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小学校1年生における登り棒の段階的指導法について

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(1)

1.はじめに  幼児教育と小学校教育との連携を推進すべく、 2008年改訂の保育所保育指針1)と幼稚園教育 要領2)には小学校連携に関する内容が盛り込 まれた。また、小学校学習指導要領においても 幼稚園に加え保育所との連携が新たに加えられ た3)。  1985年から2008年まで幼児において体力低下 が続いており、運動能力の2極化も問題になっ ている4)。2011年4月より全面的実施となった、 小学校学習指導要領体育科の「改善の具体的事 項」の一つとして、運動領域については、幼児 教育との円滑な接続を図ること、体力の低下傾 向が深刻な問題となっていることや積極的に運 動する子どもとそうでない子どもの二極化への 指摘があること、各学年の系統性を図ることな どを踏まえ、低学年を「体つくり運動」、「器 械・器具を使っての運動遊び」、「走・跳の運 動遊び」、「水遊び」、「ゲーム」及び「表現リ ズム遊び」で構成された5)。また、「器械・器 具を使っての運動遊び」、について教師用指導 資料「小学校体育(運動領域)まるわかりハン ドブック低学年(第一学年及び第二学年)」 (2011)には、登り棒を使った運動遊びの例示 として、登り下り、逆さ姿勢などがイラスト入 り(図1)で紹介されている6) 幼年児童教育研究 第31号 2019 − 57 −

小学校1年生における登り棒の段階的指導法について

─ About the graded instruction method of the climbing pole in the first grader ─

松岡 哲雄

要  旨  幼児期の身体運動ガイドライン「幼児期運動指針」には、幼児期に経験する基本的な動きの例とし て、登るという動作が、登り棒を登るイラスト入りで紹介されている。  小学校低学年の教師用指導資料、「小学校体育(運動領域)まるわかりハンドブック」の内容にも 「幼児期運動指針」の内容を発展させた登り棒の運動が紹介されている。  しかし、小学校1年生でこの登るという動作はおへそを登り棒にくっつけることが出で来きなかったり、 足を登り棒に挟むことが出で来きなかったりして登るのに苦慮している児童が多くいた。できない子ども たちにインタビューをすると、幼児期からできないということだった。登り棒は、できる、できない がはっきりおり、苦手意識のある児童が多い。  以上のことから、登り棒が苦手な子どもも達成感の味わえる、登り棒の指導の仕方を検討した。平 均台を使ってまず横に移動する動作だけを習得し、徐々に跳び箱を使って平均台に傾斜をつけ、登り 棒に近付けていく場の設定をした。この段階的指導法を行うことによって、登り棒に対する苦手意識 がなくなり、取り組む意欲を向上した。 キーワード:登り棒、段階的指導法

(2)

小学校1年生における登り棒の段階的指導法について − 58 −  また、2012年4月には幼児を対象に、幼児期 の身体運動ガイドライン「幼児期運動指針」が 策定された7)。それらは「体のバランスをと る動き」「体を移動する動き」「用具などを操 作する動き」の3つに分かれおり、それらを経 験し多様な動きを獲得することが望まれている。 その中の「体を移動する動き」の中には登る (図2)の動作もイラスト入りで紹介され、教 師用指導資料「小学校体育(運動領域)まるわ かりハンドブック低学年(第一学年及び第二学 年)」の内容と系統性を保った内容となってい る。  しかし、おへそを登り棒にくっつけることが 出で来きなかったり、足を登り棒に挟むことが出で来き なかったりと、「幼児期運動指針」で獲得する ことが望まれる登る動作そのものが獲得できて いない児童が多数いた。登り棒ができない子ど もたちにインタビューをすると、幼児期からで きないということだった。登り棒が好きか嫌い かのアンケートを実施したところ、1クラス22 名の1年生の内9名(41%)が好きと答え、嫌い は13名(59%)であった。また、学習前は登り 棒におへそをくっ付けての支持ができない児童 が7名(32%)いた。  登り棒は、跳び箱などと同じようにできる、 できないがはっきりおり、苦手意識のある児童 が多い。  橋本(1999)8)は、年長児を対象に5月と3 月に鉄棒4種目(足抜き回り、尻上がり、前回 り、逆上がり)、登り棒、雲梯の運動成就率を 調査し、登り棒の運動成就率が一番低くかった と報告している。  また柳田(2008)9)は、埼玉県の公立およ び私立幼稚園にアンケート調査を依頼し,20園, 202名の教師が調査対象(アンケート回収率は 62.9%)を行った。  運動遊びの指導に際して重視していることの 調査においては,幼児と一緒に遊ぶことや外で 自由に遊ばせることが重視され,運動技能やル ールなど運動遊びを体系化した運動指導の必要 はないという考えが幼稚園教員には強いことが 明らかにされた。小学校の登り棒の指導に関す る先行研究を学術情報データベースCiNiiで検 索したが、小学校の登り棒の指導に関する研究 はなかった。  以上のことから幼児期運動指針の中で獲得が 望まれている「登る」という動作習得は、小学 校1年生のカリキュラムでも必要だと考え、ま た運動遊びの重要性は、教師用指導資料「小学 校体育(運動領域)まるわかりハンドブック低 学年(第一学年及び第二学年)」などでも述べ られていることから、登り棒が苦手な子どもも 達成感の味わえるカリキュラム構成を検討した。 図1:小学校体育(運動領域)まるわかりハンド ブック(低学年)文部科学省(2011) 図2:幼児期運動指針:文部科学省(2012)

