• 検索結果がありません。

IGRT における被ばく線量評価の考え方 山口大学医学部附属病院川村慎二はじめに近年, 画像誘導放射線治療 (Image guided radiation therapy: 以下 IGRT) の普及により精度の高い放射線治療が実施されている.IGRT の使用目的は, 放射線治療における位置精度保証や

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "IGRT における被ばく線量評価の考え方 山口大学医学部附属病院川村慎二はじめに近年, 画像誘導放射線治療 (Image guided radiation therapy: 以下 IGRT) の普及により精度の高い放射線治療が実施されている.IGRT の使用目的は, 放射線治療における位置精度保証や"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

はじめに

近年,画像誘導放射線治療(Image guided radiation therapy: 以下 IGRT)の普及により精度 の高い放射線治療が実施されている .IGRT の使用目的は,放射線治療における位置精度保証や病 巣サイズ・体型の継時的変化など状況確認 ,EPID ドジメトリなど線量検証ツールとしての利用 , および Adaptive radiation therapy や 4D radiation therapy への応用などがある.一方,現時点 におけるIGRT の課題として,毎回の治療における IGRT 実施にともなう被ばく線量増加問題や IGRT 精度管理の重要性,および IGRT 画質が不十分であることなどがあげられる .今回,IGRT における被ばく線量をどのように評価し臨床に用いるべきかについて報告を行う . 1. IGRT における被ばく線量評価 1.1 kV planar 画像の線量評価 診断領域の X 線の線量は,エネルギー別に 2 つの方法で評価を行う.AAPM TG61 に管電圧 40-300 kV の X 線における線量評価方法について記載されている 1).ここでは低エネルギーX 線と して管電圧100 kV 以下は空中校正法が,中エネルギーX 線として 100 kV を超える領域は水中 2 cm の深さにおける水中校正法による線量評価が推奨されている .また,X 線の線質を Cu や Al によ る半価層と管電圧の両方を用いて評価することや測定における各種補正係数の算出 ,および線量評 価による不確かさについて記載されている 1).電離箱線量計の読み値 M から空気カーマ校正定数 Nkは以下の式で算出される .

M

K

N

air k

・・・・・・・・・・・・・ ・ (1) Kairは空気カーマを表す .ここで照射線量校正定数NXとNkの関係は以下の式で表される .

g

e

W

N

N

air X k

1

・・・・・・・・・ (2)

ここで(W/e)airは空中で1 イオン対生成の平均エネルギーを表し ,33.97 J/C (0.876×10-2 Gy/R) である.(1-g)は放射損失の補正項である.通常,300 keV 以下のエネルギーの光子の場合,空中 における放射損失は0.1 %未満と見積もられるため影響は無視できる 1).低・中エネルギーX 線の 空中校正法による水表面における吸収線量 DW, Z=0は以下の式で評価される .

air W air en air stem W K Z W

M

N

B

P

D

, 0

,

・・・ (3) BWは後方散乱係数 ,Pstem,airはステム補正係数,

air W air en

は水と空気の平均質量エネルギー 吸収係数である .IGRT における表面線量の評価では後方散乱の補正は行っていない .100 kV か ら300 kV までの中エネルギーにおける水中 2 cm の吸収線量は以下の式で示す.

water W air en sheath cham Q K Z W

M

N

P

P

D

cm

2 , , ・・・ (4) PQ,chamはチェンバ空洞や壁などの補正係数 ,Psheathは防水鞘の補正係数である .このように X 線のエネルギー(線質)の違いにより校正や吸収線量評価方法が規定され被ばく線量として評価さ れる. 1.2 Computed Tomography (CT)の線量評価 1.2.1 CT 線量指標による線量評価 放射線治療計画や照射位置照合において CT は必要不可欠なモダリティである.CT の線量評価 山口大学医学部附属病院 川村慎二

IGRT における被ばく線量評価の考え方

(2)

はmGy の単位で表される線量指標として computed tomography dose index (CTDI)が利用され る2).これは回転中心軸上における 1 回転線量の積算吸収線量として以下の式で与えられる .

CTDI

=

1

NT

æ

è

ç

ö

ø

÷

D Z

( )

-¥ ¥

ò

dZ

・・・・・・・・・・(5) D(Z)は Z 位置の吸収線量,N はスライス数,T はスライス厚を表す.さらに装置のスキャン線 量を評価するために,16 cm と 32 cm 直径のファントムを用いた回転中心軸上 100 mm の平均空 気カーマ線量を CTDI00で表される.

