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目  次

媒精、精子選別、胚培養、胚発育

加齢、心理的ストレス、胚培養、胚の質、培養環境 ...1 Introduction: Examining the many potential reasons why euploid blastocysts do not always result in viable pregnancies: part 1 David R. Meldrum

Fertil Steril. 2016 Mar;105(3):545-547

胚培養、逐次培養液、単一培養液、胚発育、IVF、臨床結果 ...3 Sequential versus Monophasic Media Impact Trial (SuMMIT): a paired randomized controlled trial comparing a sequential media system to a monophasic medium

Marie D. Werner, Kathleen H. Hong, Jason M. Franasiak, Eric J. Forman, Christine V. Reda, Thomas A. Molinaro, Kathleen M. Upham, Richard T. Scott Jr.

Fertil Steril. 2016 May;105(5):1215-1221

胚培養、IVF、ICSI、酸素分圧、低酸素分圧、空気酸素分圧、メタアナリシス ... 4 Low versus atmospheric oxygen tension for embryo culture in assisted reproduction: a systematic review and meta-analysis Carolina O. Nastri, Beatrice N. Nobrega, Danielle M. Teixeira, Jowanka Amorim, Livia M.M. Diniz, Marina W.P. Barbosa, Vanessa S.I. Giorgi, Vicky N. Pileggi, Wellington P. Martins

Fertil Steril. 2016 Jul;106(1):95-104.e17

胚発育動態、多核、可逆性、タイムラプス ...4 Study of nucleation status in the second cell cycle of human embryo and its impact on implantation rate

Jesus Aguilar, Irene Rubio, Elkin Munoz, Antonio Pellicer, Marcos Meseguer Fertil Steril. 2016 Aug;106(2):291-299.e2

IVF、培養液、酸素濃度、発育段階、母体年齢、遺伝子の発現 ...4 Factors affecting the gene expression of in vitro cultured human preimplantation embryos

E. Mantikou, M.J. Jonker, K.M. Wong, A.P.A. van Montfoort, M. de Jong, T.M. Breit, S. Repping, and S. Mastenbroek Hum Reprod. 2016 Feb;31 (2): 298-311

acetyl-L-carnitine、N-acetyl-L-cysteine、α-lipoic acid、胚盤胞、培養、胚移植、胚発育、酸素濃 度、酸化ストレス、動物実験 ...5

Antioxidants improve mouse preimplantation embryo development and viability Thi T. Truong, Yu May Soh, and David K. Gardner

Hum Reprod. 2016 Jul;31 (7): 1445-1454

IVF、hCG、体外成熟、体内成熟 ...6 Prolonging oocyte in vitro culture and handling time does not compensate for a shorter interval from human chorionic gona-dotropin administration to oocyte pickup

Roni Garor, Yoel Shufaro, Naomi Kotler, Dania Shefer, Natalia Krasilnikov, Avi Ben-Haroush, Haim Pinkas, Benjamin Fisch, Onit Sapir

Fertil Steril. 2015 Jan;103(1):72-75

ART、精子選別、ヒストン、微小電気泳動法、精子、精子DNA損傷 ...6 Micro-electrophoresis: a noninvasive method of sperm selection based on membrane charge

Luke Simon, Kristin Murphy, Kenneth I. Aston, Benjamin R. Emery, James M. Hotaling, Douglas T. Carrell Fertil Steril. 2015 Feb;103(2):361-366.e3

(2)

胚盤胞、胚培養、IVF、microfluidics ...7 In vitro development of donated frozen-thawed human embryos in a prototype static microfluidic device: a randomized con-trolled trial

Dorit C. Kieslinger, Zhenxia Hao, Carlijn G. Vergouw, Elisabeth H. Kostelijk, Cornelis B. Lambalk, Severine Le Gac Fertil Steril.2015 Mar;103(3):680-686.e2

胚盤胞形成率、Caイオノフォア、胚発育、発育停止、発育遅延、ICSI ... 7 T. Ebner, P. Oppelt, M. W?ber, P. Staples, R.B. Mayer, U. Sonnleitner, S. Bulfon-Vogl, I. Gruber, A.E. Haid, and O. Shebl Treatment with Ca2+ ionophore improves embryo development and outcome in cases with previous developmental problems: a prospective multicenter study

Hum. Reprod. (2015) 30 (1): 97-102

遺伝子発現、培養液、IVF/ICSI、着床前胚発育 ...8 Differences in gene expression profiles between human preimplantation embryos cultured in two different IVF culture media Sander H.M. Kleijkers, Lars M.T. Eijssen, Edith Coonen, Josien G. Derhaag, Eleni Mantikou, Martijs J. Jonker, Sebastiaan Mastenbroek, Sjoerd Repping, Johannes L.H. Evers, John C.M. Dumoulin, and Aafke P.A. van Montfoort

Hum Reprod. 2015 Oct;30 (10): 2303-2311

完全精子無力症、ART、逆行性射精、生児出産 ...8 Healthy live birth using theophylline in a case of retrograde ejaculation and absolute asthenozoospermia

Thomas Ebner, Omar Shebl, Richard Bernhard Mayer, Marianne Moser, Walter Costamoling, Peter Oppelt Fertil Steril. 2014 Feb;101(2):340-343

精子、精子選別、複屈折性、DNA fragmentation、男性不妊、MSOME ... 9 Sperm selected by both birefringence and motile sperm organelle morphology examination have reduced deoxyribonucleic acid fragmentation

Andrea Garolla, Ilaria Cosci, Massimo Menegazzo, Raffaella De Palo, Guido Ambrosini, Barabara Sartini, Damiano Pizzol, Carlo Foresta

Fertil Steril. 2014 Mar;101(3):647-652

培養液、quality control、胚培養、マウステスト ...9 Composition of commercial media used for human embryo culture

Dean E. Morbeck, Rebecca L. Krisher, Jason R. Herrick, Nikola A. Baumann, Dietrich Matern, Thomas Moyer Fertil Steril. 2014 Sep;102(3):759-766.e9

胚培養、胚発育、IVF、良好胚、胚盤胞形成率 ... 10 Examining the temperature of embryo culture in in vitro fertilization: a randomized controlled trial comparing traditional core temperature (37°C) to a more physiologic, cooler temperature (36°C)

