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Research Report 中国内陸発中央アジア ロシアへの鉄道輸送路 明治大学商学部専任講師町田一兵 はじめに 1. 中国の対ロ 中央アジア貿易 投資 中国と中央アジア ロシアは国土を接する隣 国同士であり 2008 年のリーマンショック以降 欧米との貿易が横ばいに留まり それまでの経済成長を

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はじめに

中国と中央アジア・ロシアは国土を接する隣 国同士であり、2008年のリーマンショック以降、 欧米との貿易が横ばいに留まり、それまでの経 済成長を維持するため、内需拡大の一環として、 中国内陸部に経済発展の重心をシフトさせた。 政府は鉄道・道路を中心に国内の交通インフラ 整備に力を入れ、その結果、交通関連インフラ の整備が急速に進み、それをベースに国境を越 え、中央アジア・ロシアを含む隣国との強化を 図ろうという動きが起きている。 その一つの理由として、日本や東南アジア諸 国連合(ASEAN)加盟国との領海紛争が続く なか、これまでの国土安全や地域安定を中心に 中央アジア・ロシアと作り上げた国際組織をベ ースに、海路を経由しない陸上国際輸送ルート の構築によるリスクヘッジが考えられる。 このほか、豊富な資源や鉱産物を持つ中央ア ジア・ロシアは中国にとって魅力的な輸出先で あると同時に、経済成長で必要とするエネルギ ーや鉱物を調達する貴重な存在である。 新たな国際戦略を展開する中国は、交通面で も中央アジア・ロシアへのアプローチを一層強 化する方針である。

1.中国の対ロ・中央アジア貿易・投資

2001年の世界貿易機関(WTO)加盟後、中 国の貿易額は、欧米や日本など先進国への輸出 入を中心に急拡大した。一方、隣国の中央アジ ア5カ国/ロシアとの貿易は増える傾向にあ るものの、比較的に穏やかな伸びを維持し、中 国の貿易総額の3%以下という低水準に留ま っていた。2008年のリーマンショック以降、貿 易額は若干増加に転じたものの、総じて中国の 貿易総額の5%以下で推移している。 図表1 中国と中央アジア5ヵ国/ロシアの貿易シェア (注)2012年。 (出所)中国国家統計局『中国統計年鑑』(2013)。 カザフスタン 19.1 ロシア 65.8 トルクメニスタン 7.8 ウズベキスタン 2.1 タジキスタン 1.4 キルギス 3.8

