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高精度ガスメータ標準器の研究開発

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Academic year: 2022

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(1)高精度ガスメータ標準器の研究開発 Research and Development for the Accuracy of the Standard Wet Gas Meter. 小. 林. 駿. (Hayao Kobayashi). 2003. 4.

(2) 我 国 家 庭 用 都 市 ガ ス メ ー タ の 検 定 台 数 は 、 年 間 400余 万 台 に 及 ん で お り 、 こ の 計測によってガス料金が支払われている。メータ検定用標準器には湿式ガスメー タが使用され、その精度向上は国際的課題ともされてきている。 歴 史 を 辿 る と 都 市 ガ ス の 普 及 に つ れ 我 国 で は 、 英 国 で 発 明 (1815年 )さ れ た ガ ス メ ー タ の 国 産 化 が 進 み ( 明 治 37年 :1904年 )、 改 正 度 量 衡 法 施 行 (1909年 )の 対 象 と な り 、 最 初 の 検 定 実 施 ( 大 正 5 年 :1916 年 ) と 成 っ た 。 そ の 後 国 際 化 対 応 (OIML: 国 際 法 定 計 量 機 構 )の た め 、 新 計 量 法 (1993年 )制 定 と な り 、 従 来 の 基 準 器 制 度 (法 定 計 量 )と は 別 に 、 計 量 の ト レ ー サ ビ リ テ イ 制 度 (JCSS:校 正 事 業 者 認 定 制 度 )が 発 足 、 不 確 か さ (す べ て の 誤 差 要 因 を 加 味 し た 再 現 性 )を 新 た な 精 度 表 現 と し て 、 計 測 そ のものが見直された。この対応として当初高精度計測として長期安定度に優れ国 際 的 評 価 の 高 い 音 速 ノ ズ ル 標 準 器 導 入 が 検 討 さ れ た 。 し か し 当 時 単 価 が 20倍 以 上になるなどの経済的理由から、また、研究文献数も少なかった湿式ガスメータ に精度向上の余地ありとの予測から、開発努力を重ね目的達成に至り湿式ガスメ ータの採用も認められた経緯がある。 本 論 文 は こ の よ う な 歴 史 的 背 景 か ら 、 国 際 間 で 決 め ら れ た 「不 確 か さ 」の 検 証 、 誤 差 の 論 理 的 解 析 、測 定 法 改 良 に よ る 校 正 精 度 の 向 上 な ど 、 湿 式 ガ ス メ ー タ に つ いて、常に現場の研究者として申請者の高精度化研究の成果を取りまとめたもの で 、全 体 が 11章 か ら 構 成 さ れ て い る 。 第 1章 は 序 論 で 本 研 究 の 背 景 、 目 的 と 意 義 、 そして本研究の焦点としての湿式と乾式のガスメータ、 各種流量標準器となる体 積流量計に関する、従来知見をまとめている。 第 2章 で は 湿 式 ガ ス メ ー タ の 原 理 と 構 造 、主 用 部 品 の 機 能 と 役 割 を 述 べ 、 後 半 に新しい視点からの計量誤差要因の解析をまとめている。. 論 理 計 算 か ら 誤 差 (不. 確 か さ ) を 推 算 す る と 、 湿 式 ガ ス メ ー タ の 最 高 精 度 は 油 封 式 で 0.06% 、 水 封 式 で 0.17%と 算 出 さ れ 、 水 蒸 気 圧 の 正 確 な 補 正 が 不 可 欠 で あ る こ と が 明 確 に さ れ て い る。 第 3章 は 精 度 向 上 の た め 、 誤 差 「不 確 か さ 」の 論 理 的 裏 付 と 成 る 内 容 記 述 で あ り 、 本章以降の記述はすべて申請者らの研究開発の成果である。実験検証の結果より、 不確かさ要因としては設置姿勢誤差による水準器感度の影響が極めて大きい。ま た、液位と計量体積誤差の関係では計量ドラム容量により異なり、回転当たり 10リ ッ ト ル 型 で は 液 位 変 動 約 0.4 (%/mm)の 誤 差 が 明 ら か に さ れ て い る 。 封 液 温 度 と 誤 差 の 関 係 は 、計 量 ド ラ ム と 筐 体 の 膨 張 と 収 縮 が 相 殺 さ れ る た め 、 封 液 の 温 度 変 化 の 影 響 誤 差 は 0.06 (%/℃ ) と 意 外 に 小 い 値 に 留 っ て い る こ と が 解 明 さ れ た 。 更に温度特性検証実験では。前述数値の検証も得られて、これら実験解析値から 不確かさを数値化する知見が得られている。 1.

