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大学英語プレゼンテーション教育への提案:

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大学英語プレゼンテーション教育への提案:

グローバル社会で活躍する社会人の 英語プレゼンテーションの調査からの一考察

田村 朋子・野村 佑子

Abstract:

Toward a better English presentation education: An interview study with globally experienced business presenters

This study aims to help develop English presentation (EP) education at universities in Japan. The current EP education focuses on presentation skills such as physical aspects, and tends to be unclear about how to communicate with the audience (Tamura et.al 2014). However, beyond classrooms, being aware of the audience and considering the audience’s situation, interests, expectations and needs are important when giving presentations. This paper examines these issues and shares interviews with globally experienced Japanese presenters on how they successfully communicate with their audiences. The findings show that they place highest importance on the following three points: 1) conveying information correctly without caring about English accuracy, 2) inviting the audience to the presenters’ side, and 3) building an equal relationship with the audience. By incorporating these findings, the paper proposes teaching ideas that can help learners to become more effective presenters in their future roles as global citizens.

(2)

要 旨:

本研究は、日本における大学英語プレゼンテーション教育を発展させることを目 的としている。現在日本の大学で行なわれている英語プレゼンテーション教育で は、physical messages (姿勢、ジェスチャー、目線など) に主に焦点が当てられ、

聴衆とのコミュニケーションの方法についてはあまり触れられていない(田村他, 2014)。しかし、実社会でプレゼンテーションを行う時は、聴衆を意識することが 最も重要である。したがって、本稿では、実際に英語でプレゼンテーションを行っ た経験のあるグローバルに活躍する日本人の社会人にインタビューを行い、どのよ うに聴衆とコミュニケーションを図ったかを調べた。インタビューの結果から、社 会人は1)英語の正確さよりもありのままの情報を伝える、2)聴衆を自分の側に 上手く引き入れる、3)聴衆と同等な関係を築くという3点を重要視していること がわかった。この結果を受けて、本稿では、大学生が、将来グローバル社会の一員 としてより効果的にプレゼンテーションを行うことができるような英語プレゼン テーションの指導案を提示する。

キーワード:

大学英語プレゼンテーション教育 グローバル人材の育成 聴衆との関係 EIL (English as an International Language)

1. はじめに

グローバル化が進む社会において、活躍できる人材の育成の重要性が叫 ばれている中、文部科学省や経済産業省は、産学官でのグローバル人材の 育成を図るための提言を行っている(経済産業省,2010; 文部科学省,2011)。 その一端を担う大学英語教育においても、よりグローバル化を意識した英 語教育を行うべきとして、カリキュラム改革が行われている。特に大学に おける英語プレゼンテーションの授業は、英語で情報を発信する訓練の場 として有効であるので、多くの大学が取り入れる科目となっている。しか し、大学の英語プレゼンテーション教育は現時点では足りない点が多く、

問題点も多く抱えている。筆者は、ここ数年、大学の英語プレゼンテーシ ョン教育に携わっており、英米式のプレゼンテーションの方法を学生に指 導してきた。英米式のプレゼンテーションは、聴衆を惹き付けるような姿 勢やジェスチャーが盛り込まれ、情報が整理された聴衆が理解しやすいよ うな構成であり、これを学ぶことは、英語力を鍛えるばかりでなく、自己

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を表現したり、他者へわかりやすく情報を伝えたりする力も身に付くと期 待できた。しかしながら、英米式のプレゼンテーションが日本人学生には しっくりとこないと感じる場面が多く見られた。例えば、学生は、英米式 に過剰に適応し、ジェスチャーを多用したり、“Do you know~?”という質問 を不自然に繰り返したり、“Yeah.”、“Yey!”、“Guys.” など状況に対してあま りにもカジュアルな台詞を連発する傾向が見られる。また、最も深刻な問 題を抱えている例は、聴衆への目的の提示に関するものである。プレゼン テ ー シ ョ ン の 冒 頭 で 、“This presentation will help you~”や“After this presentation, you will be able to~”といった英語表現を用いてプレゼンテーシ ョンの目的やプレゼンテーションから聴衆が何を得るのかを明示するよう に学生に指導するが、実際の学生のプレゼンテーションでは、明示され ないケースが多い。これは、日本人は他者に自分自身を投射し、相手もプ レゼンターである自分と同じであるから自分に同調してくれると期待する 傾向が強く、他者から独立した個人として存在する傾向は弱い(鈴木, 1973)

という日本人の特性を如実に表している。つまり、プレゼンテーションに おいても、聴衆と自分は同調していることが無意識の前提であって、両者 の対立を明確にし、自分が発信する情報が聴衆にとって何なのか、発信側 がわざわざ明示する必要性は意識されない。前述のような英米式の表現は、