中国内陸発中央アジア・

ロシアへの鉄道輸送路

明治大学 商学部 専任講師 町田 一兵

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図表2 中国と中央アジア5カ国/ロシアの貿易額の推移 (単位 100万ドル) カザフ キルギス タジク ウズベク トルクメン ロシア 2000 1,557.0 177.6 17.2 51.5 8,003.2 8,480.4 2001 1,288.4 118.9 10.8 58.3 32.7 10,669.3 2002 1,954.8 201.9 12.4 131.8 87.5 11,927.4 2003 3,291.9 314.3 38.8 347.0 82.9 15,758.0 2004 4,498.1 602.3 68.9 575.5 98.4 21,225.5 2005 6,806.1 972.2 157.9 680.6 110.0 29,101.2 2006 8,357.8 2,225.7 323.8 972.1 178.6 33,386.8 2007 13,877.8 3,779.2 524.1 1,128.2 352.7 48,154.8 2008 17,552.3 9,333.4 1,499.9 1,606.7 830.4 56,908.6 2009 14,129.1 5,330.3 1,406.7 1,920.9 957.4 38,751.5 2010 20,448.5 4,199.6 1,432.6 2,483.3 1,569.6 55,533.1 2011 24,961.2 4,976.5 2,069.0 2,166.6 5,477.3 79,273.4 2012 25,681.6 5,162.3 1,856.7 2,875.2 10,372.5 88,211.0 (出所)中国国家統計局『中国統計年鑑』(各年版)。 図表3 中国と中央アジア5カ国/ロシアの貿易収支 (単位 100万ドル) カザフ キルギス タジク ウズベク トルクメン ロシア 2000 ▲359.5 42.7 ▲3.6 27.4 ▲2.9 ▲3,536.5 2001 ▲632.9 34.4 ▲0.1 43.1 30.3 ▲5,248.3 2002 ▲754.6 90.4 0.6 77.0 86.0 ▲4,886.0 2003 ▲148.1 176.0 2.8 ▲53.5 74.7 ▲3,698.1 2004 ▲74.5 383.2 38.2 ▲230.6 70.7 ▲3,029.3 2005 987.4 762.1 129.5 ▲220.4 71.8 ▲2,678.7 2006 1,143.2 1,999.9 287.8 ▲159.8 146.6 ▲1,721.8 2007 1,014.0 3,551.9 503.5 401.3 252.4 8,777.6 2008 2,096.7 9,090.7 1,459.4 948.9 773.5 9,243.1 2009 ▲1,808.4 4,055.4 1,320.4 ▲121.2 ▲519.4 3,691.0 2010 ▲1,808.4 4,055.4 1,320.4 ▲121.2 ▲519.4 3,691.0 2011 ▲5,828.2 4,780.1 1,924.6 551.9 ▲3,909.0 ▲1,466.4 2012 ▲3,680.1 4,984.4 1,639.0 691.5 ▲6,974.3 ▲99.1 (注)▲はマイナス。マイナスは中国側赤字。 (出所)図表2と同じ。 図表4 中国の対中央アジア5カ国/ロシアへの投資 (単位 100万ドル) カザフ キルギス タジク ウズベク トルクメン ロシア 合計 2003 19.7 15.8 5.1 3.3 0.0 30.6 74.5 2004 24.8 19.3 21.5 4.2 0.2 77.3 147.3 2005 245.2 45.1 22.8 12.0 0.2 203.3 528.6 2006 276.2 124.8 30.3 15.0 0.2 452.1 898.5 2007 609.9 139.8 99.0 30.8 1.4 477.6 1,358.5 2008 1,402.3 146.8 227.2 77.6 88.1 395.2 2,337.3 2009 1,516.2 283.7 162.8 85.2 208.0 348.2 2,604.1 2010 1,590.5 394.3 191.6 83.0 658.5 567.7 3,485.7 2011 2,858.5 525.1 216.7 153.5 276.5 718.5 4,748.7 2012 6,251.4 662.2 476.1 146.2 287.8 784.6 8,608.3 (出所)中国商務部『中国対外直接投資統計公報』。

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6カ国のうち、中国と最も深い貿易関係を持 つのはロシアである。ロシアから石油やガスな ど、天然資源を中心に中国に輸出されている。 一方、中央アジア5カ国のうち、中国との貿易 が最も多いのはカザフスタンであり、ロシア同 様、天然資源を中心に輸出している。 若干違いがあるものの、対中貿易の特徴とし て、中国へは主に天然資源を輸出し、中国から は製品を輸入する構図となっている。近年、エ ネルギーや鉱石の中国への輸出が増えている。 収支は、比較的に豊富な天然資源を持つカザフ スタン、ロシア、トルクメニスタンの3カ国で 貿易黒字、それ以外の3カ国では赤字となって いる。 中国の輸出品目では、石油ボーリング・マシ ン(トルクメニスタン)トラック/ブルドーザ ー(カザフスタン)、乗用車(ロシア)などの 工業製品もさることながら、雑貨類も中央アジ ア・ロシアへ大量に輸出されている。このこと から、今後も中国の安価な商品が大量に輸出さ れる状況が続くと思われる。 貿易関係を見てみると、中央アジア5カ国及 びロシアは、中国の主な貿易相手ではないもの の、近年、貿易・投資は着実に増え、より密接 な関係となっていることがわかる。このように 中央アジア5カ国及びロシアへのアプローチ には、海上を経由する従来の輸送ルートに代わ る代替ルートの確立と中国経済発展の内陸へ のシフトという二つの理由が挙げられる。

2.新たな輸送ルート確立へのアプローチ

チャイナ・ランドブリッジを含む陸路による ヨーロッパまでの大量輸送ルートが重視され た背景には、中国の国策が見え隠れしている。 ソ連崩壊後、中国と隣接するロシア及びCIS 諸国との間に新たな安全協定が必要となった。 1996年に中国、ロシア、カザフスタン、キルギ ス、タジキスタンの5カ国首脳が上海で「国境 周辺軍事関連での相互信頼の向上に関する協 定」に署名し、「上海5」という国際機構を立 ち上げた。 その後、国境での兵力削減を進めることで一 定の成果を収めた。2001年にウズベキスタンが 新たに加盟したことで、「上海協力機構」(SCO) に移行。オブザーバー国として、イラン、イン ド、モンゴル、パキスタンも参加するなど、ア ジア地域における国際組織として存在感を見 せ始めている。 成立当初の主旨は各国における軍事の信頼 性の向上及び国境の安定だったが、近年ではエ ネルギーや農産品などの貿易の拡大に伴い、参 加国政府間レベルでの貿易政策、国際物流イン フラの構築に向けた協力の場として、その役割 が高まっている。 大陸国である中国では、陸による輸送手段を 最も重視してきた。ただし、2001年のWTO加 盟後の中国の経済発展を牽引してきた貿易の 急拡大は、主に先進国への輸出である。それを 支えてきた輸送モードは海運である。 図表5 上海協力機構の加盟国・準加盟国一覧 (出所)http://www.inform.kz/eng/article/2364082(2014年4 月25日取得)

