はじめに 昔の「読み書きそろばん」は、今では「ワードとエクセル」で あったり、さらには、これからの時代は「英語とプログラミング」 に置き換えることもできます。 しかし、幕末から明治時代にかけて推し進められた富国強兵の 「読み・書き・算盤」とは別に、この文字に込められている意味を 考えてみると、 「読む」は… 相手の意図することを正確に理解すること 「書く」は… 相手が理解しやすいように伝え表現すること 「算盤」は… 数字の意味を把握し正しい答えを導き出すこと であるとも言えます。 仕事をしていくためには「技術力」を知識として習得しても、そ れを使いこなすための「思考力」が必要なのです。 本書のテーマである「エクセル」も単に操作手順を覚えるだけで なく、なぜその「考え」が必要なのかの前提がなければ、パソコン で作った綺麗な帳票も、それだけでは本当の「仕事」をしたとは言 えず、単なる「作業」でしかないこともあります。 とはいえ、エクセルどころかパソコンそのものが不得手だという 人にとってみれば、その帳票を作ることも至難の技でしょう。 ところで、就職活動において、会社の求人条件に事務職系であ
れば当たり前のように書かれている「必要なスキル:Word・Excel 必須」ですが、いったい、どこまでのスキルを求められているんで しょうか? 実際のところは、職種や会社によってまちまちで、何をもって して一般(平均)的なのかを定義することはできませんが、ざっ くりとした言い方をすれば、「セルの設定、グラフ作成、関数使用 (VLOOKUP・IF・DATA 関数 )」を、自己流ではなく参考書を見な くても使えるレベルということでしょうか…。 だからといって、その知識があるから、いきなり即戦力になるわ けではありません。会社で動く「数字」はまさに生き物であり、知 りたい「数字」は決められた手順だけでは把握仕切れないことが多 いものです。 「欲しい、正しい答え」を導き出すためには、状況を正確に「読 み」そして、ある程度の予測や目標を「書き」、それを「エクセル (算盤)」を使って効率よく検証していく、新たな手順が必要です。 本書では、パソコン嫌いやエクセル初心者の人が、速攻でエクセ ルを使いこなし、達人に見られるようになるための勘所について学 んでいただきます。 年下の部下に「○○の数字を出してくれ」と頼む際も、エクセル の知識と考え方が備わっていれば、頼まれた側も的確な「仕事」で 応えてくれるはずですから…。
本書は、Windows の Excel2016(図版の一部は Mac の Excel) を使用して解説しています。エクセルはバージョンによって操作方 法や機能が違います。予めご了承ください。
部下に舐められる前に
覚えておきたい
達人に見える超基本技
1 カーソルを右に動かす セルに入力し確定の[Enter]キーを押すと、カーソルは通 常下に移動しますが、右に動かしたいときもありますよね。そんな ときは、[Ta b]キーを押せばオッケーです。 また、カーソルの動く方向をあらかじめ設定しておくこともでき ます。 [Office ボタン]→[Excelのオプション] →[詳 細設定]の順にクリックしていき、[編集設定]の [Enter キーを押した後にセルを移動する方向]で 4 方向から設定したい 進み方を選びます 。 2 カーソルを縦と横方向に移動させる カーソルがあるセル位置で[Ctrl+スペース]を押すと列が、 [Shift+スペース]を押すと行が選択されます。 これは、上記「1」と似ていますが、カーソルは入力確定後に選 択された列または行の方向に進むようになります。 いちいち、[Enter]または[Ta b]を押し分けなくても、 入力作業がとても楽になります。ただし、行を選択する[Shift+スペース]を押しても、セ ル内にスペースが入力されてしまい、行が選択されないことがあり ます。これは、日本語入力システムのIMEがオンになっているた め、日本語入力が優先されてしまっている状態だからです。[半角 / 英数]などを押し、オフの状態にすれば大丈夫です。 3 カーソルが動くのは選択した範囲だけ 何も設定もしない標準のままだと、入力確定したカーソルは下に 移動します。例えば、上のような表の場合、F7の次はF8ではな くG3に移動して入力をしたほうがよい場合があります。そんなと きは、入力する範囲をあらかじめ選択しておけばオッケーです。 一旦選択した範囲をマウスでクリックしたり、矢印キーで移動さ せたりすると、選択した範囲が解除されてしまうので、注意してく ださい。カーソルは上図のような動きをします。テンキーだけで操 作できるので、入力作業の能率はグーンとあがります。
4 飛び飛びの空白だけを効率よく入力したい 確定していない数字は後から入力しようと空白のままにしたもの の、いちいちマウスでクリックして選択しながら入力するのは面倒 です。[Enter]を押したら、カーソルが空白のセルだけを移 動するように設定できれば便利ですよね。 方法は、入力したい範囲をマウスでドラッグして選択します。選 択された状態で[Cntrl+G]を押します。[ジャンプ]ダイ アログボックスが開くので、[セルの選択]をクリックします。 開いた[選択オプション]ボックス内の[空白セル]を選択し、 [OK]をクリックしてボックスを閉じます。 次頁の図にあるように、上図で選択されたなかから、空白のセル だけが選択された状態になりました。 せっかく「パソコン」を使っているわけですから、パソコンの機 能を使って、入力作業を少しでも効率よく処理し、仕事の時短を目 指してください。
5 オートフィルを使いこなす ① 数字の連番と日付の自動入力 下図左の「1」と入力されたセルの右下にマウスポインタを合わ せると[+]が表示されるので、左クリックをしながら、そのまま 連番を入力したい列または行にマウスをドラッグすれば連番が自動 的に入力されるはず…、なのに「1」が並んでしまいました。
