遠赤外線アルミ合金併用融雪システム 融雪試験報告書
試 験 概 略
■試験目的
同一規格の電熱線式ヒーティングユニットを2台並べ、片方のユニットに遠赤外線放射材料
同一規格の電熱線式ヒーティングユニットを2台並べ、片方のユニットに遠赤外線放射材料である、アルミ合金エキスパンションメタルを
組み合わせ、融雪状況ならびに地中温度を比較し、アルミ合金併用の遠赤外線効果を検証する。
遠赤外線アルミ合金併用方式 通常ニクロム線方式■試験年月日、場所
平成20年2月15、16日 秋田県秋田市山王 ㈱菅与組 駐車場内にて
・日当状況 同一
・風 ビル風がありほぼ風の強い状態
■試験方法
同一環境条件・同一発熱線規格(面積、容量、ピッチ等)のもと、遠赤外線アルミ合金併用方式と通常ニクロム線方式の2台を並べ次の比較試験を
行った。
1.熱電対による、地中内温度の測定(立上性能比較)
2.着雪状態からの融雪状況の測定(融雪能力比較)
■試験概略図
2,464 1 ,2 00 2,464 1 ,2 00 AC200V 発熱線 遠赤外線アルミ合金併用方式 通常ニクロム線方式 型式 ユニット面積 定格容量 抵抗値 ケーブル長さ 使用電圧 発熱線規格 SHC-1900-P77-180W 2.96㎡ (W1,200×L2,464) 537W 74.5Ω 38.4m(32ターン) 200V アルミエキスパンションメタル1.熱電対による、地中内温度の測定(立上性能比較)
試験は、同一環境条件(場所・断面)、同一発熱線規格(面積・容量・ピッチ等)のもと、同時に電源を投入し、雪がある状態(着雪状態)と、無い状態
(無着雪状態)のそれぞれについて、下記図(1)に示す電熱対にて地中内部の温度を測定し、立上性能を比較検証する。
図(1)
◆測点①は、ヒーターの線間温度、測点②は、ヒーターの線上温度を測定。
◆測定はデータロガーにより、10分毎に自動測定。
電熱対測点表記名
1 2 3 4 5 6 7 8 9 SP表層① SP表層② SP地中① SP地中② ニク表層① ニク表層② ニク地中① ニク地中② 外気温度 77 38.5 1 2 3 4 30 7 5 77 38.5 5 6 7 8 9(外気) 50 5 0 10 0 2 0 既設路盤 表 層:密粒度アスコン t=50mm 保護層:細粒度アスコン t=50mm 基 層:密粒度アスコン t=20mm 温度測定箇所(熱電対)■無着雪時測定データ
測定日/2008年2月15日 天候/曇り 電源投入/9:00 電源切/13:00 測定終了/17:20 ※測定データ別紙添付① ◆1 表層・地中温度共に電源投入より約1時間で差が付き始め、3時間後には表層温度で平均2℃、地中温度で平均1℃の差が生じています。 (電源投入2時間後から3時間後の平均値) 特に11:20より陽が差し外気温度が上がった時間帯の表層温度は一気に上昇し、地中温度とほぼ同じ温度まで上昇しています。 併用しているアルミ合金の面状効果によりニクロム線仕様には見られない立上性能を示しています。 ◆2 両工法の地中・表層間の温度関係をみると、SP工法はニクロム方式に比べ温度差が少ない事が解ります。 -6.0 -4.0 -2.0 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 0 9 :0 0 :0 0 0 9 :2 0 :0 0 0 9 :4 0 :0 0 1 0 :0 0 :0 0 1 0 :2 0 :0 0 1 0 :4 0 :0 0 1 1 :0 0 :0 0 1 1 :2 0 :0 0 1 1 :4 0 :0 0 1 2 :0 0 :0 0 1 2 :2 0 :0 0 1 2 :4 0 :0 0 1 3 :0 0 :0 0 1 3 :2 0 :0 0 1 3 :4 0 :0 0 1 4 :0 0 :0 0 1 4 :2 0 :0 0 1 4 :4 0 :0 0 1 5 :0 0 :0 0 1 5 :2 0 :0 0 1 5 :4 0 :0 0 1 6 :0 0 :0 0 1 6 :2 0 :0 0 1 6 :4 0 :0 0 1 7 :0 0 :0 0 1 7 :2 0 :0 0 SP表層① SP表層② SP地中① SP地中② ニク表層① ニク表層② ニク地中① ニク地中② 外気温度 ◆1 ◆2 ◆2■着雪時測定データ