(3) 第 4章 で は 湿 式 ガ ス メ ー タ 計 測 上 の 短 所 と な る 回 転 ゆ ら ぎ に つ い て 解 析 記 述 し て い る 。 隔 室 内 の 計 量 ド ラ ム 毎 に 3次 元 電 算 利 用 設 計 (3D-CAD)に よ る 模 擬 実 験 装 置 の 数 値 解 析 か ら 、ゆ ら ぎ 生 成 の 主 要 因 子 は 回 転 毎 の 計 量 の 体 積 変 動 に 在 り 、 こ のほか回転モーメントや水没下の負荷抵抗も関係することを明確にした。この結 果 は ゆ ら ぎ を 最 小 と し た 5室 ド ラ ム 微 小 流 量 標 準 器 の 開 発 と な り 、 新 技 術 確 立 に つながる知的財産権確立(特許取得)と成った。 第 5章 は 計 量 ド ラ ム を 板 金 加 工 方 式 か ら 、 軽 重 量 化 を 狙 っ た 新 し い 樹 脂 化 計 量 ド ラ ム 開 発 に つ い て 述 べ て い る 。 こ の 研 究 成 果 は 180余 年 も の 間 実 施 さ れ て き た 、 半田付ドラムの組立方式に代る全く新しい製法の分離式ドラム発明への到達とな る 。 更 に 、 プ ラ ス チ ッ ク ス (plastics)利 用 の 軽 量 化 ド ラ ム の 場 合 に は 、 ガ ス 微 小 流 量 測 定 域 (始 動 流 量 )が 、 従 来 法 に 比 較 し て 1/10 と な り 計 量 範 囲 拡 張 も 可 能 と 成ったのである。 第 6章 で は 高 精 度 10リ ッ ト ル 型 湿 式 基 準 器 の 開 発 と 、 そ の 評 価 実 験 を 報 告 し て い る 。 こ の 成 果 は 高 度 技 術 集 約 型 産 業 な ど の 研 究 開 発 の 調 査 報 告 書 「ガ ス メ ー タ 検 定 方 法 な ど 調 査 研 究 報 告 書 (1998年 3月 、133~153頁 に 記 載 ) 」に 公 表 の 通 り 、 高 精度湿式メータ基準器の提案が取り上げられ、多くの精密計測部品を搭載した音 速ノズル標準器に比較して、要求精度に近い数値を満足するだけでなく、提供価 格 も 1/20 以 下 を 可 能 と し た 。 本 開 発 の 成 果 は 、 湿 式 ガ ス メ ー タ の 性 能 と 精 度 に 関する疑義を払拭する決定打となり、併せて新計量法適合も確認されたのである。 第 7章 は 湿 式 ガ ス メ ー タ に 使 用 す る 、 置 換 封 液 に つ い て の 成 果 を 記 述 し て い る 。 高分子新材料の幅広い利用技術も含めたメータ改良、結果として封液はシリコー ン油が最適と結論され、 封液の測定精度への影響も明確となった。. 特に微小流. 量 の 場 合 は 、 シ リ コ ー ン 油 の 採 用 で 、従 来 課 題 の 微 小 流 量 誤 差 が 解 明 改 善 で き た のである。 第 8章 で は 封 液 を 水 と し た 場 合 の 蒸 気 分 圧 の 影 響 で 生 じ る 誤 差 を 詳 し く 解 析 し ている。水蒸気圧の発生機構解明と併せ、精密化学天秤により水の蒸発量を質量 計測した実験結果から水蒸気圧補正式を確立し、計測の高精度化を図るこに成功 し て い る 。 こ の 結 果 か ら 、 計 量 法 (1979年 )に 示 さ れ た 補 正 係 数 が 初 め て 検 証 さ れ 、 水 封 式 湿 式 ガ ス メ ー タ の 測 定 精 度 向 上 に 繋 が り 、 常 温 下 で は 約 2.7% の 誤 差 を 解消し水封式標準器の採用が可能とされた。 第 9章 は 計 量 ド ラ ム 模 擬 実 験 装 置 に よ る 、 数 値 解 析 結 果 (第 4章 )を 基 に 具 体 化 し た 、 微 小 流 量 湿 式 基 準 器 の 開 発 に つ い て 述 べ て い る 。 計 量 ド ラ ム 隔 室 数 を 、 4室 2.

