小学校教員養成課程 にお けるダ ンス教育
Dance Education in the Prilnary School′ reacher's Course
体育教室 佐 分 利 育 代 は じとつに 小学校高学年以上 の表現運動や創作ダ ンス(以下 ダンス とする)の 学習指導研究 には,「恥ずか し さ」を取 り除 くことを第一 に掲 げているものが多い。硼さずか しさ」は
,学
習内容の明確化 と学習の 過程 を通 し解消できる と考 えられ るが,騨
さずか しさ」や「ダンスぎらい」を理 由に学習 に対 して心 を開かない児童,生
徒 がいることも無視 できない。 ダ ンス学』指導の方法論 を展開す る上 で「学習 に向かわせる」 ことの難 か しさは,他
の どの教材 と比較 して も大 きな課題である。 一方指導者の側で も,ダ
ンスを扱 いに くい教材 と考 えた り,「子 どもがいやが る」か らと身構 えて 指導 にあた ることが ある。学習内容の具体化や構造化が進 め られている今 日で もなお,学
習者 のみ な らず指導者 に もダンスが難か しい教材 とされているのはなぜであろうか。 この ことについて三浦弓枝 は,「何 よ りの問題 は積 み重ねがない点か も知れない。小,中
,高 ,大
学 とどの段階で も,初
歩指導か ら始めなければならないのが現状である。」と指摘する 'す なわち, 過去35年をかけて も解決 し得 なか ったダンス学習の宿命 ともい うべ き課題 は,ダ
ンス経験 の不足, 継続 した経験の無 さか ら くる「恥ずかしさ」や「 ダンスぎらい」の存在である。学習者の精神的な 発達 に対 して,あ
まりに もアンバ ランスなダンスの技能 は,表
現意欲 にとって大 きな障害 となって いる。発達段階に即 した継続的な学習 こそ,期
待 を持 って次の「学習 に向かわせる」ための必須条 件な ことは言 うまで もない。 しか し,昨
年の調査 による昭和56年度 の鳥取県小学校 でのダンス指導の実態ではP体
育の時間全 体の10%以
上 をダンスにあてている教師は,調
査対象250人の29.2%(73人
)に す ぎなか った。 そし て,ダ
ンスの教育的価値 を理論的には評価 しなが らも,自
分 自身ダンスの経験がないので指導 に自 信がない とす る教師が約50%も いた。また,男性教師の多い高学年 ほどダンスは指導 されてお らず, 最 も望 まれる継続 した学習が不可能 な結果であった。この現状 を打開するためには,講
習,研
究会, 学校全体 としての取 り組 み,教
員養成での指導,何
よ りも教師 自身の主体的な研修等,積
極的な対 策が考 えられ るべ きである。 さて,鳥
取大学教育学部小学校教員養成課程では現在,ダ
ンスは,器
械運動,陸
上運動,ボ
ール 運動,水
泳 と共 に,全
学生が経験で きるシステムが とられている。つ まり,ダ
ンス経験 のあ る男性 教師 の養成の機会が与 えられていることであ り,そ
の責任 は重 い。 しか し,中
学,高
校 と,少
しの フォークダンス以外 はダンスをしてきていない男子学生に加 え,女
子学生 に も未経験者 がいる。受 講者全体 の約半数がダンスの未経験者 であ り,経
験 のあ る学生で も継続的で充分 な学習を して きた とは言 い難 い。 これ らの学生 を,初
歩的学者か ら一気 に指導者 に引 き上 げねばな らないのが現実で ある。130
佐分利育代:小学校教員養成課程におけるダンス教育 限 られた時間内での,初
歩指導 と指導者養成 を兼ねた内容の検討は,教
育現場での積み重ねのあ るダンス学習 を可能 にするための重要な一手段 と考 えられ る。 目的 学習者 が「恥ずか しさ」 を克服 し,ダ
ンスの楽 しさを味わ えるため,さ
らには発達段階に即 した 学習を重ね られるためには,指
導者 自身がダ ンスの特性 や技能の段階 を明確 に とらえていることが 必要である。そ して,指
導者 自身のダンス観 を持 って学習者 に何 を経験 させ たいか を考 えるべ きで ある。教員養成 のための限 られた時間内にどのような技能が知識 として身 についたか,ま
た,ダ
ン スに対する見方が どう変化 したかは,身
体運動 な どのいわゆる表現技能 を通 して見た達成度 と共 に 興味深 い問題 である。 本研究 は,昭
和55年度小学校体育実技(1)で3回
のダンス学習 を経験 した学生 を対象に,昭
和56年 度小学校体育実技(2)においてさらに3回のダンス学習指導 を行 なった時,学
習 に対す る意識が どう 変化 したかを知 る と共 に,知
識 としての技能 の段階 を考察 し,小
学校教員養成課程でのダンス学習 指導の方向 を問 うものである。 方 法 昭和56年度小学校体育実技(2)における3回の学習内容 と学習活動,及
び感想 を学習者 に毎 回レポ ー トして提 出させ,各
学習内容 に対 する感想 を分析,比
較 した。 レポー トには客観的内容 と主観的 な感想 を区別 して書 くことと,で
きるだけ具体的,詳
細 に書 くことを指示 した他, 1回
目の レポー トを提出 した際には指導案の形式 をとるように再 び指導 した。感想 は以下のように抽 出 し比較検 討 の対象 とした。 イ,凹
さずか しさ」「 ダンスぎらい」の追跡 を意図 し,各
学習内容 に対する達成感 と非達成感 を抽 出 す る。 口,知
識 として身 についた技能 を把握するために感想 を「踊 る」「創 る」「観 る」の各技能 の観点か ら抽 出する。 対 象 昭和55年度小学校体育実技(1)を受講 し,3回
