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グリーン経済 社会のための白書 前進する風力発電 風力発電がデンマークのエネルギー システムにもたらす変革 この白書の内容 入札制度の基準を設定交渉過程はデンマークの洋上風力入札モデルの一部 デンマークの電力系統は欧州の電力系統国際電力市場をかえして風力エネルギーの導入 未来の風車を試すデンマークの

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グリーン経済・社会のための白書

風力発電がデンマークのエネルギー・システムにもたらす変革

前進する風力発電

この白書の内容

入札制度の基準を設定 交渉過程はデンマークの洋上風力入札モデルの一部 デンマークの電力系統は欧州の電力系統 国際電力市場をかえして風力エネルギーの導入 未来の風車を試す デンマークの試験&実証施設の存在が世界最先端のイノベーションを確保 風力発電の障害を取り除く 新たなイノベーションと大きな野心が風力発電を次の段階へと進展させる

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前進する風力発電 風力発電がデンマークのエネルギー・システムにもたらす変革 Version 3.1 英語版2017年7月、和訳版2018年2月発行 表紙の写真 Anholt洋上風力発電所 写真:Ørsted 監修 ステート・オブ・グリーン(State of Green) 技術監修

Confederation of Danish Industries Hans Peter Slente, hps@di.dk

Danish Wind Industry Association Peter Alexandersen, pal@windpower.org Danish Energy Agency Benoît Bizet, bbi@ens.dk

Danish Energy Association Torsten Hasforth, tha@danskenergi.dk 寄稿者

3F - United Federation of Danish Workers Jesper Lund Larsen, jesper.lund.larsen@3f.dk Aluwind Ole S. Eriksen, oer@aluwind.com

APQP4Wind Kim Nedergaard Jacobsen, knja@windpower.org Bladt Industries Lars Kristensen, lkr@bladt.dk

Copenhagen Infrastructure Partners Christina Grumstrup Sørensen, cgs@cip.dk Ørsted Tom Lehn-Christiansen, tomlc@dongenergy.dk Energinet.dk Jesper Nørskov Rasmussen, jnr@energinet.dk

HOFOR Kim Pind, kpje@hofor.dk

Jysk Energi Per S. Kristensen, psk@jyskenergi.dk

LM Wind Power Lene Mi Ran Kristiansen, lmrc@lmwindpower.com LORC - Lindoe Offshore Renewables Center Christina Vridstoft, lorc@lorc.dk

Megavind Edit Lulu Nielsen, eln@windpower.org

MHI Vestas Offshore Wind Michael Morris, mijmo@mhivestasoffshore.com Nissum Bredning Jens Jørgen Birch, birchjj@post.tele.dk

PensionDanmark Tage Otkjær, tao@pension.dk Prøvestenens Vindmøllelaug Steen Thaning, steen.thaning@live.dk

RAH Service Per Nielsen, pni@rah.dk

Siemens Wind Power Henning Thomsen, henning.thomsen@siemens.com Technical University of Denmark Betina B. L. Winther, betl@dtu.dk

Vattenfall Vindkraft Arne Rahbek, arne.rahbek@vattenfall.com Peter Wesslau, peter.wesslau@vattenfall.com Vestas Wind Systems Maria Alina Wedø, maawe@vestas.com

WindEurope Benjamin Wilhelm, policy@windeurope.org 翻訳

田中いずみ、中島健祐、山本道子、松村悠子、神影七海 ダウンロード

この白書、また他の刊行物はこちらからダウンロードできます www.stateofgreen.com/publications 詳細についてのお問い合わせ

この白書やその他刊行物に関しては、State of Green info@stateofgreen.com (英文)、 もしくは tyoamb@um.dk (和文)にお問い合わせください。

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デンマークは世界に先駆けてグリーン・エネルギーへの転換を決意し、2050年までに 化石燃料から完全に脱却する世界初の国になろうとしています。風力発電を主に再生 可能エネルギーのシェアを拡大することは、この目標を達成するための1つのアプロー チです。インテリジェントなエネルギー・システムを開発し、変動が多い再生可能エネル ギーの管理を確実に行うことが重要です。 デンマークは30年以上も前に世界で初めて洋上風力風車を設置するなど、常に風力 発電の先駆けとなってきました。今日、陸上および洋上風力発電はデンマークにおける 40%の電力消費を補っています。2021年までには電力消費量の50%が風力発電によ って賄われる予定で、導入の拡大に力を入れています。 世界の風力イノベーションのハブ拠点 デンマークは風力発電のイノベーションや開発における世界のハブ拠点であり、風力業 界は国内で3万1,000人以上を雇用しています。デンマークには、高い技術力を備えた 人材、最新鋭の実験施設、企業・研究機関・政府の研究プロジェクトをつなぐネットワ ークなど好条件が揃っており、他国では類を見ないイノベーティブな研究開発環境が 整備されています。デンマークには実物大のナセルからブレードや実用化直前の風車 の試験ができる施設があり、世界各国の風力関連企業が研究開発の拠点をデンマー クに置く理由がここにあります。 安定的でコスト効率に優れた電力供給 デンマークでは、約4,750基の風車が5GWを超える電力を供給しています。5GWはデ ンマークの発電能力全体の3分の1に当たる規模です。大規模導入を可能にしているの が、変動が多い風力発電を管理できる高度な送電インフラです。デンマークの電力系 統は隣国と連携しており、ピーク時には電力の輸出入ができる仕組みになっています。 グリーン経済への転換の枠組み作り 再生可能エネルギーへの転換コストは年々低下しています。デンマークの洋上風力の 直近の入札では、均等化発電原価(LCOE)が過去最低値を記録しました。つまり、発電 施設の生涯コストで見て、これより安い電力価格を実現した洋上風力発電所は世界中 どこにもないということです。低価格化を実現させた要因の一つはデンマークの入札方 式です。デンマークの入札方式は事前資格審査を行い、応札や投資の候補者と事前に 技術対話を行うのが特徴です。コストが低下しているとはいえ、プロジェクトは依然とし て資金を調達しなければなりません。デンマークは一般市民による風力発電共同組合 と、大規模な官民資金モデル(ブレンド・ファイナンスなど)の双方で時代の先頭を走っ ています。 本白書について 本書では、今の基準でみれば小さな風車から始まり、プロジェクトやテクノロジーの発 展を通じてデンマークの野心的な風力発電のサクセスストーリーを、あらゆる角度から ご紹介しています。デンマークの経験が皆様のお役に立ちますように。

