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巻頭言、..... ●特集:開設記念シンポジウム●....... 大学院・研究所開設記念シンポジウム テーマ「女性と人権」 ●研究所プロジエクト紹介● ・Projeot1社会的公正に基づく共生の研究 1 2 ・Projeot2高等教育における英語教育の方法研究..._5 ・Proj㏄t3外国人児童生徒のための言語教育モデルの研究6 0連載シリーズ1「世界の潮流:核兵器のない世界」●....7 ●最近の国際的な研究活動紹介●.......、....、..、..8 0書籍紹介●.....、、.....、....、.1........、.......8 ●大阪女学院の歴史●..........___.___8 研究所の日的 大阪女学院大学国際共生研究所は、グローバルな視野 に基づき、平和・人権・環境・言語・教育の分野を国際 共生の観点から学際的にとらえ、それらに関わる理論的 ・実践的研究を主たる研究活動としています。そのめざ すところは、研究成果に基づき、広く社会に寄与するこ とです。 大学の使命と研究 大阪女学院は今から125年前の1884年にミッションス クールとして創設されたウヰルミナ女学校を母体として おり、1968年に大阪女学院短期大学が開学され、2004年 に四年制の大阪女学院大学が開学されました。このよう に、伝統的には女性に対する「教育」という側面を中心 に発展してきたものでありますが、大学のもう一つの使 命であるr研究」にも徐々に重点を置くようになってき ました。 大学院開設と研究 2009年4月に大阪女学院大学大学院21世紀国際共生 研究科が設置されましたが、それは平和システム研究と 人権システム研究が中心となっています。また地球的な 課題に世界の人々と協働して取り組む強い意志と能力を もつ女性を送りだすことを主たる目的としています。大 学院では「教育」とともに「研究」に大きなウエイトが 置かれることになります。 研究所の設立 以上のような発展段階を得て、2009年4月に、16名の 研究所員からなる国際共生研究所が設置され、研究活動 が開始されました。研究所の活動としては、以下の四つ があります。 1)学内での設定プロジェクトの研究・調査活動 2)国内外の教育機関との共同研究・調査活動 3)国内外の領域専門家を招聴し、研究課題を中心とし た研究会・講演会・シンポジウム・セミナーの開催 4)ニュースレターの刊行および研究・実践成果の公表 研究所の活動 研究所の活動としては、以下のぺ一ジに詳細に示され ていますように、開設記念シンポジウムを行い、学内で の設定プロジェクトとして、三つのプロジェクトが積極 的に活動を始めています。これらはともに、r国際共生」 という基本概念を共有しつつ、大阪女学院大学のもつ知 的基盤を生かしつつ進めていくものであります。 各プロジェクトにおける研究会の継続とともに、講演 会やシンポジウムを開催することにより、研究のさまざ まな成果が今後徐々に公表されていくことが予定されて います。またこれらの研究成果はさまざまな場所におい て議論され、批判的な検討をも経ながら、一層精綴な理 論的かつ実践的な発展をめざしつつ行うことが考えられ ています。 研究所員一同、これらの目的に向けて誠実に研究を進 め、広く社会に貢献できることをめざしています。 研究所の発展のためには、大学内での研究のみならず、 外部との協力が不可欠であるので、外部からの積極的な 御協力をお願いいたします。大学院21世紀国際共生研究科「平和・人権システム専攻」および大阪女学院大学国際共生研究所
開設記念シンポジウム テーマ1r女性と人権」
2009年10月21日於ホテルニューオータニ大阪 報告者 香川孝三 基調講演 r女性の人権 平等・発展・平和をめぐって」 講師 林陽子(弁護士・女性差別撤廃委員会委員) 女性差別撤廃条約が1979年に成立し、現在日本も含め て187か国が批准をしている。1999年成立した選択議定 書は個人通報制度と調査制度を定めているが、批准は98 か国で、日本はまだ批准をしていない。これは、日本が 先進国のなかで女性の人権が遅れている現状を示してい る。 この条約の成立から30年が経っているが、その間、戦 時や平時における女性に対する暴力が女性の社会的参画 への重要な障害であるとされ、差別問題として条約審査 の対象となってきている。さらに私的領域での差別に国 の撤廃義務を重視するようになってきている。