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輸出入にとって、海上輸送は最も安価な大量 輸送モードである。しかし中国発のルートでみ ると、通過海域において、日本との尖閣諸島の 紛争を抱え、近年南海上ではフィリピン、ベト ナム、マレーシアなど複数の国との間で、水域 主権をめぐる争いが絶えない、さらにヨーロッ パ行きの場合、狭いマラッカ海峡を通らなけれ ばならない。それが輸出のみであれば問題にな らないものの、昨今の経済発展によって石油の 純輸入国になったため、その輸送の際にも上記 海域を通らなければならない。このことは安全 保障上、極めてリスクが大きい。 中国にとって、物資調達のシーレーンの確保 は常に大きな課題となるが、米軍規模の自国海 軍による長距離シーレーンを確保するにはま だ時間がかかる。したがって、従来の海上ルー ト以外に、陸上大量輸送ルートの確保がますま す重要になってきている。

3.中国内陸にシフト

リーマンショック以降、中国の経済発展の構 図が大きく変化した。中国の経済を牽引してき た東部地域が徐々に、その発展スピードを落と し、代わりに中西部の経済発展が加速した。 2012年は、その動きがより明確になった。とり わけ、輸出入の伸びが頭打ちとなりつつある中、 西部地域が依然高い伸び率を見せている。 国家政策も内陸への産業シフトを誘導して いる。中央政府は2000年以降、国務院(内閣に 相当)に西部開発指導小組を設置し、鉄道・道 路建設などのインフラ整備や投資環境の整備 及び一連の優遇政策を実施してきた。その後の 歴代政権も、西部開発を不動の政策として、投 資を拡大し続けてきた。その効果はとりわけ交 通インフラ整備において明確に現れ、中部及び 西部地域における営業鉄道キロ数が中国全体 の6割超、道路保有キロ数も中国全体の7割弱 まで伸びた。 交通インフラの整備が進むと同時に、莫大な 人口をもつ内陸部では、生産基地及び消費市場 としての重要性も高まっている。ただ、東部地 域より広大な土地を持つ中西部では、全域にわ たって経済活動を展開することは物理的に難 図表6 中国の地域別GRP伸び率 (単位 対前比%) 東部 中部 西部 東北 2006 16.3 17.9 17.2 15.5 2007 19.4 22.9 20.7 19.3 2008 17.7 22.3 22.3 20.4 2009 9.4 10.6 9.5 9.3 2010 18.9 22.4 21.5 20.4 2011 17.8 22.2 23.0 21.2 2012 9.8 11.1 14.6 11.2 (出所)図表2と同じ。 図表7 中国の地域別鉄道・道路キロ数 (単位 km/%) 東部 中部 西部 東北 鉄道 営業キロ 22,457 35,071 24,671 15,427 % 23.0 35.9 25.3 15.8 道路 保有キロ 1,038,592 1,427,032 1,414,050 357,833 % 24.5 33.7 33.4 8.4 (注)2012年。 (出所)中国国家統計局『中国統計年鑑』(2013)。 図表8 中国の地域別大都市数 東部 中部 西部 東北 50万~100万人 4 5 6 1 101万~300万人 21 37 26 25 301万~500万人 24 35 18 5 501万~700万人 12 20 7 3 701万~1,000万人 19 10 1 2 1,000万人以上 9 1 2 1 (注)2010年末。 (出所)中国人口調査(2010年)にもとづき作成。

