研究論文
特別支援学級のための音楽鑑賞教材研究Ⅱ
〜実演奏による鑑賞授業(2)〜
宮下茂 (長崎大学教育学部)
Iはじめに
筆者は、平成19年2月23日に長崎大学教育学部附属養護学校(現特別支援学 校)で開催された公開研究発表会に於ける中学部指導助言者の任を得た。それを 切っ掛けとして、特別支援学校での音楽授業の内容に興味を抱いたと同時に、演 奏家としても同様の興味を抱いた。そして筆者の指導活動や演奏活動を特別支援 学校の生徒に役立てることや、どのようにすれば役立てることができるか等を考 えるようになった。その後、約1年間にわたり特別支援学校並びに盲学校に於い て授業観察を行い、音楽授業に於ける指導目標として筆者の考えを明らかとした。
(註1)
そのような中、平成19年度文化庁芸術家派遣事業派遣講師の任を得て、同年6 月6日から3回に亘り長崎県立盲学校幼少部に於いて音楽授業を行う機会を得た。
1回あたり60分の授業では、歌唱指導と鑑賞授業を半々に行った。
本論分は、筆者の行った実演による鑑賞授業の試行内容を考察し、児童並びに 生徒の持つ様々な能力を伸ばす内容の音楽鑑賞プログラムの研究を行うものであ
る。
鑑賞授業の試行では、鑑賞授業全体の総合的テーマに「歌と音楽のおもしろさ」
を打ちたて、各回のテーマを以下に設定した。
・第1回テーマ「歌のおもしろさ(季節の歌〜どんな季節?何を思い出す?)」
・第2回テーマ「音のおもしろさ(音の描写〜どんな音?何の音?)」
・第3回テーマ「歌のおもしろさ(世界の歌)」
第1回、第2回の鑑賞授業内容は既に「特別支援学級のための音楽鑑賞教材研 究Ⅲ〜実演奏による鑑賞授業(1)〜」(註2)に記している。
本論分では、第3回鑑賞授業内容と鑑賞授業全体の総括を行う。
Ⅱ長崎県立盲学校幼少部での実演による鑑賞授業
● 第3回鑑賞授業の実施
第3回目の鑑賞授業では、テーマに「歌のおもしろさ(世界の歌)」を設定し、
平成19年6月20日(水)11:30〜12:30の派遣授業の中で実施した。
15分刻みの鑑賞授業を2セット行い、それぞれのテーマを①「世界の歌〜世界 の民謡と愛唱歌」 ②「世界の歌〜ハバネラのリズムで巡る世界の旅」とした。
一159−
そ の 中 で 鑑 賞 曲 に 関 す る コ メ ン ト と 演 奏 を 交 互 に 行 っ たO
前 固 ま で の 鑑 賞 授 業 に 於 い て 、 第 1回 で は 児 童 に と っ て 身 近 な 季 節 を テ ー マ と し た 唱 歌 を 中 心 に 鑑 賞 を 行 い 、 第 2回 で は 想 像 を 伴 う 集 中 力 を 必 要 と し た テ ー マ で 鑑 賞 を 行 っ て き た 口 第 2固 ま で の 授 業 に 於 け る 児 童 の 様 子 を 観 察 し た 結 果 、 ほ と ん ど の 児 童 が 鑑 賞 内 容 に 興 味 を 持 ち 、 集 中 を 切 ら さ ず に 聴 く こ と で き る こ と が 分 か っ たD その為、今回の授業では 2セット目の前半 に 、複数 の 曲に共 通 する「 ハ バ ネ ラ 」 の リ ズ ム を 感 じ と る 内 容 を 加 え 、 リ ズ ム と 国 別 の 2つのテーマによる、
世界の愛唱歌の鑑賞を試みた。
曲 目 、 選 択 曲 の テ ー マ 、 コ メ ン ト 内 容 等 、 具 体 的 な 内 容 は [ 表 1][表 2]を参 照されたい。
【表 1]鑑 賞 指 導 内 容 1
r
世 界 の 歌 世 界 の 民 謡 と 愛 唱 歌J (コメント時間十演奏時間=合計 15分)曲1)慎 選択曲のテーマ コメント内容(台本)
(導入) 好 き な 歌 は あ り ま す か ?
