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その1) ―教養・実務系と福祉系「専門学校」を 中心に―

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

生涯学習における「専門学校」の位置と学校展開(

その1) ―教養・実務系と福祉系「専門学校」を 中心に―

著者 一盛 真, 平尾 竜一, 玉村 公二彦

雑誌名 奈良教育大学教育研究所紀要

巻 36

ページ 93‑103

発行年 2000‑03‑01

その他のタイトル Contemporary trends of technical and

vocational colleges in the age of life‑long education

URL http://hdl.handle.net/10105/7024

(2)

生涯学習における「専門学校」の位置と学校展開(その1)‡

      教養・実務系と福祉系「専門学校」を中心に一

 一盛  真     平尾 竜一     玉村公二彦

(早稲田セミナー)(日本福祉ビジネス専門学院)(障害児学教室)

要旨:いわゆる「専門学校」は、1976年以降設置された専修学校と各種学 校によって構成される。本稿では、専門学校の全体的な推移の特徴を明ら かにし、今日的な学校展開の特徴を示している教養・実務系と福祉系の

「専門学校」に注目して、生涯学習体系の中にしめる位置を、大学との関 連、新たな資格取得との対応などを視点として検討した。特徴的な変化の 動向として、教養・実務系は、大学への編入学やあるいは大学卒業時点の 就職面での補強を行うWスクールとしての位置ヘジフトがみられ、福祉系 は、介護福祉士やホームヘルパーなど新たな資格取得への対応があった。

キーワード:専門学校、専修学校、各種学校        I.問題と方法

 1.問 題

 「専門学校」と呼ばれる専修学校・各種学校は、特に社会の変化に影響を受け、社会の人材養 成に即応するかたちで変化してきた教育機関である。今日、臨教審や政府の提唱した「生涯学習」

政策、また高齢化社会のための「生きがい創造」、さらには平成不況と呼ばれる経済情勢に合わ せた「職業能力開発」、少子化による生徒減の「存亡の危機」といった時代の流れの下で、専修 学校や各種学校は社会事情の変化に対応し、その内容を変化させている。これらの「専門学校」

については、資格取得案内等の形態で動向を示す情報は多いものの、研究として「専門学校」に 焦点をあてたものはほとんどない。研究としては、「専門学校」在校生や受講生を対象とした調 査研究はなされているが、「専門学校」そのものの学校展開を検討したものではない。労働経済 論の観点から、教育的達成と労働市場との関係で「専門学校」が研究の対象ともなる可衛生をもっ ているが、その可能性と同時に、その教育機関としての性格が考慮される必要もある。それに対

して、従来の教育学的アプローチでは、学校教育と社会教育の区分の中で、流動性の高い「専門 学校」を視野に入れることは十分でなかったという事情がある。本研究では、いわゆる「専門学 校」に焦点をあててその動向の検討を試みる。

 学校教育法に基づけば、いわゆる「専門学校」は、各種学校と専修学校によって構成される。

専門学校の名称は、1975年(昭和50)7月の学校教育法改正により専修学校制度カミ発足し、専門 学校の名称を専用している(学校教育法第83条の2②「専門課程を置く専修学校以外の教育施設

 ℃ontemporary trends of technica1and vocationa1co11eges in the age of1ife−1ong education  lCHIMORI Makoto(Wλ8亙Dλ8e〃παr CoZ王ege,Ho冶α{do)

gIRAO Tatsuichi(Jαραπωeゲαreαπd B{8加ess Co〃ege,τo為ツ。)

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sAMAMURA Kuniko(Dψαr舳刎。ゾ曲θc1α畑ぬ。αご三〇η,Nαrασπ三リθ8切。/〃 ω士{㎝,

  Nαrα)

一93一

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は専門学校の名称を…用いてはならない」)。ここでは、「専門学校」を通称として捉え、少子化 著しい現在の厳しい状況でのその業界団体や各校の取り組み、模索を中心に、社会的影響がどの ように反映されているのかを生涯学習と資格取得という観点から検討してみたい。

 2 資格取得と「専門学校」の学校展開

 いわゆる「専門学校」の分野分類は、文部省学校統計基本調査にならえば、「工業関係」r農業 関係」「医療関係」「衛生関係」「教育・社会福祉関係」「商業実務関係」「家政関係」「文化・教養 関係」「その他(予備校・自動車操縦・外国人学校含む)」という9分類となる。設置主体では

