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離乳が母兎の血漿蛋白成分に及ぼす影響
著者 中牟田 正幸
雑誌名 奈良学芸大学紀要
巻 8
号 2
ページ 137‑142
発行年 1959‑02‑15
その他のタイトル Effect of the Weanig on the Plasma Prtoein Components in Maternal Rabbit, by means of Electrophoresis
URL http://hdl.handle.net/10105/4860
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離乳が母兎の血菜蛋白成分に及ぼす影響
中 牟 田 正 幸 (畜産学教室)
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著者はさきに家鬼の母体,胎仔患よび幼仔の血奨蛋白に関する電気泳動的研究を行い(中辛田 1957, 1958) ,特に妊娠,分娩および泌乳時の母体血兼蛋白成分が非妊時のものとは著しく異な ることを報告したo
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較して,どのように変化するかについて電気泳動的に実験したので,その結果について報告す
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本文に入るに当り,御指導と御鞭蛙を賜わった九州大学教授岡本正幹博士に厚く御礼を中上
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各位に感謝するQ
∬ 材料および方法 (1)供試血液と採取方法
本実験に使用した豪鬼(成熟雌兎)は九州大学農学部畜産学第一教室にて飼育している日本白 色種(Japanese white rabbit) 7羽で,これを試験A区(17羽) ,試験B区(2羽)および対照区 CO靭)のC区,すなわちA区は分娩直後で離乳したもの, B区は分娩後.5日で離乳したもの,忠 よび対照区は分娩後40日間泌乳したものに区分したO
供試血液は非妊時,妊娠時(10巨1, 20日, 30日)および分娩後(直後, 5日. 1013, 30H, 40 日, 50日)の各時期に,それぞれの豪鬼の耳翼静脈より蝣J'O/。クェン酸ソーダ液を混入して一定 量を採取したOなお,同時に同一個体より別に少量宛の血液を採取し,血清の蛋白濃度を測定す るために供試した。
(2)総血奨蛋白濃度の測定法
前述の如く,採血に当って非凝固剤を混入しているため,日立製の蛋白屈折計を用いて蛋白濃 度を測定すると正確な値を得ることが出来ないので,別に採取した血清について測定した。
つぎに測定した血清の蛋白濃度を分析した血兼蛋白分属百分比よりfibrinogenの絶対濃度を来 れ この他を血清の蛋白濃度に加算して給血莱蛋白濃度として示した0
秒 試料の調製と泳動法
遠心分離して得た血菜はVeronal緩衝液(pH8‑6,イオン強度0‑06)を用いて透析した後,蛋 白濃度が1.5‑2.0g/dlになるように稀釈し,この稀釈液をセロファン紙に包んで上記の緩衝液を 外液とし40Cの冷蔵庫中に20時間以上透析した。
調製した試料は日立製のHT‑B型TISELIUS電気泳動装置を使用し,操作条件としで恒温槽
本研究の要旨は昭和33年度日本畜産学会秋季大会(新潟)において発表した。
(138J 中 辛 田 正 章
温度8‑12‑C,電流3‑5mA,電圧98‑112Volt,泳動時間i3‑*‑蝣18分のもとに泳動を行って撮影し た。
㈲ 血渠蛋自分層の測定法
現像した乾板は引伸器にて4倍に拡大し,複写した泳動図から各分層の面積をPlanimeterで測 定して全蛋白に対する各分屑の相対濃度(Relative concentration)を求め,そしてまた絵血清 蛋白濃度にそれぞれの値を乗じて各分層の絶対濃度(Absolute concentration)を算出した。な 患,実験の成績は泳動像の上昇側(Ascending)と下降側(Desending)の平均値をもって示し rM
却 結果および考察 (1)給血東蛋白濃度
その成績はFig.1に示 す通りであるO血菜中の
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離乳したものに患いて, 分娩直後には4‑7g/dl(対
照は4‑7g/dl‑以下カツ コ内は対潤の値を示す) に対して5日後にはう.只g /dl (5.7g,!dl) , 10日後 には6.0g/dl (5.9g/dD となり,そしてまた5EI 後で離乳したものにあい ても,分娩直後には4.5g /dlに対.して5日後には 5.6g/dl, 10B後には51リ g/dlと増加し,その後は いづれもがはぼ同一水準 を維持した。これらの結 果は対照のものに比較し て近似した値を示し,し
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Fig.l The change of total plasma protein concentration.
