自然活動におけるプログラム展開に関する研究 : スノーシューを利用したトレッキングプログラム
その他のタイトル Research on program development in outdoor and nature activity : Trekking program using
snowshoe in snowfield
著者 三浦 敏弘, 小田 慶喜
雑誌名 人間健康学研究 : Journal for the study of health and well‑being
巻 5‑6
ページ 31‑38
発行年 2013‑03‑31
URL http://hdl.handle.net/10112/7835
自然活動におけるプログラム展開に関する研究
―スノーシューを利用したトレッキングプログラム―
三 浦 敏 弘 ・ 小 田 慶 喜
Abstract
The purpose of this study was to ascertain the effects of outdoor education in college students who participated in a 4‑days nature Snowshoe trekking course. The contents of winter outdoor activities, in order to high reliance on skiing, is necessary in order to enhance the development of programs and other activities. Outdoor education is an area that is attractive future understanding of nature as a program to stimulate interest in environmental education. The mountaineering or trekking activities include of outdoor education programs can help improving the quality of environment and life style by students. It is important to consider carefully our spiritual health, social health, and even wellness life style through the mountaineering or trekking activities program. A snowshoe is footwear for walking over the snow. Snowshoes work by distributing the weight of the person over a larger area so that the person's foot does not sink completely into the snow, a quality called "flotation".
Snowshoe that has been used from the idea of Japan as well as snowshoeing also exists. Some modem snowshoes are made of materials such as lightweight metal, plastic, and synthetic fabric. In addition to distributing the weight, snowshoes are generally raised at the toe for maneuverability. In this study, the program is also included to consider the program to experience daily life in snowy areas. In this program we recognize the safety management that uses physiological index heart rates and oxygen saturation for physical stress. The educational effect of outdoor activity in the physical education of liberal arts is to understand natural environment, and also to understand the safe range of physical activity.
I.
緒 言
地球環境を考える環境教育やストレス社会におけ る精神的健康に影響を与える人間教育の需要から、
自然と人間の関係を考える教育の導入および展開の 在り方が注目されはじめている。自然を対象とする 環境教育や野外教育活動を効果的にすすめるために は、自然に関する様々な内容に関心を示し、自然を 積極的に理解する生活を実践する必要がある。その 基礎的取り組みとして、学生が参加する野外活動や 自然活動における教育プログラムの充実が不可欠で ある。また、自然の豊富な野外環境を教材とした教 育プログラムの多くは、フィールドワークを中心に 展開されることが多く、実習地の選択や実習現場に おける学生への動機付けが重要な要因として評価さ れている。特に冬の自然の活用は、地球環境を考え
人間の生活および環境問題を考えるために必要なも のであり、大学の授業プログラムに組み入れておき たい題材でもある。