概要

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グリーン経済への転換のシンボルであり、世界 中で急速に普及している風車。欧州においては、 単なるシンボルを遥かに超えた存在です。欧州 の電力供給に風力が占める割合は15%を超え、 デンマークをはじめとする一部のEU加盟国では 40%以上にまで達しています。 しかし、私たちの道程は終わりません。エネルギ ー連合は欧州委員会の最優先事項の一つであり 「欧州の全市民が安定性、持続可能性、競争力 すべてを満たすエネルギーへ確実にアクセスで きる」というシンプルかつ包括的な目的を果たす べく前進しています。EUは2030年までにCO2排 出量を少なくとも40%削減し、再生可能エネル ギー比率を27%以上に拡大し、エネルギー効 率を30%改善するという目標を掲げています。 野心的な目標ではありますが、加盟国が協力し 合えば達成可能と考えています。 エネルギー連合を実現させるにあたり、風力発 電は多大な可能性と価値を秘めています。風力 発電には大気汚染やCO2排出量の削減など環 境的なメリットがあり、市民の福祉を直接的に 高めています。また投資環境は競争が進み、風力 発電のコストは欧州全域で大幅に低下していま す。この傾向は今後も続くでしょう。 風力産業は雇用創出にも貢献しています。先進 的な研究開発、製造に関わる熟練および非熟 練労働、現地での設置やメンテナンス作業など 多くの雇用を生み出しています。2005年から 2013年までの間に、EUの風力関連の就業者数 は5倍に増え、2014年には約32万人に達しまし た。風力への投資は、欧州の輸入化石燃料への 依存度を下げる役割も果たしています。 エネルギー連合は欧州を風力発電や他の再生 可能エネルギーのシェアの拡大を導きます。ここ で重要になるのは、各国内および各国間の送電 インフラの整備です。スマートグリッドや、市場メ カニズムの改善により変動が多い再生可能エネ ルギーをより広範囲で導入することが可能にな るでしょう。またスマート・エネルギー・システム により、デマンド・レスポンス、エネルギー貯蔵、 消費における柔軟性が高まることが期待されて います。私たちは再生可能エネルギーに関する 法律の統一を進め、域内全体での推進を図って います。 風力は欧州エネルギー連合の大きな機動力で す。国境を超えたインフラや、成長市場は、風力 エネルギーにとってまさしく好条件であり、より 統一的なグリーン・エネルギー・システムの実現 が可能になるでしょう。私たちは欧州内外で市 民、企業、環境の三方に恩恵を与える重要なエ ネルギー源として、風力を活用していかなくては なりません。

欧州エネルギー連合の機動力

欧州ではクリーン・エネルギーへの移行が進み、風力発電はその中心的な役割を担っています。気候変動対策で世界をリードしてきた欧州は、持続可能 な雇用、成長、投資環境を創出することができる一つのモデルを世界に提示しようとしています。欧州エネルギー連合(European Energy Union)は EU経済の近代化につながり、クリーン・エネルギーの導入を拡大し、すべての欧州国民や企業が最大限の恩恵を受けられるようになるでしょう。

欧州委員会 副委員長 エネルギー連合担当 Maroš Šefcovic (Vice President of the European Commission, in charge of Energy Union)

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目次

1.

風力発電ー欧州エネルギー連合の機動力 ...6

デンマークはいかにして風力発電のリーダーになったのか

2.

デンマークの電力系統は欧州の電力系統 ...8

風力発電が高いシェアを占める中、安定供給を実現

3.

地域の電力系統ーエネルギー・システムの効率化のカギ ...10

地域の電力系統に対する規制は、再生可能エネルギーの導入を促進するものでなければならない

4.

協力体制でコスト削減 ...12

風力発電のコストを削減するには、プレイヤー間の緊密な協力が不可欠

風車を知っていますか? ...18

デンマークの風力発電施設 ...19

5.

未来の風車を試す ...20

デンマークの試験&実証施設の存在が世界最先端のイノベーションを確保

6.

グリーンな未来を築く ...24

風力発電は雇用、成長、輸出の原動力

7.

入札制度の基準を設定 ...26

交渉過程はデンマークの洋上風力入札モデルの一部

8.

ブレンド・ファイナンスは民間資本の

新興市場への投入を可能とする ... 28

ハイリスク市場における再生可能エネルギーへの投資は、

ブレンド・ファイナンス-官民ファイナンス・モデルによって可能である

9.

風力発電の障害を取り除く ...30

新たなイノベーションと大きな野心が風力発電を次の段階へと進展させる

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風車は元は農業で使われ、穀物を挽いたり、水 を汲み上げたりする動力を供給していました。そ の後1891年に、デンマークの物理学者Poul la Cour氏が電力源として風車を利用する実験を 開始しました。Poul la Cour氏は国からの資金 援助を得て風車を建設し、勤め先の学校に直流 電気を供給。さらには風力エネルギーの貯蔵ま で実験を行いました。 第一次世界大戦と第二次世界大戦の際、エネ ルギー不足に際しても電力供給が途切れないよ う、デンマークの技術者たちは風車技術の改良 を続けました。第一次世界大戦の末期には、デ ンマークの消費電力の3%を風力で賄えるよう になりました。しかし、風車のアイデアは独創的 であったものの、安価な化石燃料を使った従来 の発電所と競争できる目処が立たないという理 由で、開発は暗礁に乗り上げてしまいました。 風力への関心が再燃 この流れを変えたのが1973~74年の石油危機 です。輸入燃料への依存度が高かったデンマー クでは、1970年代初めの石油危機により電力 発電コストが上昇し、風力や他の代替エネルギ ー源が再び注目されるようになりました。1970 年代後半に風力産業が勢いを取り戻した背景 には、国民の積極的な関与や、風力エネルギー の技術開発や導入に対する政府の前向きな姿 勢があったのです。 1980年代初めには、約20社の風車メーカーが デンマークの風力業界で競合していました。そ の後1990年代に再編が進み、外国資本を含む 大規模な上場企業が業界を支配するようになり ました。 未来の風力利用 今日、デンマークの風力業界は3万1,000 人以 上を雇用し、2015年の売上高は118億ユーロ (約1兆6,000億円、1ユーロ=134円換算)に 達しました。デンマーク・エネルギー庁の調べに よると、国内の新規陸上風力の発電コストは石 炭や天然ガスを下回り、最も安価なエネルギー 源の一つとなりました。 さらなる効率化、低コスト化を追求し、風車は年 々大型化しています。1990年代初めには最大 容量225kWの風車が主流でしたが、最新世代 のものは9MW。洋上風力発電においては風車を 大型化することにより、より風を風速が高い位置 で捉えることができることから発電量が増加し、 それによってコスト増をカバーすることができま す。現在建設中のHorns Rev 3およびKriegers Flak洋上風力発電所の発電能力は400~600 MWに達する見通しです。

風力発電のトップランナー

デンマークはいかにして風力発電のリーダーになったのか

デンマークの風力発電の歴史は1891年に遡ります。初の発電用風車が設置され、たった1つの学校に電力を供給したのが始まりでした。今日、陸上風 力はデンマークで最も安価な電力源になりました。次世代の風車は最大1万世帯の電力を賄えるようになる見通しです。

State of Green長官 (Executive Director, State of Green) Finn Mortensen

デンマークの風力発電技術は急速に進化しています。初代の商用発電風車の出力は22kWでした。

上の写真は1980年に建設された55kWの風車のブレードで、長さ7.5mでした。最新の洋上風車のブレードの長さは約90mに及びます。

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世界初の洋上風力発電所が現役を引退

1991年、デンマークVindeby沿岸の浅瀬に、世界初の洋上風力発電所が 建設されました。Ørsted (当時:DONG Energy)が運営するこのVindeby 洋上ウィンド・ファームで25年間以上稼働してきた11基の風車が、先頃廃 止されました。Vindebyの風車は0.45MWと現在の水準でみれば小型です が、洋上風力発電の先駆けであり、業界にとって極めて重要な存在でした。 世界初の洋上風力発電施設を建設したことは、Ørstedや業界全体にとっ て非常に有意義な経験でした。この経験を土台に技術開発やコスト削減 が進められ、石炭火力発電所が耐用年数を迎える国々に洋上風力発電を 魅力的な選択肢として提示できるようになったのです。今日、洋上風力発 電施設は既存の発電所規模に達し、現在稼働している最大級の風車1基 の発電量は、Vindebyウィンド・ファーム全体を超える規模となっていま す。 Ørsted 風車のリパワリング(建て替え) 2015年、Vattenfall社は北ユトランドのKlimプロジェクトで運転していた 35基の旧型風車を廃止し、Siemens Wind Power 製の3.2MWの風車 22基を新たに設置しました。Klimウィンド・ファームは発電量ベースで最 大級の陸上風力発電施設です。総発電能力70MW以上、年間発電量25万 6,000MWh。6万4,000 世帯に電力を供給しています。これは以前の35基 が電力を供給していた世帯数の3倍に当たります。

