注 意 の 瞬 き に 関 す る 基 礎 的 研 究
佐 藤 基 治 * 原 口 恵 **
はじめに
同時に複数の課題を遂行することは困難を伴う。それは、注意には容量に制 限があるからだと考えられている。たとえば車の運転をするときは、他の車や バイク、歩行者、信号や標識など、常に周囲に注意を向ける必要がある。それ にもかかわらず、携帯電話を使用しながら車の運転をしているドライバーはい まだに見受けられ、その困難さや危険性についてはあまり認識されていないよ うに思われる。そのような危険性を明らかにすることや、カーナビゲーション システムなどの車載情報機器を開発する際に、有効な情報の提示の仕方につい て研究するのは有益なことである。
心理学あるいは近接の領域でのこれまでの研究によって、空間的な注意の範 囲には限界があることが明らかになっている。さらに近年では、情動と認知が どのように相互作用するかという問題に関心が集まっており、感情を喚起する 刺激を用いた場合は有効視野が狭窄することが明らかにされている(野畑 , 箱
田 , 二瀬 , 2007 )。つまり、外界の情報を上手く利用するためには、視野中心
部でものを見ることが重要であるとされている。ところが、視野の中心に提示
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福岡大学人文学部准教授
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