は
じ
め
に
筆
者
は
こ
の
十
数
年
ほ
ど
の
間
に
近
世
期
に
京
都
で
商
業
出
版
に
使
用
さ
れ
た
板
木
を
七
千
枚
ほ
ど
見
て
き
た
が
、
意
外
だ
っ
た
の
は
俳
諧
関
係
の
そ
れ
が
非
常
に
少
な
い
と
い
う
こ
と
で
あ
る
。
管
見
に
入
っ
た
板
木
の
う
ち
、
書
名
の
判
明
す
る
も
の
を
取
り
上
げ
み
る
と
次
の
よ
う
に
な
る
。
安
永
七
年
刊
﹃
奥
細
道
菅
菰
抄
﹄
四
丁
張
一
枚
寛
政
元
年
再
刻
﹃
お
く
の
ほ
そ
道
﹄
四
丁
張
一
枚
寛
政
元
年
再
刻
﹃
芭
蕉
翁
発
句
集
﹄
四
丁
張
四
枚
文
化
六
年
刊
﹃
冬
の
日
注
解
﹄
四
丁
張
一
枚
天
保
三
年
刊
﹃
俳
諧
文
政
発
句
集
﹄
四
丁
張
四
枚
嘉
永
四
・
五
年
刊
﹃
俳
諧
袖
珍
鈔
﹄
六
丁
張
四
枚
弘
化
三
年
刊
﹃
芽
吹
柳
﹄︵
﹃
冠
吟
福
原
砂
子
﹄
の
改
題
本
︶
二
丁
張
五
枚
安
政
六
年
刊
﹃
四
季
類
題
百
詠
集
﹄
二
丁
張
十
四
枚
明
治
十
一
年
刊
﹃
国
風
冠
歌
四
季
母
艸
﹄
二
丁
張
二
十
四
枚
こ
の
う
ち
、﹃
奥
細
道
菅
菰
抄
﹄
の
板
木
に
つ
い
て
は
旧
稿
﹁
板
木
の
あ
り
か
﹂︵
近
世
文
藝
84
号
︶
に
、﹃
お
く
の
ほ
そ
道
﹄
の
そ
れ
に
つ
い
て
は
﹁﹃
お
く
の
ほ
そ
道
﹄
蛤
本
の
謎
﹂︵
奈
良
大
学
総
合
研
究
所
所
報
9
号
︶
な
ど
に
、﹃
芭
蕉
翁
発
句
集
﹄
に
つ
い
て
は
﹁
板
木
を
め
ぐ
っ
て
︱
﹃
芭
蕉
翁
発
句
集
﹄
の
入
木
︱
﹂︵
奈
良
大
学
総
合
研
究
所
所
報
8
号
︶
に
詳
述
し
た
の
で
、
そ
ち
ら
を
参
照
さ
れ
た
い
。
右
以
外
に
、
書
名
を
確
定
出
来
な
い
も
の
と
し
て
、
梅
室
の
連
句
集
︵
二
丁
張
五
枚
︶、
幕
末
期
と
思
わ
れ
る
類
題
句
集
三
点
︵
二
丁
張
、
合
二
十
六
枚
︶、
寛
政
以
降
と
思
わ
れ
る
冠
付
集
︵
二
丁
張
十
二
枚
︶・
折
句
集
︵
二
丁
張
十
枚
︶・
継
句
集
︵
二
丁
張
五
枚
︶
が
あ
る
。
以
上
、
枚
数
に
し
て
百
十
六
枚
。
七
千
枚
と
い
う
の
は
あ
く
ま
で
も
概
数
に
過
ぎ
な
い
が
、
そ
の
中
で
俳
書
の
板
木
の
占
め
る
割
合
は
二
%
に
満
た
な
い
。
俳
諧
は
近
世
期
に
最
も
盛
ん
に
行
な
わ
れ
た
文
芸
で
、
出
版
件
数
も
多
か
っ
た
は
ず
な
の
に
、
な
ぜ
こ
れ
ほ
ど
板
木
の
残
存
率
が
低
い
の
で
あ
ろ
う
か
。
そ
の
理
由
の
最
た
る
も
の
は
、
俳
諧
と
い
う
文
芸
の
性
格
に
あ
る
。
室
町
中
期
に
連
歌
の
会
の
余
興
と
し
て
生
論
文
俳
書
の
板
木
*
永
井
一
彰
ま
れ
た
俳
諧
は
、﹁
云
捨
て
﹂
と
い
う
別
称
が
よ
く
表
わ
し
て
い
る
よ
う
に
、
そ
の
場
限
り
の
慰
み
で
