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コラム おもしろ PM 道場 第 1 回 :2013 年 4 月 3 日 ( 水 ) はじめにはじめに ~ コラム執筆にあたって 25 歳の時にプロジェクトマネジメント (PM) に初めて出会った 当時は誰もプロジェクトマネージメントという言葉を知らなかった 上司から渡された英語の本を読んで理解し

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JILS----net net net net 連載コラム連載コラム連載コラム連載コラム

『おもしろPM道場』

『おもしろPM道場』

『おもしろPM道場』

『おもしろPM道場』

執筆者

執筆者

執筆者

執筆者

渡辺

渡辺

渡辺

渡辺

貢成

貢成

貢成

貢成

(PMAJ(((PMAJPMAJPMAJ))))

自己紹介 石油、原子力、宇宙開発、PM 協会と生涯を通じてプロジェクトマネジメント業務に従事。 現在も研究開発、講座、講演活動。 趣味はエッセイ、ゴルフ、カラオケと他人に迷惑をかける趣味。 現在は Facebook で小さな幸福論を展開、幸福の定義を“脳を喜ばせる”ことをしようと呼 びかけている。 職歴 日本プロジェクトマネジメントフォーラム事務局長 (1998.12~2005.9) 有人宇宙システム(株) 専務取締役 (1990.4~1998.6) 日揮(株)第一事業本部、原子力事業本部 (1967.4~1990.3) 石油精製建設(国内、ドミニカ、ブラジル) 原子力放射性廃棄物処理・処分施設建設

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- 2 - コラム「おもしろPM道場」 コラム「おもしろPM道場」 コラム「おもしろPM道場」 コラム「おもしろPM道場」 第 第 第 第 1111 回:回:回:回:20132013 年20132013年年年 4444 月月 3月月333 日日日日((((水水水水)))) 『 『 『 『はじめにはじめにはじめにはじめに』』』』~~~~コラムコラムコラムコラム執筆にあたって執筆にあたって執筆にあたって執筆にあたって 25歳の時にプロジェクトマネジメント(PM)に初めて出会った。当時は誰もプロジ ェクトマネージメントという言葉を知らなかった。上司から渡された英語の本を読んで理 解し、PMで一生食べていけると確信した。できるだけ多くのPMを経験しようと、石油、 原子力、宇宙と多くの業界でPMにチャレンジする。おかげで最も先端のPMに接するこ とができた。PMの経験を業界紙に8年間書き続けた。その実績が認められたのであろう。 日本で初めて発足したPM協会の初代事務局長を仰せつかり、ささやかだが社会貢献する ことができたと自負している。 この度はJILS-net にコラム執筆の機会を頂戴し、大変光栄に思っている。海外に進 出する企業が急激に増えている。海外に出るとその日から新しい仕事に取り組むことにな る。ここで新たなプロジェクトがスタートする。まずは簡単にPMの概要を勉強する。必 ず役に立ち。しかし、何事も原則だけでは通用しない。マネジャーには人間としての真の 実力が必要となる。人間系PMのノウハウもお伝えしたい。このノウハウはどの仕事にも 共通するノウハウである。〝仕事は面白くする″というのが私のモットーである。 第 第 第 第 2222 回回回回::::2013201320132013 年年年年 44 月44月月月 14141414 日日(日日(((水水水水)))) 『おもしろPM道場』の由来 『おもしろPM道場』の由来 『おもしろPM道場』の由来 『おもしろPM道場』の由来 このコラムはプロジェクトの経験者、未経験者ともに役に立つ筆をとっている。プロジ ェクトは通常新しいことをする際、プロジェクトチームをつくって仕事をする。PM は慣れ ないと難しい仕事の部類に入るかも知れない。難しい仕事を成功させても誰も褒めてくれ ない。しかし、失敗するとかも知れない。難しい仕事を成功させても誰も褒めてくれない。 しかし、失敗すると容赦のない非難が飛んでくる。顧客からの苦情には耐えられるが社内 の後ろからの非難は堪える。「やっちゃいられないよ」が実感だ。経験者すべての実感だが、 これが現実である。 そこで考えた。″PM(プロジェクト経験者すべての実感だが、これが現実である。そ こで考えた。″PM(プロジェクトマネジメント)とは選ばれて新しい仕事をさせてもら う人材の修行の場″なのだと。自らの修行の場を「道場」と名づけ、仕事を面白くするこ とを考え続けた。幸いなことに常にお客さんと接している。このお客さんから次も仕事を もらうためには今何をしなければならないか。最初に気づいたことは、人間は目標を高く すると、工夫することを考えるということ。考えて 考えて成功すると"脳"が喜んでくれる。 「人はごまかせても、自分の脳はごまかせない」ことを実感した。脳が喜ぶと仕事がます

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- 3 - ます面白くなる。お金をもらって好きな仕事ができるなんてハッピー! 第 第 第 第 3333 回回回回::::2013201320132013 年年年年 44 月44月月月 24242424 日日(日日(((水水水水)))) 『 『 『 『ト ラ ブ ル 処 理 は 顧 客 と 仲 間 か ら 信 頼 さ れ る 絶 好 の チ ャ ン スト ラ ブ ル 処 理 は 顧 客 と 仲 間 か ら 信 頼 さ れ る 絶 好 の チ ャ ン スト ラ ブ ル 処 理 は 顧 客 と 仲 間 か ら 信 頼 さ れ る 絶 好 の チ ャ ン スト ラ ブ ル 処 理 は 顧 客 と 仲 間 か ら 信 頼 さ れ る 絶 好 の チ ャ ン ス』』 』』 最初のお客様はベンチャー企業で規模が小さかった。人手不足であり、経験不足の渡辺 でも とプロジェクトを任された。小さいとはいえ化学プラントの設計・建設である。知ら ないことだらけで 仕方ないから聞いて、聞きまくって仕事をまとめて行った。幸い建設ま では順調だった。ところが、試運転に入るとバルブが作動しない。調べてみると バルブに 使った材料が使用条件に合わず不具合となっていることが分車中で待機、2時間ごとに開 閉の切り替わるタイミングに合わせ、開かないバルブをかった。不調のバルブの再製作を 決めたが、24時間運転の装置を止めることができない。腹を決めて装置付近に車を止め、 装置メーカーの技師と私が車中で待機、2時間ごとに開閉の切り替わるタイミングに合わ せ、開かないバルブを手動で開閉して運転だけは続けた。この状態が3ヶ月続き、私の結 婚式が次の週という時に、改造したバルブが届き、無事プラントの引渡しができた。神様 が かわいそうだ と思って助けてくれたのかもしれない。引渡しが終わり、顧客の課長さ んにご挨拶すると、「“トラブル処理が進まない” と部長から叱られた。渡辺さんに部長 の苦情を伝え、文句を言おうとすると、部長から叱られた。渡辺さんに部長の苦情を伝え、 文句を言おうとすると、何時もニコニコとして謝罪されるのでそれ以上苦情が云えなかっ た。隣のA社のプラント工事は目標を達成し、1週間の試運転で帰国できた。A社は素晴 らしい仕事をしたが、誰とも親しくなれなかった。表向き渡辺さんを褒めるわけにはいか ないが、トラブルに負けない不屈の精神が気に入った。次の機会があったら渡辺さんと仕 事をしたい」と言われた。『トラブルは顧客に迷惑をかけるが、対応の仕方では信頼を勝ち 取ることができる』と思った。 第 第 第 第 4444 回回回回:2013:2013 年:2013:2013年年年 5555 月月 20月月202020 日日日日((((月月月月)))) 『エンジニアリング会社の面白さ』 『エンジニアリング会社の面白さ』 『エンジニアリング会社の面白さ』 『エンジニアリング会社の面白さ』 本コラムでPMの話を書き始めたが、はたと気がついたことがある。エンジニアリング会 社のプロジェクトマネジャーは絶大な権限(含む発注権限)を持っていることである。こ こで日本人に比較的なじみの薄いエンジニアリング会社を紹介しておく。エンジ会社は基