Kathleen H. Hong, Hokyung Lee, Eric J. Forman, Kathleen M. Upham, Richard T. Scott Fertil Steril. 2014 Sep;102(3):767-773

(3)

媒精、精子選別、胚培養、胚発育

加齢、心理的ストレス、胚培養、胚の質、培養環境 卵子や胚を取り巻く環境には、加齢やライフスタイル、心理的ストレス、栄養素の補充、細胞のエネルギー レベル、内分泌やパラクリンにかかわる因子、外因性ゴナドトロピン 、いろいろな薬剤、培養液、IVFの ラボの状態また操作法などを含む多様な要因がかかわっており、それらが代謝に影響を及ぼしているので はないかと思われる。このような複雑な因子がなぜ正倍数性の胚盤胞を移植しても、継続妊娠に至らない のかということを説明する上で考えてみる必要があると思われる。

Introduction: Examining the many potential reasons why euploid blastocysts do not always result in viable pregnancies: part 1 David R. Meldrum

Fertil Steril. 2016 Mar;105(3):545-547

【文献番号】r01600(媒精、精子選別、胚培養、胚発育) なぜ、正倍数性の胚を移植したにもかかわらず着床に至らなかったのかという疑問に答えることは難しい 臨床家として、われわれが遭遇する最も難しい問題の一つは、正倍数性の胚を移植したにもかかわらず着 床に至らなかったカップルから発せられる「なぜ成功しなかったか」という疑問にどのように答えるかと いうことである。最も端的な回答は「卵子は非常に大きな細胞で、その細胞質の影響も考えられ、核より も重要な役割を演じている可能性がある」と説明することである。 細胞質の状態に問題があり完全な胚を生み出すことにはならないことも考えられる 細胞質の状態が、染色体の正常な分離を促す上で十分であるかもしれないが、それが完全な胚を生み出す ことにはならないことも考えられる。胚発育の際に割球の分裂につれ割球は小さくなり、その中に含まれ る構成成分も少なくなる。胚のゲノムは細胞質に存在する因子を十分に生み出すことができないことも考 えられる。ミトコンドリアも胞胚腔が形成されるまでは複製されることはない。細胞質を成熟させ、胚の 質を高めるにはどうすればよいのかということが重要な問題である。 卵子の質にネガティブに、またポジティブに作用するライフスタイルがかかわる因子についても考えてみ る必要がある 本号に掲載されているレビューには、卵子の質にネガティブに、またポジティブに作用するライフスタイ ルがかかわる因子について述べられている。しかし、適切な効果を生み出すためにはどれほど長い期間、 ライフスタイルの改善が必要なのかというのが問題である。卵子は 3 ∼ 6 か月かけて成熟に至るが、卵子 に影響を及ぼすいろいろな因子が存在する。比較的穏やかな化学療法を試みたとしても、卵巣が正常な状 態に回復するまでには 3∼ 6か月も必要とするという報告もある。 喫煙や肥満のような因子が重度の酸化ストレスを引き起こしていることも考えられる De Zieglerらは霜によって被害を受けたオリーブの木の枝も再び新しい枝を出し生き延びる例を例えとし て挙げている。同様に、喫煙や肥満のような因子が重度の酸化ストレスを引き起こしている例においては、 IVF の前に 3 ∼ 6 か月にわたる摂生と規則的な運動を試みることが必要ではないかとも考えられる。数か 月にもわたるストレスの多い生活が生殖機能に長期にわたるネガティブな影響をもたらす可能性も考えて おく必要がある。IVF を受けた患者において身近な親族の死が、卵子や胚にネガティブな影響を与える可 能性も指摘されている。 女性の加齢にともなうandropause にDHEAの経口投与やテストステロンの経皮的投与が改善をもたらす 可能性も指摘されている

女性の加齢に伴って androgen の減少、すなわち andropause をみることがあるが、DHEA を経口投与する ことによってテストステロンのレベルをわずかに上昇させ、その状態を2∼3か月以上維持することによっ てポジティブな影響をもたらすこともある。テストステロンを経皮的に投与することによってテストステ ロンレベルを上昇させ、その状態を3 週間以上維持することによってよい効果が発揮されるとの報告もあ る。テストステロンは卵巣組織の反応性を向上させる作用の他に、顆粒膜細胞の増殖を促し、それが卵子 の質を改善するのではないかと考えられている。

(4)

