オンライン会議とオフライン会議の意思疎通の比較
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(2) 経営情報学会2020年全国研究発表大会 2020年11月7日(土)~11月8日(日) オンライン開催. 的は様々だ。. 面にメンバーの顔が映し出されるため、同時に表情 を認識する。また、カメラオフの機能などが存在する ため、顔が映し出されない場合もある。 以上のことから、オフラインと比較しオンラインは意 思疎通が困難ではないかと考える。. 3. 仮説、研究方法 3-1.仮説 仮説①「オフラインと比較し、オンラインの意思疎通 は困難である。」 (本報告での意思疎通とは、自分の意思を伝えら れること、相手の意図をくみ取ることとする。) 図 1 エンカレの組織構造. 仮説②「オフラインと比較し、オンラインの方が一人. 2-3.会議について. 当たりの発言頻度が低い。」. 週に一度、1 時間〜2 時間程度、7 人程度で会議の. (帰属意識の高いチームは、一回当たりの発言秒. 時間を設けている。会議の内容は、主にセクションご. 数が短く、一人当たりの発言頻度が多いため。T ダニ. との報告・提案、課題検討、などである。4 月から 8 月. エル・コイルより). までの会議は、オンラインとオフラインを 2:1 の割合. 3-2.研究方法. で行い、現在も進行している。. 仮説を検証するにあたり、メンバーの無意識下・意. オンライン開催の場合、利用しているシステムは. 識下の両観点から検討する。無意識下についての. Zoom(開発元:ズーム・ビデオ・コミュニケーション)で. 検証は「オンラインとオフラインの差」の一つである音. ある。資料は、Google ドキュメントで同時編集を行い. 声を参考に、意識下についての検証はアンケートを. ながら進行する。. 参考に行う。7 人のメンバーの表記をA~Gとする。. オフライン開催の場合、同じ空間に円を作るように. 3-2-1.音声の解析. 座り、各自のデバイスで Google ドキュメントを参照し. オンライン会議とオフライン会議、それぞれの音源. ながら進行する。. を録音し、議題ごと(セクションごとの報告・提案、課. 2-4.オンラインとオフラインの差. 題検討、雑談)のA~Gの発言頻度・スピード感を記. オンラインとオフラインの差は大きく 3 つ存在する。. 録。その記録を、オンラインとオフラインで比較し、差. 一つ目は「空間」。オフラインの場合、同じ空間に. のあるポイントを検出。. 複数人のメンバーが存在し同じ空間を共有している。 対してオンラインの場合、基本一部屋に一人で存在. 3-2-2.アンケート 出席者 7 人のメンバーに対し、オンライン会議とオ. し、デバイスと対面する形になる。. フライン会議、それぞれに対するアンケートを行った。. 二つ目は「音声」。オフラインの場合、メンバーがい る全方向から声を聞き取る。対してオンラインの場合、 利用しているデバイスより再生される音を聞き取る。 更に、利用中のシステムによって、音声遅延が発生 する場合もある。. 具体的な質問内容は以下である。 ・会議の充実度(6 段階評価とその理由) ・自身の意思の伝達(6 段階評価とその理由) ・メンバーの意図への配慮(6 段階評価とその理由) ・オンライン会議とオフライン会議の差(自由記述) 3-3.研究対象 研究対象として録音した会議は、オンライン 2 回分、. 三つめは「視界」。オフラインの場合、メンバーが同. オフライン 2 回分である。それぞれの会議の詳細は. じ空間に存在し、室内全体を見渡すことで視覚情報. 図 2 の通りである。. を取得している。対してオンラインの場合、媒体の画 145.