(A)‑'weaned from their new‑borns at just after parturition.
(B): weaned from their new‑borns at five days after parturition.
(C): lactating rabbit.
たがって血嚢中の愉蛋白濃度は離乳によって影響されることはなかった。
(2)血衆蛋自分層相対濃度
その成績はFig.2に示す通りである。まづ分娩直後で離乳したものに患レ、て, γ‑globulinは分 娩直後には6‑55 を示すのに対して5日後にはリ蝣8%, 10日後には12‑3^, 20日後には¥0‑A%とな
り,以後も増加して3()日後には17・5%の値を示し対照Co.8^)に比較して約3倍量に聾したが, その後は漸次減少し正常値に回復した。これに反して, albumin, α一缶よびβ‑globulinは対剛こ 比較して全般的に低い値を示したoつぎに分娩後5日で離乳したものにおいて, γ‑globulinは分 娩後5日には'.1%を示すのに対して10日後には10.1^, 20B後には11.25となり,対照に比較し て約2倍量に増加し,前者と同様に高い値を示したが,その後は漸次減少し正常値に回復したO
離乳が母兎の血菜蛋白成分に及ぼす影響
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Fig.2 The change of the relative concentration of each protein fractions.
(A): weaned from their new‑borns at just after parturition.
(B): ‑weaned from their new‑borns at five days after parturition.
(C): lactating rabbit.
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これに反して, albumin, α‑およびβ‑globulinは 対照に比較して同様に低 い値を示した,Fibrinogen はいづif!O軍iJ tこよい ても,常に6‑8‑8.'の 値を示し,対照(7.0‑8.
5%)に比較して綾とんど 変りはなく,全般的に絞
!3: ‑ri一*‑華を症持した。
(3)血菜蛋白分層絶対.
濃度
以上は各分層の総蛋白 量に対する構成比を示し たものであるが,さらに 各分層の示す絶対濃度の 消長は生理的に重要な意 義を有するので,これを 図示すればFig.3の通り である。まづ分娩直後で 離乳したものにあいて, γ‑globulinは分娩直後
には0‑31g!dl (0‑32g/dl 一以下カツコ内は対照の 値を示す)の値を示す が, 5日後には0‑56g/dl (0.35g/dl) , 10日後に は0‑47g/dl (0.32g/dl), 20日後には0‑28g!dl (0.
.s'4k/dDと&'て・ハ経も 増加して30日後には1.02 g/dl (0‑35g!dl)となっ て,対照に比較して非常 に高く,最高時には約3 倍量に達したが,その後 は漸次減少し正常値に回復したo これに反して, albuminは分娩直後には2‑47g!dl (2.52g!dl)を 示すが,以後増加して5日後には。‑log/dl c3‑36g/dl) , 10日後には3‑36g!dl (3‑62g/dl)とな り,その後はほぼ同一水準を維持し, α‑globulinは分娩直後には0‑59g/dl (0.60g/dl), 日後 には0‑67g!dl (0‑70g/dl) , 10日後には0‑70g!dl (0‑85g/dl), 20日後には0‑68g/dl(0‑70g/dl), 30日後には0‑62g/dl (0‑73g/dl)および40日後には0‑60g!dl (0.73g/dl〕となり,そしてまた
(140)
中 卒 田 正 幸
β‑globulinは分娩直後には0‑Sog/dl (0.79g/dl) , 5日後には0‑87 /dl (o湖g!dl) , 10日後に は0‑82g/dl (0.日・>g/dl) , 20H汝には0‑60g!dl (0.91g/dl), :JOE機には0.糾g/dl (0.90g/dl)お
よび10日後には0・67g/dl (0‑T'Jg/dl)を示し,これらの値はレ、づれもが対照に比較して全般的に 低かった。つぎに分娩後o aで離乳したものにおいて,前者と同様に, γ‑globulinは分娩直後 には0‑29g/d!, 5 9後には0・3と>g/dlの陰を示し,離乳前は対照と比較しあまり変りはないが,離乳
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Fig.3 The change of the absolute concentration of each protein fractions.
(A): weaned from their new‑borns at just after parturition.
(B): weaned from their new‑borns at five days after parturition.
(C): lactating rabbit.