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- 4 - 本的に工場を持たない。「モノ」や「コト(サービス)」を必要に応じて、世界中何処から でも調達している。プロジェクトの特徴を熟知しているのがプロマネ(プロジェクトマネジャー) だから、権限を持たされて当然と言える。人間にとって権限を持たされる仕事はやりがい がある。責任の大きさはその人の能力評価の証でもあるから、名誉なことである。言うな らば「憧れの地位」である。華やかな存在のプロマネは、日の当らない社員や、権限をも たない上司にとっては、羨望の対象でもある。エンジ会社の人事部は心優しく、プロマネ への妬みを和らげる策として、権限を持たない同期の社員と報酬を同一にしている。人事 部は「プロマネは人が羨む権限を持つが、一方責任と言う重たい義務を与えたことで誰も 苦情を言わない」 と主張した。この人事策は一般社員からも、会社役員からも支持され た。プロマネの勝負はプロマネを辞退した社員がいないことで人事の勝ちとなった。プロ マネは通常 エンジニアリング・マネジャー、調達マネジャー、建設マネジャーの3人のマ ネジャーを管理する。プロジェクトの全責任を背負って戦っていることを意味する。報酬 には恵まれているとは言い難い。しかし仕事に恵まれ、皆実力者に成長し、結果的に成功 している。 第 第 第 第 5555 回回回回: 2013: 2013 年: 2013: 2013年年年 5555 月月 27月月272727 日日日日((((月月月月)))) 『 初 め て の ブ ラ ジ ル 』 ~ リ オ の 空 港 で 出 迎 え の な い 旅 人 の 混 乱 『 初 め て の ブ ラ ジ ル 』 ~ リ オ の 空 港 で 出 迎 え の な い 旅 人 の 混 乱 『 初 め て の ブ ラ ジ ル 』 ~ リ オ の 空 港 で 出 迎 え の な い 旅 人 の 混 乱 『 初 め て の ブ ラ ジ ル 』 ~ リ オ の 空 港 で 出 迎 え の な い 旅 人 の 混 乱 エンジ会社の仕事は海外が8割である。私の 2番目の海外プロジェクトはブラジルのペト ロブラスという国営石油会社であった。はじめてブラジルへの短期出張が入った。ダンボ ール4個分の書類を持参して、客先のあるリオデジャネイロ空港に到着した。空港には出 迎えがいなかった。うかつにも自社の現地事務所の電話番号を控えてこなかった。空港で 困った顔をしていると、日本人が近寄って「何かお困りのようですが」と声をかけてくれ た。「出迎えがなく、困っています」。「どちらへ行かれますか」、「それがわからないのです」 と全く阿呆な返事をした。「それではお手伝いできませんね」と日本人。頭が真っ白で考え が浮かばない。30分ほど呆然としていた。喉が渇いたのでジュースを買って飲んだ。一 息つくと知恵が出た。入国手続きで必要な現地住所として機内の隣席の人から聞いたホテ ル名を思い出した。とにかく、そのホテルへ行こう。電話で予約し、ホテルへ着いた。荷 物を部屋に入れ、泊まるところが決まると、気持に余裕が生まれる。頭が回転する。荷物 がないから気楽である。先ずは顧客を訪問しようと即座に決断した。ペトロブラス社に行 き、担当官に面会申し込む。担当官が当社の事務所に連絡してくれた。「君の会社の社員は 全員イグアスの滝見学で留守だよ。ホテルに連絡するよう依頼しておいたよ」。今のように 携帯やインターネットがあれば困らなかった不便な時代の海外で、最も困った懐かしい思 い出である。しかし、海外プロジェクトでは似たような多くの失敗を重ねてきた。

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- 5 - 第 第 第 第 6666 回回回回: 2013: 2013 年: 2013: 2013年年年 6666 月月 11月月111111 日日日日((((火火火火)))) 『 地 域 活 動 家 の た め の 『 地 域 活 動 家 の た め の 『 地 域 活 動 家 の た め の 『 地 域 活 動 家 の た め の PMPMPMPM 講 座 』( 前 篇 ) ~ 千 葉 県 生 涯 大 学 校講 座 』( 前 篇 ) ~ 千 葉 県 生 涯 大 学 校講 座 』( 前 篇 ) ~ 千 葉 県 生 涯 大 学 校講 座 』( 前 篇 ) ~ 千 葉 県 生 涯 大 学 校 最近はプロジェクトマネジーメントを知らない人たちに PM を学びたいという頼みが多く なってきた。PM 関係者としてはうれしい傾向である。 本年3月に千葉県生涯大学校から日本 PM 協会へ講師派遣の依頼があった。内容は「地域 活動家のための PM」、特にリーダーのための PM とリーダーシップ育成教育である。受講者 は60歳以上男女合計102名、皆さん第一級の人生経験者である。 多くの講座は正解のある問題を用意し、ワークショップを行い、答を誘導する体験型で分 かり易さを売り物にしている。だが、大胆に言わせてもらうならば世の中に正解はない。 社会環境、或いはビジネス環境の将来を読み正解らしきものをきめるに過ぎない。 私の講座は「考える PM」である。私の講座は言葉の定義から出発する。 ② 問題とは何か定義せよ」。「できれば絵で表現せよ」と示唆する ②「課題とは何か」 ③ マネージメント・サイクルとは何か」 ④ プロジェクトマネージメントとは何か」 をグループで考えてもらう。 ①~③まではグループに絵を描いて貰う。そして、グループによって答が違うことを理解 させる。④も議論してもらうが、あえて答を示さない。グループで考えてもらった後に講 師が説明をすると、受講者の多くはPMの本質を理解する。「考える PM」は好評である。 受講生達は会社をリタイアし、既に地域活動を始めている。彼らは「会社人間から脱皮し、 頭を切り替えないと地域活動はできない」ことの経験を話してくれた。彼らが正解のない 問題に取り組んで苦労していることが私にも良くわかった。 私にとって驚きでもあり勉強にもなった。地域活動家である受講生は明るく、真剣、かつ 的確な質問を発した。私の冗談にはよく笑い、私の話を吸収してくれる。講師としては実 に楽しい 2 日間の講座であった。(続く) 第7回 第7回 第7回 第7回: 2013: 2013: 2013: 2013 年年年年 6666 月月月月 1313 日1313日日日((((木木木木)))) 『 地 域 活 動 家 の た め の 『 地 域 活 動 家 の た め の 『 地 域 活 動 家 の た め の 『 地 域 活 動 家 の た め の PMPMPMPM 講 座 』( 後 篇 )講 座 』( 後 篇 )講 座 』( 後 篇 ) ~ 「 モ ノ づ く り 」講 座 』( 後 篇 )~ 「 モ ノ づ く り 」~ 「 モ ノ づ く り 」~ 「 モ ノ づ く り 」 か ら 「 コ ト づ く り 」か ら 「 コ ト づ く り 」か ら 「 コ ト づ く り 」か ら 「 コ ト づ く り 」 へ の 変 換 へ の 変 換 へ の 変 換 へ の 変 換 かねてから地域という私たちの生活と直結するコミュニティーをPMの視点で眺めて みたかった。地域コミュニティーは地方自治体が計画し、行政の一部を住民主導で運用を 委託するための組織である。自治体の計画するコミュニティー活動は住民が求めているも のとは異なるため、次第に活動の活力がなくなる。 例えば団地内の公園管理である。公園利用の規則は自治体の都合に合わせてつくられて いる。住民の満足を考えたものではない。 公園はあるが、住民は規則が面倒なので利用

