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対立から対話、そして信頼へ ─ 医療制度のグランドデザインの策定を ─

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Academic year: 2021

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(1)

─ 265 ─

(  )

1

東医大誌 70(3)

: 265

-

266, 2012

巻 頭 言

対立から対話、そして信頼へ 

─ 医療制度のグランドデザインの策定を ─

明治大学法科大学院教授 すずかけ法律事務所弁護士

鈴 木 利 廣 Toshihiro SUZUKI

 近年、医療をめぐって様々なギクシャク現象が起きている。

 その結果、医療界と患者・家族の相互不信が芽生え始めている。

 原因は、医療事故対策や診療環境・医療体制の悪化などにあるように思う。

 明治時代の医制発布(1874年)以来の医療観が妥当しなくなっているように思われる。

 医療の責任を主として民間の医療機関や医師に担わせて法が医療を規制する、公的安全対策に十分な対応 ができていない等々である。肥大化した医療制度をコントロールするしくみが不可欠であり、医療の建て直 しが必要である。

 医療は誰のために、何のためにあるのか。医療の基本理念はどのようなものか。

 医療にかかわる様々な関係者はどのような役割を担うべきか。医療にかかわる関係者とは、国・自治体、

医療者・医療機関、医療保険者、医療産業、患者・家族、国民等である。

 社会の有り様は、倫理と法政策によって形成されてきた。

 人々の信頼関係を増幅するサイクルと信頼関係の揺らぎを回復するしくみが仕込まれていなければ、制度 は早晩崩壊する。

 医療は人々の健康的な生存や幸福追求を実現するための制度であり、その意味で医療制度における患者の 権利の実現が目的といえる。そして基本的には、国の責任において整備すべきものであり(日本国憲法

25

条、

13

条参照)、従って高度の公共性を理念として制度設計しなければならない。公共性とは医療のアクセス

(量)、質、財政を公的にコントロールすることと言える。

 その理念の下、医療にかかわる関係者の役割(権限と責務)を明確にし、関係者の信頼関係を土台に構築 していく必要がある。

 患者と医療従事者がつくりあげる医療を様々な関係者が支援する、そんなしくみを築くために「医療基本 法」を構想したいと思う。

 対立から対話へ。そして、医療のグランドデザインを多くの関係者の参画でつくりあげなければならない と考える。

(2)

東 京 医 科 大 学 雑 誌

─ 266 ─

70

巻 第

3

(  )

2

略  歴

鈴木 利廣 (すずき としひろ) 

SUZUKI, Toshihiro

生年月日

1947

1

2

日 東京生まれ

主な経歴

1969

3

中央大学法学部法律学科卒業

1976

4

司法研修所修習修了

弁護士登録(東京弁護士会所属)

1998

9

東京女子医科大学医用工学研究施設第

29

バイオメディカルカリキュラム履修認定

2004

2

東京都文京区にすずかけ法律事務所共同開設

2004

4

明治大学法科大学院教授(現職)

2012

4

獨協医科大学特任教授

主な役職(現)

東京

HIV

訴訟原告弁護団事務局長(1989年〜)

患者の権利法をつくる会常任世話人(

1991

年〜)

薬害オンブズパ−スン会議代表(

1997

年〜)

医療問題弁護団代表(1999年〜)

日本実業団陸上競技連合監事(

2001

年〜)

東京三弁護士会医療関係事件検討協議会委員(2002年〜)

患者の権利オンブズマン全国委員会共同代表(

2002

年〜)

薬害肝炎全国弁護団代表(

2002

年〜)

厚労科学特別研究事業「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」(2010年から一般 社団法人日本医療安全調査機構が事業主体)運営委員(

2005

年〜)

薬害対策弁護士連絡会代表(2005年〜)

厚生労働省「ハンセン病問題に関する検証会議の提言に基づく再発防止検討会」(事務局は 株式会社三菱総合研究所)委員(

2006

年〜)

東京都医療安全推進協議会委員(2007年〜)

財団法人日本医療機能評価機構「産科医療補償制度」運営委員・原因分析委員(

2008

年〜)

厚生労働省「医療裁判外紛争解決機関連絡調整会議」委員(

2010

年〜)

所属学会

日本医事法学会(理事)、日本生命倫理学会(監事)

参照

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