して,5日後,すなわち分 娩後10Hには0.59g/dlと なり漸次増加の傾向を示
し, 20H後には0‑66g/dl となって,対照のものよ
りかなり高く,最高時に は約2倍畳に達したが, その後は漸次減少し正常 値に回復した。これに反 して, albuminは分娩直 後には2‑ 89g/dlを:示す が,以後増加して5日後 には3.10g/dl, 10日後に は3.42g/dlとなり,その
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L, α一一globulinは分娩 直後には0.50g/dl,う日 後には0‑57g′′dl, 10日後
にには0‑87g/dl, 20H後 には0.60g/dl, 30H後に は0‑68g/dlおよび40日後 には0‑71g/dlとなり,そ してまたβ‑globulinは 分娩直後には0. 78g/dl,
5日後には0‑82g/dl, 10 日後には0.80g!dl, 20日 後には0.72g/dl, 30日後
には0‑76g/dl患よび40H 後には0‑70g/dlを示し,
これらの値はいづれもが 対照に比較して全般的に 低かった。そしてfibri‑
nogenはいづれにおいて も同様に0‑36‑0.52g/dl の値を示し,対照C0‑37
離乳が母鬼の血菜蛋白成分に及ぼす影響
IEII
‑0.54g/dl)に比較して変りなく,ほぼ同一水準を維持した。
以上の如く,相対濃度および絶対濃度のいづれにあいても, γ‑globulinは分娩直後あるいは .5日後で離乳したものが泌乳中のものに比較して著しく増加し,しかも前者のものが後者のもの より遥かに高かったが,これに反して, aibumin, α‑およびβ一g】ohulinは泌乳中のものよ頼,i:
股的rL低く,そしてまたfibrinogenは常に同一水準を維持して泌乳中のものとほとんど変りはな かった。
これら諸変化,D起因として,まづ乳汁蛋白質の生成について考えてみる必要があると思うO す なわち,乳汁蛋白質の多くのものは血液中の遊離アミノ酸を直接'D原料として乳房内で合成され
るが,その中,jjいくらかのものは量的rLは多くはないかも知れぬが,血菜蛋白患そらくは血菜 globulinから生産されることは疑いないことであり(Reineck 1941, Campbell and Work 19う2, Barry 1902およびAskonas and Campbell et al 1954),特にAskonasは山羊および鬼の乳汁蛋白 の中の免疫globulinが血液から乳汁'D中え直接そのままの形で移行するであろうということを放 射性同位元素の追跡で証明しているD この事実から考えて,分娩直後あるいは5日で離乳した場 合には,特にその時期には免疫globulinとして多量のものが乳房内に移行しているので,乳汁分 泌の中絶とともに乳腺内に多量のものが貯溜されるが,乳腺内の貯滑も限度があり,したがって 血液中に過剰のものが貯潤し 血液中'Dγ‑globulinが泌乳中・Z)ものより非常に高くなるのではな いかと推察される。これに反して fibrinogenを除いた他の蛋白成分,すなわちalbumin, α一志よ ぴβ一一globulinのいづれもが低下するのは, γ‑globulinの著しい増加に伴ってこれを構成するい くつかのアミノ酸がγ‑globulinを合成するためにより多く利用され,その結果として他の蛋白 成分2)合成が必然的に減少したのではないかと堆察されるが 」CO意については今後さらに倹討 する必要があると思う。
Ⅳ 要 約
分娩直後あるいは.5日後で離乳した母兎の血菜蛋白成分が泌乳中のものと比較して′ どのよう に変化するかについて電気泳動的に実験したところ,次の如き結果を得たO
(1)総血菜蛋白濃度は泌乳中のものとほぼ近似した消長を示し,離乳による影響はみられなか sm
(2) γ‑globulinは泌乳中のものより著しく増加し,しかも分娩直後で離乳したものが5日後 で離乳したものより遥かに高かったO
(3)これに反して, albumin, α一およびβ ‑globulinは泌乳中のものよりかなり減少したo (4) Fibrinogenは泌乳中のものとほとんど変りなく, aぼ同一水準を維持したo
文 献
1) Askonas, B. A., Campbell, P. N., Humphrey, J.J., and Work, T. S., 1954: Biochem. J.,
56, 597.
2) Deutsch, H.F., and Goodloe, M.B., 1945= J. Biol. Chem., 16,1.
3)藤野 安彦, 1958:畜産の研究サ12, 6, 1.
4)中牟用正幸1957:日本畜産学会関西支部報,第23韓.
5)中牟田正幸, 1958:日本畜産学会報,第29巻,別号.
6)巾牟田正幸1958:日本畜産学会報,第29巻,別号其の2.