Title
後進畑作における技術構造の一考察
Author(s)
福仲, 憲
Citation
琉球大学農家政工学部学術報告 = The science bulletin of
the Division of Agriculture, Home Economics & Engineering,
University of the Ryukyus(9): 219-246
Issue Date
1962-12-01
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12000/23130
後進畑作における技術構造の一考察
福仲憲* KenFuKuNAKA:AStudyontheTechnicalStructure inUplandFarmingwithLow-productivity. I緒論 1.畑作の低位生産性について わが国の畑作農業は水田農業に比して遅れた生産構造をもっていると言われる。今,全国的に見ると, 畑地は263万町歩で全耕地の凡そ44%に当り,1町歩当りの粗収入は水田の35~40万円に対して畑 地は25~30万円程度で畑作は相対的に農業所得水準が低く不安定であるとされている5)。果樹,桑園 第1表水田畑別反当粗収入諭
水田 普通畑 果樹園 桑園 畑地計 備考(1)昭和30年農家経済調査報告 (2)計算方法水稲十(大麦十裸麦十小麦)×普通孟聿晏毛田
水田反収= 水田総面積普通畑反収=作物篝壼孟鵠奎衾壹果樹
(3)岩片磯雄「日本に於ける畑作営農の発展方向」農業及園芸VOL34,No.1 等は普通畑に較べれば,造かに反当粗収入が高いけれども,日本全体として見ればその面積が限られて いるので,之等を併せた畑地全体として見てもその粗収入は遥かに水田には及ばない(第1表)。一概に 畑作農業と言ってもその態様は全く複離多様で先進地と後進地があり,若干の園芸作物・工芸作物を除 けば一般には技術が遅れ,収量が低く,生産力の発展が停滞して,現実に農業生産所得が相対的に低く, 不安定であると言えるであろう。この様なことは九州に於ける水田地帯と畑作地帯についても知ること が出来る(第2表)。 畑作農業の相対的な生産力の低さと不安定性は,日本農業が古くから水田作技術を中心に展開して来 たからではあるが,これは根本的には何に起因していたであろうか。 農林省「農林水産業の現状と問題点」(昭和32年度)によると,畑作生産力の低さの要因は, *琉球大学農家政工学部農学科220 福仲 憲 第2表農業生産所得 一戸当’一反当 円 195,777 206,318 139,356 119,762 145,432 備考農林省統計資料 昭33年次農業生産所得 =県別農業粗生産額×農区別農業所得率 岡賀崎島崎 児 福佐長鹿宮 ゾーーr-lI1 田帯作帯 水地畑地 26,852 26,255 21,913 21,154 18,542 イ)従来のわが国の農業が水田偏重で畑作が軽視され,試験研究,生産奨励,技術指導,価格・流通 対策等の畑作に対する施策が手薄であったこと,ロ)水田偏重の結果,畑作は水稲作の困難な不良環境 地に追い込まれ,各種災害の危険にさらされていること,ハ)従って畑作に於ける耕種技術が遅れてい ること,が指摘されている。 だがこの様な畑作における耕種技術の後進`性も,もとをさぐれば水田技術に比しそれが複雑多様であ るからに外ならないがその技術的‘性格は次の様に理解されるであろう。 1)作物の種類が多い。であるから間作や混作が多く,作物毎に栽培の方法・時期が異り農作業は異 種継起的に行なわれ,作付体系従って作業体系が一層複雑になる。それは畑作本来の属'性ではないが米 の様に安定した販売作物がないので,現実には多種類の作物を栽培するたとによって価格変動に応じて 弾力的に収入増大をはからざるを得ない。 Q/6
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第3表気象環境不良地面積の対比 電雲|風害|霧 戸苅義次他編「畑作の新基軸」(1958)後進畑作における技術構造の一考察 221 であろう。 この様な畑作技術の遅れの要因が凡て畑地本来の属性ではないにしても,元来,生産手段としての畑 地の条件が根本的な欠陥をもっている。それには自然的な原因もあり,人為的な理由もある。それが互 に結びついて歴史的な現実となって現われている。わが国では,畑地の不良性は経験的には捉らえられ ていてもその詳しい研究資料には乏しいが,専門分野の見解ではわが国の畑地土壌の'性格と分布は凡そ 次の様に理解されている'8)。 1)火山々麓地域であって,凡そ42万町歩,その土壌は火山砂,礫及びその他の火山噴出物の風化 土壌で構成されているが風化が余り進んでいない。十勝,那須,浅間,富士,八ケ岳,阿蘇,霧島等の 火山地域を含み,燐酸吸収力が強い。 2)火山`性洪積台地及び丘陵地域であって.凡そ98万町歩,台地及び丘陵をなしてやはり火山砂, 礫,灰等の風化土壌で覆われているが,1)の土壌よりも風化が進み腐植が多い。十勝,網走,最上,関 東台地,日向台地等がこれに入る。 3)非火山'性洪積台地及び丘陵で,凡そ20万町歩,ここは火山性土壌を含まない台地で丘陵地帯を 言い,黄褐色を呈する粘質な土壌又は埴壌土である。三方ケ原,高師ケ原,尾張丘陵,三重県北部台地, 泉州台地,東播台地等西日本に多く分布していて,酸性が強く多くは微量要素に欠乏する。 4)扇状崩積地,残積性傾斜地で,梢40万町歩,これも火山性(例えば四国の音地土壌)と非火山 性(例えば,本稿における調査地長崎県西彼杵地区)とがある。その外沖積土地帯に砂丘地がある。 こうして原因が自然的であり,人為的であるにしろ,現実に,畑作地帯での農業生産所得が低く,不 安定で耕種技術も低位で且つ停滞的だとするならば,そこでの生産構造乃至は技術構造のメカニズムを 究明することは大切である。かかる目的に沿って,調査,分析の対象地として,畑作の支配的な長崎県 西彼杵地帯(前記分類の(4)に属す)を選んだ。 2,西彼杵半島の畑作の動向 西彼杵半島は中央を縦走する背梁山脈を分水峯として急傾斜が多く,水田は僅かに3割程度で西日本 における典型的な急傾斜畑作地帯である(第2図)。戦前でも,西日本殊に畑作地帯の常として概して自 作地が多く,地主M、地主が多かった。それだけに農地改革を契機とした農業生産力の発展も殊更著し いものがなく,今でもそのまま停滞している感がある。此処の遅れた畑作農業も自然条件が劣悪だった ことにもよるが,日本でも傾斜畑が多い地域では集約的な果樹園芸地帯が形成されているところが少な くない。ここでも長崎市寄りの伊木力や時津は古くから蜜柑等の名産地として知られており,今では半島 全域に普及されつつある。しかし交通が不便で『陸の孤島」と呼ばれたこの地域も西海橋の開通(昭31) によって佐世保市場と長崎市場の中間に位置するようになり,,今では半島の農業と言っても可成り事情 が違ってきているが,一般的に見れば粗.放な普通作が未だ主体で傾斜が多いにも拘らず目星い、兼業も ウチメ ソトメ ない。農業を多く専業とするのは半島の東側に当る内面で,西側に当るタト面では大なり'」、なり兼業とし ての漁業があり,地目構成は第4表の通りである。 此の様な西彼杵半島の農業を類型化して考えるならば,先ず南部の時津村を中心に蜜柑園が漸次北上 して普及しつつあること。北部の瀬川村を中心に佐世保市近郊型の蔬菜栽培が南下して普及しつつある こと。更にこれら内面の農業に対して外面では漁業兼業の停滞的農業が行われている。この事実は例え ば農家一戸当耕地面積(第2図)を見ても知ることが出来る。 以後,分析の対象となる内面地域の農業は, 1)水田,畑とも耕地条件が極めて劣悪である。 2)従って持立型を中心とした農具が主体であり,労働手段(特に耕転用具)の装備が悪い。 3)地力維持の問題が特に深刻に現れている。
22, 福仲 憲 、 c~ ~ 〃 、
