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街路景観の規制基準づくりのための色彩調査・分析 手法の構築

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

街路景観の規制基準づくりのための色彩調査・分析 手法の構築

近藤, 桂司

九州大学大学院芸術工学研究府 デザインストラテジー専攻博士後期課程

https://doi.org/10.15017/20305

出版情報:Kyushu University, 2011, 博士(芸術工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

様式第2号

論 文 要 旨

区 分 甲 氏 名 近 藤 桂 司

論文題目 街路景観の色彩規制基準づくりのための色彩調査・分析手法の構築

論 文 内 容 の 要 旨

本研究は,地域の景観特性が活かされた画一的でない景観形成を伸長する基準づくりを可能にす るために,景観地区の現行の色彩規制基準の問題点を明らかにし,地域の景観色彩特性を把握する ための調査・分析手法の構築を目的としている。

本論文は6章により構成される。

第1章「序論」においては,住民全体の共有財産である景観の質を高めるための方策として,全 国各地で景観形成基準の策定によって良好な景観形成の誘導が図られていることを述べている。全 国では次々に計画が策定されており,色彩の規制は例外なく計画の中に盛り込まれている。そして 基準策定にあたっては,混沌でも画一的でもない「さじ加減」が必要であるとし,その「さじ加減」

を見極めるためには景観色彩の地域特性を把握する手法の構築が必要であるとしている。

第2章「既往研究と本研究の位置づけ」においては,既往の研究を調査することにより,条例等 の色彩規制基準の比較検討手法および景観色彩の特徴の把握手法が,どのような位置づけで独自性 を持ち,研究の重点をどこに置くべきかを明らかにしている。まず,規制基準の表現方法を統一し 定量的な比較を可能にする手法を開発することが重要であり,その手法によって基準間の類似性を 定量的に明らかにすることが本研究の独自性であることが明らかになった。次に,写真分析法によ る景観撮影条件の検討が重要であり,撮影画像データの変換および分析手法の構築,分析結果の表 現手法に本研究の独自性があることが明らかになった。

第3章「景観地区の色彩規制基準の実態調査と分析」においては,色彩規制基準の表現方法を独 自の手法により統一することで,各基準間の類似性を定量的に比較することが可能になった。景観 地区を対象として実態調査と分析を行った。景観計画では例外なく建物の色彩が規制されており,

外壁と屋根の色彩を規制対象としていることがわかった。さらに,高彩度色を排除する目的でマン セル表色系を用いて数値で制限する傾向が強いことが明らかになった。外壁色については,2.5Rか ら 7.5Y までの色相では比較的彩度の高い色彩の使用が認められている。屋根色についても暖色系 色相については彩度が比較的高い色彩の使用が認められているが,寒色系は無彩色に近い色彩しか 認められない傾向が強い。また,歴史的環境保全地区では基準の地域差がほとんどないことなどが 明らかになった。

第4章「街路景観色彩調査および分析手法」においては,デジタルカメラを用いて景観画像の色 彩を測定する手法と,その色彩分布の特徴を把握する手法を示した。デジタルカメラで撮影した景 観画像のRGB値を均等色空間のL*a*b*値に変換する作業が不可欠であり,その変換式は数多くの 色票をデジタルカメラで撮影して得たRGB値と,同じ色票を測色計で測定して得たL*a*b*値との 間で重回帰分析を行うことで得られることを示している。また,得られた色彩データの分布の特徴 を把握する手法として,クラスター数を30とするk-means法クラスター分析や主成分分析が有効

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であることを明らかにしている。さらに,2 種類の分析結果を視覚的に把握する方法としてクラス ターの三次元表示や偏差十字体を示している。

第5章「本研究の手法を用いた事例調査」においては,第4章で構築した手法を用いて実際の街 路景観の色彩を調査・分析,比較を行い,街路によって異なる色彩の特徴が分析結果に反映されて いることを示し,手法の妥当性を検証している。また,視感測色によって外壁や屋根の物体色を調 査し,景観計画が策定されている犬山大本町通りおよび本町通り,尾道海岸通りについては規制基 準と実際の物体色の相違を検証している。これらの結果,次のことを明らかにしている。(1)本研 究手法では任意の視点から眺めた景観の色彩の特徴を把握することも,街路全体の景観の平均的な 色彩の特徴を把握することも可能であること。(2)景観計画の色彩規制基準は,地域でgoodとさ れる建築物の色彩の視感測色値とは必ずしも一致していないこと。(3)本研究手法によって把握で きる景観色彩と視感測色によって把握できる物体色の間には相違があり,景観色彩の情報を建材の 選択に応用するにはさらなる研究が必要であること。

第6章「結論」においては,これまでに述べてきたことを総括して結論とし,今後の研究課題と 将来の展望について述べている。

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