北欧諸国の持続可能な競争力
著者 阿部 望
雑誌名 明治学院大学国際学研究 = Meiji Gakuin review International & regional studies
巻 55
ページ 1‑19
発行年 2019‑10‑31
その他のタイトル The Sustainable Competitiveness of the Nordic Countries
URL http://hdl.handle.net/10723/00003777
【研究ノート】
北欧諸国の持続可能な競争力
阿 部 望
はじめに
現代の基本的検討課題(あるいはその一つ)と して,現在のグローバル化された社会経済の環境 において自国の将来に向けた発展をいかに達成す るかという課題を挙げることができるであろう。
この課題に取り組む場合,その発展の状態あるい は程度は何によって測定されるべきか(指標の設 定),そして発展を達成するためにはどのような力
(要素)が必要とされるのか,という 2 つの問題 に直面することになる。この課題に対して,これ まではそのための指標として,現代の社会経済の あるべき姿(目標)として「生活の質(Quality of Life)」の向上」に焦点が当てられ,その中でも,
生活水準の向上,経済成長の維持,労働生産性の 向上がしばしば取り上げられてきた。そしてそれ らを達成する能力(要因)として,「(産業)競争 力」が取り上げられてきたのである。
しかしながら最近になって,多くの人々は,生 活の質(Quality of Life)の向上をより広く,かつ 持続可能な方向から理解するようになってきてい る。このような人々の指向性の変化の背景には,
2000 年以降顕著に見られる著しい変化が存在する。
これらの変化とは,しばしば言及されているよう に,大規模なグローバル化の展開,テクノロジー の変化(IoT や汎用 AI の浸透を含む)の他に,先 進工業国に典型的にみられる労働市場,家族構成,
人口構成などの社会・労働環境の変化を意味す る
(1)。このことを考慮すると,上述した「(産業)
競争力」の決定因についても, 2000 年以前と同じ 枠組みで分析することの効果が疑問視されること
となりうる。
こうした観点から,近年では一つの可能な新し いアプローチとして「持続可能な発展」を重視す るようになり,またそれを可能にする能力として,
「持続可能な競争力(Sustainable Competitiveness - SC)」が語られるようになってきている。具体的 には,「持続可能な発展」として,①経済の発展,
②社会の結束の維持,③環境の保全,の 3 つの要 素を同じウェイトで理解するようになってきてい る。そしてそれを可能にする能力として SC (持続 可能な競争力)が語られるのである。ただしこう した動きは始まったばかりであり,本格的な議論 が展開されているわけではないことに注意された い(しかしそのことが逆に検討することの意味を 一層大きなものとしている)
(2)。
以上の背景の下,本稿では,グローバル化され
た現代の社会経済の将来に向けた発展を考えるに
際し,持続可能な発展を重視し,それを可能にす
る 能 力 と し て 「 持 続 可 能 な 競 争 力 ( Sustainable
Competitiveness - SC)(以後 SC と表記)」を取り
上げ,検討する。その前提の下で,本稿において
は以下の 2 つの課題,第 1 に,SC は(産業)競争
力とどのように異なるのか,そして SC を示す指
標としていかなるものを想定しうるか,そして第
2 に,いくつかの工業国(ここでは主として EU
諸国を対象とする)を対象としてみた場合, SC の
実績はいかなるものか,そしてこの分野で優れた
実績を持つとされる北欧諸国であるが,それは実
際に確認されるであろうか,を検討する
(3)。
1. 競争力と持続可能な競争力
1.1.
競争力とその指標はじめに,これまでの議論の中心に位置してき た「(産業)競争力」の概念について整理しておこ う。新古典派は,競争力を何よりも「経済成長を もたらす力(国際的な場で経済成長を維持する能 力)」として理解する
(4)。それに対して,近年にお いては,それをより広い意味で理解する場合もあ る。たとえば,競争力を, 「人々が持続可能でかつ 向上しつつある生活水準を享受しつつ,同時に国 際競争のテストに合格するような財・サービスを 生み出すことのできる能力」として理解するもの である
(5)。また,本稿において以下でいくぶん詳 細に検討することとなる WEF(World Economic
Forum)のレポートでは,競争力は, 「長期的な成
長の決定因および経済成長と繁栄の基本要素とし ての生産性の向上」として理解されている
(6)。な お,ここで一つ補足説明を加えておこう。従来は 競争力を語る場合,それは「国の競争力」を指す ことが多かったが,近年では,それに加えて,一 方で「地域の競争力」
(7),そして他方では「ビジ ネスの競争力」と「産業セクターの競争力」も同 じように語られることが多くなっている
(8)。ただ し,同時に,一国の競争力と企業およびセクター の競争力との間には基本的な相違が存在すると指 摘されることもある。後者の競争力は基本的には
「競合的」であり,ゼロサム・ゲーム的側面があ るのに対し,前者のそれは「非競合的」であり,
むしろ「補完的」な側面が存在するとされるので ある
(9)。
一国の競争力を上述のように理解する場合,そ の結果(実績)はいかなる経済データで表示され るのであろうか。一般的には,一国の競争力は,
一人当り実質 GDP の変化(あるいは生産性上昇 率)および一国の国際貿易の実績で測られるもの とされている
(10)。この点に依拠し,本稿では,一 国の競争力は以下の 4 つの経済データで表示され るものとする。①実質 GDP 成長率,②雇用者一人 当り実質 GDP 成長率,③ 1 労働時間当たり GDP 成長率,そして④経常収支の対 GDP 比,である。
これらのうち前者の 3 つはいずれも増加率のデー タであり,水準のデータではないことに注意され たい。
次に,一国の競争力をもたらすと想定される諸 要素(指標)およびその集計値(指数)について 整理しておこう。本稿では,国際比較においてし ばしば登場する 2 つの指数を利用する。 WEF の「グ ローバル競争力指数(GCI)」と IMD(International Institute for Management Development)の「世界競 争力指数(WCI)」である。それに加えて,本稿で は欧州委員会の作業チームが提案した「EU 加盟 国競争力指数(EUMSCI)」を採用する。EUMSCI は,定期的に公表されるわけではなく,筆者が 2014 年版で提案された諸指標を用いて, 2016 年の データを処理して作成した指数を用いることとす る。ここで補足的にこれらの指標群の構成を整理 しておこう。まず IMD の世界競争力指数(2016 年)では,全部で 342 の個別指標が,4 つの大分 類指標群と 20 の小分類指標群に分けられて使用 されている。次いで, WEF のグローバル競争力指 数(2017 年)では,全部で 118 の個別指標が,3 つの大分類指標群と 12 の小分類指標群に分けられ て使用されている。最後に EU 加盟国の競争力指 数(EUMSCI) (2017 年)では,詳細版と簡略版が 提案されているが,本稿では簡略版を採用してい る。それは 2 つの指標群において全部で 26 の個別 指標が使用されている
(11)。
1.2.
