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一. 中国最新法令 (2017 年 2 月中旪 ~2017 年 3 月中旪公布分 ) 1. 中央法規 1 (1) 民法総則第十二回全国人民代表大会第五回会議 2017 年 3 月 15 日公布 2017 年 10 月 1 日施行 1 背景中国では 1949 年 10 月 1 日以来 婚姻法 経済契約

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TMI 中国最新法令情報

―(2017 年 3 月号)―

TMI 総合法律事務所

〒106-6123 東京都港区六本木 6-10-1 六本木ヒルズ森タワー23 階 TEL: +81-(0)3-6438-5511 E-mail: [email protected] 〒200031 上海市徐匯区淮海中路 1045 号 淮海国際広場 2606 室 TEL: +86-(0)21-5465-2233 〒100020 北京市朝陽区朝外大街乙 12 号 昆泰国際大厦 2412A 室 TEL:+86-(0)10-5925-1200 皆様には、日頃より弊事務所へのご厚情を賜り誠にありがとうございます。 お客様の中国ビジネスのご参考までに、「TMI 中国最新法令情報」をお届けします。記事の 内容やテーマについてご要望やご質問がございましたら、ご遠慮なく弊事務所へご連絡下さい。 バックナンバーについては、弊事務所のウェブサイトに掲載させていただきますので、併せて ご利用下さい。(http://www.tmi.gr.jp/global/legal_info/china/index.html) 目次 一.中国最新法令 1. 中央法規 (1) 民法総則 (2) 中西部地域外商投資優勢産業目録(2017 年改正) (3) 「中華人民共和国企業所得税」の改正に関する決定 二.連載 中国企業法実務/第十一弾:外商投資企業の各種手続 (第 4 回 増資・減資) 三.中国法務の現場より 1. 今年の 315 晩会 2. たかが傍聴、されど傍聴

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一.中国最新法令(2017 年 2 月中旪~2017 年 3 月中旪公布分)

1.中央法規 (1) 民法総則1 第十二回全国人民代表大会第五回会議 2017 年 3 月 15 日公布、2017 年 10 月 1 日 施行 ① 背景 中国では、1949 年 10 月 1 日以来、婚姻法、経済契約法、渉外経済契約法、相続法、 民法通則、技術契約法、養子法、担保法、物権法、不法行為法及び渉外民事関係法律 適用法等、全部で 12 部の民事関係法が制定されている。そのうち、契約法の施行に 伴い、経済契約法、渉外経済契約法及び技術契約法は廃止され、現在有効に存続して いる民事関係法は、合計 9 部である。 1987 年 1 月 1 日から施行されている民法通則は、法人相互間並びに公民と法人の 間の財産関係及び身分関係を調整する基本的な法律であり、自然人、法人、契約、物 権、債権及び民事責任等民法の基本的な制度及び一般的なルールを定めており、形式 上は民事法の総則的な法律と位置付けることができる。もっとも、民法通則は、内容 が比較的粗雑であり、また計画経済時代の色彩が濃厚であり、社会主義市場経済及び 法による治国という方針が反映されていないため、その内容が現代中国における実情 に沿わなくなっている。そのため、現代的民法典を制定することは、中国が直面して いる重要な立法課題となっていた。 2014 年 10 月 23 日に公布された「法による治国の全面推進に関する若干の重大な 問題の決定」2において、民法典の制定が明確に定められたことにより、本格的に現 代的民法典の制定作業が開始され、今般、新たに民法総則が公布された。 2020 年に施行することを目指している民法典の制定は、二段階に分けて立法作業 が進められており、第一段階が民法総則の制定、第二段階が現在有効な民事関係法律 を基礎とした民法典の各論を編纂することとされている。したがって、民法総則の公 布は、上記一連の立法作業の第一段階が完了したことを意味し、引き続き、立法作業 の第二段階が継続して行われることになる。 ② 内容 民法総則は、全 11 章計 206 ヶ条で構成されており、将来の民法典の各論に共通に 適用される総則的規定として、内容が比較的に豊富である。 紙幅の関係上、民法総則の規定を網羅的に解説することは難しいため、特にご留意 されたい事項にポイントを絞って紹介をさせていただく。 1 《中华人民共和国民法总则》(中华人民共和国主席令第 66 号) 2 《关于全面推进依法治国若干重大问题的决定》

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ア 法律適用の原則 (a) 特別法と民法総則の関係 その他の法律で、民事関係について特段定めている場合、当該法律を適用する とされており、逆に特段の定めがない場合は民法総則が適用されると解される3 ここにいう「その他の法律」と民法総則とは、特別法と基本法の関係にある。 民法総則の施行前においては、単一の法律である民法通則が基本法であり、契約 法、物権法及び不法行為法等の法律は、民法通則に優先して適用される特別法と いう関係である。これに対して民法総則は民法通則と異なり、民法典の総論と位 置付けられており、民法典の各論として編纂される契約法、物権法及び不法行為 法等の法律と同様、民法典上の法律制度として整理されるため、今後民法典の各 論が公布・施行された後は、これらの規定と民法総則とは、特別法と基本法の関 係ではなくなる。 民法総則の施行後、民法典の各論が公布・施行されるまでの間、民法総則と、 現在有効に存続している契約法、物権法及び不法行為法等の法律との間で整合し ない定めがある場合、新法が優先的に適用されるという原則に基づき、民法総則 が適用されることになる。 また、民法総則の施行後においては、会社、知的財産権、保険、証券、手形、 海商等の関連法律が、特別法として位置付けられる。 (b) 法的弱者の民事上の権利保護に関する法律の適用 法律上、未成年、老人、障害者、婦女及び消費者等の民事権利保護に関する特 別な規定がある場合、当該規定を適用する4 これは、法的弱者の民事上の権利保護に関する特別な法律の適用に関する規定 である。例えば、女性の労働及び社会保障に関する権益、並びに婚姻及び家庭に 関する権益等を定めた、婦女権益保障法5、消費者の権利及び事業者の義務等を 詳しく定めた消費者権益保護法6といった法律がここにいう特別な規定に該当す る。 (c) 民事紛争案件の処理における慣行の適用 民事紛争案件を処理する場合、法律に従わなければならない。法律に規定がな い場合、慣習を適用することができるが、公序良俗に違反してはならない7 日本の民法をはじめ8、スイス、韓国、台湾等の民法典においても、慣習の適 3 民法総則第 11 条 4 民法総則第 128 条 5 《妇女权益保护法》 6 《消费者权益保护法》 7 民法総則第 10 条 8 民法第 92 条