今日、先生が最初に歌いたい歌は、
1 好きな歌・・・
今 、 歌 い 歌 元 気 に テ ン シ ョ ン を あ げ て 歌 え る 歌です。
今 、 先 生 が 歌 い た い 歌 を 歌 い ま し た。でも、一人で歌う歌よりも、み んなで歌える歌は、もっと楽しくな
ります。
み ん な で 歌 え る 子どもから、おじいちゃん、おばあ
2 歌 愛 唱 歌 ちゃんまで、誰とでも歌える歌、そ
ん な 歌 の こ と を 「 愛 唱 歌Jといいま す。
今 日 は 、 そ ん な 「 愛 唱 歌Jを集めて み ま し たo
ほ と ん ど の 日 本 人 が 知 っ て い る 愛 唱歌「ふるさと」。
世 界 に も 、 そ ん な 愛 唱 歌 が あ り ま 韓 国 版
3 す。
「ふるさと」
お隣韓国の愛唱歌、韓国版「ふるさ と」といえる、「故郷の春Jを聞き ましょうO
曲目 闘 牛 士 の 歌
(ビゼ一作 曲、歌劇Ji
r
カ ノレメン」より)(第 1節のみ演 奏)
ふ る さ と ( 高 野辰之作詞、
岡 野 貞 一 作 曲) (第 l節の み演奏)
故 郷 の 春 ( 後 藤 田 純 生 訳 詞 、 洪 蘭 坂 作 曲 、 山 田 真 孝 編曲)(第 1節
一 奏 )
I
続 い て は 、 同 じ ア ジ ア の 大 国 、 中 国 太 湖 船 ( 中 国
中 国 の 愛 唱 歌 の愛唱歌。 民 謡 、 菊 村 紀
4 舟 遊 び の 楽 し さ を 歌 っ て 、 世 界 に 知 彦 作 詞 、 松 山 民 謡 ら れ る 歌 I太 湖 船 ( タ イ ・ フ ー ・ チ 柘 士 編 曲 )(第
ョワン)Jで すD 1節 の み 演 奏 ) 今 歌 っ た 中 国 の 愛 唱 歌 … こ れ は 、 中
国の民謡でもあります。
グリーンスリ 世 界 に は 、 様 々 な 民 謡 が あ り ま す 。
ー ブ ス ( イ ギ 欧 米 の 民 謡 に は 、 ど こ か で 聞 い た こ
り ス 、 イ ン グ と が あ る 歌 や 、 初 め て で も 、 聞 き や
世 界 の 民 謡 へ ラ ン ド 地 方 の
5 す い 歌 が た く さ ん あ り ま す 。 イ ギ リ ス の 民 謡
続 い て は 、 ヨ ー ロ ッ パ の 民 謡 を 聴 き 民 謡 、 門 馬 直 ましょう D 衛訳詞)
(第 l節 の み ま ず は イ ギ リ ス 、 イ ン グ ラ ン ド 地 方
の民謡ーから「グリーンスリーブス」 演奏) です。
続 い て は 、 イ ギ リ ス の そ ば に 位 置 す
る、アイルランドの民謡。 庭 の 千 草 ( ア
世 界 の 民 謡 へ ケ ル ト 音 楽 な ど で 知 ら れ る 、 ア イ ル イ ル ラ ン ド 民 6 ア イ ル ラ ン ド の ラ ン ド は 、 古 く か ら 伝 統 を 大 切 に す 謡 、 堀 内 敬 三 民 謡 る 国 で 、 ヨ ー ロ ッ パ の 人 に と っ て 訳詞)(第 1節
は 、 中 世 の 時 代 を 呼 び 起 こ す 、 懐 か のみ演奏) しさを持つ音楽があります。
.
ド イ ツ の 民 謡 は 明 る く 、 楽 し く 、 ほ 別 れ ( ド イ ツ世 界 の 民 謡 へ がらかです。 民 謡 、 門 馬 直
7 別 れ の 歌 で も 、 明 る く 歌 わ れ ま す 。
ド イ ツ の 民 謡 み ん な で 楽 し く 歌 え そ う な ド イ ツ 衛訳詞) (第 1
民謡「別れ」です。 節 の み 演 奏 )
菩 提 樹 ( ド イ
.