「国立」「公立」の官立と、「私立」と総称される「学校法人」「準学校法人」「財団法人」「社団法 人」「その他の法人」「個人」の8分類となる。

 また、「専門学校」は職業に役立っ教育、企業の即戦力としての職業人を養成することを目的 とする学校だけに、資格検定などと結び付くものが多い。また逆に「専門学校」の方でも、入学 者募集のためにこうした各種資格取得を目的とした教育に力を入れてい孔就学形態は、様々で あるが、高卒者が進学する「専門学校」は、多くが2年能1」または3年制であり、したがって短大 学歴に見合うように設置されるものもある。また各種学校には、司法試験や国家公務員I種など の難関試験準備を目標にする学校もある。いずれにせよ、18歳人口が急激に減少していることか

らかってのような専門学校ブームはなくなったが、資格・検定を取得するための学校として利用 価値を存在根拠としている場合も多い。なお無認可では資格取得ができないことにも留意する必 要がある。

 専門学校で取得することができる資格ないしその検定試験のための準備、また就職との関連試 験について、主なものだけでも次のようなものをあげることができる。

 工業系1測量士、危険物取扱者、消防設備士、自動車整備士・建築士、電気工事士・電気主任     技術者、航空整備士、インテリアプランナー、インテリアコーディネーター、総合無線     通信士、陸上無線通信士、トレース、情報処理技術者、公害防止管理者

 医療系1臨床検査技術士、歯科衛生士、看護婦・士、理学療法士、鍼灸指圧、作業療法士、放     射線技術者、歯科技工士、視能訓練士、義肢装具士、薬剤師薬事関係、保健婦、助産婦  教育・福祉・衛生系:保育士、幼稚園教諭、小学校教諭、中学校教諭、養護教諭、ホームヘル     パー、介護福祉士、社会福祉士・社会福祉主事任用資格・栄養士・調理師、製菓衛生師、

    理容師、美容師、エスティシャン

 法務系=司法試験、司法書士、行政書士、公認会計士補、税理士、中小企業診断士、社会保険     労務士・英文会計、米国会計公認会計士

 不動産・公務員系 不動産鑑定士、土地家屋調査士、住宅建物取引主任者、国家公務員I種I     種I皿種、地方公務員上級中級初級、国税専門家官

 ビジネス系:簿記、パソコンユーザー検定、秘書、医療秘書・事務、ワープロ、旅行業務取り     扱い主任者、通訳案内業、通関士、英語・諸外国語、料飲サービス土、英文簿記、翻訳  以下、まず、「専門学校」の統計を検討しながら、全国的な学校展開の特徴について検討する。

その上で、以下の2つの動向について事例的な聞き取り調査をおこなった。すなわち、一つは、

高等教育との関連を重視して、少子化に変化をあわせ、多角経営化がすすむ「商業実務系」「文 化・教養系」および「その他」に属する予備校群を取り上げた。ついで、「教育・社会福祉」系 として介護福祉養成施設の業界団体ならびに介護保険法施行を控える福祉ビジネスを対象とした

一94一

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「専門学校」を取り上げる。なお、受講生の動向調査もあわせて検討することとしたい。

n.いわゆる「専門学校」の定義と存立根拠 各種学校・専修学校の法的規定と重力向  1.各種学校の定義

 現行の法規定では、各種学校の成立根拠は学校教育法にその基礎をおいている。その第83条で、

「第1条に掲げるもの以外のもので、学校教育に類する教育を行うもの(当該教育を行うにつき 他の法律に特別の規定があるもの及び第82条の二に規定する専修学校の教育を行うものを除く。)

は、これを各種学校とする。」と規定されている。

 教育学的には、学校教育とは、一定の目的と、その目的を達成するための一定の教育課程とを もって、特定の教育者が、特定の被教育者に対し、一定の場所において、継続的、言十画的に教育 を行う方式をいう。このような教育のうち、各種学校とは、(a)学校教育法第1条に定める学 校、(b)防衛庁設置法による防衛大学校や職業訓練法による職業訓練大学校などの他の法律に 特別の規定のあるもの、(c)1975年7月11日の学校教育法改正により旧来の各種学校から独立

した専修学校の三類型を除く、学校教育の亜種をさす。したがって、各種学校は法的規制のもっ とも少ない学校教育方式であるともいえる。唯一の法的規制は各種学校規程(1956年文部省令)

の基準に従い、私立の場合でも都道府県知事の設置認可を受けなければならないことである。

 あわせて、専門学校の名称を専用する専修学校にっいてもふれておこう。1975年7月の学校教 育法改正により専修学校制度が発足した。従来の各種学校のうち一定の規模、水準を有する組織 的な教育を行うものを専修学校として位置づけ、その振興を図ろうとするものである。専修学校 となるには、修業年限1年以上、年間授業時数800時間以上、生徒数40人以上などの条件を備え なければならない。専修学校はその目的に応じ、高等課程、専門課程および一般課程に分かれる。