この動き はドメスティック・バイオレンスやリブロダクティブ・ ヘルスをめぐる個人通報の事案を通じて顕著になってき ている。 この条約の日本への影響としては、国籍法の改正、男 女雇用機会均等法の成立、DV法の成立、ストーカー禁 止法の成立、男女共同参画基本法の成立、間接差別の導 入などに示されている。しかし、2009年8月に日本政府 が提出した報告の審査が行われ、きびしい勧告が下され た。たとえば、民法の改正、間接差別の範囲の狭さの是正、 ポジティブ・アクションの積極的活用などが勧告されて おり、日本政府はもっと女性の人権に力を入れるべきで ある。そのために、選択議定書の早期批准が期待される。 これからの課題として、複合差別の視点を持って、よ り弱い立場の人を支援していくこと、貧困を克服してい くためにミレニアム開発目標の達成に先進国として責任 を果たすこと、武力紛争後の平和構築に女性の殺害1」を再 検討し、さらに武力紛争時の性暴力の加害者への処罰を きちんと実施することが不可欠である。平等、開発、平 和の局面で宗教や文化の多様性を理解しつつ、異なる文 化との対話を継続していくことによって、今後の課題に 取り組む必要がある。そのために教育の殺害1」が重要であ る。国連のもとに組織されている女性差別撤廃委員会の 委員として、女性の人権を守るためにはどうすればいい かという視点からの話であった。シンポジウム
」〆
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司会 香川孝三(大阪女学院大学) パネリスト 林陽子 秋林こずえ(立命館大学) 阿久澤麻理子(兵庫県立大学) 元百合子(大阪女学院大学) 秋林こずえさんの報告は、「平和と女性一ジェンダーの 視点から」という題で行われた。人権の確立は平和な社 会を達成していることと不可分である。広義の平和とは 紛争がないという状態だけでなく、人権が確立された状 態を意味する。女性の人権は男性と比べて制限を受けて いるが、武力紛争や戦争の際に女性の人権が性暴力によっ て侵害される。ルワンダや旧ユーゴにおける戦時下の性 暴力がその典型的な事例である。それだけでなく平時に おいても軍によって女性が性暴力の犠牲になっている。 たとえば沖縄において米軍によってひきおこされる性暴 力の事例がそれである。それらをなくすために、国連安 保理決議1325号「女性・平和・安全保障」が2000年10 月31日採択された。これは平和構築のためには女性の貢 献が重要であり、平和・安全保障政策への女性の参加と ジェンダー視点の導入促進を定めている。たとえば具体 的には、アフガニスタンにおいてジェンダーの視点を取 り入れて平和維持活動をめざし、女性の役割や貢献の範 囲を拡大することがありうるであろう。 阿久澤麻理子さんの報告は「研究者として、個人とし て『ジェンダーを生きる』ということ」と題して行われだ。2000年の京都市人権調査によると、子どもの結婚相 手として同和地区出身者や在日韓国・朝鮮人であること を気にするかという質問に女性の方が気にする割合が高 い。これは相手の経済力や職業を重視して生活保障を図 るという「男性への依存という生存保障」をめざす傾向 が女性に強いことの反映であろう。女性が自立して生活 していこうとすることとは整合的ではない。女性が男性 並み、またはそれ以上のカを発揮しなければ評価されな い。その事例としてマグレブ刑務所においてリンディー・ イングランド上等兵(女性)が捕虜虐待を行ったという 報道があるが、これは
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軍隊という男性社会の中で女性が生き残るためには、男 性以上に男らしくふるまうことが求められた結果生じた 悲劇である。つまり、男女平等といっても、女性の場合、 男性との平等化をめざさなければ平等を実現できない。 しかし、これには無理がある。子どもの成長とともに、 それとは違う方向があることに気がついた。男性を含む 他者との競争にはげむのではなく、仲間との出会いや個 人としての権利実現のために他者と連帯することの重要 性に気がついた。男性対女性という枠組でなく、人問と して自己実現する道を見出したという話であった。その ためにはワークライプバランスを実現して男女の働き方 を改める必要がある。人権教育を専門としている立場か らの女性の人権の問題点を指摘された。 