減圧凍結法 を用 いた造型法 による環境低負荷型鋳造 システムの開発
DevelopmentofCastlngSystemwithSandMoldFrozenunderEvacuationfbrBetterEnvironment
加藤 寛 1*,永井 寛2,川村邦明3,神村 岳3
HiroshiKatol,YutakaNagai2,KuniakiKawamura3andTakeshiKamimura3
1埼玉大学 工学部機械工学科
DepartmentofMechanicalEngineering,FacultyofEngineering,SaitamaUniverslty
2埼玉県工業技術セ ンター (覗,埼玉県産業技術総合セ ンター)
TechnicalLaboratoryofSaitamaPrefecture(Present:SaitamaIndustrialTechnologyCenter)
3株式会社前川製作所 MaekawaMPG Co.,Ltd.
Abstract
AnewcastlngProcessWith sandmoldsfrozenunderevacuationwasdevelopedforbetterenvironment andforreductionoftotalproductioncostofcastlngProducts, Thisreportpresentsexperimentalresultscarried outinSaitamaUniverslty. Theexperimentswerecarriedoutfortwoterms:themechanicaltestlngandthe ultrasomiCmeasurementofcastingsProducts,andtheultrasonicmeasurementoffrozensandmold. Theiron andaluminumalloycastingsPrOducedwithfrozensandmoldweresubjectedtothesoundvelocitymeasurement andto也eVickershardnesstestlngtOCOmpareW仙 thoseproducedwiththecu汀entCO2processmold. The experimentalresultsshowedthatthevelocityandthehardnessinthecastlngPrOducedwiththefrozensandmold showed血esamepropertiesasthoseofthecastlngSproducedwith血eCO2processmold,andthesewereingood agreementwithstructureobservationofthecastlngS・ Thesoundvelocityinthefrozensandwasabout4000m/s andwasalmostthesameasthatinice.
1. 緒 言
本委託研究 は,平成 14年度及び15年度地域新生 コンソーシアム研究開発事業 (減圧凍結法 を用 いた 造型法 による環境低負荷型鋳造 システムの開発)の 一環 として実施 された.当研究 開発事業では,省エ ネルギー ・環境低負荷型の鋳造 システムの開発 を目 指 し,減圧式凍結法 を用 いて凍結 した砂型を製造す
* 〒338・8570 さいたま市桜区下大久保255 電話 :048‑85813444 nlX:048・856・2577 EmailI.hkato@mech.Saitama・u.ac.jp
る新 しい鋳造技術 を開発 してきた.平成14年度 【1】 には,減圧凍結法 によ り製造 された凍結鋳型 を用 い た鋳造方案 の検 証 を行 うため に実証 システム の設 計製作 と設備導入 を行 った.次 いで,減圧式凍結法 によ る砂 型造 型の最適化検 討 によ り得 られた知見 をもとに鋳造 を実施 し,水以外 の粘結剤 を使用す る ことな く,製品重量30kgの鋳造品を製造 した.そ の後,鋳造品の組織観察や機械的性質の測定 を行 い, 凍結鋳型 を用 いて製造 された鋳物 は従来 の CO2ガ ス型 を用 いて製造 された もの と同等以上 の惟能 を
有することを示 し,凍結鋳型鋳造法は適度な肉厚 を 有す る鋳物 に有効な鋳造法である ことを検証 した.
更 に,凍結 した砂型の砂型強度や通気度等の特性の 把握を行 い,減圧式凍結法における最適化条件を求 めた.
平成 15年度 [2】には,鋳鉄の鋳造 において得 ら れた知見 をもとに,本凍結鋳型鋳造法の市場展開 ・ 製品展開を活発 に行 うために,アル ミニウム合金を 中心 とした非鉄金属材料への適用を検討 した.すな わち,アル ミニウム合金および銅合金の鋳物製品を 製作 し,非鉄金属材料における鋳造法案 を確立する とともに,従来のCO2ガス型を用いて製造 した鋳物 と鋳造組織及び機械的性質に差異はな く,同等の性 能 を有 していることを示 した.また,鋳 ぐるみな ど を用 いた製品で も従来法 と変わ らな い性能 を有す ることを実証 し,これ らの特殊な鋳造法へ も凍結鋳 型が適用可能であることを明 らかにした.更 に,莱 操業 に準拠 した凍結鋳型鋳造法 の連続 生産性 の検 証 を行 い,鋳物事業 として成立するための連続的な 生産方式 を確立 した.
