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海 洋 天 然 物 PseudodistominC と LuteophanolA の 構 造 研 究

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 薬 学 ) 土 居 由 貴 子

学 位 論 文 題 名

海 洋 天 然 物 PseudodistominC と LuteophanolA の 構 造 研 究

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  

海 洋 天 然 物 の 探 索 お よ び 構 造 研 究 の 一 環 と し て 沖 繩 産 群 体 ボ ヤ

Pseudodistoma kano

わ よ り 分 離 さ れ た

PseudodistominC

1

) と 沖 繩 産 ヒ ラ ム シ

PSeUda

加卸 〇sと 〇舶 ´Ufe〇c〇J

rfs

より 分離 した渦鞭毛藻佃曲fdfnf凹sp.由来の 新 規 ポ リ ヒ ド ロ キ シ 化 合 物

LuteophanolA

2

) の 構 造 研 究 を 行 っ た 。

1

は 、 ブ ロ ー ド な

1HNMR

シ グ ナ ル を 与 え た た め 、 ス ベ ク ト ル デ ー タ の み で の 構 造 解 析 は 有 効 で は な か っ た 。 そ こ で 合 成 化 学 的 手 法 を 用 い て 立 体 化 学 を 含 め た 全 化 学 構造 を 明 ら か に し た 。 一 方 、

2

は 分 子 量

1254

か ら な る 長 鎖 ポ リ ヒ ド ロ キ シ 化 合 物 で あ り 、 そ の

NMR

デ ー タ は 複 雑 に 重 な り 合 っ て い た が

2

次 元

NMR

お よ ぴ

FAB

MS/

な ど の 機 器 分 析 法 を 最 大 限 に 利 用 す る こ と に よ り そ の 平 面 構 造 を 明 ら か に した 。

  1

 Ps pdodistominCQ

撞 造 丑 充

  

当 研 究 室 で は こ れ ま で に ホ ヤ の 探 索 研 究 に お い て い く っ か の 興 味 深 い 化 合 物 を 分 離 し て き た

l

)。 その ひと つに 、群 体ボ ヤP. ねロ 〇わ より 分離 した マウ ス自 血 病 細 胞

L1210

お よ び ヒ ト 上 皮 癌 細 胞

KB

に 対 し て 殺 細 胞 活 性 を 有 す る ピ ペ リ ジ ン ア ル カ ロ イ ド

PseudodistominC

1

) が あ り 、 そ の 構 造 研 究 に 取 り 組 ん で き た 。 こ れ ま で に 、

1

PseudodistominA

3

) お よ び

B

4

2

) と 側 鎖 の 長 さ と不 飽和 度 が 異 な る こ と 、

3

お よ び

4

と 相 対 配 置 が 異 な る こ と が 明 ら か に な っ た 。 さ ら に 、

1

由 来 の テ ト ラ ア セ 夕 一 ト

(natural

6

) と 合 成 で 得 ら れ た

L

6

の 比 旋 光度 の比 較 か ら

1

2

お よ び

3

と 絶 対 配 置 に お い て も 異 な る こ と が 示 唆 さ れ て い た 。

  

こ の 結 果 は 予 想 外 で あ り 、 群 体 ボ ヤ

P

 kano

わ は ピ ペ リ ジ ン 環 部 分 につ いて 同 じ 平 面 構 造 で あ り な が ら 絶 対 配 置 の 異 な る 類 縁 化 合 物 を 同 時 に 含 む 点 に 強 い 疑 問 が 持 た れ た 。 そ こ で 、 本 研 究 で は 更 な る 確証 を得 るこ とを 目的 とし て 、Dーセ リ ン を 出 発 原 料 と し て

2S

4

s

5

々 体

D

6

を 導 き 、

L

6

D

6

の キ ラ ル

HPLC

に よ る 光 学 分 割 と

natural

6

の 分 析 か ら 、

1

の 絶 対 立 体 配 置 が

2S

4S

5R

で あ る こ と を 明 ら か に し た

3

) 。 次 に 、

1

の 側 鎖 を 含 め た 全 体 構 造 を 明 ら か に す るた めに 全 合 成 を 行 い 、 天 然 物 と 一 致 し た こ と か ら

PseudodistominC

の 構 造 を 確 認 し た

4

o

  2

 Luteophnol

Q

撞 造 回 究

  

当 研 究 室 で は こ れ ま で に 沖 繩 産 ヒ ラ ム シ 衄 幽

iscolops sp.

よ り 分 離 し た 渦 鞭 毛 藻 佃 曲

idinium sp.