のダンス学習を同 じ内容で経験 した鳥取大学教育学 部学生で,継
続 して昭和56年度小学体育実技(2)を受講 した学生 (男子48名,女
子77名)。(1)昭
和55年度小学校体育実技(1)(2年次指定)の
学習 目標及 び学習内容 教材研究 よ り,学
生 自身のダンス経験 を目標 に100分X3回
の指導 を行 なった。到達 目標 は「 とらえられる
P段
階である。各回の目標と内容は以下のようである。
(昭和
55年度小学校体育実技
(1)の全
受講者 は男子55人,女
子82人) 第1次実施 日
4月
21日(C班
)5月
19日(B班
)6月
9日(A班
)④ 学習 目標・ 動 きが感 じを持 つことを知 る。学習内容 。① リズムに合わせ
,い
ろいろな向きや方向に走る。
②いろいろなイメージを持った「走」を行なう。
速そうな
遅そうな
水中を
ぬかるみを
坂を
逃げる
戦う等
③群での「走」の持つイメージを味わう。
鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 25巻 流 れ 群 れ 時 雨 等 第
2次
実施 日
4月
28日(C班
)5月
26日(B班
)6月
16日(A班
) 学習目標・ 身体全体でとらえ,身
体全体で表現することを知 る。 学習内容 。①ボールになって全身で動 く。 ②「ボール とつ く人」や「木 と風」「水 とポンプ」など,動
きなが ら相手 も動か してあげ られる題材をみつけ全身で表現する。2人
組。 ③グループで「波」の動 きをみつけて全身を使い表現する。10人前後。 第3次
実施 日
5月
12日(C班
)6月
2日(B班
)6月
23日(A班
) 学習 目標・対象の動 きの特徴をとらえ,全
身で表現する。 学習内容・①拍節的なリズムを持つ動 きを全身で行なう。 ②「時計」 をテーマに1人
で拍節的な動きをみつける。 ③2人
組みで,「時計」をテーマに動 きの特徴をとらえ,感
じ合いなが ら全身で動 く。 ④ 8人 グループで「時計」をテーマに3つ 以上の異なった動 きをみつけ,感
じの出る長 さだけ続けて踊 る。発表する。 ⑤課題 (自由題 による 1人 の表現) 体育館の周辺 より題材 をみつけ,動
きの特徴 を3つ 以上 とらえ全身で続 けて表現す る。 1人 づつ発表。 表現内容 と,で
きばえについての感想 と,次
年度の学習への希望等自由記述 し提出 する。(2)昭
和55年度小学校体育実技(1)の課題のできばえに対する評価 個人の表現について,A(題
材の動きの特徴を明確にとらえ全身の動 きで表現 している。),B(題
材の動 きを3つ 以上みつけ全身で表現 している。),C(題
材 をみつけられない。題材の動 きのとら え方が曖味。全身を使 って表現できない。)の3段
階で評価 した。Cは
学習目標 に到達で きなかった と評価 した。 受講者全員についての評価 は以下のようである。男女による差はあまりみられなかった。 表1
小学校体育 実技(1)の課題 ので きばえに対 す る評価 評 価 男 子 女 子 全 体 A 5人(9.1%)
49ノ入、 (89.1%) 15人 (18.3%) 77ノÅ、 (93.9%) 20人(8.9%)
126メ、 (92.0%) B 44人 (80.0%) 62人 (75,6%) 106人 (77.4%) C 6人 (10,9%) 5人(6.1%)
11人(8.0%)
「対象の動 きの特徴 をとらえ,全
身で表現 する」 という学習 目標 は一応達成 した と評価で きる。 しか し,対
象の動 きの特徴 を鮮烈 に受 けとり表現できている者 はあ まり多 くいなか った。何 をどう とらえた ら良いか,今
回の学習では明確 には理解で きなかった とも考 えられ る。 また,一
人での発132
佐分利育代:小学校教員養成課程 におけるダンス教育 表 を課せ られた ことか ら動 きが小 さ くなって しまった者が多い。伸び伸び表現 させてや るための場 面設定 と,課
題 設定の再考の必要性 を強 く感 じた。13)昭
和55年度小学校体育実技(1)受講後の感想 第3次
の課題発表後の感想 を,特
に初 めてダンス学習 を経験 した男子学生 について,ダ
ンス学習 全体への感想 と課題ので きばえに対す るもの とに分 けて とり出 した。 表2
ダ ンス学 習 と課題 ので きばえに対 す る男子学生 の感想 ダ ン ス 学 習(人
) 課 題 の で き ば え (人) 母きずか しい18
もうや りた くな い8
素直 になれない4
その他否定 的 な感想5
難 しい8
初 めてで苦労 した3
基本 のパ ター ンを知 りた い2
楽 しか った3
意 義 を感 じた1
思 うようにで きなか った12
緊張 した9
何 をや ってい るかわか らない うち に終 った8
グループでや りたい7
どんなふ うに見 えているのかわか らない3
自分 に しては良 いで き2
表2のように,男
子学生 に とって初 めてのダンス学習 は,恥
ずか しさや否定的な感想 を持たせ る 楽 し くないものだった と言える。 そ して,そ
の大 きな原因は,「思 うようにで きなか った」「何 をや っているのかわか らない うちに終 った」「 どんなふ うに見 えているのかわか らない」など,発
表 につ いての感想 に表われていると思われ る。すなわち,達
成感 を味わえなかった ことや自己の技能への 不安 である。 女子学生の感想 にも「1人
の発表で恥 ずか しさが先 に立 った。」「緊張 して思 うように体 が動かな かった。」「考 えていた半分 もで きなか った。」等が多か った。 経 過(1)昭