プレゼンターと聴衆の対立が明示される表現であるため、このような日本 人の特性とは相容れないのである。

それでは、日本人の特性を反映しつつも、英米式も取り入れた聴衆にと ってわかりやすいプレゼンテーションを実現するには、どのような指導を したらいいのだろうか。本研究は、グローバルな場面でプレゼンテーショ ンを行った経験のある日本人にインタビューを行い、日本人らしいプレゼ ンテーションとはどのようなものなのかを紐解き、それを日本の大学英語 プレゼンテーションの授業に応用する方法を提案することを目的とする。

2. 研究の背景

2.1. 大学における英語プレゼンテーション教育の研究

最近では、多くの大学が、英語プレゼンテーションの授業を英語カリキュ ラムに導入するにつれて、大学英語プレゼンテーション教育に関する様々

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な研究も行われるようになってきた。主なものに、プレゼンテーションに おける非言語コミュニケーション(Kusanagi, 2015)、プレゼンテーションの 事前準備 (仁科他, 2014)、学生のプレゼンテーションに対する授業前後の意 識変化(藤田他, 2009)、学生のビジネス英語プレゼンテーションの評価を 扱った研究 (藤尾, 2015) が挙げられる。

英語プレゼンテーションでは 、physical messageと言われるジェスチャー (gestures)、アイコンタクト (eye contact)、姿勢 (posture)、声の抑揚 (voice

inflection)といった非言語コミュニケーションが重要になる。Kusanagi (2015)

は、このうち、プレゼンテーションにおけるジェスチャー (gestures)、アイ コンタクト (eye contact)、姿勢 (posture) に着目し、このような非言語的要 素を教師が明示的に学生に指導することが効果的だと確認した。また、学 生にとって一番習得しやすい physical message は姿勢 (posture)であるとい うことが明らかになった。仁科他 (2014) は、指定された英文の内容を、日 本語で発表をするグループと英語で発表するグループでは、準備段階での 英文の読み方が異なることを明らかにした。日本語で発表したグループは 英文を訳読して理解する準備を行っていたが、英語で発表をしたグループ は、要点を英語でまとめる方式を選択していたことがわかった。藤田他

(2009) の研究では、英語プレゼンテーションの授業を受講する前と、した

後の学生のプレゼンテーションに対する意識の変化があったことが明らか になった。プレゼンテーションを行うことに対して消極的であった学生が、

週2回半期の授業の後、プレゼンテーションを行うことに興味を持ち、よ り積極的になり、「人前で話す自信」を得た学生が多くいたことがわかった。

また、藤田他 (2009) は、学生がお互いの原稿を読んでチェックをするpeer

editing が、学生の「読む力」が伸ばすだけでなく、他の学生の努力から刺

激を受ける良い機会となったと述べている。また、お互いのプレゼンテー ションを聞いて評価をするpeer evaluationが、学生の「聴く力」の向上に役 立っただけでなく、話し手をより意識できるようになったことが明らかに なった。

藤尾 (2015) は、学生のビジネスプレゼンテーションに対する大学教員と ビジネスパーソンの評価観点違いについての研究を行った。その結果、語 学を教える大学教員とビジネスパーソンでは、評価の観点が大きく異なる

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ことがわかったことは興味深い。具体的には、ビジネスパーソンからは、

内容面に関しては、コスト面での採算や流通経路など実際のビジネスに即 した内容、事前準備や構成については、フォントサイズなどや数字の使用、

パフォーマンスについては、熱意が見られたなどの全体的な印象について の指摘が多く見られた。それに対し、大学教員からは、プレゼンテーショ ンの構成の論理性、話す速度や、発音などの英語の専門的な視点からの指 摘が多く見られた。また、コメントの中には、大学教員は、「英語」「語彙」

「スピード」「流暢」などの言葉を多用し、ビジネスパーソンは、「コスト」

「市場」「数字」といった語を多く使っていたことから、ビジネスパーソン はビジネスプレゼンテーションに対して、英語面よりもビジネスに即した 内容を評価の対象としていることが明確となった。

これらの研究から、大学の英語プレゼンテーション教育では、語学のス キルが重要視されているが、実社会では、聴衆の求める内容や聴衆を意識 したパフォーマンスが必要とされていることがわかった。つまり、大学の 授業で行われるプレゼンテーションと、実社会で有効なプレゼンテーショ ンにはギャップがあると言える。このギャップを埋める具体的な提案が必 要ではないだろうか。

2.2. 大学英語教育で目指すべき英語とは -EIL(English as an International Language)-

グローバル化が進み、日本人の英語力の向上が急務となったために、日 本人学習者に効果的に学習させる取り組みは盛んであるが、筆者は実際に 大学の英語教育の場に関わって来た中で、日本人としてどのような英語話 者であるべきかというグローバル人材育成の根本的な目標について取り上 げられる機会は殆どないと感じてきた。インド・ヨーロッパ語族に属さな い日本語は、英語と系統が異なるため、共通点も少なく、また、背景にあ る文化・価値観にも異なりがあるため、こうしたことが日本人の英語学習 の障壁となりうるのに、この点は、英語教育の現場では十分に考慮されて いない。今一度、この点を踏まえた、本研究が立脚する日本人学習者が目 標とすべき英語について述べる。

