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日本における多次元の貧困と厚生に関する実証研究

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

日本における多次元の貧困と厚生に関する実証研究

王, 瑋

https://doi.org/10.15017/1866250

出版情報:Kyushu University, 2017, 博士(経済学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

(様式6-2)

氏 名 Wang Wei (王 ウェイ)

論 文 名 Empirical Study of Multidimensional Poverty and Well-being: Evidence from Japan

(日本における多次元の貧困と厚生に関する実証研究)

論文調査委員 主 査 九州大学 准教授 浦川 邦夫 副 査 九州大学 准教授 橋本 由紀 副 査 九州大学 准教授 宮崎 毅

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

本論文は,所得,生活時間,社会関係など複数の次元からなる貧困指標を日本の大規模な個票デー タを用いて構築し,多次元の貧困がどのような社会経済要因から生じ,人々の主観的厚生(幸福感や 健康感)にどのような影響を及ぼすかについて実証分析を行うものである。従来の貧困研究は,所得 などの金銭的指標のみで貧困の実態を検証するケースが多数であるが,本研究では,それらに 加 え , 余暇時間 の多寡 や家族 ・ 地域との 社会的 なつな が りの程度 を考慮 した貧 困 指標を構 築し, 貧困を より多面的 な視点か ら検 討している 点に特徴 があ る。

論文は六章で構成される。一章ではグローバル化の進展のもとでの日本と諸外国の貧困指標の推移 と多次元貧困指標についての包括的なサーベイがなされている。二章ではAlkire and Foster (2011)ら が開発し た 貧困 の計測 法 に基づき ,所得 ,生活 時 間 ,社会 関係か ら捉え る 多次元の 貧困状 況が , 人々の主 観的厚 生に対 し てどのよ うに関 連して い るかを日 本の個 票パネ ル データを 用いて 検証し ている。 結果と して, 多 次元の貧 困 は, 一次元 の み貧困の 状態よ りも健 康 に対して 負の影 響が 大 きく な る こと を 示 して い る。 三章では所得 や 時 間 の貧 困 を 世帯 ご と に定 義 し, こ れ らの 貧 困 が余 暇活動や 健康に 関係す る 諸活動に 与える 影響に つ いて操作 変数法 で検証 し ている。 そして ,所得 と時 間 が 同時 に 貧 困で あ る世 帯 で は, 運 動 等の 余 暇活 動 が 制限 さ れ る点 を 示し て い る。 四章では Merz and Rathjen (2014)が提唱 した 「 補償 アプロ ーチ 」 に基づ く 貧 困の推 計によ り ,こ れま で見 過ごされ てきた 「生活 時 間の不足 を原因 とする 貧 困層 」の 抽出 が 行われ て いる。分 析結果 による と,従来 の所得 貧困の 推 定では , 単身世 帯やひ と り親世帯 の貧困 が高め に 推計され やすく ,夫婦 がともに フルタ イム就 労 している 世帯の 貧 困が や や低めに 推計さ れやす い ことが 示 されて いる。

五章では 高等教 育 が所 得 貧困や多 次元貧 困に陥 る リスクの 削減に 実際に ど の程度の 効果が あ るか について ,傾向 スコア ・ マッチン グ法を 用いた 分 析 が行わ れてい る 。結 果 として, 男女と も高等 教育に貧 困削減 効果は あ るものの , 女性 は男性 に 比べて そ の効果 が小さ い ことが 示 されて いる 。 六章では本 論文の主 要な 結論と政策 提言がま とめ られている 。

論文調査 委員に よる 調 査 の結果 , 本論文 は個票 デ ータを用 いた計 量分析 に 基づ いて 日本の 公共 政策に対 する 一 定の政 策 的含意を 導いて おり, 学 位論文と して必 要な水 準 に達して いる点 が確認 された 。 以 上の 点を 踏ま え ,本 論文 調査 会はWei Wang氏 から 提出 された 論文 「Empirical Study of Multidimensional Poverty and Well-being: Evidence from Japan」を 博士(経済 学)の学位 を 授 与するに値 するもの と認 める 。

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