持続可能な競争力とその指標今度は,最近注目されるようになってきている
「持続可能な競争力(Sustainable Competitiveness - SC)」について検討しよう。初めにいくつかの定 義を紹介する。Andreoni, V. and Miola, A.によれ ば,SC(特に今日の SC)は「将来の競争力の持 つ可能性を犠牲にする」ものであってはいけない,
と規定される
(12)。また Corrigan et al.によれば,
「SC は,国が長期にわたり高い生産性を維持しつ つ,同時に社会面・環境面での持続可能性を保証 するような制度・政策・要素の集合体(セット)」
として規定されている
(13)。さらに,SolAbility レ
ポートによれば,従来の競争力指数は主として経
済・金融面での指標に基づいており,それはせい ぜい当該国の現在の経済的成功を反映しているに すぎないのに対し, SC 指数は,当該国の現在およ び将来の状態を形成する基礎的条件を示すとす る。さらに SC は, 「国の持続的な成長および富の 創出と関連する全ての指標群(柱),つまり自然資 本の利用可能性,資源の効率性,社会的結束,政 府主導の発展の方向付け,そしてイノベーション とビジネスの能力,を包摂する競争力モデルに基 づいている」と指摘する
(14)。さらに, D. Despotovic
et al.によれば, 「持続可能な競争力の概念の目的」
は, 「長期的な経済成長の決定因と社会的かつ環境 的持続可能性の間の関係の特性を理解した上で,
持続可能な繁栄の鍵として持続可能な競争力の重 要性を理解すること」であると語る
(15)。また前述 したグローバル競争力に関する WEF のレポート でも,以下のような指摘がなされている。 「今日形 成されつつある合意は,経済成長は再度人間の福 祉により多くの焦点を当てる必要があるというも のである。このような人間中心の経済進歩は本質 的に多元的なものである。つまり,それは,大多 数の人々に便益をもたらすものであり,環境的に 持続可能であり,全ての人々に機会を与えるとい う意味で公正なものであり,かつ将来の世代に負 荷を負わすものであってはならないというもので ある
(16)。」
なお,本稿では,持続可能な競争力を語る場合,
それは原則として「国の競争力」を意味している。
しかしながら, 「ビジネスの持続可能な競争力」を 語ることも可能であることを指摘しておこう
(17)。
持続可能な競争力(SC)を上述のように理解す るとすれば,次にその指標が検討される必要があ る。しかしそのことをより正確に把握するために は,その前提となる持続可能性あるいは持続可能 な状態についての理解が必要となる。換言すれ ば,一国の持続可能な発展の状態(実績)はどの ように把握しうるのであろうか。ここで多くの 人々の念頭に浮かぶのは,国連が 2015 年に定めた
「持続可能な発展のための 2030 年アジェンダ」と そこで示された「持続可能な発展目標(SDGs)」
であろう。SDGs は 17 の目標を有しており,それ
を表示する指標については,現在専門家グループ 等により,いくつかの案が示されている。たとえ ば,国連関連だけでも,UNSDSN(United Nations Sustainable Development Solution Network) (2015)
では 100(18),United Nations(2015)では 170(19), United Nations Economic and Social Council(2016)
, United Nations Economic and Social Council(2016)
では 229(20), そして United Nations General Assembly
(2017)では 243(21)の指標が提案されている。ま た OECD も指標を提案している
(22)。
それ以外にも専門家グループが SDGs の指標を 提 案 し て い る 。 た と え ば Bertelsmann Stiftung
(2015)は 34 の,そして Bertelsmann Stiftung (2016)
は,79 の指標を提案している
(23)。ただし,これら は現段階では試案段階であり,それらの指標に データをあてはめ,全体としての指数を表示する ケ ー ス は ほ と ん ど 存 在 し な い 。 Bertelsmann Stiftung(2016)はその中の例外といってよい。こ れについては後ほど言及する。
以上が,国連の定める SDGs に関連する指数で あるが,実はそれの超簡略版として,EU の 10 年 間戦略(Europe 2020 strategy)を考えることも可 能である。それは経済,社会,環境の持続可能性 を包摂しており,かつ全部で 8 つの指標で表示さ れているものである
(24)。
それでは今言及した持続可能な発展の状態(実 績)を達成すると想定される持続可能な競争力
(SC)はどのような要素から構成されていると考 えることが可能であろうか。これについても現在 研究が進みつつあるところであり,必ずしもその 完成形が提案されているわけではない。しかしな が ら , そ の う ち の 一 つ の 提 案 と し て SolAbility
(2017)をあげることができる。それによると,
「グローバルで持続可能な競争力指数(GSC 指 数:The Global Sustainable Competitiveness Index) 」 は, 5 つの指標群(A-自然資本指標群<22 指標>;
B-資源集約度指標群<24 指標>;C-社会資本指
標群<21 指標>;D-知的資本指標群<17 指標>;
E-統治効率指標群<28 指標>)で合計 112 の個
別指標から構成されるものとして提案されてい る
(25)。
以上,持続可能な発展と競争力に関する具体的
表1 持続可能な発展目標(SDGs)指数とグローバルで持続可能な競争力(GSC)指数の相互関係
持続可能な発展の実績指標 持続可能な競争力指標
Bertelsmann財団のSDGs指数(2015年版) GSC指数(2017年版)
目標1 貧困
1.1 Poverty rate, cutoff point 50 percent of median disposable income C-16 1.2 Poverty gap, cutoff point 50 percent of median disposable income C-17 目標2 飢餓
2.1 Gross agricultural nutrient balances, N and P surplus / deficit intensities per square
kilometer of agricultural land, deviation from zero ×
2.2 Obesity rate C-15
目標3 健康・福祉
3.1 Healthy life expectancy C-14
3.2 Life satisfaction ×
目標4 教育
4.1 Upper secondary attainment D-4
4.2 PISA results ×
目標5 ジェンダー
5.1 Share of women in national parliaments C-19
5.2 Gender pay gap ×
目標6 水・衛生
6.1 Freshwater withdrawals as percent of total internal resources B-13 6.2 Percentage of population connected to wastewater treatment A-2 目標7 エネルギー
7.1 Energy intensity B-5
7.2 Share of renewable energy in TFEC B-12
目標8 成長・雇用
8.1 GNI per capita, PPP E-15
8.2 Employment-to-population ratio E-7
目標9 イノベーション
9.1 Gross fixed capital formation as percent of GDP E-8
9.2 Research and development expenditure D-16
目標10 不平等
10.1 Palma ratio E-11
10.2 PISA Social Justice Index ×
目標11 都市
11.1 Particulate matter, share of population exposed to >15 ug/cbm B-16
11.2 Rooms per person ×
目標12 消費と生産
12.1 Municipal waste generated B-21
12.2 Domestic material consumption ×
目標13 気候変動
13.1 Production-based energy-related CO2 emissions per capita B-8
13.2 Greenhouse gas emissions per GDP B-7
目標14 海洋資源
14.1 Ocean Health Index A-21
14.2 Percentage of fish stocks overexploited and collapsed by exclusive economic zone × 目標15 陸上資源
15.1 Red List Index for birds ×
目標16 平和
16.1 Homicides C-8
16.2 Transparency Corruption Perceptions Index E-3
目標17 実施手段
17.1 Official development assistance as percentage of GNI ×
17.2 Percentage of SDGs indicators used in this study that are reported annually with time lag
no greater than three years in the respective country ×
(注)GSC指数(2017年版)の列は,該当する指標がある場合にはその対応する指標名,そして該当する指標がない場合に は,×と表記; 表中の記号は以下の指標群を示す: A=自然資本;B=資源集約度;C=社会資本;D=知的資本;
E=統治効率。
(出所)Bertelsmann Stiftung (2015), pp. 98-99および SolAbility (2017), pp.46-49から筆者作成。
な指標について説明してきたが,ここで,それぞ れから代表的な例を取り上げ,持続可能な発展指 標(実績データ)と持続可能な競争力指数との間 の関係を検討してみよう。ここで示すのは,両者 間の関係のありうる一つの例に過ぎないことを確 認しておこう。表 1 を参照されたい。
この表からわかるように,現段階では,持続可 能な発展状態を表示しているデータ・セットと持 続可能な発展を可能とする諸要素(持続可能な競 争力)のセットとの間には多くの共通項目が見い 出せるのである。ここでは,前者のデータ・セッ トとして,より簡略な Bertelsmann 指数(2015 年 版) (SDGs 指数 2015)を参照する。実際,このケー スにおいては,SDGs2015 指数を構成する 34 指標 のうち 22 の指標が GSC 指数を構成する 112 の指 標の中に含まれているのである。すなわち,実績 を示す個別指標のかなりの部分が,その背景にあ ると想定される持続可能な競争力を示す指数の中 に組み込まれているのである。その意味で,両者 の間にはかなりの共通項が存在する可能性があ る。ただし,あるレポートによれば,持続可能な 競争力の概念は,持続可能な発展の実績指標と比 べて,繁栄と長期的な成長の決定因として生産性 のもつ重要性をより強く強調するものであるとし ている
(26)。以上が現時点での研究の到達段階であ ると判断されるが,それが今後どのように発展し ていくかについて,今後とも注意深く観察してい かなければならない。
1.3.
