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Academic year: 2021

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大学における障害学生支援

総合考察

 本研究では、・ 川1大学社会ト{辞止学部(本学部)の障害学生に対ナる支援における問題を明 らかにし、今後の諜題を提起一 1一るために、次の調査を行った=すなわち、ID 本学部におitる 障害学七支援システムの実態調査、2他大学における関連施設等の見学と教職員への面接調 査、③後期中等教育機日](高等学校と特別支援学校)の教職員への面接調査、①本学部にお ける障害学生への加接調ζXと、彼ら口身の学生生活に関する作文の検1司、である,

 これらの調査を通して明らカ・になったil要な問題は次の5つである、と思われる,すなわ ち第1の問題は、障害学生対メ2に関する明確な方針の未確立、ということである、それはす でに、入試の段階から認.1・ )られる(第1章第2節)立正大学(本学)においては障害学牛の 受け入れに関寸る統・的な1元針はなく、すべて学部の判断に任されている また本学部にお いてもこれに関寸る教職日の認識は統一されておらず、対応する教職員によって異なる情報 の提供がなされるii1 能性がある では、人学後の支援に関してはどうか

 たとえば、日本福祉大㌃:(㌶㌍章第1節)の大学付置機関である「障害学生支援センター一 は直接の支援は行わず、障害学宇のセルフコーディネートカの育成と、 ・般学生の支援活動 のバックアッフを任務とLていろつ主りそこでは、センター(あるいは教職員)、障害学宇、

そして支援学生の役害rじりミ明確に区分されているこれは、支援の1つの基本的な方針であろ、

と言えよう

 セルフコーディネートカは、障害学生が卒業後社会に出て自らの生活を切り開いていく際 に必要な能力の1っである、と思われる、また1輻門機関のバックアッフのもとで障害学生の 支援活動を行う ・般学生は、障害者に対する支援だけではなく対人支援・般の基本的方法を 学ぶに違いない つ=iり、日本福祉大学では障害学生への支援が大学教育の中に明確に位置 づけられている、と∴える そして、そのような基本的な方針のもとで具体的な方針と手続 きが定められている

 これに対して、本学部では支援に関する基本的な方針が議論されることなく、支援学生の コーディネートなどは必要に迫られて学部側が行っている(第1章第4節),しかし、その具 体的な方針や手続きは明確ではない一それは、たとえば本学部における1要な支援制度であ るノートテイカー(NT)制度の実際の運用によく表れている=すなわち、 NTをつけるべ き授業や講座の範囲(あるいは学部が責任を持つ範囲)、支援条件(支援学生は当該授業の受 講者でない者に限定すべきか否か、など)、障害学生と支才麦学生との問の連絡方法や支援に関 するルールなどが暖昧なまま、必要に迫られてNTが派遣され、結果としてNTの確保が困 難であるにもかかわらず、サービスメニューである任意の説明会などにt,{E規の授業と同じ

くNTがつき、当該授業の受講者が自分もその授#{を受けっっ障害学生のためのノートテイ クをし、また連絡の不備のために支援亨:生は教室にいろのに支援されるべき障害学生がいな

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立正大学社会福祉研究所年報 第10号(2008)

い、などということが起こっている このように本学部では基本的な方針も、具体的な方針 も、手続きも不明確なまま、H々の支援が実施されている

 そこでまず、本学部においては支援の雄本的な方針を策定するところからはじめなくては ならない、と思われる・そしてその議論においては、「璋害学生に対して一与えられる支援一 から、障害学生自らが「活用する支援一(第1章第5節)へ移行すべきか否か、また支援を大 学教育の中にどのkうに位置づけるべきか、などといった問題に触れることになるであろう,

 第2の問題は、障害学生支援に関する情報の伝達あるいは共有のシステムが末整備である、

ということである この問題は、情掛]の受け手の相違によっていくつかに分itてとらえるこ とができる、1つHは、障害学生に対するものである、本学部の障害学生への面接調査(第1 章第2節)によれば、本学で実際に利川しうるサポート内容などについての彼らへの情報の 伝達が不徹底で、かつ照会や相談の窓llも不明なため、諸制度などがf一分に利用されていな

い一

 2つ日は、教職員、あるいは各レベルの教学・事務組織に対するものである.これに関し てある新任教員は、次のような事実(第1章第1節)を報告している=すなわち、障害のあ る学生が入学してくる場合、その情報は人試に関わる部署が把握しているはずであるが、そ れが、ゼミナール担当のその教員に授業開始の前にも後にも伝えられることはなかった.

 3つ日は学外者に対するもの、あるいは大学・学部の広報である 第1章第1、2節で示し ているように、学部ホームページでうたっている障害学生支援の内容と実際に提供しうる支 援内容との間には幾fr1∫かの齪自吾がある また全国障害学生支援センターの公刊物に示されて いる二設備や補助機器面での配慮一(本学が情報提供したものと思われる)と、キャンパスの 実際のバリアフリー状況との問にも齪酷がある、

 このような情報に関わるシステムの不備は、障害学生に大学の有する資源を有効に活用す る機会を失わせ、また受験生などの学外者に誤った情報を与える結果を招き得る

 第3の問題は、第1、第2の問題の 1撚の帰結とも言える、非組織的、個別的な対応であ ろ=本学では、障害学生への対応は各学部に任されている.つまり、学部ごとに対応が異な っており、全学的に統・されていない では、本学部においてはどうか.本学部に設けられ ている主要な支援制度であるNT制度の運用に関しては、これ圭で事務部門の責任者が支援 学生のコーディネートなどを専ら1人で行っていたが、彼の異動を契機に新たに担 1川i;署が 定められた それにもかかわらず、実際にはやはり当該部署内の惇ら1人の職員が献身的に

コーディネート業務などを担っている またNT制度以外のものについては、担当部署も担 当者も相談窓日も決まっていない・障害学生の1人(第4章第3節事例E)は、相談窓日の

本化を希望している.

