平成 27 年度 事業報告(美術館事業) 自 平成 27 年 4 月 1 日 至 平成 28 年 3 月 31 日 公益目的事業2(展覧会事業) 1.「若冲と蕪村」展の開催 全期間 48 日、読売新聞社との共催。 近年注目著しい若冲と俳句・俳画で不動の位置を築いた蕪村の二人展は初めての試みであり、 若冲と蕪村あわせて約 220 点(展示替え含む)を年代ごとに対比して展示。新出作品がそれぞ れ約 20 点あり、特に 92 年ぶりにその存在が確認され、展覧会に初めて出品される与謝蕪村筆 「蜀桟道図」の展示など話題性も高く、連日多くのお客様に来場いただいた。昨今の若冲ブー ムもあって、若い人の来場も多かった。 ア.名称 「生誕三百年 同い年の天才絵師 若冲と蕪村」 イ.会期 平成 27 年 3 月 18 日(水)~平成 27 年 5 月 10 日(日) ウ.概要 近世日本絵画史を代表する伊藤若冲と与謝蕪村は、正徳 6 年(1716)に生まれた同 い年の画家。若冲は京都錦小路の青物問屋に生まれながら、画業に没頭し、晩年に いたるまで独自の画風を打ち立てた。蕪村は大坂毛馬村に生まれ、江戸、北関東、 東北などを放浪遍歴の後、京都へ移り、俳句とともに文人画の世界で大成した。本 展では、若冲・蕪村生誕300年を機に、彼らの代表作はもちろん新出作品を紹介す るとともに、ふたりと交流のあった同時代の絵師たちの作品を加えて展示した。 エ.展示 「象と鯨図屏風」 伊藤若冲筆 MIHO MUSEUM蔵 「寒山拾得図」 伊藤若冲筆 個人蔵 「山水図屏風」 与謝蕪村筆 MIHO MUSEUM蔵 重文「鳶・鴉図」 与謝蕪村筆 北村美術館蔵 2.「乾山」展の開催 会期 48 日間、読売新聞社との共催。 尾形乾山の「着想」をキーワードに代表作を多数展示したほか、江戸で継承された「乾山スタ イル」についての展示も好評を博した。「琳派 400 年」の先駆けとなったことも多くの来館者 を招いた要因と思われる。 ア.名称 「着想のマエストロ 乾山見参!」 イ.会期 平成 27 年 5 月 27 日(水)~平成 27 年 7 月 20 日(祝・月) ウ.概要 陶工・尾形乾山は、絵師・尾形光琳の弟として京都の裕福な呉服商「雁金屋」に生 まれ、その高い芸術的教養によって絵画や文学に基づく新しい造形を陶磁の世界に 持ち込んだ。この乾山スタイルはのちの酒井抱一による琳派顕彰活動を経て、京焼
の陶工や三浦乾也といった近代にまで続く系譜に受け継がれ、日本を代表する焼物 の意匠となった。本展では乾山スタイルと乾山の美の系譜を数々の作例を通して紹 介した。 エ.展示 重文「銹絵染付金彩薄文蓋物」尾形乾山作 サントリー美術館蔵 重文「銹絵染付金銀白彩松波文蓋物」尾形乾山作 出光美術館蔵 「光琳筆銹絵牡丹画角皿」尾形乾山作 MIHO MUSEUM蔵 3.「国宝 曜変天目茶碗と日本の美」展の開催 会期 48 日間、朝日新聞社との共催。 国内有数のコレクションを持つ藤田美術館ではあるが、春、夏に数ヶ月間しか作品を見る機会 はなく、藤田コレクションの全容を知る絶好の機会として、多くのお客様にお越しいただいた。 世界で3椀しかない「曜変天目茶碗」など国宝8件をはじめ、クオリティの高い作品の数々が 来館者の目を楽しませた。 ア.名称 「 藤田美術館の至宝 国宝曜変天目茶碗と日本の美」 イ.会期 平成 27 年 8 月 5 日(水)~平成 27 年 9 月 27 日(日) ウ.概要 大阪市の中心部に建つ藤田美術館は、国宝 9 件、重要文化財 51 件を含む 2000 件を 収蔵する国内トップクラスの美術館で、明治の実業家藤田傳三郎氏とその子息たち によって収集された。なかでも茶道美術品は全国的に有名で、特に徳川家康が水戸 徳川家に与えたとされる「曜変天目茶碗」は天目茶碗の最高傑作の一つ。本展では この国宝「曜変天目茶碗」をはじめとする茶道具や陶磁器、仏教美術、書蹟、近世 絵画など名品をそろえて展観した。 エ.展示 国宝「曜変天目茶碗」藤田美術館蔵 国宝「紫式部日記絵詞」藤田美術館蔵 重文「地蔵菩薩立像」 快慶作 藤田美術館蔵 4.「久隅守景」展の開催 会期 44 日間、朝日新聞社との共催。 守景の代表作はもちろん、娘の雪信、息子の彦十郎の作品を展示することにより、守景自身の 画業や半生が浮き彫りにした。作品は屏風が多く、細やかな表現を鑑賞してもらうため、拡大 図などを別展示する工夫も好評だった。久隅守景の大規模な展覧会は初めてであり、守景の名 前が広く知られる機会となった。 ア.名称 「逆境の絵師 久隅守景 親しき者へのまなざし」 イ.会期 平成 27 年 10 月 10 日(土)~平成 27 年 11 月 29 日(日) ウ.概要 江戸時代前期に活躍した久隅守景は、狩野探幽に師事し、探幽門下四天王の筆頭と 目されていたが、子供たちの不祥事により狩野派を離れた。晩年は加賀藩前田家の 招きで金沢に滞在して数々の名作を生み出し、特に農民風俗を詩情豊かに描き出し て、独自の画風を確立した。本展では、守景の作品を通してその画業と謎の半生に