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しい。実際に外資企業を含む製造・流通業のな かに、中西部の一部大都市へシフトする動きが みられる。今後の内陸部の発展では、人口701 万人以上の大都市を中心に、有望な製造拠点及 び消費市場になると思われる。 さらに、物流の観点から上記諸都市のうち、 ハブとなり得る拠点都市を考えた場合、中国政 府が2009年3月10日に公表した「物流業調整・ 振興計画」で定めた、主な物流ハブ拠点となる 都市が参考になる(図表9)。今後内需を担う 最も重要な都市であると同時に、物流拠点とし ての位置づけも明確に示した。 国土をカバーするハブ拠点の指定を受けた 上記38都市は、中西部に属する内陸都市を含め、 都市内物流および周辺交通インフラとのアク セスの整備が進んでいる。中国経済の内陸シフ トの動きに合わせて、受け皿となる最も重要な 拠点である。その場合、道路の重要性もさるこ とながら、上記都市間を繋ぐ鉄道による長距離 大量輸送体制の整備が重要な課題となる。 図表9 中国国土をカバーするハブ拠点となる都市 (注)●は全国をカバーするハブ都市、■は広域をカバーするハブ都市。 (出所)中国国務院『物流業調整・振興計画』をもとに作成。 上海 アモイ 広州 深圳 青島 福州 西安 寧波 杭州 海口 ウルムチ 南昌 大連 長春 瀋陽 ハルビン 天津 北京 武漢 長沙 南寧 昆明 ラサ 成都 蘭州 重慶 太原 鄭州 済南 石家荘 合肥 南京 貴陽 フフホト 銀川 包頭 唐山 西寧

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4.中国鉄道の状況

広大な国土を持つ中国では、鉄道は全国各地 へ長距離貨物輸送を担う唯一の輸送モードだ った。そのインフラ整備は1990年代以降、段階 的に進められた。鉄道営業線路総延長は2012 年に9.7万kmに達し、電化区間も5.1万kmと 着々と整備が進んでいる。 一方、大規模な投資による鉄道インフラ整備 は2000年以降である。鉄道整備計画は、旧鉄道 部(2013年4月に解散、行政機能が交通運輸部 に吸収され、運営部分が新たに「中国鉄道総公 司」を設立)によって2000年の第十五回5カ年 計画(2000~2005年)に提示された。それが今 日の中国鉄道の骨格となっている。 計画では、全土を縦横に結ぶ幹線鉄道を「八 縦八横」(合計3.4万km)に整備し、鉄道線路総 長の約半分を占める鉄道幹線をネットワーク 化する。物流面では、燃料・鉱石を含む原材料 の産出地と大消費地である各大都市をカバー し、原材料の安定供給を実現する役割を果たす。 このような現状を踏まえ、東部沿海地域での 人件費や土地の高騰で産業の内陸へのシフト、 成都や重慶など西部大都市の発展などにより、 東西部間の輸送ニーズが高まるとみられ、西部 地域(西南、西北)の鉄道整備に力が入れられ ている。 西部地域には、鉱物やエネルギーをはじめ、 経済発展に必要な資源が豊富に揃っている。今 後、西部地域の大都市を中心に製造業が多く進 出すれば、国内での貨物の発送・到着もさるこ とながら、西部の大都市を起点とする輸出入も 増えることが見込まれる。鉄道インフラの整備 が西部地域経済の活性化に大きなインパクト を与えると期待されている。 進む鉄道貨物輸送のコンテナ化 中国の鉄道 貨物輸送は、主に「貸切輸送」、「混載輸送」、 及び「コンテナ輸送」の3種類である1) 「貸切輸送」は、貨物の重量、性質、体積、 形状において、一両あるいは一両以上の貨車に よる輸送が必要とする場合の輸送方式である。 「混載輸送」は、一両に満たない貨物(ただ し、体積0.02m3以上2)、個数300個以下、また、 冷蔵・保温が必要とする貨物、他の貨物との混 載に適さない貨物、一個あたり2t超、あるい は体積3m3超あるいは長さ9m超の貨物)の輸 送方式である。 「コンテナ輸送」は、鉄道コンテナを使った 輸送方式である。その場合、鉄道コンテナは大 きさ(1t、5t、10t、20フィート、40フィ ート)及び仕様(一般貨物用、専用)、所有者(鉄 道コンテナ、自社コンテナ)による分類がある。 とりわけ鉄道におけるコンテナの輸送はす でに1950年代からスタートしているなど、その 運用の歴史は意外と長い。鉄道用コンテナは、 小型(1t)、中型(5t、10t)、大型(20 フィート、40フィート)で合計5種類だが、5 tコンテナは危険物くらいしか需要がなく、今 後20、40フィートに統一する方向である。 鉄道コンテナサービスは大口荷主の点から 点までを結ぶ長距離輸送(1,000km以上)を得 意とする。2012年以降、全国600カ所前後に分 散していたコンテナ取扱駅を徐々に統合し、そ の数を削減している。鉄道コンテナ取扱拠点と して、鉄道コンテナ物流センター駅18カ所(鉄 道コンテナ輸送の基幹拠点)、コンテナ専用駅 40カ所(地域経済の中心地ないし県庁所在地)、 代理駅100カ所(バルク・その他貨物の取扱と 混在する)で構成される鉄道コンテナ物流3段 階ネットワークの構築を目指している。 とりわけコンテナ物流センター駅は、2007 年5月30日に旧鉄道部が一部外資企業を含む 3)鉄道コンテナ輸送会社を新たに設置。コン テナ貨物を専門に扱う鉄道コンテナ取扱中心 駅18カ所の整備計画を打ち出した。