(3) 経営情報学会2020年全国研究発表大会 2020年11月7日(土)~11月8日(日) オンライン開催. 図 2 対象とした会議の詳細. 4. 結果 4-1.音声. 図 4 アンケート 6 段階評価. 時間経過は以下の図 3 のような結果になった。8/3. 縦列の解答について、メンバー間の差は 0~2 以. の終了時刻が遅い理由は、議論すべき内容が多く、. 内と、外れ値のないものであった。また、B-①を除く. まとめることに時間を要したためである。. すべての解答がオンラインと比較し、オフラインの方 が高い解答である。 オンラインとオフラインの間で個人の回答の差が大 きい(3 以上の)ものは、B-③で相手の意図の考慮が より困難、C-②で自身の意思の発信が困難とされ、. 図 3 会議の時刻の詳細. 個人に差があるものの、どちらもオフラインの方がか. 議題ごとに時間・スピード感・発言量(コメントや相. なり快適だと回答されている。. 槌)の比較を行った結果は以下である。. 4-2-2.自由記述について. (1)セクションごとの報告・提案の比較 ・ 所要時間に大きな差はない。 ・ スピード感に差はない。 ・ 発言量はオンラインの方が少ない。 (2)課題検討 ・ 時間はオンラインの方が短い。 ・ スピード感はオンラインの方が遅い。 ・ 発言量はオンラインの方が圧倒的に少ない。 (3)雑談 ・ オンラインではほとんど存在しないため、回答でき ない。 また、音声の解析を行った際、以下の特徴を把握. それぞれの設問に対する回答の特徴を、ポジティ ブ(+)ネガティブ(-)どちらともいえない(?)に 3 分類し、 まとめる。また、ポジティブな意見とネガティブな意見 の割合を記述する。 ①会議の充実度 オンライン ・ 淡々と進み、無駄話がない。(+) ・ 間延びせず効率的。(+) ・ 気を遣ってしまい、話しづらい。(-) ・ 流れを理解する集中力が必要。(-) オフライン ・ 笑顔が多い会議だった。(+) ・ リラックスした状態で臨めた。(+) ・ 注意散漫で集中力が切れる瞬間もあった(-) ・ 内容によって間延びしてしまう。(-) ②自身の意思の発信. できた。 オフラインと比較してオンライン会議は… ・ 各メンバーが話す頻度が少ない。 ・ 同時に話す回数が少ない。 ・ 相槌が少ない。 ・ スピード感が遅い。(空白の時間有) ・ 笑う回数が少ない。 4-2.アンケート. オンライン ・ スムーズに進めるために、余計な発言は控えてい る(?) ・ 遠慮してタイミングを逃す(-) オフライン ・ 意識せず自然に発言している(+) ・ 自分のターンでつい話過ぎてしまった(-) ③メンバーの意図の理解. 4-2-1.6 段階評価について アンケートで行った①充実度 ②自身の意思の伝 達 ③メンバーの意思の配慮 の 6 段階評価は、以 下の結果になった(図 4)。. オンライン ・ 真剣に聞けたと思う(+) ・ 何を考えているかわからない(-) 146.
(4) 経営情報学会2020年全国研究発表大会 2020年11月7日(土)~11月8日(日) オンライン開催. ・ 表情からあまりポジティブでない意図を感じてしま った(?) オフライン ・ わからないことがある際、即座に質問できる(+) ・ そもそも意識していなかった(?) ④オンラインとオフラインの差. 第一に、「オフラインの方が、会話にスピード感があ り、笑う回数が多い」こと。会議として不要な発言だが、 会話のような発言があることによって、自然なスピー ドを保っているように感じられた。 第二に、「オンラインの方が、タイムマネジメントをし. オンラインの方が良い点 ・ 無駄話が少ない。 ・ 報告のみの場合。議論はオフラインが適切だと感 じる。 ・ 時間や場所の制約が少ない。 オフラインの方が良い点 ・ 話し出すタイミングが掴みやすい。 ・ 些細な表情や語気の変化を感じ取れる。 ・ 笑顔と発言量が多い気がする。 4-3.その他. やすい」こと。オフラインだと、会話のような発言が混 じり、会議の時間が伸びることがある。その点では、 オンラインの方が秀でている。. 6. 課題、限界 今回の調査で、オンライン会議とオフライン会議の 音声の差と参加者の内心を理解することができた。 今回不明確で、今後更に調査すべきなのは以下の. 音声・アンケートの情報以外に筆者の気付いたポ. 点である。. イントとしてオフラインと比較してオンライン会議は以. 第一に、研究対象が少数のため確実性が低く、会. 下のとおりである。 ・画面の表情を見てしまう。(視覚). 議の内容に左右されてしまった可能性があること。. ・会議終了から解散時刻までが短い(空間). 様々な内容の会議のデータを集め、母数を増やす 必要がある。 第二に、対象組織が一つであること。エンカレ以外. 5. 分析、考察. の組織にも目を向け、どのような会議が行われてい. 今回の調査結果からの示唆は以下である。. るのか同じように調査し、母数の幅を増やす必要が. 5-1.仮説①について. ある。. オフラインと比較し、オンラインの意思疎通度合い. 他に研究の改善点として、アンケートの内容があげ. は低いとメンバーが感じている事が明らかになった。. られる。「オンライン会議とオフライン会議で感じる. (図 3 より) メンバーによって意思疎通における苦手な要素は. 差」についての質問をすることにより、研究の趣旨を. 異なるが、全メンバーがオフラインよりもオンラインで. 理解した上で回答していた者がいたため、研究の趣. の会議の方が意思疎通を図りづらい(議論を進めづ. 旨を理解せず、純粋な気持ちで回答できる内容に改. らい)と評価・コメントを残した。. 善すべきである。. 5-2.仮説② 7. おわりに. オフラインと比較し、オンラインの方が一人当たりの. 本報告では、オンラインよりもオフラインの方が意. 発言頻度が低いことがわかった。(音声より) 特に顕著であったのは、課題に対し議論を行う際. 思疎通しやすいという結論に達したが、オンラインの. である。投げかけられた質問に対しコメントするまで. 会議の特性を生かしつつ、今後どのような対策を講. に間が空くことが多々あり、円滑なコミュニケーション. じることで、円滑な会議を実現できるかについて調査. が取れていなかった。原因は、「話すタイミングをうか. したい。. がっている」「理解が追い付かない」(アンケートより) の二パターン存在した。. 参考文献. 5-3.その他. ダニエル・コイル,(2018)『THE CULTURE CODE』, 桜田直美出版社.. 仮説以外にも明らかになったことがある。. 147.
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