小売店舗の製品バラエティ
梶原禎夫
製造業者は︑同じ目的に充当される製品について︑消費者の多様な必要︑慾望︑好みに合せて︑品質︑スタイル︑
デザイン︑カラー等の諸側面で多様化の努力を実行している︒
小売商は製造業者の生んだ多様な製品の中から︑自己の店舗がもつ顧客の需要に合せて︑製品の適切なバラエティ
lを決定しなければならない﹃
小売店舗︵以下︑単に店舗とよぶ︶で響票ラエティの種類を多くするほど︑顧客がその店舗で満足ゆく製品を発
見する相対的機会が大きくなるので︑店舗の顧客吸引力は大きくなる︒
しかし︑一万︑店舗で製品バラエティの種類数が多いほど︑顧客の店舗内における買物の費用︑販売員が製品を取
扱う費用︑在庫維持の費用等が増大する︒
本稿の目的は単純な在庫体系を含む︑小売店舗における最適バラエティ決定の模型を構成し︑小売商の科学的商品2管理への一つの道を開拓することにあ懲
模型は次の順序で構成する︒
一︑消費者個人の︑製品バラエティを規準とする店舗選択の過程を定式化する︒
二︑店舗の製品バラエティと販売量との関係を示す数且Ⅱ式を定める︒
組組ペ
J
製悔4
コく11]'"但程Q
部ロE
て1¥'¥
f‑{I}-.. 守ベ Ji*毘心 g~~~n 毛~業者向官~~泡'~割 Q 健償~~立I'Q O
;1;ti
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1lip Ko
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W
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工
課程式榊~~閤 g* 部ロ E て 1\'\
f‑{1ト守~却ミやニ〉やふ Q 但揺 g{ 壬会 d 泣 ~g 但寝中間~~l'Q g~' 但者宅 \J 寝 E当 g~v 還河口 E
1i をみいだす機会と庖舗への︑また屈舗内でのショッピングの費用との比較によって行うものとする︒ここでは︑消費
者のこの庖舗選択の過程の定式佑を行う︒
次の前捉を設ける︒
一︑消費者が特定の庖舗で満足のゆく製品をみいだす確率は︑その庖舗の製品バラエティが豊富であるほど高く
なる
︒
二︑消資者が庖舗を訪れるのに家むる費用は消費者の居所と応舗間の距離に比例して増加する口
一二︑庖舗ですべての製品バラエティは同一階に陳列される︒
四︑消費者の庖舗内での製品選択の費用は庖舗の製品バラエティの種類数の平方根に比例して悶加する︒
次のように記号を定める︒
Z
製品バラエティの種類数
ロ
消賀者と庖舗問の距離
H V ( Z )
である庖舗で消費者が満足のゆく製品をみいだす確率︒製品バラエティの種類がZ
ミ ロ
消費者がその居所からりの距離にある庖舗を訪れるとき蒙むる費用︒
ha
t¥
Z
製品バラエティの種類がZである庖舗で消費者が特定の製品をみいだすための費用︒
消費者がZ種類の製品バラエティをもっ庖舗で満足のゆく製品をみいだす確率を次式であらわす︒
も( Z
)
(プ↓)
確率の性質により︑
︒ 仏
︑
( Z
) 仏
小売庖舗の製品バラエティ
七
九経 営 と 経 済
J i 、
O
であ
る︒
(三
)は
︑
消費者が製品問の比較をする努力をしようとしないほど︑また製品バラエティの種類数が多いほど
一に 近く なる
︒
消費者が特定の庖舗で︑特定種類の製品を購買するとき︑次の費用を蒙むる︒
まず︑消費者が庖舗へ行く費用である︒前提二により︑この費用は次式であらわされる︒
円札口
( プ
M )
ここ
で︑
えは比例常数である︒
いま一つは︑消費者が庖舗でその製品バラエティの中から特定種類の製品をみいだす費用である︒
前提四により︑消費者のとの費用は次式であらわされる︒
( プ
ω )
ここ
で︑
ミは比例常数である︒
消費者の庖舗での購買の費用は以上二つの費用の合計で次式であらわされる︒
ミ ロ + 之 副
l
(プ
ム)
消費者は購買に当つての庖舗選択を(こ)と(プム)の比較によって行う︒この比較のとき︑消費者は(三)をさで
(プム)を︒で加重して評価するものとする︒
すなわち︑消費者はある居舗について︑
¥ ( z b ) H 3 2 ) l G E T s
円引)
9M
が正であればこの庖舗を選択し︑負であれば選択しない︒
ω
消究 者が 特定 の居 舗を 選択 して 愛顧 する 動機 阿
M m
z g g m