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図表10 中国鉄道コンテナ物流センター駅(18カ所) (出所)各種資料にもとづき筆者整理・作成(色付きは未整備)。 鉄道コンテナ物流センター駅は内陸及び沿 海大都市を中心に(上海、昆明、ハルビン、広 州、蘭州、ウルムチ、天津、青島、北京、瀋陽、 成都、重慶、西安、鄭州、武漢、大連、寧波、 深圳)4)整備を予定しており、半分の9カ所 が整備済みとなっている。 それに合わせ、現状では編成車両及びそうで ない車両が混同して走行しているが、今後、基 本的に専用列車編成の方式で点から点までの ノンストップの輸送方式に統一する。 なお、鉄道輸送力の大半は、エネルギーなど の重厚長大物資に充てているため、コンテナ貨 物の利用には制約が多い。その解決策の一つが、 “五定定期貨物列車(中国語で五定班列と言う)” の運行である。 旧鉄道部は1997年に“五定”定期貨物列車運 輸暫定方法を定めた。この“五定”とは、定点(発 地・着地)、定線(経由地)、定車次(列車番号)、 定時(同一の発着時間)、定価(一定料金)の 5項目が決められていることを指している。 輸送の対象はコンテナと小口混載貨物であ り、とりわけ海上コンテナの内陸部への輸送及 び沿海地域の内陸保税輸送ないし内陸地域保 税区から沿海港への保税輸送が多い。チャイ ナ・ランドブリッジにおける鉄道貨物輸送はす べて五定列車であり、国内鉄道インフラの整備 が進むにつれ、鉄道国際輸送ルートの発地とし て、複数の都市が名乗りを上げた。 西安 天津 青島 鄭州 寧波 瀋陽 ハルビン 大連 北京 深圳 成都 昆明 重慶 広州 上海 武漢 蘭州 ウルムチ

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5.チャイナ・ランドブリッジの潜在性

下図のように、チャイナ・ランドブリッジ(以 下CLBと略称)における国内の発都市は連雲港 以外に、内陸を含む大都市が複数現れ、利用拡 大に現実味をもたらしている。とりわけ中西部 大都市がCLBを発地とする動きが活発になり、 すでに鄭州市、重慶市、成都市、西安市、武漢 市、青島市、義烏市など、それぞれの都市から の始発でCLBを利用したヨーロッパを目指す 鉄道貨物輸送を開始した。 【連雲港発CLB】 ・運行経路:連雲港発→鄭州→西安→蘭州→ウ ルムチ→阿拉山口→カザフスタン→ロシア →ベラルーシ→ポーランド→ドイツ→オラ ンダ(ロッテルダム)。全長1万900kmだが、 現状では最長でロシア(モスクワ)までに留 まっている。 ・輸送頻度:2006年11月26日〜2009年3月28 日ま で1,000回発車し5 )、コ ンテナ数4 万 8,000個(海上コンテナ)。現在では1日2回 発車。 ・通関方法:EDI(連雲港税関から阿拉山口税 関に貨物情報を予め送るようになっている。) ・輸送品目:自動車部品、化学製品、工業原材 料、生活用品、中古車、機械類 ・輸出先:中央アジア及びロシア ・所要日数:16日(連雲港〜ロシア) ・その他:1992年12月1日からコンテナ専用列 車の発車を開始以来、2011年末まで合計6万 TEUを発送したなど、最も実績を持つCLBで ある。 図表11 主要なCLBの中国国内ルート(阿拉山口、ホルゴス経由) (出所)各種資料をもとに筆者作成。 重慶 鄭州 武漢 西安 蘭州 成都 ウルムチ 阿拉山口 霍爾果斯 宝鶏 安康 発駅 トランジット駅 既存路線 整備中路線 連雲港 義烏