このうち高校卒業を入学資格とする専門課程を置く学校は、専門学校と称することができるとさ

れた。

 2 「専門学校」の動向

 歴史的経緯としていえば、「専門学校」は、1879(明治12)年の教育令にその成立が始まる。

教育令が「学校ハ小学校中学校大学校師範学校専門学校其他各種ノ学校トス」と規定したことに より、法制上にその姿が現れた。翌80年には文部省年報により教育統計上の独立項目となる。各 年度の学校数、生徒数、生徒の性別構成比は時期により著しい変化がみられる。

 明治初期の各種学校の主流は漢学校、英語学校、外国語学校であって、男子の比率が圧倒的に 高い。明治中期になって、男子の中等・高等教育が整備されるとともにこの特徴は消滅し、日本 の産業革命の進行に伴い、かわって工業系、商業系の各種学校が台頭するが、男子の実業学校、

専門学校整備とともに男子の比率は急速に降下し、女子の職業教育、技能教育を目的とする各種 学校が主流となる。昭和期に入って、日本の産業構造が軽工業から重工業、軍需工業に比重を移 すと、これらの分野の下級・中級技術者の短期養成を目ざす各種学校が急増し、男子の比率は持 ち直したが、第二次世界大戦中、国策遂行上必要なものだけに整理され、各種学校は急減した。

 第二次大戦後、新学制の発足とともにr専門学校」も急変した。1948年「一以上の教科若しく は技術、またはこれらの双方を教授する教育施設にして2名以上の教員と20名以上の生徒を擁す るものは、すべて学校教育法第84条の規定によってこれを各種学校として認める」という通達が 出され、いわば各種学校が自由化された。さらに、腕に技術、技能をという風潮と、女性の社会

一95一

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進出という社会的条件のもとで、多種多様の各種学校が籏生し、その隆盛をみた。表1−A,1−

Bに年代別各種学校・専修学校の学校数と生徒数を示した。56年に現行の各種学校規程が制定さ れ、各種学校の基準が厳格となって、学校数は8000校で横ばいとなり、高等学校や大学への進学 率が高まるとともに、68年をピークとして生徒数も減少した。また76年からの専修学校制度の発 足により各種学校は急減した。1976年以降での、各種学校から新設された専修学校への転換が見 られる。この専修学校としては、後に述べるように看護学校に代表される医療系専門学校と工業 系専門学校が各種学校から移行していた。1990年代に入って、福祉系専修学校が増加していた。

 3.全体的推移の今日的特徴

       表1−A 年代別各種学校・専修学校の学校数

       専修学校    各種学校

計   国 立  公 立

893 2.520 3.015 3.300 3.476 3,546

46 187

ユ78

166 152 147

28 146 173 182 219 220

私立

819 2.187 2.664

2.952

3.105 3,179

年代

1955 1960 1965 1970 1975

(1976)

1980 1985 1990 1995 1997

計 7.305 8.089 7.837 8.011 7,956

5.302 4.300 3.436 2.821 2,601

国立  28  51  64  72  65

11 8 4 3 2

公 立  338  322  248  231  269

155 112 85 59 51

私立

6.939 7.716 7.525 7.708 7,622

5.136 4.180 3.347 2.759 2,548

専 計    女  性

       注=単位は校、文部省「文部統計要覧(平成10年版)」による。

        11976年より学校教育法改正によるr専修学校」創設開始。

 表1−B年代別専修学校・各種学校生徒数 修  学  校      各  種  学  校

  男性 年代 計  女性 男性

131492 432914 538175

791.431 813.347

788996

104,425(79.4%)

287,938(66.59缶)

312,185(58.09{)

410,543(51.9%)

420,282(51,79も)

410,695(52.1%)

27,075(20.6%)

144,976(33.5%)

225,990(42.O%)

380,888(48.19{)

393,065(48.3%)

378,301(47.9%)

1955 1960 1965 1970 1975 qg7⑤ 1980 1985 1990 1995 1997

958.292 763,762(79.7%)194,530(20.3%)

1,239.621 923,944(74.5%)315,677(25.5%)

1,383.7121,O07,210(72.8%)376,502(27.2%)

1,352.686 934,408(69.1%)418,278(30,9%)

1,205.318 754,694(62.6%)450,624(37.4%)

