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第1部 声におけるノンバーバル要素の存在意義 第1章

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第1部  声におけるノンバーバル要素の存在意義 

第1章  声におけるノンバーバル要素の重要性とその存在意義 

第1節  最初のコミュニケーションにおける声のノンバーバル要素の重要性 

1  コミュニケーションにおける声のノンバーバル要素の意義  

人間にとって声のノンバーバル要素は、意思疎通に重要な役割を担っている。心理学者 Premack(2003,p.102)によると、音声を文法的に分析するのはヒトだけであるが、これに 対して音声の聴覚的分析はヒトに限られているわけではない。多くの動物種は、「聴覚−求 愛コール、警戒コール、食物コール」を通して情報を伝え合う。この情報伝達のもとにあ る聴覚的分析メカニズムは、進化の上で先駆けがあり、このことに示されるのは、声は、

バーバルのみならず、ノンバーバル要素によって内包する欲求を同時に伝える機能を有し ていることである。 

最初のコミュニケーションにおける声のノンバーバル要素の重要性については、すでに バーバルをまだ理解できない乳児のノンバーバル要素の重要性における黒川の研究によっ て検証されている。黒川によると、誕生以前の子宮と羊水に包まれた胎児の状態で母親の 音声による情報を受けることが、新生児として誕生した際の行動に大きく影響を及ぼす。

さらに、誕生直後の顕著なコミュニケーションは、母親の音声と乳児の運動の同期現象に 認められている(黒川隆夫,1994,p.58)。 

胎児の時点で、母親からの語りかけの抑揚やスピード、強弱などの要素から、母親の状 況を理解し、コンテクストの共有を高めているのである。現代社会において、声に対する 認識は、ノンバーバルに加えてバーバルの要素が併存し、次第にバーバルの要素が主要な 機能とみなされるようになったと考えられる。 

しかし、声のノンバーバル要素には依然として大きな存在意義があり、バーバルのみな らず、ノンバーバル要素がコミュニケーションの成立に大きな役割を果たしていることを 認識することが重要である。 

声は生き物たちが持つコミュニケーション・ツールである。そして、知識を持たない乳 児さえもが使うことができる、人間として持ち備えた最初のコミュニケーション構築に必 要なツールといえる。 

 

2  声におけるノンバーバル要素のインパクト 

コミュニケーションにおけるノンバーバル要素のインパクトについては、アメリカ言語 学者であり、心理学者 Mehrabian が、ノンバーバル要素が第一印象にかなりの影響力を与 えていることを明らかにしている。すなわち、Mehrabian (1968,pp.52-55)によれば、「人 間の感情や態度」の決定に、「言葉以外の行動・情報」がどの程度影響するのかについて、

「好意−嫌悪」という限定した尺度で実験・評価を行った結果、「第一印象の形成に影響す るのは、表情、態度が 55%、言語内容が 7%、語調(声の因子)が 38%」であると指摘し

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ている。 

人間はあるメッセージを相手に伝える場合、バーバル以外に相手の目線や表情など、相 手から得られるノンバーバル情報をもとに、自分のメッセージが的確に相手に伝わってい るのかを確認する。逆にあるメッセージを他人から受け取る場合は、受け取ったメッセー ジに加えて、声による表現(大小、テンポ、高低、抑揚等)や相手の表情、目の動きなど から相手の意図を読み取ろうとする。 

Mehrabian は、相手に感情(好意−嫌悪)を伝える場合に、バーバル、声の調子、顔の表 情の中でどの表現が最もインパクトを与えるかについて実験を行った。実験は、相反する 情報を相手に伝え(例えば、言葉で何か伝えた場合、声の調子、顔の表情は全く反対の表 現をする)、各情報のインパクトの度合いを推測した。つまり矛盾するメッセージを被験者 に伝えた場合、バーバルとノンバーバルがどのように優先してメッセージ全体のインパク トを決定するのかについて実験した。 

その結果は、以下の通りである Mehrabian(1972,p.182)。 

 

<好意の総計> 

好意の総計=バーバルによる表現+声による感情表現+顔による感情表現        7%        38%          55% 

      図表 1-1-1.第一印象の形成に影響する内容の比率 

Mehrabian はさらにこの結果を一般化し、他人に感情や態度を伝える場合、次の結果を出 している。 

 

<感情の総計> 

感情の総計=バーバルによる表現+声による感情表現+顔による感情表現  7%         38%          55% 

      図表 1-1-2.言葉と行動による伝達手段の比率   

Mehrabian (1968,pp.52-55)は、「感情表現は言葉よりも影響力は大きく、特に声の調子 が自然で信用できそうだと判断された際、言葉というキューよりも、言葉によらないもの の方がインパクトは大きい。この最後の結果により、様々な程度を示す、快、覚醒、支配 という要素を結び合わせている特定の情感にも、前述の等式は応答可能であることを示し ている。」と指摘している。 

そして、医学博士である米山(1998,p.23)も、「言語のもつコミュニケーションへの貢 献度は 30%といわれているから、人間は言語がなくても声および他の表現方式で生活は可 能である。」と指摘している。さらに、Mehrabian は、以下のように指摘している。 

「言葉より行動という伝達手段の方が、他人に感情や態度を伝えることと、密接な関係 を持っている。この等式中の数値は近似値に過ぎないが、言葉、声の調子、そして表情の

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三者間における重要性の順位は、今後の実験においても変わることはないであろう (1968,pp.52-55)。」このことから明らかなのは、バーバルが 7%、ノンバーバルが 93%と いうことは、バーバルの意味がほとんど影響しないといっても過言ではないことである。 

また、経営学博士である狩俣(1992,p.241)は、次のように述べている。 

「言葉の意味には、外延的意味:Denotative meaning(辞書的に規定されている意味)

と、内包的意味:Connotative meaning(個々人が、それぞれの個人的な経験や価値観、あ るいは習慣に基づいてある語について持つ意味)がある。人びとは同一語であっても異な った意味に用いる。これらの要因は、それぞれの独立した要因と言うよりも、相互に関連 し、複合的に人びとにコミュニケーションを阻害しているといえる。」 

ここで狩俣の指摘を整理すると、外延的意味はバーバルな要素、内包的意味はノンバー バルな要素であると整理することができる。この整理に基づけば、一定のバーバルを発す る際に、内包的意味、すなわち、ノンバーバル要素が大きく影響していることは明らかで ある。個々人がそれぞれの個人的な経験や価値観、習慣に基づいてある語について同一語 であっても異なった意味として用いられ、それは当然コミュニケーションにもインパクト を与えるということである。これに対し、心理学者の亀谷(2006,p.133)は、ノンバーバ ル要素としての表情が、声に与える影響について次のように述べている。 

「感情は、顔の表情に表れるだけでなく、全身的な動きとして表現される。さらに表情 も単に顔色の変化としてだけではなく、顔の筋肉、目の動きなどの中にも表現される。そ の表現は意識的になり、社会性を帯びたものになっていく。また話し声の調子や、色合い も、したがって抑揚、テンポによっても感情が表現される。」 