このような大学教育における授業プログラムの展 開は、従来のアウトドアスポーツを担当していた体 育領域の開講科目として提供される可能性が高い。
積極的な体育の授業への取り組みとして、生涯教育 や生涯スポーツに役立つ内容の構築および地球環境 の変化を実際に肌で感じる感性を育てる教育の必要 性から、各大学においてキャンプやスキー、マリン スポーツ等の自然環境の中での直接体験を重要視す る科目が増える傾向にある。
豊かな自然環境をいかした野外での活動を取り入
れた学外での合宿形式の授業の特徴として、受講生
同士が一体感を得やすいことや、学内だけの授業で
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人 間 健 康 学 研 究 第
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は体験できない新しい刺激を得やすいこと、あるい は、環境問題の立場から自然環境を理解する機会を 持てるなどの多くの利点をあげることができる。自 然の中で実施する自然体験活動や生活体験活動も教 育分野でとりあげられるようになり、自ら考え自ら 学ぶという課題解決型の学習方法は、今後大学教育 の中でもますます導入され、教養教育の一環として の人間形成に大きく関わることが推測される。
和辻!)は、古寺巡證のなかで、自然と抱きあって 生きる人間の文化のすばらしさと、大地を踏みしめ て感じる心の豊かさを、自身の体験を積み重ねるこ とにより、伝統と生活を結ぴつける重要性が環境を 理解し生活に生かす取り組みにつながることをみご とに表現している。人間の健康教育や保健体育領域 に関する教育を通じて体験を重ねることが、環境教 育や自然に関する他の分野への学習効果を生み出し、
幅広い教養を持った学生の育成につながることを理 解する必要がある。図
1は 、
NHKで放送された北 海道南富良野町を取り上げた「小さな旅」のひとコ マである。厳しい寒さが育てた豊かな森を財産とし て理解する取り組み、特に冬は笹に覆われ入り込む ことのできない森が雪に覆われ自由に行き来するこ との出来る楽しい季節でもある。森の魅力を子ども たちが理解し、暮し生きていく環境を積極的に学ぶ ことの重要性とその取り組みを「雪輝く森」として 表現している。雪深い生活環境を楽しみながら学習 する場面には、雪の上を安全に移動する道具の利用 が示され、雪国の魅力を巧みに表現している。
K大学や H D大学の冬季スノースポーツ関連の実 習においても、事前に行われる学内の授業を通して 実習現場の理解を促すように心掛けてはいるが、自
図 1 . スノージューによる雪原移動 (NHK「小さな旅」
北海道南富良野町
2011年
2月6日放送より)
然の中における活動経験の乏しい学生を対象とした 場合、事前授業の効果を十分引き出せないことが問 題となる。現状では、学生は受動的な授業参加の形 式をとることが多く、実習のフィールドに慣れるこ とで実習を終了してしまい、本来の目的である自然 への理解を促すチャンスを逃している場合が多く見 受けられる。しかし、学生に提示する教材を工夫す ることによって、より効果的な授業を展開できる可 能性を引き出すことも可能である。本研究において は、従来実施されている技術中心の野外教育から自 然環境や伝統文化、人間の生活をも考えることの出 来るプログラムヘの移行を目的とし、安全で効果的 な授業の展開を考慮し、環境教育や生涯教育として 自然を対象とした活動への理解を促す授業の展開を 検討するものである。
II.
冬季における雪を利用した実習の問題点 多くの中学や高校における修学旅行、自然学校の プログラムで実施されている冬季のプログラムとし てスキーヘの依存度は高い傾向にある。特に兵庫県 で実施されている自然学校は、兵庫県下全公立小学 校
5年生を対象とした
4泊
5日以上の自然体験活動 である。昭和
62年の「こころ豊かな人づくりフォー ラム」の提唱を受け、自然学校の趣旨である「学習 の場を教室から豊かな自然の中へ移し、児童が人や 自然、地域社会とのふれ合い、理解を深めるなど、
長期宿泊体験を通して、自分で考え、主体的に判断 し、行動し、よりよく問題を解決する力や、生命に 対する畏敬の念、感動する心、共に生きる心を育む など、生きる力を育成することを目的とする」こと をその趣旨として、様々な活動が展開されている。
これらのプログラム内容は、夏季プログラム内容も 充実し、多くの内容を提示されているが、冬季のプ ログラムはスキーに依存するところが多く、安全面 およぴ時間配分も配慮して技術の習得に集中すると ころが大きい。
スノースポーツ関連の実習においても、事前に行
われる学内の授業を通して実習現場の理解を促すよ
うに心掛けてはいるが、自然の中での活動経験の乏
しい学生を対象とした場合、事前授業の効果を十分
引き出せないことが問題となる。現状では、学生は
受動的な授業参加の形式をとることが多く、実習の
自然活動におけるプログラム展開に関する研究(三浦・小田)
33フィールドに慣れることで実習を終了してしまい、
本来の目的である自然への理解を促すチャンスを逃 している場合が多く見受けられる。しかし、学生に 提示する教材を工夫することによって、より効果的 な授業を展開できる可能性を引き出すことも可能で ある。
従来実施されている技術中心の野外教育から自然 環境や伝統文化、人間の生活をも考えることの出来 るプログラムヘの移行を目的とし、安全で効果的な 授業の展開考慮し、環境教育や生涯教育として自然 を対象とした活動への理解を促す授業の展開を考え る時代に移行している現状を認識する必要がある。
Ill.