724.401 530.159 425.341 321,105 279,946

380,444(52.5%)343,957(47.5%)

258,464(48.8%)271,695(51.2%)

208,342(49.0%)216,999(51.O%)

159,808(49.8%)161,297(50.2%)

142,464(50.9%)137,482(50.1%)

       注=単位は校、文部省r文部統書十要覧(平成10年版)」による。

      =1976年より学校教育法改正による「専修学校」創設開始。

 (1)全体的推移の特徴

 表2−A,2−Bは1984年、1997年現在の各種学校・専修学校の学校数ならびに生徒数の現況 である。全体として、少子化にともなう生徒減により、学校数については各種学校が最盛期の約

3分の1まで減少し、専修学校では微増となっている。設置者別では、各種学校・専修学校とも

一一

X6一

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に(97.9%,90.0%)私立校が圧倒的に多い。生徒数については全体的に減少しており、特に各種 学校では著しい。また、男女別ではひところの女性上位が終わり、ほぼ男女同率である。もちろ ん分野別では男女比に大きな差がある。

 分野別では、各種学校の4分の1以上を占める自動車操縦が全体のトップにあり、18歳人口減 少で減少著しいもののには予備校、伝統的な商業実務系、医療系、女性の中心分野をなす家政系

と続く。自動車操縦と予備校とあわせて各種学校の約半数を占めている。茶華道、書道、語学な どを内容とする文化・教養系は、多数の生徒を集めている。加えて、項目には上がっていないも のの、その他の部分での外国人学校は多数の生徒を集めている(約3万)。

 専修学校の4分の1以上を占める女子の中心分野である医療系が全体のトップにあり、続いて 男子の中心分野の工業系、文化・教養系、伝統的な商業実務系、と続く。医療系と工業系とあわ せて全体の約半数であり、上記4分野では専修学校のほとんどを占める。

 一方、分野別の占めるシェアの15年間の変化についてみれば、増加傾向著しいが各種学校での 自動車操縦(12.1%)で見られ、微増なのが医療系(1.8%)である。専修学校では占有率の倍 増した教育・社会福祉系がある。また、昨今の経済情勢に鑑み就職必須の資格である自動車免許

や不況に強い実学の医療分野への増加が反映されている。近年特に「准看・看護」といった看護 職養成の各種学校では男性の入学者・卒業者がともに増加しており、実数が増加する唯一の分野

である。

表2−A 各種学校・専修学校生徒の分野別構成   表2−B 各種学校・専修学校生徒の分野別構成        (1984年)      (1997年)

分野別     各種学校  専修学校    分野別

工業       3,379(0.6) 99,089(18.5)

農業       1,066(0.2)   545(O,1)

医療       35,454(6.1) 131,894(24.6)

衛生        7,217(1.2)  50,164(9.4)

教育・社会福祉   2,470(O.4)  16,640(3.1)

商業実務    88,754(15.3) 65,119(ユ2.1)

家政       51,532(8.9) 82,871(ユ5.4)

文化・教養    41,814(7.2) 90,135(16.8)

予備校     205,286(35.5)

自動車操縦   92,482(15.9)

その他      50,606(8.7)

合 計 580,060(100) 536,457(100)

各種学校 専修学校

工業        777(0.3) 166,476(2王.0)

農業        372(0.1)  2,762(O.4)

医療       22,090(7.9) 194,592(24.7)

衛生       3,534(1.3)  64,876(8.2)

教育・社会福祉   855(O.3)  56,052(7.1)

商業実務    31,386(11.2) 113,173(14.3)

家政       15,343(5.5)  46,I63(5.9)

文化・教養    24,361(8.7) 144,900(18.4)

予備校     67,943(24.3)

自動車操縦   78,621(28.O)

その他     34,664(12.4)

合計   279,946(100)788,996(王00)

注)単位1人・かっこ内%・文部省「学校基本調査」によ乱

 (2)専門学校の「生き残り戦略」

 各種学校は、以上のように、時代と社会の状況を反映し変化する。それは、学校体系と社会教 育の境界領域として柔軟に学習者の学習要求と社会の要請に応じうる特性をもっていることによ

る。今後の生涯教育の時代、また構造変革の時代にあって、ますますその特性が発揮され、事業 の進展を期している。今後、各種学校それぞれが生き残ってゆくために、学校経営戦略としての 特徴は以下のようなものが考えられる。①大学などとの連携の模索:大学編入、Wスクールなど での受験指導や就職援助講座の開催。②新しい産業構造に適合させる=教養人としての育成を主