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【重慶市発CLB(渝新欧)】 ・運行経路:重慶発→達州→安康→西安→蘭州 →ウルムチ→阿拉山口→カザフスタン→ロ シア→ベラルーシ→ポーランド→ドイツ(デ ュイスブルク)→ベルギー6)(アントワープ) 全長1万1,381km。 ・輸送頻度:2014年3月末まで110回運行を実 施した。週2回発車。(12月、1月、2月は 運行してこなかったが、2014年から上記3カ 月でも運行決定。) ・通関方法:EDI ・輸送品目:ノートパソコン、デスクトップパ ソコン、プリンター、バイク、自動車。この うち、パソコンが全体貨物の9割超 なお、試行段階だが、2013年3月にデュイ スブルク発重慶着の帰り荷を積んだ運行も 行い、合計40フィートコンテナ41個を積載し た。 ・輸出先:ドイツ経由ヨーロッパ各地 ・所要日数:16日、重慶~蘭州の鉄道(2015 年完成予定)が営業運行開始した場合、さら に1日短縮する見込み。 ・その他:すべてのコンテナにGPS機能付きの 電子タグを装着し、レールから1km離れた場 合は自動的に警報システムが作動する仕組 みとなっている。 上海の楊浦駅で北京向けに発車する準備を行って いるダブル・スタック・トレイン(2007年7月 筆者撮影) 【成都市発 CLB(蓉欧)】 ・運行経路:成都発→宝鶏→蘭州→ウルムチ→ 阿拉山口→カザフスタン→ロシア→ベラル ーシ→ポーランド(ロチ)。全長9,826km。 ・輸送頻度:2013年1月から運営開始、週1回 (土曜日夜10時)発車。 ・通関方法:EDI ・輸送品目:ノートパソコン、自動車部品、レ ディシューズ、電子製品 ・輸出先:ポーランド経由ヨーロッパ各地 ・所要日数:12~14日 ・その他:出資会社の1社であるポーランド社 が中国国境外での貨物運行管理をすべて行 う。また、CIS諸国への保税保管及び税金の 後払い(160日以内)が享受できる。 【鄭州市発CLB(鄭新欧)】 ・運行経路:①鄭州発→西安→蘭州→ウルムチ →阿拉山口→カザフスタン→ロシア→ベラ ルーシ→ドイツ(ハンブルク)。全長1万 214km。 ②鄭州発→西安→蘭州→ウルムチ→阿拉山 口→カザフスタン(アルマトイ)。 ③鄭州発→西安→蘭州→ウルムチ→阿拉山 口→カザフスタン→ロシア(モスクワ)。 ④鄭州発→西安→蘭州→ウルムチ→阿拉山 口→カザフスタン→ロシア→リトアニア (クライペダ)。 ・輸送頻度:2013年7月19日初運行し、2014 年5月7日まで計27回運行を実施し、現在週 1回、2014年5月から週2回、水曜日と土曜 日に増発予定。 ・通関方法:EDI ・輸送品目:紡績品、自動車部品、タイヤ、建 設機械、衣料機器、ノートパソコン、ハード ディスクなど。なお、試行段階だが、2013年 12月15日にデュイスブルク発鄭州着の帰り 荷を積んだ運行を行った。貨物は欧州産ワイ