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- 6 - しなくなる。利用されない理由はそれだけではない。公園をモノとして取り扱っているか らだ。施設だけ立派な公園は住民に満足を与えない。「モノづくり」を進めた結果、維持費 ばかり嵩み自治体は悲鳴を上げている。そこで自治体も反省するようになった。「モノづく り」をやめて、利用者が満足する『「コト」とは何か』と考え、住民の活動家に「コトづく り」を依頼するようになった。 生涯大学校の受講者の地域活動家が「会社人間を脱皮し、頭をきりかえないと地域活動 はできない」と語ったのは、会社でやってきた「モノづくり」の発想だけでは必要条件は 満たせても、十分条件にはならないことに気がついたからだ。「コトづくり」も含めて発想 に切り替えろという示唆かもしれない。 「モノづくり:技術」世界一の日本製品が新興国で敗退している。この敗退に対し、会社 人間は十分な手が打てていない。そして暗い顔をしている。地域活動家は「会社人間」か ら脱皮し、新しいコミュニティーをつくりながら、明るく楽しい顔をしている。 「モノ づくり」の世界でも変化が見えてきた。最近東京大学のモノづくり研究所で「コトづくり オープンイノベーション」という公開セッションが開かれた。時代の変化を取り扱うのも PMの役割である。 (7-1)千葉県生涯大学校の校歌斉唱風景 第 第 第 第 8888 回回回回: 2013: 2013 年: 2013: 2013年年年 6666 月月 25月月252525 日日日日((((火火火火)))) おもしろPM道場~時代は“モノづくり”から“コトづく”」へ』(1 おもしろPM道場~時代は“モノづくり”から“コトづく”」へ』(1 おもしろPM道場~時代は“モノづくり”から“コトづく”」へ』(1 おもしろPM道場~時代は“モノづくり”から“コトづく”」へ』(1)))) 『 『 『 『コトづくりサムスンの勝利コトづくりサムスンの勝利コトづくりサムスンの勝利コトづくりサムスンの勝利』』』』 東京大学大学院経済学科ものづくり経営研究センターで、「コトづくり」オープンイノベ ーション(OI)」推進協会による公開セッションがあった。ものづくり研究所でコトづくり 研究会が開かれたのが面白かったので、今回のタイトルをコトづくりとした。 「コトづくり」としたのはもう一つ訳がある。日本は「モノづくり日本:技術」を長年 売り物にし、多くの家電・携帯・液晶等を開発してきた。日本企業は 自社の製品は質が高 いから世界中で売れる と信じていが、新市場である新興国で売れなかった。売りまくった のは賢いサムスンだった。 サムスンの会長は世界中の最先端の知識を吸収しているが、とりわけ日本を研究してい る。特に松下幸之助の研究だ。二番手商法の実践者である。 技術開発は時間と金がかかる

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- 7 - から、「モノづくり」の基本は日本に任せようと決めた。先進国市場では日本製品にかなわ ないから新興国で製品を売ろうと決めた。 製品は日本製品をベースに、不要な機能を取 り外し、安くてもよい部品は市販品を採用し、重要部分は日本製の部品を購入して組み立 て、最後に現地ニーズを追加した。 これらの努力が功を奏して独占的に現地の市場で勝利した。言葉を変えると日本は「モ ノづくり」に勝ったが、顧客関係性構築という「コトづくり」に敗北したと言える。 第 第 第 第 9999 回回回回: 2013: 2013 年: 2013: 2013年年年 7777 月月 9月月999 日日日日((((火火火火)))) おもしろPM おもしろPM おもしろPM おもしろPM 道場~時代は“モノづくり”から“コトづくり”道場~時代は“モノづくり”から“コトづくり”道場~時代は“モノづくり”から“コトづくり”道場~時代は“モノづくり”から“コトづくり”へ』へ』へ』へ』(2)(2)(2)(2) 『“コトづくり” 『“コトづくり” 『“コトづくり” 『“コトづくり”のエンジニアリング企業のエンジニアリング企業のエンジニアリング企業のエンジニアリング企業』』』』 製造業の海外市場での苦戦に比較して、エンジニアリング企業は海外戦略が功を奏して 元気である。今回はその秘密を紹介する。エンジニアリング会社はプラント輸出で世界一 の成果をあげている。現在は 1 兆円以上のプラントを一括定額金額方式(リスク受注者負 担)で受注している。エンジニアリング会社がここまで来るには多くの失敗を糧に体制を 整備してきたからである。「モノづくり」でスタートしたエンジニアリング会社は「コトづ くり」の重要性を認識した。 その運営体制のポイントは以下の3点に集約される。 ① すべての受注案件はプロジェクト体制で業務遂行する。 ② そしてすべてのプロジェクトは「モノづくり」を担当するエンジニアリング機能組 織と「コトづくり」を担当するPM組織のマトリックス型方式で実施する。 ③ ③プロジェクト遂行の「責任と権限」をプロジェクトマネジャーに与える。これは 過去の経験から リスクを含む情況の変化、緊急時対策を速やかに処理させるための 最適な手段として採用された。 プラント建設では組織間のインターフェースの情報伝達が最も難しい。この情報を取り 扱うのがPMの大きな役割である。「モノ」以前に「コト」があり、「コト」を扱うプロジ ェクトマネジャーにすべての権限を与えている。生きている情報を把握している人間以外 に危険なプロジェクトの決断ができないからである。 9-1.石油精製プラント.jpeg

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- 8 - エンジニアリング企業のマトリクス型組織  機能型組織とプロジェクト型組織の特徴を併せ持つ  部門調整型、作業分担型、リソースプール型等プロジェクトマネジャーと 機能別部門の長の権限・調整の方法によって様々な形態がある。 事業本部長 開発企画部 開発1部 開発2部 品質管理部 調査課 企画課 一課 二課 一課 二課 検査課 規格課 プロジェクト マネジャーX プロジェクト マネジャーZ プロジェクト マネジャーY プロジェクト 担当部門長

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マトリクス構造 9-2.プラント建設はマトリックス組織で開発.ppt 第 第 第 第 10101010 回回回回 2013201320132013 年年 7年年777 月月月月 23232323 日(火)掲載日(火)掲載日(火)掲載日(火)掲載 おもしろPM道場~ おもしろPM道場~ おもしろPM道場~ おもしろPM道場~PMPMPM は旅から始まるPMは旅から始まるは旅から始まるは旅から始まる(2)(2)(2)(2) 『旅の試練は人に勇気を与える』 『旅の試練は人に勇気を与える』 『旅の試練は人に勇気を与える』 『旅の試練は人に勇気を与える』 あなたは初めての海外旅行を一人でしたことがあるだろうか。未知の経験をするときの 怖さは経験しないと分からない。しかし、無事帰国できると、良かった経験だけが思い出 され、また旅をしたくなる。 プロジェクトも未経験の旅と同様で未知への挑戦である。特に海外プロジェクトは企業にとって も、個人にとっても未知の領域への挑戦の場である。未知を面白いと感じる人が『おもし ろ PM 道場』の門下生だ。海外プロジェクトはことさら未知なことが多い。未知が面白いなんて 本当はウソだ。未知との遭遇で、目から鱗が落ちたときに面白さを感じる。 PM 道場での旅の話は目から鱗が落ちる前の恐怖の物語でもある。 最初の海外出張がオ ランダだった。同行の先輩は海外経験者で、勉強のため一人旅を勧められた。英語の勉強 と思って土日の休みを利用して、一人旅でパリ行きをトライした。パリ北駅に着き、ねぐ らの確保から始めたが、簡単ではない。地図を見たらシャンゼリゼに JAL の店がある。 日本語で宿を紹介してもらった。観光に関する準備をしてなかったので、夜の観光バス と、昼間の観光バスで最初のパリを楽しんだ。楽しんだはウソで、指定された場所で、指 定されたバスに乗れるかと心配の連続で、疲れる旅であった。ただ、翌日の昼の観光バス では余裕ができ、隣のレバノン人とつたない会話で旅らしい気ができた。 バスには綺麗な女性がおり、隣に座りたいなと思っても日本人である。見物を終えてバ スに戻ると例のレバノン人はその女性の隣に座り、楽しげに会話をしている。「あの程度の