和55年度小学校体育実技(1)での学習指導の問題点 多 くの 町bずか しさ」や否定的な感想 を持 たせて しまった原因 を指導の側か ら見 ると,目
標設定, 指導方法,課
題設定のそれぞれ に問題 があった。 まず,日
標設定 に関 して2点があげられる。1点
はダンス技能 としての到達 目標である。すなわ ち, 3回
の指導を,最
も初歩的段階の「 とらえられ る」のみを目標 に行 なった ことで,
このために 各時間の 目標 に差がな くな り,学
習者 に学習の進行 を自覚 させ られなかった。言語表現で は,ま
と める ことので きる学習者である。何 らかの形 で作品にまとめ られる段階にまで目標 を引 き上 げるべ きであった。 もう1点
は,教
材研究 ということを前面 に出さなかった ことである。学生 自身のダンス経験 を目 指 した ことが,「素直 になれない」「男性的な種 目をや りたい」「バ カにな りきれない」などの消極的鳥取大学教育 学部研究報告 教育科学 第25巻 な構 えをとらせたのではないか と思われ る。 指導方法での問題 は
,学
習 目標 を学生 に対 して客観的,明
確 に知 らせなかった点であろう。学生 自身のダンス経験 を目指すあまり,具
体 的に与 えたのが学習内容 に対する手がか りばか りで,知
的 理解 を通 しての主体的な取 り組 みの機会 を与 え得 なかった と反省で きる。 最後にあげられ るのは課題設定の問題 である。個人の発表 とい う課題 は3回の学習の終 りとして は,必
要以上の緊張 と恥ずか しさを与 えることになった。 以上の問題点 は,教
材研究の内容 を前面 に打 ち出 し,
しか もグループによる発表 を課題 とした, 昭和53年度小学校体育実技(1)で,71名
の男子学生の うち「恥ずか しかった」 と感想 を述べた者が, 6名 しか いなかった⑥ことと比較 して も,検
討,改
善の必要があ る。12)昭
和56年度小学校体育実技12)(3年 次指定)の
学習目標及 び学習内容 前年度の学習の反省 より学習指導目標 を次の ように決めた。1.グ
ンスの楽 しさを味わわせ る。2.学
習者 に学習 目標 を明確 に知 らせ,技
能 を段 階を追 い自覚 しなが ら伸ばせるようにす る。「ま とめ られ る」段 階⑥まで到達 させ る。3.教
材研究 として主体 的に取 り組 ませ教材研究への意欲 を持たせ る。 指導上の留意点 としては,群
舞の探求 と同時 に,伸
び伸び とした表現ができるように,グ
ループ 活動や発表 を中心 に置 くこと,個
人での表現練習 は可能 な限 リー斉 に行 なわせる、こと,表
現の手が か りを精選 して与 え動 きに専念で きる状態 をつ くることを掲 げた。 各回の学習 目標 と内容 を以下 に示す。 第 1次実施 日
6月
25日 (B・C班
)7月
9日(A班
) 学習目標・ 対象の動 きの特徴をとらえ表現する。 学習内容 。①「走Jを
テーマにいろいろな動 きをみつける。 ②いろいろな動物の「走 り方」や「歩 き方」の特徴をとらえる。 2人 組。 ③好 きな動物の「走 り方」や F動き」の特徴 をいろいろみつける。8・ 9人
。 第2次
実施 日
7月
2日(B班
)8月
29日(C班
)8月
30日(A班
)学習目標・場面の特徴をとらえ続けて踊る。
学習内容 。①いろいろな質の紙の動きの特徴をみつけ
,全
身で表現する。
2人組。
ティッシュペーパー
段ボール
わら半紙
ポスター
新聞紙
②海の中のいろいろな生物の様子をとらえ
,そ
の気持になって続けて踊る。 8人 組。
①で使用した紙を岩や海草にみたてる。
③知っている「海の仕事」の
5つの場面を紙にスケッチし,そ れぞれの場面の動 きをみ
つ ける。各場面 の動 きを続 けて踊 る。(8人
組) 第3次
実施 日
8月
31日(B班
)9月
3日(C班
)9月
10日(A班
) 学習目標・ 表現の中心がひきたつように全体 をまとめる。 学習内容 。①「 自然の威力」を大 きなテーマに,グ
ループで題を選び,表
現の中心の動 きをみつけ る。佐分利育代:小学校教員養成課程 にお けるダンス教育
②表現の中心がひき立つように作品をまとめ
,踊
り込む。
③作品の発表と観賞を行なう。
結 果 と考 察 各学習毎に提出 されたレポー トについて,学
習が楽 しく行われたか,
また,学
習の目標 や内容が 理解で きたかを検討 した。3回
の各学習での感想の うち,「楽 しかった」「・・・イよお もしろかった」「・・・がで きた」「・・・がわかっ た」等 を達成感 として,「・中がで きなかった」「自分 には無理だ」町きずか しい」等を非達成感 として 抽出 した。(1)各
学習における達成感 図1は学生1人 1人について達成感が得 られたか どうか を検討 し,学
習毎 にその人数 をまとめた ものである。学習の中で1度で も達成感 を得 ることがで きた者 を,「恥ずか しさ」や「ダンス ぎらいJ を克服 し学習に向か うことがで きた として,克
服群 とした。 これに対 し,非
克服群 は, 1度
も達成 感 を得 られなか った者である。 図1 56年
度(3年
次)の
学習における克服群 と非克服群 学習克服群 (110人) 非 克服 群 (15人) 女 子 (70) 男 子 (40) 克服 群 …達成 感 を 持 てた者 非 克服群・・達成 感 を持 てなか った者
鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第25巻 非克服群の学習者全体 に占める割合 は