元百合子さんはrマイノリティ女性に対する複合差別」 という題で報告を行った。女性の中にも多様性や不均衡 が存在し、女性の中での差別問題が存在する。男性から 差別されるだけでなく、女性からも差別される女性が存 在する。社会的に周縁化されたマイノリティ女性の事例 として日本軍性奴隷(従軍慰安婦)、先住民族女性、イン ドのグリット女性、被差別部落・アイヌ民族・在目コリ アンの女性などがいる。これらの女性への差別をなくす ためには、複合差別という概念が有効である。複数の抑 圧要因によって差別を受けるので、その要因や結果の相 互関係を分析するのに有用である。しかし、この概念は 国際人権保障システムの中でも十分には取り入れられて いない。これまで個別の差別事由ごとの枠組のなかで扱 われており、それだけでは不十分である。そこで積極的 に複合差別の概念を取り入れるよう国連人権機関に働き かける必要があるし、各国政府に対して、マイノリティ 女性の実態調査、マイノリティ女性の参加による政策・ 制度の構築、関連する人権条約の履行監視機関への報告 を要請する必要がある。 以上がシンポジウムの内容であるが、全員女性による、 それぞれの専門領域からの報告であり、女性がこれ.まで 男性と比べて不利益を受け、さらに人権侵害を受けてき たことを背景に、それらを排除するにはどうすればいい かという課題に取り組んだ報告がなされた。不利益や差 別をする側として男性が位置づけられてきたが、複合差 別では女性も女性を差別する側に立つことが指摘されて いる。女性の人権問題を見るためには男性をどう位置づ けるかが問題である。男女共同参画という表現が日本で は用いられているが、女性と男性が共同で取り組む必要 がある。男性を差別する者として批判・攻撃の対象とす るより、むしろ男性を巻き込んで一緒に、女性の人権問 題に対処することが必要である。これが司会者のまとめ の言葉であった。 女性大学として女性を社会に送り出している教育機関 として、女性が社会でどのように位置づけられているか を認識し、女性としての生き方を探っていく上で、今回 の記念行事は大変有用であったと思われる。多くの学生 にも聞かせたい内容であった。 」湖
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社会的公正に基づく共生の研究 一つの研究課題は『社会的公正に基づく共生』であ り、ここでは国際社会における共生の詳細な現状分析 およびあるべき共生の姿を研究する。具体的には、国 際の平和と安全保障、人権の国際的保障、持続可能な 開発の促進、地球環境の保護、多文化共生社会の構築、 人間の安全保障など、国際社会に生起する重要課題を 総合的に研究し、全体としての国際共生の学問的体系 化を志向するものである。これらの研究は個々の研究 者による個別的研究にとどまらず、複数の研究者によ る共同研究をめざすものであり、研究所のプロジェク トとしての総合的な研究を行う。これらの活動は2ヵ 月ごとに定期的に開催される「平和・人権研究会」で の研究発表および討論を中心としつつ、国内のみなら ず国外からの専門家を招待して、随時開催される研究 会あるいは講演会などを通じて実施される。また国内 および海外に存在する同種の研究所等との連携を図り、 対外的にも積極的に研究活動を進める。 黒澤 満 プロジェクト1においては、国際社会におけるさまざ まな主体間における共生の問題を検討しており、本学の 教員を中心として研究会を継続し、また別項にあるよう に、2009年10月16日には外部から講師をお招きして講 演会を開催している。 平和・人権研究会 この研究会は研究所の開設以前から活動を開始してお り、これまで以下のような研究会を実施してきた。ここ においては、各研究員の個別専門研究を報告し議論する ことにより、各研究員の専門分野を相互に理解するとと もに、今後の共同研究のための共通部分の認識を強化す ることを目的としてきた。第1回2008年7月22H 報告者黒澤満教授
「NP T再検討プロセスと核軍縮」 第2回 2008年9月30日 報告者 香」l1孝三教授 「労働C S Rの世界的潮流とアジア」 第3回 2008年11月18日 報告者 元百合子准教授 「宗教と人権」 第4回 2009年I月13H 報告者 前田美子准教授 r途上国における教員養成の現状と課題」 第5回 2009年4月24日 報告者 馬渕仁教授 r多文化・異文化リテラシーにおける『文化』のとら え方」 第6回 2009年6月26日 報告者 奥本京子准教授 「東北アジアにおける平和共同体創造実現に向けて: 芸術アプローチの導入と、『朗読劇プロジェクト』の 提案」第7回2009年7月24日