一97一

(7)

唄とする教育機関ではなく、新しい社会の動向に即応できる教育機関としての役割に特化する。

つまり、短大・大学といった他の教育・訓練機関では提供できない教育サービスの開発を目指す こと、③資格の啓蒙・普及:自動車操縦学校に見られるように、社会人としてスタンダードな資 格を修得させることで、修得者の増加を計り、その結果として「能力ある」社会人の増加に貢献 する役割に特化する。つまり、現象的にはオン・ジェイ・ティやオフ・ジェイ・ティをより一層 増加させること、職業再教育の振興発展に貢献する方向である。詳細については、分野ごとの事 例・推移を検討する中で展開してゆく。

       皿 教養系専門学校の展開  1 語学・情報処理系専門学校と大学編入

 Eグループは語学系学校を中軸として全国展開してきた専門学校グループである。今日、グルー プの総体として生涯学習を掲げ、総合教育機関を標榜してきている。すなわち、幼児から成人

(今日では「シルバー」として高齢者もカバーする)までを対象として外国語教育を展開するE 外語学院グループ、日本語教師の養成と外国人の日本語教育を担当するいE日本語学院群、進学 ゼミとE予備校などの大学入試のための予備校群。スチュワーデス学院や観光ビジネスなどを内 容とするEビジネス学院群。そして、情報教育を担うコンピューター学院群などによって構成さ れている。この一群の、専門学校グループの中に、専修学校として認可を受けるEコンピューター 専門学校が位置づいている。

 このEコンピューター専門学校は、デジタルクリエーター養成校として・存在すると同時に、

大学編入の先端校としても実績をもつといわれている。すなわち1990年から大学編入合格者を輩 出し、国公立、私立大学をはじめ、合格者はすでに500名以上を数えているという。今日、私立 大学の動向ともあいまって、専門学校出身者の大学編入制度が本格的に始動されつつある。この ような中で、E専門学校は確実に大学編入学の実績をあげてきていたといえよう。

 表3は、E専門学校の大学入学試験合格状況を示したものである。こうした実績の背景として は、早くからK大学短期大学部の通信教育部と対応した授業履修のカリキュラムヘの内包がある。

したがって、E専門学校に人学して標準履修すれば、「専門士」や「準学士」の称号を取得する ことができ、短大卒業と同程度として認定さ   表3 E専門学校の大学編入学試験合格状況 れ、大学への編入学が可能となる。学生に即  卒業年 〜95  96  97  98  99

していえば、2年次修了時点で、コンピュー  希望者 178  116  141  140  72 タ 関係の専門職として就職する道と4年制  合格者 158  99  117  125  64 大学への編入学する道の選択肢が設けられる

      合格率  88,8  85,3  83,0  89,3  89.0 ということになる。

 2.Wスクールと就嚇対策一公務員受験の重力向把握と受験講座

 Wセミナーは、司法試験、司法書士、行政書士、公務員、公認会計士などの受験を専門とする 全国展開する専門学校群である。1980年代までは、どちらかというと専門的な訓練が必要であっ た資格取得の対策講座と企業内研修などを背景とした就職対策講座に力点をおき、大学卒業後の 支援事業を展開してきた。しかし、1980年代後半から、現役大学生・大学院生を射程にいれた講 座への展開がはじまっている。特に、公務員関連の採用試験講座などであり、受講生の大学生に 即してみれば、Wスクールとなっている。

一98一

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 これまで公務員試験は、経済の動向と相関性を持ち、短期的な周期で倍率=「難易度」が変化 すると考えられてきた。しかしながら、大卒者を主に対象とした公務員試験に関しては、ここ五、

六年で大きく変わりつつある。現在、倍率とは関係なく難易度が年々上昇している傾向にあり、

これは当面続くものと考えられている。その背景には、世界経済の不安定性と連動した低成長か つ不安定な経済構造及び高齢化社会の進行等の社会構造の変化があり、女性パート労働を前提と した男性終身雇用の在り方の軌道修正が進む中、そのような社会の中で公務員の「安定性」が近 年の公務員人気、難易度の上昇、受験生の高学歴を生み出している。

 また地場産業が弱く、公共事業費に恒常的に依存する経済構造を持っ地域では、官依存の体質 を前提としつつも、自己実現の場としての公務員志向(地域経済の活性化の担い手としての公務 員像)、都市部自治体への志向や地元U夕一ン志向のわずかな受け皿としての地方自治体人気等