測定日/2008年2月16日 天候/曇り時々雪 電源投入時積雪/約5cm 電源投入/9:00 測定終了/15:50※測定データ別紙添付② ◆1 電源投入時の温度をみると、地中・表層ともにSP工法が約1℃近く低い温度となっており、併用するアルミ合金の特性(遠赤外線の特性)が確認できます。 遠赤素子を多く含む物質は、通常の物体よりも熱の吸収・放射率が高い為、自身の温度が上がらず冷却作用をもたらす場合があります。この場合、前日 の試験後より通電していない為、アルミ合金が冷却材となり、何も併用していないニクロム方式よりも温度が1℃近く下がったものと思われます。 ◆2 両工法とも温度の立上性能に大差はみられませんが、地中温度が電源投入の2時間30分後にニクロム方式をSP方式が逆転しています。 ◆3 ニクロム線方式がヒーター間とヒーター線上温度がほぼ同一かヒーター線上が高いのに対し、SP方式はヒーター間温度が高い事が解り、併用しているアル ミ合金の面状効果が伺えます。 -6.0 -4.0 -2.0 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 0 9 :0 0 :0 0 0 9 :1 0 :0 0 0 9 :2 0 :0 0 0 9 :3 0 :0 0 0 9 :4 0 :0 0 0 9 :5 0 :0 0 1 0 :0 0 :0 0 1 0 :1 0 :0 0 1 0 :2 0 :0 0 1 0 :3 0 :0 0 1 0 :4 0 :0 0 1 0 :5 0 :0 0 1 1 :0 0 :0 0 1 1 :1 0 :0 0 1 1 :2 0 :0 0 1 1 :3 0 :0 0 1 1 :4 0 :0 0 1 1 :5 0 :0 0 1 2 :0 0 :0 0 1 2 :1 0 :0 0 1 2 :2 0 :0 0 1 2 :3 0 :0 0 1 2 :4 0 :0 0 1 2 :5 0 :0 0 1 3 :0 0 :0 0 1 3 :1 0 :0 0 1 3 :2 0 :0 0 1 3 :3 0 :0 0 1 3 :4 0 :0 0 1 3 :5 0 :0 0 1 4 :0 0 :0 0 1 4 :1 0 :0 0 1 4 :2 0 :0 0 1 4 :3 0 :0 0 1 4 :4 0 :0 0 1 4 :5 0 :0 0 1 5 :0 0 :0 0 1 5 :1 0 :0 0 1 5 :2 0 :0 0 1 5 :3 0 :0 0 1 5 :4 0 :0 0 1 5 :5 0 :0 0 SP表層① SP表層② SP地中① SP地中② ニク表層① ニク表層② ニク地中① ニク地中② 外気温度 ◆1 ◆21.熱電対による、地中内温度の測定(立上性能比較) まとめ
■無着雪時
◆面状効果
1. 地中・表層温度の立上りが早いニクロム線方式対比 : 地中温度13%増、表層温度33%増
2. 地中と表層の温度差が少ない ニクロム線方式の約1/2の温度差で推移
3. 太陽光により面状効果が促進される
■着雪時
1. 無着雪時のデータと比較すると、立上性能に大差はみられない。
2. 遠赤外線アルミ併用方式は、ヒーター間温度が高く推移しており、アルミ合金の面状効果が伺える。
地中内温度の計測により、無着雪時には優れた 立上性能 と 面状効果 が確認されましたが、着雪時には地中内温度の計測からは、大きな違いは
見受けられませんでした。しかし、遠赤外線の特性は電源投入時の温度計測から伺う事が出来ており、その特性が着雪時の融雪状況で確認できます。
次に、同試験時の融雪状況について報告致します。
2.着雪状態からの融雪状況の測定(融雪能力比較)
■前項にて検証した、着雪時の地中内温度測定試験より、融雪状況に変化が見られた時間帯を抜粋し、融雪能力の比較・検証を行う。
写真⑧~⑪ 写真⑫ 写真⑬ 写真⑤~⑦ 写真①~④ -6.0 -4.0 -2.0 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 0 9 :0 0 :0 0 0 9 :1 0 :0 0 0 9 :2 0 :0 0 0 9 :3 0 :0 0 0 9 :4 0 :0 0 0 9 :5 0 :0 0 1 0 :0 0 :0 0 1 0 :1 0 :0 0 1 0 :2 0 :0 0 1 0 :3 0 :0 0 1 0 :4 0 :0 0 1 0 :5 0 :0 0 1 1 :0 0 :0 0 1 1 :1 0 :0 0 1 1 :2 0 :0 0 1 