ミトコンドリアからのエネルギーの供給が染色体分離と細胞分裂に重要な影響をもたらすと考えられる Bob Casper と Carlos Simon はミトコンドリアからのエネルギーの供給が染色体の分離と細胞分裂に重要 な影響を与えると述べている。加齢マウスのモデルを用いて、ミトコンドリアのエネルギーの重要な役割 を明らかにしている。加齢とともにミトコンドリアのエネルギー産生は低下するが、ミトコンドリアのコ ファクターである CoQ10 によってこの加齢の影響を回復させることができると述べている。しかし、残念 なことに、女性に2 か月にわたってCoQ10 の補給を試みたが、それを勧めるほどの成果を得るに至ってい ない。さらに投与期間を延長し 3 ∼ 6 か月もの長期投与を試みた場合には、良い影響が得られた可能性も 考えられる。 CoQ10を1日400mgを4か月にわたって投与した患者において7日間の培養で得られた2個の胚盤胞を移植し 継続妊娠が成立した例を経験した 最近、7 日間の培養で 2 個の胚盤胞のみが得られたカップルに胚移植したところ、双胎妊娠が成立し順調 に経過している例を経験している。この患者にはCoQ10 を 1日 400mgを 4か月にわたって投与した。おそ らく卵子と胚の質が適正な状態となり、さらに移植時期を遅らせることによって良い結果が得られたので はないかと思われる。このような例から考えると、7 日培養がより広く行われてもよいのではないかとも 考えられる。 ストレスに被ばくした胚はミトコンドリアDNAをより多く産生し代償しているという結果が報告された Carlos Simon はストレスに被ばくした胚は、ミトコンドリア DNA をより多く産生することによって代償 しているという研究結果を最近報告している。そのような知見は Valencia のグループも確認している。こ のような 2つの報告から考え、胚の1/4 ∼1/3 はミトコンドリアのDNA のレベルは上昇するのではないか と考えられ、形態的には差異は認められない胚であっても、質が不良であることを示すマーカーとしてミ トコンドリアのレベルの上昇は用いることができるのではないかと思われる。このようなバイオマーカー は正倍数性の胚を移植する際に、より良い胚を選択する際のマーカーとなるのではないかと考えられる。 しかしながら、理想的には胚にストレスを与えないということが重要である。 ストレスに対する血管の反応がIVFの妊娠率の低下をもたらすというデータも発表されている Frydman とDomar は心理的なストレスと卵子の対応能の低下との関係について述べている。彼らは自然 周期の IVFにおいて、成熟卵に至る血流量が妊娠の結果と強い相関を示すと報告している。また、彼らは ストレスに対する血管の反応が IVFの妊娠率の低下をもたらすというデータも発表している。最近、IVF の成功率を損なうような障壁を乗り越えるために、心理療法が効果的なツールとなるのではないかと報告 されている。1 件の無作為対照試験において患者の 76%ほどが 2 回目の治療周期の前に予定された心理療 法のセッションの半分を終えたに過ぎないが、それでも心理療法の有用性は確認されたと報告している。 ひどい傷を負った女性がリラクゼーションのセッションを受けられないような状態であった。彼女は反復 して治療を受けたにもかかわらず妊娠が成立しなかった。卵巣の反応性は良好であったが卵子や胚の質は 不良であった。 下等動物と異なり、ヒトは常にストレスにさらされており、その結果、卵巣の血流が抑制される可能性もある カンファレンスの後のディナーの際に Bob Edwards は、「なぜヒトにおいては 5 個ほどの卵子のうち 1 つ だけが発育するのだろうか、なぜ下等動物は毎月妊孕性のある卵を生み出すことができるのだろうか」と いう疑問を投げかけた。私は「ヒトは過去も現在も常にストレスにさらされており、その結果、卵巣の血 流が抑制され、それが問題を起こしているのではないか」という考えを述べた。 GHの補充は低卵巣反応者やまた高齢女性に有用とも考えられるが適応外使用には問題もある

Stratis Kolibianakis は GH や IGF-I が卵子や卵胞の健康状態に与える影響についてレビューした結果を報 告している。GH は加齢とともに低下し、卵胞液中のレベルは低卵巣反応の例において低く、また IVF で 妊娠に至らなかった女性においても低値を示すと報告している。GH の補充は低卵巣反応者やまた高齢女 性に有用ではないかと述べている。しかし、このような薬剤を使用することによって問題も発生すること もあり、医師が使用することは勧められていない。テストステロンの貼付剤を用い、その後ゴナドトロピ ンを投与したところ、反応性が良好であった女性においては IGF-I のレベルは卵胞期に上昇したという研 究結果も報告されている。

(5)

FSH surgeを引き起こした場合は卵子が卵胞壁から遊離されやすく、受精も促され、細胞質の成熟も促進 され、IVFの成功率を高める Mitch Rosen は卵子の成熟を引き起こす際のFSH の役割について述べている。hCG を投与し卵子を成熟さ せた場合には FSH surge は当然ながら認められない。しかし、FSH surgeを引き起こした場合は卵 - 卵丘 細胞コンプレックスが卵胞壁から遊離されやすく、受精も促され、細胞質の成熟も促進され、IVF の成功 率を高めることになるのではないかと述べている。 酸素濃度、培養液種類、培養液の量、インキュベーターの種類、培養期間、胚移植のタイミングなどさら に検討が必要である Jason Swain は酸素濃度に注目し、胚の培養には生理的なレベルの酸素濃度に被ばくさせる必要があると 述べている。また、培養液の影響に関しても検討しているが、培養液も確かに胚には影響を与えるが市販 されているいずれの培養液が優れているかを検討するためには大規模な調査が必要であると述べている。 また、胚培養の際に用いられる培養液があまりにも少ないのもネガティブな影響をもたらす可能性もある と述べられている。最近ではIVF の成功率を高めるために新しいデザインのインキュベーターが使用され るようになっている。IVF の際に胚や胚の発育にいろいろな影響を与え、また胚移植に対するいろいろな 考え方も提唱されているが、その1つに内膜と胚との同調性の有用性が指摘されている。胚移植を遅らせ、 適切な時期に胚移植を行うことの有用性などに関してもさらに検討を進める必要がある。 胚培養、逐次培養液、単一培養液、胚発育、IVF、臨床結果 逐次培養液を用いた群と単一培養液を用いた群において同胞の接合子から得られた正倍数性の胚の移植 を試みた初めての無作為対照試験を行った。適切な胚盤胞が得られたものの割合は逐次培養液を用いた方 が単一培養液を用いたものよりも有意に高い値が得られた。しかし、胞胚腔の形成のタイミングや染色体 の異数性の発現率あるいは継続着床率などには差異は認められなかった。これらの観察結果はその他の培 養液を用いた培養系にも応用できるか否かという点に関してはさらに検討してみる必要がある。

Sequential versus Monophasic Media Impact Trial (SuMMIT): a paired randomized controlled trial comparing a sequential media system to a monophasic medium

Marie D. Werner, Kathleen H. Hong, Jason M. Franasiak, Eric J. Forman, Christine V. Reda, Thomas A. Molinaro, Kathleen M. Upham, Richard T. Scott Jr.