迫った。 エ.展示 国宝 「納涼図屏風」久隅守景筆 東京国立博物館蔵 重美 「四季耕作図屏風 旧浅野家本」久隅守景筆 個人蔵 重文 「鷹狩図屏風」久隅守景筆 日東紡績株式会社蔵 5.「水」展の開催 会期 45 日間、朝日新聞社と共催。 六本木開館記念展「水と生きる」の第 2 弾として、「水」をテーマに古代から近世までの信仰 に焦点をあてて構成した。第 3 章の「水に祈りて」は、龍神伝説にまつわる作品を展示、春日 龍珠箱など現代にも馴染みのある作品は人気が高かった。また、後半より展示の宇賀神像は公 開前からツイッターなどで話題を呼び、来館者増につながった。本展は 4 月 9 日~5 月 29 日ま で京都・龍谷大学 龍谷ミュージアムに巡回中。 ア.名称 「水 神秘のかたち」 イ.会期 平成 27 年 12 月 16 日(水)~平成 28 年 2 月 7 日(日) ウ.概要 生命の源である水は、常に切実な祈りが捧げられることで、さまざまな信仰世界 を形作ってきた。本展では、水に関する作品の中でも、特に古代から中世におけ る水の神仏にまつわる作品を中心として、海や川を含む、水の信仰に根ざした造 形物を近世まで展観した。 エ.展示 国宝「善女龍王像」 金剛峯寺蔵 重文「神功皇后縁起絵巻」 誉田八幡宮蔵 「春日龍珠箱」 奈良国立博物館蔵 「温泉寺縁起」 温泉寺蔵 6.「宮川香山」展の開催 会期 48 日間、NHK・NHK プロモーション・読売新聞社との共催。 本展は 3 章の構成で、第 2 章の高浮彫を4F展示室、第 3 章の釉下彩・釉彩を3F展示室で紹 介。第 2 章と第 3 章を場所を分けて展示したことにより作品の違いが鮮明となり、香山の作品 の特徴とクオリティの高さを強く印象づけた。3F吹き抜けでは作品が撮影できるコーナーを 設けたことも大変好評で、ツイッターなどで話題を呼んだ。 ア.名称 「没後 100 年 宮川香山」 イ.会期 平成 28 年 2 月 24 日(水)~平成 28 年 4 月 17 日(日) ウ.概要 明治政府が外貨獲得の手段の一つとして様々な工芸品を輸出するなか、陶芸家・ 宮川香山は「高浮彫(たかうきぼり)」という新しい技巧を生み出し、明治 9 年 (1876)高浮彫で作られた「マクズ・ウエア(真葛焼)」はフィラデルフィア万国 博覧会で絶賛を浴び、人気を博した。本展では、2016 年に没後 100 年を迎えるに あたり、明治を代表する奇想の陶芸家・香山の超絶技巧のやきものの魅力とその 実像に迫るとともに、明治黎明期の陶業を支えた「真葛焼」の歴史を辿った。
エ.展示 「高浮彫牡丹ニ眠猫覚醒蓋付水指」初代宮川香山作 「釉下彩白盛鶏図大花瓶」 初代宮川香山作 「高取釉高浮彫蟹花瓶」 初代宮川香山作 *すべて田邊哲人コレクション 7.「サントリー美術館名品」展の開催 会期 38 日間。 2014 年仙台市博物館で行った「おもしろびじゅつワンダーランド IN 東北」展に続き、東北復 興支援の第 2 弾として、「夢」と「あこがれ」をテーマにサントリー美術館の名品を展示。特 に「屏風の世界を拡大してみる~京都街中(まちなか)タッチパネル」と「ネズミだって宴会大 好き~鼠草子絵巻」では、本物の作品とデジタルでの展示を楽しんでいただき、好評を博した。 期間中、被災地の小・中学生の皆さんにご覧いただくため、バスツアーを開催した。 ア.名称 東日本大震災復興支援東北サンさんプロジェクト 「サントリー美術館所蔵展 夢とあこがれの形」 イ.会期 平成 27 年 9 月 5 日(土)~平成 27 年 10 月 18 日(日) ウ.概要 サントリー東日本大震災復興支援活動の一環として、福島県郡山市立美術館にお いて、「夢とあこがれの形」をテーマにサントリー美術館の収蔵品を紹介する「サ ントリー美術館名品展」を開催。 エ. 会場 郡山市立美術館 オ.展示 重要文化財「色絵五艘船文独楽形鉢」 「鹿下絵新古今集和歌巻断簡」俵屋宗達筆 本阿弥光悦書 「薩摩切子 藍色被船形鉢」 「洛中洛外図屏風」伝土佐光高筆 *すべてサントリー美術館所蔵 収益目的事業 1.物販事業 所蔵品をモチーフとした商品開発、展覧会内容・季節の催事を取り入れた店頭ディスプレー により、お客様に繰り返し足を運んでいただける魅力的なミュージアムショップを目指した。 2.飲食事業 「加賀麩 不室屋」の老舗ならではの信頼感とブランド力を活かしつつ、現代の感性を取り入 れたメニューを提供し、新規顧客の拡大とリピーターの増加を目指した。 3.貸室事業 「茶室」の貸出を通じて、収益を得るだけでなく、日本の伝統文化の啓蒙という当館ならではの
価値訴求を心掛けた。