Y

5

) よ り 殺 細 胞 活性 を有 する 化合 物の 探索 研究 を行 い、

431― ・

(2)

マク ロリ ド化合物Amphidinolide類などを単離してきた516)。今回、沖繩産ヒラ ムシ

P 1uteocoloris

の体 内か らAmp由

fdfnfumsp

.(Y−52)が分離された。ある 種の ヒラ ムシの体内には特定の渦鞭毛藻が含まれているという厳格な「共生」関 係がっくられており、P.´UfeocD´〇rfsと血脚fdfn|凹sp.の組み合わせは稀で ある点などから、本渦鞭毛藻(Y一52)の産生する二次代謝産物に興味が持たれ、

成分 検索 を行っ た。 その 結果 、Y―52の培養藻体から炭素鎖長57個からなり硫酸 エ ス テル を 含 む 新 規 ポ リヒ ドロ キシ 化合 物LuteophanolA(

2

)を 単離 し、 その 構造を明らかにした。

  

渦 鞭毛 藻血幽

fd

j

sp

. (Y−

52

) を実験室で大量培養し、培地1700Lより得 られ た藻 体460gのメ タノ ール ノト ルエ ン抽 出物 を1M食塩 水と トル エン、クロロ ホル ム、 酢酸エ チル 、ブ タノ ール で順 次分 配し たと ころ 、ブ タノ ール可溶部の

TLC

に おい てこ の渦 鞭毛 藻に 特徴 的な スポットが確認された。そこで、ブタノー ル可 溶部 を、HP−セルロフんインおよびセフんデックスLH―20によるゲル濾過、

逆 相

MPLC

で 精 製 す る こ とに より 、新 規ポ リヒ ドロ キシ 化合 物2を 湿重 量か らの 収率0.002%で分離した。

  2

ESIMS

より 分子 量は

1254

、高 分解 能FABMSよ り分 子式 はC6出102025Sである と 推 定さ れ た 。

2

IR

スペ クト ルお よび 加溶 媒分解 生成 物の イオ ンク ロマ トグ ラフイーにより硫酸工ステルの存在が確認された。

  lH

および13CNMRスペクトルに加え、二次元NMRスペクトル(DQFーCOSY、HOHAHA、

HSQC

、PFGHMBC、HSQC−

Ho

眦 `お よび 培養中 にNal℃

03

を 投与 して 得られた渦鞭 毛藻 より 分離し た2のINADEQUATE)と

FAB

−MS/MSスベクトルの詳細な解析より、

炭 素

57

個 が 直 鎖 状 に っ なが り、

19

個 の水 酸基 を含 むポ リヒ ドロ キシ 化合 物2の 平面 構造 が明ら かに なっ た。 また 、ROESYス ベク トル およ びlHNMRにおける結合 定 数 よ り 、 一 部 の 相 対 配 置 と オ レ フ イ ン の ジ オ メ ト リ ー を 推 定 し た 。

  2

は 強カ な抗 カビ 活性 を有 する と報 告され てい るAmphidinol類7)に一部共通 した 構造 を含んでいるにもかかわらず、その活性は認められなかった点は興味深

い 。

Reference       .

1) (a) Kobayashi, J. ; Doi, Y. ; Ishibashi, M. J. Org. Chem., 1994 , 59, 255‑257..(b) Doi, Y. : Ishibashi,    M. ; Kobayashi.  J.  Tetrahedron,  1994 ,  50,  8651‑8656.

2) (a) Ishibashi, M. ; Ohizumi, Y. ; Sasaki, T. : Nakamura, H. ; Hirata, Y. ; Kobayashi, J. J. Org. Chem.,    1987 ,  52,  450‑453.  (b) Kiguchi, T. ; Yuumoto, Y. ; Ninomiya, I. ; Naito, T. : Deki, K. : Ishibashi,    M. ; Kobayashi, J. TetrahedronLett., 1992 , 33, 7389‑7390. (c) Ishibashi, M. ; Deki, K. ; Kobayashi,   J. J. Nat. Prod., 1995 , 58, 804‑806.

3) Kobayashi,  J.: Naitoh,  K. ; Doi, Y. ; Deki, K.: Ishibashi, M. J. Org. Chem. 1995 , 60, 6941‑6945.

4) Doi,  Y. ;  Ishibashi,  M*: Kobayashi,  J.  Tetrahedoron,  1996 ,  52,  4573‑4580.

5) Kobayashi,  J. ; Takahashi,  M. :  Ishiabshi,  M.  Tetrahedron Lett.  1996 ,  37,  1449‑1450 and reference   cited therein.

6) Doi, Y.; Ishibashi, M.; Yamaguchi, N.: Kobayashi, J. J. Nat. Prod. 1995 , 58, 1097‑1099.

7) (a) Satake, M. ; Murata, M.; Yasumoto, T. ; Fujita, T. ; Naoki,  H. J. Am. C.hem. Soc. 1991 , 113,    9859‑9861.  (b) Paul, K. G. ; Matsumori, N. ; Murata, M. ; Tachibana. K. Tetrahedoron Lett. 1995 ,   36, 6279‑6282.