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- 9 - 英語力で行動するの」と思ったが、あれこそ男の本懐だと思った。 日本人はつまらないことに気を使って損をしている。最初の目から鱗は『男は勇気を持 てば、何とかなる』である。 第 第 第 第 11111111 回回回回 2013201320132013 年年 8年年888 月月月月 8888 日(木)掲載日(木)掲載日(木)掲載日(木)掲載 おもしろPM道 おもしろPM道 おもしろPM道 おもしろPM道場~場~場~PM場~PMPM は旅から始まるPMは旅から始まるは旅から始まるは旅から始まる(2)(2)(2)(2) 『劣等感は自分の勝手な思い込み』 『劣等感は自分の勝手な思い込み』 『劣等感は自分の勝手な思い込み』 『劣等感は自分の勝手な思い込み』 最初の海外出張は昭和46年所得倍増論の最中で、貧乏から中流への切り替えの時期であ った。日本人全員が外国人に対し、劣等感を持っていた。それは豊かさ、語学力、魅力あ る外人女性へあこがれがあったからだ。 最初の外国の大都市はオランダのアムステルダムであった。中世が現代に出現した町と思った。 街中を歩き回った。私の興味は通行人の観察である。感想を申し上げる。オランダの女性 は大柄である。そして美人が少ないと思った。珍しいから行き交う女性を見つめると、必 ず微笑が返ってきた。気のいい女の子達である。「日本の街中で歩いている普通の女性と全 く変わらない」。全く当たり前のことである。私があこがれていた欧米の女性は銀幕の中の 特殊な女性であったことに気がついた。これで劣等観が薄れた。 出張の最後日は羽田空港である。当時の東京の空は公害で薄汚れていた。上空から見ると その汚れが目立った。そしてオランダの綺麗な空と比較した。この時私は劣等感の薄れた 目で眺めていた。この大気汚染を見て日本の成長を確信した。日本は公害を乗り越え、世 界に羽ばたくと思った。 グローバル企業の仕事の進め方を知る機会があった。シェルはオイルメジャーである。彼 らの仕事の進め方と、日本の顧客の進め方に大きな隔たりがあった。シェルの仕事では契 約書とその付属書に書かれた原理・原則があり、これに忠実だと提案を了承してくれた。 それと比較し、日本の顧客は目先の問題を大切にした。両者の関係者の発想を比較し、プ ロとアマの違いを感じた。そして自分にはシェル方式がやりやすいと感じた。それ以降私 はプロ意識を持ち、自分の考えをぶつけたが、すべてシェルに通用し、仕事をスムーズに 進めることが出来た。英語が得意でないのに劣等感が薄れた。 欧米人の仕事の進め方と、日本企業の顧客の仕事の進め方の差は現在も変わっていない。 国内だけで仕事をしていた人は海外に出ない限り、日本的発想から抜け出せないと感じて いる。海外に出て、経験を積めば、日本的商習慣を卒業できる。発想の転換が出来れば日 本は再浮上するだろう。

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- 10 - 第 第 第 第 12121212 回回回回 2013201320132013 年年 8年年888 月月月月 26262626 日(木)掲載日(木)掲載日(木)掲載日(木)掲載 おもしろPM道場~ おもしろPM道場~ おもしろPM道場~ おもしろPM道場~PMPMPM とはPMとはとはとは(その1(その1(その1)(その1))) 『プロジェクト・マネージメントとは何か』 『プロジェクト・マネージメントとは何か』 『プロジェクト・マネージメントとは何か』 『プロジェクト・マネージメントとは何か』 このコラムは4月に始めて半年近くになるが、PM についてほとんど説明してこなかった。 これからも継続して紹介する PM の話を理解していただくために、今月は “PMとは何か” を分かりやすく前篇、後編にわけて解説することにする。 前篇では(1)PM に登場する用語の定義を明確にする。そして(2)プロジェクトの基 本的な属性(性質)を示すことにする。 (1)【ロジェクト】とは・・・経営者の使命をうけて、資源、状況などの種々の制約条 件の中で、特定期間内に目標を達成させる価値創造事業である。「プロジェクトマネジャ ー」(プロマネと呼ぶ)の最初でかつもっとも重要な仕事はプロジェクトの「使命・目的・ 目標」を定めること。(100文字程度の簡潔な文章) そしてプロジェクト関係者に徹 底することである。ここでいう「使命」とは「与えられた任務」のこと。「目的」とは「何 のためにその任務を実施するのか」という理由、そして「目標」とはプロジェクトの到達 する最終到達のゴールを意味する。例えばこのプロジェクトは「何時までに、いくら以内 で、何が出来たら成功か」と具体的に示すことである。 (2)【プロジェクトの基本属性】とは・・・プロジェクトが持つ基本的な性質を明確に する視点である。 ①個別性:個々のプロジェクトにも相違点がある。その相違点を明確に定めること。 ②有期性:プロジェクトは「始まり」があり、「終わり」がある。「始まり」は仕事の仕 組みを一から作ること。「終わり」は定められた「使命・目的・目標」を完遂すること。 ことのことはプロジェクトの全責任がプロマネにかかってくることを意味する。 ③不確実性:プロジェクトは常に荒海に航海するのと同じで、危険に遭遇しながら仕事を 終わらせることが義務づけられている。多くの関係者が参加するプロジェクトは全員が正 統派PMを正しく理解していることが求められている。 後編は具体的な事例を通して、PM を理解していただく所存である。(続く) 第 第 第 第 13131313 回回回回 2013201320132013 年年 9年年999 月月月月 11111111 日(木)掲載日(木)掲載日(木)掲載日(木)掲載 おもしろPM道場~ おもしろPM道場~ おもしろPM道場~ おもしろPM道場~PMPMPM とは(その2PMとは(その2とは(その2とは(その2)))) 『ロジスティック領域で 『ロジスティック領域で 『ロジスティック領域で 『ロジスティック領域で PMPMPMPM は必須素養である!』は必須素養である!』は必須素養である!』 は必須素養である!』 今回は PM の実践事例を紹介する。今話題のサービス主導のビジネスはすべてロジスティ クスが鍵となっている。 この事例は現在超繁栄している「道の駅」の店長が経験したプロジェクトの話である。店 長は「道の駅」を繁栄させる目的のプロジェクト「顧客が喜ぶ地場産直システムの構築」