,第
1次の学習で12.0%(男
子16.7%,女
子9,1%),第
2 次では4.0%(男
子6.2%,女
子2.6%),第
3次
では3.2%(男
子6.2%,女
子1.3%)で
あった。 この割合は,昭
和55年度 の感想で非克服群 が大半 を占めたのに比較 し,第
1次の段階か ら非常 に 小 さい。そして,第
2次
か らはさらに非克服群の減少が見 られた。第2次
と第3次
の非克服群の割 合 は類似 していた。 第1次の学習で,前
年度 に比べ非克服群 が少なか った理由 としては,男
子学生 では,「去年や って いるので」「2度目なので」学習 にスムーズに入いることがで きた と,学
習前の状態 を書いている者 が3名あった。女子で も4名の者が,「2年
の時 よ り恥ずか しさがな く伸 び伸び とやれた。」 として いる。 このように, 2度
目の経験 であることは,学
習内容の予測がある程度可能なため,ど
の学生 にも学習に溶 け込み易い心の状態 をつ くると考えられる。 「恥ずか しが っていてはよけいみっともない という昨年の教訓か ら,今
年 は開 き直 ってすると心 に決意。」 と男子学生が書 いているように,ま
ず,学
習 しようとす る態度 にな らせ ることが,特
に, 初めて経験す る男子で しか も指導者 としてぜひダンスを知 らせたい学生 を対象 とする時に配慮 した いことからである。 また,「時間がたつにつれて,2年
の時 よ りすんな り学習 に溶 け込 むことがで きた。」「始めはや り に くかったが,終
りに近づ くと気分的にな りきってやれた。」等,学
習の過程で次第 に恥ずか しさや 緊張感が無 くなっていた ことを内省 している者 も多かった。第1次
の学習経験 は,「一年ぶ りのダン スで戸惑ったが,動
いているうちに次第 に楽 しくなった。」というように克服者 各増 し,第
2次でさ らに非克服者 を減少 させ る力 となった と思われる。 第2次
以降,「舜きずか しい」 との感想 は書かれていなかったが,第
1次
の学習 を通 し,町
きずか し さJか
らダンスの特性や技能 に興味が移 った と考 えられ る。 表3は,第
1次の学習内容 と学習活動,及
び,そ
の活動 に対す る学生の感想である。感想 は達成 感 と非達成感,さ
らに,「踊 る」「創 る」「観 る」の各技能の観点か ら分類 した。数字 はその感想 を書 いた学生数,()内
はその活動 で初 めて達成感 を得た人数である。 活動 に対する感想 は学習の経過 とともに,「走 るだけなのに楽 しい」 か ら,「体 は動か してみると 様々な動 きがで きるJと
の驚 きに,そ
して,「自分の とらえた動物観を全身で表現す ることだ」のよ うな表現原理や技能へ と変化 している。 特 に,最
も多 くの学生が達成感 を得 た,「人真似で もやるとや らない と大違 い,体
は動か してみる と様々な動 きがで きる。Jという感想 に象徴 され る驚 きの後 は,「自分 だけの動 き」「同 じイメージで 色々 な動 き」「同 じ音楽か ら色々のイメージ と動 き」「様々 な意見,異
なった動 き」等,個
性 と創造 性への可能性 を見 い出 し,興味が広が っている。また,「大 きく思 い切 って動 くとその良 さがわか る」 「全身で動 けた」「大切 なの は自分 の とらえた動物感 を全身で表現す ることだ」「何度 も練習すると 恥ずか しさもな くな り,…
な りきってやれた」 と全身で とらえ表現で きた ことや踊 り込みが,恥
ず か しさを克服 させていることがわかる。 グループや2人
組 での活動 も恥ずか しさを感 じさせ ることな く表現 を探求 させている。 このグル ープ活動 については,「動 きを真似 し合 うおもしろさ」や「1人
ではで きない新 しい動 き」ができ, 「ダンスが下手だがグループだ と何 とかできる」こと,「一緒 に創 り上 げる喜び」や「発表の充実感 をわかちあえる」 と評価 している。 一方,非
達成感 では,「体 が思 うように動かない」「『走』 に とらわれ新 しい動 きがで きなかった」 「日頃何 げな く見 ているか ら,あ
りきた りになった」等,ダ
ンス経験 の不足 に起 因す ると思われ る学 習 内 要 学 習 活 動 達 成 感 男 女 計 非 達 成 感 男 女 計 導 入 「走 」 をテ ー マ に色 々 な動 きをみ つ け る ︵ 導 入 音 楽 の リズ ム に あわ せ て走 る (1人) 「 走 」 をテ ー マ に した指 導 者 の動 きを まね て全 身 で動 く(1人) 踊 踊 走 るだけなのに楽 しい リズムにのって動 くのは難 しいが楽 しさもあ る 4(4) 6(6) O ⑪ 踊 踊 リズム感がない 動 きについてゆけなし l 2 l l 2 3 ︵ 展 開 ︶ 「た∪をテーマに動 きを出しあい、友 連の動 きをまねて動 く(8∼ 9人) 始めは様にならなかったが次第 に思い切 った 伸びイ申ぴした動 きがで きた 汗ぴっしょりになって動いている自分に気が ついた 人 まねで もやるとや らない と大違い、体 は動 か してみると様々な動 きができる 自分だけの動 きを創 り動 くのは楽 しい 同 じイメージで色々な表現ができる 働 ゆ り 0 9(5) 7(6) 229か 17Qか 10 観 動作が小 さくなった 体が思 うように動かない き い 驚 理 で し に 無 現 新 た さ は 表 れ つ し に も た わ か 美 分 て つ ら な の 自 き か と き き に で な に で 動 時 う は が コ が の 同 思 ね い 性 走 き 体 と と ま な 個 F 勤 人 く だ 0 2 0 2 4 0 5 8 2 0 8 1 5 10 2 2 12 1 ︵整 理 ︶ 印象に残 った「走」 をもう 1度 行なう (8∼ 9人) 観 大 き く思 い切 って動 くとそ の 良 さが 出 る 0 展 開 色々な動物の「走 り方」 や「歩 き方」の特徴をと らえる 好 きな動物の「走 り方」 や「動 き」の特徴を色々 みつける ︵ 導 入 ︶