デンマークのLøgstør にほど近いNørrekær Enge ウィンド・ファームは、

77基の旧型風車を廃止し、Siemens Wind Power 製の2.3MWの風車 13基に交換しました。年間発電量はこれまでの2倍以上の約1億2,000万 kWhとなり、約3万世帯に電力を供給しています。廃止された風車の一部 は、キューバの新規プロジェクトへ売却されました。 これら2件の大規模な増強プロジェクトは発電所の周辺地域に好影響を 与え、旧型風車の建て替えによりプロジェクトの効率が向上しました。 Vattenfall Vindkraft Photo: Ørsted

Photo: Vattenfall Vindkraft

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かつて我々は「風力発電が電力消費全体の5% に達したら、一体どのような状況になるのだろう か」と恐れていた時代がありました。次は「10% に近づいたらどうなるのか、電力システムは対 応可能だろうか」と心配し、その何年後かには 「20%が絶対的な限界だろう!」と考えました。 まさか2016年に、デンマークの風力発電量が電 力消費量を上回る時間が317時間に達するとは 夢にも思わなかったのです。 デンマークの風力発電の比率は、国内の電力総 消費量の33%、39%、42%と年々拡大し、目覚 ましい成功を収めています。デンマークのサクセ スストーリーに世界が注目しています。 エネルギー源としての風力 デンマークの風力産業の成功のカギは、風力発 電の比率の高さと、他のエネルギー源との効率 的な統合です。Energinet.dkは電力システムに 責任を負う送電事業者(TSO)ですが、デンマー クの風力発電がここまで発展したのは当社だけ の功績ではありません。当社の貢献に並び産業 界、規制当局、エネルギー供給事業者、市民らが 互いに協力した結果なのです。 変動が多いエネルギーを大量導入した電力供 給システムのバランスをとり、欧州の中でも最も 安定した電力供給を保証する。これは容易な任 務ではありません。2016年のある日、風力発電 の比率が139%に達した時間があり、日全体で も103%となりました。反対に、風力発電量が伸 びず、電力消費量の1%にとどまった日もありま した。 電力系統のバランスをとる 上記はいずれも私たちの「成功談」です。どちら の日も、家に電力が供給されているか不安に思 ったデンマーク人はいなかったでしょう。成功の 要因は3つあります: 1.  効率の良い電力システム。柔軟性の高い発 電所、分散型熱電併給(CHP)プラント、風 力、太陽光発電が互いに補完し合い、全体 で電力供給を担っている。 2.  発達した電力系統。消費量の最大約80% に相当する電力を輸入/輸出でき、大きな 変動にも対応可能。 3.  デンマークは北欧および欧州の電力市場の 一部であること。デンマークの発電事業者は (強風時など)売電価格が有利な時に、近 隣国の消費者に電力を販売することができ る。また、近隣国の発電業社が低価格で電 力を販売している時は、ノルウェーの水力発 電、ドイツの風力&太陽光発電、スウェーデ ンの原子力発電などから電力を購入する。 電力市場における日々の取引と最先端システム により、電力シスム内のバランスがとれ再生可 能エネルギーを効率的に導入することができま す。Energinet.dkの役割は、コスト効率良く確 実に電力を供給し、消費者が安価な電力を安定 的に購入できるようにすることです。それには国 境を超えた系統接続と電力取引、地域と欧州全 体でソリューションの開発を進めることが必要 です。

欧州の電力系統

風力発電が高いシェアを占める中、安定供給を実現

Energinet.dk社の実績で証明されたのは、再生可能エネルギーの大量導入を効率的に実現するには、強固な電力系統、国際的な電力市場、柔軟な電 力システムが不可欠、ということです。

Energinet.dk社 副社長 (Vice President Associated Activities, Energinet.dk) Peter Jorgensen

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デンマーク スウェーデン ドイツ ポルトガル スペイン オーストリア フィンランド オランダ エストニア イギリス ギリシャ ベルギー キプロス フランス リトアニア ルーマニア イタリア ポーランド クロアチア ルクセンブルグ ブルガリア アイルランド ハンガリー ラトビア チェコ共和国 スロベニア スロバキア マルタ EU28 915.9 661.8 608.7 514.1 496.8 302.9 280.5 254.9 235.6 222.4 220.1 210.9 186.3 180.7 170.7 153.2 152.6 152.3 100.7 100.7 96.6 59.9 33.5 32.0 26.6 1.5 0.6 0 301.3 住民1,000人あたりの設置済み風力発電容量(kWh、2016年12月) 北海の洋上電力系統 EUは域内の国際エネルギー市場を整備して再生可能エネルギーの導入 を進め、CO2の排出を削減し、消費者に安価な電力を提供するという高い 目標を設定しています。系統接続が完了するまでには数十年を要するかも しれませんが、洋上電力系統の整備を共同で取り組むことを確認したエネ ルギー協力に関する北海宣言に10ヵ国の政府が合意しました。 トップダウンの政府間合意を受けボトムアップの取り組みを促し、洋上風 力発電を次の段階に押し上げる活動が今後ますます活発化するでしょう。 コストを削減し、洋上風力発電の整備を加速させ、系統接続の開発を推進 するという宣言に、ベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、アイルランド、 ルクセンブルグ、オランダ、ノルウェー、スウェーデン、イギリスが署名しまし た。 この合意に先立って、エネルギー事業者11社が「各国政府がプロジェクト を後押しする方針を明示した場合、2025年までに洋上風力発電のコスト を80ユーロ/MWh(約10,000円)まで低減する」との宣言に署名しまし た。洋上風力発電を推進する明確な長期計画が打ち出されたことで、新た な投資が生まれ、資本コストが下がり、業界のコスト削減目標が達成可能 になるでしょう。 WindEurope 新たなデンマークとオランダの系統接続 2019年、デンマーク=オランダ間で直接の送電が可能となります。COBRA と呼ばれるこのプロジェクトでは、デンマークの西岸とオランダのEem-shaven港を320kmの送電線で結びます。送電容量は700MW。最大70万 世帯に電力供給が可能となります。連係によって供給が安定するだけでな く、国際電力市場が強化されることでグリーン経済への転換の促進にもつ ながります。 COBRAという名称はCopenhagen、Brussels、Amsterdamの頭文字をつ なげたもので、北海の系統接続と、欧州電力系統のさらなる統合への願い が込められています。このプロジェクトには、単一のエネルギー市場を目指 すEUの意向も反映されています。COBRAの送電線敷設はEUのEuropean Energy Programme for Recoveryから8,650万ユーロ(約115憶9,000 万円)の支援を受け、オランダのTenneTとデンマークのEnerginet.dkが共 同プロジェクトとして行います。