本名 (2013) は、グローバル化する日本企業の国際コミュニケーション戦

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略を立てる上で、社員の国際言語能力の育成の必要性について触れ、特に 英語に関しては、「できるだけ多くの日本人社員が国際言語である英語

(EIL)」(p.24) 能力の育成が重要と述べている。また、グローバル社会に 生きる人材が学ぶべき能力を、文部科学省 (2011) は、「産学官によるグロ ーバル人材育成のための戦略」の中で、「日本人としてのアイデンティティ を持ちながら、(略)異なる言語、文化、価値観を乗り越えて関係を構築する ためのコミュニケーション能力」(p.20) と定義している。したがって、学生 が卒業後に就職する多くの日本企業で活躍するために、日本の大学生の、

国際言語としての英語(EIL)力の育成は急務であると考えられる。

EIL (English as an International Language)「国際英語」は、様々な言語を母 語とする人々とのコミュニケーションに有効な英語である。日野(2008)は、

EILを「国際コミュニケーションのために用いられているときの英語」(p.15) としており、また、英語ネイティブが使う英語ではない、自己文化や個性 を表現する英語、深いレベルでの相互理解のための英語 (日野, 2003)として いる。すなわち、日本語母語話者やタイ語母語話者が国際コミュニケーシ ョンの手段として用いられる英語も EIL となりうる。例えば、英語の母語 話者同士の会話は EIL を用いていない会話であるが、英語母語話者ではな い、韓国語母語話者と日本語母語話者の英語での会話は、EILを用いた会話 となる。EILは、英語母語話者が使用する英語と異なり、非英語母語話者が 母語の影響を受けた直感に合う英語であり、文法上は必ずしも英語母語話 者が自然だと判断するものとは限らない。例えば、日本人は「これができ ない」と英語で伝えたい時に、英語母語話者にとって自然とされる、“I don’t think I can do this.”を“I think I cannot do this.”と言ってしまうことがよくある。

前者の表現は、thinkを否定する形(「(できると)思わない」)であるため、

後者の表現にあるように、do this を否定しようと意図している、つまり「で きない」と言いたい日本語母語話者にとっては、前者の英語表現は直感に 合わない。日本人にとっては後者のほうが自然であり、より伝わりやすい と感じる表現なのである。日野 (2003) が「グローバル教育の観点に立った 英語教育は、その扱う題材・内容から見ても、国際英語を対象とすること が必要であり、伝統的な英米語教育では不可能である」としているように、

グローバル人材の育成には、EILが重要な役割を果たすと言える。

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本研究は、大学英語プレゼンテーション教育の中では、英語母語話者が 使用する英語に従うのではなく、EIL を用いることを重視する立場である。

グローバル化の中にあって、日本人大学生は、英語母語話者の真似をする のではなく、日本人らしさを表現できるような英語使用の訓練が必要であ る。英語プレゼンテーションは、発信型のコミュニケーションに焦点を当 てているため、この訓練に適した場でもある。ここで EIL の考え方を学習 者に示して行くことは、グローバル人材の育成には必要なのだと言える。

2.3. 本研究の目的

本研究では、ビジネスの場で、英語でプレゼンテーションを行った日本 人がどのような意識を持って様々な国籍やバックグラウンドを持つ聴衆に 伝えようとしていたのかについて明らかにする。その結果から、聴衆を意 識した準備・実践を大学の英語プレゼンテーションの授業に取り込む方法 を提案する。

3. 研究方法

3.1. インタビューの詳細

2015年8月から2016年2月までの間にビジネスの場で英語プレゼンテー ションの経験がある4名にインタビューした。インタビュー対象者は、全 員日本の大学を卒業しているが、留学経験や海外駐在経験などは様々であ る (表1参照)。インタビューは1人1時間〜2時間程度行われ、おもに 1)英語プレゼンテーションを行った目的、聴衆の種類や人数など 2)

英語プレゼンテーションの準備方法、3)英語プレゼンテーションに対す る意識(プレゼンテーションをする際に特に気をつけていること)といっ たインタビュー対象者の英語プレゼンテーションの経験について聞いた。

インタビューは、主に大学の会議室や筆者の自宅など静かな場所で行われ、

インタビュイの同意の上でビデオ録画と音声録音された。その後、分析の ためにインタビューを逐語化した。

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3.2. 分析方法

本研究では、インタビューをKJ法 (川喜田, 1986)と呼ばれる質的研究に 特化した分析法を用いて分析を行った。KJ法 (川喜田, 1986 ) は、既成概念 にとらわれずに分析することで、新しい知見を生み出す発想法である。KJ 法ではデータが何を語るのかを読み解いていくデータに根ざした解釈を行 っていく。従って、すでに先行研究にある用語を用いて、既成概念に当て はめて分析を行わない。また、質的研究の特性から、この研究は仮説生成 型であり結果の一般化は目指していない。本研究では、田中 (2012) を参照 し、次の手順で分析を行った。