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用に関する規定が定められており、また、中国の契約法においても、当事者は信 義誠実の原則に従い、契約の性質、目的及び取引慣行に従って通知、協力、秘密 保持等の義務を履行しなければならない、と慣習を法源として扱っている9 民事関係が複雑となり、また社会の発展に伴い、新型案件が絶え間なく発生す るため、公序良俗に違反しない前提の下での慣習の適用は、民事紛争案件の処理 に有益といえる。 (d) 渉外民事関係の法律の適用 民法総則においては、渉外民事関係に関する法律の適用については定められて いない。 現行の民法通則第 8 章で定められている渉外民事関係の法適用に関する規定 については、2010 年に施行された渉外民事関係法律適用法10が民法通則の特別法 としてこれを網羅しており、渉外民事関係については民法総則施行後においても 同法に基づいた処理がなされるものと思われる。 イ 法人 (a) 法人の分類 民法総則は、民法通則で確立されている企業法人及び非企業法人の区分方法を 踏襲しつつ、ドイツ及びスイスの立法例に倣って、法人を営利法人及び非営利法 人に分類している。 また、営利法人については、民法通則と異なり、全人民所有制企業、集団所有 制企業、外商投資企業等のように細かく分類せず、取得した利益を株主等の出資 者に配当する目的で設立する法人を営利法人として定義し11、有限責任会社、株 式有限会社及びその他企業法人等が含まれると定めた12 非営利法人については、公益目的又はその他非営利目的で設立し、出資者、発 起人又は会員に利益を配当しない法人と定義し13、非営利法人には、事業単位、 社会団体、基金会、社会サービス機構等が含まれる14 上記からすると、民法総則においては、法人の資本的性質は重視されず、法人 の設立趣旨及び事業目的によって、その種類が分類されているといえる。 (b) 法定代表者又は法人の役務を執行する従業員の権限に対する制限 法定代表者の代表権は、法定代表者の地位により生じ、株主会又は董事会等に よる特別な権限付与は不要であるため、法定代表者の代表権の濫用を防止するた 9 契約法第 60 条第 2 項 10 《中华人民共和国涉外民事关系法律适用法》 11 民法総則第 76 条第 1 項 12 民法総則第 76 条第 2 項 13 民法総則第 87 条第 1 項 14 民法総則第 87 条第 2 項

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めに、その代表権を制限する必要がある。 法定代表者の代表権への制限については、民法通則には明確な規定はなく、契 約法において、法人又はその他の組織の法定代表者、責任者が権限を越えて締結 した契約は、相手方がその権限踰越を知り又は当然に知り得べき場合を除き、当 該代表行為は有効であると定めている15 民法総則は、契約法の上記規定の趣旨を踏襲し、法定代表者が法人の名義で民 事活動に従事する場合、その法律効果は法人が引き受けると定めた上16、法人の 定款又は法人の権力機関が法定代表者の権限を制限したとしても、善意の相手方 に対抗できないと定めている17 上記規定からすると、法人の定款又は株主会決議等により法定代表者の権限に 制限をかける場合には、それは、法人内部の制限に留まり、法定代表者がその権 限外の法律行為を行ったとしても、善意の第三者に対して、当該法人はそのよう な内部的な制限に基づく法的効果の無効を主張することができないということ になる。無論、法人は、法定代表者による代表権の踰越により損失を被った場合、 法定代表者の民事責任を追及することになろう。 なお、法人の事務を執行する従業員が職権範囲内の事項について法人の名義で 民事法律行為をする場合、その法律効果は法人に帰属する。法人が事務を執行す る従業員の職権権限の範囲を制限しても、善意の相手方に対抗することはできな い18 (c) 法人設立行為 民法総則においては、法人の設立者が法人設立行為に対して負担すべき責任に ついて、一般的な規定が設けられている。具体的には、発起人が法人の設立のた めに実施した民事活動の法律効果は、法人に帰属し、法人の設立が未了の場合、 その法的効果は発起人に帰属する。発起人が二人以上である場合、発起人が取得 する債権は連帯債権に、発起人が負担する債務は連帯債務を構成する19 「最高人民法院による『会社法』適用の若干問題に関する規定(三)」20にお いては、設立者による法人設立行為の責任負担について定められている。 会社の設立段階では、定款等によって権利関係が規律されず、発起人間の権利 義務は不明確であり、紛争が発生しやすい。民法総則及び会社法に関する司法解 釈においては、発起人の責任が明確に定められているため、会社の設立段階で発 15 契約法第 50 条 16 民法総則第 61 条第 2 項 17 民法総則第 61 条第 3 項 18 民法総則第 170 条 19 民法総則第 75 条第 1 項 20 《最高人民法院关于适用<中华人民共和国公司法>若干问题的规定(三)》