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なに!騙された?ソフトのバグ(不具合)?ではありません。 上図にある[オートフィルオプション]のなかから[連続デー タ]を選択すれば連番に変更されます。また、前ページの[+]が 表示された状態で、右クリックをしながらマウスをドラッグし、ク リックを外し表示されたオプションメニューのなかから[連続デー タ]を選択でも連番が自動入力されます。
その他の連番の自動入力のやり方とは、最初に「1」「2」と入力 し、「1」と「2」の両方のセルを選択し、「2」の右下に[+]が表 示された状態で左クリックをしマウスをドラッグをすると、「1,2, 3,4,5,6,7,8,9,10…」となります。 また、日付も同様の方法で自動入力ができます。 ② もっと便利に使えるオートフィル機能 「①」は、数字や日付が 1 つずつ増えていく処理方法でしたが、 「1,3,5,7…」と 1 つ飛ばしで自動入力することもできます。 方法は、最初に「1」「3」と入力し、「1」と「3」の両方のセルを 選択し、「3」の右下に[+]が表示された状態で左クリックをす ると、「1,3,5,7,9…」となります。 日付も同様の考え方で、1 つ飛ばし、2 つ飛ばしなどができます。 また、「増える」だけでなく「減らす」自動入力も当然できます。
最初に「12 月 1 日」「11 月 30 日」と入力し、「12 月 1 日」「11 月 30 日」の両方のセルを選択し、「11 月 30 日」の右下に[+] が表示された状態で左クリックをしマウスをドラッグをすると、日 付が遡って入力されます。 細かい設定をする場合は、右クリックでマウスをドラッグし、表 示されたオプションメニューから[連続データの作成]を選択しま す。表示されたダイアログボックス内に、設定したい条件を入力し てください。 ③ 数字、日付以外の自動入力をしたい 「東京本社、大阪支社、福岡支社…」や「A商品、B商品、C商 品…」など、社内ではおきまりの並び順のものを毎度毎度入力する のは面倒です。すでに作ったファィルからコピー&ペーストで処理 をする、でもよいのですが、そのためだけにファィルをいちいち開 くのもなんだか手間です。また、おきまり…とは言っても、若干の 修正があった場合は、「移動」や「カット&ペースト」などの手作 業が増えてしまいます。カチャカチャとキーボードを叩く作業が忙 しいのは「一見、デキる」と見られがちですが、実は機能を十分に 使いこなせていないという場合もあります。 エクセルの能力を 100% 活用しないまでも、なるべく「アナロ グ発想」的な処理方法から脱却する努力をしていきましょう。 オリジナルの連続データを作る方法ですが、[Office ボタ ン]→[Excelのオプション] を開き、[詳細設定]→[ユー ザー設定リストの編集]を開きます。開いたダイアログボックスに、 データ入力し、[追加]ボタンをクリックし、[OK]で画面を閉じ ていきます。
また、このボックス内で、新たに入力してもよいですが、[イン ポート]手順によって、すでにエクセルのシートに入力されている ものを活用することもできます。 そもそもエクセルとは? 今さらですが、「エクセル」は表計算、大量のデータを 扱うのに適したソフトです。そして、「ワード」は文書を 作成するためのソフトです。 しかし、どういうわけか、エクセルで文書作成している 人をよく見かけます。文書作成にエクセルを使用してはダ メだということは無いのですが、それぞれのソフトには、 得意不得意があるものです。それぞれのソフトの機能を上 手く使いこなしたほうが、仕事の能率は確実に上がります。 いや、エクセルだけで十分、という頑な派の強い意見も あるでしょうが、「餅は餅屋」の言葉にあるように、エク セルのシートを紙代わりに使うのではなく、コンピュータ の機能を活用していくように考えていきましょう。 図版は Mac のエクセルです
仕事が格段に速くなり
ストレスを生まない
楽チン技
6 基本のショートカット ① 書式設定 ショートカットキー:[Ctrl+1] 数字をカンマ区切りにする、日付を西暦から和暦に変えるなど、 セル内の書式の変更は、かなりの頻度で登場します。② 直前までの同じ操作を繰り返す ショートカットキー:[F4] 隣り合わせのセルの場合なら、一括で選択して書式などの設定を すればよいことでも、セルが飛び飛びの場合に、数字を太字にした り、色をつけて塗りつぶしたりする場合は、何回もマウス操作を繰 り返す必要があります。神業的なスピードで処理できることを自慢 するより、[F4]で一発処理したほうがスマートです。 ③ セルを編集モードにする ショートカット:[F2] セルをダブルクリックすれば、カーソルが点滅して入力モードに なりますが、[F2]を押せば一発で切り替わります。 ④ 再計算をする ショートカット:[F9] エクセルのデフォルト(初期設定)では、[オートSUM]関数 は、「自動」になっているはずですが、自分では変更したつもりは ないのに、いつの間にか「手動」計算に切り替わっているなどの場 合は、[F9]を押せば一発で再計算をしてくれます。[数式]タブ →[計算方法の設定]で「自動」と「手動」を切り替えられます。
近代中小企業 Vol.51 No12 付録 エクセルの達人に見える 基本の小技 編者:中小企業経営研究会 発行者:芦澤貞春/発行所:中小企業経営研究会 〒 169-0075 東京都新宿区高田馬場 1-33-13 千年ビル 8F 株式会社データエージェント内 電話 03-5272-5425 ©2016 Dataagent ISBN 978-4-907196-90-5 C0034 定価:本体 500 円+税 乱丁本・落丁本はお取替えいたします。著作権から本書の一部あるいは全部について、 無断で転載・複製することは固く禁じられています。 編者 中小企業経営研究会 あとがき 高機能なエクセルですが、本書で紹介したエクセルの技はほんの 一握りです。自社や自身の仕事に合った、必要な機能を探して修得 し、仕事の能率アップを図る努力をしていきましょう。