競争力指数と持続可能な競争力指数の対比本節の最後に,上述した競争力指数と持続可能 な競争力指数のそれぞれの指数の構造を対比し てみよう。ここでは煩雑さを避けるため,競争力 指数として WEF の GCI(2016 年版:GCI-2016)
を,そして持続可能な競争力指数として SolAbility の SCI(2016 年版:SCI-2016)を取り上げる。実 はこの作業は, SolAbility によって既に実施されて おり,ここではそれを整理して説明するにとどめ る
(27)。
まず両者の指数を同じ枠組みで比較するため,
指標群として自然資本,資源効率性,社会的結束,
持続可能なイノベーションと経済の 4 つの指標群 を取り扱う。そして比較をより正確に行うため,
これらの指標群をさらに数個(5~9 個)の基準に 分けて比較する。このような枠組みの中で該当す る各指数の個別指標の数を見ると,両方の指数で 使用されている個別指標の総数はそれほど大きく は異なってはいないことがわかる(GCI-112 個対
SCI-92 個)。しかしその指標群の構成に注目する
とそこには大きな差が見えてくる。 SCI-2016 にお いては,4 つの指標群の全てで指標が設定されて いるのに対し, GCI-2016 においては,自然資本と 資源効率性の 2 つの指標群において指標が設定さ れていない。そして社会的結束指標群において,
若干の指標が設定されているだけである。ほとん どすべての指標が持続可能なイノベーションと経 済の指標群の中で設定されている(全 112 指標中 101 指標)。以上で見たように,競争力指数(GCI)
と持続可能な競争力指数(SCI)との間には大きな 差が存在するが,この点を意識して, WEF 側で SCI の側面を若干組み込んで「持続可能な競争力 を考慮した」競争力指数を構築しようとする試み も存在することに注目すべきであろう
(28)。
次に,これら 2 つの指数の間の関係について,
その概略を見ておこう。表 2 を参照されたい
(29)。 この表では,比較対象を EU22 カ国(OECD 加 盟国)とし,これらの国の GCI(競争力指数)と SCI(持続可能な競争力指数)について,そのスコ アと正規化値(EU22 カ国内の)を示している
(30)。 それによると,GCI において最も高いスコアを有 するのはオランダであり,最も低いスコアはギリ シャとなっている。SCI については,最高がス ウェーデンで,最低がギリシャとなっている。こ の表をさらに詳細に点検すると,各国は両指数の スコア(正規化値)でかなり大きな差を有してい ることがわかる。この表では,SCI と GSI のそれ ぞれの正規化値の差を示している。それによると,
EU22 カ国のうちで, SCI のスコアが GCI のそれよ りも高いのは,4 カ国にとどまり,それ以外の国 では GCI のスコアの方が高くなっている。特に,
オランダ,イギリス,ドイツ,ベルギーにおいて,
両者の差が大きくなっている。この表では,また,
地域別の平均値(人口加重平均値)が示されてお り,北欧モデルでは両者の指数はともに高水準で,
その差はほとんどない。また中東欧モデルでも両 者の差はほとんど存在しないが,その水準はかな り低いものとなっている。他方,大陸モデル,イ ギリス,地中海モデルにおいては,GCI と SCI の 差はかなり大きく,前者が後者よりも断然高いス コアを示している。以上を要約すると,各国の競 争力と持続可能な競争力との間にはかなり大きな 乖離が存在すると判断される。
1.4.
持続可能な競争力政策の可能性競争力を考察する場合,通常はその政策(競争 力政策)について議論することが多い。その意味 では,持続可能な競争力政策についても検討する 必要があるであろう。しかしながら本稿では,そ れを行う十分な準備はできていない。それと関連 するいくつかの側面を取り上げることで,この分 野における将来の検討のための手掛かりを,若干 ではあるが与えておきたい。
最初に指摘すべきことは,持続可能な発展政策
表2 競争力指数(WEF-GCI2017)と持続可能な競争力指数(SCI2017)(EU22カ国)
競争力指数 持続可能な競争力指数 両指数の差
WEF-GCI-2017 SCI-2017 SCIとGCIの差
スコア 正規化値 スコア 正規化値 正規化値 オーストリア 5.25 75.0 54.8 58.1 -16.9 ベルギー 5.23 73.8 49.9 22.1 -51.7
ドイツ 5.65 99.4 53.4 47.8 -51.6
フランス 5.18 70.7 52.9 44.1 -26.6 アイルランド 5.16 69.5 55.4 62.5 -7.0 ルクセンブルグ 5.23 73.8 53.6 49.3 -24.5 オランダ 5.66 100.0 49.6 19.9 -80.1
大陸モデル 86.0 43.3 -42.7
デンマーク 5.39 83.5 57.2 75.7 -7.8 フィンランド 5.49 89.6 57.4 77.2 -12.4 スウェーデン 5.52 91.5 60.5 100.0 8.5
北欧モデル 88.8 87.4 -1.4
イギリス 5.51 90.9 90.9 51.9 36.8 36.8 -54.1 -54.1 ギリシャ 4.02 0.0 46.9 0.0 0.0
スペイン 4.70 41.5 48.1 8.8 -32.6 イタリア 4.54 31.7 49.0 15.4 -16.3 ポルトガル 4.57 33.5 48.9 14.7 -18.8
地中海モデル 32.7 11.7 -21.0
チェコ 4.77 45.7 52.7 42.6 -3.1
エストニア 4.85 50.6 53.7 50.0 -0.6 ハンガリー 4.33 18.9 47.8 6.6 -12.3 ラトビア 4.40 23.2 54.2 53.7 30.5 ポーランド 4.59 34.8 51.2 31.6 -3.1 スロベニア 4.48 28.0 53.7 50.0 22.0 スロバキア 4.33 18.9 53.0 44.9 26.0
中東欧モデル 32.7 32.3 -0.4
(注)各地域モデルの平均値は,各国の人口加重平均値。
(出所)WEF (2017), p.ixとSolAbility (2017), p.10から筆者作成。
と持続可能な競争力政策との関連である
(31)。これ まで検討してきたように,両者はかなりの部分で 重なり合うとはいえ,異なる部分もある。しかし ながら政策の特性の観点からは,重要な共通項が あることを確認しなければならない。それは,両 者において,多数の政策分野を含んでいる点であ る。したがって,政策の体系性あるいは政策の一 貫性を真剣に考慮しなければ,政策の有効性は大 きく減じることとなるであろう。この点を重視し,