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生した債権債務の帰属を出資者間契約等において明記する必要があると考えら れる。 (d) 営利法人の社会的責任 営利法人が経営活動に従事する場合、商業道徳を遵守し、取引安全を維持し、 政府及び社会の監督を受け入れ、社会的責任を負う21 会社法おいても、社会的責任の負担が定められているが22、民法総則の規定に 伴い、会社以外の営利法人についても、同様に社会的責任を負うことが明らかに されたといえる。 ここにいう法人の負う社会的責任は、国家の強制力で保障する法的責任ではな く、被災救済、環境保護、貧困救済等における法人の人的及び経済的な協力を指 す。民法総則における営利法人の社会的責任の規定は、梁慧星氏等中国の民法専 門家から反対されていた。今後、民法総則及び会社法の上記規定を根拠に、会社 等の営利法人に対して社会的責任の履行を求めることができるかという点につ いては注目される。 (e) 非営利法人の財産分配制限 公益の目的で成立した非営利法人は、終了する際出資者、発起人又は会員に対 して財産を分配してはならない。余剰財産は、法人の定款の規定又は権力機関の 決議により公益目的に使用するべきであり、法人の定款の規定又は権力機関の決 議により処理できない場合、主管機関により、設立の目的を同じくする、又は類 似する法人に移転され、かつ社会に公告するものとされている23 上記規定により、例えば、教育機関及び医療機関等の非営利機関の経営が終了 するにあたって、余剰財産を分配する名義で投資者に利益を還元することはでき ないことが明確にされたといえる。 (f) 高級管理職の清算義務 合併又は会社分割の場合を除き、法人が解散する場合には、清算義務者が清算 委員会を立ち上げて清算を実施しなければならず24、法人の董事、理事等の執行 機関又は決定機関のメンバーが清算義務者に該当する25 会社法では株主の清算義務が定められ26、また、「会社法の適用に関する若干 問題の規定(二)」27では有限責任会社の株主、株式有限会社の董事及び株式支 21 民法総則第 86 条 22 会社法第 5 条 23 民法総則第 95 条 24 民法総則第 70 条第 1 項 25 民法総則第 70 条第 2 項 26 会社法第 183 条 27 《最高人民法院关于适用<中华人民共和国公司法>若干问题的规定(二)》

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配株主の清算義務が定められている28 民法総則の上記規定は、現行の規定と異なり、会社の形態を問わず、直接に決 定機関及び執行機関のメンバーを清算義務者としたことによって、これまで清算 義務者として明記されていなかった有限責任会社の董事も清算義務を負担する ことになったといえる。執行機関の厳密な定義については特に定められていない が、通常、総経理及び副総経理等の高級管理職は執行機関に該当すると解される ため、清算義務者として清算義務を負うものと解される可能性がある。 ウ 個人情報の保護 個人情報は、法律により保護される。如何なる組織及び個人も、他人の個人情 報を獲得する場合、法に基づき、かつ情報の安全性を確保しなければならず、個 人情報の違法な収集、使用、加工及び転送、個人情報の違法な売買、提供又は公 開をすることはできない29 中国では、個人情報保護の基本法が設けられておらず、個人情報の保護につい ては、消費者権益保護法30、消費者権益行為処罰弁法31「電信及びインターネット ユーザーの個人情報の保護規定」32及びインターネット安全法33等の法令で個別に 個人情報保護に関する定めが置かれているにとどまる。 民法総則という基本的な法律において、個人情報の保護が明記されたことから すると、遅かれ早かれ「個人情報保護法」の公布及び施行を含む個人情報保護制 度の確立に向けた動きが出てくるものと予想される。会社にとっては、社内で個 人情報保護制度を確立し、事業経営上、厳格に運用することが重要である。 エ 訴訟時効の変更 民法総則は、「民法通則」第 7 章における訴訟時効の内容を大幅に変更し、充実 させた。そのうち一番重大な変更点は、一般的な訴訟時効の期間の延長である。 民法総則によると、法律に特段の定めがある場合を除き、人民法院に対して民 事権利保護を請求することができる訴訟時効の期間は 3 年とされた34。これに対し て、民法通則においては、一般的訴訟時効期間を 2 年間としている35 訴訟時効の期間を延長した原因は、社会生活の深刻な変化及び市場経済の高速 的発展に伴い、新しい取引方法や新しい種類の取引が絶え間なく生まれ、権利義 務関係が複雑化したことにより、2 年間の訴訟時効期間では足りず、権利者の権 28 会社法の適用に関する若干問題の規定(二)第 8 条 29 民法総則第 111 条 30 《消费者权益保护法》 31 《侵害消费者权益行为处罚办法》 32 《电信和互联网用户个人信息保护规定》 33 《网络安全法》 34 民法総則第 188 条 35 民法通則第 135 条