ピ ア ノ の 音 か ら 風 の 音 が 聞 こ え て ツ 民 謡 / シ ュ ド イ ツ の 民 謡 い た 、 シ ュ ー ベ ル ト の 「 菩 提 樹J。 ー ベ ル ト 作 8 シ ュ ー ベ ル ト の.
ド イ ツ の 民 謡 で は 演 奏 の 難 し い 風歌 も 民 謡 に … の 音 が 省 略 さ れ て 、 み ん な で 歌 え る 曲 、 門 馬 直 衛
歌になりました。 訳詞)(第 l節
のみ演奏)
ヴ ォ ル ガ の 舟 最 後 は 、 寒 い 風 土 の 厳 し い 生 活 を 歌
歌 ( ロ シ ア 民 北 の 大 地 の 寒 そ うロシアの民謡。
謡 、 門 馬 直 衛 北 の 大 地 の 大 国 ロ シ ア に 17世 紀 頃
9 うな民謡 生 ま れ た ロ シ ア 民 謡 「 ヴ ォ ル ガ の 舟 訳詞)(第 1節 歌Jです。
のみ演奏)
[表 2]鑑 賞 指 導 内 容 2 I世 界 の 歌 ハ バ ネ ラ の リ ズ ム で 巡 る 世 界 の 旅J (コメント時間十演奏時間二合計 15分)
曲11頃 選択曲のテーマ コメント内容(台本) 曲目
ハ バ ネ ラ ( ビ ゼ ー 作 曲 歌 劇
.
まずはピアノソロで、この曲を聞き 「カルメン J1 ましょうo から) (第 1節
のみ演奏) (ピ アノソロ)
.
フランス人のビゼ一作曲の歌劇「カ ノレメン」から 踊 り の リ ズ ム が 特 徴 世 界 は せ ま い ?的な「ハノミネラ」でしたO
ハバネラのリ
ビ ゼ ー が ス ペ イ ン 民 謡 だ と 思 っ て ズ ム で め ぐ る 世
いたこの曲、実はスペイン人のイラ ラ・パロマ(ス
界 の 旅
デ ィ エ ル の 作 っ た 歌 で し たO ベ イ ン 民 謡 /
.
彼 は ス ペ イ ン か ら ア メ リ カ へ 演 奏 イ ラ デ イ エ ル 2 旅 行 し て 、 キ ュ ー バ の ハ バ ナ で 「 ハ 作 曲 、 津 川 主 パ ナ 風 の 踊 り 」 の 曲 を 知 り ま し たO 一訳詞) (第 l その後、 フ ラ ン ス へ 移 っ て ビ ゼ ー 節 の み 演 奏 ) の「ハノくネラ」が生まれました。.
続 い て は イ ラ デ イ エ ル の 作 っ た 歌 (スペイン民謡)、「ラ・パロマ Jを 聴 き ま し ょ う O‑162
3
イ タ リ ア の 有 名 な ナ ポ リ 民 謡 「 オ ー・ソレ・ミオ」口
ディ・カプア作曲が作曲し、 1899 年 に ナ ポ リ 地 方 の お 祭 り で 、 第 2 位 入 賞 し た 歌 で すD
オー・ソレ・
ミオ(ナポリ 民謡/ディ・
カプア作曲、
徳 永 政 太 朗 訳 この曲でも「ハノくネラ」のリズムが│詞) (第 1節 の
聴こえます。
I
み演奏)4
チ 民 三 節 ル リ 敬 礼 ) ポ 内 ぽ 奏 タ ナ 堀 ) 演 ン (
︑ 詞 み サ ア 謡 訳 の
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フ ニ ク リ ・ フ ニ ク ラ ( ダ ン
l 愛闘の宝庫 ~I
続 い て 昔 の コ … 山 ン グ ツ ァ 作 曲 、 津 5イ タ リ ア の 歌 「フニクリ・フニクラJです。 川 主 ー 訳 詞 ) (第 l節 の み 演奏))
ト 寸
心 の 歌 ( 歌 劇
「リゴレッ 最 後 は 、 オ ペ ラ の ア リ ア で す が 、 愛 ト」より、ヴ 6 唱 歌 と し て も 知 ら れ る 「 女 心 の 歌J エノレデ、イ作
です。 曲 、 堀 内 敬 三
訳詞) (第 l節 のみ演奏)
イタリアのカノレディッロが、 1908
年 に 名 歌 手 カ ル ー ソ ー の た め に 作 カ タ リ ( つ れ っ た 歌 「 カ タ リ ( つ れ な い 心 )J。 ない心) (カノレ 7 タ リ ア の 歌 歌 の 魅 力 は 、 や は り そ の 国 の 言 葉 の デ ィ ッ ロ 作