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- 11 - を任された。地場産直システムの鍵は産地と店舗を結ぶサプライチェーンの構築である。 店長は何をするのを考えたが、なかなか良いアイデアが出ない。そこで PM のガイドブッ クを見た。そこには“リーダーの最初の仕事はプロジェクトの「使命・目的・目標」を策 定することである”と書いてある。自分に任されたプロジェクトの「使命」とは何か。安 くてよい商品を集めて売ることか。これは当たり前すぎて本プロジェクトの使命とは思え ない。考えに考えた結果「『道の駅』に関係する 全ての人の役に立つ、そして喜ぶビジネ スシステムを創造することが使命である」という答えに行き着いた。 人が喜ぶ最高のやり方は 当事者を“その気にさせること(モティベーション)”ではな いか。店長のこの素晴らしい着想はその後実現した。現在はこの「道の駅」には開店前か ら顧客の行列ができる人気店である。水揚げされたばかりの新鮮な地元の魚や、朝採れた 季節の野菜が店頭に出されるからである。因みに「道の駅」も顧客には地元以外からくる 観光客も多い。 このケースにおいては、PM の成功のポイントは何だろうか。店長が優れていたのは「生 産者(商品提供者)」、「顧客」、「店長」の道の駅に関与するすべての関係者を主役と したことだ。そして実現のために3つのモチベーションを考え出したことだ。 まず「生産者」には自ら値段を決めさせること。これは商品の店頭価格を自らが決める責 任を負うため、生産者に“お客様はこの値段で買ってくれるかな”という緊張感をあたえ ることになる。生産者がお客様を考える。これが第一のモチベーションである。さらに農 協に出すより高く出荷できるというメリットも与えている。そして顧客が喜ぶ顔を実感し、 共に喜びを分かち合うというモチベーションが生まれる。 次に「顧客」にはどのようなモチベーションを与えたのであろうか。第一は市場にない新 鮮な良い商品が購入できること。しかも安く買える。そして最も大切なのは、新鮮で、地 元でしか手に入らない珍しいもの、美味しいものが食べられる という喜びである。生きて いる喜び の実感があり、これが来店する最大のモチベーションとなる。 最後に「店長」にはどのようなモチベーションがあるか。店を任された店長としての責任 を果たす喜び、困難を乗り切ったときの喜び、関係者全員から喜ばれるというモチベーシ ョンである。プロジェクト・マネジメントはこのように新しいビジネスを生み出し、多く の人々に喜びを与える機能がある。金をかけなくても大きなビジネスを生むことが出来る。 常に頭を柔らかくし、習慣の壁を破ると、こんなに素晴らしいことができる。頭を使った 成果は、他の努力より生きがいと喜びと誇りを感じさせてくれる。 ビジネス・イノベーションはサプライチェーンの価値創造から生まれる。 第 第 第 第 14141414 回回回回 2013201320132013 年年 10年年101010 月月月月 3333 日(木)掲載日(木)掲載日(木)掲載日(木)掲載 おもしろPM道場~ おもしろPM道場~ おもしろPM道場~ おもしろPM道場~PMPMPM とは(そのPMとは(そのとは(そのとは(その 3333)))) 『 『 『 『PMPMPMPM の鍵は体系化された手法の鍵は体系化された手法の鍵は体系化された手法 WBS の鍵は体系化された手法WBS WBS WBS 』』』』

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- 12 - 前報では PM はロジスティックス領域で必須素養であるとした。そして PM はプロジェク トの「使命・目的・目標」を明確にすることからスタートすることを紹介した。 使命”とは与えられた任務のこと、 “目的”とは“何のためにその任務を果たすのか、 そしてプロジェクトの“目標”とはプロジェクトの最終到達ゴールのことである、と説明 した。 しかしこの説明だけでは、プロジェクトの目標が具体的どのようなものか誰もわか らない。 そこで読者の皆さんに訊ねる。 プロジェクトの目標、すなわち最終到達ゴールを自分なりの理解で書き出してみて欲しい。 そして書き終わったら以下の4視点と対比して欲しい。 ② つまでにこのプロジェクトを終了させるか。(完成の期日を定める) ② プロジェクトの予算内で終了させる。(プロジェクトの費用を決める) ③決められた範囲内の仕事を全部終了させる。(仕事の範囲を定義する) ④果物はすべて決められた品質でつくられている。(仕事の品質を保証する) 皆さんはこの答を見て「なんだ、常識的なことじゃないか」と思われたことだろう。予 め用意された手順に従う(この例では①~④に沿って考える)ことでプロジェクトの最終 到達ゴールが定められるのだ。 PM は決められた手順を経ることで極めて常識的になる。PM を支えている基本的な考え 方・手法がある。WBS(Work Breakdown Structure)* という。プロジェクトで決められた 範囲内の仕事を法則にしたがって、もれなく、ダブリなく全部書き上げる。WBS は米国で 原子力開発、宇宙開発等の大型研究開発プロジェクトを時間内、予算内に終了させるため に開発した手法であるが、その後すべての PM に採用されるようになった。PM を成功させ る最も大事な手法である。

次回は WBS の特徴について紹介をしよう。

*Work Breakdown Structure(WBS)とは、プロジェクトマネジメントで計画を立てる際に 用いられる手法の一つで、プロジェクト全体を細かい作業に分割した構成図。「作業分割 構成」「作業分解図」などとも呼ばれる。 第 第 第 第 15151515 回回回回 2013201320132013 年年 10年年101010 月月月月 22222222 日(火)掲載日(火)掲載日(火)掲載日(火)掲載 おもしろPM道場~ おもしろPM道場~ おもしろPM道場~ おもしろPM道場~PMPMPM とは(そのPMとは(そのとは(そのとは(その『『『『PMPM のプロはPMPMのプロはのプロはのプロは WBSWBSWBSWBS を日常業務にも効果的に活用する』を日常業務にも効果的に活用する』を日常業務にも効果的に活用する』を日常業務にも効果的に活用する』 WBS の作り方は PM の標準ガイドブックに書かれているので、それを参考に自分のプロジ ェクトの WBS を関係者数人で策定することをお勧めする。なお、「WBS の PM 概念図」を添 付したので参照されたい。 米国国防省がこの手法が発表されるや、エンジニアリング会社は業界としてのプロジェク トチーム編成、標準的な大型エンジヤリングプロジェクト向きの WBS を完成させた。この WBS をベースに工程表の作成、進捗報告書の作成をすると海外プロジェクトの顧客から大

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- 13 - いに信頼された。また、購入先企業に WBS ベースによるプロジェクト管理を要求すること で、他社の管理が容易になる。海外に進出する日本企業は世界標準として使われている PM 手法を知らないと信頼されない。 プロジェクトがスタートすると、関係者が集まり、手分けして WBS を作ってみる。お互い に持ち寄ることで仕事の抜けが見えてくる。いろいろな実態が見え、さらに問題点、リスク などが見てくる。関係者の発想の違いが分かり、それを調整することで意思疎通が図れる。 国内の小さなプロジェクトでも「使命・目的・目標」を書き、関係者で WBS を書き上げると、 メンバー間の理解が深まり、意識しないでもコミュニケーションがよくなる。 PM の手法は型どおりの使い方でなくても、大いに役に立つので、学んでおくとあなたの マネジメント能力があがり、周囲からの信頼感が増すことは間違いない。 日本人は計画に時間をとられることより目先の仕事を手掛けることが好きで、まず走り出 してしまう。残念ながらこのようなやり方では、プロジェクトは明らかに失敗する。“段 取り八分”という教訓がある。成功の80%は段取りで決まるという意味だ。 プロジェ クト関係者の行動を見て、電話の長い人、残業の多い人を私は評価しない。 段取り(計画)八分の人は、電話する内容を整理してから電話する。電話は短いが意図は 相手によく伝わる。整理しないで電話をする人は、電話の中で議論し、話題がどんどん変 化するから本人の意図が相手に伝わり難い。毎日の業務を計画(WBS)してから行動するタ イプの人は、時間の配分が的確で残業が少なくなる。 ④WPと責任 分担表の作成 ③組織編成 ⑥工程管理図の 作成と実施 ⑤作業手順図の作成 A111 PM PJE 誰が、何を? ②役務範囲の明確化 (WBSの設定) 誰が? 何を? いつまでに? どのように? ABC-PJ 予算 責任分担表 スケジュール 作業手順図 責任者(部署) 役務範囲 (スコープ の定義) ⑧進捗管理の 実施 プロジェクト計画書 ①プロジェクトの 使命・目的・目標 の確認 (使命記述書) A112 A121 A122 A131 A132

A110 A120 A130

EM PPM CM A100 予算 管理表 ⑦予算管理の 実施 WBSを活用したプロジェクト管理概念図 『WBSはプロジェクトの重要な管理のすべてを支配する立役者』 第 第 第 第 16161616 回回回回 2013201320132013 年年 11年年111111 月月月月 6666 日(火)掲載日(火)掲載日(火)掲載日(火)掲載 おもしろ おもしろ おもしろ おもしろ PMPMPMPM 道場~道場~道場~道場~PMPMPMPM は強力な武器になるは強力な武器になるは強力な武器になるは強力な武器になる 事例1.『新製品開発のエースに変身したポストドクター』 事例1.『新製品開発のエースに変身したポストドクター』 事例1.『新製品開発のエースに変身したポストドクター』 事例1.『新製品開発のエースに変身したポストドクター』 プロジェクトマネージメントを学んで非常によろこばれた事例を 2 件紹介しよう。 最初の事例は東北大学のポストドクター(博士号を取得したが就職できない人)のケース