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利保護期間として短くなりすぎていること等が考えられる。特に、銀行及びその 他金融機関は、訴訟時効期間の制限を受けて債権を回収できず、重大な経済的な 損失を被るなど、2 年間の訴訟時効期間による弊害は無視できない問題となって いるため、一般的な訴訟時効期間が 3 年となったことは実務上も大きな意味を持 っている。 なお、1 年間の特別な訴訟時効を適用する人身傷害及び商品品質紛争等36、並び に 4 年間の特別な訴訟時効を適用する国際貨物売買契約及び技術輸出契約の紛争 については37、民法総則において規定がない。後者については、契約法の関連規定 が適用されると理解される。前者については、民法総則に規定がないことで、廃 止された(今後は 3 年間の時効が適用される)という考え方と、民法通則の 1 年 の規定が引き続き適用される(民法通則は形式的には廃止されていないため、民 法総則に規定がなく、民法総則と矛盾しない規定は、残存する)という考え方が ありうる。 (2) 中西部地域外商投資優勢産業目録(2017 年改正)38 国家発展及び改革委員会 2017 年 2 月 17 日公布 2017 年 3 月 20 日施行 ① 背景 近年来、中国では、地域発展の総体的戦略は積極的に推進されている。中西部地域 のインフラ整備及び投資環境は、著しく改善され、2012 年から 2016 年までの 5 年間 で、中西部地域に誘致された外資は、986.7 億米ドルに達している。 国際経済環境の変化及び国内経済構造の調整に伴い、中西部地域は、対外開放及び 外資誘致で新たな機会及び挑戦に面している。今般なされた「中西部地域外商投資優 勢産業目録」(以下「中西部目録」という。)の改正は、より多くの外国企業を誘致し、 中西部へ投資させ、中西部の更なる発展及び競争力の向上を目指す上で重要な意味を 持っている。 ② 内容 ア 中西部目録と外商投資産業指導目録の関係 中西部目録は、中国が外資を誘致するための特定地域の産業政策である。外商 投資方向の指導規定39よると、地域優勢を発揮することができ、外商投資産業指導 目録の奨励類に該当しない外商投資プロジェクトについて、中西部目録に盛り込 み、奨励類の外商投資プロジェクトの優遇措置を与えるものである40。2000 年に 36 民法通則第 136 条 37 契約法第 129 条 38 《中西部地区外商投资优势产业目录(2017 年修订)》 39 《指导外商投资方向规定》 40 外商投資方向の指導規定第 11 条

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中西部目録が公布されて以降、今回が 4 回目の改正であり、適用範囲が中西部地 域、東北地域及び海南省で合計 22 個の地域に適用されるものとされている。 イ 具体的な政策的優遇 現在、中西部目録に列挙される外商投資プロジェクトに投資する場合、主に以 下の政策的優遇を受けることができる。 (a) 投資総額内で自社用設備を輸入する場合、関税徴収が免除される41 (b) 集約用地のプロジェクトにつき、優先的に土地を提供する。所在地と同じ等級 の土地の「全国工業用地払下最低基準」の 70%を下回らない基準で、土地払下 金の底値を決めることができる42 (c) 条件を満足する西部地域における外商投資企業が企業所得税の政策的優遇を 受ける43 (3) 「中華人民共和国企業所得税」の改正に関する決定44 主席令第 24 号 2017 年 2 月 24 日公布 同日施行 ① 背景 2017 年 2 月 24 日の第 12 回全国人民代表大会常務委員会の第 26 回の会議で、「中 華人民共和国企業所得税法」(以下「企業所得税法」という。)第 9 条を改正する決定 が決議された。 2016 年 9 月に施行された慈善法45では、自然人、法人及びその他組織が財産を寄付 し、慈善活動に用いる場合、法により税収優遇を受けることを認めており、企業によ る慈善寄付の支出が法律上許される企業所得税の納税所得の計算で当年控除する部 分を超える場合、当該超過部分については、3 年以内に納税所得額の計算で控除する ことができる46 企業所得税法の改正は、慈善法の上記規定を受けた改正である。 ② 内容 ア 改正前後の内容の比較 条項 改正前 改正後 第 9 条 企業に発生した公益性の寄付支 出につき、年度利益総額の 12% 以内の部分を納税所得額の計算 企業に発生した公益性の寄付支出 につき、年度利益総額の 12%以内 の部分を納税所得額の計算で控除 41 《国务院关于调整进口设备税收政策的通知》第 1 条 42 《国务院关于扩大对外开放积极利用外资若干措施的通知》第 3 条第 17 号 43 《关于深入实施西部大开发战略有关企业所得税问题的公告》 44 《全国人民代表大会常务委员会关于修改<中华人民共和国企业所得税法>的决定》 45 《中华人民共和国慈善法》 46 慈善法第 80 条第 1 項

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で控除することが認められる。 することが認められる。年度利益 総額の 12%を超える部分を繰り越 す場合、3 年以内に納税所得額の計 算で控除することが認められる。 上記対照表のとおり元の規定では、企業による寄付金が当該企業の年度利益総 額の 12%を限度として、当年に控除することができたが、12%を超える部分の控 除については認められていなかった。今回の改正後、12%を超える部分を 3 年以 内に引き続き控除することが認められる。これにより、より高い金額の寄付支出 の税引き前の控除が実現され、公益的な寄付をした企業にとって、企業所得税の 負担が一定の程度で軽減される。 イ 計算方法 財政部の税政司の副司長である張天犁氏が 2 月 24 日に開催したプレスリリース で挙げた以下の例で、今回の改正による企業所得税の負担への影響を説明する。 A 企業の年度利益総額が毎年全部 1000 万人民元であり、A 企業が 2016 年に公 益で寄付した金額が 400 万人民元と仮定する。 年度 年度利益総額 税引き前控除できる金額 改正前 改正後 2016 年 1000 万人民元 120 万人民元 120 万人民元 2017 年 1000 万人民元 0 120 万人民元 2018 年 1000 万人民元 0 120 万人民元 2019 年 1000 人民元 0 40 万人民元47 合計 - 120 万人民元 400 万人民元 改正後の第 9 条の規定に基づくと、A 企業が税引き前で控除することができる金 額は、改正前より 280 万人民元増え、企業所得税率が 25%で計算すると、A 企業が 改正前より納付すべき所得税は、合計 70 万人民元減ることになる。 もっとも、企業所得税の計算は複雑であり、公益寄付は控除項目の 1 つに留まり、 企業所得税の軽減という点で決定的な効果があるとはいえないが、尐なくとも公益 寄付を実施する企業にとっては有益な法改正といえよう48 (苗 暁艶・中国法顧問) 47 2019 年度に最大で税引き前の納税所得から 120 万人民元の公益寄付金額を控除することができる。 48 なお、張天犁氏によると、今後、企業所得税法実施条例においてさらに詳細な内容を定め、また、財 政部及び税務総局が関連規定を制定し、内容を一層具体化させるとのことである。