亀谷は、ノンバーバル要素がバーバルと連動していることを指摘し、バーバルの伝わり 方が、こうした顔の表情や声の調子などのノンバーバル要素が複合して作用していると指 摘している。このことは、Mehrabian の語調 38%、表情 55%という高い数字が示されている のと明らかに一致している。すなわち、語調と表情というノンバーバル要素自体が相互に 結びついてコミュニケーションを成立させていることがわかる。 

日常において、電話ではじめて話す相手の声を聞いただけで、その人がどんな人なのか イメージすることができる。ぶっきらぼう、気難しい、といった感覚は勿論、優しい表情 まで連想させる声もある。私たちにとって声はかけがえのない、その人のアイデンティテ ィといえるのではないだろうか。声のノンバーバル要素によって 38%ものインパクトを与 えられることが示されていることに基づけば、声の出し方を少し意識的に変化させるだけ で、整形などしなくても試験に合格する可能性は高まると考えられる1。 

このように声におけるノンバーバル要素の重要性は明らかであるにも関わらず、一般的 に声に対する意識が希薄である。人はプロフェッショナルのメイクアップアーティストが 手を加えることで驚異的に外見の美しさを形成することができる。しかし、声に対しては どうだろうか。特別な日のために、声を変化させようとする人がどれくらい居るだろうか。

自分を磨くために、自分自身の印象を良い状態で維持したいという意識でボイストレーニ

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ングを受けることはあまりない。しかし、ノンバーバル要素を含む声の威力は間違いなく 大きく存在している。 

ボイストレーナーであり声楽家の亀渕(2006,p.18)によれば、声はその人の心を反映す る鏡であり、本人の意識の持ち方をある程度変えることによって、相手が受け取る声の影 響を大きく変えることができると指摘している。 

声が良くない、声が聞き取りにくいことで、相手への印象を悪くしてしまうことや、平 板化したアクセントで、伝えたいことをうまく伝えられず、思いがけない方向に物事が発 展してしまう可能性もある。そのような状態を改善するためには、声におけるノンバーバ ル要素を意識的に活用することが重要であり、これにより、そうした問題を改善できる可 能性が高まることが期待される。このことは、Paddock(1986,pp.29-44)によるうつ病者 を対象とした調査にも明らかに示されている。すなわち、うつ病者が相手に対して優しく 語りかけようと話をしても、声から、うつ病者の精神的な苛立ちが伝わってくる。また、

正常な人がうつ病者と長時間話し続けると心が乱れ、苛立つことも指摘されており、そう した不快な原因は平坦なアクセント(Quiet voice)であることを指摘している。単一な抑 揚しか出せない、感情を声に表すための抑揚のコントロールができない状態が、会話する 相手に不快感を与え、ここでもコミュニケーションの構築に声のノンバーバル要素が大き く影響することが示されている。また、相手と同調するためにも、声の要素が重要である ことについて明らかにされており、Sandoval(2001,pp.4-5)は、声のピッチ、高低、スピー ドを相手に合わせることで、ラ・ポール(相関的関係)を確立することができると報告し ている。しかも、ほとんどの人は、早いテンポや遅いテンポ、間を活用し、やさしい声で 話すことができるにもかかわらず、そのことを意識していないことを指摘している。この ように声のノンバーバル要素に対する認識の希薄さが指摘されている。

Sandoval(2001,pp.2-4)の研究では、声によってラ・ポールの関係を活用している。米国連 邦捜査局アカデミー(The Federal Bureau of Investigation Academy)では、捜査官は、

声のピッチ、高低、スピードを相手に合わせることでラ・ポールの関係を証人と築き、コ ミュニケーションを図る重要性が強調されている。この研究の基礎にあるのは、行動修正 技法であるNLP(神経言語学プログラミング2)であり、このNLPから実践上のモデルが導き 出されている。 

 

3  母子間におけるコミュニケーションに重要な声のノンバーバル要素 

本節で述べてきたように、母子間におけるコミュニケーションの構築は、新生児が母親 からの声のノンバーバル要素に影響を受けて形成しているということができる。 

心理学者である小杉他(1988,p.49)は、新生児のノンバーバル要素を社会的信号と考え ている。バーバルを明確に操れるようになるまでのおおよそ 4 年という歳月は、ノンバー バル信号が重要なコミュニケーションの手段であり、特に母親との声による表出のやりと りが子供の成長に影響することを指摘している。 

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産婦人科医である大島(2004,p.142)によれば、胎児は、妊娠 30 週までに聴覚が完成し、

すでに誕生前の胎内に居る時から母親の声による影響を受けて成長している。言葉を習得 する上でもこの母子間のコミュニケーションが対話の基礎となる。すなわち、バーバルを 理解できない状態の胎児は、ノンバーバルのみの情報でコミュニケーションを構築してい るといえる。現代において働く女性が増えたことで、誕生後、最初に確立すべきそうした 母子間の信頼関係が疎かになっているという事実が指摘されている。新生児は泣くという 行為でしか、自分の欲求を相手に伝えることができない。その欲求の具体的内容を、母親 はバーバルを構築していない我が子のノンバーバルによる泣き声から察知できるようにな る。そのプロセスは次のように説明することができる。 

泣き声以外にも新生児は泣くことがある。母親はその欲求の意味がわからず、困惑して しまう場合がある。中には母乳を与えるというわずか 1 年足らずの間に育児ノイローゼに なる人もいる。その欲求がただ単純にスキンシップを求めている場合や、何かしらの要求 であるとわかるまでに、どんな親でも時間がかかり、その欲求を理解しようと自然に努め る。そして徐々に、新生児の声が持つノンバーバルの意味が理解できるようになる。これ こそが人間相互におけるノンバーバル要素の意味する声からのコミュニケーションの確立 であり、信頼関係を築く一歩であるといえる。 

大島(2004,p.142)は、信頼関係を築く上で必要なことは母親とのスキンシップが重要 であり、新生児は五感や喜怒哀楽をこの時期から体感し、育成されることを指摘している。

「新生児にとってスキンシップを通して、母親の声を聞きながら眠るということが、この 上ない安堵感の中にいることがわかる。体内に居た時と同じ声を聞くことで安心できるの である。新生児は数時間おきにミルクを飲む。新生児にとって一番視界が明確に見える位 置に抱いている母親の顔が見え、ミルクを飲んでいる間、母親の鼓動と共に声を聞いて育 つ。」 

さらに、大島(2004,p.2)によれば、1960 年代母乳によって育児するアメリカ人の数は 世界最低水準にあったが、その見直しがきっかけとなって数年後には世界最高となり、そ れに反比例するかのように犯罪数も激減したことが指摘されている。母子間のコミュニケ ーションは、日々母乳を飲むたびに繰り返される。そして、それを基盤として親子の絆が 築かれる。この時期の最初のコミュニケーションが図れず、不安感や不信感が発生し、親 子がコミュニケーションを修復できないまま幼少期を過ぎると、脳が成長できず、「愛され て育てられなかった子は、成長してから人を愛すことはできない」ことを、大島(2004,p.64)

は指摘している。 

このことは Rudolf(1969,p.20)によっても同様に示されており、「7 歳までの時期に教 育者がゆるがせにしたことを、その後になって取り返そうとしても困難である。」と指摘し ている。 