§
:すξ
4二真
FFα惚
線
を
響
盛堡
音楽によってイメージが持 ちやすかった あ同 た ヽ ヽ っ く り だ な な し が に 返 の き り も 動 繰 く な の め い と ら ま こ ひ い じ 日ごろ何気無 く見ている か ら、ありきた りになっ た 体全体の動 きが無かった 発想が貧弱で大胆な動 き がなかった 全員が同 じ動 きでな くて もよかった 愁 長娠琴露、緩急を作れ もうひ とつつっこみが足 りない 1 1 4 2 6 2 1 2 2 ︵ 展 開 ︶ 友連のみつけた動きをまねしあう (2人) 最 も気にいった動物を選びその動 きを 練習する(2人組) 踊 創 観 その気 に な っ て楽 しん だ島警急
恣
3えと
で自
分の
動きも
わかり
色々な
相手が一生懸命なのを見て私 もがんばった 4(4) 6(1) 0 ll(lll 10(5) 2 ︵ 整 理 ︶ 選んだ動物の動 きをみせあう(全員) 踊 創 観 全身で動 けた 委?客?ヒ鳥分の とらえた動物観 を全身で表 同 じ音楽から様々なイメージと動 きが得 られ お もしろかった ︵導 入 ︶ 同 じ動物 を選択 した者同志グループに な り、動 きを出 しあう(8∼ 9人) 踊 踊 創 様々な意見が出、異なった動 きがで きた 6 何感必埜嚢を,慈ひぜな拷鳥完えくな り、み ダンスは下手だがグループだ と何 とかやれた 1人 ではで きない新 しい動 きができた 全体の中で個人が活かされた 全員で創 り上げる喜びを感 じた 0 6 3 2 0 2 1 2 1 3 2 5 3 3 ︵ 展 開 ︶ グループで気にいった動 きを3つ 程選 ぴ、感 じが出るように続けて踊る練習 をする 整 理 ︵ 整 理 ︶ 発 表 す る 踊 創 観 やつた という充実感 をわかちあえた 1つ 1つ の動 きより全体のまとまりだ 自分達の創 ったダンスに満足 他人のダンスをみることも楽 しいし役に立つ 1 2 0 0 3 1 2 6 4 3 2 6 表3
昭和56年度小学校体育実技(2)第
1次の学習経過 と学習者の感想 (チ0 (人) (人) (人)(人 )(人) P ∞ 0 甫 ゆ 赳 硼 分 一 > 報 薄 磐 加 那 爵 馴 耐 萬 村 専 ば ヽ く 瀑 蝉 研鳥取大学教育 学部研究報告 教育科学 第25巻 内容がめだった。 しか し
,ダ
ンスについてのイメージはある程度で きてお り,漠
然 とではあ るが技 能の目的 も持 てた と思われ る。 図2は,表
3の うち各学習活動 で達成感 を得た学生の数 を活動内容毎にまとめた ものである。 図2
第1次の学習活 動 と達成感 これ による と,導
入段階の活動の中で も展開的な部分で達成感 を得ている者が最 も多い。(65人) 次が展開段階のやは り活動が展開 され る部分 で,(23人
)そ の後,整
理段階 までほぼ一定 の(20人程 度)学
生が達成感 を得ている。 次 に,斜
線部分であるが,初
めて達成感 を得 られた人数の変化である。 この初 めての達成感 はす なわ ち克服群の出現 を表わ してい る。 克服群 は,導
入段階で約60%,展
開段階で残 りが現われている。学習の前半 でほ とん どの者が克 服群 に入 いることがで き,そ
の ことが,展
開段階以降の達成感 を支 えていると思われ る。 また,克
服群 は,導
入,展
開の各段 階 とも,そ
の活動の展開部分で多 く出現す る とい う山形の図 になっている。 山の部分の内容の共通点は,新
しい動 きを創 り出す ことである。すなわち,そ
れ ま でお もしろいし,こ
れならで きると考 えていた「真似 して動 く」ことよ りも,「動 きを出 し合 いなが ら自分 の動 きをみつけてい くJこ との方によ り興味 を持ち,活
動で きたことを意味 してい る。特 に, 導入段階での動 きのみつけ合 いのお もしろさ発見の驚 きは,そ
の棒 グラフの長 さに現われている。 そ して,こ
の発見 は,動
きをみつ けるための手がか りを充分 に,し
か も具体 的に与 え られ,全
身 で動 く楽 しさを味 わいなが ら次の活動 に入いれたか らこそ得 られた ものである。第1次
の学習指導 での導入 は効果的だった といえる。 この導入 が,す
なわち,引
き続 き行 なわれ る2回
の学習への導 入で もある。第2次
の学習以降「恥ずか しい」の感想がな くな り,学
生 を学習 に向か う気持 にさせ るための有効 な導入であった とある程度評価 で きる。 全身で とらえ,表
現できるお もしろさを知 らせ ることは,特
に,ダ
ンス技能 と精神的発達のアン 人学習活動
0 10 20 30 40 50 60
彩 その活動ではじめて達成感を得た学生 │ │その活動で達成感を得た学生 音楽のリズムに 合せて走る 指導者の動き まねて全身で く 動きを出し合t 友達の動きを ねて動く 印象に残った をもう一度行 , 音楽に出てく 動物 の「走」 「歩Jをみつけ 友達とまねし い好きな動物 動きをみつけ きを見せ合う きを出し合う グループで動き を選ぴ踊り込 発表する ︵整 理 ︶138