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第 4 回 増資・減資

1.はじめに 今月号では、外商投資企業の増資及び減資について、近年における法改正等を踏まえ て概要を解説する。 2.増資 (1) 増資の機能 外商投資企業が事業の拡大等に伴い新たに資金を必要とする場合、主な資金調達の 方法としては、①中国国内の金融機関(外資系金融機関を含む。)から融資を受ける 方法、②親会社である外国会社から融資を受ける方法(いわゆる親子ローン)、③登 録資本金を増額して親会社である外国会社から出資を受ける方法(増資)がある49 このうち、①中国国内の金融機関から融資を受ける方法については、金融機関に対 する融資量の金融規制等の理由により、外商投資企業が中国国内の金融機関に融資に 応じてもらうのは容易ではなく、仮に融資に応じてもらえる場合でも利息が日本国内 と比較すると割高であるという問題がある。また、②親会社から融資を受ける方法に ついては、外商投資企業が国外に対して負担する債務(対外債務)の金額は、投資総 額と登録資本との差額(いわゆる投注差)を超えることができないという制約がある 50。この点、③増資の場合には、登録資本金の増加額以上に投資総額を増額し、投注 49 この他、人民元建ての社債発行という手段もあり得るが、実例は尐なく、一般的な手法として浸透し ているとは言えない。 50 投注差を越えることができない対外債務の金額は、短期(1 年以内)の外貨建て債務の残高、中長期 (1 年超)の外貨建て債務の累計発生額、人民元建て債務の累計発生額を合計して算定する(《外债管

二.連載 中国企業法実務

第十一弾:外商投資企業の各種手続(第 4 回/全 9 回)

第 1 回 2016 年 12 月号 外商投資企業の設立 第 2 回 2017 年 1 月号 役員の選任と変更 第 3 回 2017 年 2 月号 定款変更の各場面 第 4 回 2017 年 3 月号 増資・減資 第 5 回 2017 年 4 月号 持分譲渡 第 6 回 2017 年 5 月号 持分出資 第 7 回 2017 年 6 月号 持分質権設定 第 8 回 2017 年 7 月号 企業買収 第 9 回 2017 年 8 月号 解散・清算

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差を拡大することができる。したがって、投注差に余裕がない場合や投注差を拡大し て将来における対外債務による資金調達の余地を広げたい場合には、増資による資金 調達が有力な選択肢となる。 なお、増資後の投資総額と登録資本の比率は、以下の条件を満たす必要がある(以 前は、投資総額の増加分と登録資本の増加分に、この条件が適用されたが、通達の変 更により、現在では、増資後の投資総額・登録資本についてこの関係が満たされてお ればよいという運用が定着し、以前よりも、投注差を拡大しやすくなった)51 投資総額 登録資本 ~300 万米ドル 投資総額の 70%以上 300 万米ドル超~420 万米ドル 210 万米ドル以上 420 万米ドル超~1000 万米ドル 投資総額の 50%以上 1000 万米ドル超~1250 万米ドル 500 万米ドル以上 1250 米ドル~3000 万米ドル 投資総額の 40%以上 3000 万米ドル超~3600 万米ドル 1200 万米ドル以上 3600 万米ドル超 投資総額の 1/3 以上 また、外商投資企業が既存株主を残したまま第三者から資本参加を受ける場合や、 外国企業が内資企業の持分を取得する場合にも、持分譲渡によらずに、増資が利用さ れることがある。この場合、既存株主は、持分割合は変動するものの、株主として地 位を維持する52 (2) 手続及び留意点 以下では、外商投資企業が増資を行う典型的な場面である、外貨建て増資により資 金調達を行う場合を念頭において、手続や留意点を説明する。 理暂行办法》第 18 条、《外商直接投资人民币结算业务管理办法》第 17 条、《中国人民银行关于明确外 商直接投资人民币结算业务操作细则的通知》第 12 条)。 51 《中外合资经营企业注册资本与投资总额比例的暂行规定》第 3 条、第 5 条、第 6 条。従前は同第 5 条(追加される登録資本と増加する投資額の比率は本規定に従う)の解釈について、国家工商行政管理 局企業登記司の解釈がなされており(工商企外字[1987]第 54 号)、増加分について当該比率を適用する 旨が計算例を示して規定されていたが、2009 年の国家工商行政管理局の通達(工商法字[2009] 第 65 号) にて当該解釈が廃止された。それ以後、徐々に、実務の現場(上海)では、本文記載の運用が定着して いる。 52 外国企業が内資企業の増資を引き受ける場合には、「外国投資者の国内企業買収に関する規定」が 適用される(《关于外国投资者并购境内企业的规定》第 2 条)。