日本において家族のコミュニケーションはどのような状況であるかを示すには、家族で とる食事の時間が考えられる。様々な年代の家族が多忙な生活の中で、最も時間の共有が

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可能となるのは朝食ではないだろうか。そこで、コミュニケーションを構築する時間の一 例として、文部科学省が 2005 年に 3,600 人を対象に行った「義務教育に関する意識調査」

による小中学生の朝食状況を図表 1-2-1 に示した3。   

  出典:文部科学省(2005)「義務教育に関する意識調査」結果の速報について,p.18   

図表 1-2-1.小中学生の朝食状況

http://www.mext.go.jp/b̲menu/houdou/17/06/05061901/gaiyou.pdf(2007年 5 月 5 日現在) 

  上記の図表 1-2-1 を見ると、小学生は 46.4%、中学生はさらに低い 32%の半数以下の子 どもが親と一緒に朝食を摂っていることが表されている。この数字から、親子間のコミュ ニケーションを図る時間がないことが明らかに読み取れる。母子の行動は、家族という小 さな社会から少しずつ大きなコミュニティへと広がり、近隣や幼稚園、保育園で必要とさ れるコミュニケーションへと広がっていく。声を交し合い、一緒に向き合うコンテクスト の共有を図ることができれば、家族という小さなコミュニティから大きなコミュニティに 出ても、母親の声を聞くだけで子どもは安心していられる。母子の生活空間にとって、身 近なところでのコミュニケーションの場が非常に大切である。「ありがとう」、「ごめんなさ い」という直接的なバーバルで表すことができなくても、感謝や謝罪の気持ちをノンバー バル要素で伝えることは可能である。人間らしい感情を表せるように、母親は善悪を見極 められる精神と分かち合える喜怒哀楽の感情表現をノンバーバル要素からも見せる必要が ある。このように最初の基盤となる親子のコミュニケーションを形成し、次は更なる大き なコミュニティで対応できるように成長させる。次々に広がる新しい場において、親子共 にコミュニケーションを図っていく。そこで行われる様々なことに常に声によるノンバー バル要素が存在している。声は環境が作り出すものであり、声を掛け合い、声によって歩 み寄り、その声と共に子供は育っていく。そして母親を模倣することにより、更なるコミ ュニケーションへと発展させる。

心療内科医である姫野(2005,p.184)は、医学的見解から、読み聞かせや紙芝居はもち ろんだが、たくさんの声を出し、また声を聞くことで安心感が生まれ、自信を持って子育 てをすることができると指摘している4。ここで示されているのは、声を出すことが聞くこ

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とにつながる、すなわち、コミュニケーションは声を出し、それを聞くということである。

コミュニケーション能力開発に従事している高島(2004,p.185)は、声は聞くという意 味があり、「聞くということは、コミュニケーションの殆どを成すもの」であると指摘して いる。多くの研究者によって、母子間におけるコミュニケーションに重要な声のノンバー バル要素についての指摘があり、それを乳児期から模倣し、習得することによって、他者 とのコンテクストの共有を高めることが可能になるのである。 

この母子間の伝達については、Premackが明らかにしている。Premackによれば、学習の 強化論や言語学習実験に取り組み、多くの概念や推論を研究してきた中で、原始人ホモ・

エレクトゥスは、ヒトを特徴づける 3 つの認知能力、すなわち、模倣・教育・言語をすべ て備えていた。そしてその能力こそがヒトの社会知能の核を形作り、ヒトが世代から世代 へと知識を伝えていくのを可能にしたことを指摘している(1976,p.19)。 

模倣・教育・言語、すなわち、この 3 つの認知能力がコミュニケ−ションの確立に必要 なことだという。そして、その模倣にあたるのが、声である。声を使い、親から子へ、そ して社会へと繋がっている。以上のことから、親、特に子供と密接な関係にある母親(母 親になる前から)が随時声をかけ、新生児に常に声を聞かせ、声を交し合える家族を構築 することが重要といえる。何でも話せる存在でいるために、常に声を掛け合うことが重要 であり、ノンバーバル要素を重視した声による早期のコミュニケーションを図ることで、

親子の絆は強まり、そこから広がるコミュニケ―ションの基盤を固めるのである。 

 

第2節  コミュニケーションにおける声の影響力 

1  母子における関係性構築の重要性 

コミュニケーションの成立は、両者の会話に登場する人物との関係性やその背景におけ る状況に対する認識が共有または同意されることによって構築しやすくなる。すなわち、

コンテクストの共有が高いほど、コミュニケーションを円滑に図ることができるといえる。

対人コミュニケーション学の研究者である深田(1998,p.66)は次のように指摘している。 

「コンテクストとは、空間的、時間的、社会的要素を併せ持つ概念であり、場面、文脈、

状況といった意味合いを含んでいる。対人コミュニケーションは常にあるコンテクストの 中で生じる。コンテクストには、物理的次元(コミュニケーションが生じる場)、時間的次 元(一連のコミュニケーション事象のどの位置でコミュニケーションが生じるか)、社会的

−心理的次元(当事者間の地位関係や当事者が置かれている社会の規範や文化習慣)とい う 3 つの次元が存在する。なお、この 3 つの次元は相互に影響し合う。」 

これに示されるようにコンテクストとは、コミュニケーションを成立させる共有情報を 意味する。コンテクストの共有が高ければ、相手に伝えたい事を正確にバーバルで伝える 必要性が軽減され、曖昧な指示やノンバーバル要素から感じとってもらうことができる。

この例として、乳幼児と母親の関係が挙げられる。バーバルが未発達な乳幼児は、泣くと いう行為で相手に要求を伝える。乳幼児と長い時間コンテクストを共有している母親は、

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その泣き声から、空腹なのか、不快な状態にあるのか、抱き上げてほしいのかなど、乳幼 児の生理的欲求や心的欲求を察することができるようになる。しかし、空腹であることが 理解できても、乳幼児によっては母乳を飲み続けず、長時間かけて休みながら飲み、途中 で母親に声をかけるような遊びの時間を必要とする場合もある。そうしたやり取りを繰り 返しながら成長し、母子間のコンテクストは強化され、絆となっていくのである。反対に、

この時期にコミュニケーションにおいてコンテクストの共有を成立できなかったことによ る歪みは後の成長の妨げになる可能性が高いといわれている。不登校について研究してい る黒川(1997,p.92)は、母子関係におけるコンテクストの共有の重要性を、次のように指 摘している。 

「幼児は、母親と人間関係が成立してはじめて『言葉』を覚えるようになる。われわれ が話す『母語』は、mother tongue と言って、母親によって、子はあたかも口うつしに真似 るように言葉を言うが、このようにして獲得した言葉はちょうど方言が何歳になっても改 まらないのと同じように強い影響力をもっている。このようにして獲得した言葉のやり取 りを通して、母と子の人間関係は強化されるのであるが、このような『関係』が、すべて の『学習』のチャンネルになるのである。関係なくして学習なし、ということである。」 

  乳幼児のノンバーバルによるコミュニケーションにおけるコンテクストの共有から、次 の段階であるバーバルコミュニケーションに発展することによって、母子間のコンテクス トの共有は子どもの成長に非常に大きな影響を与えている。確かに、母親と子どもの話し 方は、声のトーン(高低)も間の取り方も似ている。また、トーンや間以外にも母子間に は共通点がある。早口の母親の場合、子どもも早口なことが多く、おっとりした母親が育 てると、子どもの話し方もおっとりしている場合が多い。母子のこうしたやり取りが、子 どもの生活におけるリズムを作り、情緒を安定させ、絆を強めると考えられる。黒川