1. ラベル(カード)作り (1ラベルに付き、1メッセージとする):(イ

ンタビューの書起しから聴衆への意識について言及している発言・それ に関するやりとりを抽出しラベルに貼り付ける)

2. ラベルのグループ編成

a. ラベル拡げ:1で作成したラベルを何も意識せずに無作為に並べる

b. ラベル集め:内容が似ていると思われるラベルを集める。

c. 表札作り:bで集めたラベルの内容を要約する

a,b,c を繰り返し、これ以上まとめられないところまでまとめる

3.空間配置、図解・文章化 (ラベル同士の関係性を検討する)

1と2ではデータの読解を行う。3ではその読解が妥当かを確認する。それ によって分析者が勝手な解釈をしていないかを確認した。

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4. 分析結果 4.1 全体像

インタビューの書起しを分析した後、聴衆に対する意識に関する発言は 85 ヶ所あることがわかった。これを手順2で分析を繰り返した結果、プレ ゼンターが聴衆に対して意識していることは、下記3点に集約できた。

①英語の正確さよりもありのままの情報を伝えよう

②聴衆を自分の側に上手く引き入れよう

③聴衆と同等な関係を築きたい1

4.2 インタビュイが重視していること

以下では前節の①〜③に至る具体的な発言例を示すとともに、そこに見 られるインタビュイの考えを読み解いていく。2(( )内の文字は、図1の文 字と同じ)

4.2.1 「英語の正確さよりもありのままの情報を伝えよう」

インタビューからインタビュイはありのままを伝えることが大事である と感じていることが読み取れた (く)。インタビュイは、そのために、視覚 情報を提示して伝えたいイメージを正確に伝える (h) (例1)、専門家に真意 が伝わるように用語の使用に気を配る (m) (例 2)といった工夫をしている と語っていた。

例1:

I04:まず具体的なやっぱり何か例を言わないと駄目かなと思うんで。普通 に、一番向こうで驚いたのは、やっぱり地震の、阪神淡路大震災と、それ から東日本の震災の、火力発電とか原子力発電所が被災したと。その状況 についてね、プレゼンをしたと。で、それは私自身が調査して、で、写真

1 「同等な関係」とは、社会的地位が同等であることを意味するのではなく、プレ ゼンテーションが行われる空間で、プレゼンター(情報提供側)と聴衆(情報受信 側)という対立的な立場の差を可能な限り小さくし、互いに親近感を持てるような 関係を指す。

2 ここで示す発言例の、「あー」「あのー」などの言いよどみの表現は取り除いた。

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も撮って。技術的にどういうふうに対処したかとか、そういうのも、全部、

調査して、で、写真撮ってやったということなんで、そのパワーポイント 自身がその写真を中心に、やったと。で、対策はですね写真が撮れるやつ もあるし、写真を撮れないやつは、まあイラストみたいな形でやった。と いうことで、その物を具体的に見せると。で、調査して内容をきちっと説 明すると。そういうのを、に心掛けました。特にそういう調査したやつに ついては非常に写真とかですね、そういうものをこう中心にやっていくと。

で、たとえば日本のエネルギーの現状とかですね、そういうのも当然やる わけですけれども、そういうのはグラフだとか、そういうのをずっと集め てですね。で、もちろん自分で調査したやつもありますし、自分で経験し たものも含めてですね、やっていくということで、特にそのグラフとか、

発電所だったら発電所の具体的な、写真とかそういうものをきちんと出し てやっていくということをやってましたね。

この発言から、インタビュイは震災の様子を説明するにあたり、自分の言 葉で語るよりも、実際に視覚的に示した方が、そのままの様子が正確に伝 わると考えている。自分が伝えたいイメージと、聴衆が想像するイメージ との間にギャップが生まれないように、自分が実際に撮った写真を使用す ることが効果的だと述べている。

例2:

I04:英語の専門の、外務省の専門家の人が多分チェックしてやってると思 うんでね、まあそのまま使った。で、業界団体のやつもそのまま使いまし た。私自身は手加えずに。

Q:なるほど、はい、分かりました。

I04:そういうふうにしないと、真意が伝わらない。

Q:はい。そうですね。

I04:自分が、しゃべりやすいように書いたというのはまずいかなと。

Q:まずい。じゃあ、何かこう公式に出てるものにのっとってその英語を、

表現を使っている。

I04:そうそう、そこのとこは、そこのとこはね。ここはこう言ってる、首

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相はこう言ってる、で、業界団体はこう言ってる。で、私自身はこう考え ると。そういうふうにしてきちっとね、分かりやすいようにしたと。

下線部にあるように、インタビュイは、主観や自分の感覚で説明するので はなく、公式資料の用語や専門家が使う用語を使用して説明することで、

客観的な情報伝達を重視していると考えられる。

また、インタビュイは伝えるためには使用言語より大事なことがある(い)