Fertil Steril. 2016 May;105(5):1215-1221

【文献番号】r01600(媒精、精子選別、胚培養、胚発育) IVF において逐次培養液を用いた場合と単一培養液を用いた場合において、胚盤胞の形成率や継続着床率 にどのような影響を及ぼすか調査した。42 歳以下の正常卵巣予備能を有する192 名を対象にペア無作為対 照試験を行った。一次評価項目は利用可能な胚盤胞の形成の割合とした。二次評価項目は胞胚腔の形成の タイミング、染色体の異数性の割合、継続着床率とした。継続着床率は移植胚数に対する妊娠 8 ∼ 9 週に おいて胎児心拍が認められたものと定義した。 192 名の患者から得られた2,257 個の2 前核期胚を2 つの培養液のいずれかの群に分けた。逐次培養液群に おいては単一培養液群よりも胞胚腔形成率が有意に高く、それぞれ 55.2%と 46.9%であった。しかし、胞 胚の形成日および染色体の異数性の発現率には統計的差異は認められなかった。移植に適した正倍数の胚 盤胞を有した 168 名の患者のうち、126 名がペア胚移植が可能であった。2 個胚移植を受けたものにおい て、2 群間で着床率に差異は認められなかった。

(6)

胚培養、IVF、ICSI、酸素分圧、低酸素分圧、空気酸素分圧、メタアナリシス 低酸素分圧群と大気酸素分圧群を比較した今までの研究をレビューしたところ、生児出産率/ 継続妊娠率 および臨床的妊娠率に極めてわずかな改善(5%未満)が得られたとする報告があるが、それらの根拠の質 は極めて不良で最善の解釈に従った場合には、2群間における差異に関して確かな結論は得られていない。 臨床的意味合いは不明であまり差異はないと考えるのが妥当であるが、さらに大規模なデザインの良い無 作為対照試験を行う必要がある。研究を行う際には同一のインキュベータ―を用い、少なくとも embryologistに対して盲検法を採用する必要がある。

Low versus atmospheric oxygen tension for embryo culture in assisted reproduction: a systematic review and meta-analysis Carolina O. Nastri, Beatrice N. Nobrega, Danielle M. Teixeira, Jowanka Amorim, Livia M.M. Diniz, Marina W.P. Barbosa, Van-essa S.I. Giorgi, Vicky N. Pileggi, Wellington P. Martins

Fertil Steril. 2016 Jul;106(1):95-104.e17

【文献番号】r01600(媒精、精子選別、胚培養、胚発育) 胚培養における低酸素分圧群と大気酸素分圧群を比較するために系統的レビューとメタアナリシスを行っ た。21 件の研究がレビューの対象となった。低酸素分圧群においては酸素濃度は 5%あるいは 6%が使用 されていた。女性あるいはカップルを無作為に分けた研究を対象としたところ、低酸素分圧群が生児出産 率 / 継続妊娠率において優れているとする根拠のレベルは極めて低く、その相対リスクは 1.1 という結果 であった。また、臨床的妊娠率における相対リスクも 1.1 という結果であった。 卵子あるいは胚を無作為に分けた研究を対象に分析したところ受精率には差異は認められず、その相対リ スクは 1.0、また分割率に対する相対リスクは 1.0 で根拠の質は低いレベルであった。また、低酸素分圧群 において分割期胚における胚の質が良好であるとする根拠の質も低く、その相対リスクは 1.2 という結果 であった。妊娠の結果を比較した研究は認められなかった。低酸素分圧群には新しいタイプのインキュ ベーターを、大気分圧群には古いタイプのインキュベーターを用いた研究も認められた。embryologist に 対して盲検法が採用されておらず、ラボの結果に対する検知バイアスのリスクは高いと考えられる。 胚発育動態、多核、可逆性、タイムラプス 2 細胞期胚において多核であるものはしばしば認められたが、高い頻度で正常に戻り着床率には影響はも たらさなかった。4細胞期胚で多核が認められた胚は二核の割球を伴った胚と比較し、その後の成績に悪化 が認められる。

Study of nucleation status in the second cell cycle of human embryo and its impact on implantation rate Jesus Aguilar, Irene Rubio, Elkin Munoz, Antonio Pellicer, Marcos Meseguer

Fertil Steril. 2016 Aug;106(2):291-299.e2

【文献番号】r01600(媒精、精子選別、胚培養、胚発育) 2 細胞期胚と 4 細胞期胚における核の形成状態を調べ、それが生殖が関わる結果にどのような影響をもた らすか調査した。2012 ∼2014 年において940 名の卵子のドナーから1,679 個の胚を得て、後方視的コホー ト研究を行った。着床の結果が明らかとなっている胚の中で2 細胞期胚において多核であったものは42.53 %であった。4 細胞期において約14%に多核が認められた。 全体で 2細胞期において多核であった 73.4%の胚は 4細胞期に至った時点で核の状態は正常に戻った。4 細 胞期において二核超の多核の割球を有する胚は着床率は低下した。着床に至ったと判定された胚において 第 1細胞周期における S 期の平均の長さは着床が認められなかった胚に比べ延長し、それぞれ 15.50 時間と 14.38 時間であった。また、第 2細胞周期においてはわずかに短縮しそれぞれ 8.35 時間と 8.60 時間であった。 IVF、培養液、酸素濃度、発育段階、母体年齢、遺伝子の発現 ヒトの着床前の胚発育においては培養液の組成や酸素濃度などよりも、胚の発育段階および母体年齢が総 合的な遺伝子の発現のプロフィールに大きな影響を与えることが明らかとなった。

Factors affecting the gene expression of in vitro cultured human preimplantation embryos

E. Mantikou, M.J. Jonker, K.M. Wong, A.P.A. van Montfoort, M. de Jong, T.M. Breit, S. Repping, and S. Mastenbroek Hum Reprod. 2016 Feb;31 (2): 298-311

(7)

マウスやウシの胚を対象とした研究では、in vitro における胚の培養において条件の変化が遺伝子の転写 のプロフィールに変化をもたらすことが示されている。ヒトにおいても胚における転写のプロフィールに 発育段階が影響を及ぼすことが示されているが、母体年齢や培養条件がどのような影響を及ぼすかという 研究は行われていない。そこで、ヒトの着床前の胚発育の過程において一般的な環境にかかわる因子およ び生物学的な因子が転写にどのような変化をもたらすか調査した。 質の良好な提供卵を用い、day4で凍結した胚 89個を用いて実験を行った。胚培養は2 つの培養液を用い、 1 群はG5 medium 、2 群はHTF mediumを用いた。また、酸素濃度も5%あるいは 20%濃度のものを使用 した。それぞれの卵子を母体年齢別に分析した。2 日間の培養の過程で桑実期胚あるいは胚盤胞に発育し た胚を対象に genome-wide gene expression を調べた。