o
冨♀
22 の一 般論 につ いて は次 の文 献を みよ
︒
わ宮
gユ
司
・
M M E ‑
‑
匂∞
ωE
ロ巳
ZZH
・ロ ロロ
gR
冨RZSF同
MZ RS
‑2 8仏冨
Z H H O
仏印
・士 宮・ 開仏
・ ( 出 ︒
B 0 4
司0 0
門Y
EZ 02
・ 一 ∞ ∞
O )
・
2 3
1 8
・
開・ 旬︒ 円O B O
冨の
Rの
FU
三
回
g向︒
ω同宮W
EE Fk p
富山 富ω m 2 2 ‑
﹀℃
℃円
︒ω n v ( 出
︒目
︒君
︒︒
Y門
ロロ ロ0
・ 一 2
回
mO
)
( プ 印 )
註
3・
‑ D o l
・
‑ 8
註
( 2 )
あら ゆる 値の ロに つい て︑
︑
( z b )
とZ
の関 係は 次の よう にな る︒
を零からしだいに多くしてゆくと︑¥は負から正に︑やがてまた負になる︒
にし てお く
Zの領域は少くなり︑やがてはいかなるZについても¥は負となる︒
z
ロが大きくなるに従い︑﹂司を正
口
ここでは︑前節で定めた消費者個人の庖舗選択の公式をもとにして︑庖舗の製品バラエティと販売数量との関係を
示す数量式を定める︒
前節の前提に︑さらに次のものを加える︒
一︑庖舗の販売数量はその庖舗を選択する消資者数に等しい口
前節の記号にさらに次のものを加える︒
消費者全体についてのも
( Z )
司
( Z)
小売庖舗の製品バラエティ
J i 、
経 営 と 経
当 済
阿川
( Z )
の ロ 手
¥ Z
︿ (
2 y p
大 │ 引同¥ ロ
消費者全体についての
包
hv(Z)/¥
ロ日
︑
ある庖舗で購買する消費者の中で最も庖舗から離れている者についての庖舗までの距離
ケの製品バラエティをもっ庖舗から匂の距離に住む消費者全体の︑
この庖舗での購買性向が次式で与えら
Z
れるとする︒
ここ で︑
CM
川 司
(z b)
仏
とす れば
︑ であ る︒
の 円 四 ロ
消費者全体についてのミロ
(ド 一)
( N
M )
4司 ・
HMW
ハ い 門 Y ハいロは
Zケの製品バラエティをもっ庖舗について︑その庖舗からロだけ離れた地点に住む消 ここ で︑
消費者全体についての
S J
¥ Z
消費者全体についてのど(え
y s k l 引
~
消費者密度
庖舗からりの距離にある地点での消費者密度
司
(zb )H
者 司
(Z )1 4(
の門
出)
+の
ロ bT
¥Z )
である︒また︑
﹀(
Z) H3 (Z )1
ロ ミ 5
z
司 ( z w
ロ)
HK
戸(
Z)
lJ
刊の
円四
一口
費者全体についての︑前節における
g b
n
トミをあらわす︒いま︑消費者が均等に分布している地区に立地する庖舗と︑消費者がある地点に集中し︑その集中している中心に
位置する庖舗の二つの場合を考える︒
ケース
庖舗は消費者が全域に均等に分布しているととろにある︒消費者密度を常数同で示すと︑庖舗から半経口の領
城に住む消費者数は次式であらわされる︒
同河
口凶
次に︑乙の応舗で購買する消費者の中で︑活舗から最も離れている者の距離を求める︒
( M L )
を零とおき︑これをロについて解けばよい︒
これ
は︑
司
(zb)H32)l︿
( 2
ロ +の ロザ¥│ 引
│ ) H O
ロu
= 号
炉
U
Z
< : 1
I0 1 < :
凶 ICi
そ ¥ z l
kr
(Z
)
J
刊 の 円 四
この距離をロ日で表わす︒
前提により︑庖舗の販売数量は庖舗で購買する消費者数に等しい︒この庖舗を選ぶ消費者数︑従ってまた販売数量
は次のようにして求められる︒
小売屈舗の製品バラエティ
/ ¥
経 営 と 経 済
j '
、四
耳 目 門 司
︼ ) 自 凶
= ロ
B
一 司
( Z W U
)
仏
( 同
門 司
ロ 凶
)HM
刊 日
同 一
司 ( z w
ロ )
巴 ︻
同 一
口
可吋}拘
︿
ω (わ 内
回 )
民
kr
(Z
)
臼
( ド ω )
日 ‑
t 2 3 B
司
( ド ω )
︑
ケー ス・
消費者はある地点を中心に集中している︒庖舗はこの集中の中心地点に位置している︒庖舗からロの距離におけ
る消費者密度は︑同が常数で同¥ロ与えられるとすると︑
庖舗からロ
ω半径内にある消費者数は次のようにして
求められる︒
。~
明 司 ロ
ω
悶
‑ ロ
ω
関 門 凶 ( 苛 吋 ロ 凶
) H
M 司
同 一 色 一 ロ
ロ .