報告者 米田信子大阪大学准教授 rヨーロッパ発『多言語主義』とアフリカの多言語状 況一言語権の視点から一」 第8回 2009年10月16日 報告者 黒澤満教授 「オバマ政権の核軍縮・核不拡散政策の背景 一国際共生の観点から一」 第9回 2009年12月15日 報告者 香川孝三教授 「バングラデシュにおける船舶解体と児童労働」 今後の研究計画 プロジェクト1の今後の研究は、r国際共生による新し い秩序の形成」というテーマのもとに、r国際共生」の意味・ 内容を明確にする作業から開始し、これが新たな秩序形 成のための有益な概念でありうるとして、広い範囲にお いて検討を進めることを計画している。 そこでは、r国際共生」は、国際共存、国際協力、国際協調、 国際共同などこれまでの概念を超えて、「お互いに利益を 得て共に生きる」という意味としてとらえ、国際社会に おけるさまざまな領域における実際的および理論的検討 を行う。 この研究は総論の部分と各論の部分から成り、総論は 研究員全員で議論するが、各論においては各研究員の専 門分野を以上の観点から研究することになる。各論とし ては、平和、人権、環境、開発、文化の5分野が考えら れており、各研究員が分担する。 研究会としては、2ヵ月に1回開催されている「平和・ 人権研究会」における報告と議論をべ一スとして進めて いく。またこれに関連して、外部の専門家を招き、講演 会やシンポジウムを開催するとともに、r国際共生」を研 究課題としているさまざまな研究機関との連携を進めて いくことも予定している。 さらに、中長期的には研究成果を書籍として千1」付する ことを予定している。それはこれからの研究の進捗状況 にも依存するが、一つはr国際共生」に関する一般的な 入門書としての研究成果の発表と、もう一つは国際共生 の個々の側面における高度の専門的な学問的成果として の発表を予定している。国際共生研究所第1回講演会 2009年10月16目 於本学 もと 報告者 元 百合子 r看護師・介護士受け入れ一フィリピンと日本を結ぶ視点」 講師 小ケ谷千穂 (横浜国立大学) 少子高齢化の進行と医療・介護現 場での労働力不足を背景に、日本は 近年、フィリピンとインドネシアか… らの看護師と介護士の受け入れに踏 み切った。従来、外国人の就労を認め てこなかった分野における政策転換である。 以来、メディアではサービスの質や日本語能力を懸念す る議論、あるいは、試験的に受け入れた施設で働く様子 やサービスを受けた高齢者の感想などが報道されてきた。 それらは概ね日本人の視点からのものであって、当事者 や送り出し国の社会にとっての意味合いや影響が注目さ れることはほとんどない。 新進気鋭の国際社会学者として労働の国際移動を研究 してこられた小ケ谷先生は、フィリピンを含むアジア諸 国を度々訪問調査して得られた情報に基づく説得力のあ る分析と考察を展開された。まず問題なのは、r人の移動」 が、他の輸出入品目と同様に「経済連携」の一品目とし て扱われていることである。労働力を「輸出品目」とす る送り出し国の国家戦略と日本側の需要が合致したわけ だが、フィリピンでは看護師協会を含めて、日比EPA(二 国間の経済連携協定)の不平等性を問題にする人々によ る反発があった。また、「ケアギバー」(介護士)という 職種は、海外労働市場における需要に応じて創出された ものであって、急ごしらえの養成学校も出現したという。 看護師も含めて、渡航先としては米国や中東諸国など英 語の通じる国が好まれ、日本は敬遠される傾向がある。 日本語習得の難しさに加えて3∼4年以内に国家試験に 合格しないと帰国を義務付けられるという制度の厳しさ がその理由である。 送り出し国社会にとってさらに問題なのは、家事労働 に加えて介護の担い手が海外流出することによる家事、 育児、ケアのr連鎖」である。途上国と先進国では、医 療労働者の人口比率や保健サービスの利用可能性、乳幼 児死亡率について、すでに大きな開きがある。そこに、 国家間の経済格差に沿って一方向で成立する医療・介護 労働者の大量移動(送り出し国の社会にとってはr流出」) が加わっている。その現実を前提に「公平さ」の確保は 可能なのか、外国人の労働力がダンピングされず、適正 に処遇される「労働市場における共生」の構築は可能か、 日本社会が誠実に向き合うべき課題が投げかけられた。 アジア太平洋人権情報センターのご協力により、学外 からの参加も得てフロアーからの活発な質問や発言もあ り、時宜を得た刺激的な講演会であった。 高等教育における英語教育の方法研究