の顕著な傾向が見られる。

 公務員試験の多くでは一次の学力試験、二次の人物試験が課せられる。一次試験の特徴は、時 事問題を含む幅広い教養知識、柔軟な思考力と処理能力、法律・経済・行政にまたがる学問的基 礎力が問われる。ここでは単なる知識の暗記を期待しているのではなく、大学時代に専門分野の 研究で培われたものの見方・考え方が大きな差になって現れる。問題を作成する人事院の方でも、

「単なる知識を問うより、基礎的理解力や応用力を問う問題を出す。学問的に本質を問う問題を 出し、いわゆる重箱の隅を突くような問題、引っ掛け問題は出さない」ように心掛けていると述 べている(『人事院月報』1999.5)。それにもかかわらず、急速に伸びつつある予備校を軸に、

各種学校を利用したWスクール、大学への予備校の出張講義の導入、早期からの受験準備の奨励、

受験テクニックの指導などが、私立大学を中心に行われている。

 二次試験では、受験学力ではなく、その人の人柄、社会性、公務員としての適性が見られる。

人事院でも「ぺ一パーテストではみることが困難な人柄や意欲、対人関係能力等をみる」と述べ ており、人事院のみならず、地方自治体の人事委員会でも近年重視する傾向を強めている。ここ でも、受講生にはマニュアル本に必要以上に依存する傾向が見られるが、求められているのは、

知識の暗記でも、模範解答でもないことに留意する必要があろう。

 今後、公務員の採用は、国家公務員では、全体のウエイトを皿種(高卒程度)からn種(大卒 程度)にシフトしつつも、政府の公務員削減の方針を受けて2000年度から新規採用を減らしてい くことになっている(『人事院月報」1999.4)。地方自治体では、政府の行政改革に先行し・人 員削減計画を策定し既に多くの市町村で実施し始めている。こうした動向の一方で、自治体事業 の民間への委託の動向との関連で新たな動きもないわけではない。例えば、自治体の行政機構改 革の一環として、生涯学習部局の一部分を財団法人化し、生涯学習振興財団職員の募集を独自に 始めているところもあ孔

 以上のような公務員試験の動向を背景として、それらの情報を取得し、また採用試験への準備 をするためのWスクールとしてW専門学校は機能しているといえよう。いずれにしても、ユ8歳人 口の激減によってこれまで占有してきた青年期人口の部分を大学と共有しながら、「専門学校」

の独自性を出すことがすでに求められていることは明らかである。「専門学校」の独自性を社会 の変化という中で明確に時代的要請のある資格取得との関連で展開していくことも、今一つの選 択肢となっている。

一g9一

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lV.福祉系資格取得と福祉系専門学校

 周知のように少子・高齢化社会の影響を受け、福祉系「専門学校」でも学校経営戦略に変化が 生じている。また、高等学校新教科「福祉科」新設もあり、今後ますます学校再編が進み、動向 は流動的になることが予想される。そこで、ここでは、福祉系専門学校の動向を1)通時的な経 過を把握し、2)その動向の傾向を検討し、3)特徴的な経営戦略を持つ学校を代表的に取り上 げみたい。

 1.介議福祉士養成と福祉専門学校

 介護福祉士養成施設協会が発表している学校数の変化は表4−1一の通りである。この実数は専 修学校、短期大学、大学を含んでおり、その内訳は、1999年4月現在では大学10校、短期大学52 校(専攻科含む)、専修学校260校となっている。養成施設の枚数は、年々増加の傾向にあること を示している。増加の傾向は1989年前後と1995〜1997年の時期が増加の伸び率が大きいことを示

している。

         衰4−1 介議福祉士養成施設の学校数と入学定員数の推移

  年〜198819891990199119921993199419951996199719981999

 学校数  24 74 99 115 131 142 156 175 214 253 290 322

 入学定員  1.238 3.657 4.8075.727 6.6807.826 9.15210.79313.93617.05619.70621,676        注)単位は学校数は校・入学定員は人。平成11年4月 介議福祉士養成施設協会調べ

 そこで、1999年4月現在での各専修学校に絞って検討してみたい。まず第一に、「開設時期」

の問題である。そこで、全国を東・西のふたつのブロックに分け、140の介護福祉士養成専修学 校をランダムに選び開設時期及び経営母体について検討しれその結果を表4−1,4−2とし

て示した。

 各学校の開設時期での特徴をあげれば、次のようなことである。すなわち、東・西日本ともに、

1997年32校(22.9%)が最も多く、1989年!7校(12.1%)、1996年16校(11.4%)となる。際だっ ているのが西日本地区での1997年21校の開設数である。実に西日本での3分の1の開設数がこの 時期に集中している。一方、東日本地区では1989年と1996年・1997年と開設のピークが二分して い乱特に、首都圏では1995年(4校)、1996年(6校)、1997年(4校)と1989年(6校)と相 似になっている。