(1997,p.93)は、子どもにとって母親は太陽のような存在であり、子どもが世界のどこに 行こうと見守っていてくれる偉大な存在であると述べている。そして、偉大な母親を体験 して、世界を信じるようになり、自己信頼感を築くのだと指摘している。自己信頼感のな い子どもは自己を信じられないだけでなく、他者を信じることもできず、社会に順応する ことが難しくなる。母子間の関係によって人として生きていくために重要な自己認識を構 築すると考えると、母子間のこの時期のコンテクストの共有は紛れもなく社会と共存する ための自己開発といえよう。母子間の絆は、冒頭で述べたように、元来授乳期の母乳を与 えている間に行われるコミュニケーションによって強化されている。黒川(1997,p.119)

によれば、乳児は、決して乳を吸い続けているわけではなく、むしろ、吸ったかと思うと やめて乳首を口に含んだまま遊んでいることが多いと指摘している。乳児は、栄養を摂取 すると同時に口唇の粘膜刺激を求め、その満足を必要としているのである。さらに、母親 の心音を聞き、母親の声を聞き、目線を合わせながら母乳の時間、母親との相互コミュニ ケーションを成立させているのである。しかし、現代社会では、母乳を与えることのでき ない母親が多くなっている。黒川(1997,p.120)は、母乳で育たなかった子どもは、小学

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生になっても指しゃぶりをしたり爪を噛んだりする、欲求不満による症状が現れる。また、

子どもの欲求が十分満たされないシグナルとして夜尿がある。これは不登校の子どもに限 らず、弟妹が生まれると、母親は乳幼児に手を取られて上の子に与える愛情が薄くなる。

そうしたことが夜尿の原因となるが、それは自分に母の愛情を無意識に引き留める方策と して起こることを指摘している。弟妹が生まれることによって、「赤ちゃん返り」してしま うパターンや、急に暴力的に振舞うこともあり、こうした症状は、いわゆる、不登校やひ きこもりの症状と合致する。そう考えると、母子間の絆は重要であり、この時期の母子間 によるコンテクストの共有の意義は極めて大きい。 

2  母子関係における人格形成

発達心理学を研究する Bowlby(1969,pp.266-268)は、母子間における愛着の発達段階は、

誕生時と共に活動し始める多数の行動システムを備えていると述べている。そのシステム は、一つあるいはそれ以上に広範囲な刺激によって活動し、他の広範囲な刺激によって終 結するとされる。そして、これらのシステムの中に、将来の愛着における発達となる土台 になるものが存在する。例えば、乳幼児に見られる泣き叫び、吸引、しがみつき、および 定位をつかさどる原始的システムがそれであると指摘している。その後の乳幼児の成長段 階について、Bowlby の指摘をまとめると、図表 1-2-2 のとおりである。 

 

第 1 段階 

 

人物弁別をともなわない定位(orientation)と発信(signals) 

乳幼児は人の声を聞くことで、または顔を見ることで泣きやむようになり、

その相手の行動に影響して、「自発性、活発さ、喜びにおいて満たされた社 会的反応」を示すようになる。 

第 2 段階 

 

ひとり(または数人)の弁別された人物に対する定位と発言 

この段階ですでに乳幼児は、人に対して密接な方法で行動し、その行動は 他人に対してよりも母性的人物に対して、より顕著な形で行なわれる。 

  第 3 段階   

   

発信ならびに動作の手段による弁別された人物への接近の維持 

乳幼児はますます区別して人に接するようになり、反応の種類も広がる。

この段階の間に、母親に対する子どもの行動を媒介する諸システムは、目 標修正の基礎の上に構成されるようになる。 

第 4 段階   

   

複雑な関係、協調性(partnership)を発達させるための基礎を形成  母親の動きを推察できるようになる。子どもは母親の感情および、動機に ついて洞察し得るようになる。ひとたびこのような状態になると、母子の 間には互いによりいっそう理解される。 

出典:John Bowlby (1969)Attachment and Loss, vol.1   The Hogarth Press Ltd, pp. 266-268 に基づき作成 

図表 1-2-2  乳幼児の成長段階 

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このことが示しているのは、乳幼児の時期に既に母親を認識し、母親に対しては他者以 上に密接に行動することである。さらに、Bowlby(1969,pp.271-274)は生後 3 週目の乳児 が人の声、特に女性の声に反応し、女性の声が聞こえなくなると泣く傾向があると述べて いる。この時期の乳幼児にとって、女性の声は独特な鎮静的特性があり、乳幼児は女性の 声を聞くと、首を振って優しい声を出すと考えられている。他方では、乳幼児が母親に示 す関心が、母親の発声を促し、乳幼児に対する他の行動を増大させる効果をもっている。

そしてこのこと自体が、母親の発する声に対する乳幼児の関心を一層強めることになると 考えられる。このような相互強化の方法によって、おそらく、母子間の音声的・聴覚的相 互作用は増大すると述べている(Bowlby,1969,pp.271-274)。 

さらに Bowlby(1969,pp.280-281)は、乳幼児が 4 週目に入ると微笑するようになり、そ の微笑は、他の何よりも親しみのある声によって誘発されると指摘している。Bowlby

(1969,p.288)は、社会的交流における楠語の役割が、微笑の役割とよく類似しているこ とについて次のように述べている。 

「喃語と微笑はいずれも同じ頃、すなわち生後 5 週目頃には社会的解発要因(gurgles and  coos)として効果的になり、同じ刺激によって誘発されるために同時に生じる傾向がある。

4 週目頃に開かれる最初の口喉音(gurgles and coos)は、主として人の声に対する応対と して生じるが、人の声はこの時期の乳幼児においても誘発する。このように声は非常に効 果的な働きをする5。」 

ここでも明らかなとおり、喃語と微笑が声によって誘発されることによって社会的解発 要因6となり、母子間の相互関係を促進することによって、乳幼児の人格形成を促すことが わかる。母親の声の応対に合わせ、乳幼児も優しい声を発する。そうしたコミュニケーシ ョンの中で、乳幼児の自己像が築かれ、自己信頼感を高めていくのである。乳幼児の人格 育成に声が大きな役割を担っていること、すなわち、母親の声の役割が重要であることを 再認識し、日常における声の存在意義について考える必要がある。 

前節でも述べたように、バーバルを発することができない乳児の声を挙げることができ る。乳児の声は意図せず、自然の欲求をノンバーバル要素によって発している。乳児の声 が何時間泣き続けても嗄れることはなく、自分の欲求が満たされるまで泣き続けることが できるのはなぜなのだろうか。その理由は、乳児の体は自然体でどこにも力が入っていな いからだといわれている。日常の生活において、自然体は各人の生活にあった癖がつき、

それが歪みとなって現れるのである7。   

第3節  読み聞かせの重要性

1  子ども達におけるコミュニケーションの変化とその影響 

日常における母親の声の役割のひとつに読み聞かせが挙げられる。読み聞かせは 2000 年 以降、小学校や図書館などでの読み聞かせの需要が高まり、母親だけでなく、専門家によ る朗読会も数多く開かれるようになった。朗読ボランティアも老人施設や子どもの集まる