平成 15年の本委託研究では,凍結鋳型を用いて 製造 した試験片並びに鋳造品の硬 さ及 び超音波速 度 を従来の CO2鋳型を用いて製造 したそれ らと比 較検討 を行い,両者が同等の性能 を有することを示 す とともに,凍結 させた砂型の特性評価 を実施 した.
本報告では,本委託研究において得 られた成果のう ち,凍結砂型に関 して得 られた結果 について示す.
凍結砂型を用いる場合,その凍結状態は鋳物の品質 に大きく影響することか ら,砂型の凍結状態を簡便 に評価することが必要 となる.そ こで,簡便な検査 法 として超音波測定法を採用 し,冷凍 した砂型にお ける超音波の伝播状況及び伝播速度 の測定 を行 っ た.前者の測定によ り冷凍砂 中の超音波の減衰状況 が把握 され,また,後者の測定 によ り冷凍砂の弾性 特性あるいは密度が評価 される.
2.実験方法 2.1試験体の製作
砂 型用 の砂 として生砂型 として代表的な飯豊珪 砂6号を用い,種々の割合で水を含有させて十分に 混合させた.その後,円形断面 を有する筒状の型に 入れてつき固めた.なお,砂型の水分含有率は4wt%, 10wt%,15wt%,16.7wt%,18.3wt%とした.次 いで,型に入れた状態で冷凍庫 に入れ,数時間放置 して十分に凍 らせた.この際,冷凍庫内はほぼ零下 15oCに保持 した.得 られた砂型の形状 をFig.1(a) に示す.
対比材 として,冷凍砂型の構成物質である氷,珍 及びco 2日硬性型の超音波特性 を調査 した.氷試験 体 については,Fig.1(ち)に示す形状の氷を冷凍庫中 で製造 した.また,砂試験体 としては直接の対比物 質が得 られなかったので,Si02を主要成分 とするガ ラス板 を用いた.厚 さ1.2 1.5mmのガラスの薄板 を機械油 を介 して重ね合わせ,Fig.1(C)に示すよう な直方体の形状 として,超音波測定 に供 した.自硬 性型については,Fig.1(d)に示すように厚 さ約 15 mm の板状 に試験体 を製作 し,その表面をエメリ一 紙#240まで研磨 して超音波測定 に供 した.
2.2超音波測定
冷凍 した試験体 を冷凍庫か ら取 り出し (ガラス試 験体及び 自硬性型の場合は室温で),接触法 によ り 超音波測定 を行 った.探触子 には,発信周波数 5 MHz,2.25MHz,1.OMHzの探触子 (直径,それぞ れ,16.7mm,12.7mm,12.7m n)を用いた.なお, 発信周波数5MHzの場合,底面反射波が良好に観察 されなかったので, ここでは2.25MHz及びlMHz の測定結果 を中心に示す.測定 に際 して,探触子 と 試験体 との接触条件 を以下 に示す よ うな種 々の方 法で試み,最適な条件を求めた.
(i)接触媒質を用いず,直接探触子 を試験体 に接 触 させる方法 (以後,直接接触法 という) (ii)接触媒質 として シ リコング リース を用 いる
方法
(iii)サ ランラップ用ポ リエチ レンフィルム を介 し,機械油を接触媒質 として用いる方法
‑39‑
ultHO寸IgN
(a)凍結砂型 ̀31mm
(b)氷試験体
1.2mm‑1.5mm
(C)ガラス試験体
(d)自硬性型試験体
Fig.1各種試験体の形状及び寸法
(iv)探触子 を砂型 に凍結結合 させ る方法 (以後, 凍結結合法 という)
探触子 を試験体 に接触 させ,試験体の表面か ら底 面までの超音波波形を得た.超音波波形はデジタル 記録計に記録 し,その後,コンピュータによる解析 を行った.すなわち,試験体表面か ら底面までの波 形を観察 し,次いで,表面か ら底面までの伝播時間 及び試験体の厚 さか ら,音速を求めた.
3.測定結果
3.1超音波波形に及ぼす試験体材質の影響
冷凍砂型において,まず,シリコングリースを接 触媒質 として直接接触法で超音波測定 を行 ったが, 探触子 と砂型は良好な接触 を示 さなかった.そ こで, 探触子 を凍結砂型 に凍結結合 させて超音波測定 を 行 った.測定 された結果 をFig.2に示すが,発信周 波数lMHzの場合,水分含有率15wt%以上で第1 底面反射波が観察 され,水分含有率の増加 にしたが
10 20 30 40 50 Time(LLS)
10 20 30 40 50
Time(〟S)
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10 20 30 40 50
Time(〟S)
Fig.2 冷凍砂型の超音波波形 に及 ぼす水分含有率の影響
‑41‑
(d)16.7%
(e)18.3%
10 20 30 40 50
Time(〟S)
l l l 1.lOMHz
10 20 30 40 50
Time(〟S)
Fig.3 凍結結合法によ り測定 した氷の超音波波形
って底面反射波強 さの増加 して い く傾向が見 られ た. これに対 し,発信周波数 2.25MHzではいずれ の水分量で も底面反射波は観察 されなかった.