‑ 432 ‑

(3)

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教 授

  

小 教 授

  

橋 講 師

  

中 助教授

  

林 淳 一 本 俊 一 島    誠 橋 正 己

     学位論文題名

海洋天然物PseudodistominC とLuteophanolA の構造研究

海洋天然物からは、特異な化学構造をもつ多種多彩な2次代謝産物が数 多く分離され、その構造解析、全合成、生物活性等の研究が活発に行わ れてぃる。

本研究では、特異な化学構造をもつ新しぃタイプの天然有機化合物の 構造解析を行う目的で、

1

)群体ボヤPseudodistoma kanokoより単離 した新規ビペリジンアルカロイド

PseudodistominC

について全合成に よる立体化学の解明、2)渦鞭毛藻Amphidinium sp.より単離した分子 量

1254

の新 規ポリヒドロキシ化合物LuteophanolAについて最新の分 光学的手法による平面構造の解明、を行った。

1

)PseudodistominCの全合成

群体 ボヤ

Pseudodistoma kanoko

より分離された新規ピベリジンアル カロイドPseudodistominGは、既に同種のホヤより単離されている類 縁化 合物

PseudodistominA

B

と 比べ て、ピベリジン環の3個の不斉 炭素の立体化学が異なることが示唆されてぃた。そこで本研究では、ビ ペリジン環部分の立体異性体を合成し、

PseudodistominC

より誘導し た ピ ベリジ ン環 部分 とスベ クト ルデ ータ を比較 する こと によ り、

PseudodistominC

PseudodistominA

B

とはビ ベリ ジン 環部 の立 体 配 置が異 なり 、2S、

4S

5R

で ある こと を明ら かに した 。ま た、

PseudodistominC

の 構 造 は 、

PseudodistominA

B

と 比べ て、 ビペ

(4)

リジン環部の立体化学ばかりではなく、側鎖アルキル鎖の長さおよびニ 重結合の数と位置も異なるため、立体化学を含めた全構造を確定する目 的で、PseudodistominCの全合成を行った。

  D‑

セリンを出発物質として、アミド水銀化反応を鍵反応とするピペリ ジン環部分の構築、Juliaカップリングによる側鎖とビペリジン環とのク ロ スカップリングにより、

PseudodistominC

の全合成を達成した。天 然物とのスペク卜ルデータおよび物理化学定数がすべて一致したことか ら 、

PseudodistominC

の 構 造を 絶 対立 体 配置 を 含め て 確定 し た 。

  

渦鞭毛藻

Amphicfinium sp.(Y‑5

株)力ゝらはこれまでに、一連のマク ロリド化合物が当研究室におぃて単離されてきた。本研究では、同属の 渦鞭 毛藻

(Y‑52

株 )より新規ポリヒドロキシ化合物LuteophanolAを単 離し 、高分解能

MS

NMR

などのスペクトルデータに基づぃてその平面 構造を明らかにした。この化合物は、親水性と疎水性の両方の性質をも ち坦体に吸着しやすぃこと、また、多数の類縁化合物が共存することか ら、分離には多くの工夫を要した。さらに、多〈の不斉炭素を含み分子 量

1254

の長鎖のポリヒドロキシ化合物であり、分子内に類似の部分構造 を多く含むことから、・種々の2次元

NMR

デ―タに加えて、FABMS/MSな どの最新の機器分析法を最大限に利用することにより構造解析を行った。

―方 、培地に

NaH13C03

を投 与して得ら れたLuteophanolAを用いて、

|NADEQUATEスペク.トルを測定することにより、炭素‐炭素結合の確認 を行った。

  

以上本研究では、海洋生物より単離した特異な構造をもつ2種の新規化 合物について、分光学的手法と合成化学的手法を用いて構造解明に成功 してぃる。とくに

Pseudodistomin

類の場合には、スペクトルデータだ けから立体化学を特定するのは困難であり、合成による確認が必須であっ た。一般に、スベク卜ルデータのみで立体構造を議論するケースが少な くなぃが、これはしばしば立体化学の帰属の誤りにっながることになる。

PseudodistominC

の構造研究は、そのひとっの警鐘ともぃえる。一方、

LuteophanolA

は、分子量が

1200

に及ぶポリケタイドであり、その構造

(5)

解析には最新の分離・分析法が駆使されており、複雑な天然有機化合物 の構造解析法のひとつのモデルケ―スとして注目に値する。本研究は、

新しぃタイプの天然有機化合物の発見、新しぃ分離・分析法の適用例の 拡張、合成的手法による立体化学の解明、とぃう点で天然物化学の分野 で優れた研究成果を挙げたものとぃえる。本研究成果は、既に多くの一 流国際学術誌に発表されており、博士(薬学)の学位を受けるに値する 業績と判断された。

参照

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