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場所などで盛んに行われており、そうした活動に参加している声優や教員の間で、昨今の 子ども達に対する変化について共通の問題意識が高まっている8。この問題意識とは、子ど も達と接する場で長い間子ども達を観察していると、近年子ども達のコミュニケーション に異変が起こっているということである。その異変とは、対面によるコミュニケーション の中で、母親や保育士に様々な「本」を読んでもらい続け、「童謡」をみんなで歌い、「お 遊戯」を楽しんで育ってきた子どもと、ひとりでアニメーションやゲームに没頭して育っ てきた子どもとでは、想像力や感受性に大きな相違が生まれているということである。 

大島(2004,p.26)によれば、子どもにとってテレビやアニメーション、ゲームは自分の 好きな視覚領域に沈潜するが、そこでは自然に接するという感覚はなく、五感へのバラン スのとれた刺激はない。そして、そうした子どもは空想の世界をさまよい、その結果、人 間として大切な情緒が育たず、体感する肉体のない「透明なボク」が製造されることを指 摘している。つまり、視覚的な情報ばかりを取り入れている子どもは、自分で想像するこ とや判断する機会が失われ、現実と空想が自己の中で不明確になってしまうということで ある。大島のいう「透明なボク」に関して、香山リカ(2006,p.14)も、精神科医の視点か ら、現実と夢の区別がつかない人が増加していることを指摘している。そうした症状は医 学的に「解離性障害」と呼ばれている。この解離性障害の原因は、テレビなどの映像メデ ィアやインターネットなどの電子メディアが、現実や自己を多様化し、解離を促進するこ とが指摘されている。 

この医学的見地に基づく指摘は、実際に読み聞かせをしている現場においても実証され ている。すなわち、子供たちの表情から頭の中に描いている映像が膨らんでいくことが、

表情や視線、瞬き、声などのノンバーバル要素から実際に読み取ることができる。対面に よるコミュニケーションの中で、昔話や童話、夢を抱かせる絵本を読んでもらって育った 子ども(想像人間)と比較し、アニメーション(以下アニメに略す)やゲームと向かい続 けてきた子ども(映像人間)は、ただ見ていれば映像が流れるという情報が一方通行に与 えられる状態に慣れており、受身で得た素材(映像)がストーリーを展開し、それに受動 的に対応すればよいという状況が常態となっている9。これらを比較すると、聴覚から入っ た内容を自分の頭の中で能動的に想像する楽しみや、それらを形にする工夫、更に自分ら しく体で表そうとする表現力が、映像人間の子どもには欠落しており、コミュニケーショ ン能力はもちろん、読み手側に対する反応や感受性も乏しい。これらから考えられるのは、

アニメやゲーム、インターネットからでは、ノンバーバル要素を能動的に感じとることが できないということである。このことは、Stoll(2000,p.32)の指摘でも明らかにされてい る。すなわち、コンピュータによる映像に頼る子どもに関して、コンピュータはコミュニ ケーション能力を養うことはなく、子どもの分析能力向上の手助けにもならず、創造性を 高めるものではないとされている。さらに、過激な殴り合いや殺し合いを主とする内容の メディアばかりに熱中し続けている映像人間は、問題を話し合いで解決するのではなく、

暴力やいじめという陰険な衝動に走る場合も現実問題として少なくない。本人の目で見

(12)

たアニメやゲームの画像がそのままその子どもの行動となって現れている証拠といえ る。また、そうして親や周囲から読み聞かせをしてもらえず、ノンバーバル要素を含ま ないアニメやゲーム、コンピュータと孤独に向き合って育った映像人間が親になり、我 が子に暴力を振う虐待が増えることも容易に予想できる10。人間は自分が他者から受け た行動の範囲を経験則として、他者との関係性を形成するボーダーラインを独自に設定 する。幼年期に自分がされたことを他人に行い、自分が言われたことをそのまま他人に 言うなど、自分が耐えられることは他人も耐えられるという基準を作って自己形成を展 開し、自己限界を設定していく。噛み付く、抓るという行為についても、された経験の ある子どもが、他者に対してそうした行動をとる11。虐待する母親の大半が、自分も虐 待を受けて育っているということが、厚生労働省(2000.11)『21 世紀初頭における母子 保健の国民運動計画「健やか親子 21」検討報告書』によって明らかにされている。家庭内暴 力(Domestic Violence :DV)に関しても同じような報告があり、自分の経験が新たに 他者に対して繰り返されていることは否定できない12。言い換えれば、他者との双方向 性によって作り上げられる環境によって精神が構築されるといっても過言ではない。虐 待に限らず、生きるために基準となる根本的な感覚が、環境と共に成長していくと考え られる。したがって、子どもが向き合うものが生身の人間でなく、メディアやコンピュ ータに向けられることで、人間と物との区別がつかない子どもが増加しているのは事実 であり、社会的に問題となるような事件も多発している13。少年犯罪をはじめ、様々な 事象を社会科学の視点から考察する宮台(2001,p.15)は、人間と物との区別がつかな い子どもに関して、下記のように指摘している。 

「問題の背景には『コミュニケーション不全』がある。すなわち他者との社会交流抜 きで自己形成を遂げる若者が増加している。つまり、他者との社会交流における試行錯 誤で自尊心を形成するという経路に重大な故障が生じて、他者の存在とまったく無関係 に自らの尊厳を維持できるようになった。」 

この宮台の指摘は、映像人間の背景にある、コミュニケーション不全の存在を明らか にするものである。まさにこれは、Émile Durkheimのいう近代社会の病理アノミー現象で ある14。アノミーとは、社会的諸条件の急激な変化により、伝統的な社会的規範が崩れ、人々 の欲求や行為が不安定な状態になることを指す。現代社会において、幼少からコミュニケ ーションによって培われるはずの生死を理解できずに育ってしまう子ども達が増加してい ることは、このアノミー現象によって説明することが可能である。言い換えれば、昭和の 時代のように虫を殺して命のはかなさを実感し、再生できないという事実を体感するこ とのできない、自然と共存できなくなった現代社会において、子ども達に「死」を理解 させることは、日常では難しくなってきている。 

大島(2004,p.33)は、2003 年に長崎で起きた 12 歳の少年による男児誘拐殺人事件15の 背景に見える想いについて、「残虐なゲームをやり続ける子どもにとって人の命を奪う ということもボタン一つで瞬時に敵を消し去ることと同じ重みなのかもしれない」と指

(13)

摘している。 

子ども達の生活環境を見直し、ノンバーバル要素を十分に取り入れることによるコミ ュニケーションの構築を早急に確立する必要がある。直接向き合い、有機的コミュニケ ーションの中で、相手の痛みや悲しみといった多様な感情をノンバーバル要素から読み 取る力を習得することが重要である。声には、相手の想いを感じさせる抑揚があり、相 手に感情を伝えるリズムがある。その息使いや間、強弱、テンポといった声のノンバー バル要素の重要性を見直すことで、現代における社会問題を軽減する鍵となると考える。

ゲームやアニメだけでなく、IT の急速な普及により対面しなくても意思疎通が図れる 便利な時代になったことで、現実的に多くの弊害が生まれている。そうした無機的コミ ュニケーションが発達した現代において、子どもの発達を神経心理学、認知心理学の見 地から検討している Healy(1998)は、会話の重要性について以下のように述べている。 