比較のために,氷試験体 を用いて超音波測定を行 っ た結果の一例をFi.g3に示すが,探触子 を試験片表 面に冷凍結合させて超音波測定を行 った場合,発信 周波数2.25MHz,1.OMHzともに,第 1,第2及び 第3底面反射波が観察 された.底面 までの伝播時間 と試験体の厚 さよ り,試験体,lすなわち氷の音速 と して約4200m/Sが得 られ,従来の結果 とほぼ等 しい 値 となった.なお,今回は超音波の減衰を少な くす るために,狭帯域の探触子 を用いたために多 くの波 が観察 され,音速の値を精密に決定することはでき なかった.
次いで,ガラス試験体 について,接触媒質に機械 油 を用い,室温 (19℃)で超音波測定 した.得 ら れた超音波波形の例 をFig.4に示すが,発信周波数 1.0MHzでは第 1及び第2底面反射波が得 られた.
得 られた底面反射波よ り音速 を求めた結果,5回の 平均 として4920m/Sの値が得 られた.なお,発信周 波数2.25MHz及び5MHzでは第1底面反射波が観 察 されたのみであった.
最後 に,自硬性砂型において測定 された超音波波 形の例 をFig.5に示す.接触媒質 としてシリコング リースを用い,室温 (19℃)で測定 された.図に 示すように,発信周波数 1MHzの場合,底面反射波 が観察 された.この反射波が第1反射波であるとし
】 ■ l ■ 1■.OMHz
10 20 30 40 50 Time(〟S)
Fig.4 接触媒質 として機械油を用いて測定 したガ ラスの超音波波形 (周波数 :1MHz,測定温度 : 19℃)
u】iill I l 1l.OMHz 10 20 30 40 50
Time(〟S)
Fig.5 接触媒質 としてグリースを用いて測定 した 自硬性型の超音波波形 (周波数 :1MHz,
測定温度 : 19℃)
て音速 を求めた結果,1430m/Sの値 を得たが, この 値は氷中の音速のみな らず水 中音速 (約 1500m/S) にも達 していないことか ら,正 しい値 とは思われな い.今後,更 に低 い発信周波数で測定す る必要があ ろ う.
3.2音速 に及 ぼす水分含有率の影響
それぞれ の水分含 有率 を有す る冷凍砂 型 にお い て,表面か ら底面までの超音波伝播時間及び試験体 厚 さよ り音速 を求めた.結果の一覧 をTablelに示 す.また, これ らの結果 をFig.6に図示す るが,各 水分含有率の凍結砂の音速は,ガ ラス板 と氷の音速 か ら予想 された値 に比べて低 い値 を示 した.
凍結砂 における音速が低 い値 を示 したのは,凍結 砂が砂 と氷粒 よ りな る多孔質複合材料 で あ ったた め と思われる.多孔質物質中を超音波が伝播する場 令,伝播経路が屈曲する結果,一般の固体 中を伝播 す る場合 に比べて伝播時間を要する.すなわち,ガ ラス板及 び 水中の伝播 に比べて凍 結砂 中の ほ うが 伝播時間を要 し,結果 として音速が低い値 を示す こ とになる.もし砂 の音速,及び氷粒の堆積 した状態 での音速が計測 されれば,これ らの音速は凍結砂 の 音速 に近 い値 を示す ことが期待 される.
参考文献
[1]埼玉県 中小企業振興公社:平成14年 度 密度 新
̲全コンソーシアム榔 好DZtg,(20033).
[2]埼玉県 中小企業振興公社:平成15年 度 轡鹿 野 卓コンソーシアム棚 穿享者静穿葺 (2004.3).
ニ朋jニ
Tablel 音速 に及 ぼす水分含有率の影響
水分含有率 (wt%) 音速 (m/S) o (ガラス板) 4920
15 3510
16.7 3880 18.3 4400
86
4
20(sJLuq)^tPOla^U!uOSeJl[n
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1
Watercontent
Fig.6 音速 に及 ぼす凍結鋳 型 中の水分含 有率 の影響