佐分利育代:小学校教員養成課程 にお けるダ ンス教育 バ ランスの著 しい学習者 にとって必要であると思われる。(0
感想の変化にみ られるダンス技能 学習活動 に対 する学生の感想 は,そ
の うちの達成感 をみてい くと,各
学習毎に特徴 ある内容 であ った。第1次は,運
動の表現性 との出合 いの「驚 き」,第
2次
で は,運
動の表現性 について「 自覚」 を持 ちなが ら客観 的に探求 してい く態度 が見 られた。第3次
で は,自
分のこれ までの学習 と 'ヒ 較 し なが ら技能 を確認 し,「充実感」 を味わっている。 第3次
の感想 は以下の ようであった。 (踊る〉 ○人前でダンスをするのに堅 さが とれて恥ずか しさが無 くなった。(男子) ○ひたす ら動いたせいか,あ
まり抵抗感 を感 じる ことな くよく動 け面 白かった。(女子) O自分 の思 うように動かせ るので体 の解放感 を味わった。(女子)O動
いている時 は夢中で何 も雑念がない。自我の解放だろうか。(男子) ○体 で表現する楽 しさを味わった。(女子) ○我 を忘れて演 じている自分 に気付 いて驚 いた。 これがダンス というものか も一。(女子) ○やった一 という実感が持てた。(男子) ○人 に自分 を見て もらえるというのは恥 しいことではな く誇 りである。踊 って人 に見せ るのが楽 しく なっている自分がおか しかった。(女子)O発
表中,体
育館中が静 まりかえっているように感 じたのが印象的。(女子) ○や っている時 も,今
回はピッタ リ息 も合 った し充実 していた。(女子) ○一生懸命体 を動か して自分達で何か を表現 してい くことの良 さと楽 しさを味わった。(女子)Oグ
ループのみんなでその気 になって踊れた。(女子) ○グループ発表の時の感動 は忘れ られない。(女子) ○始 め失敗 したが,みんなが演 じることでほんの少 しだけどダンスのお もしろさがわかった。(女子) 〈膚Jる〉 ○今年 はイメー ジ もどん どん浮び,そ
れがす ぐ動 きとして出てきた。内面 と結 びついて人 の発達段 階 と関わ りあることがわかってお もしろい。良い作品ができた。(男子) ○なにげない動 きに も敏感 にな り,表
現するお もしろさも多少 は理解で きた。(男子) ○動 くことが億劫でな くなった。自分か ら動 く人が増 えた。(女子) ○自分で創作できるんだ という気持が持てた。まとまりをつ くることは困難だが実感が伴 った。(男 子) Oち ょっ とした発想で 日の前が明 る くなる。(男子) ①題材 は身のまわ りにあると痛感 した。(男子) ○この作品 はなかなか良 く出来たのではないか と自分では満足。(女子) ○みんなか ら活発 に意見が出ておもしろかった。(女子) ○全員が主体的 に取 り組みおもしろかった。創作 しているという気が してきた。(男子)Oみ
んなとて も熱心 に取 り組 んでいた。グルー プでひ とつのテーマ を表現 しようとす ることに感激 を覚 えた。(女子)Oみ
んなが活発 で動 きづ くりが楽 しくで きた。ダンスのお もしろさ,楽しさがわかち合 えた。(男子)鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 25巻
Oや
っていてかな りお もしろかった。皆が真剣にやっていた。全員で考 え全員で真剣になると比較 的苦手であった表現運動 もこんなに楽 しくなるものであるということがわかった。ある程度の到 達点 までは達 した。(男子) ○みんなで個性的な動 きを出 していったのでよい作品 とな りました。(女子) ○集団で何 かを表現 してい く楽 しさがわかった。個々の動 きがばらば らで もどこかで有機的につな が り,全
体がひ とつのテーマ を表現するのだ。(女子) ○事象の動 きを発見 して表現することはとて も楽 しい。 こんなにもいろんな動 きがあるのか と,動
きや表現 を見直す ことがで きた。(女子) ○動 きをみつけるお もしろさ,集
団で協力する大切 さを感 じた。(女子) (観る〉 ○雰囲気が出ていた。(男子) ○それ らしい表現が皆でていた。(女子)Oテ
ーマは表わ され た。(女子) ○動 きとテーマが よ く理解で きた。(男子) ○うま く表現できた。(女子) ○私たちのグループのダ ンスは全体的になかなか良い感 じだった。(女子) ○やれ ば誰で もで きるんだ。男 らしい動 きと女 らしい動 きがある。自分が恥ずか しがるほど人 は何 とも思 っていない。みんなずっと上達 した。(男子) 表4は,各
学習での達成感 よ り,「踊 る」「創 る」「観 る」技能 として特徴的な もの を取 り出 した も のである。表は技能の段階の意味 を含 め,下
位か ら上位へ,第
1次の学習か ら第3次
の学習へ と配 置 した。 第1次の技能の特性 は,「動 きの多様性 と個性への興味」として まとめ られ る。運動の表現性 に気 付 き,技
術修得の意欲が出た段階である。 しか し具体 的で客観 的な技術認識 には至 ってお らず,も
し,こ
の段階で学習が中断 されれば,「ダンスは楽 しく,興
味深かった。」 との感想 は残 るが,そ
れ をどの ように して子 ども達 に味わわせてやれ るかの具体的な手がか りを持たないため,結
局 は指導 で きない教師 にならざるを得ない と思われる。 第2次