器具を使っての運動遊び」

「走・跳の運

動遊び」

「水遊び」

「ゲーム」及び「表

現リズム遊び」で構成された

5)

。また、

「器械・器具を使っての運動遊び」

、につ

いて教師用指導資料「小学校体育(運動

領域)まるわかりハンドブック低学年

(第一学年及び第二学年)

(2011)には、

登り棒を使った運動遊びの例示として、

登り下り、逆さ姿勢などがイラスト入り

(図

1)で紹介されている

6)

また、

2012 年 4 月には幼児を対象に、

幼児期の身体運動ガイドライン「幼児期

運動指針」が策定された

7)

。それらは「体

のバランスをとる動き」「体を移動する

動き」

「用具などを操作する動き」の

3 つ

に分かれおり、それらを経験し多様な動

きを獲得することが望まれている。その

中の「体を移動する動き」の中には登る

(図

2)の動作もイラスト入りで紹介さ

れ、教師用指導資料「小学校体育(運動

領域)まるわかりハンドブック低学年

(第一学年及び第二学年)」の内容と系

統性を保った内容となっている。

しかし、おへそを登り棒にくっつける

ことが出来なかったり、足を登り棒に挟

むことが出来なかったりと、「幼児期運

動指針」で獲得することが望まれる登る

動作そのものが獲得できていない児童

が多数いた。登り棒ができない子どもた

ちにインタビューをすると、幼児期から

できないということだった。登り棒が好

きか嫌いかのアンケートを実施したと

ころ、

1 クラス 22 名の 1 年生の内 9 名

41%)が好きと答え、嫌いは 13 名

59%)であった。また、学習前は登り

ない児童が

7 名(32%)いた。

登り棒は、跳び箱などと同じようにで

きる、できないがはっきりおり、苦手意

識のある児童が多い。

橋本(

1999)

8)

は、年長児を対象に

5

月と

3 月に鉄棒 4 種目(足抜き回り、尻

上がり、前回り、逆上がり)

、登り棒、雲

梯の運動成就率を調査し、登り棒の運動

成就率が一番低くかったと報告してい

る。

また柳田(

2008)

9)

は、埼玉県の

公立

および私立幼稚園にアンケート調査を依

頼し,

20 園,202 名の教師が調査対象(ア

ンケート回収率は

62.9%)を行った。

運動遊びの指導に際して重視している

ことの調査においては,

幼児と一緒に遊

ぶことや外で自由に遊ばせることが重視

図 :小学校体育(運動領域)まるわかりハンド

ブック(低学年) 文部科学省  

図 :幼児期運動指針:文部科学省() 

器具を使っての運動遊び」

「走・跳の運

動遊び」

「水遊び」

「ゲーム」及び「表

現リズム遊び」で構成された

5)

。また、

「器械・器具を使っての運動遊び」

、につ

いて教師用指導資料「小学校体育(運動

領域)まるわかりハンドブック低学年

(第一学年及び第二学年)

(2011)には、

登り棒を使った運動遊びの例示として、

登り下り、逆さ姿勢などがイラスト入り

(図

1)で紹介されている

6)

また、

2012 年 4 月には幼児を対象に、

幼児期の身体運動ガイドライン「幼児期

運動指針」が策定された

7)

