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春の院展出品作「名残り」制作までの流れ
院展には春と秋、
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年に2
回作品を出品する機会がある。何時からかは定かではないが、作品を制作するにあたってその年の「テーマ」を決めるようになった。そして
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年のテーマというものはあるが、ずっと描きつづけていきたい主流となるテーマもある。その主流のテーマ上にその年その年のお題を自分で考えて制作するわけだが、私の場合 は「変わるもの、変わらないもの」が、これも何時の間にか自分の制作上の大きな主流のテーマになった。それは「時」 だったり「風」だったり「道端の花」だったりする。
今年は「椅子」を
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つの主題としてそこから派生させるイメージを表現したいと考えた。再興第
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回春の院展に出品した自作「名残り」は、1
人の少年と椅子をモチーフに、あえてあまり仕掛けをせずに愚直に描いてみようと思った作品である。
~小下図作り~
小下図は大きな作品も小ぶりな作品もあまりサイズは変わらない。思い描いたイメージを初めて具現化する作業で、
この作業が
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枚の絵を描く上では全体の作業の中で大きな比重を占める。こういう風に描きたいという「イメージ」というものは存在するが細部まではあえて描き込まず焦点がぼやけないように気をつけるが、頭の中のイメージを具 現化するのは中々難しく、納得いかない時は描き直したりもする。こんな時は日々のデッサンやスケッチなど絵の準 備体操の大切さを痛感する。
~イメージの具現化~
描きたい作品のイメージが決まったら、作品に登場するモチーフの素材が足りないと感じれば、そのイメージに合 うような取材や素材集めをする。私の場合、その時描こうと思ったイメージを優先するので、前々から何時か使おう
と思っってスケッチしたものから素材を起こすこともあれば、
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から集めたりと、マチマチである。今年は「椅子」をテーマにすることは決めていたので、
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番イメージに合うのはどんな素材でどんなデザインの椅子なのか、ということを考えることから始めた。素材一つからでもそこから連想する自分のイメージは異なるからだ。金属であれば工業的で 無機的な印象などである。
今回は有機的なイメージの木の素材の椅子にすることに決めた。
~構図~
構想や小下図で大まかな構図は決まっているものの、椅子の配置や個数、向きなど、より詳細に考える必要がある。 また地平線のラインや視点の高さはどうするのか、小下図からの微細な変更も起きてくるので、ここでまたラフスケッ チをしてイメージを再度確認していく。
制作の出発点はぼんやりとしたイメージで、表現方法もデフォルメする場合があったとしても、本画にするとなる
と曖昧な部分がないようにしなければと考える。曖昧なことで後で迷った際に
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番困るのは、他ならぬ自分だからである。
今回は複数の椅子は配置する構成だったが、なかなか実寸大のものでは思い通りにいかなくて悩んでいた。
~素材集め~
そんな時、ふとオモチャ屋で
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センチくらいの自分で組み立てるミニチュアキットを見つけた。これだと思い沢山購入して組み立てて台の上に置いて、様々な配置を試してみた。 (挿図
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参照)。[ 122 ]
に合わせて、ここでもまたラフスケッチを重ねて画面の中で再構成した。この一連の工程は非常にアナログ的で我な がら不器用な作業である。ただこの作業が結果として平面的に試行錯誤するよりも自分の絵を俯瞰で考えられ、秋の 制作へも繋がっていく布石になった。
~そして本画制作へ~
私の場合は本画制作をする際に、箔を押したり揉み紙をおこなってから麻紙をパネルに張り込む工程があるので、 イメージを固める作業と同時進行で地塗りまで行った。
小下図から本画に大きくする時に、小さな世界では収まりが良かったものも大きな画面上では違和感を感じると再 び修正を重ねていく。以前、日本画は工程が決まっていて失敗できないのではといった質問を受けたことがあった。 確かにこうすればもっと良かったと制作終了後に反省することは毎度である。ただ失敗を恐れてはいけないと思う。 自分の描きたいイメージを具現化するにはどうしたら良いのか、それに合う構図や表現方法は何なのか、その為に制 作までに如何にイメージを高めるか。実際に筆を持ち絵を描くよりも時間のかかる作業であるが、ここを乗り越え、 ようやく実際の制作スタートになるのである。