大学生における麻疹と風疹の既往歴及び 予防接種歴からみた健康意 識
学 校 教 育 専 攻 人間形成コース 斎 藤 広 美
1 背景と研究構想
麻疹は、はしかと呼ばれる古くからなじみの 深い疾病で、あった。感染力が非常に強く、致死 率も高いため「命定めjと恐れられていた。現 代では死に至ることは稀になったものの、合併 症の発現率は高く、予断を許さない重篤な感染 症であることにかわりはない。
麻疹の全国的な流行が下火になっている一方、
新たな問題として発生してきでいるのが、成人 麻疹である。麻疹のワクチンを接種したにも関 わらず、数年後にウィルスに暴露して発病する ケースも報告されている。
風疹は麻疹に比較すると軽微な感染症である。
三日はしかの名の通り、症状は三日程度で軽快 する。風疹感染は、主に妊娠初期の女性が感染 することによって、胎児に障害を発生させる場 合があり、問題となる。
妊娠前の女性に免疫を与え、妊娠中の風疹感 染を防ぐ目的で、中学生女子に風疹ワクチンの 接種が行われていた。しかし、制度改正によっ て定期の予防接種対象が幼児に変更になったこ とから、対象からもれた世代が出現した。この 世代が既に妊娠可能な年齢に達しているととか ら、風疹の抗体を持たない女性への対策が急が れている。
麻疹や風疹の流行の主体は幼児や学童期の子 どもである。本校は教育系大学であり、子供た ちと関わる職業を選択する学生が多い。また女
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指 導 教 官 木 内 揚 一
子学生は、これから妊娠出産をする可能性が高 いので、抗体保有について診断しておくことは 意義深いと考えられる。
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研究内容および成果 研究目的:麻疹と風疹に対して、1.抗体保有率を明らかにする
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擢患と予防接種に対する履歴を明らかにし、抗体陰性者の背景を探る
3.痴青の理解や予防接種に対する意識を探る 4.健康教育に役立てる
ことを事院の目的とした。
研究対象と研究方法:鳴門教育大学の学部、大 学院 1年生を対象に、事前に書面にて同意を 得た者を対象とした。麻疹と風疹の感受性は血 中抗体価を測定することによって行い、毎年行 われる健康診断の採血時に検査項目として加え た。麻疹と風疹の既往歴と予防接種歴は、調査 用紙によって行った。健康診断と同日時に配付 し、回収した。尚、風疹の血中抗体価の測定と 調査用紙記入は女子のみとした。麻疹と風疹の 認知と健康の意識は、アンケートによって調査 した。アンケートは、「健康スポーツ学Jの授 業中に配付し、回収した。
血中抗体価、調査票及びアンケート結果は、
単純集計、クロス集計によって分析し、統計解 析にはχ2検定を用いた。
結果と考察:血中麻疹抗体価の測定によって、
麻疹抗体を持たない者の割合は 33.9%の高率 であったことが明らかになった。抗体陰性者が
一番高率で、高い抗体になるに従って減少して いく、右下がりの結果であった。男女、年齢及 び検査年度による差}ま認められなかった。
対象者を麻疹の対策によって、麻疹のワクチ ンがなかった時代に生まれた麻疹無ワクチン世 代、麻疹ワクチンが任意接種だった時代に生ま れた麻疹任意接種世代、麻疹ワクチンが定期接 種になってから生まれた麻疹定期接種世代の
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群に分けて分析した。結果、明らかな差が認められた。抗体陰性率は麻疹定期接種世代で高く、
無ワクチン世代と比較すると 2倍近い開きが あった。
無ワクチン世代では、多くの者が寵意してお り、ワクチンの接種を受けていた者は少なかっ た。一方、定期接種世代では、擢患していた者 は少なく、予防接種を受けていた者カ惨かった。
任意接種世代では両者の中間であった。
世代のみならず、擢患歴や予防接種歴が抗体 陰性率に影響しているのではないかと考え、そ れらの有無で分けて分析した。結果、擢患歴、
予防接種歴では、差が言忍められなかった。
流行を免れなかった世代に比較して、定期接 種世代では、擢恵、もワクチンも受けなかった者 が存在すると考えられる。麻疹流行がない地域 では、抗体価が徐々に下がってくることが報告 されてし渇。一般的にワクチンガ尋た抗体価は、
寵号、よりも低いととが知られており、しかも流 行がなくなったことで抗体価が減表し、検出で きない程に下がっていた可能性が考えられた。
麻疹の抗体価を測定する方法にはいくつかあ り、今回採用した団法は、感度が低いという 特徴があった。スクリーニングとしては適して いるものの、実際には抗体を保有していながら も陰性と判断される、偽陰性者を多く出すこと がわかった。
風疹の抗体陰性率は
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4%であり、抗体価は 単峰性で左右対称の分布を示した。検査年度、年齢による差は認められなかった。
風疹の対策によって、予防接種がなかった風 疹無ワクチン世代、中学生で予防接種を受けた 風疹定期接種世代、対象が幼児に移行し、予防 接種の空白と危倶されている空白世代の
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群に 分けて分析した。結果、世代による抗体陰性率 には差が認められなかった。風疹の抗体陰性率に差を及ぼしていたのは、
予防接種歴であった。予防接種を受けていない と回答した者の陰性率は、予防接種を受けた者、
未記入であった者と比較して、有為に高率であ った。小児期の発疹性疾患は多く、風疹だと思 われたものが、実際には別の疾病である場合も 少なくない。風疹に対する確実な抗体を持つた めには、風疹ワクチンの接種が有効であること が明らかになった。
アンケート結果からは、麻疹と風疹を知って いる者、今回の検査の意味が理解できた者が半 数程度であることが明らかになった。一方、子 ど、もへの予防接種の意識は高く、学習意欲や健 康への意識も高いことが判明した。多くの項目 に有為な関係が認められたのは、検査をどう受 け止めたかで、あった。検査を肯定的に受け止め た群では、知識理解のみならず、学習意欲も健 康に対する意識も高い傾向がみられた。
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今後の課題今回、アンケート結果において検査の受け止 めが他の項目に影響していることがわかった。
どうしたら検査を肯定的に受け止めるのか、そ の条件を今後明らかにしていく必要がある。ま た、学生自らがより実践的で、健康的な行動を 選択していくために必要な動機付けや、援助の 方法を探っていくことが課題である。