異なった発現の遺伝子の数をもとに発育段階と母体年齢の影響を調べたところ、培養の過程における培養 液あるいは酸素濃度よりも発育レベルと母体年齢が global gene expression profile に大きな影響をもたら すことが明らかとなった。このような結果から、培養条件が発育段階あるいは母体年齢に依存するも異 なった影響をもたらすものと考えられる。影響を受けた経路には代謝、細胞周期および酸化的リン酸化な どにかかわるものが含まれていることが明らかとなった。 acetyl-L-carnitine、N-acetyl-L-cysteine、α-lipoic acid、胚盤胞、培養、胚移植、胚発育、酸素濃 度、酸化ストレス、動物実験 抗酸化剤の併用はマウスの胚培養において胚盤胞における細胞数の有意な増加を生み出し、細胞内のグル タチオンレベルを維持し5細胞期までの胚発育、さらに5細胞期から拡張期胚盤胞までの発育を早め、イン キュベーターの酸素濃度に関わらず胎芽の発育の改善をもたらすという結果が得られた。

Antioxidants improve mouse preimplantation embryo development and viability Thi T. Truong, Yu May Soh, and David K. Gardner

Hum Reprod. 2016 Jul;31 (7): 1445-1454

【文献番号】r01600(媒精、精子選別、胚培養、胚発育)

acetyl-L-carnitine、N-acetyl-L-cysteine および α-lipoic acid などの抗酸化剤は酸化ストレス下でいくつか の組織、最近では胚の発育などにおいてもメリットがあることが確認されている。そこで、これら3 つの 抗酸化剤がマウスの胚発育とその後の胎芽の発育にどのような影響を及ぼすかを、それぞれ個別的に、ま た併用して用いその影響を調べた。 タイムラプスを用いてマウスの胚の発育動態を調べた。前核期の卵子においてglutathione(GSH)レベル を調べた。胚盤胞を対象に内細胞塊と栄養外胚葉を識別するための核染色を試みた。また、レシピエント に胚を移植し着床と胚発育の状態を調べた。 F1 マウスから得られた前核期の卵子を5%あるいは 20%酸素下で個別的にあるいは 10 個の卵をグループ としてG1/G2 mediumを用いて培養した。それぞれの培養液に10μM acetyl-L-carnitine /10 μM N-acetyl-L-cysteine /5 μM α-lipoic acid を添加したものと添加しなかったもので調査を行なった。また、これら の抗酸化剤を個別的に使用しその影響を調べた。コントロール群は抗酸化剤の添加を試みないで培養を 行ったものとした。還元型グルタチオンの細胞内レベルを前核期の卵子を用いて計量した。胚の発育と生 存能はタイムラプスを装着した顕微鏡で分析した。 抗酸化剤は個別に胚を培養した場合、コントロール群と比べ胚盤胞の細胞数の有意な増加が認められた。 3 つの抗酸化剤を併用した場合、20%酸素群において高い効果が認められた。抗酸化剤の併用は 5 細胞期 胚に至るまでの発育速度を促進し、20%酸素下においては拡張期胚盤胞までその効果は持続した。 抗酸化剤を併用することによって個別に培養した胚の発育の促進効果は 10 個の胚をグループで培養した 場合より大きく、また 20%酸素濃度で培養した方が5%酸素濃度よりも効果が大きかった。GSH レベルは 20%酸素下で抗酸化剤を加えない状態で培養したコントロールの胚においては、in vivo で発育した胚より も有意な低下が認められた。 20%酸素下で抗酸化剤の存在下で胚を培養し移植した群ではコントロール群に比べ平均 CRL は有意に高 い値を示し、それぞれ11.6mm と11.3mm、また胎仔の重量も重く、それぞれ209.8mg と183.9mg、胎盤重 量も重く、それぞれ 103.5mgと 93.6mgであった。抗酸化剤を併用し 5%の酸素下における培養後の胚は着 床後においても有益性が認められた。

(8)

IVF、hCG、体外成熟、体内成熟

特にGnRH agonist周期において、採卵のタイミングはICSIの成功率に影響を与える要因であるという結果 が得られた。卵丘細胞の除去やICSIのタイミングを遅らせるなどの対応はhCG投与から採卵までの期間の 短縮を代償しないという結果が得られた。

Prolonging oocyte in vitro culture and handling time does not compensate for a shorter interval from human chorionic gonadotro-pin administration to oocyte pickup

Roni Garor, Yoel Shufaro, Naomi Kotler, Dania Shefer, Natalia Krasilnikov, Avi Ben-Haroush, Haim Pinkas, Benjamin Fisch, Onit Sapir

Fertil Steril. 2015 Jan;103(1):72-75

【文献番号】r01600(媒精、精子選別、胚培養、胚発育) 卵子の hCGの被ばくの時間を基に採卵、卵丘細胞の除去および ICSI のタイミングが ICSI の結果にどのよ うな影響をもたらすか調査した。少なくとも 3個の卵子が採取され過去の治療周期が 3周期以内である 38 歳未満の 421名の患者に実施した 614周期の連続した ICSI 周期を対象にコホート研究を行った。調節卵巣 刺激は GnRH agonist あるいは antagonistを用いて行った。 hCG 投与から採卵までの時間は 36 時間未満あるいは 36 時間以上とした。採卵から卵丘の除去は 2 時間未 満あるいは 2時間以上とした。卵丘除去から ICSI までの時間は1 時間未満あるいは1 時間以上とした。 遅延採卵群では早期採卵群と比較し得られる胚の割合は上昇した。受精率も上昇し、それぞれ 66.0%と 61.8 %であった。胚移植の割合も 99.5%と 96.2%、妊娠率も 47.2%と 35.4%でいずれも遅延採卵群において高 い値を示した。このような遅延採卵群に伴うメリットは GnRH agonist 周期において顕著に認められた。卵 丘細胞の除去の前あるいは除去後のインキュベーションの時間の長さはいずれの採卵のタイミングにおい ても特に影響はもたらさなかった。ロジステック段階的回帰分析を試みたところ、採卵のタイミングは妊 娠を予測する唯一の独立した因子となるという結果が得られ、遅延採卵で上昇しそのオッズ比は1.6であった。 ART、精子選別、ヒストン、微小電気泳動法、精子、精子 DNA 損傷 微小電気泳動法を用いて陰性荷電の精子を選別することによって、ARTの際に使用する上で適切な相対的 にDNAの損傷のレベルが低い精子を選別することができる。