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- 14 - である。 文部科学省は日本の技術力強化のため、ドクター10,000人を新しく誕生させた。と ころが大学の就業(教職)枠は定員があり、多くのドクターは就職できないという現実に 遭遇した。日本では海外と異なり、ドクターに対する企業の評価は、“歳の割りに役に立た ない” というモノであった。 文部科学省は MOT(Management of Technology/技術経営) を教えるとよかろうと考え、 全国の大学、研究所に MOT 講座の設置を要請した。これに応じた上位8校の MOT 講座に補 助金を出すことになった。 東北大学は“技術経営塾”というコンセプトの「高度科学技術経営講座」を提案した。実 務で役立つように実践的な次の 3 講座で構成されていた。 ① 研究開発マネージメント講座(研究開発の進め方とワークショップ) ② 人間力理解講座(コミュニケーションと人に対する信頼感をもたせる講義と実践) ③プロジェクトマネージメント/PM(多くの人々を使って目的を達成させる能力の開発) そして、「プロジェクトマネージメント講座」を渡辺が担当ことになった。1年目 の受講生は「PM は役に立つ」という実感を持てなかったようだ。技術経営塾の卒業 生の一人が、幸い中堅企業に課長として就職することになった。 就職先企業から与えられた最初の仕事が「新製品開発プロジェクト」の責任者であ る。何をしたら良いか非常に困ったが、PM 講座で学んだことを思い出した。PM のテ キストを見ると、〝プロジェクトリーダーが最初に何をすべきか”が書かれていた。こう して経営技術塾を卒業したポストドクターは初仕事に成功した。 後日 技術経営塾長を訪問し、後輩に〝塾では「PM だけは勉強しておけ」と伝えて欲しい” と語ったと聞いた。 2年目の PM 講座には〝PM は役にたつ” との先輩の話を聞いて多くのドクターがこの講 座に参加、PM 講座は大いに活性化した。このエピソードは NHK「クローズアップ現代」で 取り上げられている。 その効果もあって、企業のインターンシップでは、PM 講座の受講生は持てる力を発揮し 〝実践に役立つドクター〝との評価を得た。 それ以降東北大のポストドクターは全員が就職ができ、東北大の技術経営塾は「ブランド」 となった。技術経営塾は東北大学では継承され、塾に入るのが困難という人気コースとな っている。

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- 15 - 16-①東北大学 MOT プロジェクトマネージメント講座 No.17 No.17 No.17 No.17 2013201320132013 年年年年 1111 月1111月月月 19191919 日日日 日 おもしろPM道場~ おもしろPM道場~ おもしろPM道場~ おもしろPM道場~PMPMPMPM は強力な武器になるは強力な武器になるは強力な武器になるは強力な武器になる 事例2.『 事例2.『 事例2.『 事例2.『PMPMPMPM が國際宇宙ステーションの成功を支える』が國際宇宙ステーションの成功を支える』が國際宇宙ステーションの成功を支える』が國際宇宙ステーションの成功を支える』 國際宇宙ステーションプログラムは皆さんもよくご存知だと思う。米国が中心となって欧 州、カナダ、日本が参加、人間滞在型のステーションを宇宙に上げ、宇宙・無重力環境を 利用した実験をする計画である。冷戦解消後にはロシアも参画した。 日本における國際宇宙ステーション計画は旧宇宙開発事業団(NASDA)/(2003 年に宇宙航 空開発機構(JAXA) に移行)が実施し、エンジニアリング業務は宇宙関連各社に発注して いた。NASDA はこの巨大プログラムを効率を良く遂行するため関連民間企業 60 社に新会社 有人宇宙システム開発(株)(JAMSS)を、1990 年に設立させた。そして新会社には出資企 業のエンジニアを集めた。 エンジニアリング業界を代表して、日揮社定年2年前の私が新会社の役員として入社する ことになった。しかしそれまで原子力関連の仕事をしていた私には宇宙開発は全くの素人 である。NASDA から出向された A 課長から、月1回 宇宙に関するレクチャーを受けること で未知の宇宙工学を懸命に学んだ。さて、米国 NASA の宇宙開発のプログラムは2つのマネ ージメント手法で運営している。 第 1 がシステムエンジニアリング(SE)、第 2 がプロジェクトマネジメント(PM)である。 SE は①構想計画②設計・開発とテスト③宇宙における運用 までの全工程をカバーしてい る。米国NASAは多数の専門家を集めエンジニアリング業務、開発業務、テストの打ち 上げまでの全業務を行うが、各部門は独立して業務を行っている。そこで各部門が実施す る業務を統括し、すべてを手順よく実行させているのがNASAの「プログラムマネジメ ント*」である。 1998 年に(財)エンジニアリング振興協会(ENAA)は、PM を普及させる機関とし て「日本プロジェクトマネジメントフォーラム**」を設立した。この時、私は JAMSS での

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- 16 - 宇宙ステーション計画の仕事を終えていた。ENAAから求められて初代の事務局長とな った。 事務局長としての最初の仕事は PM の教育講座の開設である。因みに NASA は SE と PM を 実行しているが、NASDA(宇宙開発事業団)は SE しか実施していない。そこでNASDAに 復帰していた A 氏に連絡し、PM の重要性を説明し、無償で2日間の PM 講座を受けること を勧めた。 そのお陰かどうか分からないが、A氏は日本の國際宇宙ステーション計画のプ ログラムマネジャーに抜擢された。 NASA での会議では、日本人は英語のハンデもあり発言が少なく、最初は軽視されていた。 しかし、グローバル標準の PM の進め方、PM 用語を使って会話で説明が会議参加者に理解され、 コミュニケーションが的確に行われるようになった。 日本が提供した実験モジュールは“作品が芸術的でよい”との評価をうけた。また静か で居心地が良いことが宇宙飛行士に好感をもたれ、現在は NASA から各国を差し置いて日本 が最も信頼されていると云われている。A 氏から「PM を勉強しておいて助かったと」感謝 されている。A氏は現在 JAXAで小惑星探査「はやぶさ」で有名になった研究部門の担 当理事として活躍している。 *プログラムとは 複数のプロジェクトをまとめたもの。プログラムマネジャーは各プ ロジェクトマネジャーが管理するプロジェクトをプログラムとしてバランスよく統括する。 A氏は日本の責任者として NASA のプログラムマネジャーとの交渉を纏め上げる責任者で ある。 **日本プロジェクトマネジメントフォーラムは現在のNPO法日本プロジェクトマネ ージメント協会(PMAJ)の前身になる。〈2005 年設立) No.18 No.18 No.18 No.18 2013201320132013 年年年年 1212 月1212月月月 9999 日(月)日(月)日(月)日(月) 「おもしろPM道場」~有人宇宙開における想定外 「おもしろPM道場」~有人宇宙開における想定外 「おもしろPM道場」~有人宇宙開における想定外 「おもしろPM道場」~有人宇宙開における想定外 『有人宇宙開発プロジェクトでは絶対に許されない“想定外”』(その1) 『有人宇宙開発プロジェクトでは絶対に許されない“想定外”』(その1) 『有人宇宙開発プロジェクトでは絶対に許されない“想定外”』(その1) 『有人宇宙開発プロジェクトでは絶対に許されない“想定外”』(その1) 福島の原発事故では東京電力の経営者が「“想定外”の事故」と弁明した。しかし有人 宇宙開発には“想定外”は絶対にあってはならない。 有人宇宙開では“想定外”を捜すのが開発の最大の仕事となっている。事故が社会に与 える大きさでは原発事故が宇宙開発よりはるかに大きく、その損害規模は計り知れない。 グローバリゼーションが進む中で、家電事業の経営者は過去の成功体験から脱却できず、 敗者となっている。ゼネコンは国内プロジェクトが縮小すると、海外に進出するが、“想定 外”の問題に直面し、大赤字を出し逃げ撤退を余儀なくされている。残念なことに、“想定 外”の失敗は貴重な経験であるにも拘わらず、“想定内”にすることができていないのだ。 而して同じ失敗を繰り返している。 日本企業は、いかにして優れた製品を現地市場に拡売するかには全力を投入するが、い

