児童の造形活動における相互作用についての一考察
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(2) 見られた。これを受け,次に,子どもたちが造. メージや表現の客観的検討」とともに,自ら造. 形活動においてさらに他者の表現を参考とする. 形活動を展開していこうとする態度であるr造. よう,新たな方略を検討した。. 形的自立」を支えるものになると考えるのであ. これに向けては,個別の他者とのかかわりに. る。. おいて,最近接発達領域の理論(媒介理論)を 基盤とし,かかわりに伴う言語についても考え た。それとともに,最近接発達領域の理論にお ける内化については,習得(方法を知る)に加 え,専有(他者に属する何かあるものを取り入. 4 今後の課題 本研究における今後の課題として,次の二つ をあげる。. 一つは,本研究で示した方略について,果た. れ,それを自分のものとする)を位置づけた。. して一般化が図れるかどうか疑問が残るという. また,対象を個人から集団に広げるために,媒. ことである。本研究では各々の取り組みの動機. 介理論(主体,道具,対象からなる三角形)の. を兵庫教育大学附属小学校の子どもの姿に求め,. 下に,規則,共同体,分業の三つを加え,拡張. その実態を解釈することからスタートしている。. した。これら三つについては,規則をr学習に. よって,その実態がローカルな文脈にあること. おける規範姓」,共同体を「学級・学校」,分業. は否めない。. をr交流における参加」と置き換え,集団とし. もう一つは,本研究で定義した「集団として. ての造形活動として構造化を図った。. の造形活動」という枠組みと「学習における規. そして,実際の造形活動においては,「学習. 範性」という概念の間に蝕鯖が生じないかとい. における規範性」がこれらを支える要件になる. う懸念である。エンケストロームは,ヴィゴツ. と考える。このr学習における規範性」とは,. キーのr媒介理論を表す三角形」をr人間の活. 自他のイメージや表現を肯定的に捉えるととも. 動の構造」に拡張するにあたって,マルクスの. に,他者の表現を見たり,他者とイメージや表. 論を用いている。このことは,実践が規則に先. 現について語ったりすることで,自己のイメー. 行するヴィトゲンシュタインの言語ゲーム論の. ジや表現を客観的に検討していこうとする意識. 立場に近いと考えている。しかし,厳密に見た. であると捉える。. 場合,この見解が妥当であるかの判断は難しい。. そこで,低・中・高学年において,どのよう. 以上の二点について,引き続き取り組むこと. なr学習における規範性」がかたちづくられ,. とし,子どもたちのさらなる育ちに向けて研究. 機能するのか検討した。その結果,低学年では,. 内容を深めていきたい。. 「他者のイメージや表現に目を向けるとともに,. 5 主な参考文献. そのよさに気づく」こととなった。中学年では,. 「他者のイメージや表現におけるよさに気づい. EngestrOm,Y.:拡張による学習,新曜杜,2004. たり,参考にしたりする」こととなった。高学. Vygotsky,L.S.:思考と言語,新読書杜,2004. 牛では,「他者のイメージや表現を参考にしな. Wertsch,J.V.:行為としての心,北大路書房,2002. がら,自己のイメージや表現をよりよいものに. Wi廿genste㎞,L:哲学探究(ウィトゲンシュタイ. する」こととなった。このような意識の形成に. ン全集8藤本隆志訳),大修館. あたっては,実践が規則に先行するというヴィ. 書店,1976. トゲンシュタインの言語ゲーム論の立場に近い 状況になると考える。. 主任指導教員 初田 隆. 以上のような「学習における規範性」は「イ. 指導教員 村上裕介. 一409一.
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