あ
っ
た
。
そ
の
娯
楽
文
芸
と
し
て
の
性
格
を
貞
徳
は
﹁
誹
諧
は
面
白
事
あ
る
時
、
興
に
乗
じ
て
い
ひ
出
し
、
人
を
も
よ
ろ
こ
ば
し
め
、
我
も
た
の
し
む
道
な
れ
ば
、
お
さ
ま
れ
る
世
の
こ
ゑ
と
は
是
を
い
ふ
べ
き
也
。﹂
︵﹃
誹
諧
御
傘
﹄
序
文
︶
と
的
確
に
意
義
付
け
て
い
る
が
、
そ
の
性
格
は
近
世
期
を
通
じ
て
基
本
的
に
変
わ
る
こ
と
は
な
か
っ
た
。
つ
ま
り
、
俳
諧
は
本
来
特
定
集
団
の
中
で
の
そ
の
場
限
り
の
慰
み
と
い
う
性
格
を
持
っ
て
い
る
の
で
あ
る
。
そ
し
て
そ
れ
は
当
然
、俳
書
の
特
性
と
も
な
る
。こ
の
問
題
に
つ
い
て
木
村
三
四
吾
氏
は
夙
に﹁
﹃
春
の
日
﹄
初
版
本
考
﹂︵
昭
和
46
年
3
月
﹁
ビ
ブ
リ
ア
﹂
47
号
初
出
、
平
成
10
年
1
月
木
村
三
四
吾
著
作
集
Ⅰ
﹃
俳
書
の
変
遷
︲
西
鶴
と
芭
蕉
﹄
に
収
録
︶
に
お
い
て
、
次
の
よ
う
に
述
べ
て
お
ら
れ
る
。
一
度
刷
ら
れ
た
も
の
の
版
木
を
、本
屋
は
ど
う
処
置
し
て
い
た
の
だ
ろ
う
か
。
浮
世
草
子
な
ど
の
小
説
類
で
あ
れ
ば
本
屋
自
身
の
企
画
で
、
そ
れ
に
つ
い
て
の
経
済
的
負
担
は
す
べ
て
版
元
に
か
か
り
、
版
木
は
財
産
の
一
つ
と
し
て
長
く
蔵
版
さ
れ
、
必
要
に
応
じ
随
時
追
刷
り
さ
れ
て
い
っ
た
が
、
俳
書
の
大
部
分
、
特
に
撰
集
な
ど
は
撰
者
自
費
出
版
の
形
を
と
り
、
そ
の
蔵
版
本
で
な
い
限
り
、
撰
者
買
上
げ
の
契
約
部
数
を
さ
え
刷
っ
て
し
ま
え
ば
後
の
版
木
の
管
理
は
本
屋
の
手
に
移
っ
た
も
の
の
よ
う
で
あ
る
。
し
か
も
、
本
の
内
容
も
そ
の
場
そ
の
時
限
り
の
も
の
が
多
く
、
版
元
と
し
て
も
何
時
ま
で
も
保
存
し
て
お
く
筋
合
の
商
品
で
あ
る
ま
い
。
せ
い
ぜ
い
一
地
方
一
流
一
派
の
作
品
を
収
め
た
に
過
ぎ
ぬ
撰
集
で
は
、
そ
の
連
中
の
発
表
欲
を
充
た
す
こ
と
は
あ
っ
て
も
、
外
部
か
ら
の
関
心
な
ど
何
程
の
拡
が
り
を
持
つ
も
の
で
も
な
く
、
こ
と
が
す
め
ば
そ
れ
は
そ
れ
で
仕
舞
で
あ
る
。︵
中
略
︶
と
す
れ
ば
、
原
刻
本
寺
田
版
の
﹃
春
の
日
﹄
は
初
刷
何
部
か
が
刷
ら
れ
た
ま
ま
、
以
降
追
刷
り
さ
れ
る
よ
う
な
こ
と
は
な
か
っ
た
、
と
も
い
え
る
。
し
た
が
っ
て
、
本
書
の
そ
の
後
の
版
木
が
版
元
か
ら
ど
の
よ
う
な
待
遇
を
受
け
た
の
か
、
お
よ
そ
の
見
当
は
つ
け
ら
れ
よ
う
。
初
刷
版
行
後
す
ぐ
に
割
ら
れ
て
薪
に
さ
れ
て
し
ま
っ
た
か
、
あ
る
い
は
幸
い
に
も
版
木
納
屋
の
片