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- 17 - かに想定外を探し失敗をしないかを事前に検討することを重視していない。 成功した囲碁・将棋、スポーツ関係者は成功をつくり出す工夫に20%、失敗防止に8 0%の努力をしていると言われている。しかし、企業ではマイナス要因の発見とその対策 に成功しても評価されない。そこで発想を変えて見よう。 想定外を探し出すことが新たな発見だと、まず自分なりに評価すること。次に発見した 想定外を纏め上げて評価対象になるように文書化することである。想定外を探して文書化 しているのが宇宙プロジェクトの最大の仕事である。 私が宇宙飛行士若田光一さんにお目にかかったのはを宇宙ステーションの船外活動訓 練を見学したときである。訓練ではすべての作業を宇宙と同じ無重力環境で実験する。宇 宙服を着た若田さんが外部からの指示で、実物大の設備を水槽の中に設置・建設作業する 場面であった。若田さんはプールの外からの早口の英語による指令を次々にこなしている のを見て、その優秀さに舌を巻いた。建設では宇宙飛行士が右手に持ったスパナでボルト を締める。その時左手の近くの取っ手を撮まないと、飛行士の体は回転してしまう。想定 外はそんな簡単な事から始まる。 ここで宇宙開発の際に実際に発生した“想定外”の実例をお話しよう。NASA はハップル 望遠鏡の改修工事を宇宙で行った。当然改修作業は水槽内で実験していた。修理が終わり、 最後に外蓋の取り付け作業をした。しかしボルトの穴があわず取り付けができなかった。 原因は外蓋が太陽光で膨張し、本体との穴があわなくなった。多くの有能な NASA 関係者の 綿密なチェックでも、気がつかない“想定外”が発生することを思い知らされた事例であ る。 No.19 2013年年 12 月年年 月月月 24 日(火)掲載日(火)掲載日(火)掲載日(火)掲載 「おもしろPM道場」~有人宇宙開における想定外(その2) 「おもしろPM道場」~有人宇宙開における想定外(その2) 「おもしろPM道場」~有人宇宙開における想定外(その2) 「おもしろPM道場」~有人宇宙開における想定外(その2) 『アポロ 『アポロ 『アポロ 『アポロ 13 号の酸素タンク爆発事故とその対応』号の酸素タンク爆発事故とその対応』号の酸素タンク爆発事故とその対応』 号の酸素タンク爆発事故とその対応』 絶対に許されないはずの有人宇宙開発プロジェクトで大きな想定外に遭遇したのはア ポロ13号の面々である。アポロ13号の事故処理は映画にもなったから、皆さんよくご 存知と思うが、ここでお話したいのは NASA の体制と関係者のプロフェッショナル性に信 頼感があることである。 NASA は基本的に開発プログラムの数が多い。開発を進めるプログラムディレクターが 本部(ワシントン DC)で指揮をとる。開発する研究機関が分散しており、機関ごとに“XX プ ロジェクト”と命名される。完成品(シャトル)はフロリダ州ケネディセンターで打ち上げられるが、XX “打ち上げプロジェクト”となる。打ち上げプロジェクトは宇宙の軌道に載せるまでが責任範囲と なる。そのあとはテキサス州のジョンソン宇宙センターで“運用プロジェクト”の管轄下に入る。 アポロ13号*は 1970 年 4 月 13 日、月への到着直前で酸素タンクの爆発事故に遭遇し た。その後も重大なトラブルは次々発生した。一時は地球への帰還さえ危ぶまれた。この

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- 18 - 難局をどのようにして生還したかの内容は本や映画、テレビでご存知と思うので省略し、 今回は想定外トラブル処理をどのような体制で実施したかを説明する。 NASA の開発は実物大のテスト機を完成させ、すべての部品、完成品を宇宙環境の中で 問題ないかのテストを終了される。テストに合格すると、テスト機と同じものを製作し、 これを打ち上げる。テスト機は完成品として地上に保管される。事故が発生するとこのテ スト機が役に立つ。これを利用して地上スタッフの解決策が実施可能かどうかテストでき るからである。 アポロ13号トラブル処理に関係した地上支援者は2万人にも及んだそうだ。ジョンソン宇 宙センターの“運用プロジェクト”にはフライト・ディレクター(FD:スペースシャトルの飛行を指示す る責任者)が 4 名いる。 テレビで紹介されたのはジーン・クランツ FD である。シャトルの帰還を直接折り返すか月 経由するかという判断、地球に戻る際の突入角度等意見を纏めて決断する責任を任されて いる。顔を見ると精悍で鷹のような目つきをしており、頼もしい感じがした。日本と違い 大統領が出てきて指揮を取ることはない。責任が明確で、それができる実力の持ち主を配 備しているところが、米国のすごいところである。 ジーン・クランツに興味を持ったので、有人宇宙システム㈱の筆者の直属の上司である 社長に彼の人柄を聞いてみた。社長はクランツの長年の友人で、自宅まで訪問した仲であ る。クランツは元空軍のジェット戦闘機のパイロットで、自宅では小型プロペラ機のコレクシ ョンと操縦を楽しんでいるナイスガイだという。彼が死と常に直面してきた人物であるこ とも分かった。 クランツが社長に会うと敬礼して「閣下」と挨拶するそうだ。元宇宙開発事業団の理事 は「閣下」と呼ばれる資格であることも分かった。日本企業の組織では、正しい意見を述 べることもできず、上司の意見に反論もできないようでは、原子力開発も、宇宙開発も開 発する企業は“責任を持ってやりました” と国民に向かって言えないのではないか。 原因究明でも次世代に残すノウハウが出てこないのは「高い金を使った失敗が財産になら ない」のは大きな損失である。 アポロ 13 に関する情報は以下の URL( wikipedia)を参照ください。(運営事務局) *http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%9D%E3%83%AD13%E5%8F%B7

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- 19 - Apollo 乗務員(左からラヴェル、スワイザード、ヘイズ) No.20 2014年年 1 月年年 月月 15 日(火)掲載月 日(火)掲載日(火)掲載日(火)掲載 おもしろPM道場~プロジェクトマネージャーの“想定外” おもしろPM道場~プロジェクトマネージャーの“想定外” おもしろPM道場~プロジェクトマネージャーの“想定外” おもしろPM道場~プロジェクトマネージャーの“想定外”(その3)(その3)(その3)(その3) 『プロジェクトマネジャーは何時も「想定外の問題」を解決していた』 『プロジェクトマネジャーは何時も「想定外の問題」を解決していた』 『プロジェクトマネジャーは何時も「想定外の問題」を解決していた』 『プロジェクトマネジャーは何時も「想定外の問題」を解決していた』 アベノミクスは円安、株高と当初の目論見に向かって進んでいる。また米国は自国の景気 が上向いたと判断し、FRBのバーナント議長が金融緩和策の縮小を発表した。米国が元 気になると世界中が元気になる。 最近の日本企業は海外進出の意欲を示している。海外進出ではロジスティックスが重要な 役割を演じる。あなたは何時海外出向を命じられるかわからない。もし実現すればあなた にとって「想定外のできごと」だが、チャンスと考えるか、リスクと考えるか、人生の分 かれ道となる。人は「想定外に出会う」と何を考えるか。過去の経験で言うと20対80 で逃げる人が多い。特にエリートの秀才タイプが多い。彼は堂々と「この想定外はいかに 無謀か」と論理的に正当化させる。流石出世するタイプは用心深い。 しかし、若しあなたがプロジェクトをマネージした経験者なら是非挑戦して欲しい。プロ ジェクトマネージメント経験者は自分で意識しないうちに「想定外の問題」に直面し、ど うにか解決しているからだ。顧客や上司からいつも無理難題を負わされている。仕方がな いから、逃げることなく、「問題は何か」、「複雑な問題なら分解して理解すると答が見えて くる」という経験を何度もしているはずだ。 実はこの決断が一度しかない人生を豊かにしてくれる。ここで私の拙い経験をお話しする。 ある日副社長に呼ばれて、「“当社は低レベル放射性廃棄物処理では、世界に先駆けて進ん でいる”と研究所が言っている。この先端技術を使って有害廃棄物処理の事業で、米国へ 進出することを考えたい。進出できるか米国に出かけて市場調査をして来い」という命令 であった。 私は海外の仕事は経験したが、英語は得意ではない。一人で出かけて何を調べたらいいか 皆目見当がつかない。英語ができるやつはすぐアメリカに飛んで行く。私は英語が得意で ないから、米国へ行かなくてできる方法はないかと考えた。追い込まれると上手い考えが 浮かんでくる。これまでの原子力技術の経験からすると、有害廃棄物処理も親切丁寧な米