。それらは「体

のバランスをとる動き」「体を移動する

動き」

「用具などを操作する動き」の

3 つ

に分かれおり、それらを経験し多様な動

きを獲得することが望まれている。その

中の「体を移動する動き」の中には登る

(図

2)の動作もイラスト入りで紹介さ

れ、教師用指導資料「小学校体育(運動

領域)まるわかりハンドブック低学年

(第一学年及び第二学年)」の内容と系

統性を保った内容となっている。

しかし、おへそを登り棒にくっつける

ことが出来なかったり、足を登り棒に挟

むことが出来なかったりと、「幼児期運

動指針」で獲得することが望まれる登る

動作そのものが獲得できていない児童

が多数いた。登り棒ができない子どもた

ちにインタビューをすると、幼児期から

できないということだった。登り棒が好

きか嫌いかのアンケートを実施したと

ころ、

1 クラス 22 名の 1 年生の内 9 名

41%)が好きと答え、嫌いは 13 名

59%)であった。また、学習前は登り

棒におへそをくっ付けての支持ができ

ない児童が

7 名(32%)いた。

登り棒は、跳び箱などと同じようにで

きる、できないがはっきりおり、苦手意

識のある児童が多い。

橋本(

1999)

8)

は、年長児を対象に

5

月と

3 月に鉄棒 4 種目(足抜き回り、尻

上がり、前回り、逆上がり)

、登り棒、雲

梯の運動成就率を調査し、登り棒の運動

成就率が一番低くかったと報告してい

る。

また柳田(

2008)

9)

は、埼玉県の

公立

および私立幼稚園にアンケート調査を依

頼し,

20 園,202 名の教師が調査対象(ア

ンケート回収率は

62.9%)を行った。

運動遊びの指導に際して重視している

ことの調査においては,

幼児と一緒に遊

ぶことや外で自由に遊ばせることが重視

され,運動技能やルールなど運動遊びを

図 :小学校体育(運動領域)まるわかりハンド

ブック(低学年) 文部科学省  

図 :幼児期運動指針:文部科学省() 

(3)

幼年児童教育研究 第31号 − 59 − 2.方法  調査対象は、大阪府内の1年生24名(男子12 名 女子10名)実施時期は、2010年6月、時間 数は3時間、学習前と学習後で登り棒の達成率 と好嫌度のアンケートを実施した。  単元名は「登り棒に挑戦しよう」とした(表 1)。  1、2時限目は小単元として「ジャングル探 検をしよう」として行った。モノレール(図 3-a)だけをすると待ち順番の時間ができるた め、運動量を確保することと、登るという動作 を習得させる意図で類似性運動(アナロゴン) でサーキットを組んで行った。  レンジャー部隊(図3-b)は、背中を床につ けて足を上げ、手だけで前へ進ませる場を2 本つくり、1本は苦手な子どももできるように、 なわに団子を作って力が無くても移動しやすい 場とした。また、2限目は、子ども達の発想も

考えが幼稚園教員には強いことが明らか

にされた。小学校の登り棒の指導に関す

る 先 行 研 究 を 学 術 情 報 デ ー タ ベ ー ス

CiNii で検索したが、小学校の登り棒の指

導に関する研究はなかった。

以上のことから幼児期運動指針の中で

獲得が望まれている「登る」という動作習

得は、小学校

1 年生のカリキュラムでも

必要だと考え、また運動遊びの重要性は、

教師用指導資料「小学校体育(運動領域)

まるわかりハンドブック低学年(第一学

年及び第二学年)

」などでも述べられてい

ることから、登り棒が苦手な子どもも達

成感の味わえるカリキュラム構成を検討

した。

表 :単元名:登り棒に挑戦しよう

ジャングル探検をしよう

(サーキット遊び)

登り棒で遊ぼう

時間

  

1

    

2

   

3

ねらい

・平均台におへそをくっつけて移動できる

・引き付け動作ができるようになる

・登り棒におへそをくっつ

けて支持できる

・登り棒に登れる

内容

・モノレール(徐々

に 傾斜 をつけ てい

く)

・ レン ジャー 部隊

( 縄に 団子を つけ

ておく)

・ワニ歩き

・モノレール(傾斜を

寄り付けて)

・レンジャー部隊(仰

向け、うつ伏せ)

・ワニ歩き(コーンで

高さに制限)

・登り棒で支持遊び。

・登り棒でどこまで登れる

か挑戦(色テープを等間隔

で貼っておく)