 

z

dz

D

NT

CTDI

mm mm



50 50 100

1

・・・・・・・・・・(6) この値に吸収線量変換係数 f を用いることにより水中の吸収線量に変換する.同じファントム を利用して,表面から1 cm の辺縁線量と中心線量の比率を考慮した CTDIwは以下の式で表され る. . 100 100

3

2

3

1

center periph W

CTDI

CTDI

CTDI

・・・・・・(7) 中心の 1/3 や辺縁の 2/3 は相対的面積による.さらに,寝台の移動による X 線のギャップや重 なりを考慮した CTDIvolは以下の式で表される . W W vol

CTDI

pitch

CTDI

I

T

N

CTDI

1

・・・・(8)

1 回の CT 撮像による総線量評価は CTDIvol に回転軸上のスキャン長さを乗じて Dose length product (DLP)で表す.

length

scan

CTDI

DLP

vol

・・・・・・・・・(9) 単位は mGy cm となる.この他に,サイズに依存した指標として人体横断面の AP 方向と Lat 方向の比を用いて頭部用16 cm 直径と体幹部用 32 cm 直径のファントム値から推定線量を求める Size-specific dose estimate (SSDE)3)などが利用される.

CBCT の線量評価においては,CTDI のように 100 mm のペンシル型チェンバを用いることは 適切ではない.ビーム中心軸のZ=0 の位置に小型のイオンチェンバを配置してポイント線量 D(0) として評価する 4)

1.2.2 American College of Radiology による Dose Index Registry(DIR)の取り組み

米国において線量管理の標準化と最適化を図るためにCT 線量指数 Dose Index Registry(DIR) の登録システムが運用されている 5).これは,UNSCEAR や IAEA の提言を基に CT 線量増加に 対する取り組みとして開始された .登録された医療施設で実施した CT 検査の線量指標などのパ ラメータをRadiation dose structured report(RDSR)として American College of Radiology (ACR) に登録され,集約・解析されるシステムである.各施設のデータは匿名化されるが,自施 設の同一検査の線量が地域や全国における線量データと比較できるよ うになっている.600 を超 える施設と600 万検査(2013 年 10 月時点)が登録・解析されている実績がある.このような取 り組みは放射線治療や放射線治療における IGRT 被ばく線量評価に応用していく必要があると考 える.

(3)

2 CBCT 装置別線量評価(多施設共同研究 ) 平成 24—25 年度に日本放射線技術学会の学術調査研究として「画像誘導放射線治療( IGRT) におけるCone-beam CT(CBCT)の被ばく線量評価と最適化」が実施された.2 種類の kV-CBCT 装置(XVI:2 施設 2 装置),(OBI:5 施設 6 装置)と MV-CBCT 装置(2 施設 2 装置)について 被ばく線量評価に関する多施設共同研究が実施された .以下に各装置の線量評価結果を示す . 2.1 ファーマ形線量計を用いた I’mRT ファントム内吸収線量の測定

頭頸部・骨盤部用 I’mRT ファントム (IBA dosimetry)内部ビーム中心断面の 9 点について,装 置種類ごとに同一条件下でCBCT 撮像を行い,各点の吸収線量をファーマ形線量計を用いて評価 した.ファントム内測定点や各装置のCBCT 撮像回転角度を Fig. 1 に示す.また,各装置の撮像 条件を Table 1 に示す. この測定で得た電荷量から各測定点の吸収線量

D

WkVを算出する計算式を以下に記す . phant phant Co W D kV W

N

M

k

D

60,

・・・・・・・・(10) ここで,

N

D,W60Coはファーマ形線量計の水吸収線量校正定数 ,Mphant はファントム測定電荷量 , kphantはファントム材質 MW3 と水との吸収線量比をとったファントム補正係数,

k

60Co kV Co から kV エネルギーへの線質変換係数である .これは以下の式によりモンテカルロシミュレーション 計算で値を得た .

Co MC w air w kV MC w air w Q

D

D

D

D

k

6 0 ・・・・・・・・・・・・(11) 管電圧 100 kV における OBI,XVI の kQの値は各 0.8719±0.007,0.8753±0.006 であった. 管電圧 125 kV の OBI は 0.8816±0.006,管電圧 120 kV の XVI は 0.8871±0.004 となった.各 装置の頭頸部条件と骨盤部条件の吸収線量評価結果をFig. 2 (a), (b)に示す.頭頸部条件における 各測定点の平均吸収線量はMV-CBCT 4 MV が 40.22 mGy,6 MV は 44.59 mGy,OBI では 3.78 mGy,XVI は 2.48 mGy であった.各装置とも回転角度に依存したポイント線量の差が認められ る.骨盤部の吸収線量はMV-CBCT 4 MV が 56.37 mGy,6 MV は 63.34 mGy,OBI では 30.94 mGy, XVI は 11.93 mGy であった.集計した結果を Table 2 に示す.

