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障害のある幼児の療育と保育の併用に関する一考察 : 療育施設への質問紙調査から

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Academic year: 2021

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要旨  障害のある子どもにとって併行通園(保育所や幼稚園と障害児通園施設の併用)が有意義に作用するためにはど のような手立てが必要かを明らかにするための第一段階として,施設からみた具体的な連携支援の内容や方法を, 質問紙調査により調べた。併行通園は年齢が上がるほど実施率が高くなること,全体の3分の1の施設では,施設 間で直接話し合う場を設けたり,相互の見学に出向くことを1年に1回程度の頻度で行っているが,半年に1回程 度にしたいと望んでいることなどがわかった。また,併行通園の現状の問題点として①併行通園先との併行通園児 についての共通理解の難しさ,②子どもの発達状況より,保護者の事情が優先されがちなこと,③連携にかける人 的及び時間的な不足,④療育の日数が少ない場合の療育の効果への疑問,⑤療育の日数が減ることによる経営上の 問題があることなどが挙げられた。 キーワード  併行通園,療育,連携 Abstract

 In order to find out the means that are necessary to make the “day care institution-nursery combination” effective, we carried out a questionnaire survey. The utilization of the “day care institution-nursery combination” was higher as the children becomes older. The one-third of such institutions conducted discussions and observation tours among them about once a year. But it was found from the survey that they want to increase such occasions to once every half a year.

 Moreover, the following problems of the day care institution-nursery combination also became apparent: ① it is difficult to share common understanding between the institution and the nursery regarding the children’s conditions, ② parents’ considerations often precede the children’s developmental states, ③ manpower and time available for the cooperation is not sufficient, ④ the effect is reduced when the number of days of rehabilitation become less, ⑤ there are financial problems when the utilization is reduced.

Key words

 day care institution-nursery combination, rehabilitation, cooperation

障害のある幼児の療育と保育の併用に関する一考察

-療育施設への質問紙調査から-

大熊 光穂

A Study of the Effects of Combining Daycare Centers and

Nursery Schools on Children with Disabilities :

Analyzing Results from a Questionaire Given to Daycares

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からの刺激を受けることによる言語能力やコミュニケーション 能力の発達促進」,「健常児からの刺激を受けることによる認知 能力(知的能力)の発達促進」,「健常児からの刺激を受けるこ とによる運動能力の発達促進」,「健常児と生活や遊びをともに することで経験の幅を広げること」,「健常児をモデルとするこ とにより,日常生活技術を獲得すること」,「その他」。結果を 表5に示す。90%以上が,「健常児と生活や遊びをともにする ことで経験の幅を広げること」を期待し,75.9%が「言語・コミュ ニケーション能力の発達促進」を期待している。 ⑦併行通園の効果を見る方法  各園のこれまでの事例から,併行通園による変化を捉える方 法(指標となるもの)を自由記述で挙げてもらった(回答数 は62)。KJ法を利用して記述を分類した結果,「保護者から聞 き取る子どもの様子」,「併行通園先から聞き取る子どもの様 子」,「施設での併行通園児の行動観察から感じ取れる変化」な どの行動観察による印象を指標としているところ,発達検査や チェックリストの結果を指標としているところ,および「明確 なものはない」とするところの3通りに分類できた。 ⑧併行通園の問題点・課題  現在,併行通園を実施しているうえでの問題点や,今後の課 題と考える点について自由記述で回答を求めた(回答数は66)。 KJ法を利用して類似した内容を取り出し,整理すると次のよ うな点が挙げられた。㋐併行通園先との併行通園児についての 共通理解の難しさがあること,㋑保護者の就労あるいは併行通 園を望む気持ちが,子どもの発達状況より優先されがちなこと, ㋒連携にかける人的不足及び時間的不足があること,㋓療育の 日数が少ない場合の療育の効果への疑問が残ること,㋔療育の 日数が減ることによる経営上の問題があること,である。 考察と今後の課題  併行通園の実施率は本研究の質問紙調査では平成24年度,25 年度,26年度とも平均40%を超えるが,平成24年度に全国児童 発達支援協議会の行ったものでは20%程度となっている。本調 査は福祉型の施設のみのデータであることや,サンプル数の違 いの影響などが考えられる。ただ,併行通園の実施率が高いか どうかということよりは,併行通園が必要な子どもに適切な処 遇としてなされているかということの方が重要である。今後は 個々の事例の中で,この点に着目して質的に検討していく必要 があろう。  連携の方法や頻度については,通園施設,保育所,幼稚園と も人員配置に十分なゆとりがある訳ではなく,また時間的にも 忙しい中,多くの施設が必ずしも満足のいく連携には至ってい ないことがうかがえる。これは当該施設間のみで解決できる問 題ではなく,発達支援をとりまく行政機関も含めた全体的な構 造の問題でもある。しかし,その中でもお互いに信頼関係を築 き良好な連携が成立しているケースもある。その地域の特性も 無関係ではない。様々な事例の詳細な積み重ねが必要であろう。  連携をとるということは,互いの子どもの見方,保育,教 育,療育の目的や手立てを共有することから始まるのではない かと筆者は予想したが,個別指導計画や保育指導計画を交換し ているかどうかの回答結果は,高いとは言えない数値であった (35%と15%)。今回の質問項目では,その理由を分析するだけ の資料は得られていない。現場では,その必要性をあまり感じ ていないのかどうか,あるいは共有しているところでは,どの ようにそれぞれが保育・療育に生かしているのかを具体的に探 ることが今後の課題である。また,筆者が心理相談員を務める 通園施設では,通園日数の問題は併行通園児の個別指導目標を 設定するうえでも,かなり熟慮を要するものととらえられてい る。今後は具体的な事例の中でこれらの取り組みを検討してい きたい。  併行通園の効果をみる手立てについては,発達検査など数値 での比較が可能だが,仮に発達指数が上がったとして,その要 因が併行通園にあるかどうかの判断は難しい。もちろん行動観 察についても同様の難しさはある。併行通園に期待することと して,「経験の幅を広げる」,「言語・コミュニケーション能力 の発達促進」が上位に挙げられたが,これらを量的・質的両方 の評価ができるような尺度を作成する試みも必要だろう。 《引用文献》 1)一般社団法人全国児童発達支援協議会(2013)児童福祉法改正後の障 害児通所支援の実態と今後のあり方に関する調査研究報告書.p.13-14. 2)厚生省(1998)保育所入所障害児の障害児通園施設への通所を認める 通知.月刊『保育情報』. No.266, p.27-29. 3)久保田満知子(2001)保育園と障害児通園施設の並行利用制度を開始 して.Aigo. vol.48, no.4, p.44-49

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