中にあります。 曲、原語歌唱)
最 後 は イ タ リ ア 語 で 聴 き ま し ょ う O
‑163‑
Eま と め
以 上 が 全 3回 に 亘 る 鑑 賞 授 業 の 授 業 内 容 で あ るO
鑑 賞 授 業 で は 、 授 業 前 に 行 っ た 授 業 観 察 の 考 察 内 容 を 受 け 、 授 業 の 時 間 配 分 を 児 童 の 慣 れ て い る 15分の活動に分け、 60分 の 授 業 に 対 し 歌 唱 と 鑑 賞 の 2つ の 内 容 を 15分 の 活 動 4セ ッ ト に 分 け て 、 歌 唱 と 鑑 賞 を 交 互 に 行 っ て き た 。 ( 各 回 共 通 )
授 業 へ の 取 り 掛 か り と し て 、 児 童 に よ く 知 ら れ た 季 節 の 歌 に よ る 鑑 賞 の 授 業 を 始 め た ( 第 1回授業)
盲 学 校 の 児 童 は 客 観 性 に 優 れ 、 音 に 対 す る す ば や い 反 応 が で き 、 周 り の 音 を 聞 き 取 る 能 力 に 優 れ て い る と の 考 え か ら 、 児 童 の 持 つ 能 力 を 確 か め る 目 的 で 、 音 楽 の 中 か ら 聴 こ え る 自 然 描 写 の 聞 き 取 り を 試 み た 。 ( 第 2回 授 業 )
ま た 、 児 童 の 発 言 内 容 に 年 齢 よ り も 大 人 び た 発 言 が 聞 か れ 、 子 供 ら し さ に 囚 わ れ な い 鑑 賞 プ ロ グ ラ ム も 可 能 で あ る と 考 え ら れ た 。 そ の こ と か ら 、 世 界 の 愛 唱 歌 に よ る 懐 か し さ 等 < 歌 の 心 > の 聴 き 取 り を 試 み た ほ か 、 共 通 す る リ ズ ム の 聞 き 取
りを試みた。(第 3回授業)
各 回 の 鑑 賞 授 業 で は 欠 席 等 の 為 、 幼 児 1名 、 第 l学 年 か ら 第 6学 年 ま で の 児 童 7'"'‑'8名 、 合 計 8'"'‑'9名が鑑賞した。
全 盲 者 、 弱 視 者 の ほ か 肢 体 不 自 由 等 が あ る た め 感 想 等 や ア ン ケ ー ト の 記 入 は 、 時 間 を 必 要 と し た 。 そ の た め 、 幼 児 並 び に 児 童 へ の ア ン ケ ー ト は 行 わ ず 、 授 業 の 中 で 鑑 賞 の 様 子 を 観 察 し 、 直 接 質 問 を そ の 場 で 行 い 、 授 業 後 に 児 童 に よ っ て 書 か れ た 感 想 文 と 合 わ せ て 鑑 賞 教 材 の 成 果 内 容 を 考 察 し たO ま た 、 音 楽 授 業 担 当 の 6 名 の 教 諭 に よ る 感 想 文 書 ( 事 業 報 告 書 ) か ら 、 鑑 賞 授 業 に 関 わ る 部 分 を 抜 き 出 し 、 合 わ せ て 考 察 を 行 っ た 。
教員並びに児童の感想、内容は【表 3] を参照されたい。
教 員 の 感 想 、 か ら 、 鑑 賞 授 業 各 回 と も 好 評 を 得 て い た が 、 特 に 音 楽 を 聴 く の み で は な く 、 話 を 挟 み な が ら 効 果 音 と 音 楽 を 交 互 に 聴 い た 第 2回 の 授 業 に 興 味 と 関 心 を 与 え た こ と が 伺 え るo (表 3‑A)
ま た 、 児 童 の 感 想 で も 、 第 2回 の 鑑 賞 授 業 に 於 け る 「 木 の 葉 を 揺 ら す 風 の 音 」 と し て 紹 介 し た シ ュ ー ベ ノ レ ト の 「 菩 提 樹 」 や 、 日 本 語 歌 詞 の 理 解 に 頼 ら ず 、 ドイ ツ 語 で の 歌 唱 と ピ ア ノ の 音 か ら 情 景 を 感 じ 取 る 鑑 賞 と し て 紹 介 し た 、 レ ー ヴ ェ の