 続いて、各学校の設立母体が既設に何の分野の専修学校・各種学校を経営していたかという点 での特徴はっぎのようなことである。東日本、西日本ともに、全体的には医療技術が上位にある

ものの、西日本地区では医療技術が圧倒的なシェアをもつが、東日本では商業実務、家政、工業、

と分散している。また、開設前に設立母体が福祉系の専修学校であったのは東日本に多くなって いる。(ただし、キリスト教青年会の位置づけを福祉系と設定すると西日本、東日本ともに同数

近くなる。)

 加えて、自治体立というものも、東西どちらも小数ながらほぼ同数(5校:3.6%)あり、自 治体と地域の福祉協議会や福祉法人、宗教法人などと協同するのもある(7校:5.0%)。

 次に各団体の参入時期の特徴について触れておこう。医療技術については、1997年に参入分の 3分の1以上開設されている(9/28校)。特に西日本での参入が活発である。衛生については、

一100一

(10)

1989年までの時期に参入分の半数が開設されている(6/11校)。両地域でのアンバランスはな い。家政については、1996−97年ともに同数(3/14校)であり、参人分のほぼ半数が開設され ている。東日本地区でこの時期に活発であり、西日本地区では散発である。商業実務については、

1989年(6/21校)と1997年(6/21校)と二極化している。地域による特徴は、1988年以前が 東日本で多く(5/21校)、1997年では西日本が多い(4/21校)。工業であるが、東日本にしか 参入母体が見られず、参入時期は1996年にその半数が集中していた。

 まとめると、1)医療技術系の母胎では1997年で、同系統の衛生系では1989年まで時期と二極 化している。2)相似の二極化が商業実務では地区によって発生している。3)家政や工業では 1997年ごろが参入の活発な時期であった。加えて、独自の経営戦略を持つ、例えば、「衛生関係」

系として全国展開している学校法人M学園による同系列の学校法人西日本M学園「福岡M医療秘 書福祉専門学校」(福岡市2校)などもある。

      表4−2 開設時期      表4−2 経営母体の参入前の分野 西日本 年東臼本(うち首都圏)

〜ユ988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 70  合 計

16(8)

 9(6)

 3(O)

 1(1)

 4(2)

 1(O)

 3(1)

 5(4)

11(6)

11(4)

 1(0)

 5(3)

西日本  分野  東日本(うち首都圏)

18  医療  9  商業  4  家政  5  衛生  0  工業  2  福祉    その他  2  町立  1  市立  4  誘致 10  学法 15  他

10(5)

12(7)

10(5)

 6(2)

 8(2)

 6(1)

1(O)

1(O)

1(O)

9(4)

6(9)

70(35)    70 合計   70(35)

      注)単位校、品文社『全国福祉学校資格ガイド』1999年より

 また、多くの場合地域に密着した展開戦略を持っている。西日本では、広島にある宗教法人経 営の専修学校が4地方公共団体の誘致で設置されている。自治体と福祉協議会や福祉法人などの 公的機関との共同運営による開設というものもある。

 いずれにしても、介護福祉士課程を開設するには多くの手続きが必要である。そこで、福祉機 運の上昇に応対するためには学校経営方針として、ホームヘルパー養成研修(以下「〜講座」と 称す)の開設を目指す方策も考えられてきた。

 2.福祉ビジネスとホームヘルパー養成

 都道府県の認可を取るだけで開設できるホームヘルパー講習に参入する学校が増えている。こ こでは、1997年4月〜99年10月の間において、A専門学校の主催している「ホームヘルパー3級 講習」会に参加した590名を対象として、同講習受講者の動向を調査した。留意点としては、開 講時期と入議申込時期に大きな隔たりがあり、1997年入講分ではほぼどの講習会も約1年半待機、

1998−1999年分では約1年〜1Oケ月待機である。なお、講習は基本的に週2日、昼間に2時間の みのコース、夜間に2時間のみの講習時間のコースがあ乱受講生の特徴をその属性で見ておこ

一101一

(11)

つ。

 男性受講生:受講生全体の中ではどの開催期も少ない割合(0%〜16.7%)であるが、確実に 増加している。男性受講生の傾向としては、1998年開始分より出現し、20代前半の「学生」の2 名の受講生でありその割合は全体の(2.5%)であった。徐々に他の属性や年代の受講生が入講

