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オンライン会議とオフライン会議の意思疎通の比較

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Academic year: 2021

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(1)1P1-9. 経営情報学会2020年全国研究発表大会 2020年11月7日(土)~11月8日(日) オンライン開催. オンライン会議とオフライン会議の意思疎通の比較 Comparison of communication between online and offline meetings 宮内佑実 遠藤正之(静岡大学情報学部). 要旨:現在、新型コロナウイルスの感染予防のため、対面での密接な集合が問題視され、様々な組織でオン ライン会議が行われている。学生団体でも、オンラインコミュニケーションツールを用いた会議を行っている。 しかし、オンラインの会議はオフラインの会議と比較し、空間・音声・視覚などの点で制限があり意思疎通が 難しいと感じる。本報告では、学生団体で開催されるオンライン会議とオフライン会議を交互に行うもので、 音声の録音とアンケートを基に、実証的に確認した。 Abstract:Presently, in order to prevent infection with the new coronavirus, face-to-face close assembly is regarded as a problem, and online meetings are being held by various organizations. Some student body hold online conferences with an online communication tool, too. However, it is difficult to communicate vividly by the online conference than offline conference in terms of space, voice, and vision. In this report, we confirmed empirically based on audio recordings and questionnaires at a conference held by student body that alternates between online and offline conferences.. 1. はじめに. 支援団体。現在は、130 社以上の幅広い企業と提携. 現在、新型コロナウイルスの感染予防のため対面. している。就活を終えた学生が運営の中心メンバー. に密接な集合が問題視され、様々な組織でオンライ. となり、1 対 1 で行うキャリア面談をはじめとするキャリ. ン会議が行われている。. ア支援を各大学支部で開催している。2019年の卒業. また、組織で行う会議は目標を掲げ達成するため. の学生は 1 万 6 千人以上が利用し、日本最大級のキ. に行うことが多いため、お互いの意思疎通をした上. ャリア支援団体として活動している。. で進行し、実行段階につなげることが重要である。意. 2-2.団体の現状. 思疎通とは、相互の認識相違がなく、必要な情報が. 現在、「本部」と「株式会社 RECCOO(以下、リク. 共有されている状態を指す。. ―)」を軸に 100 大学で活動している。本部は、各支. ダニエル・コイル(2018)は、複数の具体例を用いな. 部で成果をあげている学生メンバーを中心に構成さ. がら「良いチームに必要なもの」について記述してい. れる。リク―は、エンカレの OBOG を中心に構成され、. る。その一つとして、「相手の考えを受け入れる事」を. 学生だけでは実現が難しい業務を行うことでエンカ. 述べている。これは、会議でも適応できると考えられ. レを支える。. る。本報告では、オンラインとオフライン会議による、. 筆者の所属するエンカレ静岡支部は、2020 年 4 月. 意思疎通度合いの差について、調査・考察する。. に設立した立ち上げ段階の支部である。支援対象を 静岡大学、静岡文化芸術大学(静岡県立大学、常葉. 2. 研究対象の詳細. 大学)とし、現在 100 名以上の就活生に情報を提供. 2-1.団体説明. している。現在は 21 卒の就活を終えた静大生 5 名、. 本報告では、筆者が所属する「キャリア支援 NPO. 文芸生 1 名を主要メンバーとし、名古屋支部の名大. 法人エンカレッジ」(以下、エンカレ)の会議を取り扱. 生 1 名の補助を頼りに、4 セクションに分かれて運営. う。. している(図1)。. エンカレは、2014 年からサービスを開始し、現在は. 後輩への価値提供をやりがいとする者や、自己成. 全国 47 都道府県 100 大学以上で活動するキャリア. 長を目的に活動している者など、メンバーの参加目. 144.

