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配電用変電所に着目した災害時の優先順位決定モデルの検討

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Academic year: 2021

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配電用変電所に着目した災害時の優先順位決定モデルの検討

Study on the Model of Priority of power Restoration in Distribution Substations during Earthquake Disaster 土木工学専攻 陳 勲

Xun Chen

1. は じ め に

2011年(平成23年)3111446分、太 平洋の三陸沖を震源とする地震「東北地方太平洋 沖地震」が発生した。この地震は、東北から関東 にかけての東日本一帯に甚大な被害をもたらした。

その中で、電力設備被害や原発事故に伴う電力供 給低下により東北電力や東京電力管内で輪番停電 の実施を伴う電力危機が発生した。長時間停電の ため、公的機関や一般住民などに対する甚大な損 害が発生した。一方、電力会社は復旧資源が有限 であるため、電力設備をすべて同時に復旧するこ とは困難である。そのため、復旧作業に優先順位 をつけることが重要になる。

復旧の優先順位は原則として、人命にかかわる 施設、対策の中枢である官公署、市民生活の安定 のために重要な報道機関、避難場所等の施設につ いて優先的に復旧計画をたてる。この時、災害の 状況、施設復旧の難易度を踏まえて、電力供給上 復旧効果の高いものから先に復旧することが重要 である。

そこで本研究の目的は、より早く、より多くの 人々が電力を利用できる環境を実現するための復 旧優先順位づけの方法について検討することであ る。

2. 評 価 エ リ ア

本研究では、評価エリアの単位として、配電用 変電所供給エリア(以下では配電エリアという)

を用いる。電力は発電所から需要家に供給するま で、送電電圧に応じていくつかの変電所を経由す るが、配電用変電所は変電所としては末端にあた り、一般需要家を対象として電力供給を行ってい る(図-1)。

3. 震 災 直 後 の 電 力 供 給 量 変 化

発災直後の東北電力管内のいくつかの配電用変 電所の電力供給量の変化を図-2に示す。15時まで 一部の電力供給量が落ちて、16時に完全にゼロに なっている。ここで、14時から16時まで、二時 間経ってから電力供給量がゼロになっていること から、送電設備自体の被害は小さかったと考えら れる。そして、地震発生翌日の午前6時に柳町通 変電所をはじめに、東北電力の復旧作業が行われ ている。

4. 復 旧 優 先 順 位 に 向 け た 検 討

本研究では、被災地の中で最も復旧が遅い宮城 県に着目して、電力の復旧優先順位について検討 する。

震災直後に、東北電力は「東日本大震災総合対 策本部」、「原子力地点対策班」、「発電対策班」、「流 通・配電対策班」と「業務機能対策班」を設置し 様々な対応を行った。その中で、主に「発電対策 班」と「流通・配電対策班」が復旧対応をした。

図-1 電力設備の系統

(2)

図-2 震災直後の電力供給量の変化

そして、東北電力は312日に35カ所、3 13日に33カ所、14日に48カ所、15日に34カ所 の配電用変電所を復旧した。その中で、13日午前 1時に復旧し始めた大町変の電力需要は8kwhにな り(図-3の赤棒)、それに対して、1206時から 1224時までの間に復旧し始めた36か所の配電 用変電所はいずれも8kwhより小さかった。ここ で、大町変と他の配電用変電所の復旧優先順位を 入れ替えれば、より電力供給の復旧効果がより高 いと考えられる。

ただし、復旧期日を変える場合、同じ復旧効果 が出ることを証明するためには、下記の二つの前 提条件が必要になる。

イ) 送電側が同じ供給を提供できること。

ロ) 配電側が同じ需要家があること。

イ)に関しては、宮城県に電力を提供している発 電所から一次変電所までの復旧作業が12日にす べて完了したため、需要があれば、安定な供給を 提供できたと考えられる。