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ン、自動車部品、精密機器など。さらに、2014 年2月8日にドイツ・ハンブルク発鄭州着の 帰り荷を積んだ運行も行い、合計40フィート コンテナ41個を積載し、貨物の中身は自動車 部品、鉄道用鋼板、鋼管飲料などである。 ・輸出先:ドイツ経由ヨーロッパ各地、ロシア、 カザフスタン、リトアニア ・所要日数:16~18日(ハンブルクまで)、6 日(アルマトイまで)、11日(モスクワまで)、 13日(クライペダまで)。 ・その他:鄭州発CLBは阿拉山口までの国内路 線において、優先発車権が与えられ、鄭州発 車後ほぼノンストップで阿拉山口まで走行 する(国内走行時間63h)。コンテナにGPSを 装着したほか、輸送中に光、振動、傾斜度、 温度、湿度の監視・コントロールが可能。 【西安市発】 ・運行経路:①西安発→蘭州→ウルムチ→阿拉 山口→カザフスタン→ロシア→ベラルーシ →ドイツ→オランダ(ロッテルダム)。全長 9,850km。 ②西安発→蘭州→ウルムチ→阿拉山口→カザ フスタン(アルマトイ)。全長2,866km。 ③西安発→蘭州→ウルムチ→阿拉山口→カザ フスタン→ロシア(モスクワ)。全長7,251km。 ・輸送頻度:2013年12月28日初運行し、計3回 実施した。週1回予定。2014年5月まで7回 運行し、シャーシ298両、4,415t、金額換算 1,854万USD、うち同省貨物30%、外省70%7) ・通関方法:EDI ・輸送品目:ガラス製品、複合床板、ポリエス テル板、タイル、電気ドリル、樹脂製品、織 機、PVC板、アーク炉と植物油加工設備など。 ・輸出先:オランダ経由ヨーロッパ各地、ロシ ア、カザフスタン ・所要日数: 18日(ロッテルダムまで)、6日 (アルマトイまで)、14日(モスクワまで) 重慶の鉄道コンテナターミナル (2014年2月 筆者撮影) ・その他:鉄道コンテナ以外で中国初となる大 型機械設備などの輸出輸送も行った。 【その他】 ・武漢市 武漢市は2012年10月に武漢を起点とする CLBの試運行を開始した8)。チェコまで1万 863kmを23日間で到着。貨物はフォックスコン 社が生産した電子製品だった。その後は定期運 行の目処がつかず、運休したままだったが、 2014年4月23日に運行を再開。電子製品を中心 にポーランドのロチまで15日間をかけて走行 した。2014年5月から、毎月2~3便の頻度で 運行される見込みである。 ・青島市 青島市は2012年12月に青島を起点とする CLBの試運行を開始した9)。オランダまで1万 1,000kmを15日間で到着。主な貨物は家電と食 品。その後は定期運行の目処がつかず、運休し ている。 ・義烏市 義烏市は世界的に有名な日常用小物の卸市 場であるが、中央アジア市場の開拓を図るため、

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2014年1月20日10)に義烏発アルマトイ行きで CLBを開通した。全長1万km以上。ただし、 トライアルの意味合いが強かったため、定期運 行スケジュールは未定である。 試運転の段階で、すでに中央アジアからのオ ファーが多く、2012年に52TEUだった取扱量は、 2013年には618TEUに増加した。需要を見なが ら列車本数を増やしていく計画である。 CLBは1992年に連雲港発が運行開始し、当初 はシベリア・ランドブリッジの代替として、大 陸経由の国際トランジット貨物の取扱を想定 していた。しかし、海運業の大型化及びローコ ストに押され、また当時の中国鉄道の輸送制限 やCIS諸国との調整がうまくいかなかったこ となどから利用増に繋がらなかった。しかし連 雲港のCLBの運営経験が重慶、成都、鄭州、西 安など、後発のCLBに多くの教訓を残した。 ただし、中国の鉄道貨物輸送の現状を鑑みる と、全国で貨物を取り扱う百数十所の鉄道駅か ら自由にヨーロッパ向けのコンテナ貨物を出 すことは現状ではまだ難しい。途中での貨物追 跡や安全性などの確認も難しいとみられる。 したがって、上記の各都市におけるCLBの取 組みはあくまでもそれぞれの都市を起点とす る専用列車としてのCLBの運行である。このた め、CLBが中国国内の複数駅での貨物の積込み をすることは難しい。 今後、各都市発のCLBの運行状況や実績によ って、物流サービス品質にもバラツキが出てく ることが予想されるため、利用する場合は、ケ ース・バイ・ケースでの対応が必要である。

6.CLBに興味を持つドイツ・カザフスタン

また、ここにきてヨーロッパ・CIS諸国と中 国との輸出入に国際鉄道貨物列車の利用ニー ズが高まっている。その場合、中国側の意向も さることながら、ヨーロッパの場合はとりわけ ドイツが積極的である。 中国の場合、旧鉄道部を受け継いだ鉄道総公 司(2013年3月に会社化の実施に伴い、鉄道部 が廃止され、鉄道総公司という国有会社を新た に設置)がCLBの運行に積極的である。鉄道総 公司の営業収入のうち、鉄道貨物の割合が半分 超を占めているものの、近年の度重なる値上げ の結果、荷主離れが起きている。荷主離れを中 長期的に鉄道収益の低下に繋がると危惧する 鉄道総公司は新たなサービスに取組み始めて いる。その一つが、ヨーロッパ・CIS諸国まで の国際鉄道貨物列車の増発である。 一方、ドイツの場合、中国との貿易が急増し、 2011年の貿易総額は約1,500億ユーロに達した。 この数字は、中国の対EU貿易全体の約3分の 1を占める。対中関係を重視していることが背 景にある。無論、中国側もこうした関係の強化 を重視しており、2013年5月、中国の李克強首 相もEU初の訪問地にドイツを選んだほどであ る。 また、中国国内市場では、自動車に加えて、 重機、精密機器などで、ドイツをはじめとする ヨーロッパ系企業が進出して、成功を収めてい る事例が多く、それに関連する部品や製品の輸 送も増えている。 航空輸送については、EU域内ですでに決め られた炭素税の徴収でEU・中国間の対立が続 いており、根本的な解決策が見出せない状況に ある。そうした中、船舶よりも速い恒常的な輸 送手段として、中国・ヨーロッパ間の鉄道整備 がドイツをはじめEU諸国のニーズと合致して いる。 ドイツを代表する大手物流事業者DBシェン カー・レール・オートモーティブ11)は、すで に2011年10月にドイツのライプチヒから中国 遼寧省瀋陽市にあるBMWと華晨中国汽車との 合弁会社(華晨宝馬汽車)の工場に自動車部品