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△膜 第2図西被杵半島地図 4)寡少で経済的に重要'性をもつ水田耕作が畑作と相剋している。 これらの諸事情は相互に原因となり,結果となって,粗放な普通作物が主体となり, これらの諸事情は相互に原凶となり,結果となって,粗放な普通作物が主体となり,水田は殆んど1 毛作で,畑も2年3作の粗放な土地利用が行なわれ,その上各作物の反収が低いという現象をもたらし ている。 以下,此の様な後進畑作農業を技術構造の視点から分析することによって,生産技術のメカニズムを 理解したいと思うのであるが,先ず問題を「地力」と「労働力」に限定して,その二つの視点ないし側後進畑作における技術構造の一考察 第4表地目構成 223 ヨ(内2毛田)|普通畑|果樹園|桑園|茶園 )8011.73( SlUl7-gg 鰯11m 50(684 〈-2』( 3110( 5(8 「1 J H1ノド盲[ノ又 、、31011C 408189 甚昌11上L 81161] 「。 L」 且I↑匠訂lDR 備考瀬川,大串,亀岳は昭32,時津は昭31,雪浦は昭25 面から考察したい。 既に述べたように,ここの農業生産にとっては地力ということが実際上極めて重大な当面の問題であ り,現実にその解決を迫られている重要な課題だと言ってよいであろう。ここでの低地力を齋らしてい る第一の原因は生産手段としての耕地の条件が劣悪ということであるが,現実の問題はこの様な「自然 的な低地力」そのものだけではない。つまりここで地力が問題となるのは,むしろ与件としての劣悪な 地力が維持または増進されることを必要とするからである。ここの場合,玄武岩を母岩とする崩積士ま たは残積士の可塑`性の強い粘質土であるから,自然的にも必ずしも悪い土壌ではないが,それにも拘ら ず「低地力」が現実の農業生産にとって重要な問題となっているのは地力が停滞または減退しているか らであり,地力の維持機構がここの畑作技術の発展のいわばキイ・ポイントの一つとなっているからで ある。 基本的には「自然的な地力」も農業生産の過程を通じて漸次人為的に変動していくものであって,決 して固定的なものではない。その理論的な根拠は,もっとも典型的には西欧の農業において三圃式農法 が四圃式あるいは六圃式の輪栽農法にとって替ることによって地力が画期的に増進したという歴史的事
実に学ぶことが出来る。ここでも経験的にではあるが一連の作付体系の1慣行があって,その如何によっ
ても地力が如何に変動してきているかを見ることが出来る。従って,ここでの地力の問題も先に述べた 基軸となっている「2年3作型」を中心とする作付方式の克明な分析から理解されねばならないであろう。 だが2年3作型を基軸とする作付方式も単に地力の問題のみによって規定されているものではないか ら,そのメカニズムの理解は家族労作経営に於いては特に「労働力」の視点からも考察されることが必 要であり,そこに「地力」と同じ重要性をもって「労働力」の問題が生ずる。 更に,商品生産の展開が遅れ,自給生産の強い経済構造を基盤としている限り,稀少な水田耕作の性 格と意義も併せて理解されねばならないであろう。 以下,調査部落の実態')を基に考察する。 Ⅲ技術構造の分析 1.調査地の経営概況 調査対象部落の所在する大串村は内面で西海橋の架ったところである。農家戸数896戸,1戸当耕地 面積は第2図で見た如く比較的大きく地目構成も第4表の通りで,更に作物構成・反収及び士地利用度霞 224 福 件 第5表作物構成と反当収量 耕地計 --- その他|畑計 馬鈴薯 果樹
別一楴合収
村一Ⅶ
水稲 反 2,073 % 26.3 石 1.8 裸麦|小麦|甘藷|大豆 蔬菜 60112.09617,883 1.160 1.730 440 2.800 14312.800 810 100 0.81153.4 14.7 21.9 貫 35.5 1.8136葛|Ⅲ::
5.6 貢 300 4001 1.8 1.5窯|鰹トⅢ
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12.9 94 5・62。3 87貫4467 22143 積合収積合収 面面 付付 作割反作割反 祓-111-l1Il 良 浦 以 多 》三 602 必2閉72 1151 28.1 貢 400071
3,39712,705
1256|Ⅲ
'61111
0.614.1
225 8.3讃
182 6.7 0.7 備考(1)瀬川,大串,亀岳は昭32,時津は昭31の役場資料,多以良,雪浦は昭28の農業基本 調査 (2)時津では馬鈴薯なく飼料作物を同欄に記入した 第6表労働手段の装備状況と家畜 薗合:竃|淵 54188 81lC 、4 PS〔|」4弓 31520 、I0-218 敗I1C 備考前表と同じ225 後進畑作における技術構造の一考察
(第5表)と労働手段の装備状況(第6表)から外面と内面の農業を,主として大串村の農業を概観して
見よう。1)1戸当耕地面積は兼業農家の多い外面は小さく,内面でも中間に位する亀岳村が一番大きい。
2)水田率は3~4割で,主食作である裸麦は水田の少い所では相対的に多い。3)主作物であって歴史的にも主要な商品作物である廿藷の割合は他の作物よりも地域差がない。
4)大豆の割合は地域差が大きく,時津と大串の場合に特に少い゜ 5)蔬菜は商品化の著しい内面で多く,外面は少い゜6)果樹は殆んど蜜柑で,蔬菜と同様に最近著しい普及を見せ時津では成木が多いのに対して,瀬川,
大串では殆んど幼木である。従って,以上のことから大串村は先に半島農業の類型化で見た「北部の瀬川村を中心とした佐世保市
近郊型の蔬菜集約化傾向をもつ地域」として見ることが出来る。更に対象部落は小迎郷の中の-つであって(第7表),村内における農業上の位置付は凡そ次の様に要
約出来よう。 第7表大串村郷別の経営概況(昭32年)鑪隣
1戸当経営耕地面積 経営耕地面積 専業農 家割合 備考郷別|農家数
水田, 畑|計 反I 0.31 3.3111
水田’畑’計 ■|%朋肋皿
一23 反43485911 ●●●●■●●G 31877881 1 1 反10501307 ●●●●●●巳● 38544457 % 2.0 9.8 11.3 4.7:飛
圭雷|蝿
急襲二Ⅱ11
熟灘
%63755089 ●●●●●●●● 28257560 9864954 漁業兼業 商業兼業 山林兼業 48.8 45.3 ●●●826 888 51.8 38.2 18.2 30.3 備考(1)郷村は役場調査より,(2)調査部落の兼業率は高いイ)第2種兼業は多いが*,一戸当耕地面積が広い。また畑地の割合が大きく,果樹園も多い。ロ)主
要農機具の普及率が高く,乳牛の導入は最も早い。而かも主要農産物の反収がたかい。 第8表経営階層,形態別農家戸数弓修三ボー~、
I Ⅱ Ⅲ Ⅳ 形態別割合 % 計 3~5反’5~10反'10~15反'15反以上 3反未満 18.2 4 6 7 2 3 22 100.0 4 l2 ABcDD 無畜 和牛のみ 和牛+動脱 ティラー+和牛十動脱 ティラー+乳牛+動脱 計 階層別割合% 27.2 25 78 ● 1 3 3 14 1 31.8 22262 ● 7 2 9.1 13.7 100.0 4 18.24;|、:
備考階層は経営耕地を形態は労働手段を指標とする *教職や官吏職との兼業が多い226 福仲憲 第9表調査部落の階層,形態別経営概況 経営階層別 経営形態別 計 D1 +D2 A BlC D1 D2 Ⅱ’Ⅲ’Ⅳ (ソニ(Ⅲ〉『〈】v、庁〃0コ、nnU、P(U|、(Ⅱ〉一一、△刎玉 ・・〃nmV〃、シ】ユシハⅢ〉〃『Ⅱ▲〃『Ⅱ▲〃(ソ】 ロバ玉 ■ ■■ 戸【lU P(U 、ア】 現住家族 能力換算農従者
経営耕地「iIi
果樹園 完全果樹園 「普通畑」 桑園 山林面積合|水勢㈹
4.8 2.4 21.14 71.11 92.25 7.27 0.28 69.27 セ歩 0.08 16.10 23.1 76.9 100.0 11.1 11.7 39.02 25.0 25.0 50.0二:
4.3 1.0 6.18 9.0 3.3 49.05 110.21 159.26 14.25 7.11 103.10 6.0 3.3 44.03 106.09 150.12 38.06 22.10 82.12弱;!