スノーシューを利用する生活を考える スノーシューは、北アメリカの雪上歩行用具を日 本に持ち込んだものであるが、日本でも古くから同 類の道具として「かんじき」が存在している。いず れも、雪面に接する面積を足底よりも広くし単位面 積当たりの重量の値を小さくするように作られてい ることが特徴である。おそらく、原型は木の板のよ うな形状を改良し、現在の形状に近いものになった と考えられる。
日本における「かんじき」には地域により様々な 形態が認められる。図
2には現在も雪深い地域であ る長野県松本地域、図
3には岐阜県白川郷で使用さ れている「かんじき」を示した。
単位面積当たりの重量の値を小さくするようにエ 夫する発想は、湿地帯を利用しての稲作にも利用さ れている。図
4は岐阜県白川郷地域で使用されてい た民具の板標(いたかんじき)であるが、稲刈時に 足が埋没してしまわないように用いられたもので、
田下駄ともいわれている。雪上で深雪に足が埋没し てしまわないように用いられた民具である「かんじ き」、「雪輪」、「輪かんじき」などと同様の発想であ る 。
現代の生活においては、自然をできるだけ現状で 維持し、道具や人間の生活形態を適応させる生き方 を選択することは無くなっている。すなわち、自然 環境を人間の生活に合わせて変化させたり、つくり 変えたりする方法が取られることが多いのが実情で ある。
塚本
2)は、著書である『自然活勤学のすすめ』中
図
2.かんじき(長野県松本地域)
図
3.かんじき(岐阜県白川郷地域)固
4.板標(いたかんじき)• 田下駄(岐阜県白川郷地域)
で、人間が自然の中で生活し遊ぶための総合科学と
して「自然活動学」を提唱している。自然活動には
生態学、地理学、体育学、心理学など、多くの学問
がかかわりあっていると考えられるが、アウトドア
ライフ・サイエンスはそれらの学問分野の野外生活
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人間健康学研究 第
5・6合併号
に関する部分の総合科学であると評価している。従 来は、生産を行う労働や生活の中でそのような取り 組みが必要とされたが、現代社会においては、人間
と自然の関係を教え、人間が自然の中で守るべきモ ラルを確認しなければならない時代となっている。
塚本はまた、「自然活勤学は生涯教育を具体化するた
図
5.「 輪かんじき」をベースにコンパクト化 したかんじき
因
6.軽置化が工夫されたスノーシュー
回
7.強度が強化されたスノーシュー
めの学問であり、生涯教育のプログラムを実行する ために必要な学問であると考えている」とも述べて おり、現代の学校教育では、人間が生きるために必 要なことが学習できない部分を指摘している 。
図
5は、「かんじき」を基にして現代の技術により 強度の確保および軽量化を図りより安全に利用でき る「かんじき」としてつくられた製品である 。 図
6は、軽量化を重視し工夫されたスノーシューの形態、
図
7は強度を重視しより安定性を確保したスノーシ ューの形態を示した 。
IV.