(2) 経営情報学会2020年全国研究発表大会 2020年11月7日(土)~11月8日(日) オンライン開催. 的は様々だ。. 面にメンバーの顔が映し出されるため、同時に表情 を認識する。また、カメラオフの機能などが存在する ため、顔が映し出されない場合もある。 以上のことから、オフラインと比較しオンラインは意 思疎通が困難ではないかと考える。. 3. 仮説、研究方法 3-1.仮説 仮説①「オフラインと比較し、オンラインの意思疎通 は困難である。」 (本報告での意思疎通とは、自分の意思を伝えら れること、相手の意図をくみ取ることとする。) 図 1 エンカレの組織構造. 仮説②「オフラインと比較し、オンラインの方が一人. 2-3.会議について. 当たりの発言頻度が低い。」. 週に一度、1 時間〜2 時間程度、7 人程度で会議の. (帰属意識の高いチームは、一回当たりの発言秒. 時間を設けている。会議の内容は、主にセクションご. 数が短く、一人当たりの発言頻度が多いため。T ダニ. との報告・提案、課題検討、などである。4 月から 8 月. エル・コイルより). までの会議は、オンラインとオフラインを 2:1 の割合. 3-2.研究方法. で行い、現在も進行している。. 仮説を検証するにあたり、メンバーの無意識下・意. オンライン開催の場合、利用しているシステムは. 識下の両観点から検討する。無意識下についての. Zoom(開発元:ズーム・ビデオ・コミュニケーション)で. 検証は「オンラインとオフラインの差」の一つである音. ある。資料は、Google ドキュメントで同時編集を行い. 声を参考に、意識下についての検証はアンケートを. ながら進行する。. 参考に行う。7 人のメンバーの表記をA~Gとする。. オフライン開催の場合、同じ空間に円を作るように. 3-2-1.音声の解析. 座り、各自のデバイスで Google ドキュメントを参照し. オンライン会議とオフライン会議、それぞれの音源. ながら進行する。. を録音し、議題ごと(セクションごとの報告・提案、課. 2-4.オンラインとオフラインの差. 題検討、雑談)のA~Gの発言頻度・スピード感を記. オンラインとオフラインの差は大きく 3 つ存在する。. 録。その記録を、オンラインとオフラインで比較し、差. 一つ目は「空間」。オフラインの場合、同じ空間に. のあるポイントを検出。. 複数人のメンバーが存在し同じ空間を共有している。 対してオンラインの場合、基本一部屋に一人で存在. 3-2-2.アンケート 出席者 7 人のメンバーに対し、オンライン会議とオ. し、デバイスと対面する形になる。. フライン会議、それぞれに対するアンケートを行った。. 二つ目は「音声」。オフラインの場合、メンバーがい る全方向から声を聞き取る。対してオンラインの場合、 利用しているデバイスより再生される音を聞き取る。 更に、利用中のシステムによって、音声遅延が発生 する場合もある。. 具体的な質問内容は以下である。 ・会議の充実度(6 段階評価とその理由) ・自身の意思の伝達(6 段階評価とその理由) ・メンバーの意図への配慮(6 段階評価とその理由) ・オンライン会議とオフライン会議の差(自由記述) 3-3.研究対象 研究対象として録音した会議は、オンライン 2 回分、. 三つめは「視界」。オフラインの場合、メンバーが同. オフライン 2 回分である。それぞれの会議の詳細は. じ空間に存在し、室内全体を見渡すことで視覚情報. 図 2 の通りである。. を取得している。対してオンラインの場合、媒体の画 145.

(3) 経営情報学会2020年全国研究発表大会 2020年11月7日(土)~11月8日(日) オンライン開催. 図 2 対象とした会議の詳細. 4. 結果 4-1.音声. 図 4 アンケート 6 段階評価. 時間経過は以下の図 3 のような結果になった。8/3. 縦列の解答について、メンバー間の差は 0~2 以. の終了時刻が遅い理由は、議論すべき内容が多く、. 内と、外れ値のないものであった。また、B-①を除く. まとめることに時間を要したためである。. すべての解答がオンラインと比較し、オフラインの方 が高い解答である。 オンラインとオフラインの間で個人の回答の差が大 きい(3 以上の)ものは、B-③で相手の意図の考慮が より困難、C-②で自身の意思の発信が困難とされ、. 図 3 会議の時刻の詳細. 個人に差があるものの、どちらもオフラインの方がか. 議題ごとに時間・スピード感・発言量(コメントや相. なり快適だと回答されている。. 槌)の比較を行った結果は以下である。. 4-2-2.自由記述について. (1)セクションごとの報告・提案の比較 ・ 所要時間に大きな差はない。 ・ スピード感に差はない。 ・ 発言量はオンラインの方が少ない。 (2)課題検討 ・ 時間はオンラインの方が短い。 ・ スピード感はオンラインの方が遅い。 ・ 発言量はオンラインの方が圧倒的に少ない。 (3)雑談 ・ オンラインではほとんど存在しないため、回答でき ない。 また、音声の解析を行った際、以下の特徴を把握. それぞれの設問に対する回答の特徴を、ポジティ ブ(+)ネガティブ(-)どちらともいえない(?)に 3 分類し、 まとめる。また、ポジティブな意見とネガティブな意見 の割合を記述する。 ①会議の充実度 オンライン ・ 淡々と進み、無駄話がない。(+) ・ 間延びせず効率的。(+) ・ 気を遣ってしまい、話しづらい。(-) ・ 流れを理解する集中力が必要。(-) オフライン ・ 笑顔が多い会議だった。(+) ・ リラックスした状態で臨めた。(+) ・ 注意散漫で集中力が切れる瞬間もあった(-) ・ 内容によって間延びしてしまう。(-) ②自身の意思の発信. できた。 オフラインと比較してオンライン会議は… ・ 各メンバーが話す頻度が少ない。 ・ 同時に話す回数が少ない。 ・ 相槌が少ない。 ・ スピード感が遅い。(空白の時間有) ・ 笑う回数が少ない。 4-2.アンケート. オンライン ・ スムーズに進めるために、余計な発言は控えてい る(?) ・ 遠慮してタイミングを逃す(-) オフライン ・ 意識せず自然に発言している(+) ・ 自分のターンでつい話過ぎてしまった(-) ③メンバーの意図の理解. 4-2-1.6 段階評価について アンケートで行った①充実度 ②自身の意思の伝 達 ③メンバーの意思の配慮 の 6 段階評価は、以 下の結果になった(図 4)。. オンライン ・ 真剣に聞けたと思う(+) ・ 何を考えているかわからない(-) 146.