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① 手続の概要 外商投資企業が外貨建て増資を行う際の手続の概要は次のとおりである53 董事会、株主会決議54 ↓ 商務委員会への届出手続55 ↓ 工商局での変更登記手続56 ↓ 外貨登記の変更手続57 ↓ 人民元転 ② 増資の払い込みの時期 従前、増資を引き受ける出資者は、登録資本金の工商登記変更手続の申請前に登録 資本金増額部分の 20%を払い込み、残額を 2 年以内に払い込まなければならないと されていた。 もっとも、会社法の改正及び「外資審査管理業務改善に関する通知」により58、外 商投資企業における初回出資比率、現金出資比率及び出資期限に関する制限が撤廃さ れた。そのため、現在では、定款の規定に従って自由に出資時期等を定めることがで きる59 ③ 人民元転及び用途制限 中国国内では原則として外貨通貨による決済が禁止されているため、外商投資企業 は、出資者から外貨資本金口座に振り込まれた外貨資本金を国内決済に用いるために は、銀行に申請して人民元に転換(人民元転)する必要がある。 資本金を人民元転して得た人民元資金の用途については、以下のような制限が課 53 ここでは、増資について届出制が適用される(ネガティブリストに該当しない)企業を前提としてい る。 54 会社法第 38 条第 1 項第 7 号、中外合弁企業法実施条例第 21 条、中外合作経営企業法実施細則第 29 条第 1 項第 2 号 55 外商投資企業設立及び変更届出管理暫定弁法(《外商投资企业设立及变更备案管理暂行办法》)第 6 条第 1 項第 1 号 56 会社登記管理条例第 9 条、第 31 条 57 外国投資者国内直接投資外貨管理規定(《外国投资者境内直接投资外汇管理规定》第 6 条第 2 項) 58 《商务部关于改进外资审核管理工作的通知》 59 但し、「資本登録制度改革法案」の別紙において適用対象外とされた事業を営む企業を除く。

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されている60 (a) 経営範囲外の支出、又は法令によって禁止される支出のために直接又は間接に 用いてはならない (b) 明確な規定がある場合を除き、証券投資、又は銀行による元本保証のついたも のを除く投資理財に直接又は間接に用いてはならない (c) 経営範囲が明確に認められている場合を除き、関連企業以外の企業に対する貸 し付けに用いてはならない (d) 自己使用でない不動産の建設又は購入に用いてはならない(不動産企業を除 く) かつては中国国内への再投資、委託貸付、企業間貸付の返済といった用途に用いる ことが許されていなかったが、2016 年に規制緩和されたことによって、増資によっ て得られた資金の用途が一定程度広がっている。 3.減資 (1) 減資の機能 外商投資企業が事業規模の縮小により、株主から出資を受けた登録資本金の一部を 必要としなくなった場合や、株主の一部が外商投資企業に対する投資から撤退する場 合に、登録資本金を減額して、株主に払い戻すことが考えられる(中国の法解釈上、 「実質性減資」と認められ、日本における「有償減資」に対応する。)。 さらに、外商投資企業の経営状態が悪化している場合に、欠損を解消(登録資本と 累積損失を対当額で減尐させて貸借対照表の状態を改善)して将来の利益配当を可能 とするために減資をすることも考えられる。この場合には株主に対する払い戻しはな されない(中国の法解釈上、「形式性減資」と認められ、日本における「無償減資」 に対応する。)。 (2) 要件 外商投資企業は、原則として減資をしてはならないとされ、投資総額及び生産規模 等に変化が生じたために確かに減尐させる必要がある場合に限り、減資することがで きる61 62。この点、従前は減資にあたっては商務部門における認可が必要とされてお 60 《国家外汇管理局关于改革和规范资本项目结汇管理政策的通知》第 4 条第 2 項 61 中外合弁企業法実施条例第 19 条、外資独資企業法実施細則第 21 条 62 但し、①現行の法律、法規に登録資本の下限に関する規定があり、減資後の登録資本金が当該下限額 を下回る場合、②経済的紛争が発生し、司法又は仲裁の手続に入っている場合、③契約又は定款におい て生産、経営規模の最低規模に関する規定があり、減資後の投資総額が当該最低規模を下回る場合、④ 中外合作企業の契約中に外国側当事者が先行回収できる旨の規定があり、かつ既に回収が完了している 場合は減資することができない(《关于外商投资企业调整投资总额和注册资本有关规定及程序的通知》 第 1 条)。

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り、減資にあたって商務部門による相当広い裁量が認められていたため、実務上外商 投資企業が減資を行うことは容易ではなかったが、現在は商務部門による認可は不要 で届出をすれば足りることになっており、従前に比べれば減資のハードルは下がった といえる63。もっとも、届出を行う過程において商務部門による指導、追加資料の要 求等を受け、実際上、減資の届出を受理されるまでに時間がかかることもあり得るた め、どんな減資でも容易にできるようになったとまでは、必ずしも言えない。 (3) 手続及び留意点 ① 手続の概要 外商投資企業が減資を行う際の一般的な手順(送金までの手続も含む。)は以下の とおりである。 董事会・株主会決議64 ↓ 貸借対照表および財産リストの作成65 ↓ 債権者への通知及び新聞上での公告(債権者公告 45 日間)66 ↓ 商務委員会への届出手続67 ↓ 工商局への登記変更手続68 ↓ 外貨登記の変更手続69 ↓ 株主による配当の決定70 ↓ 対象となる配当に関する税務届出(5 万米ドル超の場合のみ)71 63 外商投資企業設立及び変更届出管理暫定弁法第 6 条第 1 項第 1 号 64 会社法第 37 条第 1 項第 7 号、中外合弁企業法実施条例第 21 条、中外合作経営企業法実施細則第 29 条第 1 項第 2 号。 65 会社法第 177 条第 1 項 66 会社法第 177 条第 2 項。登録資本減尐の決議を行った日から 10 日以内に債権者に通知し、且つ 30 日 以内に新聞上で公告を行う。 67 外商投資企業設立及び変更届出管理暫定弁法第 6 条第 1 項第 1 号 68 会社登記管理条例第 9 条、第 31 条 69 外国投資者国内直接投資外貨管理規定第 6 条第 2 項 70 会社法第 37 条第 1 項第 6 号