その具体的な事例を紹介したものが存在する。そ れは OECD のレポートであり,そこでは,「持続 可能な発展のための政策の一貫性」の重要性が強 調されている
(32)。この OECD のレポートでは持続 可能な発展政策が検討されているが,同じことは 持続可能な競争力政策に関しても言えるであろ う。なおこのレポートでは,持続可能な発展政策 全体ではないが,そのうちの一部の 3 つの重要な 個別政策(食料の安全保障,不正な資金の流れ(汚 職,犯罪,テロリズム,税逃れ,など),グリーン 成長)について,政策の一貫性の問題を具体的に 論じている。
このようなアプローチは,持続可能な競争力政 策のケースでも散見される。例えば,持続可能な 競争力政策を検討する場合の一つの重要な要素で ある環境政策である。ある研究によると,環境政 策は,その設計や設定の仕方が適切であれば,そ の国の持続可能な競争力を高めることに貢献する 可能性があることが強く示唆されている
(33)。
次に,EU における農業を取り上げ,その競争 力ではなく,持続可能な競争力を取り上げ,その 政策的な内容について提言している研究も存在す る
(34)。そこでは,農業セクターの持続可能な競争 力は,①実質的な生産量を達成しつつ,同時に EU の主要な環境目標(自然・文化資源の保全と気候 変動の十分な緩和など)を達成する能力,そして 同時に,②EU の結束政策に十分にコミットする 能力,を意味する。その結果,それは,経済的,
環境的,そして社会的な側面を含む統合的なアプ ローチを意味することとなる。換言すれば,農業 の分野においても,持続可能な競争力政策を語る ことができるというのである
(35)。
2. 北欧諸国の持続可能な競争力
以上で,競争力の実績と競争力の水準,そして 持続可能な発展の実績とそれをもたらす持続可能 な競争力の水準を考察し,それらの指標と指数に ついて検討した。以下では,EU 諸国を対象とし て各国及び各地域モデルごとの実績について検討 する。なお,本稿では,使用するデータの利用可 能性の関係で,調査対象を EU 加盟国でかつ OECD
加盟国の 22カ国に限定する。そして,全ての対象
国について詳細に分析する余裕はないので,この 分野(特に持続可能な発展の分野)において強み を有すると想定されている北欧諸国(デンマーク,
フィンランド,スウェーデン)に焦点を当て,そ れ以外の国については,対象国が構成する地域モ デルに集計した形で各地域の特性を検討する。こ こで,北欧以外の地域として,大陸モデル( 7 カ 国:オーストリア,ベルギー,ドイツ,フランス,
アイルランド,ルクセンブルグ,オランダ),イギ
リス( 1カ国),地中海モデル( 4カ国:ギリシャ,
スペイン,イタリア,ポルトガル),中東欧モデル
( 7 カ国:チェコ,エストニア,ハンガリー,ラ トビア,ポーランド,スロベニア,スロバキア)
を検討対象とする
(36)。
以下では,最初に競争力に着目し,次に持続可 能な競争力を取り扱う。
2.1.
競争力の実績と競争力水準最初に表 3 を参照されたい。この表では,競争 力を反映している経済諸指標の実績が示されてい る。すでに指摘しておいたように,本稿では,競 争力を反映している経済諸指標として,①実質 GDP 成長率,②雇用者一人当り実質 GDP 成長率,
③ 1 労働時間当たり GDP 成長率,そして④経常収 支の対 GDP 比,を取り上げる。これらのうちの①
~③は変化率に関わるものである。最近の数年間 において,その成長率を示したのが表 3 である。
ただし,ここでは各指標の数値(スコア)そのも
のではなく,EU22カ国中のスコアの正規化値(最
大値=100,最小値=0 として表示)を求め,それ
を表示してある。それは各指標について,その
EU22 カ国中の相対的な位置を明示するためであ る。
この表を一見すると,地域別にみると,北欧の 経済実績はかなり見劣りするように見える。経常 収支率については,デンマークとスウェーデンの 2 国は,かなり高い正規化値を示しているが,他 の経済指標については,かなり低位の実績しか示 していない。しかしながら,この表を詳細にみる
と,EU の中でアイルランド 1 国が極めて特異な 位置を占めていることがわかる。つまり,2014~
2016 年においては,この国のみが突出して優れた 実績を示しているのである。アイルランドを除く と,これらの 4 つの指標の平均値としての「競争 力の実績データ」について,相対的に高い正規化 値である 25 以上の国を見ると,ドイツ,ルクセン ブルグ,オランダ,デンマーク,スウェーデン,
表3 競争力の実績データ(EU22カ国)(2014-2016年)
(EU22カ国-正規化値)
Y1 Y2 Y3 Y4
実質GDP 成長率
一人当り 実質GDP 成長率
1労働時間 当たりGDP 成長率
経常収支率
(対GDP)
競争力の実績 データ(Y1~
Y4の平均値)
モデル別実績 2014-2016 2014-2016 2014-2016 2014-2016 2014-2016 単純平均 人口加重
年平均 年平均 年平均 年平均 年平均 平均 オーストリア 7.8 0.0 13.2 53.8 11.5 ベルギー 10.1 7.0 13.0 36.4 8.9
ドイツ 13.2 8.0 14.7 95.1 28.0
フランス 7.8 4.0 14.7 33.6 7.2 アイルランド 100.0 100.0 100.0 76.9 100.0 ルクセンブルグ 29.5 12.0 6.5 73.4 25.2 オランダ 14.7 11.0 15.0 100.0 31.0
大陸モデル 30.3 20.9
デンマーク 12.4 7.0 11.7 97.2 27.3 フィンランド 2.3 0.0 14.1 30.1 3.2 スウェーデン 25.6 18.0 21.1 70.6 29.2
北欧モデル 19.9 21.9
イギリス 17.8 12.0 12.2 0.0 2.0 2.0 2.0 ギリシャ 0.0 4.0 0.0 31.5 0.0
スペイン 20.0 22.0 12.0 48.3 19.6 イタリア 5.0 5.0 6.3 53.1 9.8 ポルトガル 10.0 14.0 9.7 40.6 11.3
地中海モデル 10.2 12.6
チェコ 26.4 27.0 26.9 42.0 25.4
エストニア 16.3 18.0 11.0 48.3 17.0 ハンガリー 24.8 28.7 8.2 63.6 26.3 ラトビア 17.1 25.4 27.6 36.4 20.8 ポーランド 24.8 27.0 23.5 31.5 20.9 スロベニア 20.9 21.3 19.7 74.1 29.4 スロバキア 24.8 25.4 22.6 33.6 20.8
中東欧モデル 22.9 22.5
(出所)Eurostatのデータから筆者作成。