隅
に
わ
ず
か
の
置
場
所
を
与
え
ら
れ
て
い
た
か
、
と
も
か
く
版
元
の
扱
い
が
丁
重
で
あ
っ
た
気
遣
い
は
な
い
。
も
ち
ろ
ん
俳
書
と
は
一
口
に
言
っ
て
も
特
定
集
団
の
撰
集
に
は
限
ら
ず
そ
の
様
態
は
さ
ま
ざ
ま
で
、
商
品
化
を
意
図
し
て
書
肆
が
企
画
す
る
も
の
も
あ
っ
た
わ
け
で
、
木
村
氏
の
指
摘
を
全
て
の
俳
書
に
当
て
は
め
る
こ
と
は
出
来
な
い
が
、
氏
の
指
摘
は
基
本
的
に
正
鵠
を
得
て
い
る
。
そ
し
て
、﹁
撰
者
買
上
げ
の
契
約
部
数
を
﹂
﹁
刷
っ
て
し
ま
﹂
っ
た
あ
と
﹁
す
ぐ
に
割
ら
れ
て
薪
に
さ
れ
て
し
ま
っ
た
﹂
か
﹁
版
木
納
屋
の
片
隅
に
わ
ず
か
の
置
場
所
を
与
え
ら
れ
て
い
た
﹂
以
外
の
あ
り
よ
う
に
つ
い
て
、
板
木
を
扱
っ
て
来
た
者
の
立
場
か
ら
補
っ
て
み
る
と
、
再
利
用
と
い
う
こ
と
が
ら
を
挙
げ
ね
ば
な
ら
な
い
。
近
世
期
の
書
肆
が
一
度
使
っ
た
板
木
を
再
利
用
し
た
こ
と
は
、
京
都
の
古
書
店
な
ど
で
は
当
た
り
前
の
こ
と
と
し
て
語
り
継
が
れ
て
い
る
の
だ
が
、
実
際
に
板
木
を
見
て
い
る
と
、
そ
の
痕
跡
が
残
る
も
の
も
幾
つ
か
見
受
け
ら
れ
る
。
巻
末
の
図
1
は
竹
苞
楼
旧
蔵
﹃
春
葉
集
﹄︵
荷
田
春
満
の
家
集
。
荷
田
信
郷
編
、
秋
成
ら
序
、
信
郷
跋
。
寛
政
十
年
七
月
刊
︶
の
刊
記
部
分
の
板
木
で
あ
る
。
左
に
信
郷
跋
文
の
末
尾
、
右
寄
り
に
刊
記
を
収
め
る
が
、
跋
と
刊
記
の
間
お
よ
び
左
寄
り
に
刻
面
を
削
除
し
た
痕
跡
が
残
り
、
再
利
用
の
板
で
あ
る
こ
と
が
分
か
る
。
ま
た
、
竹
苞
楼
旧
蔵
の
板
木
の
中
に
は
、
刻
面
を
削
除
し
た
状
態
の
板
が
九
枚
ほ
ど
残
っ
て
い
る
。
図
2
は
そ
の
一
例
。
こ
れ
ら
は
特
に
意
識
を
持
っ
て
見
な
け
れ
ば
、
た
だ
の
薄
汚
れ
た
板
に
し
か
見
え
な
い
し
ろ
も
の
で
あ
る
。
そ
れ
に
、
図
3
の
よ
う
に
、
刻
面
を
削
除
し
た
あ
と
彫
字
用
に
磨
い
て
再
調
製
し
た
板
も
あ
り
、
再
利
用
が
実
際
に
行
な
わ
れ
た
こ
と
を
現
物
に
よ
っ
て
、
し
か
も
そ
の
プ
ロ
セ
ス
を
追
っ
て
確
認
す
る
こ
と
が
出
来
る
。
恒
久
的
な
需
要
を
見
込
め
る
往
来
物
な
ど
の
実
用
書
や
仏
書
な
ど
に
比
べ
、
そ
の
場
限
り
的
な
性
格
を
持
つ
俳
書
や
、
当
た
り
外
れ
の
大
き
い
文
学
関
係
の
板
木
は
再
利
用
に
供
さ
れ
る
割
合
は
高
か
っ
た
と
い
う
こ
と
は
十
分
に
考
え
ら
れ
る
が
、
で
は
俳
書
の
板
木
が
再
利
用
さ
れ
た
と
い
う
実
例
は