本学では、21世紀の社会を担う大学生に対し
て、コンテンツを伴った『考える』英語教育と、言 語の4技能の習得、英語によるプレゼンテーション や論文作成ができるといったEng1ishforAcademic Purposes(EAP)に基づく、英語運用能力の習得を目 標に掲げて英語教育を展開してきた。さらに学部専 門教育においては、EAPを土台として、専門分野および職業分野を英語で学ぷEng1ish for Professiona1 Purposes(EPP〕による英語教育に取り組んでいる。本 プロジェクトでは、大阪女学院が長年培ってきた高等 教育における英語教育の実践と手法の分析、国際社会 で必要とされる語学力と専門知識を獲得させる教育方 法の開発、国際共通語としての英語の運用能力を高め るためのEAP・EPP教授法の研究、ヨーロッバ、アジ アの各大学と連携を図った高等教育における英語教育 モデルの構築を行う。 智原 哲郎 日本のように英語を母語としない国における外国語学 習過程では、異なった英語教育方法が使われる。中等教 育課程での英語はEGP(E㎎1i.h for General Purpo・os)
と呼ばれ、その教授内容は言語についての一般知識、背 景文化、読み物、日常会話などである。他方、EAP(English for Academic Purposes)は、EGPを土台として大学レベ ルでの英語能力の習得を目標とする英語で、英語での討 論、論文作成、プレゼンテーション能力を育成すること を目標にしている。さらに、国際的な専門職業人として 仕事にかかわるといったような場合には、ESP(Eng1ish f・rSpecin・Purposes)/EPP(E㎎ユi・hforProfe・・i・n・1 Purposes)が必要とされる。 本来、高等教育機関での英語教育は、EAPやESP/EPPに 貝1」ったものであるべきだが、依然としてEGPを中心とし た英語カリキュラムが構築される場合も少なからず存在 し、このため、専門学術領域や専門職業領域で要求され る語学力の習得に十分な成果が見られていない。この現 状に対して、2003年3月の文部科学省による「『仕事で英 語が使える日本人』の育成のための行動計画」を始めと して、高等教育機関における国際的基準を満たした専門 職業英語指導法の確立がさまざまなところで提言されて いる。 EAPやESP/EPPによる英語指導法の確立に。−Leami㎎ の役割が注目されている。文部科学省からもe−Leami㎎ の推進が提言され、大学設置基準にもe−Learni㎎の導入 5
が組み込まれている。実際、欧米では”Open University” として数多くの大学がオンラインプログラムを提供して おり、伝統的な対面式授業から脱却したe−Learni㎎の学 習効果が報告されている。 しかしながら、従来の対面式授業からの脱却には利点 と欠点が表裏一体となって付いてまわる。学習者のスケ ジュールや学習度に応じて学習できる反面、学習者に自 立・自律心がなければ学習の持続が困難となる。教員は 必ずしも必要とされないので人件費などのコストは低く 抑えられるが、学習者と教員間や学習者同士のインタラ クションが取りづらい。成績管理が自動的に行われるの で教員の仕事量は軽減されるが、学習者の学習プロセス を把握できなくなるなどである。今後、これらの問題を 踏まえて、専門学術領域や専門職業領域で要求される語 学力の習得にe−Learni㎎の導入を図った新たな英語教育 方法を確立することが本プロジェクトの目標である。 外国人児童生徒のための≡語教育モデルの研究 日本政府が1990年に行った「出入国管理及び難民認 定法の一部を改訂する法律」の施行により、外国人労働 者の子どもたちが多数、日本で教育を受けることになっ た。この10数年、外国人児童生徒の抱える問題につい て多くの研究がなされてきた。例えば、不就学、学習の 権利、日本語教育といった分野である。しかし、母語に よる教育、母語と日本語を使用したバイリンガル教育は、 外国人学校での実施にとどまり、ほとんどの公立学校で は実施されていない。本プロジェクトでは、外国人児童 生徒の母語を保持・発展させ、日本語の習得及び教科学 習の理解を促す言語教育モデルを研究する。 第1回研究会報告