「詩人のトム」が好評であった。(表 3‑B一①)
同 様 に 「 詩 人 の ト ムj で 鑑 賞 し た 、 効 果 音C Dの 具 体 的 な 自 然 音 も 好 評 で あ っ た。(表 3‑B ③)
授 業 の 中 で も 、 「 菩 提 樹 Jの 鑑 賞 途 中 で 「 聞 こ え た !J と 、 思 わ ず 声 を 上 げ る 児 童 が お り 、 自 分 の 想 像 と ピ ア ノ の 音 が 結 び 付 い た と 感 じ た こ と へ の 感 激 が 表 れ た 様子が観察された。
そ の 他 の 感 想 と し て 、 教 員 の 感 想 の 中 に 「 力 強 い 歌 声 に 首 を す ぼ め て し ま う 児 童もいた。j と い う 音 量 に 関 す る 注 意 点 が 見 ら れ た 。 ( 表 3‑A‑④)
児 童 の 感 想 に 、 「 し ゅ う 学 り ょ こ う で 花 火 を 見 た と き 、 『 ド ー ン と な っ た 花 火 が きれいだな。』をおもい出しました。J(表 3‑B‑⑤ ) と あ っ た が 、 そ の 意 見 と は 別 に 、 鑑 賞 授 業 の 中 で の 注 意 点 が い く つ か 考 え ら れ たO
一 つ は 前 述 の 音 量 に 関 す る 注 意 で あ り 、 例 え ば 第 2回 授 業 で 鑑 賞 し た ム ソ ル グ ス キ ー 「 の み の 歌 」 の 中 で 、 や は り 「 首 を す ぼ め て し ま う 児 童 」 の 姿 が 見 ら れ た 。 急 激 な 音 量 の 変 化 の 部 分 で 、 児 童 は 驚 い た 様 子 で あ っ たO そ の よ う な 楽 曲 を 選 択 す る 場 合 、 児 童 へ の 配 慮 が 必 要 で あ っ たo
ま た 、 前 述 の 花 火 の 感 想 、 を 述 べ た 児 童 の 例 で あ る が 、 そ の 児 童 は 急 激 な 音 量 の 変 化 の 部 分 で は 平 気 な 様 子 で 熱 心 に 聞 き 入 っ て い た が 、 第 3回 授 業 で 鑑 賞 し た ダ ン ツ ァ の 「 フ ニ ク リ ・ フ ニ ク ラ 」 で は 肢 量 を 起 こ し て し ま っ た 。 し か し 、 そ の 児 童 は 別 室 に 移 動 さ せ よ う と す る 教 員 の 手 を 払 い の け 、 床 に 手 足 を つ い た ま ま 最 後 ま で 曲 を 鑑 賞 し 続 け て い た 。 そ の 様 子 か ら 、 熱 心 に 聞 き 入 る あ ま り 、 こ の 曲 の 持 つ 快 活 な 速 度 と リ ズ ム に 一 種 の 酔 い を 感 じ た と 考 え ら れ た 。
以 上 の 考 察 か ら 、 音 量 や 速 度 ・ リ ズ ム に つ い て は 、 鑑 賞 者 に 合 わ せ た 選 択 が 必 要 で あ る が 、 語 り と 自 然 音 、 歌 と を 組 み 合 わ せ た 鑑 賞 は 、 盲 学 校 の 児 童 に と っ て 想 像 力 を 働 か せ る こ と が で き 、 興 味 と 関 心 を 寄 せ る こ と が で き る 活 動 に な り う る
こ と が 分 か っ たD
筆 者 は 、 今 回 の 研 究 内 容 を 基 に 語 り と 自 然 音 、 歌 と を 組 み 合 わ せ た 鑑 賞 プ ロ グ ラ ム を 再 考 し 、 続 い て 特 別 支 援 学 校 に お い て 実 演 に よ る 鑑 賞 授 業 の 試 行 を 行 う 計 画 で あ るO
註