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の輸送を行い、シベリア鉄道(TSR)で直行貨 物列車を運行しているなど、EUからのアプロ ーチも散見できる。 そのほか、CIS諸国は、中国・トルコなどへ の鉱物資源や穀物の輸送に関し、成長加速の糸 口を模索している12)。すでにカザフスタンが同 国南部と中国を結ぶ鉄道の建設を終え、年内に 本格的な運行を開始すると報じられた。運行が 始まれば中国への輸送日数を2日短縮、石炭や 穀物などの輸出増効果が期待される。 2020年までにカザフ国鉄は、450億ドルをか けて鉄道近代化(貨物鉄道の軌道敷設、地方の 各所における物流ロジスティクスセンターの 建設等)に向けた投資を行う予定である。すで に連雲港に合弁会社を設置し、国際鉄道貨物の 集荷強化及び迅速化に力を入れ、同じく沿線の 重要都市である西安でも物流センターの整備 を検討している13)。今後、IT製品・部品等が多 く生産されている中国深センや香港等にも進 出したいと考えている。 そのほか、中国とキルギス、ウズベキスタン を結ぶ鉄道の新設計画も政府間交渉が進んで おり、中国は5年以内に鉄道建設の具体化を目 指し、資金の融資にも応じる考えを示している。 他方、ロシアの場合、シベリア・ランドブリ ッジと競合することもあって、さほど大きな投 資プロジェクトはない。だが、CLBの大半はモ スクワ経由であることから、トランジット貨物 が増加すれば、ロシアにとってもメリットがあ るため、協力の姿勢を示している。 今後EUのニーズに加え、沿線のEU諸国及び ロシア・CIS諸国との貿易が増えれば、CLBの 利用ニーズは一層高まるであろう

おわりに

中国の国策で、中央アジア・ロシアとの地域 安保の連携および貿易の強化の一環として、こ れら諸国との間で鉄道インフラの整備・運行の 強化が着々と実施されている。これに加え、内 陸都市の経済発展で、従来の東部沿海地域経由 の海上輸送ルート以外に、鉄道によるヨーロッ パ大陸への大量輸送ルートを積極的に開拓し ようとする動きが出ている。すでに中国で現地 生産を行っている多くの日系企業にとって、こ うした交通インフラを活用して、中央アジア・ やロシアに製品を輸送するという新たな可能 性がある。

【注】

1)鉄道部運輸局・中国鉄道企協運輸委員会・人民 鉄道報社編『中国鉄道貨物運送ガイドブック』 (2000)。 2)1件あたり10kg以上の場合はその限りではない。 3)フランス、ドイツ、イスラエル、香港からの企 業出資を受けている。 4)上海、昆明、大連、青島、西安、鄭州、重慶、 武漢、成都はすでに設置完了。 5)http://www.landbridgenet.com/wenku/2013-01-09/ 4158.html 6)2012年、デュイスブルクからアンドワープまで 延長した。 7)2014年5月11日付『文ワイ報』。 8)http://cjmp.cnhan.com/cjrb/html/2012-10/25/ content_5078017.htm 9)http://www.jiaodong.net/news/system/2012/12/29/ 011762751.shtml 10)http://biz.zjol.com.cn/system/2014/01/27/ 019833307.shtml 11)http://www.jetro.go.jp/world/asia/cn/ biznews/4ea4f6b24b320 12)2012年11月30日付『日本経済新聞』。 13)2014年5月11日付『香港文ワイ報』。

参照

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