2020年 3 月30日 二〇一九年度下半期は、センター開設後に乱歩邸を訪れた江戸川乱歩賞受賞者のサインを、その作品と共に展示しました。サインは、乱歩が私的に使っていた原稿用紙にお願いしました。
最新の第六十五回江戸川乱歩賞は、神護かずみ氏が『ノワールをまとう女』で受賞されましたが、同賞は昭和二十九(一九五四)年、乱歩還暦祝賀会の席上で生まれました。祝賀会には捕物作家クラブや二十七日会東京作家クラブなどの会員が集い、日本探偵作家クラブから緋色のジャンパーと乱歩好み
江戸川乱歩と江戸川乱歩賞
展示紹介のベレー帽が贈られました。その席で乱歩は、探偵小説奨励のため日本探偵作家クラブに百万円の寄付を決め、賞 二〇一九年度には、江戸川乱歩作成のスクラップブック『貼 はり雑 まぜ年 ねん譜 ぷ』に貼られた様々な写真もご覧いただきました。『貼雑年譜』には、乱歩邸内で撮られた家族写真や、交友のあった作家達とのスナップ写真などのほか、立教大学五号館脇で佇む姿、こっくりさんに興じる三島由紀夫や杉村春子、芥川比呂志を後ろから眺めている姿、文士劇「鈴ヶ森」に出演し、幡随院長兵衛に扮する姿などが写し出されています。これらの写真からは、人嫌いを公言していた乱歩が、段々と人前に出てくる様子がうかがえます。(丹羽
みさと)
江戸川乱歩賞展示
の設立を提案しています。そして乱歩は正賞として、シャーロック・ホームズのブロンズ像を思い立ち、十個、つまりは十年分を寄贈しました。ちなみに第四十九回からは江戸川乱歩の胸像となっています。
第一回受賞作は中島河太郎「探偵小説事典」、第二 回は早川書房「ハヤカワ・ポケット・ミステリの出版」となっており、当初は小説以外の業績を対象としていました。しかし、中島から「書下し長編を募集して、その最高作に贈ってはどうか」という提案がなされ、受賞作が講談社から出版されるという現在の形となりました。
『貼雑年譜』 の乱歩
江戸川乱歩賞正賞 シャーロック・ホームズ像
(1955年製)