3:ジャングル探検(サーキット遊び)

c

a

図3:ジャングル探検(サーキット遊び)

(4)

小学校1年生における登り棒の段階的指導法について 取り入れ、おへそを床にくっつけて腹ばいの姿 勢でのレンジャー部隊などにも取り組んだ。  ワニ歩きは(図3-c)慣れてくると、2限目か らはコーンをいくつか用意してゴムを張り、ゴ ムに当たらないように行わせた。これは、床に おへそをくっ付けて進むことで、モノレール (図3-a)のおへそをくっ付けて進むことへの 繋がりを考えて行うものである。  登り棒に関しては、登り方が2通りある。一 つ目は図4-aの様に、登り棒に足を絡める登り 方である。2つ目は、図4-bのように、登り棒を 両足の裏で挟み込み登る方法である。図4-aの 足を絡めて登る方法は、太腿、ふくらはぎ、足 首を登り棒に巻き付けながら、手で身体を引き 上げるため、腕の力が必要で、さらに長ズボン や靴を履いていると、滑りやすい。図4-bでは、 手で身体を引き上げるのと同時に、足の力を利 用し、素足の足の裏で登り棒を挟みながら、身 体を持ち上げることから、図4-aの方法より手 に力がなくても登りやすいと考えた。また平均 台の側面に足を挟み移動することで、徐々に傾 斜をつけて行うことが可能なので、スモールス テップで達成感が味わえる教材として実践でき ると考えた。  平均台の場の設定についてだが(図5)まず、 登り棒を横に倒したイメージで、平均台を使っ て、横に移動する動作だけを習得させた(図 5-a)。  その後、徐々に跳び箱を使って平均台に傾斜 をつけ、登り棒に近付けていく場の設定をした (図5-b,c,d)。 図4

.方法

調査対象は、大阪府内の

1 年生 24 名

(男子

12 名 女子 10 名)実施時期は、

2010 年 6 月、時間数は 3 時間、学習前

と学習後で登り棒の達成率と好嫌度の

アンケートを実施した。

単元名は「登り棒に挑戦しよう」とし

た。

(表

1)

1、2 時限目は小単元として「ジャング

ル探検をしよう」として行った。モノレ

ール(図

3-a)だけをすると待ち順番の

時間ができるため、運動量を確保するこ

とと、登るという動作を習得させる意図

で類似性運動(アナロゴン)でサーキッ

トを組んで行った。

レンジャー部隊(図

3-b)は、背中を

床につけて足を上げ、手だけで前へ進ま

せる場を

2 本つくり、1 本は苦手が子ど

ももできるように、なわに団子を作って

力が無くても移動しやすい場とした。ま

た、

2 限目は、子ども達の発想も取り入

れ、おへそを床にくっつけて腹ばいの姿

勢でのレンジャー部隊などにも取り組

んだ。

ワニ歩きは(図

3-c)慣れてくると、2

限目からはコーンをいくつか用意して

ゴムを張り、ゴムに当たらないように行

わせた。これは、床におへそをくっ付け

て進むことで、モノレール(図

3-a)の

おへそをくっ付けて進むことへの繋が

りを考えて行うものである。

登り棒に関しては、登り方が

2 通りあ

る。一つ目は図

4-a の様に、登り棒に足

を絡める登り方である。

2 つ目は、図

4-b のように、登り棒を両足の裏で挟み込

a

b

a

5:平均台の場の設定(モノレール)

a

b

c

d

図5:平均台の場の設定(モノレール)

.方法

調査対象は、大阪府内の

1 年生 24 名

(男子

12 名 女子 10 名)実施時期は、

2010 年 6 月、時間数は 3 時間、学習前

と学習後で登り棒の達成率と好嫌度の

アンケートを実施した。

単元名は「登り棒に挑戦しよう」とし

た。

(表

1)