あ
る
の
か
と
い
う
と
、実
証
は
困
難
を
極
め
る
。
何
故
か
と
い
え
ば
、
再
利
用
さ
れ
て
い
る
こ
と
が
明
白
な
板
木
も
刻
面
削
除
の
板
も
再
調
製
の
板
も
、も
と
は
何
の
本
で
あ
っ
た
か
は
判
ら
な
い
か
ら
で
あ
る
。
が
、
こ
こ
に
そ
の
痕
跡
を
留
め
る
稀
有
な
例
が
あ
る
。
そ
れ
は
、
享
保
元
年
刻
の
﹃
花
段
綱
目
﹄
を
の
ち
に
再
刻
す
る
に
際
し
、
間
に
合
わ
せ
に
俳
書
の
板
木
を
再
利
用
し
た
の
だ
が
、
そ
の
板
木
の
特
殊
形
態
ゆ
え
に
も
と
の
俳
書
の
原
姿
が
辛
う
じ
て
残
っ
た
と
い
う
ケ
ー
ス
で
あ
る
。
一
『
花
段
綱
目
』
の
内
容
と
諸
版
本
先
ず
は
﹃
花
段
綱
目
﹄
の
版
本
か
ら
話
を
始
め
る
こ
と
に
し
よ
う
。
該
書
は
水
野
元
勝
の
著
書
で
、園
芸
専
門
書
と
し
て
は
日
本
で
は
最
初
に
出
版
さ
れ
た
も
の
。
国
書
総
目
録
な
ど
に
よ
れ
ば
、
初
版
は
延
宝
九
年
の
刊
で
、
元
禄
四
年
版
も
あ
る
ら
し
い
が
、
未
見
。
管
見
に
入
っ
た
諸
版
本
に
つ
ぎ
の
よ
う
な
も
の
が
あ
る
。
奈
良
大
A
本
半
紙
本
三
冊
。
縦
22.3
×
横
15.8
糎
。
虫
害
に
遭
っ
た
本
を
全
丁
裏
打
ち
し
て
改
装
。
牡
丹
模
様
金
色
縫
箔
後
補
表
紙
。
左
肩
に
茶
色
地
双
辺
元
題
簽
を
、
や
は
り
裏
打
ち
補
修
し
て
貼
る
。﹁
花
壇
綱
目
上︵
中
・
下
︶﹂
。
縦
15
×
横
3.5
糎
。
丁
付
、版
芯
。
上
巻
﹁
綱
上
一
∼
廿
五
終
﹂︵
改
装
の
際
、
十
九
と
十
八
乱
丁
︶、
中
巻
﹁
綱
中
一
∼
十
五
終
﹂、
下
巻
﹁
綱
下
一
∼
廿
終
﹂。
内
題
﹁
花
段
綱
目
巻
上
﹂、
﹁
花
段
綱
目
巻
中
﹂、
﹁
花
段
綱
目
巻
下
﹂。
尾
題
﹁
花
段
綱
目
巻
上
終
﹂﹁
花
段
綱
目
巻
中
終
﹂﹁
花
段
綱
目
巻
下
終
﹂。
刊
記
は
下
廿
終
ウ
に
あ
り
﹁
水
野
氏
元
勝
/
享
保
元
丙
申
年
菊
月
吉
旦
/
松
井
頼
母
俊
益
志
之
﹂。
図
5
①
参
照
。
版
元
の
名
は
ど
こ
に
も
見
え
な
い
が
、
下
巻
後
表
紙
見
返
し
に
そ
れ
が
入
っ
て
い
た
と
す
れ
ば
、
改
装
の
際
に
失
わ
れ
た
可
能
性
も
あ
る
。
な
お
、
全
丁
に
単
辺
匡
郭
が
あ
り
、
寸
法
は
必
ず
し
も
一
定
で
は
な
い
が
、上
一
を
例
に
採
れ
ば
半
丁
が
縦
17.2
×
横
13.1
糎
。
内
容
は
、
上
巻
一
∼
四
が
﹁
花
段
綱
目
序
︵
署
名
な
し
︶﹂
。
五
オ
に
牡
丹
の
図
と
和
歌
﹁
名
ば
か
り
は
さ
か
で
も
色
を
ふ
か
み
草
花
咲
な
ら
ば
何
に
み
て
ま
し
﹂
を
入
れ
る
。
五
ウ
∼
七
ウ
に
﹁
目
録
春
の
部
﹂
と
し
て
福
寿
草
・
す
み
れ
・