( 1 )論文題目「特別支援学級のための音楽鑑賞教材研究 1~音楽授業観察による指 導目標の考察 ~J 宮下茂、長崎大学教育学部附属教育実践総合センタ一紀要、
2008. 3第 7号、 91‑96、2008年 3月 参 照 。
( 2 )論文題目「特別支援学級のための音楽鑑賞教材研究 II~ 実演奏による鑑賞授業 (1) '"'"'J宮下茂、長崎大学教育学部教科教育学研究報告書、第 49号、 71‑82、 2009年 3月 参 照 。
{表 3]感想、(鑑賞に関する部分) A. 教 員 の 感 想 ( 鑑 賞 に 関 す る 部 分 )
① 各 回 毎 に 季 節 、 鑑 賞 ( 自 然 の 音 な ど ) 、 世 界 の 音 楽 と 内 容 も 盛 り だ く さ ん で 、 子 ど も た ち の あ 一 知 っ て る " あ ー わ ー " と い う 驚 き の 声 と 表 情 が 印 象 的 だったo
② 四 季 の イ メ ー ジ を 効 果 音 と と も に 歌 唱 と ピ ア ノ 演 奏 し て い た だ き 、 イ メ ー ジ の 伝 え 方 か ら 子 ど も た ち も 想 像 力 が 育 っ た と 思 っ たD
③ 先 生 の は り の あ る 歌 声 が と て も 魅 力 的 だ っ た 。 Nさ ん ( 弱 視 、 肢 体 不 自 由 ) は 全 身 で 声 を 受 け 止 め る よ う な 感 じ で 、 身 体 を し っ か り 起 こ し 聴 き 入 り 、 歌 声 を 楽 し ん で い た 口 お 話 さ れ る 声 も 大 好 き だ っ た よ う だ 。
④ 力 強 い 歌 声 に 首 を す ぼ め て し ま う 児 童 も い た 。
B.児童の感想、(鑑賞に関する部分)
① き れ い な え ん そ う を き か せ て い た だ い て あ り が と う ご ざ い ま す 。 み や し た せ ん せ い の こ え わ やわらかし、かんじがしました。きせつのうたがとてもすき で し た 。 ピ ア ノ が と て も じ よ ー ず だ っ た で す 。 シ ュ ー ベ ル ト の き ょ く が と て もすきでした。 ド イ ツ で う ま れ た ひ と が つ く っ た う た も す き で し たo また、
うたをひいてください口 (3年 男 子 ・ 全 盲 ・ 点 字 文 )
② き れ い な う た を う た っ て く だ さ つ で あ り が と う ご ざ い ま す 。 ぜ ん ぶ の う た が きれいでした。 (3年 男 子 ・ 強 度 弱 視 )
③ ぼ く が い ち ば ん や さ し く て な め ら か な う た は 、 は る が き た と い う う た で す 。 ぼ く が お も っ た の は 、 み や し た せ ん せ い の こ え が き れ い だ な あ と お も い ま し たD ぼ く が い ち ば ん お も し ろ か っ た の は 、 す ず の お と が ま ざ っ たC Dをきい た の が お も し ろ か っ た で すo (4年 男 子 ・ 全 盲 ・ 点 字 文 )
④ す ず の お と を き い た の が お も し ろ か っ た で す 。 せ ん せ い の う た を き い て た の し か っ た で す 。 こ ん ど あ っ た ら た の し い お は な し を し ま し ょ う ね 。 (4年 女 子 ・ 全 盲 ・ 点 字 文 )
⑤ し ゅ う 学 り ょ こ う で 花 火 を 見 た と き 、 「 ド ー ン と な っ た 花 火 が き れ い だ なoJ を お も い 出 し ま し たo (( 6年 女 子 ・ 弱 視 )
⑥ う た 、 だ い す き ありがとう (6年 女 子 ・ 弱 視 ・ 肢 体 不 自 由 )