では,「イメージ と動 きの対応」が身 についた と評価 したい。表現の対象の持つイメージを 自分の動 きを通 して とらえ,表
現で きる段階である。I
「踊 る」「創 る」「観 る」の各技能 についてみると,「踊 る」技能 としては,自
分 の身体 を表現の素 材 として客観視 で きることがあげられ る。そ して,素
材 としての身体 の動 きが,確
かに表現の媒体 になっているのか どうかについて,漠
然 とした不安 としてで はな く,意
識的な疑間 として探求で き るようになった。 「創 る」技能では,表
現要因 に関す る知識の獲得がみ られ る。表現要因の内容 は,強
弱 (力性), 遅速(時性),大
小,方
向,向
き,集
散等(空間性)で,そ
の違 いによる感 じの違 いが意識化 された。 「観 る」技能について も同様 に,対
象のイメージと動 きの対応 を客観視で きるようになった。 そ れ は,自
分の表現 についてはフィー ドバ ックとして,友
達の表現 については評価の形で現われてい る。 また,様
々な とらえ方があること,
とらえ方の違 いで表現 に違 いが出て くることに気付 き,興
味 を持 って友達 との活動 に参加で きた。佐分利育代 :小 学校教員養成課程 におけるダンス教育 表
4 56年
度 (3年次)の
.3回 の学習に対する感想 にみられ る技能 主題 と作品の対応 主題 に対 す る表現方 法 が選択 で きる 創 り上 げるお も しろ さが味わ える イメー ジが どん どん 浮 かぶ 部分 と全供 の見通 し がで きる ね らい 中心 だ んだ ん 最高潮 は じめ とおわ り 作品全体 のイメー ジ を持 って踊れ る 踊 った充実感 が味 わ える 観 て も らいたい と思 う 練習方法が工夫 で き る 友達 と合わせ なが ら 踊れ る 身体支配 がで きる 動 きを整理 し発展 さ せて踊 れ る 身体 づ くりへの意欲 が持 て る 主題 と表現方法に対 す る評価ができる 構成とらえ方 動 き
効果 感動を味わえる 好 きな作 品がみつ け られる 舞μ雨観がいえる イメージ と動 きの対 応 対象 と対応する動 き がみつけられ る 感 じの違 いや動 きの 違 いがわか る 強弱 遅速 大小 前後 左右 斜 め 上下 集歌 男女の特性 役割分担 話 口 , C 一 り カ な つ る の き 面 で 場 慮 動 きへの意欲 を持 つ どう見 えてい るの か な りきるだ けで良 ヤゝtDか 身体各部 の動 きへの 配慮 が で きる 運動 の要素が増 す 男女 の動 きの良 さが わか る 封象 と動 きの対応 に つ いて評 価 で きる 何 を表 わ しているか 感 じられ る ものが持 ってい る感 じが味 わ える 表 か て わ つ が よ と に こ 方 う え 違 ら が と 現 る 1 動 きの多様性 と個性への興味 様 々 なイメージが あ る こ とに気 づ く 様 々 な動 きが ある こ とに気 づ く 自分 だ けの動 きが み つか る その気 に なって動 け る 様々 な動 きが経験 で きる のびの び動 ける 様々なイメージがあ ることに気づ く 様々な動 きがあるこ とに気づ く 大 きな動 きは美 しい
%
る 踊 る 観 △ 届 る鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第25巻 第
3次
は,ダ
ンスの技術 としてはまだ まだ修得すべ きものがあ りご く初歩の段階 としかいえない が,「主題 と作品の対応」として まとめた。ただ,こ
の段階 まで くれ ば,後
は,教
材研究 を通 して技 能 を伸ばし,指
導法を身につけ考 え出す ことが可能で はないか と思われ る。 「踊 る」技台とでは,作
品全体 のイメージを持 ちなが ら踊れ るようになった。踊 っている自分 を内 側か ら見 ることもある程度で き,友
達 と合わせなが ら踊 る楽 しさも味わっている。見 られて「恥ず か しい」気持 は,「観 て もらいたいJ気
持 に変わ っている。 「創 る」技能 として,主
題 に対する表現方法の見通 しを持 って作品創 りに取 り組 めるようになっ たことが あげ られ る。学習 目標 とした,表
現の中心の見極 め と動 きとイメージが はや く持てるよう になった。主題 をもとに,作
品のイメージが次々 と浮び,そ
れを創 り上 げる喜 びを味わっている。 「観 る」技能 では,「創 る」技能 ともあい まって主題 の表現方法が評価で きるようになった と言 え る。 そして他人の作品 に共感 した り,自
分の作 品ので きばえについても味わ えるようになった。 こ れ は,自
分 な りの「ダンス観」(舞踊観)が
持 てた ことの現われで もある。 「 ダ ンス観」は,凹
さずか しさ」や「ダ ンスぎらい」を克服 し,学
習の各段階でダ ンスの本質 に触 れ られた楽 しさか ら芽生 えた。 そ して,「自分 な りに指導で きそうだ」 との感想や,「もっと知 りた い」 という教材研究への意欲 も得 られた。 これ は,指
導者 としての技能の最初 の段階であ り,
しか も最 も重要な第一歩であると考 える。 「ダンス観」を持 って,「指導者 になった ら一」の視点での感想 も増 し,自
分が体験 した学習活動 での楽 しさや充実感 を子 どもにも体験 させたい とす るものが多かった。 「人間が踊 るということは,生
きていることの一部だ と思 うようになった。人間 は生 まれ ると同 時 に踊 りを持 っていると思 う。 しか し今の僕 みたいに大学生 になって しまうと恥ずか しい と思 うよ うになって,自
