なお,゛ここで用いる評価関数は古典的最適化手法のもとでは計算量 の面から非現実的 であるが,著者はGAを巧みに設計することにより,IFSパラメー タの最適化問題を解けることを示した.第7章において,著者は本研究の成果につい て要約し,論文全体のまとめを行った.
第5章 で述べられたGAの設計においては,最適化問題を前処理 と本処理との2段 階に別けることに より,GAの様に探索的に最適化を行う手法で陥りやすい局所解へ の収束を回避し,また,評価関数の評価回数を大幅に削減することに成功した点を高 く評価したい.ま た,注意深く行われたGAの設定も優れた結果を導く重要な因子で あり,GAの利用上有益な知見を与えたと評価される,
以上を要約すると,著者は高能率画像符号化を実現するために,フラクタル画像符 号化に着目し,その画像表現パラメータの量子化誤差に関する解析を行い,量子化さ れたパラメータの最適化手段として遺伝的アルゴリズムを合理的に使用することによ り,現実的な計算量で高画質を得ることができることを示した.研究を通じて情報メ ディア工学・通信工学への大きな貢献をしたので,著者は博士(工学)の学位を授与 される資格があるもの認める.
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