「脳の発達には、言語は大きな役割を果たす。残念ながら、一人でコンピュータを使 っていると、子どもの言葉の能力は制限を受ける。精神の発達を十二分に行われるため には、双方向に『話すこと』がたくさん必要である。」 

確かに、IT の存在やメディアの拡大、多くの無機的コミュニケーションが、今まで 不可能であった遠隔地との意思疎通を可能にし、世界中のどこにいても意思疎通を図れ る世の中になった。しかしコンピュータの存在が、人間らしく人と接する能力を低下さ せていることも事実である。人と対話することで呼び起こされる感情の成長を妨げてい るといえる。声の重要性を見直すことによって、脳の働きを改善し、有機的コミュニケ ーションを図ることによって、ノンバーバル要素を読み取る力を強化させる。さらには、

感情を安定させ、精神的コントロールが可能になると考える。 

 

2  子どもにおける息の変化とその重要性 

「息があがる」、「息が短い」と言う表現に含まれるが、息の深さは環境や資質に関連 するものということができる。例えば、運動選手の息が長いのは競技に必要な持久力が 保たれるように訓練されているからである。運動をせず、家にこもって動かなければ、

日常生活において長い息は必要とされない。すなわち、環境が作り出す息使いは各人の 生活空間の中で身体の成長と共に確立し、本人の無意識のうちにその人の癖となって日 常化してしまっている。息はその人の生活を表すバロメーターともいえる。 

息の変化を子どもについてみると、現代において子どもは息の短さについても問題視 されていることがわかる。このことは、走れない子どもが増えていることにも表れてい る。映像人間においては、視覚的にのみ運動が機能するにすぎないために、走っている 人の映像を見ても自分が走ったという感覚はない。しかし、想像人間は、物語に合わせ て息を吸い、イメージしている背景を頭の中で動かしているため、本人も走った感覚を 共有する。物語の内容にあわせ、息が乱れ、鼓動が高まるのである。 

日本俳優連合理事である羽佐間道夫は、このことを「語り」について敷衍し、次のように

(14)

指摘している16。 

「語りとは、読み手と聞き手の間の空気を同じ色、同じ匂いを感じられるようにしてい く作業である。お互いが共有する空間の中に、物語を通じて作る息の『間』があり、その 息には双方に共通のテンポがある。それは、物語にあわせて、聞き手も読み手と同じよう に呼吸しているからである。その空間において、読み聞かせに参加している人間が総じて、

同じ感覚を共有する場となる。物語がドキドキするときは、読み手も聞き手も同じように 鼓動が高まり、嬉しいときは笑顔になり、声を出して笑い、悲しいときは涙を流し、みん なで号泣することもある。参加した人の感情がシンクロするのである。そうやって読み聞 かせを通じて、読み手と聞き手がお互いの意思疎通を取り合いながら成長していくと、子 どもは相手の反応を言葉や語気から読み取り、感情をシンクロさせることを体得できる。」 

ここに示されているのは想像人間が、息使いや間などの声のノンバーバル要素から多く を感じとることができる事実である。登場人物の気持ちを汲むことができ、語り手に対し て相槌を打つこともできる。同感できるということは人格を形成する上で極めて重要であ る。相槌は突然できる簡単なものではなく、共感し合える心と、ある意味で人間的な寛容 さ、相手を受け入れる許容範囲がなければできない。それは間を読むということにもつな がっている。読み聞かせの中に存在する間は、物語の中での時間の経過や、主人公の心と 向き合う時間を、ノンバーバル要素を示す心の台詞を理解する時間としているのである。

間は呼吸だけでなく、鼓動(心拍数)を高めたり、抑えたりして、語り手と同じような精 神・身体の状態に、聞き手も自然に同調することができるのである。そしてそこには一体 感が生まれ、共感する喜びの声が生まれ、想いが成長している。これに対して、映像を相 手にしている際に、息使いが必要とされることはない。アニメやゲームに没頭し、自分が ゲーム上で勝利することだけを目標にし、有機的コミュニケーションから離れている映像 人間が共感する喜びを知らずに成長していくのは、大変危険で不安定なことといえる。現 実に、周囲とのコンテクストの共有を高められず、独善的に物事を考え、「人を殺すってど ういうことか知りたかった」、「ただ、なんとなくむかついたから殴った」、「人間を刺すと どうなるか試してみた」などというゲーム感覚で人を殺し、安易に殺人に至るというニュ ースが少なくない。映像メディアと暴力的性向が因果関係を持つことに関する報告も数多 く行われている17。テレビやゲーム、コンピュータに熱中し、画面だけの世界と向き合って 生きてきた映像人間が、想像人間に比べ、善悪を判断する能力や人間に対する思いやりを 持つ心、また色々な現象に対する感受性や、本来あるべき想いを復元する力が大きく欠落 していることは否めない。共有するという喜びは人間にとって欠かせないものである。感 じたことを伝える喜び、相手の伝えたいことを理解できたときの感動は、本質的に人間と して内在する感情である。感情には常に息が関連している。喜びの息、泣きの息、苦しい 時の息、急いでいる時の息、驚いた時の息、ドキドキしている時の息、感情によって息は 自然に変化している。逆にいえば、息のコントロールによって、感情を高めることも静め ることもでき、声におけるノンバーバル要素によるコミュニケーションが高められるとい

(15)

うことがわかる。 

 

3  米国に続く読み聞かせの見直し 

1940 年代米国において、子どもの生活の乱れや子どもが引き起こす事件の多発など、現 在の日本の子供たちと同じような状況が起こり、いじめ、暴力事件、子どもによる殺傷な どが多発した。この問題状況で注目されたのが読み聞かせであった。このことについて、

当時NHKの伊藤健三アナウンサーが、ウェスタンミシガン大学大学院で児童図書館学を 学んだ後、ボルティモア市の公共図書館に勤務していた松岡享子(現:東京子ども図書館 理事長)に取材を行っていた。そこで筆者は松岡享子に、2007 年1月 22 日、「子どもの成 長と読み聞かせの関連性における事実関係」について直接インタビューを行った。その内 容は次の 3 点にまとめられる18。 

① 太平洋戦争後の 1940 年代後半から 50 年代にかけて、アメリカ社会で子どもの非行 が多発した際、子どもの心の変化が問題にされ、その一因に、「音のことば19」の欠 如が挙げられた。 

② 「音のことば」の欠如が挙げられた原因のひとつに、核家族化が進み、親も仕事な どが年々忙しくなった結果、大人と子どもの接触時間が短くなり、「音のことば」に 子どもが触れる機会の減った事が挙げられた。 

③ 「音のことば」の欠如を克服するひとつの方法として、Storytelling(読み聞かせ) の手法が 1960 年ごろ確立され、松岡はその手法と精神をアメリカの留学先で学び、

帰国し、日本においてその精神を東京子ども図書館に掲げた。 

これらの内容は、資料として残っていないが、伊藤は当時の松岡に対する取材において、

「音のことばの力」の強さと人格形成の上での影響力について、「話しことば」を職業とす るアナウンサーの仕事の意味を再確認し、また自らの仕事の意義を誇りに思ったという。 