3.0 2.3 23.24 6298768461370282631 .・01201202.....0... 63........36065.847 86485000360135215 4941 9 2 1 4 1 7.2 3.3 46.03 108.00 154.03 28.25 16.10 90.22 5.9 2.6 33.15 77.06 110.21 14.00 6.00 70.24 0.05 27.12 30.3 69.7 100.0 18.2 42.6 43.03 31.8 27.3 40.9 942626713910 ・210102101.. 2.........80 19132606360 4831 8 1 1 1灘
戸当「り 96.09 0.02 68.27 08550764334 11..。。.1..。 ..54074.333 00270 11333 1 1 4 歩Ⅱ%刀%0%0%5%4歩冊%0%0% セ2肛門Ⅱ迦溺セ5別別 1 2 2.15 48.15 30.7 69.3 100.0 13.4 49.5 49.05 50.0 95.21 29.3 70.7 100.0 35.9 58.5 45.04 33.3 78.25 29.9 70.1 100.0 26.7 56.7 46.21 40.0 0006A型00’ 91045・55 27032227 12 64086u8|〃 27036.36 36026736 14ョ☆|:
果樹園/畑 完全果樹園/果樹園 農従者1人当耕地ョ:|篭
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16.2 44.24 42.8雲I
墓:し
50.0 66.7 60.0 備考(1)完全果樹園とは果樹以外の作物のために使用せぬもの (2)普通畑面積=畑一(完全果樹園十桑園+専用飼料圃) 従って,農業経営の動向としては比較的に進んだ,或は進もうとしている部落の一つである。 以下,考察を進めるに当って,経営耕地規模と主要労働手段を指標に階層と形態別に分類したのが第 8表である。ここでの階層,形態別の経営概況(第9表)は凡そ次の様に要約出来る。 1)階層と形態,即ち経営耕地面積と労働手段の結び付きは大体一致する。 2)階層,形態の進むに従って家族内農従者数が増える。 3)果樹は兼業の多い5反未満層と上層群に相対的に多いが,一戸当果樹園面積は上層が多い*。 4)中小家畜は下層群において重要な現金獲得の補給源として相対的に多く導入されている。 5)テイラー型耕転機の所有農家は上層に多く,中には和牛を排除して乳牛を導入しているものがあ る。 *ここでの果樹は熟畑に植え,而も成木になるまでは普通作物が間作されるので比較的に下層におい ても普及し得る。後進畑作における技術構造の一考察 227 6)水田は一応階層と共に多くなるが,形態別に見ると中間層が多く,最上層は一層集約な果樹や蔬 菜を多くする傾向がある。 7)各耕地は土地利用の方式が明確に分化しておらず混作,間作が多く,たとえば高度な土地利用部 門たる果樹園には普通作物が間作されながら樹園化が進んでいる。 2.「2年3作」の技術的'性格 1)作付方式の成立と諸条件 a)作物構成と土地利用調査部落の全農家について,普通畑の作物構成よりここでの土地利 用を見ると,第10表に見られる如く,夏作では大半を占める廿藷と,蔬菜,大豆が主体をなし,関東 や東北の畑作地帯と違って雑穀の作付は非常に少ない。冬作では麦が主体で,最近,冬蔬菜が僅かなが ら導入されている。 第10表普通畑の土地利用状況(%) 経営階層別 経営形態別 平均 D, +D2 56.2 19.1 11.1 13.9 2.6 5.8 3.1 36.5 2.8 1.8 116.41 A B C D1 49.0 26.4 9.4 12.9 2.2 5.5 2.6 32.6 D2 Ⅱ I Ⅲ Ⅳ 7244 ●●●● 5246 52 甘藷 豆類
蔬|:馬鈴;
菜lMi
計 雑穀 その他 合計(A) 70.8 7.2 59.4 21.4 11.2 10.1 3.1 6.9 3.1 34.4 15 0.9 117.6 55.2 3.0 58.2 5.7 3.1 1.7 10.5 1.5 70.2 4682359 ●●●●●●● 1229372 621 47732530 ●●●●●●●● 80333731 5211 4 98646590580 ●●●●●●●●●●● 43652523003 52 2 0 1 63. 22. 14. 10. 3. 8. 3. 39. 1. 0. 127.iili
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70.8 7.2 57 71 ■■ ■■ 684 4 1 3 57271 ●●、●● 68444 13 1.8 3.3 2.8 18.7 5.2 夏作 35.7 1.2 0.9 121.8 1.5 121.6 112.1 - 46.8 101.8 112.1 108.0麦麦薯ギ他種⑥
計糊ネの計
計 裸小春玉そ げ-111rll1ll 麦蔬菜菜〈ロ 42.3 8.1 50.4 7.6 5.0 0.3 12.9 0.4 63.7 61.1 3.0 64.1 3.8 1.4 1.1 6.3 1.6 72.0 886211400 ●●●●●●●●● 506643322 5 5 1 7 46.8 〃42431812 ●●●●●●●●●381620843 5 6 61. 49.2 1.5 50.7 6.8 2.5 53.2 3.2 56.4 8.6 3.7 3.2 15.5 1.5 73.4 2. 63. 46.8 15.5 1.8 46.8 15.5 1.8 3. 冬作 ●● (唖〈】『0Ⅱ一 17.3 17.3 7°C 9.3 1.7 61.7 1.C 64.1 64.1 73.] A+B 176.2'65.51
193.8 193.61176.2 165.3 201.8 169.7207.21
189.8 187.8 備考(1)数字は作付面積/普通畑面積 (2)豆類は大豆が殆んどだが他の豆類も実取のものは含めた 次に主要作物についての変遷を見ると(第3図),大豆の著しい減少,甘藷及び裸麦の一般的な増加傾 向がある。即ち夏作の「甘藷十大豆」と畑面積との差は桑園を除けば主として蔬菜であり,雑穀の漸減 を考えると蔬菜が漸次拡大してきたことが分る。それは商品作物としての西瓜,玉葱,馬鈴薯を主とし て大豆の減少と逆に増加してきたものである。憲 福仲 228 そこ’|+そり F1[ (%) 、1214tIF ;台正和
備着(1)B召和25,28年妻は水田を含む'(2)数字が途中で切れている場合を点線にしだ)
(3)桑園は10096の線を基線として表示しだ。 第3図主要畑作物の畑面積中に占める割合の変遷(大串村) このように夏作では土地利用が高く,冬作では30%もの休閑があって,全体としても187.8%の作 付率に過ぎない*。こうしてここでは夏作の集約化によって商品生産化は進められているといえよう。 ではかかる作物構成から出発した粗放な土地利用は如何なる条件によって規制されるのであろうか。 先ず最初に階層,形態別に考察してみよう(第10表)。甘藷,麦,大豆については,大差はないが, 蔬菜は階層の上向につれて高くなる。ただ5反未満層で蔬菜の割合が高いのは自家蔬菜専用圃を除外し たのでそれをもつことの少い5反未満層では普通畑において自家用蔬菜が作付されるからで,1戸当平 均作付面積(第11表)で見ると一層明らかである。単なる作物割合についてはそうであるが,粗放な 土地利用(冬期休閑の存在)について見ると,明確な傾向はなく多少のうレがあるのは冬期休閑が単純 に耕地面積や労働手段の如何によってのみ規制されるものでないからであろう。 第11表1戸当平均作付面積(畝) 経営階層別 経営形態別 計 D1 +D2 Ⅱ|Ⅲ|ⅣlAlBlClD, D2 I蝉