写真は、デンマークのWadden海に浮かぶFanø島の地下数百mに送電線 を通す管を敷設する様子。

Energinet.dk

Source: WindEurope, Eurostat

Photo: Robert Attermann, Red Star Foto Danmark

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100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 1980 1990 2000 2005 2010 1年単位 5年単位 2011 2012 2013 配電網 送電網 2014 2015 配電網が国民的議論になることはほとんどあり ません。しかしクリーンで分散したエネルギー源 への転換を促進するうえで、配電網は極めて重 要な役割を果たしています。 今やデンマーク国内の発電量の半分以上が、風 力発電所、熱電併給施設、太陽光発電所から送 電網を使わず配電系統へ直接送られており、そ の量は年々増加しています。拡大する分散型発 電の円滑な導入を可能にしたのはデンマークの 配電事業者(DSO)です。 「DSOが、他のコスト削減と同じようにイノベ ーションにかかるコストを扱ってしまったら、規 制がグリーン経済への転換を弱体化させてし まいます。」 デンマーク·エネルギー協会 副理事 Anders Stouge氏 デンマークのDSOには重要な調整作業が要求 されるようになり、事業内容が一変しました。こ れまでは大規模な発電事業者から送られてくる 電力を消費者へ配電する一方通行の作業でし たが、多数の小規模な発電所から送られてくる 変動が多い電力に対応する必要に迫られまし た。さらに一部の発電源は市場や天候の状況次 第で、電力生産者にも、電力消費者にもなるので す。 現在のDSOは電力システムの中枢で柔軟な調 整役を担っていますが、これはDSOによるイノベ ーション、メンテナンス、配電網の拡大に必要な 投資を行ったからこそ、異なる再生可能エネル ギーに対応できるようになったのです。変動が多 い電源のシェアは拡大を続けているため、今後 はさらなる適応力が必要となるでしょう。 化石燃料から再生可能エネルギーへの転換を 図る過程では、電力システムに大きな混乱が生 じがちです。これに対応するために、DSOは系統 管理の専門知識と最新設備を活用してイノベー ションに繋がるプロジェクトに参加しなくてはな りません。柔軟な電力消費など、顧客に近い立 場で新しいアイデアを試験できるのは、送配電 事業者だけだからです。研究室で得られた調査 結果を実用に移すにためは、こうした試験が不 可欠です。DSOは先頭に立ってエネルギー・シス テムの転換を進めています。 電力系統を改善し、顧客にとって有益なスマー トなエネルギー・システムを開発するため、DSO はイノベーティブなアイデアを実現する重要な 役割を担っています。DSOは自然独占であるた め、規制の枠組みの中で革新的な構想を開発す ることができるのです。 規制下で運営される企業には効率的な経営が 求められますが、規制は発展の余地を残すもの でなければなりません。DSOも、短期的なコスト 削減だけを要求されれば身動きが取れなくな り、結局は次世代へ大きなツケを残すことにな ります。短期的な効率を求めて、再生可能エネル ギーを促進する最善の電力系統の在り方を犠 牲にすべきではありません。

エネルギー・システムの効率化のカギ

地域の電力系統に対する規制は、

再生可能エネルギーの導入を促進するものでなければならない

風力発電や太陽光発電など分散型エネルギーが多くなり、欧州の電力系統は大転換期を迎えようとしています。現在ではデンマークの発電量の半分以 上が配電網に直接供給されています。

デンマーク·エネルギー協会 副理事 (Deputy Director General, Danish Energy Association) Anders Stouge

今やデンマーク国内の発電量の半分以上が、風力発電所、熱電併給施設、太陽光発電所から 配電網へ直接供給しており、その量は年々増加しています。

発電源から直に配電網への供給が拡大 配電網と直接接続された発電設備の比率

Source: Danish Energy Agency, Energinet.dk

石炭100%からグリーン発電56%へ デンマークでは現在4,750基の風車が 稼働し、消費電力の約40%を賄ってい ます。これに加え、数百の小規模な熱電 併給(CHP)プラントと、10万枚近い太 陽光パネルによる発電も行われていま す。全体として、2016年のデンマークの 電力消費の56%がグリーン電力となり ました。

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1,000%風力発電

ユトランド半島北西部は風が強く、風力、太陽光、分散型CHPプラントで、 年間電力消費量の数倍を賄うことが可能です。

Jysk Energi社は配電事業者NOE Net社を運営するほか、供給ネットワー ク企業 Vestjyske Net 60kV社に共同出資しています。両社合計の電力 供給量は約430GWhです(同地域の発電量は約935GWh)。風の強い週 末には、配電事業者は地元の消費量の10倍にも及ぶ電力を国内の他地域 に送ります。NOE Netでは、風力、CHP、太陽光の発電量が、地元の電力消 費量の1000%に達する時間もあります。風力発電の容量だけでも約400 MWに及び、2017~2018年に予定されている7~8基の大型風車(北海の Vesterhav Nord:170MW を含む)と太陽光を加えると、発電能力は700 MWに増強される予定です。 Jysk Energi エネルギー・パークが風と太陽からエネルギーを「収穫」 北海に近いNørhede-Hjortmoseでは、Vestas製の3.3MWの風車22基と 69,000枚の太陽光パネルが大規模な発電を行っています。風力発電72 MWと太陽光発電15.2MWが民間投資によって設置され、「2020年までに グリーンなエネルギー源から熱と電力を100%自給する」という自治体の 目標に貢献しています。風力、太陽光発電のおかげで、自治体内の家庭用お よび事業用のエネルギーはすでに60%カバーされています。「ここは実に 素晴らしいエネルギー・パークです。風車の間に太陽光パネルが設置され ており景観を損なうことがありませんとRAHの技術責任者で電力網及び 太陽光パネルから10kVの電力系統への接続を担当するPer Nielsen氏は 語ります。 RAHの供給エリアの電力消費量は年間約6万MWh。地域の風力、太陽 光、CHPによる発電量は年間約9万MWhで、2014年以降はグリーン・エネ ルギーの他地域への「輸出」企業となっています。 RAH Service

Photo: Jysk Energi

Photo: RAH Service

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風力産業は長年にわたりコスト低減を基本目標 の一つとしてきました。耐久性と性能に優れたイ ノベーティブな製品やソリューションを開発し、 風車の効率を向上させたことにより風力発電の 電力価格は徐々に下がっています。デンマークは 世界有数の風車メーカーやサプライヤーの本拠 地。風力業界全体でみると、様々な分野の500 社ほどがデンマークに拠点を構え、世界でも類 をみないサプライ・チェーンや、技術やサービス のネットワークを築いています。しかし、デンマー クの風力業界の注目すべき長所は、イノベーショ ン能力やコスト削減能力だけでなく、サプライ・ チェーン全体の協力体制でしょう。風力業界は 長い年月をかけ、協力し合う伝統を作り上げて きました。この伝統が価格低下に貢献している のです。 多数の企業による協力体制 デンマークでは全土(特にユトランド半島)にわ たって多くの風力関連企業があり、何百もの企 業が集まっている地域もあります。中央デンマー ク地域では、民間企業で働く25人に1人が風力 関連の仕事に就いており、その幅広さを示して います。 単一部品からシステムへ デンマークでは複数の部品業者などのサプライ ヤーが、製品やサービスをシステムとして組み込 む体制を構築しています。風車メーカーや、風力 発電事業者といった「最終消費者」に、総合的な 技術システムやパッケージ化されたソリューショ ンを提供することで、この取り組みに参加する各 企業の戦略的地位が強化されています。これに よりデンマークの風車メーカーと部品メーカー 全体の協力関係が強まり、技術的なイノベーシ ョンやコスト削減が可能になっています。 基準の導入 風力業界は他の産業の基準を数多く採用し、成 功事例に学んできました。近年、デンマークの風 力業界では標準化が大きく前進し、企業や産業 団体が協力して風力に対象を絞った基準作りに 取り組んでいます。他の産業と共通の基準を適 用することで、サプライヤーは製造や品質管理 の工程を減らすことができ、製品の不備も少なく なります。基準化は業界の様々な分野で拡大の 余地があり、今後数年でさらに制定、導入が進 む見通しです。基準化の過程においては、デンマ ークが誇る「協力」の伝統がものをいうでしょう。 性能と競争力に優れた新製品でトップの座を勝 ち取り、風力発電の競争力をさらに高めるため には、しっかり機能するサプライ・チェーンの存 在が極めて重要であることは言うまでもありま せん。 風力エネルギーは40年足らずの間に信頼性を確立し、コスト効率の良い成熟したテクノロジーへと発展を遂げました。風力はすでに最も安価でクリー ンな技術の一つですが、イノベーティブなアイデアが実用化されるにつれ、価格はさらに低下しています。

