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九州大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

見通し内通信を支援する相対位置情報を利用した名 前解決ミドルウェアの提案と実装評価

野田, 厚志

https://doi.org/10.15017/1441263

出版情報:Kyushu University, 2013, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Fulltext available.

(2)

(別紙様式2)

氏 名 : 野 田 厚 志

論文題名 :見通し内通信を支援する相対位置情報を

利用した名前解決ミドルウェアの提案と実装評価 区 分 : 甲

論 文 内 容 の 要 旨

本論文では,ユーザの見通し内における一時的な通信をLSAC(Line of Sight Ad-hoc Communication)

と呼び,LSACにおいて相対位置情報を利用して通信相手の特定を支援する名前解決ミドルウェアを提案 するとともに,その実装,評価を行なう.

近年,あらゆる機器や装置が通信デバイスを装備し,それらがネットワークで有機的に結合されるユビキ タス計算環境が現実のものになりつつある.特に,無線通信デバイスによる接続は,その利便性の高さか ら,ユビキタス計算環境の核となるデバイスとして,様々な分野からの研究開発が進められている.対面し ている利用者の端末間での通信においても,近距離無線通信は今後,より盛んに利用されるようになると 考える.たとえば,営業担当者が企業を訪問した際に電子的な資料を無線通信で手渡したり,喫茶店で友 人同士がデジカメの画像をやり取りしたりする状況である.このような状況において,現時点ではUSBメモリ などの物理媒体や,電子メールなどのバックボーンとなるインターネット通信を利用したファイル交換が盛ん であるが,端末間での無線通信機能を利用した直接のファイル交換が行われることは比較的少ない.この 要因として近距離無線通信における通信相手の指定,特定の煩わしさが挙げられる.通信相手を指定する ためには,ネットワーク上における通信相手の識別子(IPやMACアドレス)を知り,それを端末に直接入力す るか,もしくはブロードキャスト通信等を利用して近くにある端末の識別子一覧を取得し,その中から指定す るという煩雑な手順が必要である.本研究では端末の配置情報(すなわち端末との相対的な位置情報)を 用いてこれを解決する.端末の画面上に周辺端末の位置関係を表示することで,利用者は位置情報から 通信対象を容易に特定することができる.本研究では,ユーザの視界内に存在する端末間で,一時的にネ ットワークを形成し,即座に情報交換を実現するLSACを構築し,LSACを支援する技術について提案,評価 を行なう.無線通信機能をより直感的かつ信頼して利用できるようにすることで,利用者同士が対面してい る状況を活用した近距離無線通信が今後より活用されていくことが推測される.

本研究の目的は,LSAC環境における通信相手の特定を支援することである.この目的を達成するため に,本研究では名前解決ミドルウェアを提案する.このミドルウェアは,従来の名前を用いることに加えて,

周辺端末との相対位置を補助的に提示し,LSAC環境における通信相手の特定を効果的に支援するもの

である.提案ミドルウェアは,次の特徴を有する.(1)提案ミドルウェアの機能を,アプリケーションが柔軟に

利用できるように,シンプルなAPI(Application Program Interface)を提供する.(2)LSAC環境では専用サー

バをあらかじめ配置することができない.従って,提案ミドルウェアはこのような専用サーバが存在しない環

境でも動作が可能である.また,PDA程度の処理能力でも動作が可能である.(3)キャリブレーションを必要

(3)

とせずに,周囲の端末の相対位置を取得可能であるWiPS(Wireless LAN indoor Positioning System)をベ ースにした測位手法を採用している.提案ミドルウェアのプロトタイプシステムを構築し,応用プログラムの 作成と基礎的な評価を行った.評価の結果から,PDA程度の処理能力で十分に提案ミドルウェアを稼働で きることを確認した.さらに位置推定において移動した端末の位置のみを計算しなおすことで,負荷の軽減 を実現した.その結果,移動端末の割合が50%前後の場合に最大となる50%程度の精度低下が見られた.

また,移動端末の割合に比例した計算負荷を軽減できることを提示した.これらのことから,提案した負荷 軽減手法では位置推定精度をある程度犠牲にはするが,計算負荷の軽減を可能とすることを示した.また,

LSAC環境における安全な通信のための暗号化について,公開鍵の認証の必要性について述べた.しかし ながら,本研究で対象としている環境においては,認証局が存在するネットワークに接続していない場合も 想定するため,公開鍵基盤を利用した公開鍵認証を利用できるとは限らない.この問題点を解決するため に,利用者同士が近距離で対面していることを利用し,相互に公開鍵の認証を行なうことのできる手法とし て,「表形式確認方式」を提案した.この方式は,認証局を用いずに相互に端末を認証し,互いに認証した 端末間で暗号化を行ったファイル共有を実現し,主に中間者攻撃と誤った端末への送信を防ぐ効果を持つ.

端末の相互認証には公開鍵暗号を用いるが,互いに対面する利用者間の信頼関係をよりどころとして,利 用者が互いの端末の公開鍵を確認しあうことで,相互認証を実現する.認証手順の中に人間の確認作業 を含める man-in-the-loopアプローチによって,利用者自身が認証の有無を明らかに認識することができ る.評価実験の結果,提案方式は従来方式よりも確認に要する時間が短いことがわかった.位置情報を利 用する既存のアプリケーションに機能を追加する形で,提案方式の実装を行った結果,英単語表を用いて サマリの一致性を確認することにより,公開鍵の認証を行い,暗号化通信を開始ができることが確認できた.

これらの評価により,提案ミドルウェアの実現可能性と有用性を示した.

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