49.4 49.4 26.6 9.5 13.0 10.4 32.9 49.3 10.2 9.9 11.7 10.0 31.6棚Ⅲ霊…
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9.10.9 331450 ●●●●●● 853453 31 1 51.9 19.1 10.8 7.7 11.6 30.1 54.5 19.4 12.8 12.4 13.1 38.3 16.8 9.7 12.2 0.8 3.6 4.4 10.1 32.0 I糊1
鰯
’三|:::I
6.61 38.5156.4151.0 48.6 49.5|襄陣
7.5 3.3 2.9 3.4 2.4 6.8 2.6 088 ●●● 834 2.0 0.2 3407 ■●●● 3216:量に。
0.8661
9.4 10.6 13.7 2.2 *同じく水田裏作率4)低く,年間作付率は105.4%である229 後進畑作における技術構造の一考察 q 第12表耕地条件別作物編成の割合(7戸) 距離別 平均 道より 50m~ 62.1 18.9 2.3 1.6 26.5 30.4 3.2 114.6
雪l00ml型l150mlI5lljiiml&;脇'2,吻二iiil
リヤカーTiiJ
5051289 ●●●●●●● 8861964 511114蕊
96.4 24.3 21.0 12.6 64.1 21.2 34.4 4.7 15 50.6脚川加川剛Ⅲ川蝉一ⅢMM皿川川肺
別J川刊川‐則1別J川Ⅱ川則Ⅶ「則lⅡⅡuⅧ川釧Ⅶ川引別
肚nu8乢乢爪Ⅲ|他4且9Ⅲ3肌
T4 「MMM》|馴川uM肌
128.2 135.9 58.8 56.2 11.4 5.3 9.7 26.4 2.1 58.6 91.7 4.7 3.6 6.5 1.1 3.7 6.8 14.8 11.6 8.2 0.5 1.8 2.4 フ 75.4 84.7 70.7 75.0 91.7159.2163.1 FB)l:一蝿|Ⅲ
l|迦一剛
185.3 203.6 194.9 A+B’230.81209.11194.31227.61191.4 24.8 27.9 37.0 35.3 100.0 23.4 (冬期休閑) 畑面積 距離別農道別 而「糟割合 12.4 100.0 24.5 24.3 100.0 15.2 22.7 100.0 11.1 5.6 100.0 7.2 100.0 100.0 100.01100.01100.0 100.0 29.8 18.3 51.9 18.6 11表と集計方法は若干異る,完全果樹園を除外したのみで自家菜園を加えたこと,上 層にかたよったため土地利用度は高く出ている 自家菜園はその他蔬菜として夏,冬1回作付したとかていして計算 甘藷苗床は夏作苗床としてその他に,冬作はその蔬菜とかていして計算 その他は苗床雑穀等である。 備考(1) (2) (3) (4)更に耕地条件との関係で考察して見よう(第12表)。先ず距離との関係について,粗放な作物である
大豆は一応遠い耕地ほど多いけれども作付率の大きい廿藷,麦,蔬菜等の主要な作物については一概に
云々出来ない。唯,冬作では近い所ほど耕地は集約的に利用されているので冬期休閑は遠い所ほど多く
なる。従って全体としての土地利用は一応近い所ほど集約化の傾向をもつがその差は決して著しいもの
ではない。それは単なる自然的距離がそのまま土地利用を規制することは少ないということである。
農道との関係で見ると,夏作,冬作のそれぞれについても,つまり全体としても土地利用は農道に恵
まれたところほど集約的である。だがここでも休閑が梢全般的に行なわれているのは重視されねばなら
ない。更に,各圃場の土`性や傾斜及び広さの如何について考察せねばならないが,これらは調査地域内では
殆んど均質的で特に著しい相異はなく,技術的にもさほど制約の相異をもたらさない程度のものと思わ
れる。このように粗放な作物構成と,また粗放な土地利用の実態は凡そ次のように要約することが出来よう。
イ)甘藷,麦,大豆の粗放な普通作物が主体をなしているが夏作では商品作物が漸次導入され,冬作
では自給的’性格が強い。230 福仲 憲
ロ)従って,冬期休閑を絶対的,固定的なものとして夏作でのみ集約化が進められる。
ハ)冬期休閑の規制要因は複元的なものではあるが,基本的には耕地条件によって規制され,農道と
の関係において最も強く現われる。二)かくて上向的な階層ほど商品作物の導入,土地利用の集約化を指向しているが,耕地条件の厳し
い制約のために大差は見られない。このように劣悪な耕地条件をそのまま厳しく受けて,土地利用を低位に留め,粗放な普通作に終始し
ているのは,それだけ低技術を語るものである。b)作物間の結合性作付方式は麦,廿藷,大豆を主軸として,秋馬鈴薯,西瓜,玉葱等の蔬菜
が加って構成されているが,それぞれの作物は前後作としてどのような結合関係のもとに作付方式が体
系化されるであろうか。 第13表麦の前後作の作付面積の割合(%) とuj」』Llロヨ 蒻厚14』 , )( 備考(1)13戸の事例,(2)32年収穫の麦麦を中心とする結合関係(第13表)は甘藷との結び付きが特に強い。多くの麦は甘藷の後作ではあ
るがその栽培'慣行は前作の種類によって異り,秋馬鈴薯十麦,あるいは麦十西瓜はそれぞれ一時は間作
となる。従って,播種期間はかなりの幅をもつので播種量,播種様式が種々異り収量にも差を生ずる。
次に甘藷を中心とする組合せは第14表の如く,前作では麦が圧倒的に多い。後作でも麦が多いがそ
れに次いで休閑も32%に達している。しかも休閑の殆んどは「休閑十大豆」の結合関係にある。そのことは冬期休閑の特徴である。甘藷の前作が殆んど麦であるにも拘わらず挿苗の期間が1ケ月以上にも
わたっていることは蔓挿しであることが天候(特に土壌水分)に強く左右されるからでもあるが基本的
第14表甘藷の前後作の作付面積の割合(%) al心 ソ が」 ̄ピヨLLAI-P圏 jl2-812-8 Ejl2-81( DOC 備考(1)13表と同じ,(2)31年収穫の甘藷231 後進畑作における技術構造の一考察 には麦刈,藷挿し,田植にわたる農繁期労働の競合によるものである。 かかる結合関係をもつこの地域での主作物の性格を列記すると, 〈廿藷について〉 イ)古くから主要な商品作物であったが,戦後は特に水稲に代って第1の作物となっている。ロ)玄 武岩土壌には適した作物といわれ,ここの畑作物中では安定した作物で,反当カロリーも高く今日でも 尚自給主食の一つである。ハ)耐肥性は強いが地力収奪作物で梅雨期には侵蝕促進作物である。 〈麦について〉 イ)古くから自給主食作物で,今日ではその主要なものとなっている。ロ)地力消耗の面では中位で あるといわれる。ハ)屋内脱穀のI慣行は春の収穫,運般の労働を多く要する。 〈大豆について〉 イ)自家蛋白給源で商品化されない。ロ)地力の面では維持増進作物であるが,飴風期にはその刈取 跡の侵蝕が烈しい。ハ)作季は春秋の農繁期に於いては競合しない。 かかる主要作物間における結合関係が第15表の如き,作付方式をもたらす。 第15表作付方式と方式別面積割合(12戸の事例)
|割