デンマーク風力産業協会 CEO (CEO, Danish Wind Industry Association) Jan Hylleberg

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Photo: Danish Wind Industry Association

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協力体制により、洋上風車ジャケット式基礎のコスト削減 洋上風車の設置コストで大きな部分を占めるのが、海底に設置する基礎の 価格です。デンマークの鉄鋼加工会社Bladt Industriesは、洋上のジャケ ット式基礎の低価格化を目指す複数のプロジェクトに参加しています。同 社を中心とする60の国際企業が、ジャケット式基礎の価格低減を目指すタ スク・フォースを結成しました。これはまったく新しい試みです。タスク・フォ ースでは、サプライ・チェーン全体で生産工程や作業手順をいかに改善で きるかを話し合っています。 また、Cejacketプロジェクトでは、風力業界の複数の企業が、大型のジャケ ット式基礎を小さくモジュール化し現場近くで組み立てることを試みてい ます。これによるコスト削減目標は6~8%。このプロジェクトでは、品質を 改善すると同時に作業時間を削減する手段として、噴霧式溶接についても 検討を行っています。 Bladt Industries システム・サプライヤーが 効率的で競争力のあるサプライ・チェーンを構築 風車に使われる何千もの部品を供給する作業は膨大で、重責を伴います。 この複雑な作業に対応するため、デンマーク企業Aluwindがシステム・サ プライヤーとして風車メーカーと小規模部品メーカーの連係を担うように なりました。システム・サプライヤーが調達や請負契約を仕切り、風車メー カーに個々の部品を直接納入するサプライヤーの数を減らしました。 Aluwindは通常、50~100社の部品メーカーから受け取った部品と自社 製の部品を使って大型のキット(システム)を組み立て、標準の輸送コンテ ナに搭載します。予め組み立てられたキットは輸送され、風車に取り付けら れます。それぞれのキットは世界各地のプロジェクトに合わせて簡単に調 節できるため、戦略的な調達が容易になり、風車の価格低下に貢献してい ます。 Aluwind

Photo: Bladt Industries

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風力業界による風力業界のための基準

世界的な大手風車メーカーSiemens Wind PowerとVestas Wind Systemsが、大手サプライヤーKK Wind Solutions、LM Wind Powerと 手を組み、前例のないプロジェクトに取り組んでいます。APQP4Windと呼 ばれるこのプロジェクトは、メーカーとサプライヤーの間で品質保証に関 する専門用語を統一することを目的としています。共通の枠組みで作業を 進めることにより、損失額の大きい生産ミスのリスクを防ぐことが可能にな ります。成果はエネルギー・コストの低減につながり、バリュー・チェーン全 体の利益に寄与するでしょう。 2017年初めに始動したこのプロジェクトは、マニュアルと一連の研修コー スを提供し、参加者がAPQP4Windの基準を自社の生産工程に取り込め るよう支援しています。デンマークのバリュー・チェーン全体に普及させる には、マニュアルと研修のコンセプトをさらに充実させる必要があります。 ゆくゆくはデンマーク発の基準を世界標準に育てたいという希望もありま す。APQP4Windプロジェクトはデンマーク風力産業協会(Danish Wind Industry Association)を中心に運営され、デンマーク産業財団(Danish Industry Foundation)の支援を受けています。APQP4Windはデンマー ク風力産業協会の登録商標です。 APQP4Wind.org Megavindによる共同戦略の提唱 戦略的パートナーシップ機関のMegavindは、デンマークの風力業界の競 争力を維持・向上させる環境の整備に関し、政府・業界の指針となる提言 を作成しています。企業と大学の緊密な協同作業により戦略と提言を練る ことにより、新たな試験センターの設立など、いくつもの大きな成果を上げ ています。このパートナーシップは、試験、実証、研究戦略を育む新たなイン センティブを与える役割を果たしています。 2015年、Megavindパートナーシップは洋上風力発電のコストを計算する モデルを開発しました。この計算モデルは誰でも無料で利用することがで き、関係者全員が合意できる共通の均等化発電原価(LCOE)の計算方法 を提供しています。今日、この計算モデルは洋上風力発電のコスト削減を 追跡するために広く利用されています。 Megavind

Photo: Danish Wind Industry Association

Photo: State of Green

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London Array:630 MW イギリス 2013年 デンマークの貢献: ディベロッパー&オペレーター 風車 風車設置 基礎設置 基礎の主要施工業者 基礎の設計 変電所の設計 モノパイル&トランジションピース グラウチング 物流管理 風況、波、水流の監視 プロジェクト・ファイナンス Gode Wind 1-2:582 MW ドイツ 2016年 デンマークの貢献: ディベロッパー&オペレーター 風車 風車設置 電力ケーブル(アレイケーブル)敷設 変電所の設計 変電所 MV/HV設備 モノパイル&トランジションピース 物流管理 海底探査 プロジェクト認証 プロジェクト・ファイナンス デンマーク 2013年 デンマークの貢献: ディベロッパー&オペレーター 風車 風車設置 変電所設置 変電所設計 変電設備製造 送電ケーブル 送電ケーブル製造 送電ケーブル敷設 基礎の主要施工業者 基礎の設計 モノパイル&トランジションピース モノパイル&トランジションピースの設置 グラウチング 物流管理 海底探査 環境アセスメント プロジェクト・ファイナンス Horns Rev 2:209 MW デンマーク 2009年 デンマークの貢献: ディベロッパー 作業員海上宿泊施設 風車 風車設置 基礎 基礎設置 基礎の設計 オペレーター 変電所 変電所設置 プロジェクト・ファイナンス

のハブ拠点

洋上風力発電の歩みと

デンマークの貢献の例

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Photo: Danish Wind Industry Association, Bent Nielsen

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ブレード 目安として、洋上風車の容量1MWで、デンマークの約 1,000世帯の年間消費電力を賄うことができます。 デンマークの電力消費に占める風力発電の割合は、2004 年が18% 、2013年が33% 、2015年が42%、 2016年 が37.6%と着実に増加しており、2021年までには50%を 上回ると推定されています。 2016年にデンマークで新規に設置された陸上風車の平均 容量は3MWでした。 2016年のデンマークにおける電力1kWhの構成比は風力、水力、 太陽光が51%、石炭が24%、廃棄物、バイオマス、バイオガスが 14%、天然ガスが 8%、原子力が2% 、石油が0%でした。 2016年末には、デンマークの国民1,000人当たり915kWの 風力発電機が設置されたことになります。 時にはデンマークの風車が国内市場で消費しきれない電力を生産 することもあります。2016年4月17日、デンマークの電力系統にお ける風力のシェアは103.6%に達し、余剰分は系統接続されている スウェーデン、ノルウェー、ドイツに輸出されました。 風車は耐用年数25年の間に、建設に消費されるエネルギーの40 倍を生産することができます。 デンマークの電力供給は非常に信頼性が高く、99.997%の確度で 安定的に電力が供給されています。 トランジショ ンピース 基礎 ナセル ハブ 増速機 発電機 タワー モノパイル トライポッド ジャケット 重力式 サクション ジャケット 陸上 バケット サクション バケット プラットフォーム 基礎タイプ:

