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異年齢保育実践理論構築に向けた一考察 : 保育形態の観点から

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Academic year: 2021

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(1)異年齢保育実践理論構築に向けた一考察               一保育形態の観点から一 専攻 学校教育学 コース 幼年教育コース 学籍番号 M09019C 氏名 脇淵 爾良.  近年,高度産業化社会から高度情報化社会へと. 保育所に対し,‘‘貴国では異年齢児保育(縦割り保. 転換する中で,子どもの生活と成長をめぐる日本. 育)を実施されていますか”と質問したうえで“実. 社会の様相は激変した。過疎,少子化,遊ぴスペ. 施している(部分的も含む)’’と答えた施設の回答. ースの喪失,地域の教育力の低下等,子育てを取. をもとに,後者も札幌市とその近郊の公・私立保. り巻く社会問題と子ども遠の育ちに関する諸問題. 育所に対し,“異年齢保育の取り組みの有無”を質. (主体性の欠如,無気力,小一プロブレム等)と,. 問したうえで,“あり’’とした回答をもとに結果を. 枚挙に暇がない。それらに対する実践的対応のひ. 示している。そしていずれの調査においても,肯. とつとして,異年齢保育が注目されるようになっ. 定的な意見と困難とされる意見が同項目で同時に. た。増田(1999)は,核家族化・少子化が進み,. 表出するという矛盾した結果が示されているので. 兄弟姉妹の数の減少,また地域で子どもが群れて. ある。これらの意見は,保育者が日々の保育から. 遊ぶ機会が少なくなる中で,保育所や幼稚園にお. 感じた実践的なものである。少なくともどのよう. いては,異年齢の子どもがふれあい,たがいに刺. な状況で感じたものなのかが情報として付随して. 激を受けて育ち合う異年齢保育が積極的に取り入. いなければ,これから異年齢保育を実践しよう,. れられている,としている。. また現時点で異年齢保育を実践してはいるが,困.  異年齢保育に関する研究は1971年に坂本・坂槙. 難を感じている保育者が,実践に必要なエッセン. が行ったものを皮切りに年々増加し,2001年から. スをここから読み取ることは困難であろう。両者. 2009年の間に約60件に及んでいる。また平成21. の調査では,その状況を示す情報の提示と整理が. 年に改訂された『保育所保育指針』の第3章保育. “どの形態が全体の何%をしめるのか”等に留ま. の内容“人間関係”(2)には「身近な友達との関. り,表出した利点・不利点等と直接緒びつかない. わりを深めるとともに,異年齢の友達など,様々. 形で行われている。結果に見られた矛盾は,そこ. な友達と関わり,思いやりや親しみを持つ」と,. に起因していると考えられる。よって異年齢保育. 新たに異年齢関係に関する記述が加わった。異年. 自薦理論の構築に,背景となる実践形態への詳細. 齢の子ども遠の関わりへの関心は,このように実. な配慮は不可欠であると言えよう。. 際の数字や公的な文言としても表れてきている。.  より充実した研究・実践には,整理され,統一.  しかし異年齢保育研究には効果,留意点,課題. された概念理解とそれに基づく確かな理論構築が. を検討するものが見られるものの,その語義,実. 不可欠であると考えられる。. 践展開・理論の在り方は散発的で,若干のズレが.  そのために必要な観点として,歴史的観点を挙. ある感が否めない。永久(2009)(7),吉田(2009). げたい。その目的は,近年の異年齢保育のみでな. (8)は,異年齢保育の効用について実態調査を行. っている。前者は福岡県久留米市の私立幼稚園・. く,過去から現代に続く異年齢保育(異年齢保育 と明言はなくとも,そのようにとらえられるもの. 一32一.

(2) も含め)を一本の時間軸上におき,内容はもちろ. する事を原則とする。」を参考にr学年の初めの目. ん,どのような時代背景(社会情勢・法的環境等). の前日において異なる年齢にある幼児でクラス編. と必要感を持って実践されたのかを縦断的に把握. 成を行う保育形態」を「異年齢編制保育」,それ以. するということにある。一つ一つの異年齢保育実. 外の同年齢保育下において異年齢の関わりを促す. 践・理論は,それを取り巻く様々な要素が結晶化. 活動を「異年齢交流保育」と定義することから始. したものである。時代が変わり,環境が変わる中. める。. で表出した結晶を取り巻く要素には共通点・相違.  歴史的な経緯を概観したところによると,まず. 点が必ず存在し,それらを比較検討することは,. 明治期に2件「女子高等師範学校付属幼稚園分室」. 形態の持っ意味をより洗練することにつながると. と胴山師範学校付属幼稚園」,そして終戦直前の. 考えられるからだ。今大切なのは,概念を洗練す. 昭和期に1件「愛育会による疎開保育」が確認で. ることにより条件的・理念的に関わらず現場の保. きた。. 育者がそこにある条件を活用し実践を構築してい.  さらに現代の異年齢編制保育を取り巻く諸状況,. くうえで必要かつ正確な知見を築くことであり,. 展開,実践例を挙げ,これらを総合的に考察した. その後の異年齢保育研究の確かな誰を築くことで. ところ,異年齢編制保育という保育形態を構成す. あるといえよう。. る要素として8点,中でも特に留意すべき事項を,.  以下が本論における章立てである。. 3点認めることができた。. ①異質性と等質性について 序章 問題の所在. ②グルーピング・ペアリングについて. 第1章異年齢保育の捉え方について. ③年齢幅について. 第2章明治期・昭和期の.  これからの異年齢編制保育理論発展に際し,本 論で明らかになったこれらの事項がどれほど妥当.          日本異年齢編制保育実践. 性を持っているか,これからも引き続き,さまざ.     第1節クラス編制の歴史. まな視点からの検討が求められているといえよう。.             一同年齢と異年齢一. 参考文献.     第2節明治から戦中にかけての. ・谷田貝公昭監修 林邦雄責任編集(1999)異.           日本異年齢編制保育実践. 年齢保育.保育用語辞典.一塾杜. 第3章現代異年齢編制保育. ・坂本美智子・坂槙由美子(1971)年齢別・混合.     第1節現代異年齢編制保育を. 保育における遊びの相違一縫いぐるみ象を使って.           取り巻く諸条件の整理. 一.本保育学会大会研究論文集(24).81−82.     第2節現代異年齢編制保育の展開. ・永久欣也(2009)異年齢児集団の保育活動につ.     第3節現代異年齢編制保育実践例. 終章形態面から捉えた. いて一久留米地区における異年齢児保育活動の実.        異年齢編制保育理論の検討. 態調査より一.筑紫女学園大学・短期大学部人間 文化研究所年報(20)267−275.  まず本論では,形態という観点から明確に差異 が認められるのは,異年齢によってクラス編制を 行うか否か,この一点のみであるとし,幼稚園設. 置基準(学級の編成)第4条「学級は,学卒の初 めの目の前日において同じ年齢にある幼児で編制. 8)吉岡行男(2010)異年齢生活小グループと子 どもの発達.日本保育学会大会発表要旨集(63). 421.         主任指導教員 横川和章教授           指導教員 横川和章教授. 一33一.

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