り
ん
ど
う
な
ど
、
ま
た
﹁
夏
の
部
﹂
と
し
て
紫
蘭
・
琉
球
百
合
・
木
瓜
草
な
ど
草
花
の
名
を
列
記
し
、
八
オ
以
下
に
各
項
目
に
つ
い
て
の
解
説
が
あ
る
。
冒
頭
の
福
寿
草
を
取
り
上
げ
て
み
よ
う
。
句
読
点
・
濁
点
は
私
に
補
っ
た
。
な
お
、
該
当
の
上
巻
八
丁
を
図
4
①
に
挙
げ
て
あ
る
福
寿
草
●
花
黄
色
小
輪
也
。
正
月
初
よ
り
花
咲
。
元
日
草
ト
モ
朔
日
草
ト
モ
福
つ
く
草
ト
モ
俗
に
云
。
●
右
養
土
の
事
肥
土
に
砂
を
少
加
て
能
ま
ぜ
合
ふ
る
ひ
に
て
用
て
宜
し
。
●
肥
の
事
茶
が
ら
を
干
成
程
こ
ま
か
に
粉
に
し
て
、右
之
土
に
少
宛
交
る
也
。
●
分
植
事
二
月
末
よ
り
三
月
節
句
迄
、
八
月
末
よ
り
九
月
節
迄
、
分
植
也
。
中
巻
は
秋
・
冬
・
雑
の
部
、
下
巻
は
土
・
肥
・
異
名
な
ど
を
収
録
す
る
。
な
お
、
中
・
下
巻
目
録
末
尾
半
丁
に
は
上
巻
と
同
様
の
趣
向
で
、
梅
・
桜
の
図
を
入
れ
和
歌
が
添
え
て
あ
る
。
奈
良
大
B
本
半
紙
本
三
冊
。
縦
22.5
×
横
15.8
糎
。
原
装
、
濃
紺
表
紙
。
左
肩
に
白
地
双
辺
元
題
簽
。
中
巻
は
剥
落
。
上
下
は
半
分
ほ
ど
残
る
。
A
本
と
は
異
板
。
丁
付
、上
巻﹁
綱
上
一
∼
廿
五
︵﹁
終
﹂
な
し
︶﹂
、
中
巻
﹁
綱
中
一
∼
十
五
︵﹁
終
﹂
な
し
︶﹂
、
下
巻
﹁
綱
下
一
∼
廿
終
﹂。
本
文
も
全
て
A
本
と
は
異
板
で
あ
る
こ
と
、
図
4
①
②
を
参
照
さ
れ
た
い
。
内
題
﹁
花
段
綱
目
巻
上
﹂、
﹁
花
段
綱
目
巻
中
﹂、
﹁
花
段
綱
目
巻
下
﹂。
尾
題
﹁
花
段
綱
目
巻
上
終
﹂﹁
花
段
綱
目
巻
中
終
﹂。
下
巻
の
尾
題
は
な
い
。
刊
記
は
下
廿
終
ウ
に
あ
り
﹁
水
野
氏
元
勝
/
享
保
元
丙
申
年
菊
月
吉
旦
/
松
井
頼
母
俊
益
志
之
/
大
坂
心
斎
橋
筋
順
慶
町
/
柏
原
屋
与
左
衛
門
﹂。
こ
の
刊
記
部
も
A
本
と
は
異
板
。
図
5
②
参
照
。
こ
の
刊
記
部
を
A
本
と
比
べ
て
み
る
と
A
本
に
あ
っ
た
下
巻
の
尾
題
が
省
か
れ
て
い
る
が
、
そ
れ
は
左
端
に
﹁
大
坂
心
斎
橋
筋
順
慶
町
/
柏
原
屋
与
左
衛
門
﹂
の
二
行
を
余
裕
を
持
っ
て
入
れ
る
た
め
の
措
置
で
あ
っ
た
と
考
え
ら
れ
る
。
ま
た
、
A
本
の
版
式
を
踏
襲
し
て
こ
の
B
本
に
も
全
丁
に
単
辺
匡
郭
が
あ
る
が
、
上
一
を
例
に
採
れ
ば
半
丁
の
横
幅
は
13
糎
で
さ
ほ
ど
変
わ
ら
な
い
が
、
縦
が
16.1
糎
と
少
し
短
く
な
っ
て
い
る
。
そ
の
理
由
に
つ
い
て
は
後
述
す
る
。
奈
良
大
C
本
半
紙
本
三
冊
。
縦
22.8
×
横