(4) か ら 5室 へ 増 大 す る と 、 湿 式 ガ ス メ ー タ の 回 転 ゆ ら ぎ が 大 き く 低 減 す る こ と を 観 測 、 他 に ソ フ ト 面 か ら 開 発 し た ゆ ら ぎ 防 止 装 置 [pulse-linearizer( 脈 流 平 滑 機 )] を開発し、本器に搭載すると、相乗効果によるゆらぎ誤差の低減ができる現象を 発見した。湿式ガスメータの短所を補って、計測精度向上と計測時間短縮が可能 と 成 っ た 。 国 際 法 定 計 量 機 構 (OIML規 格 )が 求 め る 微 小 流 量 計 測 値 の 範 囲 (1〜 300 L/h)、に 適 合 さ せ る 高 精 度 微 小 流 量 湿 式 基 準 器 が 開 発 で き た 。 脈 流 平 滑 機 よ り 従 来 の 4室 ド ラ ム 型 湿 式 ガ ス メ ー タ に 搭 載 し て 「ゆ ら ぎ 」低 減 効 果 と 計 測 時 間 短 縮 可 能 と 成 る こ と が 確 認 で き た 。な お 、 第 4章 お よ び 第 7,8,9章 に 記 述 成 果 は 、 ( 財 )産 業技術総合研究所 流量計測部門 高本科長らとの共同研究成果であり、経済産業 省 ( 特 ) 中 小 企 業 総 合 事 業 団 か ら の 委 託 開 発 ( 平 成 11~13 年 度 ) の 実 施 内 容 ( 研 究 報 文 全 12報 )で あ る 。 第 10章 で は 最 高 精 度 の 湿 式 ガ ス メ ー タ 標 準 器 の 開 発 と 、 国 際 精 度 基 準 「 不 確 か さ 」の 解 析 研 究 で の 論 理 的 誤 差 解 析 ( 第 3章 記 述 ) の 実 用 化 に 基 づ く 成 果 で あ る 。 具 体 的 に は 音 速 ノ ズ ル 標 準 器 に 代 替 可 能 な 実 用 標 準 器 (working standard meter) を 目 指 し て 、 最 新 の 計 量 技 術 と セ ン サ ー 技 術 を 併 せ た 開 発 改 良 の 成 果 か ら 、 「 標 準 不 確 か さ 」 が 0.12~0.16% と 成 り 、 音 速 ノ ズ ル に 略 々 匹 敵 す る 同 等 の 高 精 度 が 得 ら れ て い る 。 ま た 、体 積 ど う し の 比 較 (volume to volume)の 場 合 は 質 量 比 較 (mass to volume)に 比 べ る と 校 正 の 「 不 確 か さ 」 が 数 値 と し て 小 さ く な ることが判明している。本器は高精度を発揮し、音速ノズルに代替し得ることが 証明されたのである。 第 11章 に は 本 研 究 全 体 の ま と め と 展 望 を 述 べ た 。 湿 式 ガ ス メ ー タ の 計 測 原 理 、 構造の論理的解明、誤差要因解析の完成、と成っている。また、 改良技術開発と 最先端計測技術を用いた校正法の確立との相関について、論理解析結果を実験で 検 証 、 湿 式 ガ ス メ ー タ が 音 速 ノ ズ ル 標 準 器 や 標 準 タ ン ク [ ベ ル プ ル ー バ (bell prover)な ど ]同 様 の 高 い 「不 確 か さ 」精 度 が 幸 い に も 検 証 で き た 。 こ の 結 果 は 、 今 後 湿 式 ガ ス メ ー タ が 毎 時 30m 3 以 下 の 小 流 量 領 域 で の 新 計 量 法 適 合 流 量 標 準 供 給 (JCSS)の 主 軸 と も な り 得 る 可 能 性 を 示 す も の で も あ る 。 本研究は多くの課題を抱えてきたガス流量計の測定誤差問題を解決する重要手 段ともなり得る。また湿式ガスメータは環境問題計測の雰囲気ガス、発酵ガスと う、広範な基礎計測にも適用可能であり、学術上は元より産業社会全般に多大の 貢献が期待でき、我国の国際的競争力向上も図れる。今後超音波流量計などの開 発も急進展するものと考えられるが、高精度で廉価しかもガス密度の影響を受け ない湿式ガスメータの需要増大は継続され、新用途も含め今後ともガス流量計測 技術の要で在り続けるに違いない。本論文は以上の申請者の考えも述べている。 3.

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