作付方式 型式 割合 % 2231606 ●●●●●●● 2724445 221 2 麦+甘藷十休閑+大豆 麦十甘藷+麦+甘藷十(休閑十大豆) 麦+甘藷+休閑十大豆十秋馬鈴薯 麦十甘藷+休閑十西瓜十秋馬鈴薯 麦+甘藷+早生麦+西瓜十秋馬鈴薯 麦十甘藷十休閑十西瓜十大根 その他 作作作作作作 354454 年年年年年年 232222 〃 ㈹⑪㈹㈲目㈹㈹ 備考(1)西瓜の中には南瓜も含めた (2)大豆には小豆も含めた ここでは(イ)の「2年3作型」が基軸となっている。というのは0コ)以下の方式は完全に繰り返えされる ことは殆んどなく,ずい時(イ)の方式を繰り入れるからである。しかし基軸となっている2年3作型の作 付方式は漸次減少の傾向にある。 2)粗放な土地利用の基本要因 a)地力維持機構 イ)耕種,慣行と土壌侵蝕について考察すると,主要作物の性格については先に述べた通りであるが, それぞれの耕種」慣行はそのまま土壌侵蝕防止の技術として貫かれている。特に急傾斜畑地では地力の消 耗,減退の主因が土壌侵蝕にあるからではあるが,現実には必ずしも合理的な地力維持がなされていな いことが敢えて耕種'慣行を問題とする理由である。土壌侵蝕については,「降雨による畑面の侵蝕作用は 雨滴が畑面を打撃する雨撃作用と畑面を流去する雨水の掃流作用(土地を削り取り運搬する作用)とが 主なもので」,「一般に土壌侵触に影響する栽培的要因としては,畑面の被覆度と被覆の立体的構造及び 耕転作業の如何が主なもの」7)と言われている。 従って,ここではまず夏作の耕種I慣行が問題となる。ここでの降雨は梅雨と鮨風に大きく関係してく る(第16表)。これを主要作物たる甘藷について見ると,6~7月の梅雨時には耕転・畦立して挿苗さ れたばかりの裸地状態で,被覆度は零と言ってよい。しかも平面でなく畦が立っていることが一層烈し いものにする。従って,現在の耕種I慣行のもとでは甘藷は土壌侵蝕促進作物と言えよう。だが甘藷は戦232 福仲 憲 第16表50mm以上降雨の頻度表
i菫扇臺里'’’2
4151617 8 9110二'二
計 3 rnnl 50~100 100~200 200~計{圓警
51286 213・ 1 2 ,1411m;;
211 291」;
31 6 31 6 18 5 1 24 13.6 71211
1 1.110.6`}:1m§11m雪
2 1.1 1 0.6 9 5.1 8 4.5 2 1.1 備考(1)自大正11年,至昭和26年大村測候所 (2)梅井清「急傾斜地帯の農業経営」13頁 前,戦後を通じて作付割合は増大していて,最も安定した畑作物となっているのである。それだけに廿 藷の栽培技術も土壌侵蝕に対する防止策として行なわれている。例えば第5図のように麦の刈株を利用 した畦立法をしており,梅雨後に甘藷の「ウネ上げ」をするのである。こうして前作の麦の耕種基準はそ 0 0 0 5 1 畑面の被覆度(%) コノ。⑨ 靭ワダ奥Q'■四N囮 、'‘K′ブ② ワ CQ ⑪ 菱刈株 (麦の刈株による土留|z注意) 第5図甘藷の'慣行畦立法 0 -102011020110 6月7月8月 備考;農業技術12巻第9号 川井一之 第4図作付型による被覆度の推移 のまま後作甘藷の耕種I慣行を規定する。ここで麦間挿苗が容易に普及しないのも甘藷の94%(第14表) までがかかる麦の後作だからである。 また9月の瞳風時には大豆の収穫跡は全くの裸地であって,大豆も甘藷と同じく時期的には土壌侵蝕 促進作物となる。しかし大豆は他面においてそれと結び付いた特殊な作業I慣行を通じての地力維持乃至 恢復が図られている。であるから,商品生産化の進むにつれて大豆作が減少しつつあるとは言え,地力 維持の面では今尚存在の必然性をもっていて,それが「休閑十大豆」として2年3作型の成立の主要因 をなしている。 ロ)大豆作と「休閑耕」例えば大豆作を通じて地力維持が図られるのは,大豆が地力を余り収奪し ない豈科植物であることと,その前後における特種な,慣行作業を通じてである。ここでの甘藷の掘取り は持立型によってなされるが,更に全面耕を兼ねた「イモ鋤出し」によって掘残し芋の再収穫が必ず行 なわれる。従って,後作の種類によってはその「イモ鋤出し」が麦では播種準備の整地であるが,休閑 の場合には休閑耕となる。この休閑が行なわれる場合,更に1~3月の農閑期には「草殺し」と称する 耕転が1~2回行われる。之は言葉通りの雑草防止のみでなく地力維持のための「休閑耕」なのである (第17表)。更に4月には大豆或は西瓜の播種準備としての耕転整地がなされる。233 後進畑作における技術構造の一考察 第17表甘藷後作の耕起回数
甘藷の後作物|イモ収穫|ス輻しI草殺し|壼豆拝|計
2 4~5 ○○ ○○ 麦 休閑十大豆 ×○'。=。I
麦前作の(イモスキ出シ)は(麦畑開け)とも云われる (草殺し)は1~3月の農閑期に行なう (大豆畑開け)は大豆の播種直前に行なう 備考(1) (2) (3) このように大豆と結び付いた冬期休閑はかかる「休閑耕」を通じて地力の顕在化を意図した一面をも っている。また甘藷の収穫は後作が麦の場合は早急を要するが,休閑となる場合には遅らせるので秋の 農繁期労働の緩和に役立っているのが第二の面である。更に第3の面はより積極的な地力維持策がなされる場合である。即ち冬期休閑中の「盤打ち」作業と,大豆収穫後の「士揚ゲ」作業の特有な」慣行作業
である。ここでは下層士に重粘な固い士層がある。しかも旱魅にあうと心土に亀裂を生じ易く,降雨直 後はベトベトになり,作土が浅いので,植根の伸長,水の浸惨を阻み,土壌侵蝕の主因をなしている。 「盤打チ」によって心土が10cm程度も深耕され,鯵水性が大なると共に植根の伸長は自由となって侵 第18表堆厩肥投下試算事例 1町4反(水田4.2反と畑9.8反), 和牛(2才前後)1頭の堆厩肥生産量 豚(成)1頭〃 水田率30% 1,800貫 800貫 計2,600貢 耕地面積 家畜 イ)水田えの堆厩肥投入なし ロ)畑作物別堆厩投入量作付割合|作付面積|鶴轤
-■ⅡⅡⅡⅡⅡⅡⅡⅡⅡⅡII-IL-III■!Ⅱ■IⅡlⅡⅡⅡⅡⅡⅡⅡl1IIⅡⅡⅡVILⅡPLIIIlI01l---I9ⅡⅢⅡⅡIⅡI-IIIIⅡIⅡrlIⅡⅡⅡⅡ110ⅡI1-jIIl--Il--■’-1-1-1-Ⅱ■IⅡ■■ⅡⅡ■■■ⅡⅡⅡⅡⅡ00- 11 考 備 投入量 貫 781.2 %0230375 6211 畝 58.8 140貴 藷豆薯瓜瓜根他床職の藷
廿大秋西南大そ甘 rlll-く1---1 夏作 * 216.2 100 21.6 165.1 130 12.7僚辮
294.0 300 89995 ●●●●● 92642 58.0 200 69.0 1塚 700匁 反当 100 80 39.2 12坪 125.0 500 1,747.5 120%) (土地利用度 計 691.5 150 0633 6 58.8 5.9 2.9 2.9 薯ギ他麦馴ネの
春玉そ r1I11L 冬作 ** 76.5 130 40.6 140 29.0 100 (土地利用度72%) 837.8 計 ◎唯厩肥投入量(2,585.3賞)より見て畑反当投入量264貢 ◎堆厩肥生産量(2,600貫)〃〃265貴 *春馬鈴薯跡の甘藷には殆んど堆厩肥を入れないので3畝引く **秋馬鈴薯間作麦には堆厩肥の投入はないので12.7畝だけ引く、函』 誠 一= -日一 澱 第6図春の農繁期における水田畑別の圃場作業(H家) =水稲○○○○果樹●雨 ~麦□、、n雑穀①曇 一甘藷△△△△農雑○晴(空白も含む) ××××ソサイ(馬鈴薯) 凡例 水田作業 託牝犯加の汚濁 寵園祭) (作上り祭) (葬儀) (田植手伝行き) 、 値 田 り 雨 草 田 1 1 I I (小夛脱穀) 祖母百斤曰) 穀 脱 壼 j j 壼 小 井手修理) 塩水達) 1 1 I 1 1 I I △△ⅡⅡⅡⅡⅡⅢⅢ △ⅡⅡⅡⅡⅡⅡⅡ 1 1 △△ - ×〆ⅡⅡⅡⅡⅡⅡ 天候 月曰 6IEI 二 o5o6 ̄-5  ̄ uノEソこつ ● ‐ 《Sノ 10日15202530  ̄ 、