チェコ,ハンガリー,スロべニアの 8カ国のみと なり,北欧モデルの 2 カ国が入っている。その意 味では,EU22 カ国の中で,アイルランドを除く と,北欧諸国(特にデンマークとスウェーデン)
の経済実績は相対的に高いと判定しうるのであ る。このことは,地域モデル別の実績の平均値(人 口加重平均)を見ても確認される。地域別には,
大陸モデル,北欧モデル,中東欧モデルのいずれ もほぼ同等の実績を有していると認められるので ある。
さて以上では,通常理解されている競争力を示
す指標として,変化率に注目して実績を確認した のであるが,参考までに水準に着目して,実績を 検討しておこう。ここでは,その詳細について触 れる余裕はないが,その結論としては,大陸モデ ルに属するルクセンブルが特異な位置を占めてお り,突出して高い実績を示している。この点を考 慮すれば,水準面で見ても,大陸モデルと北欧モ デルとではその実績面ではほとんど同じと判定す ることができるであろう。ただし,ここでもフィ ンランドの実績は相対的に低いことに留意が必要 であろう。
表4 競争力指数(EU22カ国)(2017年)
(EU22カ国-正規化値)
X1 X2 X3 地域モデル別指数
EUMSCI IMD - 2016 WEF - 2017 競争力指数
(平均値)
単純平均 人口加重
2017 2016 2017 平均
オーストリア 85.2 69.7 75.0 76.6 ベルギー 71.2 71.0 73.8 72.0
ドイツ 93.6 90.6 99.4 94.5
フランス 68.5 53.0 70.7 64.1 アイルランド 94.1 98.0 69.5 87.2 ルクセンブルグ 70.6 94.2 73.8 79.5 オランダ 94.6 97.4 100.0 97.3
大陸モデル 81.6 81.7
デンマーク 100.0 98.5 83.5 94.0 フィンランド 89.9 74.3 89.6 84.6 スウェーデン 95.0 100.0 91.5 95.5
北欧モデル 91.4 92.2
イギリス 86.9 77.6 90.9 85.1 85.1 85.1
ギリシャ 0.0 0.0 0.0 0.0
スペイン 59.0 42.8 41.5 47.8 イタリア 37.2 41.2 31.7 36.7 ポルトガル 48.7 35.5 33.5 39.2
地中海モデル 30.9 37.8
チェコ 82.0 59.7 45.7 62.5
エストニア 70.2 53.2 50.6 58.0 ハンガリー 69.5 26.1 18.9 38.2 ラトビア 25.3 35.9 23.2 28.1 ポーランド 38.9 47.7 34.8 40.4 スロベニア 69.1 31.7 28.0 43.0 スロバキア 59.5 34.2 18.9 37.5
中東欧モデル 44.0 43.2
(筆者作成)
これまで EU22 カ国の競争力の実績をデータ面 で見てきたが,それではこれら諸国の競争力指数 はどのように評価されているのであろうか。この ことを確認しておこう。既に指摘しておいたよう に,本稿では競争力指数として,3 つの指数を利 用している。 EUMSI-2017, IMDWCI-2016, WEFGCI
-2017 である。 EU22 カ国についてこれらの指標を
整理したものが表 4 である。
この表において,特に 3 つの指標の正規化値の 平均値である「競争力指数(平均値)」の列に注目 していただきたい。それによると, 90 以上の高い 数値を示しているのが,オランダ,スウェーデン,
ドイツ,デンマークの 4 カ国である。また地域モ デル別の人口加重平均を見てみると,北欧モデル の競争力が最も高く,次いでイギリス,大陸モデ ルと続く。なお,現状では,地域別にみると,中 東欧モデルの方が地中海モデルよりもその競争力 は高く評価されているのである。
以上を要約すると,北欧 3 カ国は競争力の観点 からは非常に高い評価を得ていること,そして経 済実績の観点からは,より詳細にかつ現実的にみ ると(換言すれば,一部の傑出して優れた実績を 示す国を除外してみると) ,相対的にみて,北欧 3
カ国の競争力面での経済実績はむしろ高いこと,
が確認されるであろう。それと同時に,近年に関 しては,北欧 3 カ国のうちフィンランドの競争力 の分野での経済実績がかなり見劣りすることも確 認しておく必要があるであろう。
2.2.
持続可能な発展の実績と持続可能な競争力水準
今度は持続可能な発展の観点から,北欧諸国の 特性を見てみよう。初めに総括表を検討しよう。
表
5 を参照されたい。
この表の左側は持続可能な発展の状態を示す指 数を示しており,右側はそれをもたらすと想定さ れる要因(競争力指数)を表示している。前者に ついては,ここでは 2 つの指数(Bertelsmann SDG Index 2016 と Europe 2020 Index 2017)が表示され ている
(37)。このいずれで見ても,北欧 3 カ国は非 常に高い数値(正規化値)を示しており,他の地 域と比べて際立った高い位置を占めていることが わかる。さらに持続可能なグローバル競争力指数
(GSC 指数)でみても,北欧諸国は非常に高い数 値を示している。そして,ここでも持続可能な発 展の状態とそれをもたらすと想定される持続可能
表5 持続可能な発展の実績データ(SDGs指数)と「持続可能な競争力指数(SC指数)」
(EU22カ国-正規化値)
持続可能な発展の実績データ
(SDGs指数)
持続可能なグローバル 競争力指数(GSC指数)
対象 国数
Bertelsmann SDG Index -2016-
Europe 2020
Index -2017- 単純平均 人口加重 平均
(GSCI-2017-) 人口加重
2016 2017 2017 平均
北欧モデル 3 91.8 86.1 89.0 91.2 84.2 87.4
デンマーク 93.9 85.0 75.6
フィンランド 81.6 73.4 77.0
スウェーデン 100.0 100.0 100.0
大陸モデル 7 60.0 50.6 55.3 58.1 43.5 43.3 イギリス 1 36.8 55.6 55.5 55.5 36.8 36.8 地中海モデル 4 12.5 10.4 11.4 10.1 8.1 11.7 中東欧モデル 7 32.7 42.6 40.2 28.4 39.8 28.4 参
考
ノルウェー 92.3 69.5 80.9 82.8
日本 47.4 43.4
(注)Betelsmann Stiftung (2016), Eurostat,SolAbility (2017)のデータを基に,筆者作成。
表6指標群ごとの持続可能な発展指数(Bertelsmann SDGs Index -2016-) (正規化値:EU22カ国) 経済指標社会指標環境指標 総 平 均**