1 :3 0 :0 0 1 1 :4 0 :0 0 1 1 :5 0 :0 0 1 2 :0 0 :0 0 1 2 :1 0 :0 0 1 2 :2 0 :0 0 1 2 :3 0 :0 0 1 2 :4 0 :0 0 1 2 :5 0 :0 0 1 3 :0 0 :0 0 1 3 :1 0 :0 0 1 3 :2 0 :0 0 1 3 :3 0 :0 0 1 3 :4 0 :0 0 1 3 :5 0 :0 0 1 4 :0 0 :0 0 1 4 :1 0 :0 0 1 4 :2 0 :0 0 1 4 :3 0 :0 0 1 4 :4 0 :0 0 1 4 :5 0 :0 0 1 5 :0 0 :0 0 1 5 :1 0 :0 0 1 5 :2 0 :0 0 1 5 :3 0 :0 0 1 5 :4 0 :0 0 1 5 :5 0 :0 0 SP表層① SP表層② SP地中① SP地中② ニク表層① ニク表層② ニク地中① ニク地中② 外気温度■ヒーター埋設 ・ 設置状況
遠赤外線アルミ併用方式 通常ニクロム線方式 遠赤外線アルミ併用方式 通常ニクロム線方式 電熱対測点表記名 1 2 3 4 5 6 7 8 9 SP表層① SP表層② SP地中① SP地中② ニク表層① ニク表層② ニク地中① ニク地中② 外気温度 77 38.5 1 2 3 4 30 7 5 77 38.5 5 6 7 8 9(外気) 50 5 0 100 2 0 既設路盤 表 層:密粒度アスコン t=50mm 保護層:細粒度アスコン t=50mm 基 層:密粒度アスコン t=20mm 温度測定箇所(熱電対)①11:00 ③11:40 ②11:20 ④12:00 写真番号 工法 表層① 表層② 地中① 表層② ◆左表は、上記写真撮影時の地中内温度をまとめたものです。 SP 1.5 1.4 3.6 3.3 色の付いている部分は、ニクロム線工法の地中内温度が高いもしくは同等で ニク 1.7 1.5 4.2 4.1 あった事を示しています。 SP 1.8 1.7 4.0 3.8 ◆写真②の地中内温度は表層が同等、地中はニクロム線方式の方が高い状態 ニク 1.8 1.7 4.5 4.4 ですが、明らかに遠赤外線アルミ併用方式の融雪が進んでいる事が確認でき SP 2.1 1.9 4.4 4.2 ます。 ニク 2.0 1.8 4.9 4.9 ◆写真③④では、遠赤外線アルミ併用方式の表層温度が逆転し高くなり、融雪 SP 2.4 2.2 4.8 4.4 状況も順調に進んでいることが分かります。 ニク 2.1 2.0 5.1 5.1 ① ② ③ ④
⑤12:10 ⑦12:50 ◇12:05頃より降雪があり着雪状態になる。 ◇約10分後、遠赤外線アルミ併用方式は順調に融雪が進行。 ⑥12:40 写真番号 工法 表層① 表層② 地中① 表層② ⑤ SP 2.5 2.3 4.9 4.6 ニク 2.0 1.9 5.1 5.1 ⑥ SP 2.6 2.4 5.4 5.0 ニク 2.3 2.1 5.6 5.6 ⑦ SP 2.9 2.6 5.5 5.2 ニク 2.3 2.1 5.6 5.7 SP 0.4 0.3 0.6 0.6 ニク 0.3 0.2 0.5 0.5 外気温度/-2℃(車載温度計による) ◇約30分後、遠赤外線アルミ併用方式は中央部より融け始める。 ◆試験現場はビル風が常に吹き、試験のため融雪範囲には人・車が上がらないことから、融雪条件的には非常に厳しい環境といえます。 ニクロム線方式は完全に溶け残りが発生している状態ですが、遠赤外線アルミ併用方式は順調に融雪を行えていることが分かります。 ◆前項写真の地中内温度と同様に、地中内温度は表層温度で最大0.6℃差しかないにも関わらず、融雪状況は大きく異なっていることか分かります。 上昇温度
⑧13:00 ⑩13:20 ◇再び降雪があり着雪状態になる。 ⑨13:10 ⑪13:50 ◇陽が差している状態で融雪が開始される。 写真番号 工法 表層① 表層② 地中① 表層② ◆前項写真⑦の状態までに約40分を要しているが、陽が差した状況下での融雪 SP 2.7 2.6 5.5 5.1 は、ほぼ同じ状態の写真⑨まで約10分で到達しており、面状効果が促進され ニク 2.2 2.1 5.7 5.7 たことが十分に伺えます。 SP 2.9 2.7 5.8 5.5 ニク 2.4 2.4 6.0 6.0 ◆地中内温度の上昇をみても、遠赤外線アルミ併用方式の表層温度が跳ね上っ SP 3.0 2.8 5.8 5.5 ていることが分かります。 ニク 2.4 2.5 6.1 6.1 SP 3.8 3.2 6.1 5.8 ◆ニクロム線方式は、約50分後の写真⑪でも融雪がなされておらず融け残りが ニク 2.4 2.6 6.2 6.2 発生している。 SP 1.1 0.6 0.6 0.7 写真①~⑪を通しても、常に融け残りが発生している状態で、通常の融雪設備 ニク 0.2 0.5 0.5 0.5 として考えた場合、本試験の断面構成では熱量不足と判断されます。 上昇温度 ⑧ ⑨ ⑩ ⑪