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↓ 銀行での海外送金手続72 ② 留意点 減資を行うことによって、登録資本及び投資総額を変更することになるが、これに よって投注差が縮小し、外債の借入ができなくなるリスクや、減資前の投資総額に基 づき免税輸入した設備、原材料等の金額が、減資後の投資総額を超える場合には追加 納税が生じるリスクがあり得ることには留意が必要である73 [応用編] 上記のとおり、外商投資企業における増資及び減資は、2016 年 10 月を境に一部の例外 を除いて認可制から届出制に変更された。届出制への変更後、実務の現場では、確かに増 資は以前よりも迅速にできるようになった。かかる変更は、増資との関係では手続の簡素 化という意味合いが強いが、減資との関係では単に手続の問題だけではない。 これまで、減資は「制度上は認められているが商務主管部門の許可を得るのが非常に困 難であり、実際上は利用することが極めて困難な手段」と認識されていた。もっとも、昨 年の法改正によって届出制に変更されたことから、今後は、減資が実務上も選択肢のひと つとして認識されるようになると思われる。 (呉秀頴・中国法顧問、中城由貴・弁護士) 71 国家外貨管理局による貿易投資便利化の推進、真実性の審査に関する通知(《国家外汇管理局关于进 一步促进贸易投资便利化完善真实性审核的通知》)第 6 条 72 同前。なお、同条によると、配当を日本に送金する際に、①送金申請書、②税務届出表原本(5 万米 ドル超の場合のみ)、③配当に関する董事会決議書、④配当を証明することができる財務諸表等を現地 の銀行に提出し、銀行による取引の真実性と一致性の審査を受ける必要があり、また、各地域の外貨総 額をコントロールするため、各地域の外貨管理局に要求される配当の海外送金に関する資料は、多尐異 なる場合があるため、実際送金する前に、送金する予定のある現地の銀行に事前確認をすることが必要 である。 73 《关于外商投资企业调整投资总额和注册资本有关规定及程序的通知》第 2 条第 4 項

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三.中国法務の現場より

1.今年の 315 晩会 (1) 315 晩会とは 「315 晩会」とは、毎年 3 月 15 日(世界消費者デー)の夜に、中国中央テレビ(CCTV) が放送する特別番組である。この番組は、消費者権益保護の観点から問題のある企業 を取り上げて厳しくバッシングを行うことで有名で、中国では非常に注目を集めてい る。 315 晩会で取り上げられた企業は、悪評が瞬間的に拡散し、クレーム対応に追われ、 商品のリコールや不買運動につながる場合もある。 また、一部では対象企業の選別に政治的な配慮が働いているのではないかという見 方もなされているが、真偽は不明である。 (2) 過去の企業対応や対策セミナーの傾向 これまで、毎年複数の企業がやり玉にあげられて、対応に追われてきた。対象企業 の中には、ガソリンに粗悪な混ぜ物をしているような違法行為を行っている業者や、 衛生管理が不適切な企業等、企業自体に重大な問題がある場合も多い。また、一部に は企業の商品等に問題が全くないとは言えないものの、取材方法に公平性を欠く(利 用者側の主観的な主張のみを集めて放送する)ケースもあった。 ただ、前者のようなパターンでも後者のようなパターンでも、基本的に企業側の対 応は同じで、「ひたすら謝罪し、誠意を見せ、問題解決策を講じて、鎮静化するまで 耐える」というものであった。 取材方法に公平性を欠くような場合でも反論をしないというのは、いわゆる「炎上」 を防ぐための最善策であると考えられ、315 晩会の対策セミナー等でも同様の対応策 が指導されてきた。 (3) 今年の対象企業と対応 今年は、対象企業の一つとして「無印良品」が取り上げられた。 番組で指摘された内容は、「東日本大震災に起因する原発事故の影響により中国で 輸入禁止区域に指定された地域で生産された食料品を、中国の無印良品が販売してい る」という内容であった。 もっとも、翌日以降、上記の内容は誤解であり、中国の無印良品で販売されていた 食料品の生産者の本店所在地は輸入禁止区域内にあるが、生産地は輸入禁止区域外に あることが判明した。そこで、中国の無印良品を運営する法人は、翌日に微博(中国