分の好 きなように動 けない。僕 は小学校 で こんな ことをした覚 えがない。中学校 で も,
もちろん高校 で も。で も,小
学生 は本来動 き回 りたい年頃だ。何の抵抗 もな く動 きが表現で き るはずだ。 もし小学校で体育 を教 えることになった ら,ぜ
ひ,ダ
ンスもや りたい。」(男子) この感想か らも,指
導者 自身のダ ンス経験が,現
場でのダンス学習指導への意欲 に影響 すること がわか り,本
質的なダンスの体験が必要であるといえる。13)教
員養成課程 におけるダンス学習指導 昭和56年度小学校体育実技(2)では,学
生のダンス技能 をある程度伸ばす ことがで き,学
生 自身 に も達成感 を与 えることがで きた。 レポー トに記録 された活動内容 は,意
識化 された ものであ り,身
についた技能 ととらえられ る。 そして感想や活動の記録 には客観的な知識 としてのダンス技術 も書かれていた。 このダ ンス技術 は 再び自己評価の基準 としてフィー ドバ ックされ,そ
の結果,学
生 自身の達成感や充実感 をさらに深 めた と思われる。 このようなダ ンス技能や,指
導者 として,教
材研究への意欲 も持たせ ることがで きたの は,次
の ような学習者 の条件 と指導 目標や内容の設定 による。1. 2度
目のダ ンス学習で,学
習内容が予測で き,学
習 に溶 け込 みやすかった。2.教
材研究 を前提 にし,指
導者の日で客観視 させ なが ら学習に参加 させた。 この ことで も,個
人 的,感
情的な感想が減 った。3.各
時間毎の学習目標 を技能 の段 階で設定 し,学
習者 に明示 した。 これによ り,
自己の技能が確 認で き達成感 を味わ うの に役立 った。142
佐分利育代:小学校教員養成課程 におけるダンス教育4.活
動 内容や表現の手がか りを精選 し,明
示 した ことで,学
生が動 きに専念で き,動
きの感 じを 味 わえるまで活動で きた。 ダンスの本質 に触れ られた。5.グ
ループ活 動中心の学習で,過
緊張をつ くることな く,友
達 との技能の確かめ合 いがで き,楽
しさを共有で きた。 特に, 3の
学習 目標では,「まとめ られ る」すなわ ち作品創 りの段階 まで設定 したが,こ
の ことは 教員養成課程の学生 にとって,ダ
ンス技能 を伸 ばすのに大 いに役立 った と思われ る。 それは,他
の 表現手段 (言語や絵画等)で
はすでに,
まとめ,作
品化 して自己表現で きる学生 だか らである。一 端,全
身での運動 という手段 さえ与 えられ,身
体表現の本質 に触れれ,∴ 一足跳び に作 品探求が可 能であるし,そ
の欲求 も生 じる。 この ことは,第
1次の学習での克服群の出現の仕方で も予想 で き る。 そ して,自
主的な技能の開発 も期待 で き,こ
れが教材研究の意欲 にもなると考 えられ る。発達 途中の幼児や児童対象のダンスの初歩的指導 と,大
学生への初歩的指導 との大 きな相異点 はここに ある。 教員養成 におけるダンス学習のあ り方は,ダ
ンスの本質にふれ させ,教
材研究の意欲 を持たせ る こと,換
言すれば,ダ
ンス教育 その ものを通 じて「ダンス観」 を持たせ る方向で計画 され ることで ある。 ま とめ 小学校体育実技(1)での初めてのダ ンス学習で は,凹
さずか しさ」や否定的な感想 を持 った者が多 く いたが,小
学校体育実技121では,第
1次の学 習か ら,凹
さずか しさ」や「ダンスぎらい」を克月Rで き た。克服群 は,「第1次の「全身で動 く」 ことを目的 とした導入 と展開の段階で,
しか も,「創 る」 要素の含 まれた内容で最 も多 く出現 した9
小学校体育実技(2)の各学習活動への感想 の内容 は,そ
れぞれの段階での技能の特性 を持 って変化 していた。技能の段階の特性 は次のように まとめ られる。 第1次
.動
きの多様性 と個性の興味 第2次.イ
メージ と動 きの対応 第3次
.主
題 と作品の対応 そ して,「踊 る」「創 る」「観 る」の ダンスの技能 と共 に,指
導者 としての「ダンス観」も生 まれた。 今回の考察 を通 し,ダ
ンスでは初歩的学習者 であって も,ま
ず,指
導者 としての目的意識 を持た せ,で
きるだけ明確かつ客観的に,段
階毎の学習 目標や内容 を知識 として与 えなが ら,ダ
ンスの本 質に触れ させ,技
能 を自か ら確認 させるような指導が,教
員養成での在 り方であろうとの指針 を得 た。そ して,教
員養成 における,ダ
ンスの本質に触れ させ る指導 とは,ダ
ンス教育 その ものである と考えられる。限 られた時間であっても,身
体運動 とい う表現媒体 と出合 えた驚 きを与 え られたな らば,学
生 の表現欲求のレベルに応 じた自己表現 を実現 させ,充
実感 を与 える段階 まで活動 させた い。ダンス教育 その ものを通 し,ダ
ンス観 を持 たせ,指
導観 を持たせることが望 まれ る。 お わ りに小学校体育実猟
2)では
,指
導者 となる側の「恥ずかしさ」や「ダンスぎらい」を解決できるため
の手がかりをつかめ
,技
能 もある程度身についたと考えられる。しかし
,現
実は
,ダ
ンス観を持た
せるという理想論ではかたずかない。例えば
,体
育館を
1クラスで使用できる小学校が何校あるか
鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 25巻 ということである。合同体育や