(例3) と考えていることが読み取れ、英語を気にするより自分のペースを

保った方が内容の共有ができる(f) (例4) としている。

例3:

I03:そのプレゼンテーションをする人に身に付いている英語の方言ってい うかアクセントがありますよね。そのアクセントはなるべくニュートラル な方がいいけども、自分が慣れないのに無理してすることによって、スピ ーチ全体がうまく出来なくなる。例えばつっかえちゃったり、イントネー ション間違っちゃったりするようなことまでやる必要はないと思いますね。

例4:

I04:集まってるオーディエンスの価値と共有できてるかとか、ものすごいね、

新しいことで、参考になるかとか、こういう経験で自分たちが何か、価値 が共有できるかとかね。そういう中身によって、に決まるんで、その、英 語がものすごい達者で、ぺらぺらっとこうできたから良かったのかってい ったら、そうでもない。

これらの発言から、インタビュイは使用言語が母語でない(英語である)

ことを意識したり、正しい言語表現を用いるよう注意したりするのではな く、ある程度自分のペースを保ったほうが内容が伝わりやすく、内容をき ちんと伝えることの方が重要であると考えていると言える。

4.2.2 「聴衆を自分側に上手く引き入れよう」

インタビュイは、聴衆へ言いたいことが伝わるようにする方法の1つと

(13)

して、聴衆を何とかプレゼンターの側に引きつけ、聴衆をリードする工夫 も行っている。その背景には、聴衆を自分のペースに乗せて自分の主張を すんなり理解してもらおう (あ) (例5、例6) という意図が見られる。

例5:

I02:ちゃちゃ入れられると、自分が言ってる、この、それこそスクリプトの 言いたいことっていうのがずれていくから。それはまず、一回全部聞いて って思うかもしれないね。

例6:

I02: 英語だと、どっちかっていうと、まず、その、自分のその、伝えたい

ものって、これ多分、ランゲージバリアーだと思うんだけど。あの、「言わ なきゃ」っていうところで、「ちょっと邪魔しないで」っていう感じになる かもね。

これらの発言にあるように、英語力に自信がないこともあって伝わり漏れ をなくすために邪魔されたくない (b) と感じているようである。また、聴 衆の集中を高める (l) (例7) 工夫も見られる。

例7:

I03:そうですね。集中をどうやって高めてもらうかっていうことは、いつ も考えてますね。

Q:分かりました。じゃあその沈黙のあとはわりと大事なことを言う感じに。

I03:うん、だから英語で言えば、「ナウ レディース・アンド・ジェントル

マン」とかって言う言い方もありますよね。そうやってこう「さて皆さん」

っていうような、そういうことを使うこともあるし、うーん、あとはなん だろうな、考えられることって、事前に準備してできることとその場で思 い付いてやることがあるから、なんとも言えないですけど、ちょっとお水 を飲んでみたりとかですね、いろんな方法ありますけど、あの間をうまく 使うっていうんですかね。

Q:使う。はい。

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I03:それは言葉1つ1つのパンクチュエーションとはまた違う。

Q:違う。うん。

I03:間っていうのが。

Q:間。はい。

I03:大事なんでしょうね。

インタビュイはプレゼンテーションの中で、適度に間を取り、聴衆が理解 するタイミングを与えるなどしながら、聴衆を引き付け続けるための工夫 も必要だと考えている。またこれ以外にも、自分へ注目させる(う) (例9)よ う意識しているときもあり、自分の姿を見て貰えるように注意を促してい る(c) (例8)。

例8:

I01:そうね。だけど、あの、あんまりパワポとか配布資料ずっと見られる と、プレゼン聞いてもらえへんかったりするから。あの、配るけど、まあ、

「参考程度に配りますんで、あの、前、前を、プロジェクター、スクリー ン見てください」みたいな感じで言うけどね。

Q:なるほどね。

I01:特に英語のときは、そうやな。だって、ジェスチャーとかも交えてや ろうとしてんのに、見てもらえへんかったら、あまり伝わらへんからね。

下線部の発言にあるように、インタビュイは、ジェスチャーを交えて伝え るために、聴衆の視線をコントロールする工夫もしている。また自信のあ る態度を表すことで注目してもらえるように意識している。

例9:

I01:日本語やと、もうちょっとこう、謙虚に「ごめんなさい、ここはちょっ とまだ詰めきれてないんですけど」みたいな。何かこう、ちょっと謙虚さ を出しつつ、何か、相手に伝えていくっていうようなことをやってる気が するけど。もう、取りあえず、英語のときはもう自信満々に、「信じてくれ」

みたいな感じで。

(15)

この発言にあるように、インタビュイは、聴衆が日本文化を共有した日 本語母語話者ではないことも念頭に、聴衆に飽きさせることなくプレゼン テーションを続けることも意識していると考えられる。

