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2018 年度第 1 回 法政大学専門職大学院イノベーション マネジメント研究科入学試験問題 一般 小論文 Ⅰ. 次の文章は オープンイノベーション協議会 (JOIC) 及び国立研究開発法人新エネルギー 産業技術総合開発機構 (NEDO) による オープンイノベーション白書 初版 の一部です この文

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Academic year: 2021

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【2018 年度 第 1 回】 法政大学専門職大学院イノベーション・マネジメント研究科入学試験問題 一般・小論文 Ⅰ.次の文章は、オープンイノベーション協議会(JOIC)及び国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「オープンイノベーショ ン白書【初版】」の一部です。この文章を読んで、問1~3に答えてください。 「①オープンイノベーション」の概念が注目される契機となったのが、2003年、 当時米ハーバード大学経営大学院教授であったHenry W. Chesbrough 氏が発表 し た 同 名 著 書 『Open Innovation–The New Imperative for Creating and Profiting from Technology』である。

(中略) 1980~1990 年代、欧米企業を中心にイノベーションの先進事例は、自社内の 経営資源や研究開発に依存した「自前主義」体制より生まれた。80 年代の松下 電器やソニー等の日本を代表する電機メーカーが世界のイノベーションを牽引 した背景にも、「ブラックボックス化戦略」とも呼称される知的財産管理を優先 し、徹底的に自社技術を保護する開発環境があった。先述した Henry W. Chesbrough 教授は、2003 年の著書発表時、このような自社開発の技術・製品 を既存取引先のみに販売する自前主義・垂直統合型のイノベーションモデルを、 新たに発表する「オープンイノベーション」の概念と対比させて、「クローズド イノベーション」と呼んでいる。同氏は、米国における「クローズドイノベーシ ョン」の例として、1980~90 年代、数多くの画期的な研究開発が為されながら、 市場化・製品化されず成果として日の目を見ることがなかった米大手企業の研 究開発拠点を挙げる。その最たる例は米通信大手AT&T のベル研究所である。 1985 年の同社分割後、ベル研究所の大半の機能を引き継いだルーセント・テク ノロジーは、当時世界最先端の研究開発環境を誇った同研究所の内部資源を総 動員して次世代技術の開発に邁進したが、当時は目立った研究開発機能を有し なかったシスコにその優勢を奪われている。閉鎖的で内部資源に依存したルー セント・テクノロジーと比較し、シスコは有望なスタートアップへの出資や M&A、協業関係を築くなど外部資源を積極的に活用することで、自社内で研究 拠点を持たずとも効果的な新技術の開発、さらに市場化を成し遂げた。同様の現 象は、パソコン産業において絶対的な王者とされ「Big Blue」と崇められた IBM がインテルやマイクロソフトの隆盛を許したように、同年代米国企業に多く見 られた。

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争のグローバル化や産業構造の変化が加速し、市場の不確実性が増すと、大企業 も既存技術・既存事業の発展型である自社資源に依存した垂直統合モデルで、短 期間で市場ニーズを満たす製品・技術を開発し長期的に収益を上げ続けること が困難である状況に直面し始めた。さらに、流動性が高まることで、これまで社 内に抱えていた優秀な人材やアイデアの外部流出等の影響も受け始めると、い よいよ外部資源に頼らざるを得ない状況に追い込まれ、「クローズド」な環境に よるイノベーションが限界を迎えた。 (中略)

Henry W. Chesbrough 教授は、2003 年に発表した前出の著書『Open Innovation』の中で、従来の「クローズドイノベーション」と比較し、「オープ ンイノベーション」を下記のように定義している。オープンイノベーションとは、 組織内部のイノベーションを促進するために、意図的かつ積極的に内部と外部 の技術やアイデアなどの資源の流出入を活用し、その結果組織内で創出したイ ノベーションを組織外に展開する市場機会を増やすことである。 (中略) 21 世紀に入り IT の急速な発達により、リードタイムの短縮化、顧客要望に応 えるためのより付加価値の高い製品の開発が求められることによる研究開発コ スト増、さらに製品サイクルが短縮化したことで短期間に新製品開発を迫られ る三重苦に企業が直面し始めると、オープンイノベーションの議論も単なる研 究開発領域に留まらず、技術の商用化やビジネスモデルの領域にまで及ぶよう になった。 〈問1〉文中下線①の「オープンイノベーション」とは何でしょうか。文章中の 言葉を用いて100 字以内で説明してください。 〈問2〉文章中において、具体的な企業の事例が「オープンイノベーション」の 成功例として示されています。これらの事例以外にオープンイノベーションの 成功例と考えられる事例を挙げて説明してください。 〈問3〉本報告書は、「クローズイノベーション」から「オープンイノベーショ ン」への転換を図る議論が様々な経済領域で行われていると指摘しています。こ の点に関して、自分の考えを述べてください。 16