︑
︒
HN
司間口 ω
庖舗から最も離れている消費者の庖舗までの距離はケlス・一と同じ万法で求められる︒この距離を
U B
であらわす︒
この屈舗で購買する消費者数︑従ってまた販売数量は次のようにして求められる吋︑
M
﹃ 司 一 関
B 口
3
ロ 日 一 司
(Z
HV
)
仏
( M 司関口
) H
M 司
同 一 司
(Z
H)
)
円 四 一 口
‑ 叫 吋 阿 内
﹀( Z
)
同
J
刊 の 円 四
( ド
ム )
日 ︿
ハ リ
ハ 日
刊 関
口 B
M
( M W K干 )
︑
( 1 )
(前
節の
註ω
をみ よ) 従っ て︑
Zを雫からしだいに増加してゆくと売上は零からしだいに増加する︒そして︑少くとも一つの最大値をとり︑やがて減
少に 向う
︒た だ︑ ヶ
1
ス・こについて﹀(Z
)
が負のときも克上が正の値となるが︑乙れは無意味であり︑除外しておか 註﹀
(Z
) は同 (戸 口﹀ と同 様の 変佑 の型 を示 す︒
ケー ス・ 一︑ ヶ
1
ス・ 二の 場合 とも に︑
ねば
なら
ない
︒
国
前節でえられた結果に単純な在庫体系を導入して︑庖舗の製品バラエティと利潤の問の数量関係を定め︑最適パラ
エテイ決定のための模型を完成する︒新たに次の前提を設ける︒
て在庫貨は発注賀と保管費からなる︒在庫には︑安全余裕を合む︒入庫は︑
一定量づっ在庫が安全余裕の水準
にまで下ったとき直ちに行われる︒出庫呈は一様である︒
二︑庖舗の製品バラエティのすべての種類の製品について︑販売量︑発注費︑保管費︑安全余裕の在庫量はすべ
て等 しい
︒
三︑製品の取扱い賀は製品バラエティの種類数の平万根に比例して増加する︒
新たに︑次の記号︐を定める
開
一定期間の出由主
同
一回当りの発注賀
ト・4
一回当りの入出量
小売居舗の製品バラエティ八五
経 営 と 経 済 ωt
¥ 配│
叶
製品一ケ当りの保管費
同
安全余裕の在庫量
9 K
﹂¥︐ノ一/
o
固定費
製品バラエティがZ種類であるときの製品取扱い賀
乙の解を
( ω
L )
の同に代入して︑
司
製品の平均販売価格
小売商は庖舗でZ種類の製品バラエティを販売するために次の諸費用を蒙むる︒
一種類の製品についての在庫費は次式のようになる︒まず︑在庫費がある︒前提一により︑
との在庫費を極小にする入庫量││最適ロットの規模ーーは次のようにして求められる︒
をう る︒
エ ー J r
: ( l V L Y
︺
H O
H I J ¥ M
開 門
吋
一種類の製品についての極小在庫費︑
〈 ¥
N
開円︑
同
+ 同
同 ︐
前提二により︑庖舗でZ種類の製品バラエティを販売するのに必要な極小在庫費は次式のようになる︒
( ω
L )
( ω
w M
)
ヘ心心Jf仁w
仁 ︑︑
zd
¥1
開 円
M︑
H︐+Z
問 ︑
吋
( ω
込)
次に︑製品の取扱い資がある︒前提三により︑これは次式であらわされる
州凶
h ‑ z
ω
は比例常数である︒
以上二つの費用の他に販売の固定資Oを加えて︑庖舗でZ種類の製品バラエティを販売するために必要な費用は次
式のようになる︒
︒
+Z J¥
一 開
円 ︑ 吋
+
ω'¥ZZ
問︑同十
( ω "
印 )
Z
種類の製品バラエティをもっ庖舗の総販売量は︑ケース一については(ドω)から
q w
ω (
︿
の 仏
) ぉ
kF(Z)ω
であ