総 平 均
(正規化値)
加 重 平 均**
対 象 国 数
目 標 4
目 標 8
目 標 9
平 均*加 重 平 均**
目 標 1
目 標 2
目 標 3
目 標 5
目 標 10
目 標 16
平 均*加 重 平 均**
目 標 6
目 標 7
目 標 11
目 標 12
目 標 13
目 標 14
目 標 15
平 均*加 重 平 均**
目 標 17 教 育成 長 ・ 雇 用
イノベー ション
貧 困飢 餓健 康 ・ 福 祉
ジェンダ ー
不 平 等
平 和水 ・ 衛 生
エネルギ ー
都 市消 費 と 生 産
気 候 変 動
海 洋 資 源
陸 上 資 源
実 施 手 段 3 7 1 4 7 参 考 (注1)正規化の対象はEU=OECD22カ国であるため,ノルウェーと日本のケースでは,その値は0以下,100以上となることもある。 (注2)各指標の「平均*」は,各目標の数値の単純平均値であり,また「総平均」も単純平均値である。また「加重平均**」は各モデルごとに人口比率を加重したもので ある。 (出所)Betelsmann Stiftung(2016)のデータを基に,筆者作成。
な競争力との間にはかなり強い相関関係が観察さ れる
(38)。またこの表では参考データとして,ノル ウェーのデータも示してある。この表で取り上げ た指数に関しては,ノルウェーも北欧 3 カ国とほ ぼ同一の実績を示しているといってよいであろ う。
今度は持続可能な発展度について,その分野ご との実績に注目して,より詳細に分析してみよう。
表
6 を参照されたい。
この表では,SDGs の 17 の個別目標ごとに各地 域グループごとのスコアが正規化値で表示されて いる。また北欧地域に関しては,その 3 つの構成 国の正規化値も表示してある
(39)。初めに地域ごと の特性について整理する。 17 の個別目標のスコア
(正規化値)の平均値をとった「総平均」をみる と,持続可能な発展度が総合的に最も高いと評価 されているのは,北欧諸国である。その正規化値 の単純平均(正規化値)は 94 に達している。また,
ここでも地域の平均値をみる場合,地域内の各国 の人口の差を考慮して,人口で加重平均値も求め ている。その値は 95 である。次いで高いのは大陸 ヨーロッパとイギリスである。逆に非常に低い水 準を示しているのは地中海ヨーロッパ諸国である
(正規化値 9 (人口加重平均も 9))。また,北欧諸 国について,個別の国の発展度を見ると,3 カ国 のいずれも非常に高い水準を示していることがわ かる。特にスウェーデンの発展度は,本稿の考察
対象国 22カ国中の最高位となっている。また,参
考欄のところのノルウェーのデータを見ると,こ の国の持続可能な発展度も 90 と非常に高くなっ ており,その意味では北欧諸国の特性を共有して いるといってよいであろう。
今度は個別目標に着目してみよう。その際に各 目標につき,相対的に優れた実績を示す国・地域 を識別する基準として,正規化値 75 以上を設定し よう。
はじめに各地域の発展度の平均を見てみよう。
ここでも北欧諸国が際立っており, 17 の個別目標 のうち 14 の目標で,地域平均が正規化値 75 以上 となっている。次いで多いのがイギリスで 7 目標 であり,大陸ヨーロッパは 4 目標である。地中海
ヨーロッパと中東欧諸国はそれぞれ 1 目標で 75 以 上となっているに過ぎない。次に,北欧 3 カ国に 注目してみよう。これら 3 カ国がいずれも共通し て 75 以上の正規化値を有している個別目標は 5 つ の目標(目標 3-保健,目標 6-水・衛生,目標 9
-イノベーション,目標 10-不平等,目標 16-平 和)である。これらの分野では北欧諸国は共通し て強みを有していると解釈しうるであろう。また これら 5 分野のうち,目標 9-イノベーション以 外の 4 分野では,ノルウェーもその正規化値が 75 以上であり,強みを有していることが理解される。
各国別にみると,正規化値が 75 以上である個別目 標の数は,スウェーデンで 13,デンマークとノル
ウェーで 12,そしてフィンランドで 10 となって
いる。
表
6 で試みているもう一つの作業は,SDGs の 17 の個別指標を,持続可能性を構成する 3 つの分 野(経済,社会,環境)で部分集計している点で ある。表からわかる通り,経済指標としては,3 個の個別指標が,社会指標としては 6 個の個別指 標が,そして環境指標としては 7 個の個別指標が 該当すると判断される。これらの 3 つの指標群ご とに,その平均値(正規化値で表示)を求め,そ れを各地域ごとに比較してみると,北欧地域は 3 つの指標のいずれにおいても 75 以上の値を示し ており,優れた実績を表している。個別の国ごと にみると,北欧 3カ国は 3 つのいずれの指標でも 70 以上をクリアしており,バランスの取れた持続 可能な発展状態を示している。その中でも,ス ウェーデンは全対象国 22 カ国中の最高の実績を 示している。さらにここでもノルウェーの実績を 調べてみると,ノルウェーも 3 つの指標群のいず れにおいても 75 以上の値を示しており,その限り で,他の北欧 3 カ国と同等の実績を有しているこ とが判明する。
最後に持続可能なグローバル競争力(GSC 指 標)に着目してみよう。表 7 を参照されたい。
GSC 指標は,全部で 5 つの指標群から構成され
ているが,この表では,これら 5 つを,持続可能
な発展の 3 つの分野(経済,社会,環境)に集計
し,その指標群別の平均値と個別指標の双方が正
規化値で表示されている。先ほどと同じく, 75 以 上の正規化値を有する国・地域を優れた実績を有 する国・地域と呼ぶとすれば,北欧諸国は 5 つの うちの統治効率分野を除く 4 つの個別分野で優れ た実績を有していると認定され,その総合指標の 正規化値は 84.2 に達している。また 3 分野につい てみると,3 ヵ国平均では,いずれの分野でも 75 以上の平均値を示しており,その限りでバランス の取れた高い競争力を示している。しかしながら 個別の国に注目すると,環境分野ではデンマーク が,経済部門と社会分野ではフィンランドがその 数値が 75 に達していないことがわかる。ただしこ こでもスウェーデンの GSC 指標が全体の最高値 となっている。そしてノルウェーは,社会分野で はその正規化値が 75 に達していないものの,環境 分野と経済分野では 75 をこえており,また総合指 標でも 75 以上となっている。その限りで,GSC についても,ノルウェーは他の北欧 3カ国と同等 の特性を有していると判断しうる。
以上を要約すれば,北欧諸国は持続可能な発展 の分野では,その発展実績およびその促進要因
(GSC 指数)の両方において,極めて優れた状態 にあることが確認されるのである。
2.3.
