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国立公園における外国人利用者の動態と意識

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2018 年 1 月 31 日

国立公園における外国人利用者の動態と意識

~知床国立公園を事例として~

環境資源学専攻 森林緑地管理講座 花卉・緑地計画学 王茂琪

1.はじめに

日本政府は,2016 年に「明日の日本を支える観光ビジョン」を策定し,「「国立公園」を世界水 準の「ナショナルパーク」へ」「2020 年までに、国立公園の訪日外国人利用者数を 1,000 万人に」

という目標を掲げた。しかし,国立公園のインバウンド対応について様々な課題と研究の不足が 指摘されている(Jones, 2014)。外国人利用者の訪問動機を明らかにして,それに応じた対策が 求められている (Kruger&Saayman,2010)。また、観光地としての競争力向上には,観光客の満足 度を向上させるように,サービスの改善をはかることが必要である (Yoon&Uysal,2005)。

本研究は,知床国立公園を事例として、現状の外国人利用者の動態と意識を把握し,施設整備 や情報提供などのサービスとの関係から,満足度を向上させる要因を探ることを目的とした

2.調査方法

1)知床五湖地上遊歩道利用者数調査

2016 年の知床五湖利用調整地区の申請書から,外国人利用者の訪問時期,国籍を調査した。

2)観光客の意識調査

知床国立公園斜里町ウトロ地区において,2017 年の冬季(2 月 11 日~2 月 14 日)は日本人と 外国人に,夏季(8 月 2 日~6 日,10 月 4 日〜5 日,14 日〜15 日)は外国人に、国立公園の利用に 関する意識調査を行った。冬季は日本人 156 名,外国人 107 名から,夏季は外国人 282 名から有 効回答を得た。質問項目は,属性,訪問動機,満足度,整備への期待,情報提供に求める言語な どであった。

3.結果

利用調整地区においてガイドの同行が必要なヒグマ活動期では 5 月下旬と 7 月下旬に,レク チャーの受講で利用ができる植生保護期には 8 月上旬と 10 月前半に外国人が多かった。特に,

5 月下旬と 10 月前半に外国人の割合が高くなった。

外国人ではアジア系が6割以上と多く,自然体験や非日常生活の体験が動機であった。満足度 は全般的に高かったが,情報提供や交通アクセスでやや低かった。施設や標識の外国語対応に対 する期待が高く,特に注意看板,パンフレットなどの印刷物,観光・自然の解説板の多言語化が 望まれていた。使用する言語により,多言語化の要求には違いがみられた。

4.まとめと考察

動機には大きな違いはないが、外国人は日本人と異なる時期に訪れている。また、日本を数回 訪れている外国人が知床には多く訪問していた。知床では、過度な施設整備は望まないという意 見も多かった。隣接する阿寒摩周国立公園は満喫プロジェクトの対象となっており、今後の外国 人の増加が予想される。知床らしい自然体験や、リピーターを飽きさせない工夫が必要と考えら れた。また、外国人の標識や情報提供の満足度がやや低く、多言語化の整備への期待も高かった。

印刷物や注意標識、道標などの多言語化は進むが、自然環境などの解説内容の多言語化は遅れて いる。外国人利用者の意向も踏まえ、ユニバーサルな施設整備と情報提供が求められる。

参照

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