6月:5….|i〈。。、順、フハ゛兵..g・動・・・gfF
。、(2)。●●。 ○(可 10 畑作業 砺問加加扣蛆、 ● 覺艤關礒蝋臆關曇隠I xxxxxx l蕊翼翼 ○○○○○●●o●●●xxxxI p●●●●●●●●●●1lx ×xxxx●●● xx××× ××●●● × ×× ×× xxxx× 轤學藪偲簔彩繍漣I xxxx x x x x ●●●●●●●●●●xxx 雪.●學藝・●.●縢奨i 〆xxxxxxx。□△△△△ 八× 草 除 藷 甘 xxxxxxxx瘻xxx・xxxx xxxxxxxxxx C 〈xxxxxxxxx〉Qx●●●● ×× × xxxxxxxxxx 〈×x〆xxxxxxxxxxxxxx 貝xxxx × xxx 「 (xXxxxxxxxx ~、× ‐ 覧斯濃舞澱黙鱒xxxx×x浜黒xl 1 IxI I JllIIIIIlllIlIlxx ! … ●●●●●●●●×xxxシ・× ×xXYxxxx xx (脱 (刈 、_ノ 甘 藷 挿 苗 甘藷挿苗 穀 免 月 刈 麦 裸 甘一諸堪肥運搬 ヱォメ×××xxxxx〆XX I蕊きき蕊甘藷挿笛 xX 摘要 甘藷曄匹旱 〃・甘藷除草 〃 〃・甘藷除草 〃・秦作 〃 ソサイ・ミカン除草 〃 ソサイ手入 ミカン除草 トマト收護 トマト収穫 vサイ’千入 カンラン・南瓜収穫 〃 〃 〃 〃 トマト収穫 ミカン除草 り〃 vサイ大豆除草 トマト收穫カンラン手入 ソサイ手入 亟瓜・里芋追肥 ミカン薬剤散布 トマト収穫 玉葱収穫 〃 トマト・ナス收護 ナス収穫 トマト収穫甜醗順瀧
甘藷挿苗 西瓜・ナス追肥 〃 〃 〃 甘藷堆肥運搬 ナス植村 明一似作り 〃 大豆・山芋作り ごカン・トマト手入露蕊霧
馬鈴薯収穫 西瓜・トマト手入後進畑作における技術構造の一考察 235 蝕作用の緩和対策になるが,多量の労働を要するので10年に-度行なうことすら難しい。また「土揚ゲ」 は土壌が下グリ(アゼ)に沈積したのを上グリに運搬して傾斜畑に於ける耕土の保全を主目的に行なわ れる。「盤打チ」ほどではないが相当の労力を要し,2~3年に1回程度に冬作を休閑にして行なわれて いる。従って「休閑十大豆」は地力維持の為に必然的になる。こうして特有な作業,慣行が一方では多労 農法を規定している。 ハ)地力増進と堆厩肥の施用今,家畜の堆厩肥生産能力と現在の堆厩肥使用との関係を推察して見 よう。第18表は中庸の農家を念頭に家畜数,作物構成,土地利用を総合して想定したものであるが, 凡そ反当260賃前後の堆厩肥が年間に投下されていることになる。しかも水田には施用していないので ある。かかる堆厩肥の過少施用は本来の土壌の性質を物理的,化学的に変えることなく,特有な作業,慣 行のもとで消極的な地力維持策を繰り返している。こういう意味でも堆厩肥の増投はここでの地力増進 の一つの鍵であり,地力変動の主要因と言えよう。 次に堆厩肥の生産・施用量を規制する諸条件について見ると, 付)稲藁,麦桿の絶対量が少ない,之は夏作に甘藷を主体とする作付体系からくるものである。(p【)一 般に収量が少ないからそれらの茎稗も少ない。又,廿藷は農道の不便なところでは帰ち帰らないからで ある。㈹屋根ふき,加工,燃料等への仕向けが可成りある。(=)落葉や採草等の,慣行がない。㈱家畜 の堆厩肥生産能力が低いこと(後述)。 この様にその要因には家畜や作物編成と直接関係のあるもの,直接には関連のないものもあるが,例 えば堆厩肥源の他への流用等は農家経済全体から規制されていることが分る。 b)農繁期の構造 2年3作型の作付方式が因ってくるところは単に畑地の地力維持機構が脆弱なことだけではない。家 族労働をたてまえとして供給される労働の如何によっても作業↓慣行は体系づけられる。殊に農繁期労働 のピーク・ポイントに如何に適応し得るかが問題であり,雇用労働の問題もそこに生じてくる。 従って農業生産の増大は,まず此の期における作業能率に依存すると同時に,他面,各部門間の作業 輻綾`性の如何にかかっている3)。 この地方を例に見ると(第6図))春の農繁期は凡そ50日の間に次のような作物別の主な作業が行な われている。 イ)麦:刈取,運搬,脱穀,乾燥, ロ)甘藷:麦跡耕起,元肥,畦立,挿苗, ハ)水稲:荒起,二番鋤,苗代,植代,田植, 二)蔬菜:茄子定植,トマト収穫, ホ)柑橘:園の除草,薬剤散布。 之等は収納から栽植,管理まで全く複雑な作業が集中して行なわれ,作業適期をめぐる競合は特に天候 との関係で一層烈しいものとなり,此の期の農作業の混乱は現実に経営の在り方に大きく関係して来る。 ここでも劣悪な耕地条件とそれに結び付いた特有な作業U慣行が見られる。田植の場合,漉澗施設の不備 から天候の制約を厳しく受け,甘藷の挿苗技術はここ特有な重粘土壌の水分と密接な関係を有し,しか も耕地の分散と農道の不備は麦の刈取,運搬に多大な労働を費し,労働手段の劣悪さがますますそれを 激化せしめている。こういった極端な現れが1ケ月にもわたる甘藷の挿苗期間であり,それはその間の 蔬菜や果樹の管理作業を制しているばかりでなく,秋の農繁期に於ける麦の播種期にも及び,作付面積 は勿論,時期,様式,従って収量にまで影響してくる。 この様に春の農繁期に於ける作業慣行を基軸にして各作物における耕種慣行も決められる。だが現実 には作物の要求する生理的な適期からずれる場合があって,それを緩和するために作物割合や休閑に及 んで2年3作型の粗放な作付方式が必然化してくる。
236 福仲 憲 秋の農繁期作業は春の場合ほどではないが,やはり労働のピーク・ポイントとして適期作業の競合が ある。一般に麦の播種期が遅れがちなのもその一つである。麦の播種は先ず大豆や夏蔬菜の跡作が最も 早く,次に秋馬鈴薯の間作として,最後に甘藷跡に播種されるのであるが,麦は廿藷跡作が最も多いの であるから適期播種は前作廿藷の収穫期如何にもかかっている。従って遅れのひどい時には当然冬期休 閑にされる。 以上のような春.秋の農繁期における作業慣行は,みかんや蔬菜等の夏作が商品生産化へ集約化され るにつれて,冬作の自給生産部門の麦作を規制する一方,また逆にこの不安定な自給主食生産の在り方 が商品生産化を規制するという問題が起きる。 以上,「休閑十大豆」の冬期休閑を基にした2年3作型作付方式の技術的性格を,地力維持と労働力と の二面から考察したが,その二要因の如何が基本的には2年3作型を規制していることがわかった。そ して商品生産の進展に伴って,商品作物と自給作物の間にも作業体系が主従一貫して現われ,それに沿っ て畑作技術は展開してきている。 ともあれ,このような劣悪な自然条件に照応した作業慣行もそれを体系付けている労働手段の低さに 根本的には原因していると考えられる。 c)所謂「持立型農法」 2年3作型の作付方式は直接的には地力維持と農繁期の労働の如何に規制されるのであるが,それは 畑作や遅れたこの地域にのみ特有な問題ではないであろう。では何故にかかる特殊な地力維持機構や農 繁期労働が要求されてくるであろうか。またこれらの作業u慣行が作物の生理的に要求する技術との間に 矛盾が大きいのは何故であろうか。これは耕地の条件が悪いということが直接の原因ではあるが基本的 には人間労働を媒介する労働手段の低さにあるといえよう。 