2009年11月18日於本学
報告者 智原哲郎 r英語教育の方法論を模索する e−L6amlngとジャンル分析」 発表者 東條加寿子教授 【e−Learnin9】 e−Leami㎎とは、情報技術によるコミュニケーショ ン・ネットワークなどを活用した主体的な学習であり、 対面授業を補うものと対面授業に取って代わるものが ある。英語教育におけるe−Leami㎎導入の目的には、 学習効率の改善、学習の利便性の向上、新規性・新効 果、学生の満足度のアップなどが挙げられ、導入によ り、1)個々の学生が、基本的英語力の伸長に取り組 める、2)リメディアルが必要な学生に対応できる、3) Contents−basedの英語教育を効率的に推進できるよう になる。このようにマルチメディアを活用し英語4技 能とコンテンツを融合することにより、きめ細かな教 育とe−Learni㎎とのブレンド型教育が期待できるであ ろう。 【ジャンル分析】 ジャンル分析とは、ジャンルに特有な言語的パター ンを分析することである。ジャンル分析は学習者中心 のアプローチであり、自律した学習者を育成し、学習 効果を格段に高める。ジャンルについて読むことや特 有な語彙を学ぶことをその目標にするのではなく、例 えば、「特許はどのように書かれているか」「学術論文 はどのように書かれているか」rビジネスの企画書はど のように書かれているか」など、学習者がジャンル内 の情報を的確・迅速に理解し、発信できる能力を培う ことである。本学の英語教育にジャンル分析の手法を 取り入れれば、従来とは別の角度で効果的なコミュニ ケーション能力を育成することができるであろう。 加藤 映子 プロジェクト3では、年々増加傾向にある外国人・帰国児 童生徒の教育の問題について取り組みます。まず、プロジェ クトのキックオフとして、朝鮮半島にルーツを持つ児童生徒 に、大阪市立北鶴橋小学校で35年間にわたり民族学級担当 講師として子どもたちを指導してこられた全容海先生にご講 演を頂きます。当時、在日の教育に奔走していた人々は、政 府の政策に翻弄され、差別や偏見と戦いながら、在日の子ど もたちのための教育に多大な努力をばらレ\民族学級を公立 学校に設置されました。この一連の歴史を最もよくご存知の 全容海先生のお話を聞く事は、増加傾向にある外国人労働者 や児童生徒と共生していく社会を形成していく上で大切なこ とだと思います。全容海先生は、北鶴橋小学校での教育の目 標を「差別をしない、させないための人間教育」とされまし た。これは、日本人児童生徒が差別をしないということのみ ならず、在日の子どもたちが誇り高い人格を持って生きてい くことをめざしています。どのような取り組み、工夫、苦労 があったのかをお話し頂き、共生する社会について共に考え たいと思います。国際共生研究所第2回講演会予定
r本名は屋抜の跨り一往目の子どもたちの民族学級から 学ぶ外国人死竈生徒の教育』 講師 全容海先生 日時=2010年1月29日(金)18100イ9130 場所:本学1F会議室 対象:一般,大阪女学院学生・教職員 参加費無料 事前申し込み要riicc@w;1mina.ac.jp連載シリーズ1
「世界の潮流:核兵器のない世界」
オバマ大統領にノーベル平和賞 2009年10月ノーベル賞委員会は、「国際的な外交と 諸国民の協力を強めることに並はずれた努力をしたとし て、特に『核兵器のない世界』をめざすとした理念と取 り組みを重視する」と述べ、オバマ大統領にノーベル平 和賞を授与した。 これに対しては被爆者をはじめ多くの人々が称賛の拍 手を送ったが、米国内では特にまだ何も成果を生み出し ていないのにという懐疑的な意見も存在した。私自身も 少し早いのではないか、せめてロシアとの新しい核兵器 削減条約を締結してからと最初は感じたが、オバマ大統 領の「チェンジ」が高く評価され、それに対する高い期 待感の表れであると考えられる。 オバマ大統領のプラハ演説 オバマ大統領の核政策は、2009年4月5日にチェコ のプラハで行った演説の中に凝集されている。彼はそこ で、r米国は、核兵器を使用した唯一の国として、行動 する道義的責任がある」と述べ、r核兵器のない世界に おける平和と安全保障を追求するという米国のコミット メントを、明確にかつ確信を持って」述べた。 さらに、冷戦思考を終わらせるため、国家安全保障戦 略における核兵器の役割を低下させるとし、ロシアとの 新たな戦略核兵器削減条約の本年中の締結、包括的核実 験禁止条約(CTBT)の米国による批准の追求、兵器用核 分裂性物質生産禁止条約(FMCT)の追求を約束した。ま た、国際的な核不拡散体制の強化および核チロリズムヘ の対応に関しても、核兵器や核分裂性物質の厳重な管理 などを強調した。黒澤 満