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版 Twitter)で声明を発表し、315 晩会の内容が誤った理解に基づくものであること、 自社の商品はいずれも適法に輸入、販売していることを主張した74 このような展開は極めて異例であり、過去の例やセミナーで指導されていた方針と は一線を画す強気な対応とも言えたが、結果的に、無印良品の主張が正しいというこ とが消費者にも浸透することとなった。 (4) 今年の 315 晩会から学ぶべきこと 今年の無印良品の対応は事後的に見て非常に適切であったといえる。番組の翌日ま でに迅速に事実関係を調査し、問題がないことを把握し、前例にとらわれずに自社の 正当性を対外的に主張した対応は見事である。 315 晩会は来年以降も行われるだろう。今回のような杜撰な取材に基づくケースは 起きないかもしれないが、著名な日系企業は来年以降も入念な事前準備を行い、万が 一対象とされた際に問題の有無を速やかに把握し、対外的な対応方針を決定できる体 制を整えておくことが必要である。 (中城由貴・弁護士) 2.たかが傍聴、されど傍聴 「裁判傍聴」というと、日本では、報道機関、法学部の学生、事件関係者などが行う 活動という地味なイメージが一般的である。 他方、当職のような、中国における「外国弁護士」にとっては、中国法上、法廷での 代理活動はできないため、裁判について関与することができるのは、傍聴のみである75 中国でも、裁判の公開原則は憲法で定められており76、最高人民法院が制定した人民 法院法廷規則では、一定の例外を除き、国民の傍聴権を定めている(同規則第 9 条)。 外国人についても、同規則を遵守すべき旨規定があるため(同規則第 26 条)、中国の裁 判傍聴を行うことはできるのが原則である。 法廷に入る人員は、有効な身分証明書を提示し、セキュリティチェックを受ける必要 がある。弁護士については、専用通路を通り、セキュリティチェックなしで入廷できる (同規則第 6 条)。 実際の運用としては、通常、裁判所の正門の脇に、受付をする建物があり、正門から そのまま敷地に入ることは許されない。受付で、身分証明書(外国人の場合にはパスポ ート)を呈示し、行き先を聞かれるために、傍聴する予定の期日の呼出状を呈示すると 74 http://www.weibo.com/mujish?refer_flag=1001030101_&is_hot=1 75 なお、当職が、原告当事者として裁判に関与した体験については、本稿 2016 年 10 月号を参照された い。 76 中華人民共和国憲法第 125 条

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スムーズに入れることが多い。受付が済むと、首に掛ける傍聴証を渡され、空港のよう なセキュリティチェックを受けてから中に入る77。受付で身分証明書を預ける場合もあ る。また、裁判所によっては、飲み物、パソコン、カバンなどを預けさせられることも ある。 法廷に入ると、開廷前に、裁判官ないし書記官より、傍聴人の素性を確認される。身 分証明書を確認する場合もあれば、口頭で、原告や被告の関係者であるかなどと聞かれ ることもある。先日、上海市長寧区人民法院で傍聴をした際に、原告代理人が若手弁護 士 1 名を傍聴席に控えさせていた(弁護士の証明書を呈示して中に入ったので、傍聴証 は掛けていなかった)ところ、裁判官より「委任状に書かれた代理人でなければ、弁護 士の通路から入ってもらっては困る。傍聴人として入る場合には、傍聴人としての手続 をやり直してから来い」と命じられた場面があった。また、以前、上海市徐匯区人民法 院に傍聴に行った際には、外国人であることがわかると、傍聴申請を事前にしなければ 傍聴を認めないと言われ、退廷せざるを得ないことがあった。 このように、法令上は、傍聴は自由であるはずでも、実際には、傍聴が制約されるこ ともあるので、注意が必要である。日本の裁判所であれば、学生や一般市民が傍聴して いる場面もよく見かけるが、中国の裁判所では、入口のチェックが厳しいため、訴訟当 事者の関係者(従業員など)以外の傍聴人を見かけることは稀である。 法廷では、拍手、喫煙、飲食、電話の使用、録音・録画等、法廷秩序を妨害する行為 は禁止される。また、傍聴人は濫りに歩き回ったり、発言や質問をしたりしてはならな い(同規則第 17 条)。他方、法廷で傍聴人がメモを取ることは、規則上禁止されておら ず、実際にも、自由であることが殆どである78 なお、労働仲裁の場合も、公開とされているため79、傍聴は可能である。しかも、セ キュリティチェックなしに入れるのが一般的である。他方、商事仲裁の場合には、原則 非公開審理なので80、当事者が合意した場合を除いては、傍聴はできない。 さて、当職が傍聴をする目的は、法廷メモを取って裁判所の訴訟指揮や相手方の主張 立証内容を記録し、クライアントに対して期日報告を行い、次回期日に向けた主張立証 の準備のサポートをすることである。中国の裁判では、訴訟進行は職権的かつ口頭主義 なので、双方代理人は、訴状・答弁書と証拠リストは事前に提出するものの、それ以外 の準備書面や弁論について、書面を作らず(原稿を作っても裁判所や相手方には渡さな いことが多い)、口頭で読み上げて、期日調書に記載してもらうのが一般的である。そ 77 事件関係者が、裁判への不満から、裁判官に対する殺傷事件を起こす例もあるため、裁判所の入り口 においてセキュリティチェックが厳格に運用されている。 78 個人間のトラブルに関する事件で、プライバシーを考慮してか、メモを取ることを禁止された経験も ある。 79 労働紛争調停仲裁法第 26 条 80 仲裁法第 40 条

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のため、日本以上に、裁判で何が行われているのか、その場に行かなければ見えにくい。 特に、法制度、言語、プラクティスが異なる国なので、中国の裁判に慣れていない日本 のクライアントからすれば非常に心配である。 そこで、たかが「傍聴」であっても、特に複雑な事件においては、非常に需要な「仕 事」になるのである。そして、時には、和解の場で、相手方が準備してきた小切手の記 載ミスを発見して急遽現金を準備させる手配をしたり、廊下でクライアントに電話で報 告しながら和解成立を進めたり、さらには、先日のように、日本語の証拠書類への捺印 の仕方について、裁判官から聞かれて説明をしてあげたり、事実上、事案の解決に役立 てることもある(むろんこれらの活動は、「非弁」との謗りを受けないよう、出しゃば らずに控えめに対応することが重要であるが。)。そうなると、「傍聴」も、それなりに やりがいのある「仕事」になるものである。 (山根基宏・弁護士) TMI 中国最新法令情報―2017 年 3 月号― 発 行:TMI 総合法律事務所 監 修:何連明・外国法事務弁護士 編集主幹:山根基宏、包城偉豊・弁護士 発 行 日:2017 年 3 月 31 日

参照

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