し、「会社員」「勤めていない」の受講生も回を追うごとに参加し、40代50代の受講生の参加もあっ た。また、1999年期には20代前半の受講生でも「勤めていない」のものが入講して来ている。こ れらはリストラ体験者やフリーターであろう。

 女性受講生:女性受講生の傾向としては、「会社員」と「勤めていない」が1997−98年開催分 全体化的9割程度(100%〜90%)をしめ、ビジネス系スクールの一般的な対象者と重なってい

ることがわかる。しかし、1999年に入ると6割程度と占有率に変化が出ている。一般的昼間部に は「勤めていない」という属性での主婦層・家事手伝い層が多くの割合を占めている。ただし、

昨今雇用情勢の変化を反映して、「勤めていない」「回答せず」の属性をもつ求職者・休職者が一 定程度増加していることも例える。

 職業属性別=10代後半20代前半の受講生の中で「学生」の層が減少し、代わって「勤めていな い」「回答せず」の層が増えている。「フリーター」の若者が着実に増えていることの反映であろ う。ダブルスクールをする「学生」たちもほぼ各回に着実にいる一方(0%〜11%)、10代後半 の「勤めていない」に代表されるように「専門学校は授業料が高いのでより安価な講習を選択し た」というケースもある。各回ほぼ半数を占める「会社員」では、20代前半女性が多い。一方、

「勤めていない」層では、30代女性が多くっいで20代後半女性となっている。最後に、1997年春 期では皆無だった「回答せず」の層が男女ともに1999年期ではほぼ全体の2割程度(15%〜23%)

と増加している。

 「在宅福祉」を支える人材開発のため「ホームヘルパー」講座は各地で開催されてきている。

人材確保の目的と同時に「民間資本の活用」のスローガンの下、民間業者にも講座の開催の分担 をはかってきている。A校開催の「ホームヘルパー」講習もこの反映で多くの受講生を集めてい る。一般的にビジネス系スクールの特徴は昼間部は「主婦」「家事手伝い」といった女性が受講 生の多くであり、夜間部の講習会は「女性会社員」が主たる受講生であった。同講座もこの傾向 は見られるものの、近年は、各企業では雇用調整が一段と深刻さを帯びている。リストラ経験者 の受講、非人間的な労働条件の企業からより人間的な労働条件・環境を求めた自主的な転職の準 備にむけた受講にその一端が示されよう。

おわりに

 いわゆる「専門学校」群は、社会の変化に対応した実践的な職業教育・専門技術教育等を担い つつ、各種の資格取得・受験講座等を開催し、職業指導を展開してきた。しかし、これらの「専 門学校」は、急速な社会環境の変化や技術革新の進展、18歳人口の急減などで大きく変化してき ている。特徴的な変化の動向の一つは、大学への編入学やあるいは大学卒業時点の就職面での補 強を行うWスクールとしての位置へのシフトであり、今一つの顕著な動向としては、介護福祉士 やホームヘルパーなどの新たな資格取得との対応であった。後者についていえば、1990年代を通

して「福祉学校設立バブル」とでも表現できる状況がみられた。従来の専門学校の経営者のみな らず、民間事業者も福祉人材養成の専門学校や講座の経営に乗り出したといえよう。そこには、

従来他業種で経営していた学校が参入してきたことが今日の福祉系専門学校の増大を支えていた

一102一

(12)

のである。生涯学習政策の下で「専門学校」は、18歳人口の急減の波に適応しつつ、より広い層 をカバーしていく方向をとっているが、継続教育としての側面も含めて、例えば看護学校など専 門職養成の各分野について今日的な動向を検討する必要もあろう。今後の課題としたい。

参考文献

E.ジェルピ(前原泰志訳)『生涯学習』東京創元社、1983年

波多野完治『生涯教育論』小学館、1972年、同『続・生涯教育論』小学館 1985年 宮坂広作『大学改革と生涯学習』明石書店、1997年

国生寿『地域社会教育と生涯学習』漢水社、1999年

日本生涯教育学会『日本生涯教育学会年報』第16号、日本生涯教育学会、1995年 文部省『文部統計要覧(各年度版)』『学校基本数調査(各年度版)』

『全国学校総覧2000年版』原書房、1999年

『全国福祉学校資格ガイド』昌文社、1999年

東京都人材開発センター『ザ・スペシャリスト 福祉の仕事・専門職ガイドー介護福祉士一』

 『ザ・スペシャリスト 福祉の仕事・専門職ガイドーホームヘルパー一」、1998年

一103一

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