持続可能な発展に対する北欧諸国の独自なスタンスとアプローチ
これまでの考察の結果,北欧諸国は持続可能な 発展(SD)に対して非常に優れた実績を有してい ることが明らかとなった。同時に,北欧諸国は持 続可能な競争力についても,非常に高く評価され ていることが判明した。
それでは北欧諸国は SD に対して何か特別な対 応あるいはアプローチをしてきているのであろう か。この点をいくつか整理してみよう。ただし,
現段階では,この問題に対して包括的な分析・整 理は行うことはできない。そこで,以下の 3 つの 点に限って,整理してみよう。第 1 は,北欧諸国 の人々の持続可能な発展に対する評価である。こ の点で,北欧地域の人々は他の地域の人々と異な る評価をしているのであろうか。第 2 は,北欧諸 国の企業は,この持続可能な競争力に関していか なる見解を有しているのか。そして第 3 は,持続 可能な発展に対して,北欧において共同で実施す るアプローチは存在するか否かの確認である。
第 1 の点について,ここでは 2 つの EU の世論 調査の結果を紹介する。最初は, 2016 年の調査で,
現在の主要なグローバルな挑戦課題は何かという ものである。ここでは最も重要な 2 つの挑戦課題 が問われている。その結果は,EU 平均では,最
表7 指標群ごとの持続可能なグローバル競争力指数(GSC Index-2017-)(正規化値:EU22カ国)
対 象 国 数
経済指標 社会指標 環境指標
総合指標 知的資本 統治効率 平均
(正規化値)
社会資本 自然資本 資源 集約度
平均
(正規化値)
北欧モデル 3 88.6 34.7 80.9 78.2 82.9 83.2 87.7 84.2 デンマーク 88.2 49.5 92.0 80.2 57.3 78.8 65.9 75.6 フィンランド 77.5 22.9 63.2 54.5 91.3 91.8 100.0 77.0 スウェーデン 100.0 31.8 87.5 100.0 100.0 79.1 97.1 100.0 大陸モデル 7 57.7 45.2 65.1 48.1 33.5 76.3 46.7 43.5 イギリス 1 72.6 25.4 61.4 92.5 11.1 45.7 8.3 36.4 地中海モデル 4 15.6 11.3 6.4 40.2 35.0 35.6 18.3 8.1 中東欧モデル 7 38.2 60.5 61.9 40.1 53.2 39.2 34.1 39.8 参
考
ノルウェー 89.2 54.1 96.4 33.8 82.1 101.4 100.4 82.8
日本 74.9 45.0 78.3 16.8 31.6 87.2 53.4 43.4
(出所)SolAbility(2017)のデータを基に,筆者作成。
も重要な挑戦課題は「社会の平等と連帯」(46%)
であり,次いで「環境保全」 (31%), 「進歩とイノ ベーション」 (28%)となっている。北欧地域につ いてみると,最も重要な挑戦課題は, 「社会の平等 と連帯」(48%),「環境保全」(45%),「文化の多 様性」 (31%)となっている。北欧の人々にとって は, 「環境保全」の重要性が,他の地域の人々と比 して,相対的に極めて大きいことが確認される。
ただし,これらは北欧 3 カ国の平均を見たときの 結果であり,北欧 3 カ国で共通して高い関心を示 していると認定されるのは, 「文化の多様性」のみ であり(対象 EU21カ国中の正規化値が 75 以上),
共通して低い関心を示しているのは「伝統」の みである(対象 EU21カ国中の正規化値が 25 以 下)
(40)。
次に紹介するのは,2018 年に実施された現在 EU の直面している最も深刻な挑戦課題に関する 質問である。この質問に関する EU の平均値を見 ると,最も深刻な挑戦課題は「移民」 (38%)であ り,次いで「テロリズム」 (29%), 「経済状況」 (18%)
となっている。北欧地域についてその平均値をみ ると,最も深刻な挑戦課題は, 「移民」 (45%),次 いで「テロリズム」 (27%)とここまでは EU 平均 と同じであるが,第 3 位に来るのが「気候変動」
(26%)であり,この点で EU 平均と他の地域と は異なっている。ただしここでもこれらは北欧 3 カ国の平均を見たときの結果であり,北欧 3 カ国 で共通して深刻な問題として認定されるのは, 「気 候変動」のみであり(対象 EU21 カ国中の正規化 値が 75 以上),他方,共通して重要視されていな い問題としては, 「インフレ」と「税金」の経済問 題及び「年金」の社会問題である(対象 EU21 カ 国中の正規化値が 25 以下)
(41)。
以上を総合してみると,北欧の人々の意識の位 置は,気候変動の問題を中心とする環境問題に寄 せる関心が他の地域の人々と比べて,相対的に高 いと総括しうるであろう。それ以外の分野では,
北欧 3 カ国に共通する意識構造は必ずしも明確に 観察されるわけではない。
次に,第 2 の点,すなわち,北欧の企業は,そ の持続可能な競争力に関していかなる見解を有し
ているのかについてである。この分野で,一つの レポートが利用可能である
(42)。そこでは,気候変 動問題と企業の競争力との関連について,北欧 5 カ国の企業の CEO の見解が示されている。ここ ではいくつかの質問項目のうち,以下の 2 つの項 目に関して,北欧の企業の見解を示しておく。最 初は,北欧諸国及び北欧企業は,気候変動への取 組みにおいて,どのような方法で国際的な貢献が できるかというものである。調査結果によれば,
以下の見解が代表的なものである
(43)。
・グローバルな指導力の発揮
・諸国間の協力の促進
・イノベーションの浸透
・解決策の輸出
・ロールモデルとなること
次の質問項目は,企業が気候変動に取り組むこ とはいかなる意味で企業の競争力に貢献しうるか である。以下がその代表的な回答である
(44)。
・新しいビジネス機会が創出されること
・エネルギーと資源の効率性がコストを削減す ること
・企業のブランド力が向上し,従業員の満足度 が向上すること
・顧客の需要が増加し,売上額が増加すること
・政府調達の分野で環境面での要求水準が高ま ること
以上が,北欧企業が気候変動への取組みにおい て企業の競争力をどのように捉えているかについ ての一つの断片的な情報である。
最後に第 3 の点,つまり持続可能な発展に対し て,北欧において共同で実施するアプローチの問 題を整理しておこう。周知のように,北欧諸国は SD の分野では,各国および国際機関との協力の下 で,かなり以前から積極的な役割を果たしてきて いる。そのうちの主要なものとして,下記の出来 事における北欧諸国の主導的な役割を指摘しう る
(45)。
・1972 年:ストックホルムにおける UNEP の立 上げ
・1987 年:ブルントラント報告における持続可
能な発展の「古典的な」定義の導入
・1992 年:UNCED リオデジャネイロ会議にお ける北欧諸国の貢献
・ 2000 年:MDGs の設定
・2001 年:持続可能な発展に関する第 1 次北欧 戦略の策定
・2015 年:国連における「持続可能な発展目標
(SDGs)」の採択
・2017 年: 「グローバルな挑戦課題に対する北 欧の対応策についての北欧首脳イニ シャティブ」 (SDGs の達成に向けた 北欧の包括的な対応)の開始 このうち, 2001 年に始まった持続可能な発展に 関する北欧戦略は,その後更新を重ね,現時点で は2013 年に採択された第 4 次戦略が実施されてい る(2025 年までが対象期間)。また 2017 年に開始 された北欧首脳イニシャティブは,以下の 4 つの 要素を持つものとされている。①SDGs 行動を加 速するためのパイロット・プロジェクト,②アジェ ンダ 2030 の各国の実施状況に関する情報交換,③ SDGs と北欧の SDGs 行動に関する知識の共有,④ 情報交換,である。
さて,持続可能な発展に関する第 4 次北欧戦略 は明白に国連の SDGs を意識したものであり,また そのための指標を用意している。それは国連の 17 目的(ゴール)に対し,5 つの目的を定めており,
そのために全部で 16 の目標を設定している