 授業中の教員の対応、配慮も個々の教員に任されている=精神障害を有する学生(第{章 第2節事例D)は、授業中一斉に起こった私語をきっかけにパニックを起こし、教室を飛び 出した=その際、担当教員からその行動を「不真面目な態度 と見なされ、単位授与を拒否

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された この場合、障 、i;:に関寸る 1青報が教員に伝達されていなかったことが第1の原因であ るとばえるが、ハニックを防ぐための授業中の配慮やその後の対応などに関しては統一的な 方針がなく、kたどういう川署・(保健室など)がどういう関わりをするのかなどにっいて{、

定められていない

 このような非組織的zご対.応を斜克なくされる状況、十なわち個々の教職員が他と連携ナる ことなく、1[・k]々の判断とL 〔任にお:tる対応を余儀なくされる状況は、他の大学(第2章第2 節)にt見られると思われるが、そうした状況は教日にも障害学生にも不安を与えるのみで ビフJ

ダ)/つつ

 第1の問題は、施設、設1椿、桟器などのハードウェアの不備である 第1章第1節に示十 ように、本学部のある広ノく㌃ごキャンバスは段差が多く、そのため車椅r一の通行には困難が伴 い、いくつかの建物に設置されているスローフは急傾斜などのため車椅]㍉)通行には不適で、

障害者用トイレやエレペーターは数が少ないなど、バリアフフリー環境の観点から見ると問 題が大きい また、支援機器の数や種類も、今ある支援機器の活用も十分ではない、

 したがってそれらを1|1 急に整備+る」Z・要があるが、ただし、障害学生の面接調査(第]章 第2節)などで明らかにな・・たように、障害ゆえの困難さは、障害の種類によって、また同

じ障害でも障害の部位などにkって実際にはかなり異なろ=そこで、障害学生とともにバリ アフリー環境などの実態を調査し、その結果明らかとなった問題箇所を順次改善していく、

という日本福祉大学の実践(第2章第]節)は人いに参考になるであろう

 第5の問題は、緊急避難体制のイくll篇である 聴覚障害のある学生(第1章第2節事例A)

は、学生寮の廊ドにある弊;ll]が㍑{動作で鳴った際、部屋の中にいたためまったく聞こえなか ったことに不安を感じている 緊急事態はいつ起こるか予測できないので、学生寮でも、キ ャンパスでも、障害の種類などに応じた緊急避難態勢を[F急に整えておく必要がある、また、

緊急事態としては;」〈 ii}:や地震などの災害の他に、とりわけ障害者の場合は発作などの救急医 療的ケアを要する事態も想定しておく必要があろう

 以上の問題を解決していくことが、本学部の当面の課題になる、と思われろ=また本学部 において不十分であり、したがって提起されるべき他の課題としては、支援者または支援団 体の計画的養成、支援メニューの充実、学外の諸桟関(自治体、医療機関、高等学校など)

との連携や情報(『章害者 4」i:fll杁㌧o)就職情報など)の収集、社会資源の活用などがあげられよ

 最後に、これらの諸課題を実現するために不可欠と思われる点を2つ指摘しておくことに したい 第]点は、障害学生への支援を大学のll要な任務の1っである教育の中に明確に位 置づける、ということである

 日本の大学で学ぶ障害学生数が今のところ多くない1鶴岡,三〇〇4澗勾:・;川: t・ は援機構.20061

こともあって、この問題に関する教職員の意識は必ずしも高くない,しかしながら障害学生 支援は、とりわけ社会福祉をt.l」1:攻する学生にとっては教育の構成要素になり得る、と思われ

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る.その理山は2つある,すなわち1つは、それが、近年広く問題にされつっある一人一人 のニーズに応じた教育の重要な部分となるからであり、もう1っは、障害のある学生とそれ を支援ナる学生双方の発達の契機になり得るからであろ.

 障害学生支援を大学教育の中に明確に位置づけるためには、教学組織をあげての議論が必 要である=その議論は、とりわけ実技系諸科目において障害特性に応じた授業内容をどう構 築するか(第・い1]1第2節)などといった点にも、おそらく及ぶことになるであろう 2た、

それを教育的にどう位置づけるかは、支援の基本的な方針の策定に深く関わってくる、と思

われる=

 第2点は、障害学生支援に関わる諸課題の実現と実務全般において上導的な役割を担う全 学的中央組織(センター)を設置する、ということである このようなセンターは各大学に 設置されはじめており(鶴岡,2004;JOIミ,2007)、おそらくそれは今後増えていくであろう.

 そのセンターは、実効性を確保するために大学の中枢に位置づけられ、そこに、円滑な運 営を保証するために専任職員と運営資金(この中には障害学生0)経済的保障のための資金な

ども含まれよう)を配し、そして取り組みを全学的なものとするために教学組識、事務組織 の双方が形式的にも実質的にも関わるものとしfs:tればならないであろう.こうしたセンタ

ー の存在なくして、障害学生支援を今よりも前進させろことは、おそらく不・∫能である.

 これらの2点を前提としたトで、11記の諸課題を実現することによって本学部(あるいは 本学)の障害学生支援は、障害学生、 ・般学生の双方にとってより意義のあるものとなる、

と思われる

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