「それぞれの地方における農業労働は大なり小なり特有な作業I慣行として営まれている。しかもそれ が特有なものとして営まれるのは畢寛は特有な農具と結びついてのことでありT特有な農具はまた特有 な土地の条件とも結んでいる」しかし「畜力農具或は動力農具が,全作業の核心をなしてくるようにな ると特有な作業I慣行としての強固さが失われ,新らしい作業形態への発展が容易なものになって来る5)」. 従ってここの作業,慣行それ自身も,その際どんな農具が核心をなすかということを離れては考えられな い。ここでは持立型を中心とした農具に裏付けられた作業体系として理解されねばならない。持立型は 摸上板のない無床梨で極めて簡単な構造をなしていて,実に多面的に利用されている。先ず軽便である ことはこの地方の稚熟な役畜(育成牛)に適するばかりでなく,段畑や狭い分散した耕地での使用に便 利である。撲土板がないために畦立には適しないが,土壌の反転がないため大きな土塊を作ることなく 砕土作業を軽減させることにもなる。また低廉で梨先のみを購入すれば自家製造が出来る極めてプリミ ティブな農具である。 他方,地力維持との関係で見ると,深耕が出来ず土塊の反転,放榔がなく型き割るのみで,実際には 耕起の度に耕土が下り,結局は「士揚ゲ」,「盤打チ」の慣行作業の主要な原因を作っている。また土壌 の反転,放榔が出来ないことは,粘土が梨躯に粘着したり,或いは畦立には適しないために,春の農繁 期の甘藷の成畦でさえ半分は手労働によってなされる。こうして天候の関係と相俟って適期作業が遅れ, 更に中耕・培土等の管理作業に於いても殆んど使用されない。 一方,この様な持立型に対応した役畜の性格を見ると,この地域は和牛の短期育成地として2歳前後 の和牛を役畜兼用として育成しているので,体躯が小さく仕事の量が少い゜交換頻度が年に2~3回に もなるので,教調不足で作業が稚劣になり,耕転や運搬にも多くの場合,2人の労働を要する。 現在の役畜も唯持立梨に結び付く限りでは事足るように観念されているが,役畜としての本来の役割 は決して充分ではない。それは和牛の飼養形態が使役の外に育成を兼ね,頻繁な交換による差益金をも 目的としたいわゆる貧しい経済と技術の悪循環として理解されるであろう。而かも小さな牛を育成する
237 後進畑作における技術構造の-考察 ほど差益金が大きいわけである。そして水田用改良鋤を畑に使用したり,畜力農具を多く利用している 農家ほど和牛の交換頻度が少ない。 このように労働手段の低位の実態は持立型を中心にした耕転手段のみでなく,運搬手段としても同様 で,これは特有な役畜の飼養形態と結び付いている。例えば農道の不備な分散耕地まで堆厩肥や下肥を 施用するためにも,また生産物の収納運搬のためにも,これら運搬能率の問題は此処では極めて重大で ある。 以上,2年3作型の成立要因を「持立型農法」として把えて見たが,作付方式の面より見るとここで の改善の方向は,地力を維持,増進するような作付体系であると同時に,それは機械力を使える作付体 系でなければならないであろう。そういう意味で,ここの2年3作と言う粗放な作付体系が反省され, 発展させらればならない。作付体系の集約度は,立地条件(労働手段としての耕地条件)が良くなれば それだけ高められる。而も作付体系の構成が良ければ,地力は収奪されず,それをかえって高めて行く 事も出来る。従って土壌改良が行なわれても,それに適応した作付体系が経営全体として確立されなけ ばその効果を実現することも,又発展させる事も出来ない。土地に潜在力を蓄えると同時に,この力を 再び消耗させることなく生産に転化し,作物なり動物なりの型におきかえて行く,その人為的な媒体が
作付体系として現われるわけである。それ故にここでの作付体系は労力と地力の2条件を満足させ,今
後の発展のためにも,個別技術の総合化の問題として今一度吟味されねばならないであろう。 3.水田耕作の経営的'性格 これまで,技術構造の遅れを2年3作を中心に主として畑作技術の側面から考察してきた.今,これらの諸技術が水田耕作と如何なる関係で行なわれているかを経済,経営的にその内部循環の問
題として考察する。一般に畑作地帯に於ける水稲作は,耕地条件に恵まれずに生産`性が低い。けれども
これ等のことは,水田の存在が経営構造の中でそのまま副次的である事を必ずしも意味しないであろ
う. 1)水稲作技術の後進性 畑作技術の遅れを前節で見たが,それに対応して水田技術も遅れている。第’9表の様に,ここでは 水田の土地利用は極めて低い。潅澗様式は湧水で,従って冷水がかりの水田が多い(第20表)ばかり 第19表水田の土地利用状況第20表用水別水田面積談
縄挫蝿%’一岼
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窕岬一%Ⅷ伽一
細率一%剛川川
炉当噸一反ⅢMM
州・反懸弼川
一水-2|E靜僻》
’1Ⅲ
湧水 その他 計 河川 畝 58.10 (100) 167.28 (100) 332.26 (100) 畝0 畝 5.10 (8.8) 151.27 (90.4) 185.27 (55.9) 243.04 (61.4) 畝 53.00 (91.2) 8.00 (4.8) 146.29 (44.1)戸紛戸紛戸灼
3/14く5く ⅡⅢⅣ 8.01 (4.8) 0 備考村と郷は大串村役所調 でなく,その耕地条件は,先に見た如く畑地以上に 悪い。凡そ3割の水田は,3粁以上も離れたところ に耕作されており,なかには,10粁を通作している 事例もある。 559.04 (100)|(鵠
207.29 (37.1) 計12戸 (%) この様に急、傾斜畑作地帯における水田耕作は小団地で,自然そのままの極めて不利な環境のもとにあ って,水田の分散,狭小,遠距離'性は水利施設や農道改善など,技術の進歩を困難にし,それがひいて は経営全体への不合理をもたらしている。たとえば, イ)栽培されている品種の数が非常に多く,之等の特性は晩,中,早生の穂数,穂重型が混在してい288 福仲 憲 四m 剰燕擢涯 て20戸の農家が11品種(1農家で大体3~4種)にわたって栽 培している(第21表)。こうした品種の多様性は水田の立地条件の 複雑さに相応していて,栽培技術の個別的で多様さと不安定をもた らしている。だが之等の品種も栽培技術と共に幾多の変遷を遂げて 来ている。例えば,九州平坦部に於ける大正の中期の移植期の繰下 げ統制を契機に三化蟆虫対策と多収を狙って晩稲系が普及した。こ こでも先ず「神力」が大豆粕など,有機質の元肥の増施に対する適 応性をって全盛に至るが,有機質肥料が次第に速効‘性の化学肥料に 代替されて窒素偏重による耐病性,耐倒伏性が要請されると昭和初 期より「旭」,「神山」,更に昭和10年代には,梢少肥性の「農林18 号」へ,肥沃地では穂数型の「神愛」へと替る゜その後最近では「ツ ルギバ」や「シモツキ」が「農林18号」にとって代りつつある。 特に最近急増している「ツルギパ」は『暖地の晩生種地帯の秋落地 においては特に,成績が良好で適応性は大である。又,沿海地帯で 潮風害により或は,山間の迫田等で収穫運搬により脱粒の害を受け る所には好適であるが,一般の肥沃地には倒伏の点からも不向きで ……』といわれるようにここでは最適の品種と言えるであろう。こ のように水稲品種は漸次統一されつつある。 ロ)次に,水稲作の基本とでもいうべき育苗技術が土地条件や品 種の多様』性によって極端に遅れている。そのことがここでの主要な 低収の原因と成っていると考えられる。苗代は水田の,団地数と比 例して苗代の分散度も大きく,潅概様式や通作距離の如何にかかわ らず,一団地に1苗代が設定されるため,多くは冷水がかりで,分 散し周到な管理が行われ難い。このことは播種量や方法を全く雑多、 にし,反当苗代坪数と坪当播種量の間|こも何の相関もないことや, 種籾の予措及び施肥技術の低さにも現われている。 ハ)本田での技術の低位性は農繁期に集中的に見られる。春の 農繁期作業は水田の場合,春田起から始まり,田植作業を持って完 了する。その間の凡ての作業は畑作物との競合において行なわれね ばならないことは既に前節で見たところである。今,水田に於ける 従来の作業慣行を略式化すると下図のごとくなる。 r肝合う 『・や囚 l 承 判醤 適任網 』’20