2.着雪状態からの融雪状況の測定(融雪能力比較) まとめ
■電源投入時、約1℃差がある状態から通電を開始し、約2時間に融け始めが確認され、3時間後にははっきりと融雪能力の優劣が確認されました。
⑫14:30 【 遠赤外線アルミ併用方式の融雪能力検証結果 】 ◇写真①~④ 地中内温度が低い、もしくは同等な状態でも融雪効果が得られた。 ◇写真⑤~⑦ 地中内温度がほぼ同等な状態からも融雪効果が得られ、降雪に対して 追従性の高い(約40分にて融雪)融雪効果を確認。 ◇写真⑧~⑪ 日照時の高効率な融雪効果を確認。また、地中内温度の急激な温度 上昇からも、面状効果が促進されていることがうかがえた。 ■試験を通し、一貫して確認できることは、地中内温度が同等であっても融雪状況に大差が 生じている点です。 ニクロム線方式は、伝熱作用によりアスファルトを暖め融雪を行っています。これに対して 遠赤外線アルミ併用方式は、伝熱作用と、面状効果(遠赤外線の特性である熱ふく射) ⑬15:30 によって融雪を行っています。 融雪効果に大差がある状況写真と、相反する地中内温度の測定結果により、その効果を はっきり確認することができると思います。 ■試験中に降雪がありましたが、遠赤外線アルミ併用方式は、十分に追従した融雪が行われ ています。 路面が確認できる状況で一定の融雪効果があったと判断すると、写真⑦の状態となり、融 雪に要した時間は、通電開始から4時間となります。 一方、ニクロム線方式は降雪の度に残雪が生じ、路面を確認できたのが写真⑬の状態とな り、融雪に要した時間は、通電開始から6.5時間となります。 通電時間で融雪能力を比較すると、遠赤外線アルミ併用方式はニクロム線方式が融雪に 要する時間の 約60% で融雪が行えることになります。3.遠赤外線アルミ合金併用融雪システム 融雪効果検証
■これまでの比較試験により、遠赤外線アルミ合金併用方式の面状効果率を数値で示すと、以下の通りとなります
1、 無着雪時の地中内温度推移(立上性能)は、ニクロム線方式対比 : 地中温度で13%増、表層温度で33%増 2、 融雪能力(稼働時間)は、ニクロム線方式の 60%にて融雪が可能 この数値から、実際の融雪施設の稼動に対し、どれだけの維持費削減に繋がるのか試算してみます。 【 想定設備概要 】 融雪面積 : 1000㎡ ◇1 秋田市内での従来設計熱量は200W/㎡となっております。 設計熱量 : 180W/㎡ 本試験にて、遠赤外線アルミ併用方式は180W/㎡にて融雪できることが立証されています ので、設備容量にて10%の削減が可能となります。 設備容量 : 180kw 基本料金 = 1,700(円/kw) × ○○kw(設備容量) × 0.85(力率)×3(ヶ月) 施工場所 : 秋田市内 + 420(円/kw) × ○○kw(設備容量) × 0.85(力率) 基本料金 = 1,700(円/kw) × 20kw(設備容量) × 0.85(力率)×3(ヶ月) 施工断面 : 本試験と同断面とする 基本料金算出 + 420(円/kw) × 20kw(設備容量) × 0.85(力率) 電気料金算出式 融雪用電力B(高圧) 削減費用算出(a) 86,700 + 7,14093,840 (円)
◇2 電力使用料金の算出 ・ニクロム線方式の稼働時間を、700時間と想定して試算。 ・遠赤外線アルミ併用融雪システムは、ニクロム線方式に対し60%の通電にて融雪が可能ですが、本試算では200W/㎡のニクロム線方式との比較に なるため、通電率をニクロム線方式の80%として試算します。 ■200W/㎡のニクロム線方式と比較した場合、電気料金で371,576円の削減となり、約20%のコスト削減が可能であると試算されます。 削減費用算出(b) 991,200 - 713,664