このような米国が経験した子どもが直面した社会状況を見ると、まさに日本はアメリカ に数十年遅れて、アメリカと同じ経験を繰り返している事がわかる。このことに照らせれ ば、幼少の頃から対話するということ、一緒に本を見ながら内容を描写する感覚を再度見 直す必要がある。言葉を聞いてその声からバーバルの意味に加えて、ノンバーバルに表出 される感情を感じ取れる子どもと、そうでない子どもがいる現代において、ノンバーバル 要素に対するギャップを埋める必要がある。これまで言葉や文字には共通の意味が保たれ ていた。同時にイントネーションや抑揚といったノンバーバル要素も共通の意味を持って いた。例えば、語尾が上がると、そのイントネーションによって疑問を表現していること が示される。しかし対話が減少し、有機的コミュニケーションが図れず、そうした感情を 伝えていた事柄が伝授されなくなってしまったことで、現代の子ども達はノンバーバル要 素による感情表現を理解できないのかもしれない。コミュニケーションにおけるノンバー バル要素が未発達な状態といえる。 

東京子ども図書館において「お話の会」を主催し、子どもと接触の多い松岡(1994,p.6)

(16)

は、心に蓄えられた言葉がそのリズムや音の響き、ニュアンスなどをすべて包み込んだま ま、子どもの財産になると考えると語り手の責任が大きいことを指摘している20。語り手か ら、子ども達はバーバルとノンバーバルの両要素を体で感じとり、内容を理解し、コンテ クストの共有を図り、さらには自分の新しい感情表現の引き出しとなるのである。 

コミュニケーションにおけるバーバルとノンバーバルの重要性が図書館においても明ら かにされている。対話や読み聞かせなどの有機的コミュニケーションを今以上に社会が意 識的に取り組むことで、アメリカが問題を解決に導くことができたように、日本における 若者達の社会現象についてもその問題を軽減できる可能性は大きい。次に、アメリカで実 証されたノンバーバル要素が与える社会への影響について論じる。 

 

第4節  声のノンバーバル要素の社会的インパクト

1  インプリシットコミュニケーションの重要性 

Mehrabian(1986)は、ノンバーバル要素を活用したコミュニケーションを、インプリシ ットコミュニケーションという名称を使用したいと述べていることから、本節ではインプ リシットコミュニケーションと記す。 

Mehrabian によれば、インプリシットなコミュニケーションは微妙で、あまり表に現れな い感情と態度のコミュニケーションである。使われるシンボルは、非言語の行為や行動、

文法に関係ないスピーチの音声の側面、それにその他の音声と非言語である。インプリシ ットコミュニケーションの対象は、感情、態度、好意−嫌悪である。すなわち、人が対象 物に対して示す、好き嫌いのレベルにより、その人の感情的な反応を予測することができ る。または、その人の感情的な反応から、好き嫌いのレベルを予測することもできる

(1986,pp.26-27)。 

さらにインプリシットコミュニケーションは、接近や関わり合いを示す重要な目安にも なる。姿勢やジェスチャー、音声において、互いに真似るという事実がある。社会的相互 作用では、人は互いの音声的特徴を真似るのである。このような模倣は、模倣された人物 に対する好意や尊敬を意味する(1986,pp.31-32)。 

インプリシットコミュニケーションの行為には 5 つの機能があり、第一の機能はエンブ レム、すなわち、笑う、顔をしかめるなど、言葉と同じ働きをする行為である。第二の機 能はイラストレーター、言葉の内容を強調するために使われる。強調される言葉に即して 起こるアクションなどの行為である。第三の機能はアフェクト・ディスプレイ、感情表現 である。第四の機能はレギュレーター、話し手が続けて話すべきか、説明を加えるべきか、

急いで話し終えるべきかなどを知らせる役割をする。第五の機能はアダプター、肉体的な 欲求を満たす行為、例えば落ち着ける姿勢になるなどの身体的な行為である。 

Mehrabian は、第三の機能であるアフェクト・ディスプレイの感情表現を喜びや怒りなど の分類だけでなく、3 つの次元で表した。快−不快、覚醒−無覚醒、支配−服従というそれ ぞれ独立して相互関係のない 3 つの次元を、態度や好き嫌いといった好みという複合した

(17)

尺度を組み合わせて研究した(1986,pp.3-5)。 

本研究においてもこの第三の機能であるアフェクト・ディスプレイの感情表現を、声の ノンバーバル要素に集約し、インプリシットコミュニケーションを示唆するものである。

インプリシットコミュニケーションの重要性は Mehrabian をはじめ、多くの研究者たちに よって実証されてきているが、しかしながら、インプリシットコミュニケーションを構築 するために必要なノンバーバル要素を活用させるためのスキルを学ぶ教育機関はないに等 しい。 

Mehrabian は、インプリシットコミュニケーションを示すメタファーを次のように指摘し ている(1986,p.17)。 

「生まれて間もなく、言葉の教育が始まる。親や親類や先生は、子供にいろいろな言葉 や概念を教え、読み書きや話し方を教える。しかし、インプリシットのコミュニケーショ ンはというと、大人たちは言葉を教えるように子どもに教えはしない。アメリカ文化に体 系的なルールがあるわけではないし、また、ほとんどの国や文化においても、感情の表し 方を子どもに教えてはいない。」 

バーバルはそれぞれがある一定の意味を持っているが、ノンバーバル要素は一定の意味 合いではなく、その場の状況によって変化する。その変化によってはバーバルの意味さえ 打ち消してしまうことも考えられる。それほどまでに重要な役割を持つノンバーバル要素 の活用について学ぶ場がないという現実は、インプリシットコミュニケーション能力向上 に極めて大きな損害であるといえる。インプリシットコミュニケーション能力を高めるこ とができれば、公的な場面での発言においても、感情を正確に伝えられるようになり、意 思伝達を明確にできるようになると考えられる。 

続いて、社会的なインプリシットコミュニケーションについて考えてみたい。 

 

2  政治家に求められるインプリシットコミュニケーション 

社会的なインプリシットコミュニケーション構築が求められる場として最初に考えられ るのが政治家の演説ではないだろうか。そこで、筆者は2006 年 11 月 2 日に鈴木宗男議員 に、「政治家が声に対してどのように意識しているか」についてインタビューを行った。

返答は次の通りである。 

「声について意識したことはない。ボイストレーニングを受けているという話も周囲 の政治家から聞いたことはない。」 

この事実からも明確なように、声に対して意識をしていないということは、インプリシ ットコミュニケーションが円滑に構築できていないということを意味する。日本では、イ ンプリシットコミュニケーション構築に必要な教育は、政治家のような演説という重要な 国民へのメッセージを常にし続けている職業の者でさえ、受けていない現状である。 

Mehrabian は、アメリカではインプリシットコミュニケーション構築に必要な感情表現の 教育現場がないと指摘しているが、政治家にはそれぞれに専属のボイス・ティーチャーが

(18)

つき、聴衆に向けてその場の状況に合わせた最良の声の出し方、すなわち、声の高低やス ピード、間などに感情を表すための的確な指示を出している。日本の政治家に比べ、イン プリシットコミュニケーションの重要性を把握していることが示されている。 