(46)。こ こではその詳細に立ち入ることはできないが,こ の分野での北欧の目標は SDGs の一部から構成さ れていることがわかる。その理由は,SDGs は全 ての国連加盟国を対象としており,先進工業国と 発展途上国を含むのに対し,北欧の目的は北欧理 事会の構成国(先進工業国)のみを対象としてい るからである。というのは,実態をより正確に把 握するためには,全ての国連加盟国を対象とする 場合と先進工業国のみを対象とする場合で,適切 な指標も自ずと異なってくるからである。それに 加えて,北欧戦略では使用されている目的・目標・
指標に一定の特徴がみられる。まずその数がかな り限定されている点があげられる。その他に,こ の指標を提示した専門家グループは,北欧の目的 と目標が,質的かつ希望的観測にもとづく仕方で
表示されていると指摘し,その理由として, SDGs と北欧の目的が,様々な分野での両者の要求水準 の数量的な比較を含むことができないからである と説明している
(47)。
その他,北欧地域では SD に関連して共同で行 う各種のプロジェクトが存在する。例えば,北欧 の北極圏において,各国は共同のプロジェクトを 推進する。例えば,北極圏の大規模産業,バイオ 経済(漁業,農業,海藻,など),観光産業,創 造性産業(フェスティバル,映画,音楽,デザイ ン,など)の育成プロジェクトである。これらは 全て SD を考慮して展開されるものと想定されて いる
(48)。また最近では,「北欧地域の国際的ブラ ンド化戦略」を立ち上げ,それを通して「北欧諸 国の知名度を高め,北欧の権限と解決策を支援し,
それによって北欧の競争力を高める」ことを目指 そうとしている
(49)。そこでは「北欧的な考え方」
が整理されており,その構成要素として,①開放 性と万人が自己の意見を表明する権利を持つこ との信念;②各個人に対する信頼,そして各人が 権力に近いことから生じる社会の指導者に対す る信頼;③創造性とイノベーションに焦点を当て た新しい思考方法;④万人が平等の権利を持つこ とについての同情心,寛容性そして確信;⑤環境 の持続可能な管理と自然資源の開発,を挙げてい る
(50)。
結語
本稿では,まず初めに現代のグローバル化社会 において, 「持続可能な発展(SD)」を追求するこ とがますます重要になりつつあることを確認し,
その上で,それを達成するために必要となる様々 な諸力(「持続可能な競争力(SC)」)が何である かを,従来しばしば語られてきた「産業競争力」
との比較の観点から明らかにした。ただし,この 分野の研究は比較的最近始まったこともあり,現 時点で十分に研究の蓄積があるわけではないこと も指摘しておいた。
次いで,EU 諸国を中心に「持続可能な競争力
(SC)」を計測し,その中で特に北欧 3 カ国(デ
ンマーク,フィンランド,スウェーデン)に注目 し,「北欧モデル」の SC を分析した。その結果,
産業競争力指標は EU の枠内では,「北欧モデル」
が一番高く評価されており,次いで「大陸モデル」
と続いている。他方産業競争力の実績を見ると,
「大陸モデル」,「北欧モデル」,「中東欧モデル」
のいずれもほぼ類似の実績を示していることが分 かった(ただし, 「地中海モデル」の実績はかなり 見劣りする)。それに対し, 「持続可能な発展(SD)」
のこれまでの実績を見ると,EU の枠内では,「北 欧モデル」が他の 3 つのモデルを引き離して非常 に優れた実績を示している。またそれに対応して
「持続可能な競争力(SC)」の指標をみると,こ こでも「北欧モデル」が他のモデルとは著しい差 をもって優れた実績を示していることが確認され た。その背後には,北欧諸国(ノルウェーを含む)
は,北欧理事会の枠内で,持続可能な発展の分野 でも相互の情報交換や共同行動・政策などの活動 を精力的に展開しており,それがこの分野での優 れた実績の維持に一定の貢献をしてきていること が確認された。ただし,ここでは「北欧モデル」
として,3 カ国の平均値を見てきたが,これら 3 カ国を個別にみていくと,経済実績と競争力指標 の実績について,これら 3 カ国が類似の傾向を見 せているとは必ずしもいえず,実際上はかなりの 相違も示していることにも着目しなければならな い。
持続可能な発展の分野におけるこのような北欧 諸国の優れた実績の背景には,北欧諸国が共有す るいくつかの特性が観察される。まず第 1 に,北 欧諸国はその気候面での厳しさもあり,持続可能 な発展に対する意識(特に環境面への配慮)が共 通して高い点が確認される。その限りで,そのよ うな発展を長期的に保障する持続可能な競争力に 関しても他の地域と比して高い関心が向けられて いる。以上の北欧の人々の関心の下,北欧諸国が 共通の発展目標や政策を追求することは当然予測 されることであり,また現実にもそれは一定程度,
それが十分か否かは別として,確認される。
いずれにしても,今後ますます「持続可能な発 展」とそれに対応する「持続可能な競争力(SC)」
が注目され,かつ重視されることは明らかであり,
その意味で,わが国としても「北欧モデル」から 学習することが多々存在すると思われる。
注
(1) こうした文脈で,北欧福祉モデルに限定した枠内で はあるが,その課題と可能な対応について,一つの提 案がなされている。クラウス・ペーターセン,他(2017)
pp.355-357参照。
(2) 例えば,「持続可能性に関する研究は近年飛躍的に 増大してきているが,持続可能性と競争力との間の詳 細な関係については,ほとんど手が付けられていない といってよい」との指摘がなされている。Corrigan et.al (2014), p.55。とはいえ,近年この分野で特筆さ れるべき文献として,Raworth, Kate(2017)とティロー ル,ジャン(2018)を挙げることができる。
(3) 筆者はEUおよび北欧諸国の持続可能な発展につい て,かなり以前から研究関心を抱いてきており,これ までに1つの研究成果を発表してきている(阿部 望
(2006))。ただしそこでは,2005 年以前の実態を研 究対象としており,本稿ではそれ以降の展開を,主と して競争力政策の観点から考察対象としている。
(4) A. Mulatu(2016)の見解(ここでの引用は,Andreoni, V. and Miola, A. (2016), p.12)。
(5) Tyson, L. A. (1992)の見解(こ こでの引用は,
Andreoni, V. and Miola, A. (2016), p.12)。
(6) WEF (2017), p.vii.
(7) 例えば,G. Bristow(2005)参照。
(8) Andreoni, V. and Miola, A. (2016), p.12 お よ び Dechezlepretre, A. and Sato, M., (2014), pp.6-9,参照。
これと類似した概念として,「マクロ競争力」と「ミ クロ競争力」を使用するケースもある。D. Despotovic et al. (2018), Section 1参照。
(9) Dechezlepretre, A. and Sato, M., (2014), p.6.
(10) 例えばD. Despotovic et al. (2018), Section 1参照。
(11) IMD (2016), pp.39-63, World Economic Forum (2017), pp.341-350及びEuropean Commission (2014), pp.258- 278。
(12) Andreoni, V. and Miola, A. (2016), p.13.
(13) Corrigan et al. (2014), p.55.
(14) SolAbility (2017), pp.7-8.
(15) D. Despotovic et al. (2018), Section 1.
(16) WEF (2017), p.vii。またこの節で指摘された持続可 能な競争力の意味については,他の論者も類似の指摘 をしている。例えば,Doyle, E. and Mauricio, P-A.
(2017)。
(17) 例えば,OECD(2016b)は,ビジネスの持続可能 な競争力(その重要な側面)を扱っていると判断され る。
(18) UNSDSN (United Nations Sustainable Development