Fig. 1 I’mRT ファントム吸収線量の測定

(4)

頭頸部において OBI の平均吸収線量は XVI の 1.52 倍,4 MV は OBI の 10.64 倍であった.骨 盤部については OBI の平均吸収線量は XVI の 2.59 倍,4 MV は OBI の 1.82 倍となった.XVI についてはIslam らの報告 6)と比べて,特に頭頸部の吸収線量が低くなっている .Giaddui らは フィルムとOptic simulated luminescence dosimeter(OSLD)を用いて XVI と OBI の線量を評価 した.頭頚部の条件で OSLD 平均線量は XVI が 1.1 mGy,OBI が 5.9 mGy,骨盤部の条件で XVI が22.6 mGy,OBI が 22.8 mGy と報告している 7).各装置とも CBCT 開発のバージョンアップ により被ばく線量低減が図られている8)

2.2 モンテカルロ(MC)シミュレーションによる CBCT 吸収線量計算

OBI,XVI,MV-CBCT について MC 計算コード BEAMnrc と dosxyznrc によるファントム, 人体内部の吸収線量を計算した .初めに,kV-CBCT 管球や MV-CBCT(6 MV 照射 8 MU)ヘッド 構造のジオメトリを設計して ,kV ビームのスペクトルや半価層,および空中の線量プロファイ ルを求め,実測値と比較した.XVI の beamline は Spezi らの報告9)を参考にして ,フィルタ部 分と区別して 2 段階で Phase space file を作成した.MV-CBCT については PDD と OCR を計算 し実測値と比較した.骨盤部用 I’mRT ファントムの中心測定点 5 番(Fig.1)の吸収線量を基準 として MC 計算結果との校正を実施した.線量評価式を以下に記す. MC cen meas cen MC po dose MC po po

D

D

D

k

D

D

int

int

int

・・・・(12)

Dpointは各計算点の吸収線量,

D

pointMC はI’mRT ファントム中心(5 番)における MC 計算による 吸収線量値,

k

doseはMC 線量変換係数で IMRT 中心線量の実測値と MC 値の比で表す.この式を 用いて I’mRT ファントムの各測定点の実測吸収線量と MC 計算線量を比較した.頭頸部 I’mRT

Fig. 2 (a) 装置別吸収線量 (頭頸部) (b) 装置別吸収線量 (骨盤部) Table 2 I’mRTファントム吸収線量集計

(5)

ファントムにおいてOBI の MC 計算と実測の各測定点吸収線量の平均誤差は-1.0 %,最大誤差は -3.5 %となった.XVI は平均誤差-1.5 %,最大誤差-5.3 %となった.骨盤部ファントムでは,OBI の平均誤差-1.1 %,最大誤差-4.3 % XVI の平均誤差-2.7 %,最大誤差-8.8 %であった.誤差の大 きな測定点はファントム配置した寝台側であり ,寝台の影響により誤差が大きくなったものと考 える. 2.3 CT 画像の線量分布作成と臓器別線量解析 実際の CT 画像に MC 計算を行い,式(12)で校正して線量分布を作成した .作成された線量分 布から kV-CBCT と MV-CBCT(6 MV 照射 8 MU)の線量分布の DVH 解析を実施した.頭頸部に 対する OBI,XVI,MV-CBCT の DVH 解析グラフを Fig. 3(a), (b), (c)に示す.DVH 計算ストラ クチャとして,膀胱,前立腺,直腸,左右大腿骨を設定して解析を行った .各装置の線量分布特 性として,kV-CBCT では骨部(特に骨皮質)における吸収線量が高いことがわかる .MV-CBCT ではストラクチャ組織による線量の差は少なく ,骨部の突出した高線量は認められない . ICRU83 に従って DVH 評価指標を Table 3 に示す.D2%やDmaxにおいてkV-CBCT は膀胱, 直腸,前立腺に対して大腿骨が相対的に高い吸 収線量となっていることがわかる .これはDing らによるMC 計算結果の報告10)と同様の結果で あった.一方,MV-CBCT では大腿骨の特異的 な吸収線量の増加は認められない .これは,kV, MV の線質の違いにより発生したものと考える. ここでは1 回のスキャンによる吸収線量評価で あ る . も し , 前 立 腺 IMRT39 回 の 治 療 時 に 毎回の CBCT 撮像を行った場合,OBI,XVI, MV それぞれの臓器平均吸収線量合計は ,膀胱 で1350 mGy,336 mGy,2600 mGy となる.