Micro-electrophoresis: a noninvasive method of sperm selection based on membrane charge

Luke Simon, Kristin Murphy, Kenneth I. Aston, Benjamin R. Emery, James M. Hotaling, Douglas T. Carrell Fertil Steril. 2015 Feb;103(2):361-366.e3

【文献番号】r01600(媒精、精子選別、胚培養、胚発育) ART のために遺伝子学的に適切な精子を、構造や機能を損なわずに分離するための方法を開発しようと 試みた。不妊症と診断された 50名の患者と ART を受けた88 組のカップルを対象に観察研究を行った。密 度勾配法で精子を分離した前後で電場のもとで陽性荷電、陰性荷電および中性荷電の精子を分離した。そ れらを対象に精子 DNA の損傷、ヒストンの貯留の状態および ART の臨床結果を調べた。また、陽性荷 電、陰性荷電および中性荷電の精子をICSIに用いる注入針によって選択し、DNAの損傷のレベルを分析した。 密度勾配法による精子の分離前と分離後で調べたところ、分離後において陰性荷電の割合の精子は低下し、 それぞれ 95.10%と 54.48%、陽性荷電の精子は上昇し、それぞれ 4.28%と 42.52%という結果が得られた。 DNA の損傷は陰性荷電の精子の割合と負の相関を示し、陽性荷電の精子と正の相関を示した。 精子を電荷の状態別に選別し直接分析したところ、精子 DNA の損傷のレベルは陰性荷電群の精子におい て低下し 3.9%であったが、コントロール群の精子では 17.3%、陽性荷電群の精子では27.8%という結果が 得られた。 陰性荷電の精子の割合は受精率と正の相関を示し、胚盤胞の形成率とも正の相関を示したが胚発育停止と は負の相関を示した。着床率および臨床的妊娠率は陰性荷電の精子の上昇が認められた群において高い値 を示した。

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胚盤胞、胚培養、IVF、microfluidics microfluidic deviceを用い静止した培養環境の中で胚培養し胚盤胞への発育に成功したが、さらに、早期の 胚がmicrofluidic deviceで有用性が得られるか否か検討してみる必要がある。ヒトの胚発育においては多 くの重要なステップはすでに4 日前に発現していることから、早期の胚における発育を確認してみる必要 がある。microfluidic deviceを改良し単一の胚を平行して培養できるようにする方法やメディウムを新し いものに変えるような方法、また、センサーなどの装着も考えてみる必要がある。

In vitro development of donated frozen-thawed human embryos in a prototype static microfluidic device: a randomized controlled trial

Dorit C. Kieslinger, Zhenxia Hao, Carlijn G. Vergouw, Elisabeth H. Kostelijk, Cornelis B. Lambalk, Severine Le Gac Fertil Steril.2015 Mar;103(3):680-686.e2

【文献番号】r01600(媒精、精子選別、胚培養、胚発育)

microfluidic device を用いて胚培養を行った群と標準的な microdrop を用いて胚培養を行った群で胚の発 育状態を調べた。提供を受けた day4 の 118 個の凍結融解胚を用いて前方視的無作為対照試験を行った。 microfluidic device 群は58 個、standard microdrop 群は60 個とした。評価項目は胚盤胞形成率と24 時間、 28 時間、48時間および 72時間の時点における胚の質とした。

胚盤胞まで発育した day4 の凍結融解胚の割合は standard microdrop 群と microfluidic device 群で差異は 認められず、28時間後においてそれぞれの割合は 53.3%と 58.6%、他の時間における発育の割合にも差異 は認められなかった。胚移植に適した胚の割合は2 群間で差異は認められず、28時間後において standard microdrop 群では90.0%と microfluidic device 群では 93.1%という結果であった。また、胚盤胞の質も2 群 間で差異は認められなかった。

胚盤胞形成率、Ca イオノフォア、胚発育、発育停止、発育遅延、ICSI

胚発育の停止、胚発育の遅延あるいは胚盤胞の形成率が低下した患者においてICSI直後にCaイオノフォア に被ばくさせることによって2細胞期胚への発育、胚盤胞形成率、臨床的妊娠率および生児出産率の向上を 図ることができる。

T. Ebner, P. Oppelt, M. W?ber, P. Staples, R.B. Mayer, U. Sonnleitner, S. Bulfon-Vogl, I. Gruber, A.E. Haid, and O. Shebl Treatment with Ca2+ ionophore improves embryo development and outcome in cases with previous developmental problems: a prospective multicenter study

Hum. Reprod. (2015) 30 (1): 97-102 【文献番号】r01600(媒精、精子選別、胚培養、胚発育) 下等動物の研究によれば、細胞内のfree calcium の変化が細胞分裂を誘発しそれを調節すると報告されて いる。ヒトにおいてはカルシウムの変動をみると細胞分裂直前にピークとして認められる。興味深いこと にこのようなカルシウムのオシレーションは発育を停止した胚には認められない。動物モデルにおいては カルシウムイオンキレート化合物で体細胞分裂をブロックした場合、Ca イオノフォアによってそれを回 復することができる。 今回、胚の発育に問題が認められた既往、あるいは胚発育が停止した既往のある患者において Ca イオノ フォアである A23187(calcimycin)を投与することによって、胚発育と予後を改善することができるか否 か検討した。5 か所のオーストリアの医療センターが参加し前方視的無作為非対照試験を実施した。 対象は informed consent を得た 57 名の患者とした。採用基準は以前の治療周期で完全な胚発育の停止を 認め、胚移植ができなかった患者で、day5 において桑実期胚あるいは胚盤胞が得られなかった完全な発育 遅延をみた既往歴、あるいは day5 において胚盤胞形成率が 15%以下の既往歴を有する女性とした。重度 男性不妊の患者、ICSI 後の受精率が 30%未満の患者はルーチンにイオノフォアが使用されるため対象か ら除外した。同一患者のその前の 57周期をコントロール群とした。