以上5例から、インタビュイは、聴衆への意識の1つとして、聴衆がプ レゼンテーションに付いてくるよう誘導することも必要であると考えてい ると言える。

4.2.3 「聴衆と同等な関係を築きたい」

インタビュイは、聴衆と同等な関係を築くために、聴衆と考え方を共有 してプレゼンテーションにしたい (お) と考えていることがわかった。その ためには、相手と同じプラットフォームに立った雰囲気作りをする (n) (例11) ことや仲間として1つのブラットフォームに立つために波長を合わ せる努力をする(a) (例11) といった工夫している。

例10:

I03:それからもしも行った国とかですね、その会場の国とか、あるいは、

対象の聴衆の人が特定の国の人だったりすれば、その国のこととか日本と の関係とかですね、そういうことをできるだけ早く言って、まあ相手に喜 んでもらうっていうんですかね。

(略)

I03:そのプレゼンテーションの最初のごく短い時間の間に、相手のとの距 離を縮める努力っていうのは。

Q:縮める。

I03:ぜひ必要になってくるわけですね。

インタビュイは、聴衆に身近に感じてもらえるような話題などを出して距 離を縮める努力をしていることが伺える。

例11:

I03: でも、あの、ヨーロッパの人、アメリカの人、南アジアの人だと、あ

の、日本の国がどういう国かとか、日本人の物の考え方はどうかっていう

(16)

ことに、なんて言うんだろう、私が日本人同士で話をする、日本人に対し てプレゼンテーションをするときと、同じような予備知識があるとは言え ませんよね。そうするとその辺りには気をつけて、基本的な違いだと認識 できるものは短い説明でも加えながらやっていくというようなこと。

Q:うん、なるほど。

I03:そういう、つまり相手の人と、一番大事なことは情報の共有をするこ と、それから共感を呼ぶことですよね。えー、だからそれを補ったり、あ るいは必要のないものはお互いのすでに共通理解ができてるものをうまく、

間違いなくうまく使うと。

インタビュイは、情報共有をしたり、共通に理解していることを提示する ことで聴衆との波長を合わせて、共感を得る努力をしている。

また、インタビュイは、聴衆に気を損ねずに聞いてほしい (え) ため、相手 との良好な関係を維持するために相手のやり方を優先 (g) (例12) し、主観 的にならず相手のニーズにポイントを絞った (k) プレゼンテーションを心 がけている。

例12:

I02:自分が言いたいことが確実に伝えられるようにするにはどうしたらい いかということと、相手の人がそれを、なんて言ったらいいやろうな、ス ムーズに思考の流れの中で、相手の思考の流れの中でスムーズに受け止め てもらえる配列っていうのはどういうふうにやるかっていうことを考えな がら。

I02:アメリカ人は、きちっと もう細かいとこでも説明しないと伝わらない っていうのは。

Q:なるほど。

I02:結構、うん、経験の中で学んだことかな。

インタビュイは聴衆の思考ややり方を理解し、それに則ってプレゼンテー ションを進めることで、聴衆の気を損ねることなく、自分の意図を理解し てもらう工夫をしている。

(17)

さらに、インタビュイは、要点のみをシンプルに伝え聴衆の負担を減ら す(j) (例13)、Native の英語ではなく、伝わりやすい英語を重視する(d) (例 14) ことで英語を気にしすぎず聴衆のことを考えている (か)。

例13:

I01:まあ、マックス3つまで。例えば1時間の枠の中で、伝えたいこと、マ

ックス3つまでにして、まあ、それが伝われば、残りの 7個はその場で伝 わらなくても、もう、重要なとこ、3つ伝わったら、芋づる式に伝わるやろ みたいな割り切り。

全部をプレゼンテーションに盛り込むのではなく、一番伝えたい要点のみ を選んで伝えることで、聴衆の負担を減らし、理解してもらいやすくなる 工夫をしている。

例14:

I01:相手によって変えようとは思ってないんだけど、でも、相手も自分と 同じように、母国語をね、あ、英語を母国語としてない人もいる、当然そ っちの方が多いかもしれないので、極力難しい単語とか語彙は使わないよ うにしてる。

Q:なるほど

I01:最低限の語彙のコンビネーションで、伝えるようにしてる。

特に英語を母語としない聴衆には、シンプルな英語で伝えることで、自分 の意見を理解してもらえると体感している。

インタビュイは、相手の環境を無視していないことを明確にし(i) (例 15)、

聴衆に自分の考えで動いていないことを示す (き) ことで、聴衆と同等な立 場に立つことができていると感じている。

例15:

I03:その部分をどうやって、だからやっぱりいつも大事なことは、聴衆の、

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そうおっしゃる通り、相手の立場がどうなのか、相手の環境がどうなのか っていうことを考えて、話のポイントの置き方っていうのをこう対応する っていうんですかね。全く触れないんではなくて、例えばわれわれはすで にここまでいってるけど、皆さんのところはまだこの段階だろうから、そ の段階のときにはこういう問題が経験で言うと必ずあるからっていうよう なふうにするとかですね。