(4) 経営情報学会2020年全国研究発表大会 2020年11月7日(土)~11月8日(日) オンライン開催. ・ 表情からあまりポジティブでない意図を感じてしま った(?) オフライン ・ わからないことがある際、即座に質問できる(+) ・ そもそも意識していなかった(?) ④オンラインとオフラインの差. 第一に、「オフラインの方が、会話にスピード感があ り、笑う回数が多い」こと。会議として不要な発言だが、 会話のような発言があることによって、自然なスピー ドを保っているように感じられた。 第二に、「オンラインの方が、タイムマネジメントをし. オンラインの方が良い点 ・ 無駄話が少ない。 ・ 報告のみの場合。議論はオフラインが適切だと感 じる。 ・ 時間や場所の制約が少ない。 オフラインの方が良い点 ・ 話し出すタイミングが掴みやすい。 ・ 些細な表情や語気の変化を感じ取れる。 ・ 笑顔と発言量が多い気がする。 4-3.その他. やすい」こと。オフラインだと、会話のような発言が混 じり、会議の時間が伸びることがある。その点では、 オンラインの方が秀でている。. 6. 課題、限界 今回の調査で、オンライン会議とオフライン会議の 音声の差と参加者の内心を理解することができた。 今回不明確で、今後更に調査すべきなのは以下の. 音声・アンケートの情報以外に筆者の気付いたポ. 点である。. イントとしてオフラインと比較してオンライン会議は以. 第一に、研究対象が少数のため確実性が低く、会. 下のとおりである。 ・画面の表情を見てしまう。(視覚). 議の内容に左右されてしまった可能性があること。. ・会議終了から解散時刻までが短い(空間). 様々な内容の会議のデータを集め、母数を増やす 必要がある。 第二に、対象組織が一つであること。エンカレ以外. 5. 分析、考察. の組織にも目を向け、どのような会議が行われてい. 今回の調査結果からの示唆は以下である。. るのか同じように調査し、母数の幅を増やす必要が. 5-1.仮説①について. ある。. オフラインと比較し、オンラインの意思疎通度合い. 他に研究の改善点として、アンケートの内容があげ. は低いとメンバーが感じている事が明らかになった。. られる。「オンライン会議とオフライン会議で感じる. (図 3 より) メンバーによって意思疎通における苦手な要素は. 差」についての質問をすることにより、研究の趣旨を. 異なるが、全メンバーがオフラインよりもオンラインで. 理解した上で回答していた者がいたため、研究の趣. の会議の方が意思疎通を図りづらい(議論を進めづ. 旨を理解せず、純粋な気持ちで回答できる内容に改. らい)と評価・コメントを残した。. 善すべきである。. 5-2.仮説② 7. おわりに. オフラインと比較し、オンラインの方が一人当たりの. 本報告では、オンラインよりもオフラインの方が意. 発言頻度が低いことがわかった。(音声より) 特に顕著であったのは、課題に対し議論を行う際. 思疎通しやすいという結論に達したが、オンラインの. である。投げかけられた質問に対しコメントするまで. 会議の特性を生かしつつ、今後どのような対策を講. に間が空くことが多々あり、円滑なコミュニケーション. じることで、円滑な会議を実現できるかについて調査. が取れていなかった。原因は、「話すタイミングをうか. したい。. がっている」「理解が追い付かない」(アンケートより) の二パターン存在した。. 参考文献. 5-3.その他. ダニエル・コイル,(2018)『THE CULTURE CODE』, 桜田直美出版社.. 仮説以外にも明らかになったことがある。. 147.

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図  2  対象とした会議の詳細  4. 結果  4-1.音声  時間経過は以下の図 3 のような結果になった。8/3 の終了時刻が遅い理由は、議論すべき内容が多く、 まとめることに時間を要したためである。  図  3  会議の時刻の詳細  議題ごとに時間・スピード感・発言量(コメントや相 槌 )の比較を行った結果は以下である。  (1)セクションごとの報告・提案の比較  ・  所要時間に大きな差はない。  ・ スピード感に差はない。  ・  発言量はオンラインの方が少ない。  (2)課題検討  ・  時間

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