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児童の造形活動における相互作用についての一考察

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Academic year: 2021

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(1)児童の造形活動における相互作用についての一考察 教科・領域教育学専攻 芸術系コース(美術). M 0 8 2 1 5 H. 羽 田 野   崇  第2節  造形活動への取り組みの傾向. 1 研究の動機と目的.  日々,実践に取り組む中で,子どもの造形活.  第3節  結論. 動において,なぜ充実の度合いに差が生じるの. 第2章. かという疑問をもっていた。ここで言う充実の.  第1節  造形活動における「他者とのかかわ. 度合いとは,プロセス(造形活動への取り組み),. 相互作用から見た造形活動. りと語り」. プロダクト(作品)において見られる,熟考あ.  第2節  他者とのかかわりの活性化. るいは試行錯誤による充実感の度合いを指す。.  第3節  結論.  充実の度合いに差が生じることについて,一 学級におけるある題材を想定してみる。当然の. 第3章 集団としての造形活動  第1節  造形活動における学習集団. ことながら,全ての子どもたちにとって,同じ.  第2節  子どもの意識を「イメージや表現の 客観的検討」に向けさせる. 材料・用具,同じ教室,同じ指導者である。つ まり,教材,学習環境,教師変数ともに同一と.  第3節  結論. なるのである。よって,それぞれの子どもの造. 第4章. 形活動における外界とのかかわりに,差が生じ.  第1節  学習における規範性. る要因が隠されているのではないかと考えた。.  第2節  他者のイメージや表現の肯定的捉.  これを受け,授業実践における造形活動の様.  第3節  結論. 子にはどのような傾向があるのか観察した。そ.  第4節  本論における結論と今後の課題. 造形活動における自立. の結果,造形活動への取り組みについては,「他. 者とのかかわりや語り」が大きな意味をもった. 3 研究の概要. と考える。よって,本研究では,造形活動にお.  まず,学習集団を,子どもの目から見た造形. ける相互作用と言語に焦点を当て,取り組むこ. 活動がr得意である」群とr得意であるとは言. ととした。. えない」群とに区分し,それぞれの相互作用の.  以上のことから,本研究における目的を,r相. 内容を分析した。語りを通しての相互作用にお. 互作用を活性化させることで,造形活動の充実. いては,自己の表現に対し,独り言と自己内対. 度が高まる」ということを仮説として位置づけ. 話を通したr自己評価一メタ認知的活動」や他. るとともに,実践を通し,相互作用を活性化さ. 者との会話を通した「他者評価一メタ認知的方. せる方略を明らかにしていくこととする。. 略」といった「イメージや表現の客観的検討」 が行われているということが分かった。. 2 論文の構成.  一方で,r得意である」群ではr得意である. 第1章 研究の動機. とは言えない」群と比べ,造形活動において「他.  第1節 研究における問題意識. 者の表現が参考になる」と感じる子どもが多く. 一408一.

(2) 見られた。これを受け,次に,子どもたちが造. メージや表現の客観的検討」とともに,自ら造. 形活動においてさらに他者の表現を参考とする. 形活動を展開していこうとする態度であるr造. よう,新たな方略を検討した。. 形的自立」を支えるものになると考えるのであ.  これに向けては,個別の他者とのかかわりに. る。. おいて,最近接発達領域の理論(媒介理論)を 基盤とし,かかわりに伴う言語についても考え た。それとともに,最近接発達領域の理論にお ける内化については,習得(方法を知る)に加 え,専有(他者に属する何かあるものを取り入. 4 今後の課題  本研究における今後の課題として,次の二つ をあげる。.  一つは,本研究で示した方略について,果た. れ,それを自分のものとする)を位置づけた。. して一般化が図れるかどうか疑問が残るという. また,対象を個人から集団に広げるために,媒. ことである。本研究では各々の取り組みの動機. 介理論(主体,道具,対象からなる三角形)の. を兵庫教育大学附属小学校の子どもの姿に求め,. 下に,規則,共同体,分業の三つを加え,拡張. その実態を解釈することからスタートしている。. した。これら三つについては,規則をr学習に. よって,その実態がローカルな文脈にあること. おける規範姓」,共同体を「学級・学校」,分業. は否めない。. をr交流における参加」と置き換え,集団とし.  もう一つは,本研究で定義した「集団として. ての造形活動として構造化を図った。. の造形活動」という枠組みと「学習における規.  そして,実際の造形活動においては,「学習. 範性」という概念の間に蝕鯖が生じないかとい. における規範性」がこれらを支える要件になる. う懸念である。エンケストロームは,ヴィゴツ. と考える。このr学習における規範性」とは,. キーのr媒介理論を表す三角形」をr人間の活. 自他のイメージや表現を肯定的に捉えるととも. 動の構造」に拡張するにあたって,マルクスの. に,他者の表現を見たり,他者とイメージや表. 論を用いている。このことは,実践が規則に先. 現について語ったりすることで,自己のイメー. 行するヴィトゲンシュタインの言語ゲーム論の. ジや表現を客観的に検討していこうとする意識. 立場に近いと考えている。しかし,厳密に見た. であると捉える。. 場合,この見解が妥当であるかの判断は難しい。.  そこで,低・中・高学年において,どのよう.  以上の二点について,引き続き取り組むこと. なr学習における規範性」がかたちづくられ,. とし,子どもたちのさらなる育ちに向けて研究. 機能するのか検討した。その結果,低学年では,. 内容を深めていきたい。. 「他者のイメージや表現に目を向けるとともに,. 5 主な参考文献. そのよさに気づく」こととなった。中学年では,. 「他者のイメージや表現におけるよさに気づい. EngestrOm,Y.:拡張による学習,新曜杜,2004. たり,参考にしたりする」こととなった。高学. Vygotsky,L.S.:思考と言語,新読書杜,2004. 牛では,「他者のイメージや表現を参考にしな. Wertsch,J.V.:行為としての心,北大路書房,2002. がら,自己のイメージや表現をよりよいものに. Wi廿genste㎞,L:哲学探究(ウィトゲンシュタイ. する」こととなった。このような意識の形成に.        ン全集8藤本隆志訳),大修館. あたっては,実践が規則に先行するというヴィ.       書店,1976. トゲンシュタインの言語ゲーム論の立場に近い 状況になると考える。. 主任指導教員  初田  隆.  以上のような「学習における規範性」は「イ. 指導教員 村上裕介. 一409一.

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