インタビュイは聴衆の置かれた環境や立場を自分の置かれた環境や立場と 照らしあわせながら説明することで、聴衆は、インタビュイの話を自分の 立場から理解することができる。

4.3 まとめ :インタビューからわかるプレゼンテーションにおける聴衆へ の意識

日本人のプレゼンターは、外国人の聴衆に対し英語でプレゼンテーショ ンを行うとき、聴衆と同等な関係を築こうとする(③)。その方法として、

英語の正確な表現の使用等の運用の巧みさを重視するのではなく (①)、聴 衆をうまく自分側に引き込みながら (②)、違和感なく内容が受け入れられ ることに焦点を当て、視覚情報を提示したり、専門用語の使用に留意した りしながら、客観的な情報提供に徹し、ありのままに伝えることを重視し ている(①)。

5. 考察と大学英語プレゼンテーション教育への応用

分析の結果、グローバルな場面で英語プレゼンテーションを行った経験 のある社会人はネイティブのような英語を身につけ、それを駆使して聴衆 に自分の意見を伝えることを重要視していないことがわかった。むしろ限 られた英語運用能力の範囲で聴衆と理解し合える関係を築いていくことで、

自分の意見を正しく伝える努力をしていることがわかった。大学卒業後に グローバルな場面で英語プレゼンテーションをする機会を持つと想定され る多くの大学生は、限られた英語力でプレゼンテーションを行うことにな る。大学英語プレセンテーション教育では、英語の運用法よりも、聴衆と いかに理解し合える関係を築いていくかということに焦点を当てるべきだ

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と考える。大学生は将来、日本人としてのアイデンティティを英語で表現 しながらも、英語圏の人々だけではなく、様々なバックグラウンドを持つ 人々に向けて英語でプレゼンテーションを行うことになると想定される。

従って、大学の英語プレゼンテーション教育は、単なる語学教育に留まる のではなく、国際人としての態度を身につける教育として位置づけられる べきだと言える。

そこで、本研究のインタビュー分析から見えた社会人の英語プレゼンテ ーションにおける実践を大学の英語プレゼンテーション教育へ取り入れる 方法を提案したい。

5.1. 正しい情報の伝え方の指導

グローバルな場面で英語のプレゼンテーションを行った社会人は、聴衆 と効果的に情報を共有するためには自分の主観や感覚に基づいて説明する のではなく、客観的な視点を用いて説明をしていることがわかった。例え ば、専門用語を自分で適当に英語に翻訳するのではなく、公式に出版され ている英語の資料から引用することで、正しい情報を聴衆に伝えていた。

また、視覚資料は、インターネットなどでダウンロードしたものなどを使 用するのではなく、自分で撮影した写真を使用して、自分の伝えたいイメ ージを聴衆と共有する努力をしていた。したがって、大学の英語プレゼン テーション教育においても、1)準備の段階で、学生に英字新聞や公式英 文書などで客観的な情報を収集させて、そこで使用されている用語を用い たり情報を引用したりすることを徹底させる、2)インターネットからの ダウンロードなど他人が作成したものではなく、学生が自分で撮影した写 真や描いたイラストを使用させることのできるアクティビティを導入する ことを提案する。このようなアクティビティを通して、学生が正しい情報 や自分がイメージしていることをありのままに聴衆に伝えることができる ようになると考える。

5.2. 聴衆をプレゼンター側へ引き込む方法の指導

社会人は、聴衆を自分の側に上手く引き込むことで、聴衆がプレゼンタ ーの話に集中するような工夫をしていた。その工夫の一つに、間の取り方

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や話すタイミングが挙げられる。すでに、身振り手振り (gesture)、姿勢 (posture)、視線 (eye contact)、声の抑揚 (voice inflection) といったことが一 般的に指導されているが、今一度、聴衆の集中を促す効果的な「間の取り 方」を各自で考えるよう促す必要がある。

また、社会人は、質問などを途中で受けつけずに、一旦聴衆に全てのプ レゼンテーションを聞いてもらうことで、自分の言いたいことを最後まで 正確に伝える工夫をしていた。それを受けて、大学の英語プレゼンテーシ ョンの授業では、まず、自分のプレゼンテーションを先にさせて欲しいと いう意思を示すための英語表現を教えることを提案する。例えば、プレゼ ンテーションを始める前に、“I'm happy to take your questions after this presentation, so let me give my ideas first.”「まず、私の話を聞いてください。

質問はプレゼンテーションの後で喜んで受け付けます。」といった表現を教 える。これにより、聴衆はプレゼンテーションの途中で質問をできなくて も、後で機会があるという安心感を持って集中して聞くことができ、プレ ゼンターも自分の意見を最初から最後まで、ペースを乱されることなく発 信することができる。母語ではない言語を使用しなければならない環境で は、プレゼンテーションを行うことに、集中できる状況を作り出すことは 大切である。