スノーシュープログラムの実際
新潟県妙高市に所在する独立行政法人国立青少年 教育振興機構国立妙高青少年自然の家において、ス ノーシューネイチャートレッキングのプログラムを 実施した。
国立妙高青少年自然の家は、青少年に家庭や学校 では日常経験することができない、心身の発達に必 要な多様な体験を大自然の中での活動を通して提供 することにより、次代を担うたくましい心豊かな青 少年の育成を図ることを目的として①自然に親しみ、
自然を大切にする心や、自然の美しいもの、崇高な ものに感動する心など柔らかな感性を培う 。②健康 増進や体力向上の実践力を高める 。③自立心、協調 性、思いやりの心や、命や人権を尊重する心、ボラ ンティア精神など豊かな心を培う。④規範意識や責 任感等の社会性を育む。⑤相互理解を深め、望まし い人間関係をつくる能力を養う 。⑥基本的生活習慣 を身に付ける。などの教育目標を掲げ、青少年の自 然活動、野外養育に親しむことのできる教育施設と
して貢献している。
独立行政法人国立青少年教育振興機構国立妙高青
少年自然の家は、上信越高原国立公園内の妙高山
(2,454m)の山麓、標高約
600mの大自然の中に位
置する。この地域は、例年
2月から
3月にかけて積
雪
3m程度を記録する世界的な豪雪地域として知ら
れている。本研究におけるスノーシュープログラム
は、この安定した雪上実習を実施できる環境を体験
し、野外活動における学生ボランティア意識の喚起
を促し、リーダー性の資質 ・ 能力を育てる意図で開
講された
HD大学におけるスノーシューによるネイ
チャートレッキングプログラムである 。
自然活動におけるプログラム展開に関する研究(三浦 ・ 小田)
35図
8および図
9は、実際に実施されたスノーシュ ーによるネイチャートレッキングプログラムの実施 状況を表したものである。学生たちが計画を立て安 全に目的地までの行程を確保し、その間の自然観察 プログラム等を実施する計画も含ませる雪原におけ るハイキングの実施プログラムの実践と考えられて いる。ゲレンデにおけるスキー技術を習得すること を目的とするのではなく、冬のフィールドを利用し た野外の楽しみ方の知識を増やそうとの考え方から、
仲間との協力の在り方、地図の読図、安全管理、野 外用具の使用方法などを実践的に学ぶプログラムと
して取り組まれている。
図
10は、今回のスノーシューによるネイチャート レッキングプログラムで使用された現地周辺の地図 である。実際にコースで使用する地図を学生たちに 提示し、現在地から目的地までのコース設定および 時間経過の予測、行程中のプログラム等の実施内容 を事前に準備することから始め、持参する道具や団 体行動用具の運搬等の責任分担を決定する十分な時 間を確保することが必要である。図
11は、地図の読
図
8.スノーシューによるネイチャー トレ ッキン グプログラム
図
9.冬のフィールドプログラムの充実化
図だけではなく、各自の意見を出し合いながらイメ ージ化する時間も確保し、グループ内における各自 の役割や責任の分担を確認し合うミーティングであ るコース確認学習会の状況を表したものである。地 図を読む技術を一般的に教えることは可能であるが、
実際のフィールドにおける行動の把握を確認し合う ことが重要であり、より安全性の高い実習の確保が 可能となると考えられる。
平面的な地図の認識を実際の高低差として認識す るための学習も必要である。実習においては、実際 の目視による実習地の確認およびコースの行程のイ メージ化が重要である。図
12は、実際のフィールド の状況把握から、図
13に示すように行程のイメージ 化を促すパソコンソフトを、学生間で利用できるよ
うに準備する必要がある。
現代の学生は、インターネット環境の普及におけ る情報提供サービスを用いる能力を有していれば、
比較的簡単にトレッキングを実施する周辺環境や地 形図を入手し、事前に十分な調査をすることができ
図
10.地固によるコースの把握
L '
囮11.地囮をもとにしたコース確認学習会
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図
12.コースの目視による確認 図
14.雪上観察
l(ソロ活動の時間)
図 1 3 , 地図 ソフトカシミールの利用