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Ⅱ.次の文章は、内閣府の「「年次経済財政報告」(経済財政政策担当大臣報告)- 生産性上昇に向けた挑戦-(平成19 年 8 月)」の第4節「我が国のイノベーシ ョンをめぐる課題」の一部です。この文章を読んで、問1~2に答えてください。 ●「日本的」経営の下でのイノベーション 国のイノベーションの在り方(以下、イノベーション・システム)は、その国 の要素賦存の量や質、地理的な条件、制度や慣行など様々な要因によって影響さ れる。我が国のイノベーションの特徴としては、終身雇用制のような長期雇用の 慣行やメインバンク制、安定株主が多く内部出身の経営者の裁量が高いといっ たような、いわゆる「日本的」経営と呼ばれるものとの密接な関連が指摘できる。 日本的経営にみられる制度や慣行は、企業における長期的な視野での研究開発 投資を可能としてきた。企業間の長期取引慣行や内部労働における現場の連携 は、自動車のように開発陣と生産現場の協調的作業が必要とされるような①「擦 合せ型(インテグラル型)製品」において優位性を発揮してきた。 ●90 年代の経済停滞に直面した我が国のイノベーション・システム しかしながら、日本的経営にみられる制度や慣行に対しては、90 年代のバブ ル崩壊とそれに続く長期的な経済停滞において、逆にそれに対する否定的な見 方も多くなった。イノベーションに対する取組をみると、企業リストラの下で、 研究開発費も削減される傾向にあり、短期的に企業利益に直結しにくいような 基礎分野での取組は低下することとなった。また、日本的経営と呼ばれるような 制度や慣行が、イノベーション創出にとってむしろ硬直的な要素としてとらえ られるようになった。特にパソコンなど一部のIT 製品のような汎用部品を組み 合わせて作る②「組合せ型(モジュール型)」の製品分野では、必ずしも日本的経 営の利点が生かされないとの指摘がみられている。③日本型のイノベーション・ システムが直面する課題を整理すると以下のとおりである。 第一に、内部人材による研究開発や社内一貫の研究・生産・販売体制など、 社内資源に依拠したイノベーションの在り方は、企業間あるいは企業と大学な ど、組織間の新しい連携や協働を促進しづらい状況を生んできたことが挙げら れる。 これまでは、欧米の技術を吸収して低費用で製品化することを目的としてい たため、こうした社内完結型の研究開発管理体制は高い効率性を発揮してきた。 しかし技術水準が欧米に追いついてしまえば、明確な成果目標を設定すること ができなくなり、社内外から広くアイデアや知識を吸収し、他社にない独創的な 技術・製品を開発する必要が生じる。また、製品に必要とされる技術水準が高ま り科学技術との関連が深くなってくると、生産現場において着実な問題解決を

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図るよりも、普遍的な科学的・工学的知識を持つ研究者・技術者の力を引き出す ことが重要になってくる。こうした状況下では、他企業や大学・研究機関との協 力関係を築けない自前主義は、技術開発競争を勝ち抜くことへの足かせとなり かねないとの評価もみられるようになった。 第二に、日本の金融システムが、メインバンク中心の間接金融を主体として おり、ベンチャーキャピタルのような直接金融によるリスクマネーの供給に乏 しかったことが挙げられる。アメリカでは、大学や研究機関の周辺からベンチャ ーキャピタルによる初期投資を受けたベンチャー企業が大量に生まれ、この中 から巨大企業に成長するものも現れた。特にIT やバイオなどの新産業について は、日本では研究開発の中心的な役割を担ってきた大企業に代わって、中小のベ ンチャー企業によるイノベーション活動を活発化させることができず、大きな 差がつくことになった。 第三に、従来我が国における知識資産の蓄積は、企業内での幅広い職場間の 配置転換などを通じて、経験や熟練から生じる文書化しにくいノウハウや微妙 な調整を行う「暗黙知」の共有・活用という形で行われてきた。しかしながら、 企業外の様々な組織と連携・協働を進めながら、知識を蓄積して一早く製品開発 過程に繋げていくためには「暗黙知」を分かりやすく外部に伝えていくための 「形式知」化が必要となる。 〈問1〉下線①の「擦合せ型(インテグラル型)」の製品とはどのような製品で しょうか。下線②の「組合せ型(モジュール型)」の製品と対比しながら、100 字 以内で説明してください。 〈問2〉下線③の以下に文章にて、「日本型のイノベーション・システムが直面 する課題」が提示されています。これに関連して、日本のイノベーション・シス テムの課題について、自分の考えを述べてください。 18

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参照

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