1、2 時限目は小単元として「ジャング

ル探検をしよう」として行った。モノレ

ール(図

3-a)だけをすると待ち順番の

時間ができるため、運動量を確保するこ

とと、登るという動作を習得させる意図

で類似性運動(アナロゴン)でサーキッ

トを組んで行った。

レンジャー部隊(図

3-b)は、背中を

床につけて足を上げ、手だけで前へ進ま

せる場を

2 本つくり、1 本は苦手が子ど

ももできるように、なわに団子を作って

力が無くても移動しやすい場とした。ま

た、

2 限目は、子ども達の発想も取り入

れ、おへそを床にくっつけて腹ばいの姿

勢でのレンジャー部隊などにも取り組

んだ。

ワニ歩きは(図

3-c)慣れてくると、2

限目からはコーンをいくつか用意して

ゴムを張り、ゴムに当たらないように行

わせた。これは、床におへそをくっ付け

て進むことで、モノレール(図

3-a)の

おへそをくっ付けて進むことへの繋が

りを考えて行うものである。

登り棒に関しては、登り方が

2 通りあ

る。一つ目は図

4-a の様に、登り棒に足

を絡める登り方である。

2 つ目は、図

4-b のように、登り棒を両足の裏で挟み込

a

b

a

5:平均台の場の設定(モノレール)

a

b

c

d

(5)

幼年児童教育研究 第31号 − 61 −  3限目の小単元「登り棒で遊ぼう」では、登 り棒から足が地面に付かないようにするだけの 支持遊びを行った。これは、おへそをくっ付け て正しく登る姿勢での支持ができるようになる ことをねらいとしたものである。その後、等間 隔に登り棒に様々な色のテープを貼り、どの色 テープまで登れるか挑戦させた。これは、登り 棒が苦手な子どもでもスモールステップで上に 登る達成感を味わうことをねらいとしたもので ある。  また、これらの身に付けた動きを子ども自ら 工夫して行う時間も設定した。 3.結果と考察  図5-a,bの場の設定までは容易にできる子ど もが多くいたが、図5-c,dの場の設定になってく ると自分を支える力が多く必要になり、補助が 必要であった。  おへそをくっつけて支持できない子は、学 習前は7名であったが全員できるようになった。 しかし、一人で一番上まで登れる子は5名から 6名ということであまり変化は見られなかった (表2)。おへそを登り棒にくっつける動作が できても、自分の体を持ち上げる筋力がついて いないためと考える。それを裏付けることとし て、学習後は子どもの足を登り棒に挟む補助を してあげると、おへそを登り棒にくっ付けなが ら、皆、容易に登れるようになっていた。  身に付けた動きを子ども自ら工夫して行う時 間では、図1に示されている様な登り棒を2つ使 って足抜き回りをしたり、他の登り棒へ、地面 に落ちないように次々に引っ越ししたりの遊び の展開例が見られた。  登り棒の好きか嫌いかの好嫌度の調査では好 きと答えた児童が9名から20名に大きく増えた (表3)。χ2検定では(χ2=24.592、df=4  p<.001)であり有意な差が認められた。そ の理由が「面白いから」「前よりできるように なった」であった。一人で登ることができなく ても、支持遊びや等間隔に色付きテープを貼り、 スモールステップで達成感が味わえる教材にし たことが意欲を向上させた可能性がある。  また、3時間の学習では、平均台に傾斜をつ けて登ることができても、実際の登り棒で自分 の体を持ち上げる筋力をつけることができなか った。しかし、登り棒が楽しい・好きという経 験をさせることが一番大切だと考える。そうす ることで、子ども自身が遊びとして休み時間な どに継続的に登り棒に取り組み、登るという動 作を培うこととなるからである。

(6)

小学校1年生における登り棒の段階的指導法について 引用文献 1)厚生労働省「保育所保育指針解説書 単行 本」–2008年5月 2)文部科学省「幼稚園教育要領解説」2008年 10月 3)文部科学省「小学校学習指導要領」東京書 籍、2008年 4)森司朗、杉原隆、吉田伊津美、筒井清次郎、 鈴木康弘、中本浩揮、近藤充夫「2008年の 全国調査からみた幼児の運動能力」体育の 科学60(1)56-66頁、2010年 5)文部科学省「小学校学習指導要領解説 体 育編」,東洋館出版 2008年 6)文部科学省「小学校体育(運動領域)まる わかりハンドブック」2011年 7)幼児期運動指針策定委員会、「幼児期運動 指針」、文部科学省、2012年 8)橋本妙子、幼児の固定遊具遊び:鉄棒,登 り棒,雲梯遊びの観察および運動成就率、 横浜女子短期大学研究紀要 1999年,67-76 頁 9)柳田信也、幼稚園教師の運動遊びに関する 指導理念の調査研究、2008年 付 記  本研究は「小学校低学年における登り棒の段 階的指導法について─平均台を使ってのアプロ ーチ─」(日本体育学会第69回大会 2018年) において口頭発表したものを再構成したもので ある。

参照

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