16.1
糎
。
原
装
、
濃
紺
表
紙
。
左
肩
に
白
地
双
辺
元
題
簽
。
各
冊
半
分
ほ
ど
残
る
。
上
・
下
巻
題
簽
、
B
本
と
同
板
。
内
容
は
B
本
に
一
致
。
本
文
・
刊
記
も
B
本
と
同
板
。
図
5
②
は
こ
の
C
本
の
そ
れ
で
あ
る
。
摺
り
の
状
態
・
欠
刻
は
こ
の
C
本
の
方
が
B
本
よ
り
や
や
ま
し
。
静
岡
県
図
葵
本
国
文
学
研
究
資
料
館
提
供
の
写
真
に
よ
る
。
半
紙
本
、
上
下
二
冊
。
上
巻
元
題
簽
左
肩
、
一
部
存
。
奈
良
大
B
・
C
本
と
同
板
。
下
巻
は
後
補
双
辺
題
簽
﹁
花
壇
綱
目
巻
下
﹂
と
墨
書
き
。
本
文
・
刊
記
と
も
奈
良
大
B
・
C
本
と
同
板
。
刊
記
も
同
板
。
新
城
情
報
牧
野
本
①
(
か
‐ 115 ‐ M )
国
文
学
研
究
資
料
館
提
供
の
写
真
に
よ
る
。
半
紙
本
、
上
の
み
一
冊
。
左
肩
に
元
題
簽
。
奈
良
大
B
・
C
本
と
同
板
。
見
返
し
に
袋
が
貼
り
付
け
て
あ
り
、
柳
・
桜
の
図
の
真
ん
中
に﹁
華
壇
綱
目
﹂と
入
れ
る
。
本
文
は
奈
良
大
B
・
C
本
と
同
板
新
城
情
報
牧
野
本
②
(
か
‐ 106 ‐ M )
国
文
学
研
究
資
料
館
提
供
の
写
真
に
よ
る
。
半
紙
本
、中
の
み
一
冊
。
題
簽
、欠
。
左
肩
に
﹁
花
段
綱
目
﹂
と
書
き
入
れ
。
本
文
は
奈
良
大
B
・
C
本
と
同
板
で
、
C
本
よ
り
欠
刻
目
立
つ
。
な
お
、
後
表
紙
見
返
し
に
、
広
告
あ
り
。﹁
観
音
薩
捶
施
無
畏
之
図
唐
紙
/
一
枚
摺
一
幅
︵
解
説
文
あ
り
、
略
︶
/
念
仏
行
者
現
生
護
念
之
図
一
枚
摺
︵
解
説
文
あ
り
、
略
︶
/
書
肆
尾
州
名
古
屋
本
町
通
七
丁
目
永
楽
屋
東
四
郎
/
江
戸
日
本
橋
通
本
銀
町
二
丁
目
同
出
店
﹂。
新
城
情
報
牧
野
本
③
(
こ
‐ 138 ‐ M )
国
文
学
研
究
資
料
館
提
供
の
写
真
に
よ
る
。
半
紙
本
、
下
の
み
一
冊
。
左
肩
に
元
題
簽
。
奈
良
大
B
・
C
本
と
同
板
。
本
文
も
奈
良
大
B
・
C
本
と
同
板
。
C
本
よ
り
欠
刻
目
立
つ
。
刊
記
部
、
奈
良
大
B
・
C
本
は
﹁
大
坂
心
斎
橋
筋
順
慶
町
/
柏
原
屋
与
左
衛
門
﹂
と
あ
る
が
、﹁
順
慶
町
/
柏
原
屋
与
左
衛
門
﹂
の
部
分
を
、
入
木
で
﹁
唐
物
町
/
河
内
屋
太
助
﹂
と
改
め
る
。
図
5
③
参
照
。
巻
末
に
目
録
が
二
丁
あ
り
。
い
ま
そ
の
書
目
を
あ
げ
、
国
書
総
目
録
な
ど
に
よ
り
出
版
年
次
を
括
弧
内
に
示
し
て
み
る
と
次
の
よ
う
に
な
る
。
金
花
夕
映
︵
文
化
6
刊
︶・
昔
語
質
屋
庫
︵
文
化
7
刊
︶・
新
累
解
脱
物
語
︵
文
化
4
刊
︶・
絵
本
忠
臣
蔵
︵
寛
政
12
刊