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Rønland 17 MW 2003 Vesterhav North 180 MW 2021 Nørhede-Hjortmose 72.6 MW 2014 Hogager 46.2 MW 2017 Lem Kær 34 MW 2012 Høvsøre 大型風車 国立試験センター Vesterhav South 170 MW 2021 Horns Rev 3 400 MW 2019 Horns Rev 2 209 MW 2009 オラン ダ イギリス Horns Rev 1 160 MW 2002 Global Lightning Protection Services Frederikshavn 7 MW Klim Fjordholme 70.4 MW 2015 Anholt 400 MW 2013 Tunø Knob 5 MW 1995 Sprogø 21 MW 2009 Smålandsfarvandet 200 MW Nysted 165 MW 2003 Rødsand II 207 MW 2010 Avedøre Holme 11 MW 2009/2010 Middelgrunden 40 MW 2000 DELTA DHI Force Technology Danish Technological Institute 発電所名 発電容量(MW) 運転開始年 自治体別 風力発電導入量 0 - 9.9 MW 10 - 49.9 MW 50 - 99.9 MW 100 - 199.9 MW 200 - 600 MW House of Green Kriegers Flak 600 MW 2021 Samsø 23 MW 2003 LORC Lindoe 洋上 再生可能エネルギーセンター Østerild 大型風車 国立試験センター Blaest ブレード試験センター 輸入容量 1,632 MW 輸出容量 1,632 MW 輸入容量 680 MW 輸出容量 740 MW 輸入容量 1,300 MW 輸出容量 1,700 MW 輸入容量 400 MW 輸出容量 400 MW 輸入容量 600 MW 輸出容量 600 MW 輸入容量 600 MW 輸出容量 600 MW 輸入容量 1,635 MW 輸出容量 1,915 MW 輸入容量 700 MW 輸出容量 700 MW 主な 陸上風力発電所 ケーブル接続(現状) 試験施設 洋上風力発電所 その他関連施設 建設中 ケーブル接続(提案段階) 建設中 デンマークの陸上風力発電の総容量:3,978 MW デンマークの洋上風力発電の総容量:1,266 MW

ノルウェー

スウェーデン

ドイツ

デンマークの風力発電施設

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デンマークの風力業界にとって、イノベーション の追求は終わりのない道のりです。新しいアイデ アが実現可能か、また新規のソリューションにど れほどの耐久性があるかを確認するために、企 業は徹底的な試験を行います。試験の目的は、よ り性能が高く発電コストの低いソリューション を実現し、陸上・洋上に関わらず風力発電による 電力を消費者に低価格で安定的に提供すること です。部品レベルの試験を積極的に行うと同時 に、試作品の部分的なテストやフルスケールのテ ストを行うことにより、設計や生産段階の潜在 的な欠陥を特定し、最終製品が顧客に引き渡さ れる前に修正することが可能になります。 初期の試験段階で風車の設計や生産の欠陥を 特定し修正すれば、量産後または世界各地に設 置した後で対処する場合に比べ、コストを大幅 に節減することができます。したがって、適切な 試験施設を整備することは、風力発電の均等化 発電原価(LCOE)低減につながるのです。 デンマークの風力業界の実力を見ることができ る施設が、Østerildという田舎町にあります。こ こは高さ250mまでの風車を試験できる世界で 唯一の施設で、現在7基の試験用の大型風車が 設置されています。デンマーク南部のFunen島 にあるLindoe Offshore Renewables Center (LORC)は、風車メーカーがナセルの試験を行 う施設です。移り変わる過酷な環境条件を設定 し、製品の耐用年数にわたる性能をシミュレー ションすることができます。 試験施設と豊富な知識で世界企業を呼び込む 風力関連の豊富な知識を求め、世界各地から風 力業界の有力企業がデンマークに集まってきま す。中国のEnvision Energy社やGoldwind社 もこうした一例で、研究開発部門をデンマーク に開設しました。Envision Energyはデンマー クのメーカーSiemens Wind Power、Vestas Wind Systems、MHI Vestas Offshore Wind と並び、GE-Alstomと共にØsterildにも拠点を 構えています。 研究機関の貢献 デンマークの技術系大学は、世界でいち早く 風力発電の研究を始めました。1970年代後 半、風力企業が新興産業として発電事業を始 めた頃、Risoe国立研究所(現在のDTU Wind Energy)に風車の試験場が設立されました。 デンマーク政府は、風車がデンマーク市場で販 売される前に試作品の認証業務をRisoe国立 研究所に託しました。こうして早い時期から風車 の試験、設計の改善、研究プログラムなどで大 学と企業が協力するようになったのです。大学と 企業の協力関係は現在も続いており、お互いの 知識や人材の共有により相乗効果を得ていま す。デンマークの研究環境は風力産業とともに 拡大してきました。近年は他国でも素晴らしい 研究環境が生まれていますが、デンマークの研 究機関は現在も世界最高レベルであると評価さ れています。 強い風力業界を維持するためには試験設備を整備することが重要です。デンマークでは風力業界による国際基準の設定や、風車の性能の向上を支援す るために、世界クラスの様々な試験設備を企業が利用できる独自の環境を整えています。

デンマーク風力産業協会 CEO  (CEO, Danish Wind Industry Association) Jan Hylleberg

優れた試験環境の5つの要素

• 公共/民間資金による最先端の試験施設

• 世界をリードする風力分野の研究機関

• 高度な教育を受けた風力分野の人材

• 多くの経験を積んだ研究開発従事者

• 試験設備とR&D拠点が近距離

LCOEは、風力発電所の開発コスト、資 本投資、財務コスト、生涯運転コストを 勘案した全コストを、生涯発電量で割 った値です

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Photo: MHI Vestas Offshore Wind

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Nissum Bredningの試験構想 世界の風力市場関係者は、洋上風力発電のコストを下げ価格競争力を維 持するために、実証プロジェクトの機会を常に求めています。2015年7月、 デンマーク・エネルギー庁は洋上風力発電所の設立と運営に関わる新技 術の実証プロジェクトの公募を開始しました。同プロジェクトによって発電 された電力は、最初の約11年間は約0.09ユーロ/kWh(約12.1円/kWh) の差額決済契約、その後は廃止まで市場価格で売電することが可能です。 開発が可能であると保証できる技術力や資金力、また技術の商業化の見

通しなどを最低限の条件とし、2016年2月にI/S Nissum Bredning Vind の28MWの実証プロジェクトが採択されました。同プロジェクトの主な試 験対象はSiemens Wind Power製の7 MWの風車、同社の設計コンセプ トに基づいた重力ジャケット式基礎とコンクリートのトランジションピー ス、タワーの軽量化、66kVケーブル、開閉装置ソリューションです。

Nissum Bredning Vind I/S, Jysk Energi A.m.b.a., Siemens Wind Power A/S Østerild試験センター -可能性は無限大 大型風車は洋上用に設計されたものです。しかし、洋上風車の実験を陸上 で行わなければならない場合も多く、絶え間なく強風が吹く場所が最適の 試験環境となります。大型風車の試験が行える、世界最大の試験センター がデンマークのØsterildにあります。同センターでは最大高さ250m、容量 16MWの風車を7基まで設置することが可能です。この田舎町に世界各国 の風車メーカーの試作品が集まり、デンマーク工科大学が風車メーカーと 緊密に連係しながら研究を進めています。また、この最先端の試験センタ ーには、毎年訪れる毎年5万人にのぼる見学者に対して、デンマーク工科 大学が風力発電に関する説明を行っています。Østerild試験センターは数 年のうちに拡大を計画しており、さらに高さのある風車を洋上に設置する 前に試験できるようにする予定です。 デンマーク工科大学 DTU