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- 20 - 国政府のガイドラインがあるはずだ。 また、市販で有害廃棄物処理ハンドブックか、解説する本があるはずだと。そこで、会社 のワシントン事務所にメールをいれて、ガイドライン、ハンドブックを探してもらった。 結果は両者が存在し、内容を理解できた。私は米国政府が発行している有害廃棄物処理に 関する種々の技術に対し、当社所有の技術、当社にないものは他社の利用可能な技術を集 めた。米国の技術に日本の技術を対比させた 1 冊の提案書を作成した。 この提案書を米国に送り、適切なコンサルタントに“有害廃棄物処理”のマーケット調査 を依頼した。マーケット調査を終了後、米国を訪問、各種処理施設の見学をした。そして ガイドライン、ハンドブックから得られた知見、及び米国の処理施設見学等の結果を報告 書に纏めた。 報告書の結論は次のような内容であった。「米国には日本の高い“放射性廃棄物”の処理 技術が広く求められているわけではない。その意味では当社に米国進出のメリットはない。 しかし、当社が提案した“放射性廃棄物”処理技術は米国軍の研究所での廃棄物処理には 役に立つので、そこに焦点を絞ってアタックすべし”という内容になった。 最終的には米国企業との合弁会社でMixed Waste(放射性+有害廃棄物)処理プ ロジェクトを受注し、5 年間のプロジェクトを終了させた。 No.21 No.21 No.21 No.21 2014201420142014 年年年年 11 月11月月月 28282828 日(木)掲載日(木)掲載日(木)掲載日(木)掲載 おもしろPM道場~プロジェクトマネージャーの“想定外” おもしろPM道場~プロジェクトマネージャーの“想定外” おもしろPM道場~プロジェクトマネージャーの“想定外” おもしろPM道場~プロジェクトマネージャーの“想定外”(その4)(その4)(その4)(その4) 『“想定外” 『“想定外” 『“想定外” 『“想定外”はゼロベースの発想で乗り切れ!はゼロベースの発想で乗り切れ!はゼロベースの発想で乗り切れ!はゼロベースの発想で乗り切れ!』』』』 私がエンジニアリング会社の日揮(株)に在籍したときの話である。ある日、上司であ る原子力事業本部長から電話があった。内容は「A 電力から下記研究プロジェクトを引き 受けてくれるか」という依頼である。 具体的には「A 電力の Z 地区は岩盤が深いため、他の原発より4ヶ月工期がかかる。そ こで原子炉建屋の工程を4ヶ月短縮する研究をして欲しい。原子炉建屋はゼネコンの仕事 であるが、ゼネコンから難しいという断りがあり 困っている。御社(日揮)は機械建設、 土木工事すべてを含めて世界的に工事を実施している。工事をお願いするのではないが、 工程短縮 というテーマを解決してもらいたい」という内容であった。本部長からは「A 社 が困っているので検討し、是非とも引き受けたい」という、半分強制的な依頼であった。 当時私は直接的には原子力事業本部の副本部長で、電力関係の責任者であった。私は関 係者である、土木部部長、次長、原子力事業本部プロジェクト部長、建設工事部長、A 社 担当建設工事現場責任者を集めて協議した。彼ら全員は“無理だ”という判断を示した。 彼らの意見は下記の通り。①我々は原子炉建屋の建設経験がない。②原子炉建屋は耐震 設計が難しく、工事も慎重に行っている。③経験のあるゼネコンが無理だといっている。

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- 21 - 経験のない我々が引き受け、もしできなければ信用を落とすことになり、他のプロジェク トの受注に支障をきたすことになる。④素人(渡辺のこと)は内容が分からないから、何 でも受注したがる。 これらの意見を聞いて、なるほど、なるほどと感心はしてみた。事業本部長にこの内容 を説明する場合、上記意見に重大な欠陥があることに気がついた。「どのようにすれば問題 が解決するか」という建設的な方向で誰も考えていないことだ。鋭い本部長にこの点を指 摘されるとや「そのご質問は想定外でした」と言い訳する羽目になる。 そこで私は彼らに「原子力ではマスター工程表、3ヶ月工程表、1ヶ月工程表があるね。 工程表を詳しく調べてみよう。工期が長いところ、例えば機械の基礎づくり、機械の据付 とその後の天井工事の工期的な関係(CPM システム)を調べたら工期短縮の知恵が出るの では」と提案すると「工程表だけを見ても工事担当のゼネコンに確認しないと我々は判断 できません」という答。 私は「それではゼネコンに説明してもらったらどうかね」。答えは「ゼネコンはできな いといっているから協力してくれないでしょう」。さらに私は「受注の条件として、ゼネコ ンの参加を条件にする」と纏めてみた。このプロジェクトは最終的に工事を請け負うゼネ コンの参加なしには実現しないと判断したからだ。 しかしこの結論では A 電力に対する提案はできない。もし私(渡辺)が「ノー」という と、ワシントンで日本大使館付き原子力担当アタッシェとして活躍し、米国人に顔の広い 原子力事業本部長は「君達ができないなら(世界的建設会社で原子炉建屋経験の大企業)B 社に頼んでみるからいいよ」という答が返ってくる予感があった。さて、あなたが責任者 ならどのような答を出すでしょうか。 No.22 No.22 No.22 No.22 2014201420142014 年年年年 2222 月月 20月月202020 日日日日(木)掲載(木)掲載(木)掲載(木)掲載 おもしろPM道場~プロジェクトマネージャーの“想定外”(その5) おもしろPM道場~プロジェクトマネージャーの“想定外”(その5) おもしろPM道場~プロジェクトマネージャーの“想定外”(その5) おもしろPM道場~プロジェクトマネージャーの“想定外”(その5) 『原子炉建屋4ヶ月工期短縮プロジェクト応札のための”ゼロベース発想”』 『原子炉建屋4ヶ月工期短縮プロジェクト応札のための”ゼロベース発想”』 『原子炉建屋4ヶ月工期短縮プロジェクト応札のための”ゼロベース発想”』 『原子炉建屋4ヶ月工期短縮プロジェクト応札のための”ゼロベース発想”』 突然A 電力会社から原子炉建屋4ヶ月工期短縮の依頼があった。しかも天下の全全全ゼネコ全 ンが”出来ません”と断った案件である。* *前報“想定外”(その5):【メッセージ】→「区分」=コラム、「キーワード」=渡辺 と入力で閲覧できます。(運営事務局) 上司の原子力事業本部長はこの案件を欲しがっている。しかし配下の関係者全員が”でき ません”と反対している。プロジェクトマネジャー(プロマネ)はこの手の想定外の案件 解決にいつも奮闘している。 問題解決の難しさは、問題そのものより関係者の意見の調整にある。プロマネの大きな能 力の一つに説得力がある。説得力を持つために 私は日ごろから関係者の発想のパターンを 研究している。私は問題解決の発想パターンを3タイプに分類して人物を見ている。

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