ロ)に関しては、宮城県の312日と13日の避 難人数はいずれも約228,200人であり、大町変が 復旧開始直後に電力需要が一気に上がったことは、

大町変の供給エリア内の建物被害が少なく、供給 ができればすぐに電力を使用できたことを示して いる。

ここで、大町変のような16か所の配電用変電所 の復旧優先順位を入れ替えると、図-4に示すよう

に、より早く、より多くの人々が電力を利用でき たことが分かる。

図-3 電力復旧開始時間推移図

図-4 宮城県の電力復旧優先順位の修正比較

5. 電 力 復 旧 モ デ ル に つ い て

地震発生直後に電力復旧の優先順位をつける場 合、電力復旧状況をモデル化する必要がある。

本研究では、宮城県内にあるすべての配電用変 電所の災害時の復旧の特徴を分析し、電力復旧モ デルを構築する。

-5に示すように、②、③、④の部分を推定す るために、建物被害、ライフラインの復旧状況、

避難状況の詳しい状況を把握することが必要であ る。

東日本大震災の場合、図-6に示すように電力復 旧状況を10パターンに分けることができた。その 中、モデルの赤い線の部分だけ予想した場合の正 解率は90%である(図-7)。

0 5 10 15

1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23

電力供給量(kwh

時間(h)

 鍋田変     LT1      長町変     LT1      花京院変    LT1      吉岡変     LT1    

0 2 4 6 8 10

1206 1208 1212 1214 1216 1217 1219 1220 1221 1221 1222 1224 1301

電力需要量(kwh)

期日(1206=12日6時)

0 100 200 300 400 500

1201 1204 1207 1210 1213 1216 1219 1222 1301 1304 1307 1310 1313 1316 1319 1322 1401 1404 1407 1410 1413 1416 1419 1422

電力需要(kwh)

日期(1201121時)

修正前 修正後

(3)

図-5 電力復旧モデル

図-6 電力復旧状況図

図-7 モデルの正解率

本モデルでは、黒線の部分まで推定する必要は なくて、赤線まで予測できれば、モデルが十分な 効果が出ることが分かった。

6. フ ラ ジ リ テ ィ 評 価 か ら 建 物 被 害 を 評 価 電力復旧モデルの赤線を推定するには、建物被

害の情報が必要である。ここでは、一刻も早く建 物被害状況を把握するため、内閣府が公表してい るフラジリティ評価の結果を用いて、分析を行っ た。

図-8から図-11は内閣府が公表した築年別の建 物全壊フラジリティ評価の結果である。今回のプ ロットは、ほぼ全てが中央値から±2σの範囲内 にあり、現在の全壊率テーブルが、実際の被害と はかけ離れたものとなっているとは考えにくい。

図-8 旧築年木造全壊率

図-9 中築年木造全壊率

図-10 新築年木造全壊率

(4)

図-11 非木造全壊率

実際に、東日本大震災における全壊建物数を、

警察庁と消防庁はそれぞれ29,500棟、129,118 と発表しているが、これを内閣府が公表した築年 別の建物全壊フラジリティ評価カーブを用いて求 めると、全壊建物数は128,670~129,870棟となる。

この結果を用いて、本モデルを検証すると、図 -12に示す結果となった。また、図-1314に示す ように、モデルがなくても正しい確率は56%、さ らに、モデルを用いることで優先順位が正しくな った確率は36%で、トータルとしての正解率は 92%になることが分かった。

図-12 宮城県の電力復旧優先順位の修正比較

図-13 モデルの正解率1

図-14 モデルの正解率2

7. ま と め と 今 後 の 課 題

本研究では、図-5に示す復旧モデルの赤線まで の推定結果を用いて、電力の復旧優先順位つける と、より早く、より多くの人々が電力を利用でき る環境が整うことが分かった。

また、本研究は本来の復旧状況を把握した上で、

分析を行ったので、今後はより精度高く、地震直 後の電力需要が事前にわかるようなモデルを構築 し、電力復旧モデルを改善していくと予定である。

参 考 文 献

1)目黒公郎,副島紀代,山崎文雄,片山恒雄:

電力需要特性から見た都市の地域分類,土木 学会論文集,No.507/I-30,pp.255-263,1995.

2)飯田亮一,秦康範,目黒公郎:被災度に応じ た地震後の地域別電力需要予測モデルの構築,

61回土木学会年次学術講演概要集,4-176 (CD-ROM),2006.

3)東北電力:CSRレポート2012.

4)東北電力:東日本大震災後の当社の状況報告 2012.

5)消防庁:東日本大震災(第117報)2013.

6)内閣府:地震被害早期評価システム(EES)

の見直し.

7)日本データセンター協会:東日本大震災を踏 まえたデータセンター,ファシリティ スタン ダードの検証と見直し2012.

参照

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