Photo: Siemens Wind Power

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過酷な気候条件下での試験

LORCのスタッフは洋上風力発電に関する幅広い知識に加え、Lindø にあ るLORCの大規模試験場の活用方法を熟知しています。LORCを利用する 企業は自社の製品についての専門家です。その他にも、試験のシナリオを 補強するため、様々な分野のパートナーや専門家が協力しています。 「機能試験場 (Function Test Facility)」では、管理されたテスト環境下

で過酷な自然条件に晒された時、ナセルの電気システムの性能や安定性 にどのような影響があるか、また電力網の要件に適合できるかを確認する ことができます。12MNm以上のトルクを発生する13MWのダイレクト・ドラ イブ・モータにより、10MW前後のナセル試験を行うことが可能です。また、 他のフルスケールの試験施設でも、高加速寿命試験(HALT)や耐候試験を 行い、洋上の気温、湿度、塩水噴霧の調節により厳しい環境をシミュレート することができます。 LORC 巨大なブレードで、大量のエネルギーを捉える 洋上風力発電は将来のクリーンな再生可能エネルギー供給において重要 な役割を果たすと期待されており、コスト削減も着実に進んでいます。各 社の競争や、風車・部品の大型化により、最新の洋上風力プロジェクトによ る電力価格は2012年のプロジェクトの半分近くまで下がっています。例え ば、2016年6月にLM Wind Powerが発売した全長88.4mの洋上風車用 ブレード。この巨大ブレードは新開発のカーボン・ガラス複合技術を使い、 荒波や過酷な天候下においても、25年間洋上での使用に耐えられるよう 設計、製造され、試験済みです。88.4mのブレードを持つ風車は、1基で欧 州の1万世帯に電力を供給することができます。 データ • 全長:88.4 m • 重量:34 t • 先端速度:300 km/h • デンマークのLunderskovにある LM Wind Powerが製造(2016年6月) LM Wind Power Photo: LORC

Photo: LM Wind Power

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Burbo Bank Extension洋上風力発電所の建設現場 風力は豊富にある自然資源から得られるクリー ンなエネルギーです。環境や気候変動の観点か ら見た風力発電の利点は広く知られるところで す。 技術が成熟して規模が大きくなり、エネルギー・ システムと電力市場が更に大量の風力エネルギ ーを導入するとなれば、風力エネルギーの価格 は下がり、安定したエネルギー・システムに大き く貢献することができます。 つまり、風力エネルギーはビジネスの競争力を 高めるための重要な要素。信頼できる安価なグ リーン・エネルギーを求めるグローバル企業か らの投資や関与を呼び込みます。 雇用を生む風力発電 風力発電はデンマークをはじめとする欧州や他 の地域に広がり、産業として大きく成長しまし た。今日、風力業界は雇用、成長、輸出、富の大 きな原動力となっています。WindEuropeによれ ば、欧州の風力業界は30万人超を雇用し、年間 720億ユーロ(約9兆7,000億円)を売り上げる 一大産業となっています。

デンマーク風力産業協会(Danish Wind In-dustry Association)によれば、デンマークでは 民間企業の就業者数の2%に当たる3万1,000 人以上が風力産業に従事しています。風力業界 はあらゆる技能レベルの雇用を創出し、多くの 仕事が首都圏から離れた地域で生み出されま す。実際、デンマークの風力関連の仕事の80% が、デンマーク西部の農村地帯に分布していま す。 風車の設置段階では建設作業の仕事が生まれ、 さらに運転や保守のために長期の雇用も創出さ れます。洋上風車の設置時には、容量100MWに 対して1,800人の雇用が創出されます。 環境とビジネスの両方で成功 2015年、デンマークの風力関連技術の輸出 額は、財輸出額の5%に当たる44億ユーロ(約 5,911億円)になりました。 デンマーク・エネルギー産業連盟(Danish Energy Industries Federation)による と、2016年のデンマークのエネルギー関連技 術の総輸出額は、財輸出額の11.8%を占めまし た。EU加盟国中で最も高水準であり、デンマー クが風力を含むエネルギー関連技術の輸出で 高い能力と専門性を誇っていることを示してい ます。 デンマークのエネルギー関連技術輸出は近年 堅調なペースで伸びており、なかでも風力は重 要な牽引役となっています。デンマーク政府とエ ネルギー業界は、2030年までにエネルギー関 連技術の輸出額を現在の倍の190億ユーロ(約 2兆5,500億円)に引き上げるというビジョンを 共有しています。 「風力エネルギーは業界に雇用と成長をもた らし、地元に発電所の建設、運転、保守の仕事 を創出します。また、再生可能な、ローカルな エネルギーを利用して社会全体の成長と競争 力強化に貢献する、多様性に富んでいて、強靱 な、優れた現代のエネルギー・システムの一部 です」 デンマーク・エネルギー産業連盟 理事 Troels Ranis氏 風力発電の拡大は、業界や関連分野に雇用を創 出します。プロジェクトの立ち上げ時に地元で多 くの人手を求めるだけではなく、その後も運転 や保守など長期的な雇用を創出します。デンマ ークでは風力産業が発展し、全国各地に風車が 設置されているため、多くの雇用が創出されてい ます。世界の例を見ても、風力発電は建設段階 と長期の両方において地元の雇用と成長に貢献 しています。 「環境政策」は「成長政策」です。風力業界に雇用、成長、輸出をもたらし、地元に建設や保守の仕事を創出し、経済の競争力を高めるクリーン・エネルギ ーを供給します。

デンマーク・エネルギー産業連盟 理事 (Director, Danish Energy Industries Federation) Troels Ranis

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-2% 4% 6% 8% 10% 12% 14% 16% 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 他のエネルギー関連技術 グリーン・エネルギー関連技術 2011 2012 2013 2014 2015 2016

デンマークの財輸出におけるエネルギー関連技術の比率(2000∼2016年)

グリーン技術は輸出の牽引役 2016年、デンマークのエネルギー関連技術の輸出額は、財輸出総額の 11.8%に相当する100億ユーロ(約1兆3,500億円)にのぼりました。この 割合はEU15の国で最も高い水準です(平均は7.1%)。 デンマークの輸出データをさらに分析してみると、2016年のエネルギー関 連技術の輸出額の57%をグリーン・エネルギー関連技術が占め、その輸出 額は2010年以降44%伸びていることがわかります。なかでも風力関連技 術は大きな部分を占めており、デンマークがいかに最先端のグリーン・エネ ルギー関連技術の輸出に長け、グリーン経済への転換がデンマークに成長 をもたらしているかを示しています。

Confederation of Danish Industries

風力発電所が地方の雇用を創出 これまでの多くの経験から、たとえ風車自体が別の場所で製造されたとし ても、風力発電所が地元で多くの雇用を創出することが分かっています。 400MWのAnholt洋上風力発電所は8,000人分の一時雇用を生み出し、 うち1,400人が熟練/非熟練作業員でした。こうした労働者の多くは、基 礎に使われる材料などの輸送に関わった近隣の町Grenaaで募集されまし た。風車建設に携わった作業員の多くは、Grenaaもしくは周辺の町に住ん でいます。建設が完了したあと、同発電所では運転と保守の人員として70 ~100人を正規雇用しています。