  Mehrabian(1986,p.49)は、政治の世界について次のように指摘している。 

  「インプリシットな側面は、その人の政治哲学や知識とあまり関係ないが、その人が有 権者にどう見られているのか、どの程度好かれているのか、特にどのような人たちにアピ ールしているのか、について途方もなく強い影響を与える。」 

  ここでも、ノンバーバルの要素が強いインパクトを与えることが指摘されている。さら に、Mehrabian(1986,p.77)は、「声の大きな人は影響力が大きいと判断される。」と述べ ている。そうした声のノンバーバル要素が聴衆に与えるインパクトは極めて重要である。 

  政治家が掲げるマニフェストは印刷されたものから理解することは可能である。しかし、

政治家の人柄や精神的な意欲を伝えるのは、ノンバーバルの要素を活用するインプリシッ トコミュニケーションが重要となるのではないだろうか。 

                                             

(19)

第 1 章  脚注 

2006 年 3 月に全国ロードショーされた映画『子ぎつねヘレン』の中で、ヘレン(きつねの 名前)の鳴き声を、獣医が「お母さんを呼ぶ声だ!母親を呼んでいる!」という場面があ る。このことは、声のノンバーバル要素が動物の状態を人間に伝えることも可能であると いうことを示している。 

松竹映画『子ぎつねヘレン』は、北海道を舞台に目と耳が不自由なキタキツネを育てる少 年と家族の絆を描くドキュメンタリー。 

http://www.helen-movie.jp/index2.html(2007 年 4 月 19 日現在) 

1近年、相手に好印象を与えるために、就職試験に顔を整形する学生が増えている。このこ とは、女性だけでなく、男性においても同様に行われているという。

2行動修正技法である神経言語学プログラミングとは、Neuro-Linguistic Programming : NLP の略である。 

3調査概要は、小・中学生:①無作為抽出に基づき調査対象校を決定、②学校に調査票を送 付、原則として該当校の対象学年(小 4〜6、中 1〜3)全員が回答、③学校単位で返送。 

実施期間  2005 年 3 月。調査校数:小学校 15 校、中学校 10 校。回答数:小学校は 3350 枚。

中学校は 2924 枚であった。 

4姫野は、声を出すということは、息を吐く時間が通常よりも長くなるため、自然に腹  式呼吸になりやすく、セロトニンを増やす効果があると指摘している。 

セロトニン【serotonin】:インドールアミンの一つ。体内でトリプトファンから合成され  る。腸管などの平滑筋の収縮や中枢神経細胞の興奮伝達に働く。5-ヒドロキシトリプタミ  ン  http://dictionary.goo.ne.jp/(2007 年 2 月 1 日現在) 

5口喉音とは、音声学の用語で、呼気が鼻腔(びくう)に抜けることなく、もっぱら口腔内で 調音が行われるような音をいう。例:〈ハトが〉クークー鳴く;〈赤ん坊が〉クックッとの どを鳴らして喜ぶ。

6解発要因とは、動物であれば、同種の仲間の形態・色・音声・におい・身振りなどによっ て、求愛・採餌・威嚇(いかく)などの行動を誘発されること。その特定の反応を引き起 こす要因をリリーサー(解発因)という。

7乳児の声と自然体の関連性については、終章の遊魚道場で論じる。

8筆者は、読み聞かせのボランティア活動を老人施設や子どもたちのために長年行っている。 

9「想像人間」は、読み聞かせを聴いて育った子どもであり、「映像人間」は、アニメや  ゲームをして育った子どもと本論文では定義する。 

10児童虐待の研究から、虐待は①多くの親は子ども時代に大人から愛情を受けていなかった こと。②生活にストレスが積み重なって危機的状況にあったこと。③社会的に孤立し、援 助者がいないこと。④親にとって意に沿わない子。の 4 つの要素が挙げられている。 

厚生労働省  21 世紀初頭における母子保健の国民運動計画「健やか親子 21」検討報告書

(2000 年 11 月)より抜粋。 

11乳幼児の返報性の概念:「幼児は、叩かれたモノは叩き返し、なでられたモノはなで返す と予期する。」 

David and Ann Premack (2003) Original intelligence, Unlocking The Mystery of Who We  Are, The McGaw-Hill Conpanies,Inc,p.23 を参考。 

12福島県男女共生センター広報誌(2004.7)『DVにさらされるこどもたち〜加害者として親 が子どもに及ぼす影響〜』を参考にした。 

http://www.f-miraikan.or.jp/news/pdf/news15.pdf#search='虐待 原因 母親も虐待' 

13この例として、1997 年神戸市須磨区で起きた連続少女殺人事件、酒鬼薔薇事件の犯人が 14 歳の少年であった例を挙げることができる。この他にも、連続幼女誘拐殺害事件がある。

同事件は 1998 年から 1999 年にかけて、東京、埼玉西部で行った。3 歳から 7 歳の幼女を狙 った極めて異常な行動をとった宮崎勤は、幼少からいじめや暴力を受け、親からも放置さ

(20)

れており、動物虐待を繰り返した後、幼女殺害に至った。宮崎の部屋には 5763 本ものビデ オテープが所有されており、その中には幼児殺害後に撮影されたと見られる映像も発見さ れている。 

14社会秩序が乱れ、混乱した状態にあることを指すアノモス(anomos)を語源とし、宗教学 において使用されていた用語を、Émile Durkheimが社会学に用いたことから一般化した。 

152003 年 7 月 13 日に長崎で起きた当時 12 歳の少年による男児誘拐殺人事件がきっかけに、

14 歳未満で法令に触れる行為をした「触法少年」の処遇をめぐる少年法などの改正案が、

自民、公明両党の賛成で衆院を通過した。この事件を含め、低年齢層の事件の多発が今回 の改正へと導いたといえる。 

162006 年 9 月 15 日、日本俳優連合理事である羽佐間道夫に筆者が行った「息の重要性につ いて」の質問に対する返答である。 

17「テレビ暴力視聴と子どもの暴力的傾向」(獨協大学佐々木助教授、1986) 

日本でも暴力番組の視聴傾向と暴力行動の間に正の相関があることが明らかにされた。 

「テレビ暴力番組の反社会的行動に与える効果」(国際基督大学渡辺、1996) 

暴力番組視聴と暴力的傾向及び脱感作度の間に正に相関があることが明らかにされている。 

「青少年とアダルトビデオ等の映像メディアに関する調査研究」(総務庁、1994)によれば、

ホラービデオやビデオゲーム等の暴力的映像を視聴する青少年には、暴力に対する脱感作 の影響がある等の結果が明らかにされている。また、「青少年アンケート調査結果」(郵政 省、1998)によれば、子どもの"テレビの暴力シーンとの接触状況"と"その子どもの暴力的 傾向"は、部分的には、統計的に有意な正の相関関係にある。 

http://www.soumu.go.jp/joho̲tsusin/policyreports/japanese/group/youth/youth98101 9̲3.html(2007 年 5 月 5 日現在) 

18現:(財)NHK放送研修センター・日本語センター伊藤健三アナウンサーに直接取材する ことにより、情報を収集した。 

19音のことばとは、声のノンバーバル要素による語りかけである。

202007 年 6 月 27 日に筆者が東京子ども図書館の松岡理事長に取材をした。 

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