治療群においては ICSI 後15 分を経た時点において市販の調整済みのCa イオノフォアに被ばくさせた。in vitro で 3 段階の洗浄を行い、胚培養を試み胚盤胞まで培養した。Ca イオノフォア群とコントロール群に おいて受精率はそれぞれ 75.4%と 73.2%で差異は認められなかったが、2 細胞期胚への分割率はそれぞれ 98.5%と 91.9%で、Ca イオノフォア群において高い値を示した。さらに、day5 における胚盤胞形成率はそ

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れぞれ 47.6%と 5.5%、着床率はそれぞれ 44.4%と 12.5%、臨床的妊娠率はそれぞれ 45.1%と 12.8%、生児 出産率は 45.1%と 12.8%で、いずれも Ca イオノフォア群において有意に高い値が得られた。現在までに 28 周期中 22例において健児が誕生した。 遺伝子発現、培養液、IVF/ICSI、着床前胚発育 着床前のヒトの胚を6日間にわたって培養したところ、培養液の種類によってアポトーシス、蛋白の分解、 代謝、細胞周期の調節などにかかわる遺伝子の発現のレベルに差異が認められた。

Differences in gene expression profiles between human preimplantation embryos cultured in two different IVF culture media Sander H.M. Kleijkers, Lars M.T. Eijssen, Edith Coonen, Josien G. Derhaag, Eleni Mantikou, Martijs J. Jonker, Sebastiaan Mas-tenbroek, Sjoerd Repping, Johannes L.H. Evers, John C.M. Dumoulin, and Aafke P.A. van Montfoort

Hum Reprod. 2015 Oct;30 (10): 2303-2311

【文献番号】r01600(媒精、精子選別、胚培養、胚発育) いくつかのヒトを対象とした研究において培養液が胚発育、妊娠の結果および出生体重に影響を与えるこ とが示されている。しかし、背景となっているメカニズムに関してはよくわかっていない。ヒトの発達を 調べるために動物モデルにおいて in vitro における着床前の胚の培養は遺伝子の発現に影響を与えること が示されている。ヒトにおいては凍結融解後の胚を 2 つの異なった培養液を用いて 2 日超培養した胚を調 べたところ、遺伝子の発現に影響を与えるという結果が得られている。 今回、IVF の際に in vitro の胚培養に用いられる培養液が着床前のヒトの胚における遺伝子の発現にどの ような影響を与えるか調査した。多施設が参加した臨床研究を施行し、女性を無作為に 2 つの群に分け、 異なった培養液を用いた。1 群は G5 を用い、2 群は HTF を用いた。胚の発育に関するデータをすべての 胚から収集した。 1 か所の医療センターにおいては、day2 あるいはday3 において移植や凍結保存の対象とならなかった2 前 核期胚から発生した胚を day6 まで培養し研究に用いた。G5 群とHTF 群においてそれぞれ 10 個の胚を対 象に分析した。受精の方法、母体年齢、胚盤胞の質などを一致させた。mRNA を分離し増幅し調べた。ま た、胚は個別的にゲノム全体の遺伝子の発現を調べた。 G5 群と HTF 群において951 個の遺伝子の発現に有意差が認められた。アポトーシス、代謝、蛋白の処理、 細胞周期の調節などにかかわる 18の経路においては過剰な発現が認められた。G5 群においてはHTF 群と 比較し DNAの複製、G1 からS 期への細胞調節および酸化的リン酸化の経路に上方調整が認められた。 このような結果は 1,527 個の胚の形態的評価と一致した。day2 における細胞の数はそれぞれ3.73 個と 3.40 個、day3 における細胞の数は7.00 個と 5.84 個で G5 群において有意に高い値を示した。着床率は G5 群にお いては HTF群よりも有意に高く、それぞれ 26.7%と 14.7%であった。 完全精子無力症、ART、逆行性射精、生児出産 theophylline は逆行性射精の男性における不動精子を刺激する上で安全で有効な方法である。

Healthy live birth using theophylline in a case of retrograde ejaculation and absolute asthenozoospermia Thomas Ebner, Omar Shebl, Richard Bernhard Mayer, Marianne Moser, Walter Costamoling, Peter Oppelt Fertil Steril. 2014 Feb;101(2):340-343

【文献番号】r01600(媒精、精子選別、胚培養、胚発育) 逆行性射精で完全精子無力症の患者に調整済みの theophylline の使用が適切な選択肢となるか否か検討し た。31歳の未産婦の女性と 39歳の逆行性射精と完全精子無力症が認められた男性を対象に ICSI を試みた。 治療前のスクリーニングにおいて逆行性射精後に膀胱内から回収された精子の濃度は 2.4 ×106/mL、非前 進運動精子 4%、生存率5%という結果であった。3 本に分け凍結保存したが、その後に1 本を解凍したが 運動精子は認められず新鮮精子で ICSI を試みることとした。 採卵日に、排尿後膀胱にカテーテルを挿入し膀胱内の pH を中和後に射精させ、尿を回収し遠心後に精子 を BM1 medium に移したが、生存精子は 1%ほどでラボからクリニックへ移送した段階で運動性精子は認 められなかった。非運動精子と非生存精子を識別するために調整済みのtheophylline(GM501 SpermMobil; Gynemed)0.5 μL をswim-up後のドロップに添加したところ、数分で運動性精子が確認された。ICSI に よって受精が成立し、単一胚移植を行ったところ妊娠し健康な生児を得た。

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参 考:逆行性射精 逆行性射精の患者には精液採取 2時間前に重炭酸ナトリウム (7g/500ml)を服用させ、射精後ただちに採尿 し AIH あるいは ART を行う方法が有用とされている。このような処置によって精子にとって適正な pH と浸透圧が得られる。ART の培養液をカテーテルで膀胱内へ注入した後、射精させ尿を回収し精子を得 る方法も有用である。 精子、精子選別、複屈折性、DNA fragmentation、男性不妊、MSOME 複屈折性あるいはMSOME単独で精子を選別した場合、およそ1/3はDNAのfragmentationのある精子を選 別することになる。最もDNA fragmentationの低い精子は複屈折性を有し、核に空胞を認めず、MSOME で正常と判定された精子である。したがって、DNAが正常な割合が高い精子の選別には顕微下で複屈折性 を確認し、核に空胞を有しない精子を選別する併用法が勧められる。