︶・
同
後
篇︵
文
化
5
刊
︶・
松
染
/
情
史
秋
七
種︵
文
化
6
刊
︶・
月
氷
奇
縁︵
享
和
3
刊
︶・
絵
本
夜
船
譚
︵
文
化
7
刊
︶・
小
夜
/
中
山
石
言
遺
響
︵
文
化
2
刊
︶・
燕
石
襍
志
︵
文
化
8
刊
︶・
画
図
西
遊
譚
︵
西
遊
日
記
か
、
文
化
8
刊
︶・
月
宵
鄙
物
語
︵﹁
前
篇
全
部
五
冊
/
後
篇
近
日
発
兌
﹂
と
す
る
。
前
篇
は
文
化
5
刊
、
後
篇
は
文
政
11
刊
︶・
小
栗
外
伝
︵﹁
前
編
七
冊
□
□
発
行
/
後
編
来
ル
十
一
月
売
弘
仕
候
﹂
と
す
る
。
初
編
六
冊
は
文
化
10
刊
、二
編
五
冊
は
文
化
11
刊
、三
編
五
冊
は
文
化
12
刊
︶。
内
容
か
ら
考
え
て
、
文
化
十
年
頃
の
目
録
か
。
後
表
紙
見
返
し
に
も
広
告
あ
り
。
﹁
大
日
本
國
郡
全
図
彩
色
摺
/
箱
入
全
二
冊
︵
解
説
文
あ
り
、
略
︶
/
書
肆
尾
州
名
古
屋
本
町
通
七
丁
目
永
楽
屋
東
四
郎
/
江
戸
日
本
橋
通
本
銀
町
二
丁
目
同
出
店
﹂。
す
る
と
、
こ
の
牧
野
本
③
は
、
文
化
十
年
頃
に
永
楽
屋
東
四
郎
が
扱
っ
た
本
と
い
う
こ
と
に
な
る
。
以
上
の
よ
う
に
、
管
見
に
よ
れ
ば
享
保
元
年
の
刊
記
を
持
つ
﹃
花
段
綱
目
﹄
に
は
異
版
二
種
が
あ
る
こ
と
が
判
明
す
る
。
刊
記
部
に
書
肆
名
の
入
ら
な
い
奈
良
大
A
本
が
B
本
以
下
に
先
行
す
る
こ
と
は
、
A
本
の
方
が
匡
郭
が
大
き
い
こ
と
、
ま
た
A
本
は
全
体
に
文
字
の
刻
線
に
太
い
細
い
の
メ
リ
ハ
リ
が
あ
る
の
に
対
し
B
本
は
刻
線
が
細
く
や
や
単
調
で
あ
る
と
い
う
彫
り
な
お
し
の
際
に
見
ら
れ
が
ち
な
特
徴
を
有
す
る
こ
と
、
B
本
は
下
巻
末
尾
の
尾
題
を
省
い
て
い
る
こ
と
な
ど
か
ら
明
白
で
あ
ろ
う
。
延
宝
九
年
版
及
び
元
禄
四
年
版
に
調
査
が
及
ん
で
い
な
い
の
で
確
か
な
こ
と
は
言
え
な
い
が
、
A
本
を
扱
っ
た
某
書
肆
は
延
宝
版
も
し
く
は
元
禄
版
を
基
に
享
保
元
年
に
﹃
花
段
綱
目
﹄
を
再
刻
︵
三
刻
の
可
能
性
も
あ
る
が
、
い
ま
仮
に
再
刻
と
し
て
お
く
︶
し
た
。
そ
の
後
、
そ
の
板
木
が
何
ら
か
の
理
由
で
失
わ
れ
た
た
め
、
何
れ
か
の
時
期
に
ま
た
彫
り
直
し
て
︵
い
ま
仮
に
三
刻
本
と
す
る
︶
発
行
し
た
の
が
大
坂
順
慶
町
の
柏
原
屋
与
左
衛
門
だ
っ
た
と
い
う
こ
と
に
な
る
。
そ
し
て
牧
野
本
③
に
よ
れ
ば
、
文
化
十
年
ご
ろ
ま
で
に
﹃
花
段
綱
目
﹄
の
板
木
は
唐
物
町
の
河
内
屋
太
助
へ
動
き
、
そ
の
摺
本
は
名
古
屋
の
永
楽
屋
東
四
郎
で
も
扱
わ
れ
た
と
い
う
こ
と
が