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植代ずき 田植 蝋漣 眠 ④.○函 」 剰燕擢 却醤 、。『園競蝋
第三回耕転・ 植代掻 元肥施用 (堆肥・緑肥) 作業内容 併行作業筐
西・四国 承 mo[ 制醤 剰佃擢 酉.聖 備考元肥は1回だけ堆肥か緑肥のいずれかが施用される 如くロ製 == 綱niNlⅡ 土三迄 廷廷 [-Cq CqCO 聖堅型恒 W騨咀 ここでは代掻が多いのは水不足から来る漏水防止策であり,「やし ないずき」は早目に苅敷や緑肥等の有機質の元肥を鋤き込み重粘土 壌の砕土風化の効果を狙ったものであるが,これは在来の水田用の 持立型(へラ型)を主軸にした体系で現在では改良鋤やテーラー型239 後進畑作における技術構造の-考察 第22表本田の耕転作業
農家番号I
春田起 やしないずき 植代ずき 備 考 第二回 耕繕 第三回耕転 植代 荒耕 荒代 中代 旬 下 下 下 F , 中下中下中中中下下上中中中下 月〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃 66666556676566 22122322211121 回 旬 中 上下中上上上中上下上下下下中 月〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃 54555445443444 5月下旬 回 12132111111121 78923.6 111 全過程テイラー使用 5〃下 全面積早期栽培 代掻のみテイラー使用 1部は早期栽培 1部のみテイラー使用 全過程テイラー使用 1部早期栽培{
11 17 18 19 5〃上 5〃上 20 21 22 全過程テイラー使用 耕転機の水田利用や,有機質肥料から無機質肥料への交替によってその体系は変って来ている(第22表)。 この著しい変化は「やしないずき」と代掻回数が減った事であるが,この一貫した技術は基本的には 労働手段や施肥慣行の変化によるものである。また品種や育苗技術が多岐多様であった事と同様に農繁 期に於ける水田作業の体系も各個別経営は,それぞれ異った態様を示している。他方かかる耕種体系を 著しく変容せしめたものは畑作商品生産の展開に俟つむのであろう。例えば田植までのかかる作業は麦 の収納,運搬,その跡作の甘藷の挿苗ばかりでなく,商品作物として急、増した夏蔬菜や蜜柑との労働配 分上の競合するが労働手段を媒介しながら「やしないずき」を殆んど消滅しつつある。 第23表水稲の栽植方法 栽植距離 農番 家号 1株当本数 植付月日 条間 縦横一肘
■01ロー■■■Ⅱ■PII-q--110Ⅱr67iⅡⅡⅡⅡ07 7本 8 長方形植 正方形植 条間1.5尺,2条寄植 正方形植 〃 長方形植 〃 〃 千`鳥植 正方形植 〃 長方形植 条間1.3尺,2条寄植 6月下旬 6〃下 寸 6756858807767 1 7 6 期通期通 789236早普9早普12 111-く!1rll22 Ⅳ別 756877757777 ● 7 6月24日 7〃3〃 6〃27〃 5〃14〃 5〃18〃 6〃24〃 6〃25〃 5〃20〃 6月19日 6〃25〃 6〃20〃 5〃10〃 5〃10〃 6〃20〃 6〃15〃 5〃17〃 6〃20〃 6〃20〃 6〃20〃 0 16 0 35455 516 {一一一一4{一一 34233 355 ’’ 23 6〃23〃 6〃29〃2条寄植’
240 福仲憲 第24表水稲作における反当労働時間(H家)
附膳
湘隠艸鰯職
実数(時) 割合(%) 第25表水稲作に於ける反当労働時間(全国平均) 苗代|潅水|耕転|植付|中耕|除草|収穫調整|その他|計 数(時) 合(先) 実割 18.1 8.9 202.6 100 11.1 5.5 12.6 6.2 23.7 11.7 31.6 15.6 36.0 17.8 3.7 1.8 65.8 32.5 こうした複雑で多様な技術の個別性は田植や肥培管理の作業'慣行についても言える(第23表)。 二)最後に作業別投下労働量を見ると一層技術の遅れが明確になる(第24表,第25表)収穫,調 整の27%は全国並ではあるが,H家の場合は,水田の分散がなく50m以内に在って農道に恵まれて いるのでこの地域一般の農家は凡そ2倍近い運搬労働が投下されるものと見てよい。農道の不備と耕地 の分散にも拘らず邸内脱穀の徹底した1慣行は,稀少な稲ワラが重要な飼料q敷料の給源として使われ, 水田以上に,土壌の侵蝕流亡の烈しい傾斜畑の地力を維持するためであり,換金作物による増収の途が より畑作に於いて優先して来たことを裏付けするものである。 又耕転整地・田植・肥培管理の各作業への投下労働は何れも全国平均より多投であり,就中,耕転整 地が著しいのは劣悪な耕地条件が直接作業能率に現われたものと言える。特に不良環境地では「苗半作」 が強調されるにもかかわらず稲作技術の起点である育苗に於いて投下労働が全国平均の1/3に過ぎない のは,特に低技術を如実に示している。而もそのことが本田に於ける凡ゆる災害を大ならしめ低収の主 な原因とも成っている。であるから水田耕作の技術発展も基本的には厳しい制約となる耕地条件を如何 に克服するかにあって,現実には畑作中心の商品生産化を前提としてその限りにおいてのみいわば副次 的に水田耕作技術は展開されていると言える。 2)早期栽培への新動向 この様な反収の停滞と農繁期に於ける労働の競合を緩和するための動向として早期栽培は重要な意義 を持っている。だがその実績は好調で,普及拡大の傾向は強いにも拘わらず,まだその普及が一般化さ れていないのは,新しい技術の導入が何等かの条件を前提とするからであろう。例えば実施農家は上層 の進歩的なグループにのみ限られ,他の階層では,部分的な普及すらないという事実である。それを可 能とする条件は,多くの複雑な要因によって規制されることは言うまでもないが,まず春先(梅雨前) に耕転の出来るような水利条件に恵まれていること,育苗には保温材料費用が要ること,又それに伴う 新技術に対してメンタルチーが要求されて来る事等である。例えば育苗技術や適確な薬剤防除技術等こ れらの諸条件をうまく達成しえないと極めて危険な結果に終ることから稀少な水田であって見れば決し て簡単でないことがわかる。 この様に現在では多くの問題を残しながらも早期栽培が経営上強く望まれるのは, イ)栽培技術的に増収を計ることである。5月中旬に田植をして8月の旱害・9月の潮風害のみでな く,秋落の被害を回避し,更に病虫害発生との関係が考慮されている。その線に沿った増収効果は4~ 8斗と言われているが調査地の場合,2斗前後の増収を見ている。 ロ)土地利用の高度化を計ること。これは裏作拡大である。耕地条件に強く規制されているので, まずその改良が前提となるであろうが,早期栽培と結びついた飼料作物や乳牛導入が農家では真剣に考後進畑作における技術構造の一考察 241