(a) OBI (b) MV

(c) XVI

(6)

直腸は 1147 mGy,327 mGy,2838 mGy となる.各臓器とも治療ビームによる線量の 0.4-3.6 % に及ぶ. 3 まとめ IGRT における Planar 画像と CT における被ばく線量評価方法について記載した .CBCT の線 量評価はAAPM の報告においても CTDI などの線量評価指標を利用する方法が紹介されている . 診断用のCT 検査においては,米国の DIR の取り組みを紹介した.標準化された線量指標を用い て全国的な被ばく線量指標のデータ収集・解析を行うことは ,被ばく線量低減において大変有意 義である.我が国の放射線治療においても ,全国レベルでのIGRT の運用状況調査や被ばく線量 評価のデータ収集は必要な取り組みではないかと考える .しかし,CTDI による相対的な線量指 標では,実効線量換算係数の不確かさや使用するビームの線質特性の影響 ,測定器が特殊であり 施設での所有率が低いこと ,および不均質臓器による線量への影響など問題点が指摘される .そ こで,IMRT 検証用ファントムとファーマ形線量計を用いた実測と MC 計算の比較を行い,装置 別,線質別に人体内部の線量分布を作成し ,DVH 解析を行う方法を紹介した.これにより,装 置別に基準となる測定点の線量評価を行えば ,MC 計算を適用でき,RTPS で出力される線量分 布や DVH 等による線量評価と同様な解析が可能となる.本法は,放射線治療における IGRT に よる被ばく線量解析のツールとして ,装置別,部位別に DVH データを蓄積して臓器線量を詳し く解析することが可能であり ,被ばく線量評価手法として有用と考える . 参考文献

1) Ma CM, Coffey CW, DeWerd LA, et al. AAPM protocol for 40 -300 kV x-ray beam dosimetry in radiotherapy and radiobiology. Med Phys. 2001;28(6):868-893.

2) AAPM task group 23, The Measurement, Reporting, and Management of Radiation Dose in CT. AAPM report No.96

3) AAPM task group 204, Size-specific dose estimates (SSDE) in pediatric and adult body CT examinations. AAPM report No.204

4) AAPM task group 111, Comprehensive methodology for the evaluat ion of radiation dose in X-ray computed tomograpy. AAPM report No.111.

5) Robinson, TJ, Robinson, JD, Kanal, KM. Implementation of the ACR dose index registry at a large academic institution: early experience. J Digit Imaging 26(2):309-315, 2013

6) Islam MK, Purdie TG, Norrlinger BD, et al. Patient dose from kilovoltage cone beam computed tomography imaging in radiation therapy. Med Phys. 2006;33(6):1573-1582. 7) Giaddui T, Cui Y, Galvin J, et.al., Comparative dose evaluations between XVI and OBI cone beam CT systems using Gafchromic XRQA2 film and nanoDot optical stimulated luminescence dosimeters. Med Phys. 2013;40(6):062102.

8) Kim S, Yoo S, Yin FF, et.al., Kilovoltage cone-beam CT: comparative dose and image quality evaluations in partial and full-angle scan protocols. Med Phys.

2010;37(7):3648-3659.

9) Spezi E, Downes P, Radu E, et.al., Monte Carlo simulation of an x -ray volume imaging cone beam CT unit. Med Phys. 2009;36(1):127 -136.

10) Ding GX, Duggan DM, Coffey CW. Accurate patient dosimetry of kilovoltage cone-beam CT in radiation therapy. Med Phys. 2008;35(3):1135-1144.

参照

関連したドキュメント

瓦礫類の線量評価は,次に示す条件で MCNP コードにより評価する。 なお,保管エリアが満杯となった際には,実際の線源形状に近い形で

海水、海底土及び海洋生物では、放射性物質の移行の様子や周辺住民等の被ばく線量に

本案における複数の放送対象地域における放送番組の

線量は線量限度に対し大きく余裕のある状況である。更に、眼の水晶体の等価線量限度について ICRP の声明 45 を自主的に取り入れ、 2018 年 4 月からの自主管理として

1.管理区域内 ※1 外部放射線に係る線量当量率 ※2 毎日1回 外部放射線に係る線量当量率 ※3 1週間に1回 外部放射線に係る線量当量

使用済燃料プールからのスカイシャイン線による実効線量評価 使用済燃料プールの使用済燃料の全放射能強度を考慮し,使用

放射線の被ばく管理及び放射性廃棄物の廃棄に当たっては, 「五

放射能濃度は、試料の輸送日において補正。