を、軍事力ではなく外交を重視すべきだという一般的な 意見が支配的になったことである。 第2は、核兵器の使用の可能性が高まっているという 一般的な認識である。まずテロリストが核兵器や核分裂 性物質を入手する可能性が増大しており、テロリストに は抑止はまったく効かないし、彼らは核兵器の使用を躊 踏しないであろうという考えである。またパキスタンの 核兵器の管理が十分ではなく、テロリストに渡ったり、 間違って使用される可能性が危慎されるようになった。 第3は、2007年1月にウォールストリートジャーナ ル紙に掲載された「核兵器のない世界に向けて」と題す る論文である。これはキッシンジャー、シュルツなど冷 戦時代に米国の核政策に携わっていた4人の重鎮が、米 国にとって核兵器のない世界の方が安全であると主張し た。オバマ大統領は選挙運動開始時にはr核兵器のない 世界」を主張しておらず、この主張から大きな影響を受 け、それを主張するようになったのである。 核兵器廃絶のその他の提案 世界平和市長会議は、ヒロシマ・ナガサキ議定書を採 択し、2020年までに核兵器を廃絶すべきであることを 提案している。 また世界の元政治家や元政府高官からなるrグローバ ル・ゼロ」委員会は、2030年までに核兵器を廃絶すべ きことを提案している。 日本とオーストラリアのイニシアティブによる「国際 核不拡散軍縮委員会(ICNND)」は、2025年までに核兵 器を最低限度まで削減し、その後期限は定めないが核兵 器を廃絶するよう提案している。 7 オバマ提案の背景 r核兵器のない世界」の追求という目標が米国の国家 戦略としてこれほど前面に出てきていることは、これま での歴史でもないことである。もちろんオバマ大統領自 身の考え、哲学、価値観などが基盤となっているが、そ の背景として以下のことが考えられる。 第1は、前任のブッシュ大統領の安全保障政策であり、 それは米国単独行動主義であり、武力を含む力の政治で あり、核兵器の使用の可能性を威嚇として使用するもの であった。これに対して国際的にはもちろん、米国内に おいても、国際協調主義を、力の支配ではなく法の支配 オバマ提案の意義 オバマ大統領自身r私の生きているうちには不可能で あろう」と述べているように、近い将来に核廃絶の可能 性はないとしても、r核兵器のない世界」という大胆な ビジョンを明確に定めて具体的核軍縮措置を取っていく ことがきわめて重要である。米口間の核削減、CTBTの 批准と発効、FMCTの締結などの措置を、大胆なビジョ ンの追求と組みわせることにより、核軍縮の進展がより 可能になると考えられる。 2010年5月に開催される核不拡散条約(NPT)再検討 会議が、この進展に寄与するであろう。8
窯 ⑳回隠窮極翻窮濱・・。
【1一■I6^■1−I1I=I18n6㎜0■■0I山0!Il−0!I6■≡1001−03皿006】
ヨーロッパにおける多言語政策を推進するために設立 されたALTE(The Association of Language Testers in
Europe:http:〃www.alte.org/index.php)は、EU諸国が実 施している多様な言語テストにおける言語能力レベル の共通尺度として”TheALTE FrameworkofLa㎎uage Examinations”を開発した。これは、学習者がそれぞれ のレベルで当該言語を使用して何ができるかを記述した ものである。他の国への就職や大学への入学などに要す る言語能力を証明するものとして利用されており、受験 者は年間200万人を超える。日本の大学においても、海 外を含む大学間で様々な連携が盛んになっており、今後、 各大学では、学生の英語能力を客観的に記述し、学生間 や大学間の英語レベルの比較が可能になるような装置が 必要となってくると予想される。大学で実施される教育 課程や使用するテストが異なっても「一ができる」とい うような共通の「英語能力測定尺度」があれば、各大学 が求める英語到達能力を共通尺度で定量化できることに なり、各大学にとっても大きなメリットになる。これに より、必要とされる教授法やカリキュラムの構築も容易 になると考えられる。 (智原哲郎) 、書籍