Djurs Wind Power(DWP)は、Anholt洋上風力発電所の地元業務を支援 する目的で設立され、現在は合計1,200人を雇用する32社が関わってい ます。計画、製造、組み立て、設置のノウハウを提供する企業から、運転、保 守を行う企業まで、様々なサービスを行うシステム・サプライヤーが名を連 ねています。DWPは32社を代表する総合窓口を設置し、多様なサービスや ソリューションを提供することにより、ローカルなネットワークを強化しさ らなる雇用創出に貢献しています。

3F - United Federation of Danish Workers (デンマーク労働組合)

Note: Export figures excluding oil rigs

Source: Danish Energy Technology Exports 2016 by Danish Energy Industries Federation, Danish Energy Association and the Danish Energy Agency

Photo: Ørsted

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政治判断 ディベロッパー との技術対話 事前審査 環境影響評価 応札・落札者選定 認可ための ワン・ストップ・ショップ 条件付きの建築合意 デンマークの洋上風力の入札制度 デンマークでは、洋上風力発電所のための入札 制度は、事前審査と応札候補者と投資家との 事前の技術対話の両方を含む交渉プロセスで す。Horn Rev 3およびKriegers Flakの洋上風 力発電プロジェクトの公募は同時に開始しまし たが手続きが成立したのはそれぞれ、2015年 春と2016年秋です。どちらの事例においてもデ ンマーク・エネルギー庁(DEA)が公募を行いま した。 洋上風力発電候補区域を審査 公募内容の策定、及び風力発電に適した地域 の選定において、DEAはプロジェクトを取り巻く 共通の関心事について継続的に関係当局と対 話を行っています。関心事としては、送電網の接 続、国防の側面、海軍や商船の海路、自然環境 の保護、資源開発、漁業及び海洋考古学が含ま れます。対話は選定された区域に関する対立の リスクを低減します。 応札候補者と投資家との事前協議 洋上風力発電所の建設は、複雑な投資案件で す。技術進歩や経済性の変化は、公募内容の枠 組み条件(構成)の設計に大きく影響します。枠 組み条件が市場において魅力的かつ柔軟であ るために、応札候補者が意見を提供できるよう DEAは技術的対話を実施します。つまり、DEA はテーマを選定した上で意見を求めます。すな わち応札候補者に、補足となるアイデアの提案 を依頼しているのです。 関係者全てのリスクをさらに低減するため に、DEAは投資家が直面する市場の課題につい ての情報も探求しています。これは、約定通知や 契約書を策定する前に、公募プロセスの初期段 階において潜在的な不備の修正を可能にしま す。最終の契約書類に含まれる枠組み条件の変 更に関する、全てのコメントや提案は匿名化さ れた形で公表されます。 落札基準 デンマーク・エネルギー庁は、洋上風力発電所 の設置に必要な許可・認可のプロセスを、それ ぞれ関係機関との調整も含め、一元的に担って います。1つの政府機関が調整することは「ワン・ ストップ・ショップ」と言われています。デンマー クの洋上風力発電プロジェクトの公募における たった一つの選定基準は、最初の全負荷時間5 万時間(おおよそ11~12年間の補助金期間に 相当)の価格(デンマーククローネ/キロワットア ワーあたり、DKK/kWh)です。洋上風力発電所 の25年間の推定耐用年数の残った期間は、電 力は市場価格で売電されます。 2012年のデンマーク・エネルギー合意の一部として、2つの大規模洋上風力発電所が2021年の年末にまでに建設される予定。400MWの Horns Rev 3と600MWのKriegers Flak の洋上風力発電プロジェクトはデンマークのグリーン経済への転換の一部となります。

デンマーク・エネルギー庁(DEA) 副長官 (Deputy General Director, Danish Energy Agency) Martin Hansen

Source: Danish Energy Agency

ワン・ストップ・ショップとしてのデンマーク・エネルギー庁 洋上風力発電は、徹底して、十分に考慮された計画を要求します。例えば、 自然環境、海洋の安全性、海洋での資源開発、景観、送電線への接続条件 を含む多様な側面への考慮が必要です。デンマークでは、洋上風力発電所 を建設するためには、数多くの異なる許可が必要であり、これらの許可は 複数の当局によって付与されます。デンマーク・エネルギー庁は、公募で選 ばれた事業者がより簡単に迅速にプロジェクトを実施できるように、ワン・ ストップ・ショップのコンセプトを開発しました。このコンセプトは、DEAが 必要な許可を管轄する当局との調整を担います。ワン・ストップ・ショップの コンセプトは洋上風力発電所の建設に関わる行政手続きの手間を一元化 します。したがって、このコンセプトでは事業者に円滑な許可・認可を取得 するプロセスを保証し、同時にDEAは他の当局における洋上風力への更な る理解の促進に貢献することができます。

Danish Energy Agency

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140 120 100 80 60 40 20 0

Anholt (2010) Horns Rev 3 (2015)

洋上風力プロジェクト(落札年) デンマーク洋上風力落札価格 デンマークの洋上風力発電プロジェクトの落札価格 Kriegers Flak (2016) ユー ロ /MWh Anholt: 400 MW (2010) 141ユーロ/MWh (約19,000円/MWh) 103.1ユーロ/MWh (約14,000円/MWh) 49.9ユーロ/MWh (約6,700円/MWh) Horns Rev 3: 400 MW (2015) Kriegers Flak: 600 MW (2016) 洋上風力発電所入札の歴史的な低価格 2016年11月に、Vattenfallは、600MWでデンマーク最大となるKriegers Flakの建設権利を落札しました。入札価格はMWhあたり49.9ユーロ(約 6,700円/MWh)で、Kriegers Flakは現在まで最も安価な洋上風力案件と なりました。低価格は、市場に参入する事業者が増加し、競争力が高まっ た事によるもので、洋上風力エネルギーの市場がより成熟したことを反映 しています。更に、デンマーク・エネルギー庁によって柔軟で単純な入札 制度が導入されたことが、入札価格の低減に繋がりました。過去数年間 で、洋上風力関連技術の大幅なコスト削減が見られ、価格は2010年の Anholt入札でのMWhあたり141ユーロから、2016年のKriegers Flak入 札でのMWhあたり49.9ユーロまで激的に低下しました。2021年まで に、Kriegers Flakは、デンマーク国内の全世帯の23%、60万世帯以上の 年間消費量に相当する電力を発電する予定です。 Vattenfall Vindkraft 政府間の合意 デンマーク・エネルギー庁(DEA)は、いくつかの新興国の政府と協力し炭 素排出量の削減に貢献し、低炭素経済へのエネルギー転換を支援してい ます。これらのパートナーシップ・プログラムには、中国、メキシコ、南アフリ カ、インドなどが含まれます。 これらプログラムを通じてのグリーン・エネル ギーへの転換の潜在的な影響は、世界の温室効果ガス排出量の50%以 上、30億人のエネルギー消費者に匹敵します。 政府間合意を通じて、長期的なエネルギー計画とモデル化、再生可能エネ ルギーの導入、エネルギー効率の改善、気候変動緩和策などの政策改善 に主な焦点を当てています。DEAは、民間部門と密接に連携してきたデン マークのエネルギー・モデルの開発経験に基づいて、官民協力を積極的に 推進しています。DEAの二国間協力の具体的な例の1つとして、中国におい て大規模な風力発電由来の電力の送電網への導入に向け関係者と密接 に協力を進めています。

National Energy Administration (NEA), China National Renewable Energy Centre (CNREC), Energinet.dk, Ea Energy Analyses

Source: Danish Energy Agency

Source: Danish Energy Agency

参照

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