る状況にある。加えて
GPS等から得られる地図情報 を地形図と関連して管理することの出来るソフトで あるカシミール
3D3lより得ることの出来る地形図を 準備し、事前の取り組みの重要性を理解することが、
より安全で楽しい実習の実践を確保することにつな がると考えている 。
スノーシューによるネイチャートレッキングプロ グラムの特徴は、起伏のある自然環境における安定 した歩行の確保である。近年注目されているネイチ ャースキー等の歩くスキーの利用も、雪原のフィー ルドにおけるトレ ッキングプログラムとして組み込 むことができるが、比較的平坦なフィールドの確保 および初級者レベルのスキー操作技術が安全の確保 のために必要となる。歩くスキー技術の習得も雪原 のプログラムとして魅力的ではあるが、冬のフィー ルドにおける自然観察の魅力をまず学生に伝えるこ とを確保する必要がある。
現代の学生は、日常生活においても自然環境の変 化に気がつくことが少ない生活を強いられ、環境問 題に疎い状況が認められる。自然を利用した実習の 最大の目的は、自然環境に自身が入り込むことによ
図
15.雪上観察
2(風に飛ばされた巣の発見)
る自然との一体感の確保が重要となる。自然環境の 中で十分な時間を確保し、自然観察を実践すること がプログラムの中で確保されることが重要である。
図
14および図
15は、スノーシューによるネイチ ャートレッキングプログラムにおける自然観察を重 視したプログラムの一部である。基本的にはグルー プで活動をするが、個人の時間を確保するソロ活動 の時間の確保、自然観察における発見をお互いに知 らせ合い、共通の認識として理解し共有し合う時間 の確保が重要である 。
V.
スノーシュープログラムの運動強度
スノーシューネイチャートレッキングのプログラ ムを安全に実施するためには、スノーシューの活動 中の運動強度を理解しておく必要がある。
スノーシュープログラムに参加した学生の中から ランダムに抽出した
6名の男子学生を対象に、スノ ーシューによるトレッキングプログラム中の心拍数 を連続測定した。被験者の身体的特性は、年齢 2 0 . 3
士
0.6歳、身長
174.2士
4.7cm、体重
64.2士
5.4kgであった。
自然活動におけるプログラム展開に関する研究(三浦・ 小田)
100
90
80
10
60
︒ `
g .
‑︱ ︱ UH
鯛
40
30
20
10
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8:50 9:20 9:50 1 0:20 1 0:50 11 :20 11 :60 1 2:20 12:50 13:20 13:50 1 4:20 14:50 疇 国函16.
スノーシューネイチャートレッキングプログラム中の心拍数の変化
37
‑ K . 鼠 O.M , K.N. O.K.
一 鼠0.
I.N.
図
16にスノーシューネイチャートレッキングプロ グラム中の心拍数の変化を%
Hrmaxで示した。
50%HRmax
から
70%HRmaxの運動強度でプログラ ムは実施されており、身体への負荷強度はうまくコ ントロールされていると考えられる。
80%HRmaxを超えている例は、休憩中に各自運動を増加させて いる時間であり、個人で十分調整できる状況下にあ った。
昼食後、プログラムの中に近くの山の山頂をめざ すプログラムの展開を試みたが、
70%HRmaxから
表
1.スノーシュートレッキング行動表
8: 50メモリーマックスタート
9: 00ミーティング・準備
9: 15
スノーシュートレッキングスタート
9: 40休憩・マッピング
10: 00
休憩・マッピング
10: 45サンバードホテル
11: 20ポウボ岩着
11: 30
テープルづくり等作業
12: 00昼 食
13: 00
ポウポ岩〜横根山登山
13: 20横根山山頂着
14: 15帰路スタート
14: 50スバルホール着
80% Hrmax
の範囲で実施できており、運動強度は 増加するが十分に安全を確保できる範囲内で、これ
らのプログラムで実施できることが認められた。
表
lは、実際のスノーシュートレッキング行動表 を示したものである。
VI. まとめ
K
大学においては、自然キャンプや海洋スポーツ、