さらに、聴衆に最後まで集中してプレゼンテーションを聞いてもらうた めには、やはりプレゼンテーションの目的を初めに共有しておく必要があ ることもわかった。1章でも述べたように、英米方式を採用した大学の英 語プレゼンテーションの授業では、“This presentation will help you understand

~”や“After this presentation, you will ~”といった表現を用いてプレゼンテーシ ョンの冒頭で目的を明確にするよう学生に指導しているが、定着しなかっ た。その理由はこれらの表現が、プレゼンターが一方的に聴衆の理解を求 めている表現であり、プレゼンターと聴衆という対立を持たず相手と同調 しようとする日本人の特性に合わない可能性があったからである。日本人 大学生には、“Here I would like to share the goal of this presentation with you.

The goal is~” 「ここで皆さんとこのプレゼンテーションの目的を共有したい

と思います。目的は~」といった聴衆を自分のプレゼンテーションに巻きこ むニュアンスを持つ表現を教えるべきである。つまり、プレゼンターがプ

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レゼンテーションの目的を聴衆と「共有」(share) したいという意思を聴衆 にはっきりと伝える表現のほうが日本人の特性にあっている。このような 表現は、EILの考え方にかなった日本人の直感にあった英語表現であると言 える。

5.3. 聴衆と同等な関係を築くための指導

インタビューでは、社会人は聴衆の国の事情や文化を理解し、相手が英 語母語話者ではない可能性があることも考慮に入れることで、聴衆が自然 と自分の懐に入ってくるように工夫をし、自己表現を実現していた。その ためには、聴衆の立場を理解するための事前の聴衆分析の必要性について 述べていた。日野 (2003) は、従来の英米語教育では英米的な価値観を学ぶ ことが重視されていたが、EIL 教育では、多様な文化的背景を有するため、

より文化的理解の幅を広げる必要があり、従来の英米語教育よりも異文化 理解の比重は大きいと述べている。実社会では、EILの異文化理解に基づく コミュニケ―ションが行われていることがわかった。したがって、大学の 英語プレゼンテーションの授業においても、プレゼンテーションの準備の 段階で、聴衆の文化、ニーズ、聴衆が置かれている状況についても考える 機会を与えることが重要になってくる。学生に、プレゼンターと聴衆の国 籍や置かれている状況など細かく設定したプレゼンテーションの課題を与 え、準備段階で、聴衆の文化や言語、聴衆が知りたいこと、聴衆が置かれ ている状況について詳しく調査したことをプレゼンテーションに盛り込む ことで、学生は聴衆に配慮したプレゼンテーションを行うことができるよ うなる。例えば、プレゼンターが、冒頭で、聴衆の国や文化に関すること やニュースで話題になっていることを話すことで、聴衆はより親近感を持 ってプレゼンテーションを聞くことができる。また、聴衆の文化や国の事 情を踏まえた説明をすることで、より聴衆の理解を高めることが可能にな る。

6. まとめと今後の課題

本研究では、英語でプレゼンテーション経験のある日本人の社会人にイ ンタビューを行い、聴衆の意識について焦点を当てて分析をした。社会人

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はプレゼンテーションにおいて、1)英語の正確さよりもありのままの情報 を伝えよう、2)聴衆を自分の側に上手く引き入れよう、3)聴衆と同等な 関係を築きたい の3点を意識していることを示した。これらの聴衆への意 識から、グローバルな場面で成功している社会人は、ネイティブのような 英語を駆使して一方的に自分の言いたいことを伝えるのではなく、相手の 立場の状況を考慮することで、うまく聴衆を取り込むことで自己表現を実 現し意思疎通を図っているという現実も見えた。

2.2では、本研究では、将来グローバルな場面で英語でプレゼンテーショ ンを行うと想定した大学英語プレゼンテーション教育においては、英語で の自己表現の実現のために積極的にEIL (国際英語) の考え方を取り入れた 教育を行うべきだと述べた。5章では、分析の結果を元に、EILの考え方を 取り入れ、実際の大学における英語プレゼンテーションの授業で行うべき 指導を提案した。

日本人大学生が将来グローバルな場面で活躍するために、大学生に日本 人の特性を改めて認識させ、英米式に過剰にとらわれない英語話者になれ るような大学英語教育を発展させていくことが重要である。

本研究は、「グローバル人材育成のための大学英語プレゼンテーション教育 の学際的研究」(平成27〜29年度 挑戦的萌芽研究 15K1291代表者: 田村 朋子)のもとで行われている。

本稿は、2016年3月13日に早稲田大学で行われた日本英語教育学会年次研 究集会での発表「社会人のプレゼンテーションにおける聴衆への意識:グ ローバル社会の要請に応える大学英語プレゼンテーション教育を目指し て」を大幅に加筆・修正したものである。

参考文献

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Appendix 1

参照

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