分
か
る
二
『
花
段
綱
目
』
の
板
木
こ
の
﹃
花
段
綱
目
﹄
三
刻
本
の
板
木
が
京
都
の
藤
井
文
政
堂
に
残
っ
て
い
る
。
図
4
③
は
上
巻
八
丁
の
板
木
拓
本
の
複
写
。
拓
撮
は
板
木
に
紙
を
貼
り
付
け
て
行
な
う
の
で
刻
線
が
ど
う
し
て
も
太
め
に
出
て
し
ま
う
が
、
図
4
②
と
照
合
し
て
い
た
だ
く
と
、
例
え
ば
版
芯
部
の
丁
付
﹁
八
﹂
の
左
側
罫
線
の
ゆ
が
み
の
一
致
な
ど
か
ら
も
同
板
で
あ
る
こ
と
は
御
確
認
い
た
だ
け
る
か
と
思
う
。
残
存
板
木
と
版
本
を
手
掛
か
り
に
、﹃
花
段
綱
目
﹄
の
板
木
一
覧
表
を
作
成
し
て
み
る
と
、
次
の
よ
う
に
な
る
。
表
の
左
端
は
残
存
板
木
の
仮
の
通
し
番
号
で
あ
る
。
ま
た
、
通
し
番
号
2
・
12
・
13
・
22
の
四
枚
は
、
あ
と
で
触
れ
る
よ
う
に
二
枚
の
板
を
重
ね
合
わ
せ
て
二
丁
張
に
仕
立
て
て
あ
り
、
そ
れ
ぞ
れ
一
枚
づ
づ
の
状
態
で
採
寸
し
た
。
も
と
も
と
は
二
丁
張
三
十
一
枚
揃
い
で
あ
っ
た
と
考
え
ら
れ
る
板
木
の
う
ち
、
網
掛
け
で
示
し
た
八
枚
が
失
わ
れ
て
い
る
こ
と
が
分
か
る
が
、
こ
の
八
枚
の
収
録
丁
の
欄
は
飽
く
ま
で
も
推
測
に
す
ぎ
な
い
。
近
世
の
本
屋
が
板
木
を
仕
立
て
る
際
に
、
分
割
所
有
を
前
提
に
わ
ざ
と
丁
の
順
番
を
ず
ら
し
て
飛
び
丁
を
こ
し
ら
え
て
お
く
例
が
多
く
あ
る
こ
と
は
拙
稿
﹁
板
木
の
分
割
所
有
﹂︵
奈
良
大
学
総
合
研
究
所
「花段綱目」板木一覧
板木番号 収 録 丁
391 欠① 386b 386a 欠②
393 389 欠③ 欠④ 388 390 387 392 欠⑤ 欠⑥ 399 401 397 398 396 400b 400a 402 欠⑦
409 407 406 404 403 405 408 395b 395a 394 欠⑧ 1
2
3 4
5 6 7 8
9 10 11
12
13
14
15 16 17 18 19 20 21
22
23
上 1、2 上 3、4 上 5 下 15 上 6、7 上 8、9 上 10、11 上 12、13 上 14、15 上 17、18 上 19、20 上 21、22 上 23、24 上 25、上 16 中 1、2 中 4、5 中 6、7 中 8、15 中 11 中 12 中 9 中 13 中 10、14 下 1、中 3 下 2、3 下 4、9 下 5、8 下 6、7 下 10、11 下 12、13
下 14、20 終(刊記) 下 16
下 17 下 18、19 題簽、袋
272×176×18
266×176×13 266×178×11
275×178×18 272×178×20
273×178×19 274×184×20 274×180×18 275×183×17
272×177×19 268×182×20 274×176×19 275×179×12 269×178×14 265×179×13 268×179×14 267×180×21