Sperm selected by both birefringence and motile sperm organelle morphology examination have reduced deoxyribonucleic acid fragmentation

Andrea Garolla, Ilaria Cosci, Massimo Menegazzo, Raffaella De Palo, Guido Ambrosini, Barabara Sartini, Damiano Pizzol, Carlo Foresta

Fertil Steril. 2014 Mar;101(3):647-652

【文献番号】r01600(媒精、精子選別、胚培養、胚発育)

単一の精子の複屈折性と運動精子の細胞小器官の形態検査、すなわち MSOME(motile sperm organelle morphology examination)の結果別に、精子の DNA fragmentation を調べた。正常精液所見を有する 33 名から精液の提供を受けた。複屈折性と MSOME の結果から精子をカテゴリ別に分けた。カテゴリ A は 非複屈折性群、カテゴリ B は複屈折群、カテゴリ C は核に空胞を有する複屈折群、カテゴリ D は核に空胞 を有しない複屈折群とした。これらの各群の精子をTUNELテストを用いてDNA fragmentation を調べた。 660個の状況が明らかとなった精子を対象にDNA fragmentationの検査を行った。カテゴリAではMSOME で正常と判定された精子の割合は 19.4%と低値を示し、DNA fragmentation の割合は70.3%と高い値を示 した。カテゴリ B においては MSOME で正常と判定された精子の割合は 81.8%、DNA fragmentation が認 められたものは 31.8%であった。 カテゴリ C におけるDNA fragmentation は小さな核の空胞を有したものにおいては31.8%、大きな空胞を 有したものにおいては 92.6%という結果であった。カテゴリ D における複屈折性が認められMSOME で正 常と判定され空胞が認められないものにおいてはDNA fragmentationの割合は最も低く2.8%に留まった。 培養液、quality control、胚培養、マウステスト 市販されている培養液の組成を調べたところ、大きな差異が認められ特にピルビン酸、乳酸およびアミノ 酸の濃度に有意な差異が認められた。胚盤胞到達率は培養液の種類に依存し、また酸素濃度による影響も 認められたが、蛋白の有無による影響も認められた。

Composition of commercial media used for human embryo culture

Dean E. Morbeck, Rebecca L. Krisher, Jason R. Herrick, Nikola A. Baumann, Dietrich Matern, Thomas Moyer Fertil Steril. 2014 Sep;102(3):759-766.e9

【文献番号】r01600(媒精、精子選別、胚培養、胚発育) 市販されている培養液の組成を調べ、組成の違いが生物学的にどのような意味を有するのかマウスを用い た実験モデルで調べた。実験には凍結保存されたハイブリッドマウスの 1 細胞期胚を用いた。Cook、In VitroCare、Origio、Sage、Vitrolife、Irvine CSCおよび Global の各培養液の組成をそれぞれ2 つのロット を用いて調べた。 対象とした物質はアミノ酸、有機酸、イオンおよび金属とした。また、これらの組成の違いが生物学的に どのような差異をもたらすかを調べるために、マウスの 1 細胞期胚を融解しそれぞれの培養液で 5%酸素 下および 20%酸素下で120 時間にわたって培養した。培養の際には蛋白添加群と非添加群の2つのグルー プに分け、EmbryoScope time-lapse incubatorを用いてモニターした。7 種類の培養液の39 種類のアミノ 酸、有機酸、イオンなどを調べた。また、96 時間の培養後の時点において胚盤胞到達率と細胞周期のタイ ミングを調べた。実験は 3回繰り返して実施した。

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39 種類の分析の対象となった物質の中でグルコース、乳酸、ピルビン酸、アミノ酸、リン酸、カルシウム およびマグネシウムの濃度は培養液で異なり、それが動物実験の際の差異に反映されたのではないかと思 われる。銅や亜鉛などの稀少物質は検知されなかった。マウスの胚は1 つの培養液においては発育するこ とができず、その他の 2つの培養液においては酸素濃度の環境で胚発育に影響が認められた。 胚培養、胚発育、IVF、良好胚、胚盤胞形成率 IVFの際の培養温度を通常の37℃ではなく、36℃としても胚発育の状態は改善されず、また、着床率の向 上も得られなかった。

Examining the temperature of embryo culture in in vitro fertilization: a randomized controlled trial comparing traditional core temperature (37°C) to a more physiologic, cooler temperature (36°C)

Kathleen H. Hong, Hokyung Lee, Eric J. Forman, Kathleen M. Upham, Richard T. Scott Fertil Steril. 2014 Sep;102(3):767-773

【文献番号】r01600(媒精、精子選別、胚培養、胚発育) 一部のヒトや動物実験のデータで示されているように、より生理的な状態に近い温度に下げた状態の培養 環境の方がヒトの IVF における胞胚の形成や妊娠率を向上させるか否か検討した。女性の年齢が 42 歳未 満で、8 個以上の卵子が採取された 52 組の不妊カップルを対象とした。1 つのコホートから得られた成熟 卵を無作為に 2群に分けた。1 群は37 ℃で、2群は 36℃で ICSI から胚移植の時点まで、あるいは vitrification の時点まで培養した。それぞれの群から 1個の正倍数性の胚を移植した。

DNA fingerprinting を用いてそれぞれの胚の結果を調べた。移植あるいは vitrification に適した拡張期胚 盤胞の形成率、受精率、異数性の胚および継続着床率を調べた。805 個の成熟卵子の培養を試みた。399 個 は 36 ℃で、406 個は 37 ℃で培養した。ペア分析の結果、接合子あたりの使用可能な胚盤胞の形成率は 37 ℃の群において 48.4%と 36℃の群における 41.2%を有意に上回った。受精率、異倍数性の胚の割合および 継続着床率には差異は認められなかった。

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