る︒
一種類の製品の販売量は︑
ll
lkぽ
│
│
│
( Z ﹀
)
臼
ωZ
(
︿
わ 円
四 )
(ω
w
∞ )
であ
る︒
( ω
︑印)
の切にこれを代入して︑Z種類の製品バラエティの最適在庫量のもとでの総販売費をうる︒乙れは次式
のようになる口
小売庖舗の製品バラエティ
j I 、
七
経 営 と 経 済
o
+< : 1 >
2 1 3
M
円 ︑吋 可 吋 同
Z K 戸
( Z
)
ω
+ Z 同 吋 + く
引 l
く ¥
ζ
こで
︑
げ
H J
¥
M
円 ︑H︐﹃吋阿内
︿ の
円 四
とお くと
︑
3
・3
は次式のようになる︒︒ + ザ ノ
¥
+Z同吋+ωJ¥
判 ー
﹀
(Z )
白Z
製品の平均販売価格を︑司︑とすれば︑居舗の総販売額は
0
・ ω)から︑近似的に︑
仁ムコ
ミI~0 1:01
~I 片
﹀
(Z )
となる︒乙こで︑
ω
11
司︑司吋}内
ω (
︿︻
川島
) u
とす ると
︑
( ω
ゐ)
は︑
ω K F (
Z )
臼
と書くことができる︒
小売商が庖舗でZ種類の製品を最適在庫量で販売するときえられる利益は
( ω
匂)
︑か
ら
で︑これは次式のようになる︒
( ∞
w吋)︑
/ '
、 / ¥
( ∞
w吋
)
( ω
勾 ) ︑
( ω
ゐ)
( ω "
∞ ) ︑
を差し引いたも
手
(Z
)ω
│D
lt
J¥
│﹀
(Z
)
白Z
‑
号ー之副
Zl
( ωw u )
小売商の利益が最大になるための庖舗の製品バラエティの種類数は
(ω
ゐ)
を
Z
で微 分し て︑
零とおくことによっ
てえられる微分方程式を﹀について解き︑これから
Zを求めることにより明らかになる︒
また
︑
Z極類の製品バラエティをもっ庖舗の総販売量は︑ケース二については(ドさから︑
~I 込
kF(Z)凶
であ
る口
(ω
b)
を導いたのと全く同じ手順で︑小売商の︑庖舗の総販売量が
( ド
ム )
であるときの︑最適在庫呈のもとでの
利益は次式のようになる︒
ω
メ
(Z110lv
︑J
¥i zl
﹀
(Z)lzz
ー よ 引 !
( ω
・ 一
︹ ) )
ここ
で︑
σ
︑一
H
ト
、
< 1
コ円i
えI~
ω
︑
HH首吋
同句
︑
︿の
門同
であ
る︒
小売商の利益が最大になるための︑庖舗の製品バラエティの種類数も
( ωw u )
について求めたのと全く同じ手順で
求められる︒
小売 庖舗 の製 品バ ラエ ティ
J I 、
ブ
L
註 経 営 と 経 済
ω
吋gロ甲 乙・
2 ω
円
E
H S
仏当・叶品︒ 九0
4司
匡片 岡出 自一
ω円宮w
zz m
冨ω
gm OB OE
‑k ro g民
主主
2 0
﹀宮
︼円
O R H H ( Z
詩O
句︒
円 F
一 ∞ ∞
kc
b・ 一
. Z
︑ H︐
FO ES
ロ冨
・当 宮山 片山 口一 吋回 目︒ 与え
ZS EO
門司
g 冨
mm OB OE ( 甲
山口
gz pS ωω
同 省 ・ )
2 1 8
×
×
×
本稿の目的は小売庖舗の最適バラエティ決定の模型を構成することだけであるが︑
早急 に(
∞
b y G L O )
から得ら
れる微分方程式を解いて︑乙の模型の解も求めたい︒
次の機会において︑同じ問題を解くための確率模型を示す予定である︒
(昭
和四
一年
一月
一ニ
O
日)