スキー、レジャー・ヒューマニクスなどの授業プロ グラムを通じて積極的に自然と人間のかかわりを考 える授業の展開を実践しており、特色のある教育研 究として全国的な評価を受けている。また、
HD大 学においても、自然活動実習という名称を用いて、
豊かな自然環境における直接体験活動を重要視する 実習形態の授業を実施しており、従来の技術習得を 中心とするスポーツや野外活動に環境教育の視点を 入れたものとして自然活動をスポーツ科目のひとつ として位置づけ、キャンプ実習でもなく、スキー教 室でもない新たな科目としてその展開を試みている。
その結果、自然活動は自然を教材や教室とした身体
的活動だけでなく、非身体的な諸活動までを含めた
活動として大きく捉えることとし、四季を通じて自
然の中での直接体験活動を重要視する実習形態の授
業として展開している。授業の目標も野外教育、環
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人間健康学研究第
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境教育の観点から自然、自己、他者の関係について の理解を深め、ユニークで特色ある教育研究として 評価を受けている。
このような、大学における保健体育教育の積極的 試みは、社会問題になりつつある環境教育や人間教 育のとの大きな接点を持っている。また、大学にお ける学生の初年次教育やリーダーシップ育成教育と
しても注目を集めている。
従来のスポーツの評価は、技術的領域の習得に重 点が置かれ、できるできないの区別が明確に示され てきた。本来の身体運動文化の在り方は、新たな自 分に気づく、仲間の存在を理解するなどから発展し、
周囲の環境を理解し、これらに適応する能力を培う ことに重点が置かれる必要がある。
実際には、日常生活において毛利
3)の提唱するよ うに、生活風景のなかの散歩を確保する努力をし、
積極的に歩く運動を取り入れ、その中から知的生活 を形成する生活習慣の確保が望ましい。また野々村
4)の示すように、日常生活を営んでいる地域の地図を 利用すれば、より多くの情報を確保でき、地域を理 解する手助けとなることも周知されている。しかし、
実際にはそのような取り組みは難しく、高木
5)の提 唱するように、自然豊かな環境に場所を変えて取り 組むことにより、その必要性および重要性に気がつ
くことが多いと考えられる。
冬季の雪の生活を理解することは、近畿圏の南部 に所在する大学のプログラムとしては難しいテーマ でもある。恩田
6)は 、
30年以上も前に、著書「雪の 生活」の中で雪とかかわって生きることの重要性を 指摘しているが、現代の学生においては実際に体験 することにより雪と生活のかかわりを理解できる状 況にあり、幸せなことであるといえる。
自然環境を利用した活動などの授業は、実施する
自然環境も重要であるが、プログラムとして何を提 供するかが課題とされる。恵まれた自然環境そのも のが財産であり、自然環境に身を置くだけでも十分 な価値はあるが、フィールドワークを効果的に取り 入れることにより、より自然の魅力を引き出すとが 可能である。
自然活動のプログラムとして、小田ら
7)は安全に 実習を実施するために、登山初心者を対象とした
1泊
2日の白山登山実習での運動強度を測定し、その 重要性を報告している。変化には乏しいが、毎年同 じ山を選択し、さらにほぽ同じルートを活用して、
学生へのコースタイムなどの検討を重ねることによ り、安全で充実した実習内容の展開が期待できると 考えられる。本研究は、自然の中で実施する活動と して冬季プログラムにスノーシューを取り入れたト レッキングを実施した。スノーシューは、雪を生活 の一部と考えなければならない地域の伝統的生活道 具を理解する領域においても、重要な役割を果たす。
参考文献
1)
和辻哲郎:改訂古寺巡證、
29‑49、岩波書店、
(1947).2) 塚本珪ー:自然活動学一生涯学習と「生活科」のた
めに一、森林書房、
13‑14、
1992.3)
毛利好彰:知的生活のための散歩学、実務教育出版、
1991.
4)
野々村邦夫、
NHK趣味悠々見かたが変わると景色 が変わる地図を片手に日帰り旅、日本放送出版協会、
2008.